説明

電流直列共振DCDC変換装置及び電力変換制御方法

【課題】電源の出力電圧にかかわらず、簡単な制御で、双方向に直流電力を供給可能でかつソフトスイッチングが可能な、低損失な電流直列共振DCDC変換装置等を提供する。
【解決手段】MERS101及び102をオンすることによってコンデンサCM1及びコンデンサCM2に蓄積された静電エネルギーを放電させてインダクタLmに磁気エネルギーとして蓄積し、受電側のMERSを先にオフすることによって、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーを受電側のコンデンサに蓄積し、このコンデンサに蓄積された静電エネルギーによって、受電側の電池を充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流直列共振DCDC変換装置及び電力変換制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導性負荷に蓄積された磁気エネルギーを回生することが可能な低損失なスイッチとして、MERS(磁気エネルギー回生スイッチ:Magnetic Energy Recovery Switch)が知られている。
このMERSを用いて直流電圧源から交流電力を負荷に、あるいは、交流電圧源から直流電力を負荷に供給できる低損失な直流/交流電力変換装置として、たとえば特許文献1に開示されているものがある。
【0003】
この直流/交流電力変換装置は、MERSと、交流電源あるいは交流負荷と直列回路を形成し、MERSの交流端子間に接続された交流インダクタと、直流電源あるいは直流負荷と直列回路を形成しMERSの直流端子間に接続された直流インダクタと、を備える。
この直流/交流電力変換装置は、MERSの逆導通型半導体スイッチをオン・オフすることで、交流電源から二次電池を充電、または、二次電池から交流電力を負荷へ供給とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−193817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、直流電力を変換する場合、例えば二次電池から他の二次電池への充電を行う場合、電力を可逆に変換できることが望ましい。一方、特許文献1の直流/交流電力変換装置は、交流負荷として整流器を介して二次電池を接続したとしても、交流電源として二次電池をインバータを介して接続しても、簡単な制御で直流電力を可逆に変換することは難しい。そのため、MERSを用いて直流直流変換する電力変換装置としては、MERSの簡単な制御でソフトスイッチング可能だという利点を残したまま、直流電力を可逆に変換するという点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、2つの直流電圧源の相互の結合において,その電源の出力電圧にかかわらず,電力を双方向に変換可能でかつ,簡単な制御でソフトスイッチングが可能である低損失な電流直列共振DCDC変換装置を提供することを目的とし、また、そのような電流直列共振DCDC変換装置を実現するための電力変換制御装置及び電力変換制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電流直列共振DCDC変換装置は、
第1及び第2の交流端子と、第1及び第2の直流端子と、それぞれ電流路を備え、各自に供給される制御信号に応答して各自の電流路をオン及びオフするスイッチであって、各自の電流路を、オンしたとき双方向に実質的に導通させ、オフしたとき電流路の所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通させる第1及び第2のスイッチと、それぞれ電流路を備え、各自の電流路が所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通する第1及び第2の整流素子と、コンデンサと、より構成され、前記第1の交流端子に前記第1の整流素子の前記一端と前記第2のスイッチの前記他端とが、前記第2の交流端子に前記第1のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記他端とが、前記第1の直流端子に前記コンデンサの前記一端と前記第1の整流素子の前記他端と前記第1のスイッチの前記他端とが、前記第2の直流端子に前記コンデンサの前記他端と前記第2のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記一端とが、接続される第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチと、
外部の直流電源と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第1のインダクタと、
外部の直流負荷と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第2のインダクタと、
前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間、または、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間に流れる電流によって磁気エネルギーを蓄える第3のインダクタと、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチの各電流路をオンさせる制御信号並びにオフさせる制御信号を前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチの各制御端に供給する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオンさせ前記第2の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせた後に前記第1の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせる制御、
を繰り返す、
ことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る電流直列共振DCDC変換装置は、
第1及び第2の交流端子と、第1及び第2の直流端子と、それぞれ電流路を備え、各自に供給される制御信号に応答して各自の電流路をオン及びオフするスイッチであって、各自の電流路を、オンしたとき双方向に実質的に導通させ、オフしたとき電流路の所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通させる第1及び第2のスイッチと、それぞれ電流路を備え、各自の電流路が所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通する第1及び第2の整流素子と、コンデンサと、より構成され、前記第1の交流端子に前記第1の整流素子の前記一端と前記第2のスイッチの前記他端とが、前記第2の交流端子に前記第1のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記他端とが、前記第1の直流端子に前記コンデンサの前記一端と前記第1の整流素子の前記他端と前記第1のスイッチの前記他端とが、前記第2の直流端子に前記コンデンサの前記他端と前記第2のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記一端とが、接続される磁気エネルギー回生スイッチと、
第1と第2の交流入力と第1と第2の直流出力とを備え、当該第1と第2の交流入力間から入力された電力を整流して当該第1と第2の交流出力間から出力する整流器と、
外部の直流電源と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第1のインダクタと、
外部の直流負荷と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記整流器の第1の直流出力に接続され、当該直列回路の他端が前記整流器の第2の直流出力に接続される第2のインダクタと、
前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記整流器の前記第1の交流入力とが電気的に接続され、前記整流器の前記第2の交流入力と前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記整流器の前記第1の交流入力との間、または、前記整流器の前記第2の交流入力と前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間に流れる電流によって磁気エネルギーを蓄える第3のインダクタと、
前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチの各電流路をオンさせる制御信号並びにオフさせる制御信号を前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチの各制御端に供給する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチを同時にオン・オフさせる制御、を繰り返す、
ことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る電力変換制御方法は、
第1及び第2の交流端子と、第1及び第2の直流端子と、それぞれ電流路を備え、各自に供給される制御信号に応答して各自の電流路をオン及びオフするスイッチであって、各自の電流路を、オンしたとき双方向に実質的に導通させ、オフしたとき電流路の所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通させる第1及び第2のスイッチと、それぞれ電流路を備え、各自の電流路が所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通する第1及び第2の整流素子と、コンデンサと、より構成され、前記第1の交流端子に前記第1の整流素子の前記一端と前記第2のスイッチの前記他端とが、前記第2の交流端子に前記第1のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記他端とが、前記第1の直流端子に前記コンデンサの前記一端と前記第1の整流素子の前記他端と前記第1のスイッチの前記他端とが、前記第2の直流端子に前記コンデンサの前記他端と前記第2のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記一端とが、接続される第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチと、
外部の直流電源と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第1のインダクタと、
外部の直流負荷と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第2のインダクタと、
前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間、または、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間に流れる電流によって磁気エネルギーを蓄える第3のインダクタと、
からなる電力変換装置を制御する電力変換制御方法であって、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオンさせ前記第2の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせた後に前記第1の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせる制御、を繰り返す、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2つの直流電圧源の相互の結合において、その電源の出力電圧にかかわらず、電力を双方向に変換可能でかつ、簡単な制御でソフトなスイッチングが可能である低損失な電流直列共振DCDC変換装置が実現され、また、そのような電流直列共振DCDC変換装置を実現するための電力変換制御方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るDC/DCコンバータの構成を示す回路図である。
【図2A】図1に示すDC/DCコンバータの従来との違いを説明するための従来技術の回路図である。
【図2B】図1に示すDC/DCコンバータの従来との違いを説明するための従来技術の回路図である。
【図2C】図1に示すDC/DCコンバータの従来との違いを説明するための当該DC/DCコンバータの一部を示す回路図である。
【図3】図2Cに示すMERSをオフにした場合の動作を説明するための図である。
【図4A】図2Cに示すMERSをオンし、当該MERSのコンデンサを放電させ、インダクタに磁気エネルギーを蓄積させる動作を説明するための図である。
【図4B】図2Cに示すMERSをオンした後、当該MERSのコンデンサの放電が完了した場合の動作を説明するための図である。
【図4C】図2Cに示すMERSをオフすることで、インダクタの磁気エネルギーを当該MERSのコンデンサに静電エネルギーとして蓄積させる動作を説明するための図である。
【図4D】図2Cに示すMERSをオフし、インダクタの磁気エネルギーが全てMERSに回収された場合の動作を説明するための図である。
【図5】(a)〜(d)は、図2CのMERSの交流端子に接続されたインダクタに流れる電流の時間変化と、当該MERSのコンデンサの電圧の時間変化と、MERSに接続された直流電源から出力される電力の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1の論理状態の遷移と、の関係を説明するための図である。
【図6】図1に示すDC/DCコンバータの2つのMERSをオフに保持させた場合における、当該DC/DCコンバータの動作を説明するための図である。
【図7A】図1に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのうち、両方のMERSがオンすることで当該両方のMERSのコンデンサを放電させ、この放電された静電エネルギーがインダクタに磁気エネルギーとして蓄積される動作を説明するための図である。
【図7B】図1に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのうち、両方のMERSをオンした後、受電側のMERSのコンデンサの放電が完了した場合の動作を説明するための図である。
【図7C】図1に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのうち、受電側のMERSのみをオフし、インダクタの磁気エネルギーを、受電側のMERSのコンデンサに回収させる動作を説明するための図である。
【図7D】図1に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのうち、受電側のMERSのみをオフした後、送電側のMERSのコンデンサの放電も完了した場合の動作を説明するための図である。
【図7E】図1に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのうち、両方をオフし、インダクタの磁気エネルギーを、当該2つのMERSのコンデンサに回収させる動作を説明するための図である。
【図7F】図1に示すDC/DCコンバータの2つのMERSの両方がオフされ、当該2つのMERSのコンデンサを接続するインダクタの磁気エネルギーが全てMERSのコンデンサに回収された場合の動作を説明するための図である。
【図8A】(a)〜(e)は、図1のDC/DCコンバータにおいて昇圧変換する場合の、2つの直流リアタンス及びインダクタを流れる電流の時間変化と、当該DC/DCコンバータの2つMERSのコンデンサの電圧の時間変化と、送電側の電池から受電側の電池に供給される電力の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1,SGGV2及びSGGX2の論理状態の遷移と、の関係を説明するための図である。
【図8B】(a)〜(c)は、図1のDC/DCコンバータにおいて、受電側と送電側の電圧が略等しい場合の、2つの直流リアタンス及びインダクタを流れる電流の時間変化と、当該DC/DCコンバータの2つMERSのコンデンサの電圧の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1,SGGV2及びSGGX2の論理状態の遷移と、の関係を説明するための図である。
【図8C】(a)〜(c)は、図1のDC/DCコンバータにおいて降圧変換する場合の、2つの直流リアタンス及びインダクタを流れる電流の時間変化と、当該DC/DCコンバータの2つMERSのコンデンサの電圧の時間変化と、送電側の電池から受電側の電池に供給される電力の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1,SGGV2及びSGGX2の論理状態の遷移と、の関係を説明するための図である。
【図8D】(a)〜(c)は、図1のDC/DCコンバータが逆変換可能であることを説明するための図である。
【図9】図1のDC/DCコンバータの変形例の構成を示す図である。
【図10】図1のDC/DCコンバータの変形例の構成を示す図である。
【図11】(a)〜(c)は、図10のDC/DCコンバータにおいて、受電側と送電側の電圧が略等しい場合の、2つの直流リアタンス及びインダクタを流れる電流の時間変化と、当該DC/DCコンバータの2つMERSのコンデンサの電圧の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1,SGGV2及びSGGX2の論理状態の遷移と、の関係を説明するための図である。
【図12】(a)〜(c)は、図1のDC/DCコンバータのスイッチング損失を説明するための図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るDC/DCコンバータの構成を示す回路図である。
【図14A】図13に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのコンデンサに蓄積されていた静電エネルギーが放電され、当該2つのMERSを接続するインダクタに磁気エネルギーが蓄積される動作を説明するための図である。
【図14B】図13に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのうち、受電側のMERSのコンデンサに、インダクタの磁気エネルギーが回収される動作を説明するための図である。
【図14C】図13に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのコンデンサに、インダクタの磁気エネルギーが回収される動作を説明するための図である。
【図14D】図13に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのうち、受電側のMERSのコンデンサに蓄積された静電エネルギーによって、受電側の二次電池が充電され、送電側の二次電池によって、送電側のMERSのコンデンサが充電される動作を説明するための図である。
【図14E】図13に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのコンデンサに蓄積されていた静電エネルギーが放電され、図14Aに示した電流の流れる方向とは逆の方向に電流が流れることで、インダクタに磁気エネルギーが蓄積される動作を説明するための図である。
【図14F】図13に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのうち受電側のMERSのコンデンサに、インダクタの磁気エネルギーが回収される動作を説明するための図である。
【図14G】図13に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのコンデンサに、インダクタの磁気エネルギーが回収される動作を説明するための図である。
【図14H】図13に示すDC/DCコンバータの2つのMERSのうち、受電側のMERSのコンデンサに蓄積された静電エネルギーによって、受電側の二次電池が充電され、送電側の二次電池によって、送電側のMERSのコンデンサが充電される動作を説明するための図である。
【図15】図13のDC/DCコンバータの変形例の構成を示す図である。
【図16】図13のDC/DCコンバータの変形例の構成を示す図である。
【図17】図13のDC/DCコンバータの変形例の構成を示す図である。
【図18】(a)〜(d)は、図17のDC/DCコンバータにおいて、2つの直流リアタンス及びインダクタを流れる電流の時間変化と、当該DC/DCコンバータの2つMERSのコンデンサの電圧の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1,SGGV2及びSGGX2の論理状態の遷移と、の関係を説明するための図である。
【図19】図13のDC/DCコンバータの応用例の構成を示す図である。
【図20A】(a)〜(c)は、図15のDC/DCコンバータにおいて、制御を繰り返す周波数を10kHzに設定した場合の、当該DC/DCコンバータの2つMERSのコンデンサの電圧のそれぞれの時間変化と、インダクタを流れる電流の時間変化と、各スイッチのオン・オフの遷移と、の関係を説明するための図である。
【図20B】(a)〜(c)は、図15のDC/DCコンバータにおいて、制御を繰り返す周波数を20kHzに設定した場合の、当該DC/DCコンバータの2つMERSのコンデンサの電圧のそれぞれの時間変化と、インダクタを流れる電流の時間変化と、各スイッチのオン・オフの遷移と、の関係を説明するための図である。
【図20C】(a)〜(c)は、図15のDC/DCコンバータにおいて、制御を繰り返す周波数を6kHzに設定した場合の、当該DC/DCコンバータの2つMERSのコンデンサの電圧のそれぞれの時間変化と、インダクタを流れる電流の時間変化と、各スイッチのオン・オフの遷移と、の関係を説明するための図である。
【図20D】図15のDC/DCコンバータにおいて、制御を繰り返す周波数を変化させた場合における単位時間あたりの電力変換量の変化を説明するための図である。
【図21】図1のDC/DCコンバータの変形例の構成を示す図である。
【図22】図21のDC/DCコンバータにおいて、2つの直流リアタンス及びインダクタを流れる電流の時間変化と、当該DC/DCコンバータのMERSのコンデンサの電圧の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1の論理状態の遷移と、の関係を説明するための図である。
【図23】(a),(b)は制御部の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るDC/DCコンバータは、ソフトなスイッチ動作を行うMERSを直列に2つ用いて、電流エネルギー及び電界エネルギーのゲートで制御された共振現象を直流直流電力変換に利用するものである。
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、2つの二次電池を相互に充電させるDC/DCコンバータ(直流/直流変換器)を例として、図面を参照しつつ説明する。このDC/DCコンバータは、2つのMERSをインダクタを介して直列接続にした構成を有する。
【0014】
(第1の実施の構成)
本発明の第1の実施の形態に係るDC/DCコンバータ10Aは、図1に示すように、MERS(磁気エネルギー回生スイッチ:Magnetic Energy Recovery Switch)101及び102と、インダクタLdc1及びLdc2と、インダクタLmと、制御部200と、から構成されている。
【0015】
MERS101及び102は、たとえば図1に示すような一方向MERSである。図1のMERS101は、直流端子DC11及びDC21と、交流端子AC11及びAC21と、2個の逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1と、2つのダイオード部DU1及びDY1と、コンデンサCM1と、から構成されている。同様に、MERS102は、直流端子DC12及びDC22と、交流端子AC12及びAC22と、2個の逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2と、2つのダイオード部DU2及びDY2と、コンデンサCM2と、から構成されている。
【0016】
逆導通型半導体スイッチSWV1は、ダイオード部DV1及びスイッチ部SV1から構成されている。同様に、逆導通型半導体スイッチSWX1はダイオード部DX1及びスイッチ部SX1から構成され、逆導通型半導体スイッチSWV2はダイオード部DV2及びスイッチ部SV2から構成され、逆導通型半導体スイッチSWX2はダイオード部DX2及びスイッチ部SX2から構成されている。
【0017】
スイッチ部SV1,SX1,SV2,SX2はいずれも、たとえばMOSFET(Metal-Oxide-Silicon Field Effect Transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、ゲートターンオフサイリスタ(GTO:Gate Turn-Off thyristor)あるいはその他の半導体スイッチング素子からなり、それぞれ電流路と制御端とを備えている。そして、各自の制御端に後述のオン信号が供給されると電流路を導通させ、オフ信号が供給されると電流路を遮断する。
【0018】
ダイオード部DU1,DV1,DX1,DY1,DU2,DV2,DX2,DY2はいずれも、たとえば半導体ダイオード等の整流素子からなり、電流を一方向にのみ導通させる電流路を備える。ダイオード部DV1,DX1,DV2,DX2はたとえば、スイッチ部を構成する半導体スイッチの寄生ダイオードであってもよい。
【0019】
以下では、各ダイオード部はいずれも半導体ダイオードからなり、各スイッチ部はいずれもnチャネルMOSFETからなるものとして説明する。この場合、このMOSFETのドレイン−ソース間がスイッチ部の電流路をなし、ゲートが制御端をなすものである。
【0020】
それぞれの逆導通型半導体スイッチにつき、ダイオード部のアノードはスイッチ部のソースに接続されており、ダイオード部のカソードはスイッチ部のドレインに接続されており、スイッチ部の電流路とダイオード部の電流路とが、合わせて逆導通型半導体スイッチの電流路をなす。
このような接続関係をとる結果、各逆導通型半導体スイッチはいずれも、スイッチ部のドレインからソースに向かう方向(順方向)に流れる電流を、当該スイッチ部のゲートに印加される信号の値に応じてオン/オフする。一方、当該スイッチ部のソースからドレインに向かう方向(逆方向)の電流については、ダイオード部がこの電流のバイパスを確保する結果、常にオン状態を保つ。
【0021】
MERS101の交流端子AC11には、ダイオード部DU1のアノードとダイオード部DX1のカソードとが接続されている。交流端子AC21には、ダイオード部DV1のアノードと、ダイオード部DY1のカソードと、インダクタLmの一端と、が接続されている。
【0022】
MERS101の直流端子DC11には、ダイオード部DU1及びDV1の各カソードと、コンデンサCM1の一端と、インダクタLdc1の一端と、が接続されている。インダクタLdc1の他端は、DC/DCコンバータ10Aの第1の直流正極端子DC+1を形成する。直流端子DC21には、ダイオード部DX1及びDY1の各アノードと、コンデンサCM1の他端と、が接続され、DC/DCコンバータ10Aの第1の直流負極端子DC−1をなしている。
【0023】
直流正極端子DC+1には、二次電池である外部の二次電池E1の正極が接続され、直流負極端子DC−1には、二次電池E2の負極が接続される。なお、このように接続される結果、二次電池E1とインダクタLdc1とが直列回路を形成することになる。これにより、インダクタLdc1は、二次電池E1の出力する電力を安定してMERS101に供給する。
インダクタLdc1は例えば直流リアクトルである。
【0024】
MERS102の交流端子AC12には、ダイオード部DU2のアノードと、ダイオード部DX2のカソードと、インダクタLmの他端と、が接続されている。交流端子AC22には、ダイオード部DV2のアノードと、ダイオード部DY2のカソードと、MERS101の交流端子AC11と、が接続されている。なお、本実施形態においては、交流端子AC22は、MERS101の交流端子AC11とともに共通の接地線に接続されている。
【0025】
MERS102の直流端子DC12は、ダイオード部DU2及びDV2の各カソードと、コンデンサCM2の一端と、インダクタLdc2の一端と、が接続されている。インダクタLdc2の他端は、DC/DCコンバータ10Aの第2の直流正極端子DC+2をなしている。直流端子DC22は、ダイオード部DX2及びDY2の各アノードと、コンデンサCM2の他端と、が接続され、DC/DCコンバータ10Aの第2の直流負極端子DC−2をなしている。
【0026】
直流正極端子DC+2には、2次電池である外部の二次電池E2の正極が接続され、直流負極端子DC−2には、二次電池E2の負極が接続される。このような接続されることによって、二次電池E2とインダクタLdc2とが直列回路を形成することになり、インダクタLdc2は二次電池E2の出力する電力を安定してMERS102に供給する。
インダクタLdc2は例えば直流リアクトルである。
【0027】
スイッチ部SV1,SX1,SV2及びSX2の各ゲート(順に、GV1,GX1,GV2及びGX2)は、MERS101及びMERS2の制御端をなすもので、いずれも制御部200に接続されている。
【0028】
制御部200は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置とを備えたコンピュータから構成されている。
制御部200、たとえば自己の記憶装置が予め記憶するプログラムを自己のプロセッサが読み出して実行することにより、後述する処理、たとえば、後述するサイクルを繰り返すことにより、ゲートGV1,GX1,GV2,GX2に、それぞれ、ゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2,SGGX2を供給する処理を行う。
【0029】
それぞれのゲート信号は、当該ゲート信号の供給先であるゲートを備える半導体スイッチのオン又はオフを指示する信号である。たとえば、オンを指示するときの当該ゲート信号(オン信号)は、当該半導体スイッチをオンさせるに足る電圧(ハイレベル電圧)をとり、オフを指示するときの当該ゲート信号(オフ信号)は、当該半導体スイッチをオフさせるに足る電圧(ローレベル電圧)をとる。
【0030】
制御部200の記憶装置は、制御部200がMERS101に後述のサイクルを実行させる際にゲート信号SGGV1及びSGGX1がオンを保持するべき時間d1と、MERS102に後述のサイクルを実行させる際にゲート信号SGGV2及びSGGX2がオンを保持するべき時間であって時間d1より短い時間d2と、ゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2,SGGX2の後述のサイクルを繰り返す周波数f1とを予め記憶する。
【0031】
制御部200は、動作開始前においては、全てのゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2,SGGX2をオフ信号として出力し、例えば、ユーザの指示に応答して、予め記憶している時間d1,d2並びに周波数f1に基づいて、次のサイクルC1を繰り返す。
制御部200は、サイクルC1において、全てのゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2,SGGX2をオフ信号からオン信号に同時に切り替える。そして、オン信号に切り替えてから時間d2後に、まず、ゲート信号SGGV2,SGGX2をオン信号からオフ信号に切り替え、更に時間(d1−d2)経過後に、ゲート信号SGGV1,SGGX1をオン信号からオフ信号に切り替える。
制御部200は、このサイクルC1を周波数f1で繰り返す。
【0032】
なお、本実施形態では、二次電池E1の出力電圧は300V,二次電池E2の出力電圧は500Vであり、インダクタLdc1及びLdc2のインダクタンスはともに1ミリHであり、コンデンサCM1及びCM2のキャパシタンスはともに5マイクロFであり、インダクタLmのインダクタンスは0.2ミリHであり、時間d1は60マイクロ秒、時間d2は30マイクロ秒、周波数f1は7キロHzである。
時間d1及びd2並びに周波数f1は、インダクタLmに電流が流れていない時にスイッチがオンされるように、コンデンサCM1の電圧がほぼ0の時にMERS101のスイッチがオフされるように、コンデンサCM2の電圧がほぼ0の時にMERS102のスイッチがオフされるように、予め調整されている。
なお、コンデンサCM1とインダクタLdc1との共振周波数と、コンデンサCM2とインダクタLdc2との共振周波数とは、周波数f1の半分いかになるように、コンデンサCM1及びCM2並びにインダクタLdc1及びLdc2を選択することが好ましい。
【0033】
(従来技術との構成の差異)
フライバックブースト回路にトランス結合した回路が従来からある、また、そのスイッチをソフト化するためにスナバロスレススイッチ回路(Cブリッジと呼ばれることもある回路)を使用するものも知られている。
図2Aに従来のハードスイッチのフライバックブーストを、図2BにハードスイッチをMERSでソフト化した場合、図2CにMERSの直流端子間に直流電源とインダクタンスの直列回路を接続し、交流端子間に他のインダクタンスを接続した回路(本発明の回路の一部でもある)を示す。
【0034】
図2Aに示した回路では,低圧側の二次電池E1からスイッチを介してインダクタンスに電流を流し、そのスイッチをオフすることでインダクタに高圧を発生させ、ダイオードを介して高圧側の二次電池E2に非可逆に電力を供給するのが基本原理である。
図2Aのブースト回路のスイッチを、図2Bに示すようにMERSに置き換えると、ソフトスイッチングすることができる。
【0035】
一方本発明に係るDC/DCコンバータでは、次の二つの動作を交互に繰り返すことが基本原理になっている。
一つ目の動作では、MERSをオンすることで、MERSのコンデンサに一度蓄積された静電エネルギーをインダクタに放電する。これによって、インダクタに電流が流れ、磁気エネルギーが蓄積される。
二つ目の動作では、MERSをオフすることで、インダクタに流れる電流をMERSのコンデンサで遮断する。これによって、インダクタの磁気エネルギーは、コンデンサに回収される。
【0036】
(本発明の基本的な動作の説明)
本発明の理解を容易にするために、まず、本発明の一部、すなわち、図2Cに示した電流一方向のMERSについて説明する。
【0037】
図2Cに示した回路は、図1のDC/DCコンバータの、MERS102,インダクタLdc2以外の部分である。この回路は、DC/DCコンバータ10AのMERS102の交流端子AC12−AC22を短絡したものと実質的に同一である。
【0038】
(電流一方向のMERSの動作)
次に、図3,図4A〜図4D及び図5を参照して、MERS101の動作を説明する。
【0039】
MERS101がオフの状態で二次電源E1が接続されると、図3に示すように、二次電池E1,インダクタLdc1及びコンデンサCM1は直列回路を形成する。これにより、コンデンサCM1は電力を蓄積する。
制御部200が動作を開始し、MERS101のオン・オフを切り替えることにより、以下の動作を繰り返す。
【0040】
以下、コンデンサCM1に静電エネルギーが蓄積されており、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1がともにオンである状態(すなわち後述の図4Dの状態)が初期状態であるとして説明する。
この初期状態から、制御部200は、以下に述べるパターンでゲート信号SGGV1及びSGGX1を供給することで、MERS101は、後述するT1〜T5までを1サイクルとして、以下[1]〜[4]で述べる動作を繰り返す。
【0041】
[1] 初期状態からまず時刻T1において、制御部200は、図5(d)に示すように、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオフ信号からオン信号に切り替える。これにより、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1はオフからオンに切り替わる。
すると、コンデンサCM1は放電を開始し、図4Aに示すように、コンデンサCM1の正極から、オンの逆導通型半導体スイッチSWV1、インダクタンスLm、逆導通型半導体スイッチSWX1を介して、コンデンサCM1の負極へと流れ込む電流が生じる。
このようにコンデンサCM1が放電することによりコンデンサCM1の電圧Vcm1は図5(b)に示すように減少する。一方、コンデンサCM1に蓄積されていた静電エネルギーが放電されることによって、図5(a)に示すようにインダクタLmに流れる電流ILmが増幅し、インダクタLmに磁気エネルギーが蓄積されていく。
【0042】
[2] コンデンサCM1の放電が完了する時刻T2に至ると、図4Bに示すように、2つの経路で電流が流れる。
第1の経路は、交流端子AC11から、ダイオード部DU1とオンしている逆導通型半導体スイッチSWV1の電流路を順に通るルートである。
第2の経路は、オンしている逆導通型半導体スイッチSWX1の電流路とダイオード部DY1を順に通るルートである。
すなわち、コンデンサCM1に蓄積されていた静電エネルギーは全て、インダクタLmに磁気エネルギーとして蓄積されていることになる。
この回路形態においては、電力は消費されないため、図4Bに示す経路で電流が流れている間は、図5(a)に示すように電流ILmはほぼ変化せず、図5(b)に示すように、電圧Vcm1もほぼ変化しない。
【0043】
[3] 上述したように、制御部200は、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオフ信号からオン信号に切り替えてから時間d1後の時刻T3において、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオン信号からオフ信号に切り替える。これにより、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1はオンからオフに切り替わる。
すると、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1を流れていた各電流は遮断され、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーによって、図4Cに示すように、インダクタLmから、ダイオード部DU1を介しコンデンサCM1の正極に流入する電流が生じ、コンデンサCM1の負極からは、ダイオード部DY1を経て交流端子AC21へと電流が流れる。これによりコンデンサCM1は、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーを電荷の形で静電エネルギーとして蓄積するため、図5(b)に示すように電圧Vcm1が上昇する。一方、磁気エネルギーが電荷の形で静電エネルギーとしてコンデンサCM1に回収されるため、図5(a)に示すように、電流ILmは減少する。
【0044】
[4] その後、インダクタLmに蓄積されていた磁気エネルギーが尽きる時T4に至ると、図4Dに示すように、交流端子AC11から交流端子AC21へ流れる電流は消滅する。
この間、コンデンサCM1は二次電池E1とインダクタLdc1と直列回路を形成するが、定常状態においては、図5(b)に示すように、電圧Vcm1はほとんど変化しない。
【0045】
そして、次のサイクルにおける時刻T1に相当する時刻T5(この時刻T5は、上記周波数f1によって決定される)に至ると、再び、上述の[1]〜[4]に示した動作を繰り返す。
【0046】
このように、[1]〜[5]として説明した動作が繰り返される結果、インダクタLmとコンデンサCM1とは、図5(a),(b)に示すように、静電エネルギーと磁気エネルギーとを相互に変換させる。すなわち、制御部200が逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1をオンからオフに切り替えることによってインダクタLmに蓄積されていた磁気エネルギーをコンデンサCM1に電荷の形で静電エネルギーとして回収させ、制御部200が逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1をオフからオンに切り替えることによって、コンデンサCM1に回収されたエネルギーを再びインダクタLmに戻す、という効果を実現させる。
【0047】
また、コンデンサCM1とインダクタLmとの共振現象を利用しているため、コンデンサCM1の電圧Vcm1は、二次電池E1の出力電圧300Vよりも高い電圧をピークに持つことが可能である。
この例では電圧Vcm1のピークは、図5(b)に示すように、400Vを超える。
また、この例では、インダクタLmを含め電力を消費するものがないため、定常状態では、図5(c)に示すように、二次電池E1から出力される電力Pは略0Wとなる。なお、ここで、電力Pは、1ミリ秒間の平均電力を示す。
【0048】
なお、図5(a)(d)に示すように、ゲート信号SGGV1及びSGGX1がオフ信号からオン信号に切り替わる時刻T1には、インダクタLmには電流が流れていない。このため、時刻T5でゲート信号の切り替えがあった直後の時点には、電流が流れていない状態を維持しようとする向きの逆起電力がインダクタLmに生じる。従って、この時点では、インダクタLmから逆導通型半導体スイッチSWX1の電流路(順方向)、コンデンサCM、逆導通型半導体スイッチSWV1の電流路(順方向)を順に至る電流路は、インダクタLmによって遮断された状態にあるということができる。よって、時刻T5における逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1のオフからオンへのスイッチングは、半導体スイッチSX1及びSV1のスイッチングによる状態遷移中にこれらの電流路に流れる電流が略0である状態で行われることになり、このスイッチングはソフトスイッチングになっている。
【0049】
また、図5(b)及び(d)に示すように、ゲート信号SGGV1及びSGGX1がオン信号からオフ信号に切り替わる時刻T3の直後では、コンデンサCM1はほぼ完全に放電された状態にある。このため、逆導通型半導体スイッチSWV1の電流路は、ダイオード部DY1を介してコンデンサCM1により短絡された状態にあるということができ、また、逆導通型半導体スイッチSWX1の電流路は、ダイオード部DU1を介してコンデンサCM1により短絡された状態にあるということができる。よって、時刻T3における逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1のオンからオフへのスイッチングは、これらの電流路の両端間の電圧が略0である状態でのスイッチングとなり、スイッチングによる半導体スイッチの状態遷移中に生じるスイッチング損失が少ないスイッチング、すなわちソフトスイッチングになっている。
【0050】
(第1の実施の形態:DC/DCコンバータの動作)
上述のように、制御部200がMERS101に対して、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1をオンからオフに切り替えることによってインダクタLmに蓄積されていた磁気エネルギーをコンデンサCM1に電荷の形で静電エネルギーとして回収させ、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1をオフからオンに切り替えることによって、コンデンサCM1が回収したエネルギーを再びインダクタLmに戻す。
【0051】
一方、DC/DCコンバータ10Aにおいては、制御部200は、MERS102に対しても、逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2をオンからオフに切り替える。これによりインダクタLmに蓄積されていた磁気エネルギーをコンデンサCM2に電荷の形で静電エネルギーとして回収させる。
また、制御部200は、逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2をオフからオンに切り替えることによって、コンデンサCM2が回収したエネルギーを再びインダクタLmに戻す。
【0052】
このように、制御部200は、コンデンサCM1及びCM2に蓄積されていた静電エネルギーを放電させてインダクタLmに磁気エネルギーとし、インダクタLmに蓄積されていた磁気エネルギーを、コンデンサCM1あるいはコンデンサCM2に静電エネルギーとして蓄積させるように、MERS101及び102を制御する。
【0053】
ただし、本実施形態のDC/DCコンバータ10Aでは、制御部200は、MERS101及び102のうち、MERS102の逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2を先にオフさせる。そのため、インダクタLmに蓄積されていた磁気エネルギーの全てあるいは大部分をコンデンサCM2に充電させる。コンデンサCM2に充電された電力によって、二次電池E2は充電される。
【0054】
二次電池E2の充電に用いられるインダクタLmの磁気エネルギーは、インダクタLdc1を介して二次電池E1から、インダクタLdc2を介して二次電池E2から供給されたものである。しかし、二次電池E2から供給される電力は二次電池E2に戻るので、実質的には、二次電池E1が、二次電池E2を充電することになる。
なお、この例では、コンデンサCM1とインダクタLdc1との共振周波数と、コンデンサCM2とインダクタLdc2との共振周波数とは、周波数f1の半分いかになるため、二次電池E2からDC/DCコンバータ10Aに電力は供給されない。
【0055】
(第1の実施の形態:DC/DCコンバータの具体的な動作)
以下、本実施形態のDC/DCコンバータ10Aの具体的な動作について、図6,図7A〜7F及び図8A〜Dを参照して説明する。なお、図8Aにおいて、電流ILdc1は二次電池E1の正極からMERS101の直流端子DC11方向に流れる電流を示し、電流ILdc2はMERS102の直流端子DC12から二次電池E2の正極方向に流れる電流を示す。
【0056】
制御部200から出力されるゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2及びSGGX2が全てオフ信号の場合、図6に示すように、逆導通型半導体スイッチSWV1,SWX1,SWV2及びSWX2は全てオフであり、コンデンサCM1はインダクタLdc1を介して二次電池E1から、コンデンサCM2はインダクタLdc2を介して二次電池E2から、電力を供給される。
【0057】
以下、コンデンサCM1及びCM2に静電エネルギーが蓄積されており、逆導通型半導体スイッチSWV1,SWX1,SWV2及びSWX2がともにオンである状態(すなわち後述の図7Fの状態)が初期状態であるとして説明する。
この初期状態から、制御部200は、以下に述べるパターンでゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2及びSGGX2を供給することで、MERS101は、後述するTa1〜Ta7までを1サイクルとして所定の周波数f1で、以下[フェイズPA1]〜[フェイズPA6]で述べる動作を周期的に行わせる。
【0058】
[フェイズPA1]
制御部200は、時刻Ta1において、ゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2及びSGGX2をオフ信号からオン信号に切替える。これにより、逆導通型半導体スイッチSWV1,SWX1,SWV2及びSWX2はオフからオンに切り替わる。
すると、コンデンサCM1及びCM2は放電を開始し、図7Aに示すように、コンデンサCM1の正極から、オンの逆導通型半導体スイッチSWV1、インダクタンスLm、逆導通型半導体スイッチSWX2を介して、コンデンサCM2の負極へと流れ込む電流と、コンデンサCM2の正極から、オンの逆導通型半導体スイッチSWV2、逆導通型半導体スイッチSWX1を介して、コンデンサCM1の負極へと流れ込む電流と、が生じる。
このようにコンデンサCM1及びCM2が放電することによりコンデンサCM1及びCM2の電圧Vcm1は図8A(b)に示すように減少する。一方、コンデンサCM1及びCM2に蓄積されていた静電エネルギーは放電されることによって、図8A(a)に示すようにインダクタLmに流れる電流ILmが増幅し、インダクタLmに磁気エネルギーが蓄積されていく。
【0059】
[フェイズPA2]
本実施形態においては、コンデンサCM2の放電がコンデンサCM1よりも先に放電を完了する。コンデンサCM2の放電が完了する時刻Ta2に至ると、図7Bに示すように、電流が、MERS102の交流端子AC12から、ダイオード部DU2とオンしている逆導通型半導体スイッチSWV2の電流路を順に通るルートと、オンしている逆導通型半導体スイッチSWX2の電流路とダイオード部DY2を順に通るルートと、の2つに分岐して交流端子AC22へ流れる。
すなわち、コンデンサCM2に蓄積されていた静電エネルギーは全て、インダクタLmに磁気エネルギーとして蓄積されることになる。なお、コンデンサCM1は、この時点では放電を完了していない。
【0060】
[フェイズPA3]
上述したように、制御部200は、時刻Ta1から時間d2後の時刻Ta3において、ゲート信号SGGV2及びSGGX2をオン信号からオフ信号に切り替える。これにより、逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2はオンからオフに切り替わる。本実施形態においては、時刻Ta2の直後に時刻Ta3に至る。
すると、逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2を流れていた各電流は遮断され、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーによって、図7Cに示すように、インダクタLmから、ダイオード部DU2を介しコンデンサCM2の正極に流入する電流が生じ、コンデンサCM2の負極からは、ダイオード部DY2を経て交流端子AC22へと電流が流れる。これによりコンデンサCM2は、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーを電荷の形で静電エネルギーとして蓄積するため、図8A(b)に示すように電圧Vcm2が上昇する。一方、磁気エネルギーが電荷の形で静電エネルギーとしてコンデンサCM2に蓄積されるため、図8A(a)に示すように、電流ILmは減少する。また、コンデンサCM1は放電を継続するため、図8A(b)に示すように、電圧Vcm1は減少する。
【0061】
[フェイズPA4]
その後、コンデンサCM1の放電が完了する時刻Ta4に至ると、図7Dに示すように、電流が、MERS101の交流端子AC11から、ダイオード部DU1とオンしている逆導通型半導体スイッチSWV1の電流路を順に通るルートと、オンしている逆導通型半導体スイッチSWX1の電流路とダイオード部DY1を順に通るルートと、の2つに分岐して交流端子AC21へ流れる。
すなわち、コンデンサCM1に蓄積されていた静電エネルギーも、全て、インダクタLmに磁気エネルギーとして蓄積されることになる。
【0062】
[フェイズPA5]
制御部200は、時刻Ta3から時間(d1−d2)後(時刻Ta1から時間d1後)の時刻Ta5において、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオン信号からオフ信号に切り替える。これにより、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1はオンからオフに切り替わる。なお、本実施形態においては、時刻Ta5は、インダクタLmには電流が流れている(磁気エネルギーが残っている)状態である。
すると、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1を流れていた各電流は遮断され、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーによって、図7Eに示すように、インダクタLmから、ダイオード部DU1を介しコンデンサCM1の正極に流入する電流が生じ、コンデンサCM1の負極からは、ダイオード部DY1を経て交流端子AC21へと電流が流れる。一方、MERS102では、上記フェイズP5で示した経路で電流が流れる。
そのため、コンデンサCM1及びCM2が、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーを電荷の形で静電エネルギーとして蓄積し、図8A(b)に示すように電圧Vcm1及びVcm2が上昇する。一方、磁気エネルギーが電荷の形で静電エネルギーとしてコンデンサCM1及びCM2に蓄積されるため、図8A(a)に示すように、電流ILmは減少する。
【0063】
[フェイズPA6]
その後、インダクタLmに蓄積されていた磁気エネルギーが尽きる時刻Ta6に至ると、図7Fに示すように、インダクタLmを流れる電流は消滅する。
【0064】
そして、次のサイクルにおける時刻Ta1に相当する時刻Ta7(前サイクルの時刻Ta1から時間1/f1後)に至ると、再び、上述のフェイズPA1からPA6に示した動作を繰り返す。
この動作を繰り返されている間、図8A(a)に示すように、二次電池E1からは常に電力がMERS101に供給され(電流ILdc1が正)、二次電池E2には常に電力がMERS102から供給されている(電流ILdc2が正)。
【0065】
このように、一度コンデンサCM1及びCM2に静電エネルギーとして蓄積される。この静電エネルギーが放電されることでインダクタLmに磁気エネルギーが蓄積される。この磁気エネルギーの大部分を、コンデンサCM2が回収するため、コンデンサCM2は、二次電池E1の電圧から昇圧され、この例では、図8A(b)に示すように、二次電池E2の出力電圧をより高くなる。よって、コンデンサCM2は、二次電池E2を充電する。なお、この例では、二次電池E2に供給される電力は、図8A(a)に示すように、二次電池E1から常時供給されている。
【0066】
なお、この例では、二次電池E1から二次電池E2への変換電力は6300W である。なお、スイッチング制御の周波数f1を5キロHzに変更すると変換電力は3600Wに,10キロHzに変更すると変換電力は11700Wである。
【0067】
(第1の実施形態の他の使用例1)
上記二次電池E2を500Vから300Vの二次電池を変更した場合のインダクタLmを流れる電流ILmの時間変化と、コンデンサCM1,CM2の電圧Vcm1,Vcm2の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1並びにゲート信号SGGV2及びSGGX2の時間遷移と、の関係は図8Bのようになる。
この例では、二次電池E1から二次電池E2への変換電力は5600W である。
【0068】
(第1の実施形態の他の使用例2)
上記二次電池E2から200Vの電池を変更した場合のインダクタLmを流れる電流ILmの時間変化と、コンデンサCM1,CM2の電圧Vcm1,Vcm2の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1並びにゲート信号SGGV2及びSGGX2の時間遷移と、の関係は図8Cのようになる。
【0069】
この例では、二次電池E1から二次電池E2への変換電力は4800W である。なお、スイッチング制御の繰返周波数f1を5キロHzに変更すると変換電力は3200Wに,10キロHzに変更すると変換電力は7700Wである。
この使用例では、降圧変換されている。
【0070】
(第1の実施形態の構成の変形例1)
なお、上記実施形態では、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオン信号に保持する時間が、ゲート信号SGGV2及びSGGX2をオン信号に保持する時間よりも長い場合について説明したが、短くてもよい。
例えば、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオン信号に保持する時間を時間d2に、ゲート信号SGGV2及びSGGX2をオン信号に保持する時間を時間d1に設定してもよい。この場合の、インダクタLmを流れる電流ILmの時間変化と、コンデンサCM1,CM2の電圧Vcm1,Vcm2の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1並びにゲート信号SGGV2及びSGGX2の時間遷移と、の関係は図8Dのようになる。
【0071】
この場合は、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1が先にオフするため、二次電池E2から二次電池E1へ電力が供給されることになる。この例では、二次電池E2から二次電池E1への変換電力は12900Wである。
【0072】
このように、本発明の第1の実施形態に係るDC/DCコンバータ10Aによれば、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオン信号に保持する時間を、ゲート信号SGGV2及びSGGX2をオン信号に保持する時間より短くすることによって、二次電池E2から二次電池E1に電力を供給することができる(逆変換可能である)。
すなわち、本発明の第1の実施形態に係るDC/DCコンバータ10Aによれば、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオン信号に保持する時間、及び、ゲート信号SGGV2及びSGGX2をオン信号に保持する時間、を適切に選択することによって、二次電池E1と二次電池E2との間で相互に電力を充電させることができる。
【0073】
(第1実施形態の構成の変形例2)
第1の実施形態では、MERS101の交流端子AC11とMERS102の交流端子AC22とが、接地ラインに接続されていた。しかし、二次電池E1の負極と二次電池E2の負極とを、あるいは二次電池E1の正極と二次電池E2の正極とが、接地ラインに接続されていてもよい。ただし、二次電池E1と、二次電池E2と、が違う出力電圧である場合、共通の接地ラインを介して電流が漏れてしまう可能性がある。
【0074】
そこで、図9に示すDC/DCコンバータ10Bように、DC/DCコンバータ10AのインダクタLmを、MERS101の交流端子AC21とMERS102の交流端子AC12との間に接続されたインダクタLm1と、MERS102の交流端子AC22とMERS101の交流端子AC11との間に接続されたインダクタLm2と、に分割する。インダクタLm1及びLm2とは同一のインダクタンスを持つことが好ましい。これによって、二次電池E1及びE2を接地させたとしても漏れ電流を低減することができる。
【0075】
インダクタLdc1,Ldc2を二次電池E1,E2を中心に対称に配置してもよい。インダクタLdc1を、二次電池E1の一端とMERS101の直流端子DC11との間に接続されたインダクタLdc11と、二次電池E1の他端とMERS101の直流端子DC21との間に接続されたインダクタLdc21とに、分割する。インダクタLdc2を、二次電池E2の一端とMERS102の直流端子DC12との間に接続されたインダクタLdc12と、二次電池E2の他端とMERS102の直流端子DC22との間に接続されたインダクタLdc22とに、分割する。インダクタLdc11及びLdc21とは同じインダクタンス、インダクタLdc12及びLdc22とは同じインダクタンス、であることが好ましい。これによっても漏れ電流を低減することができる。
【0076】
例えば、二次電池E1を300Vに、二次電池E2を500Vに、ゲート信号GGV1及びSGGX1を60マイクロ秒に、ゲート信号SGGV2及びSVVX2を30マイクロ秒に、スイッチング制御の繰り返し周波数f1を7キロHzにした場合、二次電池E1から二次電池E2への変換電力はおよそ5900Wである。
【0077】
(第1の実施形態における構成の変形例3)
インダクタLmは、2巻き線トランスの漏れインダクタンスを利用してもよい。すなわち、図10に示すDC/DCコンバータ10Cのように、例えば、DC/DCコンバータ10BのインダクタLmを高周波トランスRFTに置き換えてもよい。
高周波トランスRFTは一次コイルL1と二次コイルと、漏れインダクタンスLM1及びLM2と、から構成されている。
【0078】
一次コイルL1と二次コイルとは電磁的に接続される。
漏れインダクタンスLM1及びLM2は、一次コイルL1と二次コイルL2との結合における漏れインダクタンスである。なお、図中の一次コイルL1、二次コイルL2、及び漏れインダクタンスLM1及びLM2はトランス結合の簡単なモデルである。
【0079】
漏れインダクタンスLM1は、一端が一次コイルL1の一端に、他端がMERS101の交流端子AC21に接続されている。漏れインダクタンスLM2は、一端が二次コイルL2の一端に、他端がMERS102の交流端子AC21に接続されている。
一次コイルL1の他端はMERS101の交流端子AC11に、接続されている。二次コイルL2の他端はMERS102の交流端子AC22に接続されている。
ただし、実際には、漏れインダクタンスLM1及びLM2が存在するわけでは無く,1次コイルL1の一端が交流端子AC21に、二次コイルL2の一端が交流端子AC12に接続されている。
【0080】
このようにトランスを介してMERS101とMERS102とを絶縁接続することも可能である。
【0081】
なお、漏れインダクタンスLM1及び漏れインダクタンスLM2に更に、インダクタを接続してもよい。
【0082】
上記DC/DCコンバータ10Cにおいて、漏れインダクタンスが0.2ミリHの高周波トランスRFT、二次電池E1及びE2として出力300Vの二次電池を選択した場合の、第1のコイルLM1を流れる電流Ilinkの時間変化と、コンデンサCM1,CM2の電圧Vcm1,Vcm2の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1並びにゲート信号SGGV2及びSGGX2の時間遷移と、の関係は図11のようになる。
この場合、実質的に構成が同一である上記図8Bの波形と酷似する。
【0083】
例えば、二次電池E1が300Vで二次電池E2が300Vで、ゲート信号GGV1及びSGGX1を60マイクロ秒に、ゲート信号SGGV2及びSVVX2を30マイクロ秒に、スイッチング制御の繰り返し周波数f1を7キロHzに設定した場合、二次電池E1から二次電池E2への変換電力はおよそ5600Wである。
【0084】
なお、受電側の電圧が大きくなるとコンデンサCM2のエネルギーが大きくなるため、インダクタンスの電流も増える。そのため、さらに出力が大きくなる特徴がある。
なお、二次電池E2が500Vに変更した場合、二次電池E1から二次電池E2への変換電力は6300Wになる。
【0085】
(第1の実施形態におけるスイッチング損失)
また、上述したように、上記第1の実施形態並びにその変形例において、ソフトスイッチングが実現されている。
例えば、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオンに保持する時間が60マイクロ秒で、ゲート信号SGGV2及びSGGX2をオンに保持する時間が30マイクロ秒で、繰り返しは7キロHz、300Vの二次電池E1から500Vの二次電池E2へ昇圧変換する場合の半導体スイッチの電流と電圧を図12に示す。上から逆導通型半導体スイッチSV1の電流Isv1及び電圧Vsv1の時間変化、逆導通型半導体スイッチSV2の電流Isv2及び電圧Vsv2の時間変化、ゲート信号SGGV1及びSGGX1並びにゲート信号SGGV2及びSGGX2の時間遷移を示す。
【0086】
上述したように、ゲート信号SGGV1及びSGGX1がオフからオンに切り替わる時、電流Isv1はほぼ流れておらず、オンからオフに切り替わる時、電圧Vsv1はほぼ0ボルトである。同様に、上述したように、ゲート信号SGGV2及びSGGX2がオフからオンに切り替わる時、電流Isv2はほぼ流れておらず、オンからオフに切り替わる時、電圧Vsv2はほぼ0Vである。
【0087】
このように、ゲート信号が切り替わる時、すなわち、逆導通型半導体スイッチのオン・オフが切り替わる時、ゼロ電流あるいはゼロ電圧になっているため、ソフトスイッチングが実現され、スイッチング損失がほとんど無い。
なお、時刻Ta1から時刻Ta2の期間は(上記フェイズPA1の期間は)、コンデンサCM1及びCM2とインダクタLmとが共振している。そのため、その共振周波数が高ければ高いほど、上述の時刻Ta1から時刻Ta2の時間は短くなる。
同様に、上記各フェイズでは、コンデンサCM1及び/またはCM2とインダクタLmとが共振している。そのため、これらの共振周波数が高ければ高いほど、各周期は短くなり、単位時間あたりの電力の変換回数が増える。よって、時間d1,d2を短く設定でき、制御の繰り返し周波数f1を高く設定できる。
【0088】
以上、本発明の第1の実施の形態を説明したが、DC/DCコンバータ10A乃至10Cの構成は上述のものに限られない。たとえば、MERS101及び102はいずれも、必ずしもソフトスイッチングを行わなくてもよい。電力の損失は大きくなるが、二次電池E1からDC/DCコンバータ10Aを介して二次電池E2を充電することができる。
【0089】
以上のように本発明に係る第1の実施の形態のDC/DCコンバータ10A乃至10Cによれば、2つのMERS101,102を同時にオンし、受電側を先にオフするという簡単な制御で、電源の出力電圧にかかわらず、双方向に直流電力を供給可能である。
また、インダクタLmに実質的に電流が流れていないときにオン、コンデンサCM2に電圧が実質的にないときにMERS102のスイッチをオフ、コンデンサCM1に電圧が実質的にないときにMERS101のスイッチをオフ、することによってソフトスイッチングが可能である。
【0090】
(第2の実施の形態)
以上説明した第1の実施の形態では、MERS101及び102は片方向MERSであった。しかし、MERS101及び102は、フルブリッジ型MERSであってもよい。また、第1の実施の形態では、電流の向きが片方向用のMERSを使用していたため、インダクタLmに流れる電力も一方向であった。しかし、フルブリッジ型MERSを使用すれば、インダクタLmに双方向の電流を供給することができる。以下では、そのような構成を有する、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0091】
第2の実施の形態に係るDC/DCコンバータ10Dは、図13に示すように、第1の実施の形態のDC/DCコンバータ10AとMERS101をフルブリッジ型のMERS103に、MERS102をフルブリッジ型のMERS104に変更したものである。また、制御部200は上述のサイクルC1と後述のC2とを交互に繰り返すことで各ゲート信号のオン信号・オフ信号を切替える。
他の構成は、第1の実施の形態のDC/DCコンバータ10Aと実質的に同一である。
【0092】
MERS103は、MERS101のダイオード部DU1に並列にスイッチ部SU1が、ダイオード部DY1に並列にスイッチ部SY1が、接続されているものである。MERS103の他の構成は、MERS101と実質的に同一である。
MERS104は、MERS102のダイオード部DU2に並列にスイッチ部SU2が、ダイオード部DY2に並列にスイッチ部SY2が、接続されているものである。MERS104の他の構成は、MERS102と実質的に同一である。
【0093】
スイッチ部SU1,SY1,SU2,SY2はいずれも、たとえばMOSFET(Metal-Oxide-Silicon Field Effect Transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、ゲートターンオフサイリスタ(GTO:Gate Turn-Off thyristor)あるいはその他の半導体スイッチング素子からなり、それぞれ電流路と制御端とを備えている。そして、各自の制御端に後述のオン信号が供給されると電流路を導通させ、オフ信号が供給されると電流路を遮断する。
【0094】
ダイオード部DU1,DY1,DU2,DY2はたとえば、スイッチ部を構成する半導体スイッチの寄生ダイオードであってもよい。
【0095】
以下では、各ダイオード部はいずれも半導体ダイオードからなり、各スイッチ部はいずれもnチャネルMOSFETからなるものとして説明する。この場合、このMOSFETのドレイン−ソース間がスイッチ部の電流路をなし、ゲートが制御端をなすものである。
【0096】
制御部200は、動作開始前においては、全てのゲート信号SGGU1乃至SGGY1,SGGU2乃至SGGY2をオフ信号として出力し、例えば、ユーザの指示に応答して、予め記憶している時間d1,d2並びに周波数f1に基づいて、上述のサイクルC1と次のサイクルC2を周波数f1で交互に繰り返す。
サイクルC2において、制御部200は、ゲート信号SGGU1とSGGY1のペアと,ゲート信号SGGU2及びSGGY2のペアと、をオフ信号からオン信号に同時に切り替える。その後、オン信号に切り替えてから時間d2後に、まず、ゲート信号SGGU2及びSGGY2のペアをオン信号からオフ信号に切り替え、更に時間(d1−d2)経過後(オン信号に切替えてから時間d1後)に、ゲート信号SGGU1及びSGGY1のペアをオン信号からオフ信号に切り替える。
【0097】
なお、本実施形態では、二次電池E1の出力電圧は300V,二次電池E2の出力電圧は500Vであり、インダクタLdc1及びLdc2のインダクタンスはともに1ミリHであり、コンデンサCM1及びCM2のキャパシタンスはともに5マイクロFであり、インダクタLmのインダクタンスは0.2ミリHであり、時間d1は60マイクロ秒、時間d2は30マイクロ秒、周波数fは7キロHzである。
【0098】
(第2の実施の形態:DC/DCコンバータの動作)
以下、本実施形態のDC/DCコンバータ10Dの動作について、図13,図14A〜14H及び図15を参照して説明する。
初期状態は、全ての逆導通型半導体スイッチSWU1乃至SWY1,SWU2乃至SWY2がオフで、コンデンサCM1及びCM2に静電エネルギーが蓄積されている後述のフェイズPB8であるとして説明する。
【0099】
[フェイズPB1]
制御部200は、時刻Tb1において、ゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2及びSGGX2をオフ信号からオン信号に切替え、ゲート信号SGGU1,SGGY1,SGGU2及びSGGY2をオフ信号に保持する。これにより、逆導通型半導体スイッチSWV1,SWX1,SWV2及びSWX2はオフからオンに切り替わる。逆導通型半導体スイッチSWU1,SWY1,SWU2及びSWY2はオフのまま変化しない。
すると、図14Aに示すように、コンデンサCM1及びCM2は放電を開始し、インダクタLmに磁気エネルギーが蓄積されていく。
【0100】
[フェイズPB2]
上述したように、制御部200は、ゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2及びSGGX2をオフ信号からオン信号に切り替えてから時間d2後の時刻Tb2において、ゲート信号SGGV2及びSGGX2をオン信号からオフ信号に切り替える。他のゲート信号はオフ信号を保持する。これにより、逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2はオンからオフに切り替わる。
すると、図14Bに示すように、インダクタLmを流れる電流はコンデンサCM2によって遮断され、コンデンサCM2は、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーを電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する。
【0101】
[フェイズPB3]
そして、時刻tb2から時間(d1−d2)経過後の時刻Tb3において、制御部200は、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオン信号からオフ信号に切り替える。
すると、図14Cに示すように、インダクタLmを流れる電流は、コンデンサCM1及びコンデンサCM2によって遮断され、コンデンサCM1及びCM2が、インダクタLmに蓄積された残りの磁気エネルギーを電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する。
【0102】
[フェイズPB4]
その後、インダクタLmに蓄積されていた磁気エネルギーが尽きる時刻TB4に至ると、図14Dに示すように、インダクタLmを流れる電流は消滅する。
以上フェイズPB1乃至PB4において、コンデンサCM1及びCM2に静電エネルギーとして蓄積され、放電されることで一度インダクタLmに磁気エネルギーとして蓄積された電力の大部分を、コンデンサCM2が回収する。そのため、コンデンサCM2の電圧Vcm2は、二次電池E2の出力電圧をより高くなる。よって、コンデンサCM2は、二次電池E2を充電する。電力の大部分をコンデンサCM2が回収するため、コンデンサCM1の電圧Vcm1は、二次電池E1の出力電圧よりも低くなる。そのため、コンデンサCM1は、二次電池E1に充電される。
【0103】
[フェイズPB5]
制御部200は、周波数f1によって定まる時刻Tb5において、ゲート信号SGGU1,SGGY1,SGGU2及びSGGY2をオフ信号からオン信号に切替え、ゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2及びSGGX2をオフ信号に保持する。これにより、逆導通型半導体スイッチSWU1,SWY1,SWU2及びSWY2はオフからオンに切り替わる。逆導通型半導体スイッチSWV1,SWX1,SWV2及びSWX2はオフのまま変化しない。
すると、図14Eに示すように、コンデンサCM1及びCM2は放電を開始し、インダクタLmに磁気エネルギーが蓄積されていく。
【0104】
[フェイズPB6]
上述したように、制御部200は、ゲート信号SGGU1,SGGY1,SGGU2及びSGGY2をオフ信号からオン信号に切り替えてから時間d2後の時刻Tb6において、ゲート信号SGGU2及びSGGY2をオン信号からオフ信号に切り替える。他のゲート信号はオフ信号を保持する。これにより、逆導通型半導体スイッチSWU2及びSWY2はオンからオフに切り替わる。
すると、図14Fに示すように、インダクタLmを流れる電流はコンデンサCM2によって遮断され、コンデンサCM2は、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーを電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する。
【0105】
[フェイズPB7]
その後、制御部200は、時刻Tb6より時間(d1−d2)経過後の時刻Tb7において、ゲート信号SGGU1及びSGGY1をオン信号からオフ信号に切り替える。
すると、図14Gに示すように、インダクタLmを流れる電流は、コンデンサCM1及びコンデンサCM2によって遮断され、コンデンサCM1及びCM2が、インダクタLmに蓄積された磁気エネルギーを電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する。
【0106】
[フェイズPB8]
その後、インダクタLmに蓄積されていた磁気エネルギーが尽きる時刻TB8に至ると、図14Hに示すように、インダクタLmを流れる電流は消滅する。
以上フェイズPB5乃至PB8において、コンデンサCM1及びCM2に静電エネルギーとして蓄積され、放電されることで一度インダクタLmに磁気エネルギーとして蓄積された電力の大部分を、コンデンサCM2が回収する。そのため、コンデンサCM2は、の電圧は昇圧され、二次電池E2の出力電圧をより高くなる。よって、コンデンサCM2は、二次電池E2を充電する。電力の大部分をコンデンサCM2が回収するため、コンデンサCM1の電圧Vcm1は、二次電池E1の出力電圧よりも低くなる。そのため、コンデンサCM1は、二次電池E1に充電される。
【0107】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態のDC/DCコンバータ10Dによっても、低電圧側の二次電池E1と高電圧側の二次電池E2との間で相互に電力を充電させることができる。
また、本実施の形態のDC/DCコンバータ10Dにおいて、インダクタLmには交流電流が流れるため、第1の実施の形態のDC/DCコンバータ10Aに比べ偏磁しにくい、という利点もある。
【0108】
また、本実施の形態のDC/DCコンバータ10Dの場合、各ダイオード部に電流が流れている場合、そのダイオードに並列に接続されているスイッチ部をオンすることにより電力の損失をよりおさえることが可能である。
【0109】
(第2の実施形態における構成の変形例1)
【0110】
上記DC/DCコンバータ10DのインダクタLdc1,Ldc2を二次電池E1,E2を中心に対称に配置してもよい。
図15に示すDC/DCコンバータ10Eように、インダクタLdc1を、二次電池E1の一端とMERS103の直流端子DC11との間に接続されたインダクタLdc11と、二次電池E1の他端とMERS103の直流端子DC21との間に接続されたインダクタLdc21とに、分割する。インダクタLdc2を、二次電池E2の一端とMERS104の直流端子DC12との間に接続されたインダクタLdc12と、二次電池E2の他端とMERS104の直流端子DC22との間に接続されたインダクタLdc22とに、分割する。インダクタLdc11及びLdc21とは同じインダクタンス、インダクタLdc12及びLdc22とは同じインダクタンス、であることが好ましい。これによって漏れ電流を低減することができる。
【0111】
(第2の実施形態における構成の変形例2)
また、インダクタLmは、2巻き線トランス構造のインダクタンスを利用してもよい。すなわち、例えば、図16に示すDC/DCコンバータ10Fのように、DC/DCコンバータ10EのインダクタLmを高周波トランスRFTに置き換えてもよい。
【0112】
このようにトランスを介してMERS101とMERS102とを絶縁接続することも可能である。また、第1のコイルに直列にインダクタを、あるいは、第2のコイルに直列にインダクタを、またはその両方を接続してもよい。
【0113】
図16に示すこの回路は,従来のインバータによる絶縁トランス結合DCDC変換の回路図と似ているが,インダクタLdc1(インダクタLdc11及びLdc12),インダクタLdc2(インダクタLdc21及びLdc22)のインダクタンスがあることで二次電池E1及びE2を電流源に近い動作をさせる点と,コンデンサCM1とCM2が、その電圧が略ゼロなるまで放電することでソフトスイッチングが実現している点と、で大きく異なる。
また、コンデンサCM1及びCM2の電圧が、接続されている電池の電圧より昇圧される、という点でも大きくことなる。
また、トランス結合における漏れインダクタンスを利用できる、という点でも、従来のインバータによる絶縁トランス結合DCDC変換とは大きくことなる。
【0114】
(第1及び第2の実施形態における構成の変形例1)
また、図17に示すDC/DCコンバータ10Fに示すように、DC/DCコンバータ10Eにおいて、MERS103の直流端子DC+1から二次電池E1の一端への方向に流れる電流を遮断するダイオードDR1と、二次電池E1の一端からMERS104の直流端子DC+2への方向に流れる電流を遮断するダイオードDR2と、を更に備えてもよい。
【0115】
この場合、二次電池E2の出力する電力によって二次電池E1を充電することない。また、二次電池E1の一端への方向に流れる電流は遮断されるため、インダクタLdc1として、直流リアクトルを用いることができ、かつ、インダクタLdc1のインダクタンスを小さくすることもできる。これにより、インダクタLdc1を小型化することができる。
二次電池E1の一端からMERS104の直流端子DC+2への方向に流れる電流は遮断されるため、インダクタLdc1を小型化できるのと同様の理由で、インダクタLdc2を小型化することができる。
また、二次電池E2から電力を出力させる必要がない場合、二次電池E2は不必要な放電を行わない、という利点もある。
【0116】
この例では、全ての逆導通型半導体スイッチがオフの間、コンデンサCM1が充電され、全ての逆導通型半導体スイッチがオンされてコンデンサCM1の静電エネルギーが放電されて電流Ilinkとして漏れインダクタンスLM1及びLM2に磁気エネルギーとして蓄積され、逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2を先にオフすることで、電流IlinkがコンデンサCM2に遮断されて、コンデンサCM2が漏れインダクタンスLM1及びLM2の磁気エネルギーがコンデンサCM2に回収され、コンデンサCM2の電圧によって二次電池E2が充電される。この動作が繰り返されることにより、二次電池E1から二次電池E2に電力を供給することができる。
【0117】
DC/DCコンバータ10Fの、第1のコイルL1を流れる電流Ilink,インダクタLdc1を流れる電流ILdc1及びインダクタLdc2を流れる電流ILdc2の時間変化と、コンデンサCM1の電圧Vcm1及びコンデンサCM2の電圧Vcm2の時間変化と、ゲート信号SGGV1及びSGGX1並びにゲート信号SGGV2及びSGGX2の時間遷移と、二次電池E1の出力電力P1と二次電池E2へ供給される電力P2の時間変化と、は図18に示すようになる。
なお、二次電池E1及びE2は出力100Vで、インダクタL1及びL2は0.2ミリHで、コンデンサCM1及びCM2は0.5マイクロFで、漏れインダクタンスLM1及びLM2は0.1ミリHで、ゲート信号SGGV1及びSGGX1のオン時間は30マイクロ秒で、ゲート信号SGGV2及びSGGX2のオン時間は15マイクロ秒で、繰り返し周波数f1は6キロHzである。
【0118】
全ての逆導通型半導体スイッチがオフされると、コンデンサCM1が充電されるため、コンデンサ電圧Vcm1は上昇し、インダクタL1とコンデンサCM1の共振のピークで電圧が保持されている。
全ての逆導通型半導体スイッチがオンされると、コンデンサCM1の静電エネルギーが放電されて電流Ilinkとして漏れインダクタンスLM1及びLM2に磁気エネルギーとして蓄積されるため、コンデンサCM1の電圧Vcm1は減少し、漏れインダクタンスLm1に流れる電流Ilinkは上昇している。
この例では、コンデンサCM1の電圧Vcm1がほぼ0になるタイミングで、逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2が先にオフされる。逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2が先にオフされることにより、インダクタンスLm1に流れる電流IlinkはコンデンサCM2に回収されるため、コンデンサCM2の電圧が上昇する。コンデンサCM2の電圧が二次電池E2の電圧100Vを超えると、コンデンサCM2から二次電池E2に放電が開始される。この例では、インダクタLdc3によって、コンデンサCM2は、電圧がほぼ0になるまで、電力を電池E2に放電する。
その後、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1がオフされると、コンデンサCM1は充電される。
以降上記動作を繰り返す。
【0119】
上記DC/DCコンバータ10A乃至10Eでは、インダクタLdc1及びLdc2のインダクタンスは1ミリHであるとして説明した。一方本変更例であるDC/DCコンバータ10Fでは、インダクタLdc1及びLdc2のインダクタンスは0.2ミリHである。
DC/DCコンバータ10A乃至10Eでは、ダイオードDR1及びDR2がないため、インダクタLdc1乃至Ldc2のインダクタンスを電流の逆流がないように十分に大きくすることが好ましい。
【0120】
一方、一方本変更例であるDC/DCコンバータ10Fでは、ダイオードDR1によって二次電池E1の一端への方向に流れる電流は遮断され、ダイオードDR2によって二次電池E2の出力する電力は遮断される。
そのため、インダクタLdc1として、直流リアクトルを用いることができ、かつ、インダクタLdc1のインダクタンスを小さくすることもできる。これにより、インダクタLdc1を小型化することができる。
【0121】
(第1及び第2の実施形態における構成の変形例2)
また、MERSの各スイッチのオン時間やオフ時間を変化させる装置を別途備えてもよい。
例えば、図19に示すDC/DCコンバータ10Gように、本発明の第2の実施の形態のDC/DCコンバータ10Dの制御部200に、制御の繰り返し周波数f1を、変更させるダイヤル300を接続させてもよい。ダイヤル300を時計回りに回せば周波数f1は低くなり、ダイヤル300を時計回りに回せば周波数f1は高くなる。
【0122】
二次電池E1及びE2が100Vで、インダクタLmが200mHで、コンデンサCM1及びCM2が1mFで、時間d1が25ms,時間d2が40msで、周波数f1を変化させた場合の、コンデンサCM1,CM2の電圧Vcm1,Vcm2と、インダクタLmに流れる電流ILmと、ゲート信号SU1及びSY1,SV1及びSX1,SU2及びSY2,SV2及びSX2の関係は、図20A乃至20Cのようになる。
図20Aは、周波数f1が10kHz、図20Bは20kHz、図20Cは6kHzの時の、それぞれ関係を示したものである。
【0123】
図20Aに示すように、周波数f1が10kHzの時、電圧Vcm1及びVcm2は、およそ200Vまで上昇し、電流ILmはおよそ16Aまで上昇している。また、各周期(例えば、ゲート信号SU1,SY1,SV1及びSX1がオンしてからゲート信号SU2,SY2,SV2及びSX2がオンするまでの1周期)において、電流ILmは、およそ100ミリ秒間は流れ、100ミリ秒間は流れてない。
また、図20Bに示すように、周波数f2が20kHzの時、電圧Vcm1及びVcm2は、およそ230Vまで上昇し、電流ILmはおよそ25Aまで上昇している。また、各周期(例えば、ゲート信号SU1,SY1,SV1及びSX1がオンしてからゲート信号SU2,SY2,SV2及びSX2がオンするまでの1周期)において、電流ILmは、ほぼ連続して流れている。
また、図20Cに示すように、周波数f3が6kHzの時、電圧Vcm1及びVcm2は、およそ180Vまで上昇し、電流ILmはおよそ10Aまで上昇している。また、各周期(例えば、ゲート信号SU1,SY1,SV1及びSX1がオンしてからゲート信号SU2,SY2,SV2及びSX2がオンするまでの1周期)において、電流ILmは、およそ100ミリ秒間の流れ、次の周期までは流れない。
【0124】
周波数を上げると、コンデンサの電圧のピークは上がり、1周期当たりの充電量は上昇する。その上、単位時間あたりの充電回数が増える。そのため、周波数を上げると、周波数を上げるほど、二次電池E1から二次電池E2への電力の供給量は増大する。ただし、1周期が、インダクタLmに1方向に連続して電流が流れている時間以上になると、スイッチングがハードスイッチングになってしまう。よって、周波数f1による定まる1周期は、インダクタLmに1方向に連続して電流が流れている時間よりも長いことが望ましい。
【0125】
周波数f1を変化させた場合における二次電池E1から二次電池E2への電力の供給量の変化は、この例では、図20Dに示すように、周波数f1が6kHzの時およそ50W、周波数f1が10kHzの時およそ230W、周波数f1が20kHzの時およそ970Wになり、周波数の上昇に伴い電力の供給量も増大する。
【0126】
このように、周波数f1を調整させることによって、二次電池E1から二次電池E2への電力の時間あたりの充電量を調整させることができる。
換言すると、制御部200は、MERS101及び102のスイッチを実質的に同時にオンし、第1の所定の時間経過後に、一方のMERSのスイッチをオフし、更に第2の所定の時間経過後に、他方のMERSをオフし、更に第3の所定の時間両方のMERSのスイッチをオフに保持させる場合において、第3の所定の時間を調整することによって、二次電池E1から二次電池E2への電力の時間あたりの供給量を調整させることができる。
DC/DCコンバータ10Fにおいては、ダイヤル300を時計回りに回せば時間あたりの充電量が増え、反時計回りに回せば時間あたりの充電量が減る。
【0127】
また、図20A乃至20Cからもわかるように、各ゲート信号のオン信号からオフ信号に切り替える時は、そのMERSのコンデンサ電圧はほぼゼロであり、各ゲート信号のオフ信号からオン信号に切り替える時は、インダクタLmに流れる電流はほぼ0である。そのため、各スイッチのスイッチングはゼロ電圧またはゼロ電流となっており、時間あたりの充電量が高い場合も低い場合もソフトスイッチングが実現される。
【0128】
以上説明したように、本発明に係るDC−DCコンバータによれば、MERS101及び102のスイッチのスイッチをオンさせた後、片方のMERSのスイッチを、他方のMERSのスイッチよりも先にオフさせる制御、を繰り返す、ことによって、二次電池E1から二次電池E2に、その電圧の大小にかかわらずに、双方向に電力を変換することができる。
【0129】
また、MERS101,102を、フルブリッジ型MERS103,104に変更し、MERS101及び102のスイッチのスイッチをオンさせた後、片方のMERSのスイッチを、他方のMERSのスイッチよりも先にオフさせる制御と、MERS101及び102のスイッチのスイッチをオンさせた後、他方のMERSのスイッチを、一方のMERSのスイッチよりも先にオフさせる制御と、の2つの制御を交互に繰り返すことで、二次電池E1から二次電池E2に、その電圧の大小にかかわらずに、双方向に電力を変換することができ、かつ、インダクタLmの偏磁を抑制することができる。
【0130】
また、MERS101及び102のスイッチを実質的に同時にオンし、第1の所定の時間経過後に、一方のMERSのスイッチをオフし、更に第2の所定の時間経過後に、他方のMERSをオフし、更に第3の所定の時間両方のMERSのスイッチをオフに保持させることによって、二次電池E1から二次電池E2に、その電圧の大小にかかわらずに、双方向に電力を変換することができ、この第3の所定の時間を調整することによって、送電側の電源から受電側の電源に供給される電力を調整することができる。
【0131】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態における各設定値は1例であり、様々な設定が可能である。また、上述の実施形態に記載した構成の全てを備える必要はなく、所期の目的を達成できるならば、一部の構成の組み合わせであってもよい。
【0132】
また、上記各実施形態においては、直流電源として二次電池E1を、直流負荷として二次電池E2を用いたが、もちろんそれぞれ二次電池である必要はない。
たとえば、二次電池E1を家庭用電源を整流し平滑コンデンサによって平滑したものに変更してもよいし、二次電池E2を、直流電力を供給されることによって動作する電気機器に変更してもよい。
例えば、電力を供給する側(二次電池E1)を、電力を供給する必要のないもの(例えば、一次電池)に、あるいは、電力を供給される側(二次電池E2)を、電力を出力させる必要がないもの(例えば)に、するならば、図14に示したように、ダイオードDR1及びダイオードDR2を用いればよい。これによって、電力を供給する側に供給される電力は遮断され、電力を供給される側から出力される電力は遮断される。
【0133】
また、二次電池E1,E2の代わりに直流母線を接続してもよい。
例えば、二次電池E1の代わりに、家庭内の様々な電気機器に接続された直流母線を接続し、二次電池E2を電気自動車の内部電池であってもよい。
この時、夜間、電気自動車の内部電池を受電側とし、直流母線を送電側とする。そして、昼間、例えば電気自動車のユーザが自宅にいる場合は、電気自動車の電池を送電側とし、受電側の直流母線に電力を供給する。
【0134】
また、上記DC−DCコンバータFではMERS102の逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2は常にオンでもよい、として説明した。そのため、図21に示すDC−DCコンバータHのように、MERS102のスイッチ部SV2,SX2がなくともよい。つまり、受電側のMERSは、整流回路でもよい。
この場合も、図22に示すように、二次電池E1から出力された電力をMERS101が静電エネルギーとして蓄積し、MERS101をオンすることでインダクタンスに電流を流すことで磁気エネルギーとして蓄積させ、その磁気エネルギーをもって二次電池E2を充電する。
なお、図22の例では、インダクタLdc1は0.2ミリHで、コンデンサCM1は0.5マイクロFで、漏れインダクタLM1及びLM2は0.1ミリHで、二次電池E1の出力電圧は100Vで、二次電池E2の出力電圧は70Vである。
【0135】
また、高周波トランスRFTの巻線比は1対1である必要はない。適宜変更することによって、昇圧,降圧の割合を所望のものに調整可能である。
【0136】
また、第1,第2の実施の形態において、制御部200は、コンパレータ、フリップフロップ、タイマ等からなる専用の電子回路から構成されていてもよい。
例えば、繰り返し周波数f1が7キロHz、ゲート信号SGGV1及びSGGX1のオン時間が60マイクロ秒、ゲート信号SGGV1及びSGGX1のオン時間が30マイクロ秒、である時の制御部200の回路は図23のようになる。
【0137】
図23(a)は、上記片方向MERSを用いたDC−DCコンバータのゲート信号SGGV1,SGGX1,SGGV2及びSGGX2を出力する制御回路である。この回路は、発振器OSCと、ワンショットマルチバイブレータMV1,MV2と、を備える。
発振器OSCは、上記周波数7キロHz(周波数f1)のクロックパルスを出力する。
ワンショットマルチバイブレータMV1の出力は、ゲート信号SGGV1及びSGGX1として逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1のゲートGV1及びGX1に出力される。ワンショットマルチバイブレータMV1は、発振器OSCの出力するクロックパルスが立ち上がることに応答し、オフ信号をオン信号に切り替え、オン信号を60マイクロ秒保持した後オフ信号に切り替える。
同様に、ワンショットマルチバイブレータMV2の出力は、ゲート信号SGGV2及びSGGX2として逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2のゲートGV2及びGX2に出力される。ワンショットマルチバイブレータMV2は、発振器OSCの出力するクロックパルスが立ち上がることに応答し、オフ信号をオン信号に切り替え、オン信号を30マイクロ秒保持した後オフ信号に切り替える。
【0138】
図23(b)は、上記両方向MERSを用いたDC−DCコンバータのゲート信号SGGU1,SGGV1,SGGX1,SGGY1,SGGU2,SGGV2,SGGX2及びSGGY2を出力する制御回路である。この回路は、図23(a)で説明した制御部200に、更に、ワンショットマルチバイブレータMU1,MU2と、を備えるものである。
ワンショットマルチバイブレータMU1の出力は、ゲート信号SGGU1及びSGGY1として逆導通型半導体スイッチSWU1及びSWY1のゲートGU1及びGY1に出力される。ワンショットマルチバイブレータMU1は、発振器OSCの出力するクロックパルスが立ち上がることに応答し、オフ信号をオン信号に切り替え、オン信号を60マイクロ秒保持した後オフ信号に切り替える。
同様に、ワンショットマルチバイブレータMU2の出力は、ゲート信号SGGU2及びSGGY2として逆導通型半導体スイッチSWU2及びSWY2のゲートGU2及びGY2に出力される。ワンショットマルチバイブレータMU2は、発振器OSCの出力するクロックパルスが立ち上がることに応答し、オフ信号をオン信号に切り替え、オン信号を30マイクロ秒保持した後オフ信号に切り替える。
【0139】
また、上記実施形態では、制御部200は、予め設定された時間d1,d2及び周波数f1に基づいて、ゲート信号を制御した。しかし、ゲート信号の制御は様々な変更が考えられる。例えば、デューティ比で各スイッチのオン時間を制御してもよい。
制御部200は、MERS101及び102のスイッチを実質的に同時にオンし、第1の所定の時間経過後に、一方のMERSのスイッチをオフし、更に第2の所定の時間経過後に、他方のMERSをオフし、更に第3の所定の時間両方のMERSのスイッチをオフに保持させる、という制御を繰り返す。
【0140】
一方、上記各実施の形態における制御部200の構成は、通常のコンピュータシステムを用いても実現することができる。
例えば、制御部200が行う上述の処理を実行させるためのプログラムを、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)あるいはその他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、このプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の制御部200を構成することができる。
【0141】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するようにしてもよい。更に、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
また、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロード等してもよい。
【符号の説明】
【0142】
10A乃至10H DC/DCコンバータ
DC+1,DC+2 直流入力端子
DC−1,DC−2 直流出力端子
Ldc1,Ldc2,Ldc11,Ldc12,Ldc21,Ldc22 インダクタ
101,102,103,104 MERS
AC11,AC21,AC12,AC22 交流端子
DC11,DC21,DC12,DC22 直流端子
SWU1,SWV1,SWX1,SWY1,SWU2,SWV2,SWX2,SWY2 逆導通型半導体スイッチ
DU1,DV1,DX1,DY1,DU2,DV2,DX2,DY2 ダイオード部
SU1,SV1,SX1,SY1,SU2,SV2,SX2,SY2 スイッチ部
GU1,GV1,GX1,GY1,GU2,GV2,GX2,GY2 ゲート
CM1,CM2 コンデンサ
Lm,Lm1,Lm2 インダクタ
RFT 高周波トランス
L1 一次巻線
L2 二次巻線
LM1,LM2 漏れインダクタンス
200 制御部
SGGU1,SGGV1,SGGX1,SGGY1,SGGU2,SGGV2,SGGX2,SGGY2 ゲート信号
E1,E2 二次電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の交流端子と、第1及び第2の直流端子と、それぞれ電流路を備え、各自に供給される制御信号に応答して各自の電流路をオン及びオフするスイッチであって、各自の電流路を、オンしたとき双方向に実質的に導通させ、オフしたとき電流路の所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通させる第1及び第2のスイッチと、それぞれ電流路を備え、各自の電流路が所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通する第1及び第2の整流素子と、コンデンサと、より構成され、前記第1の交流端子に前記第1の整流素子の前記一端と前記第2のスイッチの前記他端とが、前記第2の交流端子に前記第1のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記他端とが、前記第1の直流端子に前記コンデンサの前記一端と前記第1の整流素子の前記他端と前記第1のスイッチの前記他端とが、前記第2の直流端子に前記コンデンサの前記他端と前記第2のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記一端とが、接続される第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチと、
外部の直流電源と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第1のインダクタと、
外部の直流負荷と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第2のインダクタと、
前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間、または、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間に流れる電流によって磁気エネルギーを蓄える第3のインダクタと、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチの各電流路をオンさせる制御信号並びにオフさせる制御信号を前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチの各制御端に供給する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオンさせ前記第2の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせた後に前記第1の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせる制御、
を繰り返す、
ことを特徴とする電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオンする時は前記第3のインダクタに電流は実質的に流れておらず、前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの第1及び第2のスイッチをオフする時は前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記コンデンサに実質的に静電エネルギーは蓄積されておらず、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフする時は前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記コンデンサに実質的に静電エネルギーは蓄積されていない、
ことを特徴とする請求項1に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチを実質的に同じタイミングでオンし第1の所定の時間経過後に前記第2の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフし更に第2の所定の時間経過後に前記第1の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフし更に第3の所定の時間の間前記第1及び第2のスイッチをオフに保持させる制御、を繰り返す、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2の整流素子は、それぞれ、第3及び第4のスイッチより構成されており、
前記第3及び第4のスイッチは、それぞれ電流路を備え、各自に供給される制御信号に応答して各自の電流路をオン及びオフするスイッチであって、各自の電流路を、オンしたとき双方向に実質的に導通させ、オフしたとき電流路の所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通させるものであり、
前記制御手段は、前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1乃至第4のスイッチの各電流路をオンさせる制御信号並びにオフさせる制御信号を前記第1乃至第4のスイッチの各制御端に供給し、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオンさせ前記第2の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせた後に前記第1の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせる制御と、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第3及び第4のスイッチをオンさせ前記第2の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第3及び第4のスイッチをオフさせた後に前記第1の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第3及び第4のスイッチをオフさせる制御と、
を交互に繰り返す、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチを実質的に同じタイミングでオンし、第1の所定の時間経過後に前記第2の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフし、更に第2の所定の時間経過後に前記第1の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフし、更に第3の所定の時間の間、前記第1乃至第4のスイッチをオフに保持させる制御と、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第3及び第4のスイッチを実質的に同じタイミングでオンし、第1の所定の時間経過後に前記第2の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第3及び第4のスイッチをオフし、更に第2の所定の時間経過後に前記第1の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第3及び第4のスイッチをオフし、更に第3の所定の時間の間、前記第1乃至第4のスイッチをオフに保持させる制御と、を交互に繰り返す、
ことを特徴とする請求項4に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項6】
前記第3の所定の時間を調整する調整手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項3または5に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項7】
前記第3のインダクタは、前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間に接続された第4のインダクタと、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間に接続された第5のインダクタと、から構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項8】
前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの第1及び第2の交流端子に接続された第1のコイルと、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの第1及び第2の交流端子に接続され、前記第1のコイルと電磁的に結合する第2のコイルと、から構成された変圧器を更に備え、
前記第3のインダクタは、当該変圧器の漏れ第3のインダクタンスである、
ことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項9】
前記第1のインダクタは、前記直流電源の一端と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子との間に接続された第6のインダクタと、前記直流電源の他端と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子との間に接続された第7のインダクタと、から構成され、
前記第2のインダクタは、前記直流負荷の一端と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子との間に接続された第8のインダクタと、前記直流負荷の他端と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子との間に接続された第9のインダクタと、から構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項10】
前記第1のインダクタと前記第1の磁気エネルギー回生スイッチのコンデンサとの共振周波数と、前記第2のインダクタと前記第2の磁気エネルギー回生スイッチのコンデンサとの共振周波数とが、ともに前記制御手段の前記制御を繰り返す周波数の半分以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項11】
前記直流電源の前記一端及び前記直流負荷の前記一端あるいは前記直流電源の前記他端及び前記直流負荷の前記他端が共通の接地ラインに接続されている、
ことを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項12】
前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの第1の直流端子から前記直流電源の一端への方向に流れる電流を遮断する第3の整流素子と、
前記直流負荷の一端から前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの第1の直流端子への方向に流れる電流を遮断する第4の整流素子と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載の電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項13】
第1及び第2の交流端子と、第1及び第2の直流端子と、それぞれ電流路を備え、各自に供給される制御信号に応答して各自の電流路をオン及びオフするスイッチであって、各自の電流路を、オンしたとき双方向に実質的に導通させ、オフしたとき電流路の所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通させる第1及び第2のスイッチと、それぞれ電流路を備え、各自の電流路が所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通する第1及び第2の整流素子と、コンデンサと、より構成され、前記第1の交流端子に前記第1の整流素子の前記一端と前記第2のスイッチの前記他端とが、前記第2の交流端子に前記第1のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記他端とが、前記第1の直流端子に前記コンデンサの前記一端と前記第1の整流素子の前記他端と前記第1のスイッチの前記他端とが、前記第2の直流端子に前記コンデンサの前記他端と前記第2のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記一端とが、接続される磁気エネルギー回生スイッチと、
第1と第2の交流入力と第1と第2の直流出力とを備え、当該第1と第2の交流入力間から入力された電力を整流して当該第1と第2の交流出力間から出力する整流器と、
外部の直流電源と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第1のインダクタと、
外部の直流負荷と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記整流器の第1の直流出力に接続され、当該直列回路の他端が前記整流器の第2の直流出力に接続される第2のインダクタと、
前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記整流器の前記第1の交流入力とが電気的に接続され、前記整流器の前記第2の交流入力と前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記整流器の前記第1の交流入力との間、または、前記整流器の前記第2の交流入力と前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間に流れる電流によって磁気エネルギーを蓄える第3のインダクタと、
前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチの各電流路をオンさせる制御信号並びにオフさせる制御信号を前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチの各制御端に供給する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチを同時にオン・オフさせる制御、を繰り返す、
ことを特徴とする電流直列共振DCDC変換装置。
【請求項14】
第1及び第2の交流端子と、第1及び第2の直流端子と、それぞれ電流路を備え、各自に供給される制御信号に応答して各自の電流路をオン及びオフするスイッチであって、各自の電流路を、オンしたとき双方向に実質的に導通させ、オフしたとき電流路の所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通させる第1及び第2のスイッチと、それぞれ電流路を備え、各自の電流路が所定の一端から他端の一方向にのみ実質的に導通する第1及び第2の整流素子と、コンデンサと、より構成され、前記第1の交流端子に前記第1の整流素子の前記一端と前記第2のスイッチの前記他端とが、前記第2の交流端子に前記第1のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記他端とが、前記第1の直流端子に前記コンデンサの前記一端と前記第1の整流素子の前記他端と前記第1のスイッチの前記他端とが、前記第2の直流端子に前記コンデンサの前記他端と前記第2のスイッチの前記一端と前記第2の整流素子の前記一端とが、接続される第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチと、
外部の直流電源と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第1のインダクタと、
外部の直流負荷と直列回路をなし、当該直列回路の一端が前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の直流端子に接続され、当該直列回路の他端が前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の直流端子に接続される第2のインダクタと、
前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子とが電気的に接続され、記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間、または、前記第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第2の交流端子と前記第1の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1の交流端子との間に流れる電流によって磁気エネルギーを蓄える第3のインダクタと、
からなる電力変換装置を制御する電力変換制御方法であって、
前記第1及び第2の磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオンさせ前記第2の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせた後に前記第1の前記磁気エネルギー回生スイッチの前記第1及び第2のスイッチをオフさせる制御、を繰り返す、
ことを特徴とする電力変換制御方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図14H】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−34522(P2012−34522A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173095(P2010−173095)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(507149648)株式会社MERSTech (22)
【Fターム(参考)】