説明

電源アダプタに関する改良

交流電源に接続される入力部(22)と、入力部(22)に結合されて負荷(50)を駆動するのに好適な出力を提供する共振回路(34)と、からなる電源アダプタ(20)が、提供される。共振回路(34)のキャパシタンスとインダクタンスとは、電源アダプタ(20)の入力(22)と出力(24)との間に、実効電圧の所定の変化と、それに対応する実効電流の所定の変化と、を与えるように選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源アダプタに関し、特に、電源アダプタの入力と出力との間で実効電圧の変化を提供するのに好適な電源アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
提供される家庭用の主たる電源からの電圧は、通常120V〜240Vの交流で、周波数は50Hz又は60Hzである。電源アダプタを、例えば10Vの負荷などの低電圧負荷の駆動に適合する場合、電源電圧と負荷の駆動に必要な電圧との比は、10〜20の間となる。このようにこの比が大きい場合、低電圧負荷駆動に通常利用されるスイッチング方式電源アダプタでは、導通時間の非常に短い、小さなデューティ比のスイッチングが行われ、ピークと平均との電流波形比も大きくなって、効率が非常に悪くなる。
【0003】
従って、従来技術の電源アダプタにおいては、電圧の逓減とそれに対応する電流の逓増に好適なターン比を持った磁気変圧器を含むことが普通である。従来の電源では、この磁気変圧器が電源アダプタの入力部に設けられ、電源アダプタ全体が低電圧で作動するようになっている。そのような場合、磁気変圧器は、電源周波数(50Hz又は60Hz)で動作し、しかも比較的大型で、高価である。他の場合には、磁気変圧器は、スイッチング回路の一部として組み込まれ、電源アダプタ内の電子部品のスイッチング周波数で動作させることができる。そのような回路は、磁気変圧器を小型化できる利点がある。
【0004】
しかしながら、これらの従来技術構成の全ては、磁気変圧器を必要とし、寸法がかなり大きく、効率も悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に関する上記、及び/又はその他の問題点を克服、あるいは実質的に軽減する、改良された電源アダプタが考案された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、交流電源接続のための入力部と、この入力部に結合し、負荷駆動に好適な出力を提供する共振回路と、を備える電源アダプタが提供され、電源アダプタの入力と出力との間に実効電圧の所定の変化とそれに対応する実効電流の所定の変化を提供できるように、共振回路のキャパシタンスとインダクタンスが選択される。
【0007】
本発明による電源は、電源アダプタの入力と出力との間の実効電力の所定の変化と、それに対応する実効電流の所定の変化を、磁気変圧器を必要とせずに提供するため、基本的に有利である。電源アダプタは、磁気変圧器を必要とせず、またデューティ比(スイッチング周期に対するオン時間の割合)が小さくかつピークと平均の電流波形比の大きい電子スイッチング回路も必要とせずに、高圧メイン交流電源からの低電圧負荷の駆動に適合することができる。具体的には、電源アダプタは、高電圧の交流メイン電源(例えば、110V又は230V、周波数50Hz又は60Hzの交流)に接続し、低電圧(例えば10〜20V)の固体素子光源の駆動に好適な出力を提供するように適合されてもよい。
【0008】
共振回路のキャパシタンスとインダクタンスは、電源アダプタの入力と出力との間に、実効電圧の所定の減少と、それに対応する実効電流の所定の増加とを提供するように選択されてもよい。あるいは、共振回路のキャパシタンスとインダクタンスは、電源アダプタの入力と出力との間に、実効電圧の所定の増加と、それに対応する実効電流の所定の減少とを提供するように選択される。
【0009】
好適な実施形態では、電源アダプタの入力部における実効電圧と電源アダプタの出力部における実効電圧との間に所定の比を与え、かつ、電源アダプタの入力部における実効電流と電源アダプタの出力部における実効電流との間に所定の比を与えるように、共振回路のキャパシタンスとインダクタンスが選択される。
【0010】
共振回路は、好ましくは、共振インダクタ中を流れる実効電流に対して増加又は減少した実効電流を有する出力を提供し、それに対応して出力が電源の実効電圧に対して減少又は増加した実効電圧を有するように、構成される。出力は、好ましくは、共振インダクタ中を流れる電流に対して少なくともファクタ2だけ、最も好ましくは少なくともファクタ5だけ、増加又は減少した実効電流を有する。さらに、交流電源に対する出力の実効電圧は、好ましくは少なくともファクタ2だけ、最も好ましくはファクタ5だけ増減する。
【0011】
電源アダプタの入力と出力との間における、実効電圧及び実効電流の所定の変化は、好ましくは磁気変圧器の補助なしで行われる。実際に、電源アダプタは、電源アダプタ内にある信号変換器や電源変圧器の外には、いかなる磁気変圧器も含んでいない。
【0012】
電源アダプタの入力と出力との間における、実効電圧及び実効電流の所定の変化は、変圧器の補助なしで行われてよい。しかし、電源アダプタは、電源アダプタの出力と入力とを分離する圧電変圧器を備えてもよい。この構成においては、圧電変圧器は、電源アダプタの入力と出力との間に、実効電圧の更なる所定変化と実効電流の更なる所定変化とを提供できる。
【0013】
電源アダプタに圧電変圧器が含まれている場合、この圧電変圧器は、共振回路のキャパシタンスの少なくとも一部を提供するように構成されてもよい。一実施形態においては、圧電変圧器は、共振回路のキャパシタンスのすべてを提供する。従って、共振回路を有する電源アダプタに圧電変圧器を含む場合、圧電変圧器を含むことは、いくつかの利点を与える。従って、本発明の更なる態様によれば、交流電源接続用の入力部と、負荷の駆動に好適な出力を提供する、入力部に結合した共振回路と、電源アダプタの出力を入力から分離する(isolate)圧電変圧器と、を備える電源アダプタが提供される。
【0014】
出力は、好ましくは、固体素子光源などのような定電流負荷を駆動するのに好適である。従って、共振回路は、好ましくは、交流電源の特定の実効電圧に対して所定の実質的に定電圧を有する出力を提供するように構成されている。特に、共振回路は、好ましくは、交流電源の特定の実効電圧に対して所定の実質的に一定な電圧を、入力交流サイクルの大部分に対して供給するために、電源アダプタの入力部で受電した実際の電圧をブースト(boost)する(すなわち、上昇させる)か、バック(buck)する(すなわち、降下させる)かのいずれかを行うように構成されている。
【0015】
従って本発明のこの構成によれば、磁気変圧器を用いる場合よりも、より広範な入力交流サイクルの領域に対して、交流電源の特定の実効電圧に対して所定の、実質的に一定な電圧を出力することが可能となる。従ってこの構成により、所定の実効電圧変化を与えるのに、磁気変圧器を利用する電源アダプタよりもバルク静電容量の小さい電源アダプタを実現することが可能である。
【0016】
本発明のこの構成は、固定負荷を駆動するのに好適である。しかし、電源アダプタは、変動負荷の駆動にも適合可能である。特に、電源アダプタは、電源アダプタにより提供される出力での駆動に対し負荷が不十分な場合、出力を止め、電源アダプタにより提供される出力での駆動に対し負荷が十分になった場合に、出力を出すようになっていてもよい。
【0017】
定電流負荷駆動に適した出力を提供する特に好適な構成においては、共振回路は、LCL直列−並列共振回路をとる。
【0018】
「LCL直列−並列共振回路」は、直列の第1のインダクタと第1のコンデンサと、第2のインダクタを含む並列の負荷への枝(leg)とを備えている。第1のインダクタと第1のコンデンサとは、好ましくは、共振回路の2つの入力端子の間に直列に接続される。共振回路は、好ましくは、第1のコンデンサに並列に接続された負荷への枝を備え、ここで負荷への枝は、直列に接続された第2のインダクタと負荷駆動用の出力部とを備えている。具体的に、LCL共振回路は、好ましくは、入力端子と出力端子とを有し、第1のインダクタL1が第1の入力端子から第2のインダクタL2との共通点を通って第1の出力端子へ接続され、第2の入力端子は第2の出力端子へ直接接続され、コンデンサC1が2つのインダクタの間の共通点と、第2の入力端子と第2の出力端子との間の直接接続部と、の間に接続されている。入力端子は、好ましくは、高周波インバータから駆動されるようになっている。第1のインダクタ、第1のコンデンサ、及び第2のインダクタのいずれも、単一の誘導部品又はコンデンサ部品、又はそれらの部品の組み合わせで構成されていてよい。
【0019】
共振回路は、好ましくは、その共振周波数の1つにおいて電源アダプタが、所与の入力実効電圧で定電流出力を提供するように適合される。共振回路は、好ましくは、共振周波数又はその分数調波において、又は共振周波数又はその分数調波の十分近傍において、電源アダプタが固体素子光源等のような定電流負荷へ、好適に使用されるように駆動される。特に、第1と第2のインダクタは、好ましくは、第1のインダクタのリアクタンスXL1と第2のインダクタのリアクタンスXL2とが実質的に等しく、かつ第1のコンデンサのリアクタンスとも大きさが実質的に等しくなるように選択される。具体的には、この好適な実施形態においては、XL1≫XL2≫−XC1である。
【0020】
選択された部品が所与の入力電圧においてこれらの条件を満たす場合、負荷に伝達される電流は、電源アダプタに接続された負荷に依存せず一定となる。さらに、入力電圧の変化は、負荷への定電流の大きさを直接制御する。従ってLED等のような定電圧負荷を駆動する場合、負荷へ伝達される電力は、フィードフォワード制御又はフィードバック制御を必要とせずに、入力電圧に直接比例する。
【0021】
LCL直列−並列共振回路が定電流出力を与える場合、LCL直列−並列共振回路のキャパシタンスは、好ましくは、リアクタンスXC1が、所要負荷抵抗Rと共振回路の比較的大きな所要入力抵抗Rinとに整合するように選択される。第1のコンデンサは、好ましくは、次式を用いて選択される。
【数1】

ここで、XC1は、第1のコンデンサのリアクタンスである。従って、第1のコンデンサのリアクタンスは、好ましくは、所要負荷抵抗Rと共振回路の所要入力抵抗Rinとの積の平方根に等しい。
【0022】
従って、電源アダプタの出力部は、好ましくは、見掛けのインピーダンスRの負荷に接続されるように適合される。ここで、第1のインダクタL1、第2のインダクタL2及び第1のコンデンサC1の値は、少なくとも1つの周波数においてL1、L2、C1のリアクタンスの大きさがほぼ同じであり、入力端子Rinで見られる見掛け上のインピーダンスが少なくとも1つの周波数において、LCL共振回路によって変換されて、コンデンサのリアクタンスXC1の二乗を負荷の見掛け上のインピーダンスRで割ったものに等しくなるように選択される。
【0023】
従って、この共振回路のインダクタンスとキャパシタンスの選択は、電源アダプタの入力と出力との間の実効電圧に、所定の変化を与える。
【0024】
好適な実施形態において、本発明による電源アダプタは、メインの交流電源に接続する入力部を備え、共振回路は、固体素子光源を駆動するのに好適な出力を提供する。上述のように、共振回路は、好ましくは、LCL直列−並列共振回路である。
【0025】
LCL直列−並列共振回路の利用は、電源アダプタが固体素子光源駆動用の安定出力を提供するように適合される場合、特に有利である。特に、LCL直列−並列共振回路は、固体素子光源駆動に好適な、負荷に依存しない定電流出力を提供するように適合され、いかなる形のフィードバックも複雑な制御も必要としない。LCL直列−並列共振回路を含む電源アダプタは、従って、メイン電源から固体素子光源への電力変換を、従来の電源アダプタに比べてはるかに効率的に提供することができる。そして、従来技術のアダプタよりも小型で製造コストの小さい電源アダプタとすることができる。それに加えて、電源アダプタの出力部における電力は、入力電力の減少と共に一般的に減少するので、LCL直列−並列共振回路を含む電源アダプタは、メイン電源に付属する通常の電力低減装置と共に用いるのに好適である。従って、本発明の更なる態様によれば、固体素子光源用の電源アダプタが提供され、電源アダプタは、メイン電源との接続用の入力部と、入力部に接続され、固体素子光源を駆動するのに好適な出力を提供する、LCL直列−並列共振回路とを備える。
【0026】
共振回路は、好ましくは、所与の入力電圧で、定電流出力を提供するように適合される。従って、出力部に伝達される電力は、好ましくは、制御を要さずに、入力部の電圧の変化と共に変化する。特に定電流の大きさは、好ましくは、入力電圧に比例する。さらには、共振回路は、好ましくは、所与の入力電圧で、負荷に関係しない定電流出力を提供するように適合される。このような特性を実現するために、共振回路は、好ましくは、共振周波数の1つがこの性質を提供するように適合され、共振回路は、好ましくは、その共振周波数、もしくはその共振周波数の十分近傍で駆動されて、電源アダプタが固体素子光源に好適に用いられるように適合される。
【0027】
しかしながら、共振回路を共振周波数の分数調波で駆動することにより、電源アダプタの力率、及び/又は効率は、改善されることがわかっている。最も好ましくは、共振回路は、1/xの分数調波で駆動され、ここでxは、奇数であり、例えば、1/3、1/5、1/7となる。
【0028】
共振回路を共振周波数の分数調波で駆動することは、共振駆動回路のスイッチング周波数とスイッチング損失が小さくなり、それによって電源アダプタの効率が改善されるという利点を有している。従来技術による共振回路のほとんどにおいては、分数調波で回路を駆動すると、電力が低減する。しかしLCL直列−並列共振回路は、後で詳述するように、0Hzでその共振周波数の1つを持つようにすることができ、これによって負荷を低周波電流が通過するようにできる。従って、回路が共振周波数の分数調波で駆動された場合、共振回路を通過する電流と、負荷に伝達される電力は、実質的に変化しない。
【0029】
LCL直列−並列共振回路は、3つの共振周波数を持つように適合されてもよい。すなわち、0Hzの第1の共振周波数つまり直流電流と、所与の入力電圧において負荷に依存しない定電流出力を提供する第2の共振周波数と、所与の入力電圧において負荷と共に変化する電流を与える第3の共振周波数、とである。これらの共振周波数は、好ましくは、第1のインダクタと、第2のインダクタと、第1のコンデンサを、それらの部品のリアクタンスが実質的に同じになるように選択することで実現される。第3の共振周波数は、第2の共振周波数に比べて、はるかに大きな電力を出力に提供できる。従って、電源アダプタのコントローラは、それぞれの異なる特性を利用するために、異なる共振周波数の間でスイッチングできるよう、適合されてもよい。例えば、電源アダプタのコントローラは、230Vと110Vの交流の間での入力電圧の変化を補償するために、第2の共振周波数と第3の共振周波数との間の切り替えるように適合されてもよい。このような制御の更なる例としては、照明システムの重要なポイントにトライアックを搭載することや、電源アダプタの力率及び/又は変動率を変更することが含まれる。
【0030】
入力部の電圧が正弦波的に変化すると、上述のように構成されたLCL直列−並列共振回路によって入力部から引出(drawn)される電流は、本質的に矩形となる。しかし、共振回路によって入力部から引出される電流は、電源アダプタのコントローラによって変形されてもよい。従って、電源アダプタは、共振回路によって入力部から引出される電流の波形を決定するように適合されたコントローラを含んでもよい。特にコントローラは、入力部から引出される波形が、入力部における電圧波形形状により似るように、共振回路によって引出される電流の波形を変形するように適合されてもよい。特に共振回路により引出される電流は、概ね正弦波的であり、平坦化したピークをもつ波形を有しても良い。
【0031】
共振回路は、好ましくは、共振駆動信号を共振回路に提供する、共振駆動回路によって駆動される。共振駆動信号は、好ましくは交流信号であり、好ましくはFETのような2つ又は4つの電子スイッチを制御できる発振器によって提供される。共振駆動信号は、典型的には矩形波形を有する。駆動回路の目的は、共振回路を交流電圧で励起することであり、その交流電圧は典型的には正電圧と負電圧のブロックで構成される。電子スイッチは通常、フルブリッジインバータ(4スイッチ)の形か、ハーフブリッジインバータ(2スイッチ)の形に接続される。
【0032】
上記のように、電源アダプタは、共振回路により本質的に引出される電流波形を変更するように、具体的には波形の形状、及び/又は大きさを変更するように適合されてもよい。特に、共振駆動信号が共振回路に与えられてもよく、共振駆動信号は、所望の入力電流波形を決定するように適合される。例えば、共振駆動信号は、以下のもの、及びその組合せを含むさまざまな方法で適合されてもよい。ただしこれに限るものではない。(i)交流駆動信号の半サイクル又は全サイクルの間に不感帯を導入する、(ii)駆動信号の周波数を変化させる、(iii)交流駆動信号の周期を欠落させる。
【0033】
交流駆動信号の周期を欠落させる方法で駆動信号が適合される場合、これらの欠落する周期は、それぞれのメイン電源サイクルに対して、不連続構成、1つの連続するグループ構成、又は複数の連続するグループ構成として、構成されてもよい。欠落した周期が複数の連続するグループに配置される場合、メイン電源の各サイクルに対する連続グループ数は好ましくは、出力電力に見合って選択され、従って、出力電力に応じて可変となる。
【0034】
以下で述べるように、電源アダプタは、固体素子光源からの光出力を制御するように適合されてもよい。この実施形態において、共振駆動信号は、好ましくは、固体素子光源からの光出力を決定するために、例えばコントローラにより変化してもよい。共振駆動信号は、好ましくは、電源アダプタの力率、及び/又は効率を最適化するように適合される。
【0035】
あるいは、固体素子光源からの光出力が電源アダプタの入力部における電力変化によってのみ制御可能であるように、電源アダプタが構成されている場合、共振駆動信号は、好ましくは、電源アダプタの力率及び/又は効率を最適化するように、予め定められていてもよい。
【0036】
上記のように、電源アダプタの任意のコントローラは、好ましくは、共振回路によって入力部から引出される電流の波形を決定するために、共振回路に与えられる共振駆動信号を制御するように適合される。電源アダプタのコントローラは、マイクロプロセッサ、アナログ電子回路や、アナログ電子回路とデジタル電子回路の任意の組み合わせ、等のような集積回路によって提供されてもよい。実際に、電源アダプタのコントローラは、非常に安価に製造できる、特定用途向け集積回路であってよい。この構成において、駆動回路の発振器は、集積回路の一部を成してもよいし、別の回路であってもよい。
【0037】
共振回路を駆動する周波数の決定は、電源アダプタの効率をより上げるための調整に利用されてもよい。あるいは、共振回路を駆動する周波数は、固体素子光源へ供給する電力を変化させるために、使用中に変化させてもよい。
【0038】
固体素子光源を駆動するための出力は、特にユーザが固体素子光源及び/又は関連する回路へアクセスするアプリケーションに対しては、共振回路から分離されてもよい。この場合この分離のために、電源アダプタは、好ましくは圧電変圧器を備える。
【0039】
共振回路は、第1のコンデンサが接続された、一対の電位分割コンデンサを含んでもよい。あるいは、共振駆動回路が、単相インバータとしての2つのスイッチ枝(例えば“Hブリッジ”)を形成するように配置された4つの電子スイッチ(例えばFET)を含む場合、コンデンサの対は、1つのコンデンサで置き換えることが可能である。これらのコンデンサは、好ましくは、Yコンデンサである。
【0040】
別の実施形態において、共振駆動回路は、LCL直列−並列共振回路とグランドとの間に接続された2つの電子スイッチ(例えばFET)、すなわち2つの“ローサイド”スイッチを備える。2つのローサイドスイッチは、好ましくは、それぞれがオンとオフとの間を交互に入れ替わり、第1のスイッチがオンのときには第2のスイッチはオフであり、又はその逆となっている。この構成は、スイッチが集積回路などのような低電圧コントローラで駆動される場合、特に有利である。
【0041】
この実施形態において、LCL直列−並列共振回路の第1の共振インダクタは、好ましくは、2つのインダクタから成り、1つは第1のコンデンサの一端に接続され、もう1つは第1のコンデンサのもう一方の端部に接続される。この構成では、2つのインダクタの内の1つが、メイン電源の正側の半サイクルにおいてアクティブであり、2つのインダクタの内のもう1つが、メイン電源の負側の半サイクルにおいてアクティブとなる。一実施形態では、この2つのインダクタは、1つの共通のコアの周りに巻かれ、LCL直列−並列共振回路の第1の共振インダクタは3、端子インダクタとなっている。
【0042】
電源アダプタを、メイン電源に対して負荷抵抗のように見せるために、電源アダプタは、入力部における電圧の関数として入力部から電流を引出す。これは好ましくは以下のように実行される。(i)電源アダプタ入力部におけるキャパシタンスを最小化する。(ii)入力部において電圧波形と実質的に位相が揃っている電流波形を、入力部から引出す。及び/又は、(iii)電圧に実質的に比例する電流を引出す。これらの機能は、電流のひずみ、及びメイン電源からの高調波電流を低減させ、メイン電源に存在する静電負荷をなくすことにより電源アダプタの効率及び力率を向上させる。実際、これらの機能により、電源アダプタ及びそれに接続された固体素子光源を、メイン電源に対しては通常のフィラメント光源として見せることが可能となる。
【0043】
あるいはまた、電源アダプタを、メイン電源に対して負荷抵抗のように見せないために、電源アダプタは、入力部における電圧の関数として入力部から電流を引出してもよい。
【0044】
固体素子光源は、好ましくは、単一の発光ダイオード(LED)もしくは2個以上の一組のLEDである。電源アダプタは、好ましくは、固体素子光源にダメージを与える可能性のある逆方向電流がないようにするために、ダイオードブリッジなどの1つ又は複数のダイオードを出力部に含む。
【0045】
電源アダプタの任意の制御回路は統合電源によって電力を供給されてもよい。又は、電源アダプタの制御回路は、共振回路の1つのインダクタに接続して、例えばそのインダクタと結合している巻線へ接続して、電力を供給されてもよい。
【0046】
電源アダプタが統合電源を含む場合、統合電源は、好ましくは、メイン電源から直接電力を引出し、最も好ましくは、電源アダプタの入力部を経由して電力を引出す。特に、統合電源は、好ましくは、スイッチモードの定電流調整器などの定電流電源であり、これは好ましくは、過度の突入電流を発生させず、安価である。電源アダプタがトライアックやそれに類似の装置に接続されているときのように、定電流装置の電力が低く、従って効率が高くなるために、メイン電源のサイクルがオフの期間の間、制御回路は、好ましくは自分自身を遮断するようになっている。
【0047】
電源アダプタは、好ましくは、故障検知回路も含む。これは例えば光源の故障あるいは切断により起きる可能性のある負荷がなくなった場合に、好ましくは振動駆動信号を除去することにより共振回路の動作を止める。故障検知回路は、好ましくは、共振回路の出力をコントローラに接続される。故障検知回路は、フィードバック回路であるが、好ましくは正常動作時には、共振回路の出力から最小の電力を引出す。従って、電力の出力を調整するアクティブフィードバックと混同してはならない。故障検知回路は、故障状態のときにのみアクティブとなり、正常使用時の出力制御には必須ではない。
【0048】
電源アダプタは、メイン電源からの高調波電流の流入を減少させるために入力部にフィルタを含んでもよい。フィルタは、小さな非電解コンデンサとインダクタの回路網でできていてもよい。電源アダプタは、好ましくは、入力波形を一定極性の波形に変換するための整流器も入力部に含む。最も好ましくは、整流器は、交流電流波形の負(あるいは正)部分を反転させる、全波整流器である。しかし電源アダプタがLCL直列−並列共振回路の入力部に安定した直流信号を提供する必要はなく、従ってバルクコンデンサ(貯蔵コンデンサ、あるいは平滑コンデンサとしても知られている)を、好ましくは電源アダプタの入力部とLCL直列−並列共振回路との間には設けない。従って、電源アダプタは、好ましくは、電源アダプタの入力部と共振回路との間にバルク静電容量を実質的に持っていない。実際に、電源アダプタは、好ましくは実質的に電解コンデンサを含まない。このことにより、従来技術の固体素子照明システム用電源アダプタに比べて、最小リアクタアンス、最小突入電流、長寿命かつ小寸法、低コストの電源の設計が可能となる。バルクコンデンサは、電源アダプタの出力部に設けてもよい。ただしこれは、通常の固体素子光源に用いる電源アダプタの機能に対して必須ではない。
【0049】
本発明による電源アダプタは、好ましくは、電源アダプタの入力部で使用可能な電力を決定するために、任意の電力低減装置を利用する照明システムへの使用に好適である。特に電力低減装置はバリアック(Variac)、あるいはレオスタットなどの可変抵抗であってもよい。電源アダプタは、また、電源アダプタの入力部における電力を低減するために、サイリスタの位相制御又はトライアックを利用した調光器を含む照明システムで機能するように適合されてもよい。しかしながらこの場合、照明ユニットの電源が切断されない限り、調光器の継続的な機能を確保するために、電源アダプタは、メイン電源から最小電流を取り込んで、メイン電源の全サイクルの間サイリスタを安定に保つようになっていてもよい。
【0050】
本発明による電源アダプタの更なる利点は、例えば電源アダプタのコントローラによる、入力部での電圧モニタの必要がないことである。従って、本発明による電源アダプタは、入力部における電圧モニタのためのすべての手段を含まなくてよい。特に、電源アダプタは、入力部からの信号をコントローラが受信しないようになっていてもよい。
【0051】
電源アダプタは、入力部から引出す電力を低減するために共振回路へ制御信号を送信できるコントローラを含んでもよい。しかし、別の実施形態においては、電源アダプタは、そのような機能を有するコントローラを含まない。特に電源アダプタは、電源アダプタの入力部で得られる電力を変化させることによってのみ、固体素子光源の光出力を制御できるようになっていてもよい。特に電源アダプタの入力部で得られる電力は、メイン電源に付属する外部電力低減装置などのような外部装置を利用して、変化させてもよい。この実施形態は、通常の照明回路に組み込むのに好適である統合電源アダプタを含む照明ユニットに対しての使用に特に好適である。電源アダプタの効率を最大化するために、電源アダプタは好ましくは、不可避的な損失を除いて、入力部で得られる全電力を、電源アダプタの出力に変換するようになっている。
【0052】
本発明の更なる態様によれば、上述の電源アダプタと、少なくとも1つの固体素子光源を含む照明ユニットとを備えた照明システムが提供される。
【0053】
照明ユニットには、一般的に複数の固体素子光源が設けられている。異なる色の光出力を実現するために、照明ユニットには、例えば、赤、緑、青の色を放出するLEDのような、異なる色の光を放出する複数の固体素子光源が含まれる。さらに、演色性指数を上げるために照明ユニットに、琥珀色、シアン、白のLEDも含まれてよい。
【0054】
電源アダプタと照明ユニットが共通のハウジングを有してもよいし、別々に収納されてもよい。実際に、電源アダプタは、それぞれに複数の固体素子光源が含まれた複数の照明ユニットに電力を供給するように適合されてもよい。さらに、照明システムが、そのような電源アダプタを複数含んでいてもよい。照明システムは、可変抵抗、レオスタットやSCR位相制御を利用した調光器などの電力低減装置を含んでいてもよい。
【0055】
本発明による電源アダプタは、通常の照明回路に組み込むのに好適である統合電源アダプタを含む照明ユニットに対しての使用に、特に好適である。従って、本発明の更なる態様によれば、メイン電源に直接接続するのに好適な照明ユニットが提供され、照明ユニットは、上述の電源アダプタと、1つ又は複数の固体素子光源とからなり、1つ又は複数の固体素子光源からの光出力は、電源アダプタの入力部における利用可能な電力を変化させることによって制御可能である。電源アダプタの効率を最大化するために、電源アダプタは、好ましくは、不可避的な損失を除いて、入力部で得られる全電力を、電源アダプタの出力に変換するように適合されている。
【0056】
照明ユニットは、好ましくは、電源アダプタと1つ又は複数の固体素子光源を収納するハウジングと、電源アダプタの入力部をメイン電源に接続するコネクタと、を備える。コネクタは、好ましくは通常のフィラメント電球のソケットに接続できるように適合されている。具体的には、照明ユニットは、ベイオネット型、すなわちねじ山型コネクタを含んでよい。一実施形態において、1つ又は複数の固体素子光源からの光出力は、電源アダプタの入力部で得られる電力を変化させることによってのみ制御可能である。
【0057】
本発明の更なる態様によれば、LCL共振回路を組み込んだ、インピーダンス整合回路が提供され、LCL共振回路は、入力端子と出力端子とを有し、第1のインダクタL1が第1の入力端子から第2のインダクタL2との共通点を通って第1の出力端子へ接続され、第2の入力端子は第2の出力端子へ直接接続され、コンデンサC1が2つのインダクタの間の共通点と、第2の入力端子と第2の出力端子との間の直接接続部との間に接続されており、入力端子は高周波インバータで駆動され、出力端子は、見掛け上のインピーダンスRLの負荷に接続され、部品L1、L2、C1の値は、少なくとも1つの周波数において、L1、L2、C1のリアクタンスの大きさがほぼ同じになるように選択され、そして、少なくとも1つの周波数において、入力端子から見た見掛け上のインピーダンスはLCL共振回路によって変換されて、コンデンサのリアクタンスの二乗を負荷の見掛け上のインピーダンスRLで割ったものにほぼ等しくなる。
【0058】
高周波インバータの動作周波数は、好ましくは、L1、L2、C1のリアクタンスがほぼ同じとなる周波数に近い。
【0059】
インピーダンス整合回路は、好ましくは、入力の電源電圧よりはるかに低い電圧仕様の、1つ又は複数のLEDの駆動に適合される。
【0060】
しかしこれとは別に、インピーダンス整合回路は、入力の電源電圧よりはるかに低い電圧仕様の、電池の充電に適合されるか、又は変化する見掛け上の負荷インピーダンスを供給電圧に対して動的に整合させることにより、2つ以上の速度でモータを駆動するのに適合される。
【0061】
本発明の好適な実施形態を、添付の図面を参照しながら、説明の目的で以下に詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による電源アダプタの概略図である。
【図2】図1の電源アダプタの一部を構成する共振コントローラと共振駆動回路とを含む、共振回路の概略図である。
【図3】別の共振駆動回路を含む、図2の共振回路の概略図である。
【図4】図2に示す回路の第2の代替回路の概略図である。
【図5】図2に示す回路の第3の代替回路の概略図である。
【図6】図2に示す回路の第4の代替回路の概略図である。
【図7】図2に示す回路の第5の代替回路の概略図である。
【図8】本発明による照明システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、本発明による電源アダプタ20を示す。電源アダプタ20は、メイン回路から電力を引出す入力部22と、固体素子照明ユニット50の3つのLED60a、60b、60cに電力を供給する出力部24と、を備える。電源アダプタ20は、入力部22にフィルタ整流回路30を含み、メイン回路から引出された交流電圧波形が、全波整流波形(DC+)として電源アダプタの他の部分へ供給される。
【0064】
電源アダプタは、低電力補助電源32と共振回路34も含む。共振回路34は、共振コントローラ40と共振駆動回路42とを含み、詳細を以下で図2を参照して説明する。低電力補助電源32は、共振コントローラ40と共振駆動回路42との統合回路に電力を供給するための、低電力直流出力(+V)を供給する。これは電源アダプタの統合回路への電力を安定して供給し、これらの回路の安定した機能を保証する。他の実施形態において、電源アダプタの統合回路は、共振回路の1つのインダクタに結合した追加の巻線に接続することにより電力を受ける。従ってその場合、補助電源32は、省略されることに留意されたい。
【0065】
共振コントローラ40と共振駆動回路42とを含む共振回路34が図2に示されている。共振コントローラ40は、制御回路を含み、共振駆動回路42を制御するように適合されている。特に、共振コントローラ40は、共振駆動回路42へ制御信号を供給し、それが、共振回路34によって入力部から引出される電流形状を決定する。他の実施形態では、共振駆動回路42は、自励発振式であり、制御回路が完全に省略されることに留意されたい。
【0066】
共振回路34は、LCL直列−並列共振回路(L1、C1、L2)の形式を有する。共振駆動回路42は、矩形波駆動信号でLCL直列−並列共振回路を駆動するように適合されている。この矩形波信号は、共振回路の第1の終端に接続された2つの電子スイッチ、例えばFET、と付属の駆動回路44とによって生成される。FETは、共振コントローラ40によって制御される。共振回路34の出力は、ダイオードのブリッジを用いて整流され、整流器の出力部にあるコンデンサ(C5)によって平滑化され、LED60a、60b、60cを駆動するのに好適な出力とされる。コンデンサC2とC3は、実質的にDC+と0Vの中間電圧である、共振回路の第2の終端用の接続点を形成する。
【0067】
あるいは、共振駆動回路42は、図3に示すように、単相インバータとして、2つのスイッチング枝(“Hブリッジ”型)を形成するように配置された4つの電子スイッチ(例えばFET)を含んでいる。この実施形態において、コンデンサC2とC3は、DC+と0Vの間に接続された1つのコンデンサ(C2)で置き換えられている。スイッチングの遷移時間における過電圧損傷からスイッチを保護するために、小容量のコンデンサが必要とされ、回路は、直流電源を横切るコンデンサなしでは動作できない。
【0068】
LCL直列−並列共振回路は、選択された周波数において、L1のリアクタンス(XL1)、C1のリアクタンス(XC1)、L2のリアクタンス(XL2)が実質的に等しくなるように構成される。この構成においては、LCL直列−並列共振回路は、ゼロではない共振周波数を2つ持つ。リアクタンスが等しくなる周波数は、ゼロでない2つの共振周波数の内の1つである。この周波数で共振回路を駆動する場合、共振回路は、負荷に拘わらず定電流を出力部へ、つまりLED60a、60b、60cに供給する。定電流の大きさは入力電圧に比例する。この共振周波数は、
【数2】

である。
【0069】
従って、共振コントローラ40と共振駆動回路42とは、LCL直列−並列共振回路をこの共振周波数ωの付近に励起するように適合されている。共振回路を共振周波数付近で駆動する結果、電子スイッチのスイッチング損失は、低減され、従って回路の効率が向上する。更なる利点として、電導及び放射による電磁干渉が減少し、その結果、そのためのフィルタリング及びスクリーニングの部品代が節約できる。
【0070】
LCL直列−並列共振回路のこの構成による通常特性は、入力電圧に直接関係する電力を引出すことである。特に制御しないでも、入力部22での電圧が正弦波で変化すれば、入力部22から引出される交流電流は、矩形波となる。しかし、スイッチのオンタイム変調、及び/又は周波数を利用して、各ゼロクロス近傍の入力22から引出される電力を低減し、それによって入力電流の高調波を改善することが可能である。それに加えて、整流器の出力部の任意選択のコンデンサ(C5)によって、LEDへ供給される電力を平滑化することができ、出力光の変動が低減される。
【0071】
好ましくは、LCL直列−並列共振回路の出力部と、共振コントローラ40のPIC上の無効ピンとの間の抵抗R1を介した接続と、抵抗R2を介した0Vへの接続とを含む、故障検出回路が備えられる。故障検出回路は、最小限の電力を引出す。しかし、LED60a、60b、60cの導通が停止すると、関連する故障検出回路が、共振回路の出力部の電圧上昇を速やかに検知し、共振コントローラ40に、共振駆動回路42への出力を閉鎖させ、それによって共振回路34から駆動信号を除去させる。図2において、故障検出回路がL2とダイオードブリッジとの間に接続されていることが示されている。しかし、この回路は、ダイオードブリッジの正側の終端と、出力部24の正端子との間に接続されてもよいことに留意されたい。
【0072】
LED60a、60b、60cへ分配される電力量はメイン電源の入力電圧を変えることによって変化させることができる。このため電力低減装置10と共に用いるのが好適である。
【0073】
図4は、図2の回路の更なる代替回路を示す。ここでは共振コントローラ40は、省略されている。この実施形態においては、共振駆動回路42は、共振回路の第1の終端に接続された、2つの電子スイッチ、例えばFETと、電子スイッチに好適な駆動信号を供給可能な、任意形式のアナログ回路又はデジタル回路である付属の駆動回路44と、からなる。さらに、この実施形態は、故障検出回路(図2及び図3のR1とR2)も、整流器の出力部のコンデンサ(図2及び図3のC5)も含まない。
【0074】
図1〜4に関連する上記の各電源アダプタは、高電圧電源(例えば、110V又は230V、周波数50Hz又は60Hzの交流)に接続され、固体素子光源などの低電圧(例えば10〜20V)の負荷を駆動するのに好適な出力を、提供するように適合されている。特に、各電源アダプタのLCL直列−並列共振回路は、磁気変圧器を必要としないで、電源に対して、著しく降圧した電圧と、著しく増大させた電流とを有する出力を提供するように適合されている。
【0075】
図1〜4に関連して説明した、電源アダプタのLCL直列−並列共振回路のそれぞれは、4つのスイッチング装置を有するフルブリッジインバータ、もしくは2つのスイッチング装置を有するハーフブリッジインバータと、電圧分割コンデンサとに接続された、第1の端子と第2の端子とを有している。第1のインダクタL1と第1のコンデンサC1とは、第1の端子から第2の端子へ向かって直列に接続されている。回路の負荷への枝は、第1のコンデンサC1に並列に接続される。ここで負荷への枝は、整流手段に対して直列の第2のインダクタL2を備え、単一方向電流を負荷に供給し、共振回路中の電流は、高周波の交流電流となっている。
【0076】
そのような回路において、第1のコンデンサC1の両端にかかる電圧が負荷の枝を通して流れる電流を決定する。従って、第1のインダクタL1のリアクタンスを増加させれば、この部品の両端でより大きな電圧降下が起き、負荷の枝にかかる電圧を、所要の低電圧によりよく整合させられることが期待される。
【0077】
しかし実際にはそうではないことが判明した。ただし、負荷の枝の電流が第1のインダクタL1中の電流よりもはるかに大きくなるように、共振回路部品L1、L2、C1の値を選択することが可能である。
【0078】
この回路の負荷枝中の電流は、任意の周波数において次式で与えられる。
【数3】

ここで、XL1、XL2、XC1は共振回路部品L1、L2、C1のそれぞれのリアクタンスであり、Vは励起電圧、Rは負荷の実効抵抗、jは無効成分である。
【0079】
L1=XL2=−XC1である場合には、上の式は、次のように簡単になる。
【数4】

この場合には、負荷中の電流は、負荷に依存せず、入力電源電圧に比例する。
【0080】
さらにXC1を減少させると、同じ電圧に対して負荷電流が増加する結果となる。しかし、本発明の重要な点は、共振点において、回路の入力抵抗は、
【数5】

となり、これを変形すると、次のようになる。
【数6】

【0081】
従って、所与の負荷RをRinの所要の(大きな)値に合わせて入力部から引出す電流を小さくし、負荷に供給する電流を高くするように、XC1の値を選択することが可能となる。
【0082】
このように、本発明のこの実施形態では、コンデンサとインダクタの値を適正に選択することにより、高い電源電圧で、低電圧のLED列を駆動することが可能である。この回路が定電流である点も、利点となっている。
【0083】
一例として、電流仕様が1Aで順方向電圧が12VのLED列が、230VAの交流電源で駆動される場合を考える。負荷Rの見掛け上の抵抗は12Ωである。負荷の電力は12Wであるので、入力電力は(損失がないとして)12Wである。共振回路の駆動に、分割されたコンデンサを持つハーフブリッジインバータが使用される場合、共振回路にかかる実効電圧は、±115Vである。従って、所要の入力抵抗は、約1100Ωである。よって、Xciの値は115Ωとなり、これは周波数70kHzでは20nFのキャパシタンスに対応する。これに対応するLとLの値は、260μHとなる。
【0084】
本発明による、電源アダプタの更なる実施形態を図5に示す。この実施形態は、前の実施形態と同様であって、ハーフブリッジインバータ(M1、M2)、LCL直列−並列共振回路(L1、C1、L2)、一対の電位分割コンデンサ(C2、C3)、ショットキーダイオードブリッジ(D1−D4)、及び出力部のコンデンサ(C4)からなる。出力は、直列に接続された1つ又は複数のLED(図5では、2つのLED、すなわちLED1とLED2とを示す)に接続される。
【0085】
ただしこの実施形態では、LCL直列−並列共振回路のコンデンサ(C1)が圧電変圧器によって画定されている点が、前の実施形態とは違っている。圧電変圧器は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などのセラミック材料でできた、4つの圧電変圧素子で構成されている。
【0086】
圧電変圧器を含むLCL直列−並列共振回路は、電源に対して、電圧が大幅に低く、電流が大幅に大きい出力を提供するように適合される。具体的には、この電源アダプタは高電圧の電源(例えば、110V又は230V、周波数50Hz又は60Hzの交流)に接続し、低電圧(例えば10〜20V)の固体素子光源を駆動するのに好適な出力を提供するように適合される。
【0087】
圧電変圧器はまた、電源アダプタの出力を電源アダプタの入力から分離する。
【0088】
本発明による、電源アダプタの更なる実施形態を図6に示す。この実施形態は前の実施形態と同様であって、LCL直列−並列共振回路(L1、C1、L2)、一対の電位分割コンデンサ(C2、C3)、ショットキーダイオードブリッジ(D1−D4)とからなり、出力部にコンデンサ(C4)がある。出力は、直列に接続された2つのLED(LED1、LED2)に接続されている。
【0089】
この実施形態が前の実施形態と違うのは、この共振駆動回路は、LCL直列−並列共振回路とグランドとの間に2つのFET(M1とM2)、すなわち2つの“ローサイド”スイッチがあることである。この2つのローサイドスイッチは、それぞれがオンとオフとの間を交互に入れ替わり、第1のスイッチがオンのときには第2のスイッチはオフであり、又はその逆となっていて、矩形波の駆動信号を生成できるようになっている。
【0090】
さらに、前の実施形態のLCL直列−並列共振回路の第1の共振インダクタ(L1)が2つのインダクタ(L1aとL1b)に置き替えられており、1つはコンデンサC1の一端に接続され、もう1つはコンデンサC1のもう一端に接続されている。この構成では、この2つのインダクタの内の1つ(L1a)が、出力部で共振周波数の正側の半サイクルにおいてアクティブであり、2つのインダクタの内のもう1つ(L1b)が、出力部で共振周波数の負側の半サイクルにおいてアクティブとなる。
【0091】
この実施形態は、スイッチ(M1、M2)が集積回路等のような低電圧コントローラで駆動される構成において、特に有利である。
【0092】
本発明による電源アダプタの更なる実施形態を図7に示す。この実施形態は、図5に示した構成に対応する圧電変圧器を構成中に含む点を除けば、図6に示す実施形態と同じである。この実施形態は、図5と図6に関連して述べた利点を組み合わせたものである。
【0093】
最後に、図8は、本発明による照明システムを示す。照明システムは、メイン電源L、Nと、トライアックなどの電力低減装置10とを含むメイン回路に接続され、本発明による電源アダプタ20と固体素子照明ユニット50とを含む。固体素子照明ユニット50は、直列接続された3つのLED60a、60b、60cを含む。電源アダプタ20は、メイン回路から電力を供給され、固体素子照明ユニット50のLED60a、60b、60cに電力を供給するように適合されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源接続用の入力部と、
負荷駆動に好適な出力を提供する前記入力部に結合した共振回路と、
を備える、電源アダプタであって、
前記共振回路のキャパシタンスとインダクタンスとは、前記電源アダプタの入力と出力との間に、実効電圧の所定変化と対応する実効電流の所定変化とを提供するように、選択される、
電源アダプタ。
【請求項2】
前記共振回路のキャパシタンスとインダクタンスとは、前記電源アダプタの入力と出力との間に、実効電圧の所定の減少と対応する実効電流の所定の増加とを提供するように、選択される、請求項1に記載の電源アダプタ
【請求項3】
前記共振回路のキャパシタンスとインダクタンスとは、前記電源アダプタの入力と出力との間に、実効電圧の所定の増加と対応する実効電流の所定の減少とを提供するように、選択される、請求項1に記載の電源アダプタ
【請求項4】
前記共振回路のキャパシタンスとインダクタンスとは、前記電源アダプタの入力部における実効電圧と前記電源アダプタの出力部における実効電圧との間に、所定の比を与えるように選択され、かつ、前記電源アダプタの入力部における実効電流と前記電源アダプタの出力部における実効電流との間に、所定の比を与えるように選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項5】
前記電源アダプタの入力と出力との間における、前記実効電圧と実効電流との所定の変化は、磁気変圧器の補助なしで行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項6】
前記電源アダプタの入力と出力との間における、前記実効電圧と実効電流との所定の変化は、変圧器の補助なしで行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項7】
前記電源アダプタは、前記電源アダプタの出力と入力とを分離する圧電変圧器を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電源アダプタ
【請求項8】
前記圧電変圧器は、前記電源アダプタの入力と出力との間に、実効電圧の更なる所定変化と実効電流の更なる所定変化とを提供する、請求項7に記載の電源アダプタ。
【請求項9】
前記電源アダプタの前記圧電変圧器は、前記共振回路のキャパシタンスの少なくとも一部を提供するように構成されている、請求項7又は請求項8に記載の電源アダプタ。
【請求項10】
前記圧電変圧器は、前記共振回路のキャパシタンスのすべてを提供する、請求項9に記載の電源アダプタ。
【請求項11】
前記出力は、定電流負荷の駆動に好適である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項12】
前記共振回路は、前記交流電源の特定の実効電圧に対して、所定の実質的定電圧を有する出力を提供するように構成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項13】
前記共振回路は、前記交流電源の特定の実効電圧に対して、所定の実質的一定な電圧を、前記入力交流サイクルの大部分に対して供給するために、好ましくは、前記電源アダプタの入力部で受電した実際の電圧をブーストする(すなわち、上昇させる)かバックする(すなわち、降下させる)かのいずれかを行うように構成されている、請求項12に記載の電源アダプタ。
【請求項14】
前記電源アダプタは、固定負荷の駆動に好適である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項15】
前記電源アダプタは、固定負荷と変動負荷の駆動に適合されている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項16】
前記電源アダプタは、前記電源アダプタにより提供される出力での駆動に対して前記負荷が不十分な場合、前記出力を停止し、前記電源アダプタにより提供される出力での駆動に対し前記負荷が十分な場合、前記出力を作動させるように適合されている、請求項15に記載の電源アダプタ。
【請求項17】
前記共振回路は、LCL直列−並列共振回路である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項18】
前記共振回路は、その共振周波数の1つにおいて、前記電源アダプタが所与の入力実効電圧で定電流出力を提供するように適合され、
前記共振回路は、前記共振周波数又はその分数調波、又は前記共振周波数又はその分数調波の十分近傍において、定電流負荷に対して前記電源アダプタが好適に使用されるように駆動される、
請求項17に記載の電源アダプタ。
【請求項19】
前記定電流負荷は、固体素子光源である、請求項18に記載の電源アダプタ。
【請求項20】
第1と第2のインダクタは、前記第1のインダクタのリアクタンスXL1と前記第2のインダクタのリアクタンスXL2と大きさが実質的に等しく、かつ第1のコンデンサのリアクタンスXC1の大きさと実質的に等しくなるように選択されている、請求項17〜19のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項21】
前記LCL直列−並列共振回路のキャパシタンスは、所要負荷抵抗Rと前記共振回路の所要入力抵抗Rinとに整合するリアクタンスXC1を有するように選択されている、請求項17〜20のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項22】
前記キャパシタンスは、前記所要負荷抵抗Rと前記共振回路に対する前記所要入力抵抗Rinとの積の平方根に等しいリアクタンスを有するように選択されている、請求項21に記載の電源アダプタ。
【請求項23】
前記電源アダプタは、メイン交流電源への接続用の入力部を備え、前記共振回路は、固体素子光源を駆動するのに好適な出力を提供する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項24】
前記共振回路は、共振インダクタ中を流れる電流に対して増加又は減少した電流を有する出力を提供し、それに対応して、前記出力が前記電源の実効電圧に対して減少又は増加した実効電圧を有するように構成されている、請求項1〜23のいずれか1項に記載の電源アダプタ。
【請求項25】
前記出力は、前記第1の共振インダクタ中を流れる電流に対して少なくともファクタ2だけ増加又は減少した電流を有する、請求項24に記載の電源アダプタ。
【請求項26】
前記出力は、前記共振インダクタ中を流れる電流に対して少なくともファクタ5だけ増加又は減少した電流を有する、請求項24に記載の電源アダプタ。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の電源アダプタと、
固体素子光源を含む照明ユニットと、
を備える照明システム。
【請求項28】
前記照明ユニットは、複数の固体素子光源を有する、請求項27に記載の照明システム。
【請求項29】
メイン電源に直接接続するのに好適な照明ユニットであって、
前記照明ユニットは、
請求項1〜26のいずれか1項に記載の電源アダプタと、
固体素子光源と、
を備え、
前記固体素子光源からの光出力は、前記電源アダプタの入力部における利用可能な電力を変化させることによってのみ制御可能である、
照明ユニット。
【請求項30】
前記電源アダプタは、不可避の損失を除き、前記入力部で利用可能な全電力を前記電源アダプタの出力に変換するように適合されている、請求項29に記載の照明ユニット。
【請求項31】
前記照明ユニットは、
前記電源アダプタと前記固体素子光源とを収納するハウジングと、
前記電源アダプタの入力部を前記メイン電源に接続するためのコネクタと、
を備える、請求項29又は請求項30に記載の照明ユニット。
【請求項32】
前記コネクタは、通常のフィラメント電球のソケットに接続するように適合されている、請求項31に記載の照明ユニット。
【請求項33】
LCL共振回路を組み込んだ電気インピーダンス整合回路であって、
前記LCL共振回路は、複数の入力端子と複数の出力端子とを有し、第1のインダクタL1が第1の入力端子から第2のインダクタL2との共通点を通って第1の出力端子へ接続され、第2の入力端子は第2の出力端子へ直接接続され、コンデンサC1が前記2つのインダクタの間の共通点と、第2の入力端子と第2の出力端子との間の前記直接接続部と、の間に接続されており、
前記入力端子は、高周波インバータで駆動され、
前記出力端子は、見掛け上のインピーダンスRLの負荷に接続され、
少なくとも1つの周波数において、L1、L2、C1のリアクタンスがほぼ同じ大きさであり、少なくとも1つの周波数において、前記入力端子から見える見掛け上のインピーダンスは、前記LCL共振回路によって変換されて、前記コンデンサのリアクタンスを前記負荷の見掛け上のインピーダンスRLで割ったものの二乗にほぼ等しくなる、ように部品L1、L2、C1の値が選択されている、
電気インピーダンス整合回路。
【請求項34】
前記高周波インバータの動作周波数は、L1とL2とC1のリアクタンスがほぼ等しくなる周波数に近い、請求項33に記載の電気インピーダンス整合回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−505626(P2012−505626A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530572(P2011−530572)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051334
【国際公開番号】WO2010/041067
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(509272274)ホルディップ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】