説明

電源コード支持具

【課題】電源コードの着脱を簡単にする。
【解決手段】電源コード3bを枠内スペースに保持する環状枠体5を、作業ズボン19に係着する係着体6に、連結体7を介して連結することによって、電源コード支持具1を構成する。環状枠体5に、弾性によって拡開して電源コード3bを枠内スペースに対して出し入れ自在とする分離部を設けて、その分離部を形成する一対の端部の内面に、枠内スペース内の電源コードを端部に沿って分離部へ導く内側案内部をそれぞれ形成する一方、一対の端部の外面に、電源コードを環状枠体の外側から分離部へ導く外側案内部12をそれぞれ形成する。また分離部の反対側の端部に、環状枠体5から遠ざかるに従って幅広となり、アーチ状に湾曲した台座底面を備えるように台形状に形成された台座部13を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生垣バリカンや電動芝刈機等の手持ち電動工具等を使用する際に、その電源
コードを作業者の着衣に支持させる為の電源コード支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、例えば手持ち電動工具では、電源コードが宙ぶらり状態で工具本体から下方
へ垂れ下がるため、作業の際に作業対象物に当たり易く邪魔になったり、また垂れ下がっ
た電源コードを電動工具のブレードで切断するといった虞が生じる点で問題があった。従
来、このような問題を解決する技術として、特許文献1に記載されたコードバンドの技術
が知られている。このコードバンドは、長尺のバンドの一端に、電源コードを連結する為
のコード保持部を設けると共に、そのバンドの他の一端に、電源コードを衣服や体に取付
ける為の取付具を設けて構成されるものである。このコードバンドによれば、電源コード
を一旦作業者の衣服や体に保持させ、工具本体から垂れ下がっていた電源コードを作業者
側へ迂回させるので、電動工具と作業者との間に垂れ下がる電源コードを無くすことが可
能となる。よって、電源コードが作業の邪魔になったり、電源コードを不注意により引っ
掛けて切断することを防止できる。さらに、長めのコードバンドにする事により余裕をも
って電源コードを止めることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭53−091951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたコード保持部の連結構造は、図1、図4から明らかな
ように、バンドの一端を電源コードに巻回させた後、予め端部に穿設した通し孔にバンド
の他端を通すことによって連結するものである。したがって、このコードバンドにおいて
は、電源コードを連結または取り外す度に、このような一連の脱着作業が必要となり、手
間が掛る点で問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、電源コードを作業者側へ迂回させて支持でき、電
源コードの着脱を簡単にできる電源コード支持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明に係る電源コード支持具は、電源コードを枠内スペースに保持する環状枠体を、作業者の着衣に係着する係着体に、直接或いは間接的に連結してなる電源コード支持具であって、前記環状枠体に、弾性によって拡開して前記電源コードを前記枠内スペースに対して出し入れ自在とする分離部を設けて、その分離部を形成する一対の端部の内面に、前記枠内スペース内の前記電源コードを前記端部に沿って前記分離部へ導く内側案内部をそれぞれ形成する一方、前記一対の端部の外面に、前記電源コードを前記環状枠体の外側から前記分離部へ導く外側案内部をそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記環状枠体における前記分離部の反対側の端部に、前記環状枠体から遠ざかるに従って幅広となる台座部を設けて構成される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、電源コードを枠内スペースに対して出し入れ自在となるように、環状枠体に、弾性によって拡開可能な分離部を設けたので、電源コードをワンタッチで簡単に着脱することができる。さらに、分離部を形成する一対の端部の外面に外側案内部をそれぞれ形成したので、電源コードを、外側案内部に沿って分離部へ導くことができ、枠内スペースに取り入れる作業を簡単にできる。
【0009】
請求項2の発明によれば、環状枠体における分離部の反対側の端部に環状枠体から遠ざかるに従って幅広となる台座部を設けたので、環状枠体の姿勢を一定に安定させながら電源コードを枠内スペースに取り入れることができ、電源コードの保持作業を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る電源コード支持具の一実施形態を示し、電源コードの支持状態を示す説明図である。
【図2】図1の電源コード支持具を示し、(a)は拡大正面図、(b)は拡大側面図である。
【図3】図1の電源コード支持具を示し、電源コードを枠内スペースに取り入れる作業状態を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電源コード支持具の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、手持ち電動工具の一つである生垣バリカンを用いて庭木等の刈り込み作業を行う際、作業者が本電源コード支持具を使用して電源コードを支持した状態を示す説明図である。また図2の(a)は電源コード支持具の拡大正面図、(b)は同拡大側面図であり、図3は電源コードを枠内スペースに取り入れる状態を示す拡大側面図である。図1において、生垣バリカン20のバリカン本体21から延びた固定長の電源コード3aは、中継部17を介して任意長の電源コード3bに接続され、電源コード3bは、家屋の外壁に設けられた電源供給用のコンセントに接続されている。これら電源コード3a,3bは、作業者の作業ズボン19に係着させた電源コード支持具1に支持されている。
【0012】
本電源コード支持具1は、電源コード3bを枠内スペースに保持する環状枠体5を、作業者の着衣としての作業ズボン19に係着する係着体6に、連結体7を介在させて、間接的に連結してなるように構成されている。環状枠体5は、長尺帯状の板材によって長円環状の枠体となるように形成されている。環状枠体5の両側の半円形部の内、一方には、長円の長手中心軸と一致する位置に、電源コード3bを環状枠体5の枠内スペースに対して出し入れ自在とするための隙間部11が設けられている。隙間部11は、常態では、電源コード3bの線径よりも小さい幅を有し、環状枠体5の弾性によって拡開可能に形成されている。また隙間部11の向かい合う端部には、枠外の電源コード3bを隙間部11へ導く一対の案内部12が、外面側に末広がり状に延設されている。
【0013】
また他方の半円形部における隙間部11の反対側の端部には、電源コード3bを隙間部11から枠内スペースに取り入れる際に、環状枠体5の姿勢を一定に維持するための台座部13が設けられている。台座部13は、環状枠体5から遠ざかるに従って幅広となり、アーチ状に湾曲した台座底面を備えた台形状に形成されている。また台座底面は、電源コード3bを隙間部11から枠内スペースに取り入れる方向と一致する長手軸方向に対して直交すると共に、環状枠体5の帯幅に略等しくかつ長円の短手幅と略等しい平坦面を規定するように形成されている。また台座部13側面の中央には、金属製リングからなる連結体7を通す連結孔8が穿設されている。また係着体6は、長尺帯状の板材の一端を折り返すことによって着衣を挟持するクリップ状の挟持部15を備えるように構成されている。また係着体6の他端には、連結体7を通す連結孔9が設けられている。
【0014】
次に、本電源コード支持具1による、電源コード3a,3bの支持手順を説明する。生垣バリカン20を使用した刈り込み作業者は、先ず作業ズボン19の上端に、係着体6の挟持部15を折り返し端まで深く入れ込んで挟持させる。そして連結体7を介して係着体6に連結された環状枠体5を片手に持ち、台座部13の台座底面を作業者の腰に当て、環状枠体5を腰の当接面に対して直立させる。この時、台座部13の台座底面のアーチ形状を、当接面の円弧形状に一致させることが、環状枠体5の姿勢を最も安定して一定に維持可能となる点で望ましい。この直立状態において、電源コード3bを案内部12の案内により隙間部11にあてがい、環状枠体5の形状を維持する弾性力以上の押圧力を枠内方向へ加えることによって隙間部11を拡開させ、電源コード3bを枠内スペースに取り入れて保持させる。
【0015】
本電源コード支持具1によって支持された電源コード3a,3bは、バリカン本体21から作業者の腰付近まで迂回させることで余長部分を確保し、自重によって隙間部11から脱落することなく環状枠体の枠内スペースで電源コード3bが保持される。また例えば環状枠体5の形状を維持する弾性力以上の過度の衝撃負荷が隙間部11を拡開するように電源コード3a,3bに加わった場合には、電源コード3bが隙間部11から環状枠体5の枠外へ瞬時に放出されて余長部分が開放され、支持状態が解除される。
【0016】
このように、本発明によれば、電源コード3a,3bを作業者側へ迂回させて支持でき、作動中の金属ブレード等の工具刃による電源コード3a,3bの切断を防止可能となる。加えて、電源コード3bを枠内スペースに対して出し入れ自在となるように、隙間部11を環状枠体5に設けたので、電源コード3bを環状枠体5に対してワンタッチで簡単に着脱することができる。さらに、隙間部11に案内部12を設けたので、電源コード3bを案内部12に沿って隙間部11まで導くことができ、枠内スペースに取り入れる作業をより簡単にできる。また、環状枠体5に台座部13を設けたので、電源コード3bを枠内スペースに取り入れる作業の際に、環状枠体5の姿勢を安定させることができ、電源コード3bの保持作業を簡単にできる。
【0017】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)電源コード支持具1は、電動工具に限らず、電動塗装スプレー等の他の手持ち電化製品の電源コードを支持することもできる。また中継部のない電源コードも支持可能である。
(2)電源コード支持具1は、環状枠体5と係着体6とを連結体7を介して間接的に連結してなるものに限らず、例えば連結体を省略して両者を直接的に連結したり、一体成形によって直接的に連結して構成することもできる。
(3)電源コード支持具1は、電源コード3bを支持する際、台座部13を作業者の腰に当てることなく、例えば、右手の親指或いは手のひらを台座部13に当てながら、同じ右手の人差し指等を用いて電源コード3bを環状枠体5の隙間部11にあてがい、両側から挟み込むことによって、電源コード3bを枠内スペースに取り入れることもできる。
(4)環状枠体5は、電源コード3bに限らず、固定長に応じて電源コード3aを枠内スペースに保持できる。
(5)環状枠体5は、長円形状に限らず、円形、楕円形、三角形等の他形状の環状枠体であっても良い。
(6)環状枠体5の隙間部11は、長円の半円部に限らず、直線部に設けることもできる。
(7)環状枠体5の台座部13は、台形状に限らず、平坦面を規定可能であれば、他の形状で形成しても良い。
(8)係着体6は、クリップ状の挟持部15に限らず、爪状の係止部等、他の係着形態となるように形成しても良い。
(9)係着体6は、作業ズボン19に限らず、ズボンベルトや上着等の着衣に係着しても
良い。
(10)連結体7は、金属製リングに限らず、係着体6に対する環状枠体5の所定の自由
度を確保可能であれば、布製或いは革製ベルト等や、チェーン等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0018】
1・・電源コード支持具、3a,3b・・電源コード、5・・環状枠体、6・・係着体、7・・連結体、8,9・・連結孔、11・・隙間部、12・・案内部、13・・台座部、15・・挟持部、17・・中継部、19・・作業ズボン、20・・生垣バリカン、21・・バリカン本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源コードを枠内スペースに保持する環状枠体を、作業者の着衣に係着する係着体に、直接或いは間接的に連結してなる電源コード支持具であって、
前記環状枠体に、弾性によって拡開して前記電源コードを前記枠内スペースに対して出し入れ自在とする分離部を設けて、その分離部を形成する一対の端部の内面に、前記枠内スペース内の前記電源コードを前記端部に沿って前記分離部へ導く内側案内部をそれぞれ形成する一方、前記一対の端部の外面に、前記電源コードを前記環状枠体の外側から前記分離部へ導く外側案内部をそれぞれ形成したことを特徴とする電源コード支持具。
【請求項2】
前記環状枠体における前記分離部の反対側の端部に、前記環状枠体から遠ざかるに従って幅広となる台座部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電源コード支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−240836(P2010−240836A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127098(P2010−127098)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【分割の表示】特願2004−282375(P2004−282375)の分割
【原出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】