説明

電源システム及び電源装置

【課題】災害発生等において、拠点となる施設に対して、十分な電力を安定した電圧レベルで供給することができる電源システムを提供する。
【解決手段】四輪自動車1と電源装置2とから構成される。電源装置2は、発電ユニット11、蓄電ユニット12、及びインバータユニット13により構成されている。発電ユニット11には、一組のローラ21a、21bと発電機22とが設けられており、ローラ21aの回転駆動がベルト23を介して発電機22に伝達されるように構成されている。蓄電ユニット12は発電機22において発電された直流電圧を蓄電し、インバータ13は蓄電ユニット12から出力される直流電圧を交流電圧に変換して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システム及び電源装置に関わり、特に災害発生時、電力会社からの電力供給が遮断されたときに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
地震などの大規模災害等が発生した場合、自宅に向かう被災者に対して食事や休憩施設を提供する拠点としてコンビニエンスストアの役割が期待されている。また災害によりけが等をした被災者の救護は大規模な総合病院だけでなく、個人病院等の役割も重要になる。
しかしながら、大規模災害等の発生状況下においては、通常、電力会社からの電力供給が遮断されてしまうため、自家発電装置を持たないコンビニエンスストアや個人病院等は機能しないことが十分予想される。
このため、大規模災害時が発生して電力会社からの電力供給が断たれている状態においても拠点となる施設に電力を供給できる電源システムや電源装置が求められていた。
例えば、特許文献1には災害時における防災用発電システムとして、自動車に搭載されている自動車用発電機、及びバッテリーの直流出力をインバータにより商用周波数の交流出力に変換して出力する技術が提案されている。
【特許文献1】特開平6−52384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の防災用発電システムは、自動車に搭載されている自動車用発電機、及びバッテリーを非常用電源として利用するものであるため、施設に対して十分な電力を供給することができないという欠点があった。
また自動車用発電機の直流出力をインバータにより商用周波数の交流出力に変換する際に、自動車エンジンの回転数の変動により自動車用発電機の直流出力が変動するため、インバータから出力される交流電圧レベルが変動するという欠点があった。
そこで、本発明は上記したような点を鑑みてなされたものであり、例えば、災害発生等において、拠点となる施設に対して十分な電力を安定した電圧レベルで供給することができる電源システム及び電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、自動車と、該自動車の駆動車輪の動力により発電を行う発電機と、該発電機により発電された電力を蓄電する蓄電手段と、該蓄電手段から出力される直流出力を交流出力に変換するインバータと、を備えた電源システムを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、自動車の駆動車輪の動力により発電を行う発電機と、該発電機により発電された電力を蓄電する蓄電手段と、該蓄電手段から出力される直流出力を交流出力に変換するインバータと、を備えた電源装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、自動車の駆動車輪の動力を用いて発電機により発電を行い、発電した電力を蓄電手段に蓄電したうえで、インバータにより交流出力に変換して出力するようにしているので、例えば災害発生等において、コンビニエンスストアや病院などの災害拠点に十分な電力を供給することができるようになる。
また発電機により発電した電力を、一旦蓄電手段に蓄電したうえで、インバータにより交流出力に変換しているので、例えば動力源である自動車の回転数が一定で無くとも安定したレベルの商用交流電圧を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態としての電源システムの概略構成を示した図である。
この図1に示す電源システムは、四輪自動車1と電源装置2とから構成される。
電源装置2は、発電ユニット11、蓄電ユニット(蓄電手段)12、及びインバータユニット13により構成される。発電ユニット11には、一組のローラ21a、21bと発電機22とが設けられており、ローラ21aの回転駆動がベルト23を介して発電機22に伝達されるように構成されている。
蓄電ユニット12は例えば蓄電池であり、発電機22において発電された直流電圧を蓄電する。インバータ13は蓄電ユニット12から出力される直流電圧を交流電圧に変換して出力する。
このように構成される本実施形態の電源システムは、図2に示すように四輪自動車1の2つの駆動車輪1a(図2では後輪)により、ローラ21a、21bを回転させることにより、ローラ21aにより四輪自動車1の駆動車輪1aから軸動力を取り出し、この軸動力により発電機22を回転させて発電を行うようにしている。発電機22により発電した電力は、一旦、蓄電ユニット12に蓄電したうえで、蓄電ユニット12から出力される直流電圧をインバータ13により100Vの交流電圧、即ち商用交流電圧に変換して出力可能に構成されている。
従って、本実施形態の電源装置2を、例えば自家発電装置を持たないコンビニエンスストアや小規模の病院などの施設に備えておけば、地震などの災害発生時に発電所からの電力供給が途絶えて停電した場合でも、施設が所有する自動車、或いは施設の社員や職員の四輪自動車、さらには近くを走行中の四輪自動車を利用して簡単に安定した商用交流電圧を得ることができるようになる。
【0007】
また、本実施形態の電源装置2では、発電機22により発電した電力を蓄電ユニット12に蓄電したうえで、インバータ13により商用交流電圧に変換しているので、例えば四輪自動車1の車輪1aの回転速度が一定でなくとも安定した電圧レベルの商用交流電圧を出力することができる。
さらに、本実施形態の電源システムにおいては、四輪自動車1の改良や、配線等の電気的な接続を行ったりすることなく、四輪自動車1の駆動車輪1aを発電ユニット11のローラ21a、21bを回転させることができる位置に移動するだけでよいため、四輪自動車1に関する特別な知識が無くとも簡単に発電を行うことができるという利点もある。
なお、本実施形態では、四輪自動車を例に挙げて説明したが、これはあくまでも一例であり、エンジンやモータなどの原動機の動力で車輪を回転させる、所謂自動車であれば、オートバイ等の2輪自動車を利用することも可能である。
また、本実施形態では、本発明の電源システムを災害発生時に使用する場合を例に挙げて説明したが、本発明の電源システム及び電源装置の使用は災害発生時に限らず、例えば、アウトドア等において使用することも考えられる。その場合は、例えば、図3に示すように発電ユニット11を分解可能な構造にして、本実施形態の電源装置2を四輪自動車のトランク等に収納できるような構造にする必要がある。またこの場合は、夫々の発電ユニット11a、11bに発電機22a、22bを設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態としての電源システムの概略構成を示した図。
【図2】本実施形態の電源装置の発電状態を説明する説明図。
【図3】本実施形態の電源装置の他の構成図。
【符号の説明】
【0009】
1…四輪自動車、2…電源装置、11…発電ユニット、12…蓄電ユニット、13…インバータユニット、21a、21b…ローラ、22…発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車と、該自動車の駆動車輪の動力により発電を行う発電機と、該発電機により発電された電力を蓄電する蓄電手段と、該蓄電手段から出力される直流出力を交流出力に変換するインバータと、を備えたことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
自動車の駆動車輪の動力により発電を行う発電機と、該発電機により発電された電力を蓄電する蓄電手段と、該蓄電手段から出力される直流出力を交流出力に変換するインバータと、を備えたことを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−116755(P2007−116755A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302286(P2005−302286)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(504279212)株式会社エネルギア・ライフ&アクセス (15)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】