説明

電源システム

【課題】電源システムにおいて、電力損失を抑えて、消費電力を少なくする。
【解決手段】電源システム1は、所定の電圧Vinの直流電源2が接続される入力部4と、外部装置3の負荷8に電力を供給するための定電圧回路6A〜6Cと、入力部4から定電圧回路6A〜6Cに流れるシステム電流Isを制御するシステム電流制御部7とを備える。定電圧回路6A〜6Cは、入力部4の入力端子4a、4b間に直列接続されている。システム電流Isの電流値は、システム電流制御部7によって、定電圧回路6A〜6Cの安定動作に必要最小限の電流値に制御される。定電圧回路6A〜6Cが直列に接続されているので、定電圧回路6Aで利用された電流は、定電圧回路6Bで再利用され、また、定電圧回路6Bで利用された電流は、定電圧回路6Cで再利用される。これにより、電力損失を抑えて、消費電力を少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を供給する電源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力を供給する電源システムにおいて、図21に示す構成のものがある。この電源システム100は、直流電源101に、複数の外部装置102A、102B、102Cが並列に接続されている。外部装置102Aは、負荷103Aと、負荷103Aに電力を供給するための定電圧回路104Aとを備えている。同様に、外部装置102Bは、負荷103Bと、負荷103Bに電力を供給するための定電圧回路104Bとを備えており、外部装置102Cは、負荷103Cと、負荷103Cに電力を供給するための定電圧回路104Cとを備えている。
【0003】
定電圧回路104A、104B、104Cは、各々、直流電源101からの電力供給を受けて、負荷103A、103B、103Cに電力を供給する。定電圧回路104A、104B、104Cは、直流電源101に並列に接続されているため、定電圧回路104A、104B、104Cには、各々、直流電源101の直流電圧Vinが入力されることになる。定電圧回路104A、104B、104Cは、各々、シリーズレギュレータであり、直流電源101から入力される入力電圧(直流電源101の直流電圧)Vinを降圧して所定の出力電圧VA、VB、VCを出力する。そして、定電圧回路104A、104B、104Cは、各々、その出力電圧VA、VB、VCを負荷103A、103B、103Cに印加する。
【0004】
このような構成の電源システム100において、例えば、直流電源101の直流電圧(すなわち、各定電圧回路104A、104B、104Cに入力される入力電圧)Vinが24Vであるとする。また、各定電圧回路104A、104B、104Cの出力電圧VA、VB、VCがVA=5V、VB=5V、VC=5Vであるとする。また、5V定格時において、各負荷103A、103B、103Cに流れる負荷電流(各定電圧回路104A、104B、104Cの出力電流)ILA、ILB、ILCがILA=100mA、ILB=70mA、ILC=110mAであるとする。また、各定電圧回路104A、104B、104C自身の消費電流IcがIc=1mAであるとする。
【0005】
そうすると、電源システム100に流れるシステム電流Isは、直流電源101に外部装置102A、102B、102Cが並列に接続されていることから、直流電源101から各外部装置102A〜102Cに流れる入力電流IA〜ICの和となる。つまり、システム電流Isは、負荷103A〜103Cに流れる負荷電流ILA〜ILCと、定電圧回路104A〜104C自身の消費電流Icの総和となり、Is=(100mA+1mA)+(70mA+1mA)+(110mA+1mA)=283mAとなる。従って、電源システム100と負荷103A〜103Cを含めた全体の消費電力Psは、Ps=Vin×Is=24V×283mA=6792mWとなる。
【0006】
一方、負荷103A〜103Cの消費電力PLは、PL=(VA×ILA)+(VB×ILB)+(VC×ILC)=(5V×100mA)+(5V×70mA)+(5V×110mA)=1400mWとなる。すなわち、全体の消費電力Ps=6792mWのうち、負荷103A〜103Cの消費電力PL=1400mW以外の5392mWの電力は、無駄に消費されており、損失されている。
【0007】
この電力損失の大部分は、定電圧回路104A〜104Cが、入力電圧Vinを出力電圧VA〜VCに降圧するために電力を消費することによるものであり、定電圧回路104A〜104Cで発生する。この定電圧回路104A〜104Cでの電力損失は、入力電圧Vinと出力電圧VA〜VCとの電圧差が大きいほど(入力電圧Vinに対して、出力電圧VA〜VCが低電圧であるほど)、大きくなる。
【0008】
一方、電気2重層コンデンサの充電過電圧を検出する充電過電圧検出回路において、シャントレギュレータを直列に接続した構成を有するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−61469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来の電源システム100においては、定電圧回路104A〜104Cが直流電源101に並列に接続されているため、各定電圧回路104A〜104Cには、同じ入力電圧Vinが入力される。このため、各定電圧回路104A〜104Cの出力電圧VA〜VCが異なる(外部装置102A〜102Cの定格電圧が異なる)と、各定電圧回路104A〜104Cの入力電圧Vinと出力電圧VA〜VCとの電圧差が異なることになる。その結果、定電圧回路104A〜104Cの入力電圧Vinと出力電圧VA〜VCとの電圧差が必要以上に大きくなることが生じ得る。入力電圧Vinと出力電圧VA〜VCとの電圧差が大きくなると、定電圧回路104A〜104Cでの電力損失が大きくなり、消費電力が多くなる。
【0011】
そこで、従来の電源システム100において、入力電圧Vinから出力電圧VA〜VCを得るために、外部装置102A〜102Cの定電圧回路104A〜104Cとして、DC/DCコンバータを用いることが考えられる。DC/DCコンバータを用いれば、シリーズレギュレータを用いる場合と比較して、エネルギー効率が改善し、電力損失を抑えることができる。しかしながら、外部装置102A〜102Cが小型機器の場合、サイズ的な観点から、外部装置102A〜102CがDC/DCコンバータを持つのは難しい。また、外部装置102A〜102Cの定格電圧は全て同じとは限らず、外部装置102A〜102Cが共通の同じ種類のDC/DCコンバータを持てない場合もある。
【0012】
一方、現在及び今後の一般的な動向として、太陽光発電、電気自動車用バッテリ、直流配電等の直流電源(これらの直流電源の電源電圧は、変動しがちである)が増えることが予測される。また、半導体プロセスの微細化、高速化により、外部装置の定格電圧は、多様化すると共に、低電圧化が進展することが予測される。従って、これら今後の予測される状況において、従来の電源システム100を使用したのでは、定電圧回路104A〜104Cでの電力損失がますます大きくなる。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電力損失を抑えて、消費電力を少なくすることができる電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明の電源システムは、所定の電圧の直流電源が接続される入力部と、入力部の入力端子間に直列接続された、負荷に電力を供給するための少なくとも2つ以上の定電圧回路と、入力部から定電圧回路に流れるシステム電流を制御するシステム電流制御手段と、を備えるものである。
【0015】
本発明の電源システムにおいて、システム電流制御手段は、システム電流の電流値を制御可能な定電流回路であるものが好ましい。
【0016】
また、本発明の電源システムにおいて、システム電流制御手段は、システム電流の電流値を、少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように制御するものが好ましい。
【0017】
また、本発明の電源システムにおいて、システム電流制御手段は、システム電流の電流値を、少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路の出力電圧が所定の電圧値となるように負帰還制御するものが好ましい。
【0018】
また、本発明の電源システムにおいて、定電圧回路は、シャントレギュレータであり、システム電流制御手段は、システム電流の電流値を、少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路のシャント電流が所定の電流値となるように負帰還制御するものが好ましい。
【0019】
また、本発明の電源システムにおいて、システム電流制御手段は、システム電流の電流値を、少なくとも2つ以上の定電圧回路の全ての定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように制御するものが好ましい。
【0020】
また、本発明の電源システムにおいて、システム電流制御手段は、レジスタを有し、システム電流の電流値を、レジスタのデータに基いて決定するものが好ましい。
【0021】
また、本発明の電源システムにおいて、少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路は、出力電圧が所定の電圧値以下になると、警報信号をシステム電流制御手段に送出し、システム電流制御手段は、定電圧回路から警報信号を受け取ると、システム電流の電流値を増加させるものが好ましい。
【0022】
また、本発明の電源システムにおいて、少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路は、シャントレギュレータであり、シャント電流が所定の電流値以下になると、警報信号をシステム電流制御手段に送出し、システム電流制御手段は、定電圧回路から警報信号を受け取ると、システム電流の電流値を増加させるものが好ましい。
【0023】
また、本発明の電源システムにおいて、システム電流制御手段は、システム電流を一部分流して、その分流したシステム電流を、少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路を迂回させるように制御可能であるものが好ましい。
【0024】
また、本発明の電源システムにおいて、システム電流制御手段は、定電圧回路から警報信号を受け取っていない場合には、システム電流の電流値を低下させるものが好ましい。
【0025】
また、本発明の電源システムにおいて、システム電流制御手段には、少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路に接続される負荷に流すべき負荷電流についての設定情報が与えられ、システム電流制御手段は、システム電流の電流値を、負荷電流についての設定情報に基いて決定するものが好ましい。
【0026】
また、本発明の電源システムにおいて、定電圧回路は、その出力電圧が制御可能であり、定電圧回路の出力電圧を制御する出力電圧制御手段をさらに備え、出力電圧制御手段は、出力電圧設定情報に基いて、定電圧回路の出力電圧を制御するものが好ましい。
【0027】
また、本発明の電源システムにおいて、少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路は、複数の負荷が並列接続され得るものが好ましい。
【0028】
また、本発明の電源システムにおいて、少なくとも2つ以上の定電圧回路の出力電流の電流値の大小関係を表示する表示手段をさらに備えるものが好ましい。
【0029】
また、本発明の電源システムにおいて、定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限する電力供給遮断制限手段をさらに備えるものがさらに好ましい。
【0030】
また、本発明の電源システムにおいて、定電圧回路をバイパスするバイパス手段をさらに備えるものが好ましい。
【0031】
また、本発明の電源システムにおいて、定電圧回路の出力電圧又は出力電流を監視することにより過負荷を検出する回路監視手段をさらに備え、回路監視手段は、過負荷を検出したときに、過負荷の原因となっている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、電力供給遮断制限手段を制御し、又は、過負荷の原因となっている定電圧回路をバイパスするように、バイパス手段を制御するものが好ましい。
【0032】
また、本発明の電源システムにおいて、システム電流を遮断又は制限するシステム電流遮断制限手段と、少なくとも2つ以上の定電圧回路の全ての定電圧回路の出力電圧の合計電圧又はシステム電流を監視することにより過負荷を検出するシステム監視手段とをさらに備え、システム監視手段は、過負荷を検出したときに、システム電流を遮断又は制限するように、システム電流遮断制限手段を制御するものが好ましい。
【0033】
また、本発明の電源システムにおいて、少なくとも2つ以上の定電圧回路の全ての定電圧回路の出力電圧の合計電圧又はシステム電流を監視することにより過負荷を検出するシステム監視手段をさらに備え、システム監視手段は、過負荷を検出したときに、所定のルーチンに基いて、少なくとも2つ以上の定電圧回路の中から、過負荷の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路を割り出し、割り出した定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、電力供給遮断制限手段を制御し、又は、割り出した定電圧回路をバイパスするように、バイパス手段を制御するものが好ましい。
【0034】
また、本発明の電源システムにおいて、少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの任意の1つの定電圧回路について、その定電圧回路の接続点における本電源システムの最低電位を基準とした電位の値が、その定電圧回路を含んでそれより電位の低い側に接続されている各定電圧回路の出力電圧設定情報の示す設定電圧値の和に対して、所定値以上の差がある電位不整合状態か否かを検出する電位監視手段をさらに備え、電位監視手段は、電位不整合状態を検出したときに、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、電力供給遮断制限手段を制御し、又は、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路をバイパスするように、バイパス手段を制御するものが好ましい。
【0035】
また、本発明の電源システムにおいて、電位監視手段は、所定のルーチンに基いて、少なくとも2つ以上の定電圧回路の中から、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路を割り出し、割り出した定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、電力供給遮断制限手段を制御し、又は、割り出した定電圧回路をバイパスするように、バイパス手段を制御するものが好ましい。
【0036】
また、本発明の電源システムにおいて、定電圧回路に接続される負荷を有する外部装置からの異常診断情報に基いて、定電圧回路、又は定電圧回路に接続されている負荷の異常を検出する異常監視手段をさらに備え、異常監視手段は、異常を検出したときに、異常診断情報に基いて、異常のある定電圧回路、又は異常のある負荷が接続されている定電圧回路を割り出し、割り出した定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、電力供給遮断制限手段を制御し、又は、割り出した定電圧回路をバイパスするように、バイパス手段を制御するものが好ましい。
【0037】
また、本発明の電源システムにおいて、定電圧回路に接続される負荷を有する外部装置との間で双方向通信を行う通信部をさらに備えるものが好ましい。
【0038】
また、本発明の電源システムにおいて、定電圧回路は、シャントレギュレータであり、該シャントレギュレータとして、ツェナーダイオードが使用されているものが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、少なくとも2つ以上の定電圧回路が直列に接続されているので、電流が再利用され、これにより、電力損失を抑えて、消費電力を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図2】同電源システムの定電圧回路の回路図。
【図3】同電源システムの定電圧回路の別の構成を示す回路図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図8】本発明の第6の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図9】本発明の第7の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図10】本発明の第8の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図11】本発明の第9の実施形態に係る電源システムの筐体の側面図。
【図12】本発明の第10の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図13】本発明の第11の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図14】本発明の第12の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図15】同電源システムの過負荷の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路を割り出すルーチンを示すフローチャート。
【図16】本発明の第13の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図17】同電源システムの電位不整合状態の原因となっている定電圧回路を割り出すルーチンを示すフローチャート。
【図18】同電源システムの電位不整合状態の原因となっている定電圧回路を割り出す別のルーチンを示すフローチャート。
【図19】本発明の第14の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図20】本発明の第15の実施形態に係る電源システムの電気的ブロック構成図。
【図21】従来の電源システムの電気的ブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を具体化した実施形態による電源システムについて図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態による電源システムの構成を示す。電源システム1は、直流電源2及び外部装置3が接続され、外部装置3に電力を供給するものである。電源システム1は、直流電源2が接続される入力部4と、外部装置3が接続される複数の接続部5と、外部装置3に電力を供給するための複数の定電圧回路6と、電源システム1に流れるシステム電流Isを制御するシステム電流制御部7とを備える。システム電流制御部7によって、システム電流制御手段が構成されている。
【0042】
入力部4は、入力端子4a、4bを有しており、入力端子4a、4bに直流電源2が接続される。直流電源2は、所定の直流電圧Vinを出力する電源である。直流電源2は、+極(正極)が入力端子4aに接続され、−極(負極)が入力端子4bに接続されるように、入力部4に接続される。
【0043】
複数の接続部5は、各々、接続端子5a、5bを有しており、接続端子5a、5bに外部装置3が接続される。本実施形態では、電源システム1は、3つの接続部5(5A、5B、5C)を備えている。
【0044】
外部装置3は、負荷8を備えている。負荷8には、外部装置3の外部から電力が供給されるようになっている。電源システム1は、電力を供給する外部装置3として、このような構成のものを対象としている。
【0045】
外部装置3は、負荷8が接続端子5a、5b間に接続されるように、接続部5に接続される。図示の例では、3つの外部装置3(3A、3B、3C)が接続されている。すなわち、外部装置3Aは、負荷8Aが接続部5Aの接続端子5a、5b間に接続されるように、接続部5Aに接続されている。また、外部装置3Bは、負荷8Bが接続部5Bの接続端子5a、5b間に接続されるように、接続部5Bに接続されており、外部装置3Cは、負荷8Cが接続部5Cの接続端子5a、5b間に接続されるように、接続部5Cに接続されている。
【0046】
複数の定電圧回路6は、外部装置3の負荷8に電力を供給するためのものである。複数の定電圧回路6は、各々、入力ライン6a、6b間に電力が供給されることにより、動作回路部6cが動作して、出力ライン6d、6e間に所定の出力電圧を出力する回路である。定電圧回路6は、接続部5と同じ個数備えられている。すなわち、本実施形態では、電源システム1は、3つの定電圧回路6(6A、6B、6C)を備えている。
【0047】
複数の定電圧回路6は、入力部4の入力端子4a、4b間に直列接続されている。すなわち、定電圧回路6Aの入力ライン6aは、入力部4の入力端子4aに接続され、定電圧回路6Bの入力ライン6aは、定電圧回路6Aの入力ライン6bに接続され、定電圧回路6Cの入力ライン6aは、定電圧回路6Bの入力ライン6bに接続されている。そして、定電圧回路6Cの入力ライン6bは、入力部4の入力端子4bに接続されている。従って、複数の定電圧回路6A、6B、6Cは、入力部4に接続された直流電源2に直列に接続された状態となる。
【0048】
また、複数の定電圧回路6は、各々、出力ライン6d、6eが接続部5に接続されている。すなわち、定電圧回路6Aの出力ライン6dは、接続部5Aの接続端子5aに接続されており、定電圧回路6Aの出力ライン6eは、接続部5Aの接続端子5bに接続されている。また、定電圧回路6Bの出力ライン6dは、接続部5Bの接続端子5aに接続されており、定電圧回路6Bの出力ライン6eは、接続部5Bの接続端子5bに接続されている。また、定電圧回路6Cの出力ライン6dは、接続部5Cの接続端子5aに接続されており、定電圧回路6Cの出力ライン6eは、接続部5Cの接続端子5bに接続されている。
【0049】
従って、接続部5Aに接続された外部装置3Aの負荷8Aは、定電圧回路6Aの出力ライン6d、6e間に接続された状態となる。また、接続部5Bに接続された外部装置3Bの負荷8Bは、定電圧回路6Bの出力ライン6d、6e間に接続された状態となる。また、接続部5Cに接続された外部装置3Cの負荷8Cは、定電圧回路6Cの出力ライン6d、6e間に接続された状態となる。
【0050】
システム電流制御部7は、システム電流Isを制御するものである。システム電流Isは、電源システム1に流れる電流である。すなわち、システム電流Isは、直流電源2から電源システム1に入力される電流であって、入力部4から定電圧回路6Aに流れる電流である。システム電流制御部7は、入力部4と定電圧回路6Aとの間に設けられている。
【0051】
システム電流制御部7は、抵抗値を変えることができる可変抵抗器11である。可変抵抗器11は、入力部4の入力端子4aと定電圧回路6Aの入力ライン6aとの間に直列に接続されている。システム電流制御部7は、可変抵抗器11の抵抗値によって、システム電流Isの電流値を制御するようになっている。すなわち、システム電流制御部7は、可変抵抗器11の抵抗値が設定されることにより、システム電流Isの電流値が設定されて、システム電流Isの電流値をその設定された電流値となるようにする。また、システム電流制御部7は、可変抵抗器11の抵抗値が変えられることにより、システム電流Isの電流値を変える。可変抵抗器11の抵抗値は、不図示のボリュームスイッチを操作することによって、又は、例えばパソコンなどの外部制御装置から抵抗値を設定するための設定信号(設定すべき抵抗値を示す信号)を与えることによって、任意の抵抗値に設定される。
【0052】
図2は、定電圧回路6Aの構成を示す。定電圧回路6Aは、シャントレギュレータであり、入力ライン6a、6bと、動作回路部6cと、出力ライン6d、6eとを有している。動作回路部6cは、MOSFET6fと、抵抗6g、6hと、基準電源6iと、オペアンプ6jとを有している。
【0053】
MOSFET6fは、N型のMOSFETであり、ソースが入力ライン6aに接続されており、ドレインが入力ライン6bに接続されており、ゲートがオペアンプ6jの出力端子に接続されている。抵抗6gは、一端がMOSFET6fのソースに接続されており、他端が抵抗6hの一端に接続されている。抵抗6hは、一端が抵抗6gの他端に接続されており、他端がMOSFET6fのドレインに接続されている。基準電源6iは、正極(+極)がオペアンプ6jの反転入力端子に接続されており、負極(−極)が抵抗6hの他端とMOSFET6fのドレインとの間に接続されている。オペアンプ6jは、非反転入力端子が抵抗6gと抵抗6hとの間に接続されており、反転入力端子が基準電源6iの正極(+極)に接続されており、出力端子がMOSFET6fのゲートに接続されている。出力ライン6dは、入力ライン6aとMOSFET6fのソースとの間に接続されており、出力ライン6eは、MOSFET6fのドレインと入力ライン6aとの間に接続されている。
【0054】
このような構成の定電圧回路6Aは、入力ライン6a、6b間に電力が供給されることにより、動作回路部6cが動作し、出力ライン6d、6e間に所定の出力電圧VAを出力して、出力ライン6d、6e間に接続される負荷8Aに電力を供給する。このとき、入力ライン6a、6bには、入力電流IAが流れる。また、MOSFET6fのソース、ドレイン間には、シャント電流IshAが流れ、抵抗6g、6hには、消費電流Icが流れる。すなわち、動作回路部6cには、シャント電流IshA及び消費電流Icが流れる。また、出力ライン6d、6e間に接続される負荷8Aには、出力電流(負荷電流)ILAが流れる。入力電流IAは、消費電流Icとシャント電流IshAと出力電流ILAの和である。定電圧回路6Aは、基準電源6i、抵抗6g、6h、オペアンプ6j、MOSFET6fの働きにより、シャント電流IshAの大きさが制御されることによって、出力ライン6d、6e間の出力電圧VAを一定に保つ。すなわち、定電圧回路6Aは、負荷8Aに印加する電圧を定電圧化する。
【0055】
定電圧回路6Bの構成は、定電圧回路6Aと同様の構成である。すなわち、定電圧回路6Bは、入力ライン6a、6b間に電力が供給されることにより、動作回路部6cが動作し、出力ライン6d、6e間に所定の出力電圧VBを出力して、出力ライン6d、6e間に接続される負荷8Bに電力を供給する。このとき、入力ライン6a、6bには、入力電流IBが流れ、動作回路部6cには、シャント電流IshB及び消費電流Icが流れ、出力ライン6d、6e間に接続される負荷8Bには、出力電流(負荷電流)ILBが流れる。入力電流IBは、消費電流Icとシャント電流IshBと出力電流ILBの和である。そして、定電圧回路6Bは、シャント電流IshBの大きさが制御されることによって、出力ライン6d、6e間の出力電圧VBを一定に保って、負荷8Bに印加する電圧を定電圧化する。
【0056】
また、定電圧回路6Cの構成も、定電圧回路6Aと同様の構成である。すなわち、定電圧回路6Cは、入力ライン6a、6b間に電力が供給されることにより、動作回路部6cが動作し、出力ライン6d、6e間に所定の出力電圧VCを出力して、出力ライン6d、6e間に接続される負荷8Cに電力を供給する。このとき、入力ライン6a、6bには、入力電流ICが流れ、動作回路部6cには、シャント電流IshC及び消費電流Icが流れ、出力ライン6d、6e間に接続される負荷8Cには、出力電流(負荷電流)ILCが流れる。入力電流ICは、消費電流Icとシャント電流IshCと出力電流ILCの和である。そして、定電圧回路6Cは、シャント電流IshCの大きさが制御されることによって、出力ライン6d、6e間の出力電圧VCを一定に保って、負荷8Cに印加する電圧を定電圧化する。定電圧回路6A、6B、6Cの仕様や特性は同一である。
【0057】
このような構成の電源システム1において、システム電流Isは、入力部4から定電圧回路6Aに流れる。ここで、定電圧回路6A、6B、6Cは、入力部4の入力端子4a、4b間に直列に接続されている。従って、システム電流Isは、定電圧回路6Aの入力電流IAとして定電圧回路6Aに流れ、さらに、定電圧回路6Bの入力電流IBとして定電圧回路6Bに流れ、さらに、定電圧回路6Cの入力電流ICとして定電圧回路6Cに流れる。つまり、定電圧回路6Aの入力電流IAは、システム電流Isと等しく、また、定電圧回路6Bの入力電流IBも、システム電流Isと等しく、また、定電圧回路6Cの入力電流ICも、システム電流Isと等しい。
【0058】
従って、システム電流Isとして、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流(出力電流)が最大である定電圧回路の安定動作に必要な電流を流せば、その電流が各定電圧回路6A〜6Cの入力電流IA〜ICとして、各定電圧回路6A〜6Cに流れることになる。つまり、システム電流Isとして、定電圧回路6A〜6Cのうち、負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要な電流を流せば、全ての定電圧回路6A〜6Cを安定動作させることができる。また、システム電流Isとして、負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流を流せば、不必要な電流を流さなくて済み、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0059】
例えば、直流電源2の直流電圧Vin、各定電圧回路6A、6B、6Cの出力電圧VA、VB、VC、各負荷8A、8B、8Cに流れる負荷電流ILA、ILB、ILCが図21に示される従来例と同様であるとする。すなわち、直流電源2の直流電圧Vinが24Vであるとする。また、各定電圧回路6A、6B、6Cの出力電圧VA、VB、VCがVA=5V、VB=5V、VC=5Vであるとする。また、5V定格時において、各負荷8A、8B、8Cに流れる負荷電流(各定電圧回路104A、104B、104Cの出力電流)ILA、ILB、ILCがILA=100mA、ILB=70mA、ILC=110mAであるとする。
【0060】
また、各定電圧回路6A、6B、6C自身の消費電流IcがIc=1mAであるとする。また、各定電圧回路6A、6B、6Cの出力電圧VA、VB、VCを安定的に発生させるためには、各定電圧回路6A、6B、6Cのシャント電流IshA、IshB、IshCを1mA以上流しておくことが望ましい。従って、各定電圧回路6A、6B、6Cのシャント電流IshA、IshB、IshCが1mAであるとする。
【0061】
そうすると、定電圧回路6Aの安定動作に必要最小限の(負荷8Aを正常に動作させるのに必要最小限の)入力電流IAの電流値IAminは、IAmin=1mA+1mA+100mA=102mAである。また、定電圧回路6Bの安定動作に必要最小限の(負荷8Bを正常に動作させるのに必要最小限の)入力電流IBの電流値IBminは、IBmin=1mA+1mA+70mA=72mAである。また、定電圧回路6Cの安定動作に必要最小限の(負荷8Cを正常に動作させるのに必要最小限の)入力電流ICの電流値ICminは、ICmin=Ic+IshC+ILC=1mA+1mA+110mA=112mAである。定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流(出力電流)が最大である定電圧回路は、定電圧回路6Cである。
【0062】
従って、上記の場合、システム電流Isとして、定電圧回路6Cの安定動作に必要な電流、すなわちICmin=112mA以上の電流を流せば、全ての定電圧回路6A〜6Cを安定動作させることができる。また、システム電流Isとして、定電圧回路6Cの安定動作に必要最小限の電流、すなわちICmin=112mAの電流を流せば、不必要な電流を流さなくて済み、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0063】
システム電流Isとして、112mAの電流を流した場合、電源システム1と負荷8A〜8Cを含めた全体の消費電力Psは、Ps=Vin×Is=24V×112mA=2688mWとなる。一方、負荷8A〜8Cの消費電力PLは、従来と同様に、PL=(VA×ILA)+(VB×ILB)+(VC×ILC)=(5V×100mA)+(5V×70mA)+(5V×110mA)=1400mWとなる。従って、全体の消費電力Ps=2688mWのうち、負荷8A〜8Cの消費電力PL=1400mW以外の1288mWの電力が、電力損失となっている。この電力損失は、主に、システム電流制御部7及び定電圧回路6A〜6Cで発生する。
【0064】
これらを従来の電源システムと比較すると、図21に示される従来の電源システムでは、電力損失が5392mWであるのに対して、本発明の電源システム1では、電力損失が1288mWである。そして、従来の電源システムでは、全体の消費電力Psが6792mWであるのに対して、本発明の電源システム1では、全体の消費電力Psが2688mWである。すなわち、本発明の電源システム1では、従来と比較して、電力損失が大きく抑えられており、全体の消費電力Psが従来の約40%に低減されている。本発明の電源システム1における直流電源2の直流電圧Vin、各定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VC、各負荷8A〜8Cに流れる負荷電流ILA〜ILCは、従来と同じである。すなわち、本発明の電源システム1では、従来と同じ直流電圧、同じ負荷において、電力損失が抑えられて、消費電力が低減されている。
【0065】
本発明の電源システム1において、このように電力損失が抑えられて、消費電力が低減されるのは、定電圧回路6A〜6Cが、入力部4の入力端子4a、4b間に直列に接続されているためである。すなわち、システム電流Isが、定電圧回路6Aの入力電流IAとして定電圧回路6Aに流れ、さらに、定電圧回路6Bの入力電流IBとして定電圧回路6Bに流れ、さらに、定電圧回路6Cの入力電流ICとして定電圧回路6Cに流れるためである。つまり、定電圧回路6Aで利用された電流が、定電圧回路6Bで再利用され、また、定電圧回路6Bで利用された電流が、定電圧回路6Cで再利用されるためであると、捉えることができる。
【0066】
上記システム電流制御部7は、システム電流の電流値Isが、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流(出力電流)が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように、可変抵抗器11の抵抗値が設定される。この可変抵抗器11の抵抗値の設定は、例えば、電源システム1の設置者又は外部装置3A〜3Cの設置者により、直流電源2の直流電圧Vinや負荷8A〜8Cの定格電圧、定格電流等に基いて行われる。なお、システム電流制御部7には(可変抵抗器11には)、直流電源2の直流電圧Vinから定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCを差し引いた電圧がかかる。このように可変抵抗器11の抵抗値が設定されることにより、システム電流制御部7は、システム電流の電流値Isを、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する。
【0067】
定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値は、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流が最大でない定電圧回路の安定動作に必要最小限以上の電流値である。すなわち、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値は、定電圧回路6A〜6Cの全ての定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値である。従って、このように、システム電流の電流値Isが、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように制御されている状態では、定電圧回路6A〜6Cの全ての定電圧回路が安定動作する。
【0068】
本発明の電源システム1によれば、定電圧回路6A〜6Cは、入力部4の入力端子4a、4b間に直列に接続されている。このため、入力部4からのシステム電流Isは、定電圧回路6Aの入力電流IAとして定電圧回路6Aに流れて、定電圧回路6Aで利用される。そして、定電圧回路6Aで利用された入力電流IAは、定電圧回路6Bの入力電流IBとして定電圧回路6Bに流れて、定電圧回路6Bで利用される。さらに、定電圧回路6Bで利用された入力電流IBは、定電圧回路6Cの入力電流ICとして定電圧回路6Cに流れて、定電圧回路6Cで利用される。つまり、定電圧回路6Aで利用された電流は、定電圧回路6Bで再利用され、また、定電圧回路6Bで利用された電流は、定電圧回路6Cで再利用される。これにより、電力損失を抑えて、消費電力を少なくすることができる。
【0069】
また、システム電流制御部7によって(可変抵抗器11の抵抗値を調整して)、システム電流の電流値Isを、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値にすることができる。このようにすることにより、不必要な電流を流さなくて済み、より一層、電力消費を少なくすることができる。
【0070】
なお、本実施形態において、電源システム1は、直流電源2が接続される構成に限られず、直流電源2を一体的に備えた構成であってもよい。また、直流電源2は、直流電圧を出力するものであればよく、例えば、交流を整流して直流電圧を作り出して、その作り出した直流電圧を出力するものであってもよい。
【0071】
また、本実施形態において、複数の定電圧回路6は、3つに限られず、少なくとも2つ以上のものが直列接続されていればよい。また、複数の定電圧回路6の仕様や特性は同一でなくてもよい。また、複数の定電圧回路6のうちの幾つかのもの、又は、複数の定電圧回路6の全てのものは、シャントレギュレータに限られず、例えば、図3に示すような構成のシリーズレギュレータであってもよい。
【0072】
図3に示す定電圧回路6Xは、シリーズレギュレータであり、入力ライン6a、6bと、動作回路部6cと、出力ライン6d、6eとを有している。動作回路部6cは、MOSFET6mと、抵抗6n、6oと、基準電源6pと、オペアンプ6qとを有している。
【0073】
MOSFET6mは、N型のMOSFETであり、ソースが入力ライン6aに接続されており、ドレインが抵抗6n、6oを介して入力ライン6bに接続されており、ゲートがオペアンプ6qの出力端子に接続されている。抵抗6nは、一端がMOSFET6mのドレインに接続されており、他端が抵抗6oの一端に接続されている。抵抗6oは、一端が抵抗6nの他端に接続されており、他端が入力ライン6bに接続されている。基準電源6pは、正極(+極)がオペアンプ6qの非反転入力端子に接続されており、負極(−極)が抵抗6oの他端に接続されている。オペアンプ6qは、非反転入力端子が基準電源6pの正極(+極)に接続されており、反転入力端子が抵抗6nと6oとの間に接続されており、出力端子がMOSFET6mのゲートに接続されている。出力ライン6dは、MOSFET6mのドレインと抵抗6nの一端との間に接続されており、出力ライン6eは、抵抗6oの他端に接続されている。
【0074】
このような構成の定電圧回路6Xは、入力ライン6a、6b間に電力が供給されることにより、動作回路部6cが動作し、出力ライン6d、6e間に所定の出力電圧VXを出力して、出力ライン6d、6e間に接続される負荷に電力を供給する。このとき、入力ライン6a、6bには、入力電流IXが流れ、MOSFET6mにより電圧が降圧され、抵抗6n、6oには、動作電流IzXが流れ、出力ライン6d、6e間に接続される負荷には、出力電流(負荷電流)ILXが流れる。入力電流IXは、動作電流IzXと出力電流ILXの和である。そして、定電圧回路6Xは、MOSFET6mでの電圧の降圧が制御されることによって、出力ライン6d、6e間の出力電圧VXを一定に保って、負荷に印加する電圧を定電圧化する。複数の定電圧回路のうちの幾つかの定電圧回路、又は、複数の定電圧回路の全ての定電圧回路は、このような構成のシリーズレギュレータであってもよい。
【0075】
また、本実施形態において、システム電流制御部7は、可変抵抗器11の抵抗値によって、システム電流Isの電流値を設定するものに限られず、例えば、セレクタスイッチによって、システム電流Isの電流値を特定の電流値に設定するものであってもよい。
【0076】
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、システム電流制御部7の構成が上記第1の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0077】
本実施形態では、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値を制御可能な定電流回路12である。定電流回路12は、入力部4の入力端子4aと定電圧回路6Aの入力ライン6aとの間に直列に接続されており、システム電流Isの電流値を一定に保つ。また、定電流回路12は、システム電流Isの電流値を制御可能になっている。つまり、定電流回路12は、電流値が設定されるようになっており、システム電流Isの電流値を、その設定された電流値となるように制御する。
【0078】
すなわち、システム電流制御部7は、定電流回路12の電流値が設定されることにより、システム電流Isの電流値が設定されて、定電流回路12によって、システム電流Isの電流値をその設定された電流値となるようにする。また、システム電流制御部7は、定電流回路12の電流値が変えられることにより、定電流回路12によって、システム電流Isの電流値を変える。つまり、システム電流制御部7は、定電流回路12の電流値によって、システム電流Isを制御するようになっている。定電流回路12の電流値は、不図示のボリュームスイッチを操作することによって、又は、例えばパソコンなどの外部制御装置から電流値を設定するための設定信号(設定すべき電流値を示す信号)を与えることによって、任意の電流値に設定される。
【0079】
システム電流制御部7は、システム電流の電流値Isが、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流(出力電流)が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように、定電流回路12の電流値が設定される。この定電流回路12の電流値の設定は、例えば、電源システム1の設置者又は外部装置3A〜3Cの設置者により、直流電源2の直流電圧Vinや負荷8A〜8Cの定格電圧、定格電流等に基いて行われる。このように定電流回路12の電流値が設定されることにより、システム電流制御部7は、システム電流の電流値Isを、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する。
【0080】
本実施形態の電源システム1によれば、入力電圧(直流電源2の直流電圧Vin)が変動しても、システム電流Isの電流値は、定電流回路12の働きによって一定に保たれ、各定電圧回路6A〜6Cは、安定して動作することができる。
【0081】
また、システム電流制御部7によって(定電流回路12の電流値を調整して)、システム電流の電流値Isを、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値にすることができる。このようにすることにより、不必要な電流を流さなくて済み、より一層、電力消費を少なくすることができる。
【0082】
<第3の実施形態>
図5は、第3の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、システム電流制御部7の構成が上記第1の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0083】
本実施形態では、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値を、定電圧回路6Cの出力電圧VCが所定の電圧値となるように負帰還制御するようになっている。システム電流制御部7は、MOSFET13と、抵抗14と、電圧制御部15とを備えている。
【0084】
MOSFET13は、P型のMOSFETであり、ソースが入力部4の入力端子4aに接続されており、ドレインが定電圧回路6Aの入力ライン6aに接続されており、ゲートが抵抗14と電圧制御部15との間に接続されている。抵抗14は、一端が入力部4の入力端子4aとMOSFET13のソースとの間に接続されており、他端がMOSFET13のゲートと電圧制御部15との間に接続されている。
【0085】
電圧制御部15は、抵抗16、17と、基準電源18と、オペアンプ19とを有している。抵抗16は、一端が定電圧回路6Cの入力ライン6aに接続されており、他端が抵抗17の一端に接続されている。抵抗17は、一端が抵抗16の他端に接続されており、他端が定電圧回路6Cの入力ライン6bに接続されている。基準電源18は、正極(+極)がオペアンプ19の反転入力端子に接続されており、負極(−極)が定電圧回路6Cの入力ライン6bに接続されている。オペアンプ19は、非反転入力端子が抵抗16と抵抗17との間に接続されており、反転入力端子が基準電源18の正極(+極)に接続されており、出力端子がMOSFET13のゲートと抵抗14の他端との間に接続されている。
【0086】
このような構成において、オペアンプ19は、定電圧回路6Cの出力電圧VCが所定値となるように(抵抗16と抵抗17の分圧が所定値となるように)、負帰還制御する。例えば、定電圧回路6Cの入力電流ICが不足(出力電流ILCが不足)して、定電圧回路6Cの出力電圧VCが低下したとする。すると、抵抗16、17の分圧(抵抗16/(抵抗16+抵抗17))が低下して、オペアンプ19の出力電圧が低下する。これにより、MOSFET13のゲート電圧が低下して、MOSFET13のソース、ドレイン間に流れる電流、すなわちシステム電流Isが増加して、定電圧回路6Cの入力電流ICが増加する。
【0087】
また、定電圧回路6Cの入力電流ICが過多になって、定電圧回路6Cの出力電圧VCが上昇したとする。すると、抵抗16、17の分圧(抵抗16/(抵抗16+抵抗17))が上昇して、オペアンプ19の出力電圧が上昇する。これにより、MOSFET13のゲート電圧が上昇して、MOSFET13のソース、ドレイン間に流れる電流、すなわちシステム電流Isが減少し、定電圧回路6Cの入力電流ICが減少する。
【0088】
このように定電圧回路6Cの入力電流ICが制御される(入力電流ICの不足、過多が解消される)ことにより、システム電流Isの電流値は、定電圧回路6Cの安定動作に必要最小限の電流値となる。すなわち、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値を、定電圧回路6Cの安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する。
【0089】
ここで、例えば、外部装置3A〜3Cのうちの最大負荷を有する外部装置が接続部5Cに接続されているとする。すなわち、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流(出力電流)が最大である定電圧回路が、定電圧回路6Cであるとする。すると、定電圧回路6Cの安定動作に必要最小限の入力電流ICの電流値ICminは、定電圧回路6Aの安定動作に必要最小限の入力電流IAの電流値IAmin、及び定電圧回路6Bの安定動作に必要最小限の入力電流IBの電流値IBminよりも大きい。従って、最大負荷を有する外部装置が接続部5Cに接続されている状態では、システム電流Isの電流値は、定電圧回路6Cの安定動作に必要最小限の電流値になっていれば、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値にもなっている。
【0090】
システム電流制御部7は、上述のように、システム電流Isの電流値を、定電圧回路6Cの安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する。従って、システム電流制御部7は、外部装置3A〜3Cのうちの最大負荷を有する外部装置が接続部5Cに接続されることにより、システム電流の電流値Isを、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する。
【0091】
最大負荷を有する外部装置が分かっている場合には、その外部装置を接続部3Cに接続することが望ましい。図示の例では、外部装置3A〜3Cのうちの最大負荷を有する外部装置は、外部装置3Cであり、外部装置3Cが接続部5Cに接続されている。
【0092】
本実施形態の電源システム1によれば、外部装置3A〜3Cのうちの最大負荷を有する外部装置を接続部5Cに接続することにより、システム電流Isの電流値が、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御される。従って、外部装置3A〜3Cのうちの最大負荷を有する外部装置を接続部5Cに接続することにより、不必要な電流を流さなくて済み、電力消費を少なくすることができる。
【0093】
また、最大負荷を有する外部装置を接続部5Cに接続すれば、利用者によるシステム電流Isの電流値の設定操作を必要とせずに、システム電流Isの電流値が、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御される。すなわち、最大負荷を有する外部装置を接続部5Cに接続するだけで、自動的に、システム電流Isの電流値が、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御される。従って、利便性が向上する。また、最大負荷を有する外部装置を接続部5Cに接続することにより、負荷電流ILA〜ILCに変動があっても、常に、最小電流での定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作が可能である。
【0094】
なお、本実施形態において、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値を、定電圧回路6Cのシャント電流IshCが所定の電流値となるように負帰還制御するものであってもよい。また、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値を、複数の定電圧回路6のうちの2以上のものの出力電圧が所定の電圧値となるように、負帰還制御するものであってもよい。また、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値を、複数の定電圧回路6のうちの2以上のもののシャント電流が所定の電流値となるように、負帰還制御するものであってもよい。
【0095】
<第4の実施形態>
図6は、第4の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、システム電流制御部7の構成が上記第1の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0096】
本実施形態では、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値を、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御するようになっている。システム電流制御部7は、MOSFET21と、抵抗22と、複数の電圧制御部23(23A、23B、23C)とを備えている。
【0097】
MOSFET21は、P型のMOSFETであり、ソースが入力部4の入力端子4aに接続されており、ドレインが定電圧回路6Aの入力ライン6aに接続されており、ゲートが抵抗22に接続されている。抵抗22は、一端が入力部4の入力端子4aとMOSFET21のソースとの間に接続されており、他端がMOSFET21のゲートに接続されている。
【0098】
電圧制御部23Aは、MOSFET24と、抵抗25、26と、基準電源27と、オペアンプ28とを有している。電圧制御部23Aは、定電圧回路6Aの出力電圧VAを制御するためのものである。
【0099】
MOSFET24は、N型のMOSFETであり、ソースがMOSFET21のゲートと抵抗22の他端との間に接続されており、ドレインが定電圧回路6Aの入力ライン6bに接続されており、ゲートがオペアンプ28の出力端子に接続されている。抵抗25は、一端が定電圧回路6Aの入力ライン6aに接続されており、他端が抵抗26の一端に接続されている。抵抗26は、一端が抵抗25の一端に接続されており、他端が定電圧回路6Aの入力ライン6bに接続されている。基準電源27は、正極(+極)がオペアンプ28の非反転入力端子に接続されており、負極(−極)が定電圧回路6Aの入力ライン6bに接続されている。オペアンプ28は、非反転入力端子が基準電源27の正極(+極)に接続されており、反転入力端子が抵抗25と抵抗26との間に接続されており、出力端子がMOSFET24のゲートに接続されている。
【0100】
電圧制御部23Bは、電圧制御部23Aと同様に、MOSFET24と、抵抗25、26と、基準電源27と、オペアンプ28とを有している。但し、電圧制御部23Bは、定電圧回路6Bの出力電圧VBを制御するためのものである。従って、電圧制御部23Bでは、抵抗25は、一端が定電圧回路6Bの入力ライン6aに接続されており、抵抗26は、他端が定電圧回路6Bの入力ライン6bに接続されている。これ以外は、電圧制御部23Bは、電圧制御部23Aと同様である。
【0101】
電圧制御部23Cも、電圧制御部23Aと同様に、MOSFET24と、抵抗25、26と、基準電源27と、オペアンプ28とを有している。但し、電圧制御部23Cは、定電圧回路6Cの出力電圧VCを制御するためのものである。従って、電圧制御部23Cでは、抵抗25は、一端が定電圧回路6Cの入力ライン6aに接続されており、抵抗26は、他端が定電圧回路6Cの入力ライン6bに接続されている。これ以外は、電圧制御部23Cは、電圧制御部23Aと同様である。
【0102】
このような構成において、例えば、定電圧回路6Aの入力電流IAが不足(出力電流ILAが不足)で、定電圧回路6Aの出力電圧VAが低下したとする。すると、電圧制御部23Aのオペアンプ28の出力電圧(=電圧制御部23AのMOSFET24への印加電圧)が高くなり、電圧制御部23AのMOSFET24のソース、ドレイン間に流れる電流が増加する。これにより、抵抗22の電圧降下が大きくなり、MOSFET21のゲート電圧が低下して、システム電流Isが増加し、定電圧回路6Aの入力電流IAが増加して、定電圧回路6Aの出力電流ILAの不足が解消する。このとき、システム電流Isの増加により、定電圧回路6B、6Cでも入力電流IB、ICが増加することになるが、定電圧回路6B、6Cのシャント電流IshB、IshCの増加によって、定電圧回路6B、6Cの出力電流ILB、ILCは一定に保たれる。なお、一時的には、電圧制御部23BのMOSFET24、及び電圧制御部23CのMOSFET24が遮断状態になるかもしれないが、その分、電圧制御部23AのMOSFET24が電流を流して、抵抗22の電圧降下を起すので、問題ない。
【0103】
定電圧回路6Aの入力電流IAが不足の場合(定電圧回路6Aの出力電圧VAが低下した場合)には、このような電圧制御部23A、抵抗22、MOSFET21の働きによって、定電圧回路6Aの出力電流ILAの不足が解消される。
【0104】
また、定電圧回路6Bの入力電流IBが不足の場合(定電圧回路6Bの出力電圧VBが低下した場合)には、電圧制御部23B、抵抗22、MOSFET21の働きによって、同様に、定電圧回路6Bの出力電流ILBの不足が解消される。また、定電圧回路6Cの入力電流ICが不足の場合(定電圧回路6Cの出力電圧VCが低下した場合)には、電圧制御部23C、抵抗22、MOSFET21の働きによって、同様に、定電圧回路6Cの出力電流ILCの不足が解消される。
【0105】
逆に、定電圧回路6Aの入力電流IAが過多の場合には、電圧制御部23AのMOSFET24のソース、ドレイン間に流れる電流が減少する。これにより、抵抗22の電圧降下が小さくなり、MOSFET21のゲート電圧が上昇して、システム電流Isが減少する。定電圧回路6Aの出力電流ILAが過多の場合には、このような電圧制御部23A、抵抗22、MOSFET21の働きによって、定電圧回路6Aの入力電流IAの過多が解消される。
【0106】
また、定電圧回路6Bの入力電流IBが過多の場合には、電圧制御部23B、抵抗22、MOSFET21の働きによって、同様に、定電圧回路6Bの入力電流IBの過多が解消される。また、定電圧回路6Cの入力電流ICが過多の場合には、電圧制御部23C、抵抗22、MOSFET21の働きによって、同様に、定電圧回路6Cの入力電流ICの過多が解消される。
【0107】
電圧制御部23AのMOSFET24、電圧制御部23BのMOSFET24、及び電圧制御部23CのMOSFET24は、ワイアードORで結合されている。従って、定電圧回路6A〜6Cのいずれが入力電流不足又は入力電流過多になった場合でも、対処できる。
【0108】
このように各定電圧回路6A〜6Cの入力電流IA〜ICが制御される(入力電流IA〜ICの不足、過多が解消される)ことにより、システム電流Isの電流値は、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となる。すなわち、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値を、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する。
【0109】
本実施形態の電源システム1によれば、システム電流Isの電流値が、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御されるので、不必要な電流を流さなくて済み、電力消費を少なくすることができる。
【0110】
また、外部装置3A〜3Cを接続部5A〜5Cのいずれに接続しても、利用者によるシステム電流Isの電流値の設定操作を必要とせずに、システム電流Isの電流値が、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御される。すなわち、外部装置3A〜3Cを接続部5A〜5Cのいずれに接続しても、自動的に、システム電流Isの電流値が、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御される。従って、利便性が向上する。また、負荷電流ILA〜ILCに変動があっても、常に、最小電流での定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作が可能である。
【0111】
<第5の実施形態>
図7は、第5の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、システム電流制御部7の構成が上記第1の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0112】
本実施形態では、システム電流制御部7は、定電流回路31と、レジスタ32とを備えている。定電流回路31は、入力部4の入力端子4aと定電圧回路6Aの入力ライン6aとの間に直列に接続されており、システム電流Isの電流値を一定に保つ。また、定電流回路31は、システム電流Isの電流値を制御可能になっている。つまり、定電流回路31は、電流値が設定されるようになっており、システム電流Isの電流値を、その設定された電流値となるように制御する。レジスタ32のデータは、電流値を設定するための設定信号(設定すべき電流値を示す信号)として定電流回路31に与えられる。定電流回路31は、レジスタ32のデータによって電流値を設定し、レジスタ32のデータ値が大きいほど、電流値を大きく設定し、レジスタ32のデータ値が小さいほど、電流値を小さく設定する。
【0113】
すなわち、システム電流制御部7は、レジスタ32のデータに基いて、システム電流Isの電流値を決定し、定電流回路31によって、システム電流Isの電流値をその決定した電流値となるようにする。また、システム電流制御部7は、レジスタ32のデータが変えられることにより、定電流回路31によって、システム電流Isの電流値を変える。つまり、システム電流制御部7は、レジスタ32のデータによって、システム電流Isを制御するようになっている。システム制御部7は、レジスタ32のデータの値が大きいほど、システム電流Isの電流値を大きくし、レジスタ32のデータの値が小さいほど、システム電流Isの電流値を小さくする。レジスタ32のデータは、外部から(例えばパソコンなどの外部制御装置から)通信などによって、又は、電源システム1が何らかの信号処理(情報処理)を行うことによって、任意の値が書き込まれる。
【0114】
システム電流制御部7は、システム電流の電流値Isが、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流(出力電流)が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように、レジスタ32のデータが書き込まれる。このレジスタ32のデータの書き込みは、例えば、電源システム1の設置者又は外部装置3A〜3Cの設置者により、直流電源2の直流電圧Vinや負荷8A〜8Cの定格電圧、定格電流等に基いて行われる。このようにレジスタ32のデータが書き込まれることにより、システム電流制御部7は、システム電流の電流値Isを、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流(出力電流)が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する。
【0115】
本実施形態の電源システム1によれば、入力電圧(直流電源2の直流電圧Vin)が変動しても、システム電流Isの電流値は、定電流回路31の働きによって一定に保たれ、各定電圧回路6A〜6Cは、安定して動作することができる。
【0116】
また、システム電流制御部7によって(レジスタ32のデータを調整して)、システム電流の電流値Isを、定電圧回路6A〜6Cのうちの負荷電流が最大である定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値にすることができる。このようにすることにより、不必要な電流を流さなくて済み、より一層、電力消費を少なくすることができる。
【0117】
また、レジスタ32のデータを変えることで、自由にシステム電流Isの電流値を制御することができる。また、レジスタ32のデータを外部から通信などによって変えることで、遠隔操作によるシステム電流Isの制御が、容易に行えるようになる。また、レジスタ32のデータを時間的に変えることで、タイマ動作によるシステム電流Isの制御(システム電流Isの電流値を時間によって変化させる制御)が、容易に行えるようになる。
【0118】
なお、本実施形態において、システム電流制御部7には、負荷電流についての設定情報が与えられ、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値(レジスタ32のデータ)を、負荷電流についての設定情報に基いて決定するようになっていてもよい。この場合、負荷電流についての設定情報は、外部装置3A〜3C又はパソコンなどの外部制御装置から、システム電流制御部7に与えられる。このような構成によれば、設定情報によってシステム電流Isの電流値を制御できるので、電源システム1の起動時から、外部装置3A〜3Cの負荷8A〜8Cに適したシステム電流Isを発生できる。
【0119】
また、本実施形態において、定電圧回路6A〜6Cは、その出力電圧VA〜VCが制御可能であり、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCを制御する出力電圧制御手段をさらに備えていてもよい。すなわち、出力電圧制御手段が、出力電圧設定情報に基いて、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCを制御するようになっていてもよい。この場合、出力電圧設定情報は、外部装置3A〜3C又はパソコンなどの外部制御装置から、システム電流制御部7に与えられるようにし、システム制御部7が、出力電圧設定情報に基いて、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCを制御すればよい。システム電流制御部7によって、出力電圧制御手段が構成される。このような構成によれば、その都度、有用な出力電圧VA〜VCにフレキシブルに設定できる。また、設定情報によって出力電圧VA〜VCを制御できるので、電源システム1の起動時から、外部装置3A〜3Cの負荷8A〜8Cに適した直流電圧を発生できる。
【0120】
<第6の実施形態>
図8は、第6の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、システム電流制御部7の構成が上記第1の実施形態と異なっている。また、本実施形態の電源システム1では、各定電圧回路6A〜6Cは、入力電流IA〜ICが不足(出力電流ILA〜ILCが不足)していると、出力電流が不足している旨の電流不足情報をシステム電流制御部7に送出するようになっている。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0121】
本実施形態では、システム電流制御部7は、システム電流Isを一部分流して、その分流したシステム電流を、定電圧回路6Aを迂回させるように、又は、定電圧回路6Aと定電圧回路6Bを迂回させるように制御可能になっている。システム電流制御部7は、複数のMOSFET41(41A、41B、41C)と、制御回路部42とを備えている。
【0122】
MOSFET41Aは、P型のMOSFETであり、ソースが入力部4の入力端子4aに接続されており、ドレインが定電圧回路6Aの入力ライン6aに接続されており、ゲートが制御回路部42に接続されている。MOSFET41Bは、P型のMOSFETであり、ソースが入力部4の入力端子4aとMOSFET41Aのソースとの間に接続されており、ドレインが定電圧回路6Bの入力ライン6aに接続されており、ゲートが制御回路部42に接続されている。MOSFET41Cは、P型のMOSFETであり、ソースが入力部4の入力端子4aとMOSFET41Bのソースとの間に接続されており、ドレインが定電圧回路6Cの入力ライン6aに接続されており、ゲートが制御回路部42に接続されている。
【0123】
制御回路部42は、MOSFET41A〜41Cのゲート電圧を制御する。MOSFET41Aのゲート電圧が低下すると、MOSFET41Aのソース、ドレイン間に流れる電流が増加し、MOSFET41Aのゲート電圧が上昇すると、MOSFET41Aのソース、ドレイン間に流れる電流が減少する。MOSFET41Aのソース、ドレイン間に流れる電流は、入力部4の入力端子4aから定電圧回路6Aに流れる電流である。また、MOSFET41Bのゲート電圧が低下すると、MOSFET41Bのソース、ドレイン間に流れる電流が増加し、MOSFET41Bのゲート電圧が上昇すると、MOSFET41Bのソース、ドレイン間に流れる電流が減少する。MOSFET41Bのソース、ドレイン間に流れる電流は、入力部4の入力端子4aから、定電圧回路6Aを迂回して定電圧回路6B、6Cに流れる電流である。また、MOSFET41Cのゲート電圧が低下すると、MOSFET41Cのソース、ドレイン間に流れる電流が増加し、MOSFET41Cのゲート電圧が上昇すると、MOSFET41Cのソース、ドレイン間に流れる電流が減少する。MOSFET41Cのソース、ドレイン間に流れる電流は、入力部4の入力端子4aから、定電圧回路6A、6Bを迂回して定電圧回路6Cに流れる電流である。MOSFET41Aのソース、ドレイン間に流れる電流と、MOSFET41Bのソース、ドレイン間に流れる電流と、MOSFET41Cのソース、ドレイン間に流れる電流の合計電流が、システム電流Isである。
【0124】
すなわち、制御回路部42は、MOSFET41Bのゲート電圧を制御することにより、システム電流Isを一部分流して、その分流したシステム電流を、定電圧回路6Aを迂回させて、定電圧回路6B、6Cに流すように制御可能になっている。また、制御回路部42は、MOSFET41Cのゲート電圧を制御することにより、システム電流Isを一部分流して、その分流したシステム電流を、定電圧回路6A、6Bを迂回させて、定電圧回路6Cに流すように制御可能になっている。
【0125】
定電圧回路6Aは、シャント電流IshAが所定の電流値以下になると、入力電流IAが不足(出力電流ILAが不足)しているとして、電流不足を伝えるための電流不足情報をシステム電流制御部7に送出する。同様に、定電圧回路6Bは、シャント電流IshBが所定の電流値以下になると、入力電流IBが不足(出力電流ILBが不足)しているとして、電流不足を伝えるための電流不足情報をシステム電流制御部7に送出する。また同様に、定電圧回路6Cは、シャント電流IshCが所定の電流値以下になると、入力電流ICが不足(出力電流ILCが不足)しているとして、電流不足を伝えるための電流不足情報をシステム電流制御部7に送出する。
【0126】
制御回路部42は、定電圧回路6Aから電流不足情報を受け取ると、定電圧回路6Aの入力電流IAが不足していると判断して、MOSFET41Aのゲート電圧を低下させる。また、制御回路部42は、定電圧回路6Bから電流不足情報を受け取ると、定電圧回路6Bの入力電流IBが不足していると判断して、MOSFET41Bのゲート電圧を低下させる。また、制御回路部42は、定電圧回路6Cから電流不足情報を受け取ると、定電圧回路6Cの入力電流ICが不足していると判断して、MOSFET41Cのゲート電圧を低下させる。
【0127】
このような構成において、例えば、定電圧回路6Aの入力電流IAが不足したとする。すると、定電圧回路6Aが電流不足情報を送出し、制御回路部42は、定電圧回路6Aからの電流不足情報を受け取って、MOSFET41Aのゲート電圧を低下させる。これにより、MOSFET41Aのソース、ドレイン間に流れる電流が増加し、定電圧回路6Aの入力電流IAが増加して、定電圧回路6Aの入力電流IAの不足が解消する。
【0128】
また、定電圧回路6Bの入力電流IBが不足したとする。すると、定電圧回路6Bが電流不足情報を送出し、制御回路部42は、定電圧回路6Bからの電流不足情報を受け取って、MOSFET41Bのゲート電圧を低下させる。これにより、MOSFET41Bのソース、ドレイン間に流れる電流(定電圧回路6Aを迂回して定電圧回路6Bに流れる電流)が増加し、定電圧回路6Bの入力電流IBが増加して、定電圧回路6Bの入力電流IBの不足が解消する。
【0129】
また、定電圧回路6Cの入力電流ICが不足したとする。すると、定電圧回路6Cが電流不足情報を送出し、制御回路部42は、定電圧回路6Cからの電流不足情報を受け取って、MOSFET41Cのゲート電圧を低下させる。これにより、MOSFET41Cのソース、ドレイン間に流れる電流(定電圧回路6A、6Bを迂回して定電圧回路6Cに流れる電流)が増加し、定電圧回路6Cの入力電流ICが増加して、定電圧回路6Cの入力電流ICの不足が解消する。
【0130】
また、定電圧回路6Aの電流入力ライン6bと定電圧回路6Bの電流入力ライン6aとの間(図示Wの箇所)で断線があったとする。すると、MOSFET41Aのソース、ドレイン間に電流が流れなくなり、定電圧回路6A〜6Cの入力電流IA〜ICが不足する。従って、定電圧回路6Aは、電流不足情報を送出し、制御回路部42は、定電圧回路6Aからの電流不足情報を受け取って、MOSFET41Aのゲート電圧を低下させる。しかし、定電圧回路6Aの電流入力ライン6bと定電圧回路6Bの電流入力ライン6aとの間(図示Wの箇所)で断線があるため、MOSFET41Aのソース、ドレイン間に電流が流れない。また、定電圧回路6Bも、電流不足情報を送出し、制御回路部42は、定電圧回路6Bからの電流不足情報を受け取って、MOSFET41Bのゲート電圧を低下させる。これにより、MOSFET41Bのソース、ドレイン間に流れる電流が増加して、定電圧回路6Aを迂回して定電圧回路6Bに流れる電流が増加し、定電圧回路6Bに適切な(定電圧回路6Bの安定動作に必要な)入力電流IBが流れる。また、定電圧回路6Cも、電流不足情報を送出し、制御回路部42は、定電圧回路6Cからの電流不足情報を受け取って、MOSFET41Cのゲート電圧も低下させる。これにより、MOSFET41Cのソース、ドレイン間に流れる電流が増加して、定電圧回路6A、6Bを迂回して定電圧回路6Cに流れる電流が増加し、定電圧回路6Cに適切な(定電圧回路6Cの安定動作に必要な)入力電流ICが流れる。すなわち、定電圧回路6Aの電流入力ライン6bと定電圧回路6Bの電流入力ライン6aとの間で断線があった場合、定電圧回路6Aは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Bと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0131】
また、定電圧回路6Aの電流入力ライン6bと定電圧回路6Bの電流入力ライン6aとの間(図示Wの箇所)で地絡(直流電源2の−極(負極)への短絡)があったとする。すると、MOSFET41Aのソース、ドレイン間に流れた電流(定電圧回路6Aを流れた電流)は、定電圧回路6B、6Cに流れなくなり、定電圧回路6B、6Cの入力電流IB、ICが不足する。従って、定電圧回路6Bは、電流不足情報を送出し、制御回路部42は、定電圧回路6Bからの電流不足情報を受け取って、MOSFET41Bのゲート電圧を低下させる。これにより、MOSFET41Bのソース、ドレイン間に流れる電流が増加する。しかし、定電圧回路6Aの電流入力ライン6bと定電圧回路6Bの電流入力ライン6aとの間(図示Wの箇所)で地絡があるため、MOSFET41Bのソース、ドレイン間に流れた電流は、定電圧回路6Bには流れない。また、定電圧回路6Cも、電流不足情報を送出し、制御回路部42は、定電圧回路6Cからの電流不足情報を受け取って、MOSFET41Cのゲート電圧も低下させる。これにより、MOSFET41Cのソース、ドレイン間に流れる電流が増加して、定電圧回路6A、6Bを迂回して定電圧回路6Cに流れる電流が増加し、定電圧回路6Cに適切な(定電圧回路6Cの安定動作に必要な)入力電流ICが流れる。すなわち、定電圧回路6Aの電流入力ライン6bと定電圧回路6Bの電流入力ライン6aとの間で地絡があった場合、定電圧回路6Bは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Aと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0132】
本実施形態の電源システム1によれば、定電圧回路6A〜6C同士が接続されている部分のいずれかで断線や地絡(又は直流電源2の+極(正極)への短絡)が発生しても、定電圧回路6A〜6Cのうちの一部の定電圧回路は、正常に動作し得る。
【0133】
<第7の実施形態>
図9は、第7の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、システム電流制御部7の構成が上記第1の実施形態と異なっている。また、本実施形態の電源システム1では、各定電圧回路6A〜6Cは、出力電圧VA〜VCが所定の電圧値以下になると、警報信号をシステム電流制御部7に送出するようになっている。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0134】
本実施形態では、システム電流制御部7は、定電流回路51と、カウンタ52と、タイマ回路53と、制御回路部54とを備えている。
【0135】
定電流回路51は、入力部4の入力端子4aと定電圧回路6Aの入力ライン6aとの間に直列に接続されており、システム電流Isの電流値を一定に保つ。また、定電流回路51は、システム電流Isの電流値を制御可能になっている。つまり、定電流回路51は、電流値が設定されるようになっており、システム電流Isの電流値を、その設定された電流値となるように制御する。カウンタ52の値は、電流値を設定するための設定信号(設定すべき電流値を示す信号)として定電流回路51に与えられる。定電流回路51は、カウンタ52の値に基いて電流値を設定し、カウンタ52の値が大きいほど、電流値を大きく設定し、カウンタ52の値が小さいほど、電流値を小さく設定する。
【0136】
カウンタ52は、タイマ回路53からパルスを受けると、パルスを受ける毎に、カウント値を減らす。また、カウンタ52は、制御回路部54からカウント増加信号を受けると、カウント値を増やす。タイマ回路53は、常時、一定周期でパルスを出力する。タイマ回路53から出力されたパルスは、カウンタ52に与えられる。制御回路部54は、システム電流Isが不足していると判断した場合に、カウント増加信号を出力する。制御回路部54から出力されたカウント増加信号は、カウンタ52に与えられる。
【0137】
定電圧回路6Aは、定電圧回路6Aの抵抗6g、6h(上記図2参照)の分圧をモニターすることにより、出力電圧VAをモニターしている。そして、定電圧回路6Aは、出力電圧VAが所定の電圧値以下になると、入力電流IAが不足(出力電流ILAが不足)しているとして、警報信号をシステム電流制御部7に送出する。定電圧回路6Bも、同様に、出力電圧VBをモニターしており、出力電圧VBが所定の電圧値以下になると、入力電流IBが不足(出力電流ILBが不足)しているとして、警報信号をシステム電流制御部7に送出する。また、定電圧回路6Cも、同様に、出力電圧VCをモニターしており、出力電圧VCが所定の電圧値以下になると、入力電流ICが不足(出力電流ILCが不足)しているとして、警報信号をシステム電流制御部7に送出する。
【0138】
制御回路部54は、定電圧回路6A〜6Cのいずれからも警報信号を受け取っていないときは、定電圧回路6A〜6Cの入力電流IA〜ICのいずれも不足しないと判断して、カウント増加信号を出力しない。そして、制御回路部54は、定電圧回路6A〜6Cのいずれかから警報信号を受け取ると、定電圧回路6A〜6Cの入力電流IA〜ICのいずれかが不足していると判断して、カウント増加信号を出力する。なお、入力電流IA〜ICのいずれも不足していないということは、システム電流Isが不足していないということであり、入力電流IA〜ICのいずれかが不足しているということは、システム電流Isが不足しているということである。
【0139】
このような構成において、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCが所定の電圧値に保たれている場合(入力電流IA〜ICのいずれも不足しない場合)には、定電圧回路6A〜6Cのいずれも、警報信号を送出しない。すなわち、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCが所定の電圧値に保たれている場合には、制御回路部54は、定電圧回路6A〜6Cのいずれからも警報信号を受け取らず、カウント増加信号を出力しない。一方、タイマ回路53は、常時、一定周期でパルスを出力している。これにより、カウンタ52は、タイマ回路53からのパルスを受けて、カウント値を減らしていき、定電流回路51は、カウンタ52の値に応じて、システム電流Isの電流値を減少させていく。
【0140】
また、定電圧回路6Aの出力電圧VAが所定の電圧値以下であると(入力電流IAが不足していると)、定電圧回路6Aは、警報信号を送出する。同様に、定電圧回路6Bの出力電圧VBが所定の電圧値以下であると(入力電流IBが不足していると)、定電圧回路6Bは、警報信号を送出する。また同様に、定電圧回路6Cの出力電圧VCが所定の電圧値以下であると(入力電流ICが不足していると)、定電圧回路6Cは、警報信号を送出する。すなわち、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCのいずれかが所定の電圧値以下であると、制御回路部54は、定電圧回路6A〜6Cのいずれかから警報信号を受け取って、カウント増加信号を出力する。これにより、カウンタ52は、制御回路部54からのカウント増加信号を受けて、カウント値を増やし、定電流回路51は、カウンタ52の値に応じて、システム電流Isを増加させる。
【0141】
すなわち、システム電流制御部7は、定電圧回路6A〜6Cのいずれからも警報信号を受け取っていない場合(入力電流IA〜ICのいずれも不足していなくて、システム電流Isが不足していない場合)には、システム電流Isを減少させる。また、システム電流制御部7は、定電圧回路6A〜6Cのいずれかから警報信号を受け取ると(入力電流IA〜ICのいずれかが不足していて、システム電流Isが不足していると)、システム電流Isを増加させる。
【0142】
このようにシステム電流Isが制御されることにより、システム電流Isの電流値は、電流不足ぎりぎりの電流値(=定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値)となる。すなわち、システム電流制御部7は、システム電流Isの電流値を、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する。
【0143】
本実施形態の電源システム1によれば、システム電流Isの電流値が、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御されるので、不必要な電流を流さなくて済み、電力消費を少なくすることができる。
【0144】
また、外部装置3A〜3Cを接続部5A〜5Cのいずれに接続しても、利用者によるシステム電流Isの電流値の設定操作を必要とせずに、システム電流Isの電流値が、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御される。すなわち、外部装置3A〜3Cを接続部5A〜5Cのいずれに接続しても、自動的に、システム電流Isの電流値が、定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作に必要最小限の電流値となるように制御される。従って、利便性が向上する。また、負荷電流ILA〜ILCに変動があっても、常に、最小電流での定電圧回路6A〜6Cの全ての安定動作が可能である。
【0145】
なお、本実施形態において、各定電圧回路6A〜6Cは、出力電圧VA〜VCに代えて、シャント電流IshA〜IshCをモニターし、シャント電流IshA〜IshCが所定の電流値以下になると、警報信号を送出するようにしてもよい。また、各定電圧回路6A〜6Cは、警報信号として、出力電圧VA〜VCのモニター値、又は、シャント電流IshA〜IshCのモニター値を送出するようにしてもよい。この場合、出力電圧VA〜VCのモニター値、又は、シャント電流IshA〜IshCのモニター値は、通信によって送出してもよいし、アナログ電位を伝えることによって送出してもよい。
【0146】
<第8の実施形態>
図10は、第8の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、接続部5の構成が上記第5の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第5の実施形態と同様である。
【0147】
本実施形態では、接続部5A〜5Cは、各々、複数の接続端子5a、5bを有している。そして、接続部5Aの各接続端子5aには、定電圧回路6Aの出力ライン6dが接続されており、接続部5Aの各接続端子5bには、定電圧回路6Aの出力ライン6eが接続されている。また、接続部5Bの各接続端子5aには、定電圧回路6Bの出力ライン6dが接続されており、接続部5Bの各接続端子5bには、定電圧回路6Bの出力ライン6eが接続されている。また、接続部5Cの各接続端子5aには、定電圧回路6Cの出力ライン6dが接続されており、接続部5Cの各接続端子5bには、定電圧回路6Cの出力ライン6eが接続されている。
【0148】
すなわち、各定電圧回路6A〜6Cは、複数の負荷8が並列接続され得るようになっている。本実施形態では、接続部5A〜5Cは、各々、2つの接続端子5a、5bを有しており、各定電圧回路6A〜6Cは、2つの負荷8が並列接続され得るようになっている。
【0149】
図示の例では、外部装置3A−1は、負荷8A−1が接続部5Aの1つの接続端子5a、5b間に接続されるように、接続部5Aに接続されている。また、外部装置3A−2は、負荷8A−2が接続部5Aの別の1つの接続端子5a、5b間に接続されるように、接続部5Aに接続されている。また、外部装置3Bは、負荷8Bが接続部5Bの1つの接続端子5a、5b間に接続されるように、接続部5Bに接続されている。また、外部装置3C−1は、負荷8C−1が接続部5Cの1つの接続端子5a、5b間に接続されるように、接続部5Cに接続されている。また、外部装置3C−2は、負荷8C−2が接続部5Cの別の1つの接続端子5a、5b間に接続されるように、接続部5Cに接続されている。
【0150】
すなわち、定電圧回路6Aの出力ライン6d、6e間に、外部装置3A−1の負荷8A−1と外部装置3A−2の負荷8A−2が並列に接続されている。また、定電圧回路6Bの出力ライン6d、6e間に、外部装置3Bの負荷8Bが接続されている。また、定電圧回路6Cの出力ライン6d、6e間に、外部装置3C−1の負荷8C−1と外部装置3C−2の負荷8C−2が並列に接続されている。
【0151】
各定電圧回路6A〜6Cの出力電流ILA〜ILCに大小差がある場合、出力電流の小さい(すなわち、小さい負荷が接続されている)定電圧回路に、別の負荷を並列に接続しても、システム電流Isの増加を必要としないことがある。これは、各定電圧回路6A〜6Cの出力電流ILA〜ILCに大小差がある場合というのは、各定電圧回路6A〜6Cのシャント電流IshA〜IshCに差がある場合だからである。出力電流が小さければ、その分、シャント電流は大きい。また、出力電流が大きければ、その分、シャント電流は小さい。つまり、並列に接続しようとする別の負荷に流れる電流が、その負荷を接続する前のシャント電流IshA〜IshCの差よりも小さいのであれば、その負荷を出力電流の小さい定電圧回路に並列に接続しても、システム電流Isの増加を必要としない。
【0152】
電源システム1は、各定電圧回路6A〜6Cのシャント電流IshA〜IshCの差が小さいほど、電力効率が良く、消費電力を少なくすることができる。従って、各定電圧回路6A〜6Cのシャント電流IshA〜IshCの差が小さくなるように、負荷8を各定電圧回路6A〜6Cに並列接続させれば、消費電力を少なくすることができる。負荷8A−1、負荷8A−2、負荷8B、負荷8C−1、負荷8C−2は、各定電圧回路6A〜6Cのシャント電流IshA〜IshCの差が最も小さくなるように接続されている。
【0153】
本実施形態の電源システム1によれば、定電圧回路6は、複数の負荷8が並列接続され得るようになっている。従って、各定電圧回路6A〜6Cのシャント電流IshA〜IshCの差が小さくなるように、負荷8を各定電圧回路6A〜6Cに並列接続することにより、システム電流Isを小さくして、消費電力を少なくすることができる。
【0154】
なお、本実施形態において、定電圧回路は、3つ以上の負荷が並列接続され得るようになっていてもよい。すなわち、接続部は、定電圧回路の出力ラインが接続される3つ以上の接続端子を有していてもよい。また、複数の定電圧回路の全てに限られず、複数の定電圧回路のうちの幾つかの定電圧回路が、複数の負荷が並列接続され得るようになっていてもよい。
【0155】
<第9の実施形態>
図11は、第9の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、上記第8の実施形態の構成に加え、定電圧回路6A〜6Cの出力電流ILA〜ILCの電流値の大小関係を表示する表示部61をさらに備えている。表示部61によって、表示手段が構成されている。また、本実施形態の電源システムでは、接続部5A〜5Cは、各々、4つの接続端子5a、5bを有しており、各定電圧回路6A〜6Cは、4つの負荷8が並列接続され得るようになっている。本実施形態における他の構成については、上記第8の実施形態と同様である。
【0156】
接続部5A〜5Cと表示部61は、電源システム1の筐体63の側面63aに配置されている。
【0157】
接続部5A〜5Cは、各々、4つの接続端子部62を有している。各接続端子部62は、コネクタプラグであり、外部装置3のコネクタ3oが自由に接続できるようになっている。すなわち、各接続端子部62は、外部装置3のコネクタ3oを介して、外部装置3の負荷8が自由に接続できるようになっている。各接続端子部62は、1対の接続端子5a、5bを筐体63の側面63aに露出させた構成になっており、プラグの内側が+極(正極)側の接続端子5aであり、プラグの外側が−極(負極)側の接続端子5bである。
【0158】
接続部5Aの4つの接続端子部62は、筐体63の側面63aの上段に配置されている。接続部5Bの4つの接続端子部62は、筐体63の側面63aの中段に配置されている。接続部5Cの4つの接続端子部62は、筐体63の側面63aの下段に配置されている。
【0159】
接続部5Aの4つの接続端子部62(上段に配置されている4つの接続端子部62)は、定電圧回路6Aに対応している。すなわち、接続部5Aの4つの接続端子部62の各接続端子5aには、定電圧回路6Aの出力ライン6dが接続されており、接続部5Aの4つの接続端子部62の各接続端子5bには、定電圧回路6Aの出力ライン6eが接続されている。従って、接続部5Aの4つの接続端子部62に接続された各負荷8は、定電圧回路6Aに並列接続される。すなわち、接続部5Aの4つの接続端子部62に接続された各負荷8は、定電圧回路6Aの出力ライン6d、6e間に並列に接続されて、定電圧回路6Aから電力供給を受ける。
【0160】
また、接続部5Bの4つの接続端子部62(中段に配置されている4つの接続端子部62)は、定電圧回路6Bに対応している。すなわち、接続部5Bの4つの接続端子部62の各接続端子5aには、定電圧回路6Bの出力ライン6dが接続されており、接続部5Bの4つの接続端子部62の各接続端子5bには、定電圧回路6Bの出力ライン6eが接続されている。従って、接続部5Bの4つの接続端子部62に接続された各負荷8は、定電圧回路6Bに並列接続される。すなわち、接続部5Bの4つの接続端子部62に接続された各負荷8は、定電圧回路6Bの出力ライン6d、6e間に並列に接続されて、定電圧回路6Bから電力供給を受ける。
【0161】
また、接続部5Cの4つの接続端子部62(下段に配置されている4つの接続端子部62)は、定電圧回路6Cに対応している。すなわち、接続部5Cの4つの接続端子部62の各接続端子5aには、定電圧回路6Cの出力ライン6dが接続されており、接続部5Cの4つの接続端子部62の各接続端子5bには、定電圧回路6Cの出力ライン6eが接続されている。従って、接続部5Cの4つの接続端子部62に接続された各負荷8は、定電圧回路6Cに並列接続される。すなわち、接続部5Cの4つの接続端子部62に接続された各負荷8は、定電圧回路6Cの出力ライン6d、6e間に並列に接続されて、定電圧回路6Cから電力供給を受ける。
【0162】
図示の例では、接続部5Aの1つの接続端子部62、接続部5Bの2つの接続端子部62、及び接続部5Cの1つの接続端子部62に、各々、負荷8が接続されている。すなわち、定電圧回路6Aの出力ライン6d、6e間に、1つの負荷8が接続されており、定電圧回路6Bの出力ライン6d、6e間に、2つの負荷8が並列に接続されており、定電圧回路6Cの出力ライン6d、6e間に、1つの負荷8が接続されている。
【0163】
表示部61は、定電圧回路6A〜6Cの出力電流ILA〜ILCの大きさを表示するためのインジケータ64A、64B、64Cを備えている。各インジケータ64A〜64Cは、複数のランプ65が1列に配列された構成になっている。
【0164】
インジケータ64Aは、定電圧回路6Aの出力電流ILAの大きさ(接続部5Aの4つの接続端子部62に接続されている負荷8に流れる合計電流の大きさ)を表示するものであり、筐体63の側面63aの上段に配置されている。インジケータ64Bは、定電圧回路6Bの出力電流ILBの大きさ(接続部5Bの4つの接続端子部62に接続されている負荷8に流れる合計電流の大きさ)を表示するものであり、筐体63の側面63aの中段に配置されている。インジケータ64Cは、定電圧回路6Cの出力電流ILCの大きさ(接続部5Cの4つの接続端子部62に接続されている負荷8に流れる合計電流の大きさ)を表示するものであり、筐体63の側面63aの下段に配置されている。
【0165】
インジケータ64Aは、定電圧回路6Aの出力電流ILAの大きさに応じて、出力電流ILAの大きさに対応する個数だけランプ65を点灯することによって、定電圧回路6Aの出力電流ILAの大きさをレベル表示する。すなわち、インジケータ64Aは、定電圧回路6Aの出力電流ILAの電流値が小さいほど、ランプ65の点灯個数を少なく(電流値が0のときには、全てのランプ65を消灯)する。また、インジケータ64Aは、定電圧回路6Aの出力電流ILAの電流値が大きいほど、ランプ65の点灯個数を多くする。
【0166】
また、インジケータ64Bは、定電圧回路6Bの出力電流ILBの大きさに応じて、出力電流ILBの大きさに対応する個数だけランプ65を点灯することによって、定電圧回路6Bの出力電流ILBの大きさをレベル表示する。すなわち、インジケータ64Bは、定電圧回路6Bの出力電流ILBの電流値が小さいほど、ランプ65の点灯個数を少なく(電流値が0のときには、全てのランプ65を消灯)する。また、インジケータ64Bは、定電圧回路6Bの出力電流ILBの電流値が大きいほど、ランプ65の点灯個数を多くする。
【0167】
また、インジケータ64Cは、定電圧回路6Bの出力電流ILCの大きさに応じて、出力電流ILCの大きさに対応する個数だけランプ65を点灯することによって、定電圧回路6Cの出力電流ILCの大きさをレベル表示する。すなわち、インジケータ64Cは、定電圧回路6Cの出力電流ILCの電流値が小さいほど、ランプ65の点灯個数を少なく(電流値が0のときには、全てのランプ65を消灯)する。また、インジケータ64Cは、定電圧回路6Cの出力電流ILCの電流値が大きいほど、ランプ65の点灯個数を多くする。
【0168】
このような構成の表示部61は、インジケータ64A〜64Cのランプ65の点灯個数によって、定電圧回路6A〜6Cの出力電流ILA〜ILCの電流値の大小関係をレベル表示する。
【0169】
図示の例では、インジケータ64Bのランプ65の点灯個数が最も多く、定電圧回路6Bの出力電流ILBの電流値が最も大きい(定電圧回路6Aの出力電流ILAの電流値、及び定電圧回路6Cの出力電流ILCの電流値よりも大きい)ことが表示されている。また、インジケータ64Aのランプ65の点灯個数とインジケータ64Cのランプ65の点灯個数とが同じであり、定電圧回路6Aの出力電流ILAの電流値と定電圧回路6Cの出力電流ILCの電流値とがほぼ同じであることが表示されている。
【0170】
本実施形態の電源システム1によれば、利用者が、外部装置3を(外部装置3のコネクタ3o)を接続部5A〜5Cの接続端子部62に抜き差しして、表示部61の表示を見ることにより、外部装置3の接続先(負荷8の接続先)の決定の参考とすることができる。また、表示部61の各インジケータ64A〜64Cのレベル(ランプ65の点灯個数)ができるだけ揃うように、外部装置3を接続部5A〜5Cの接続端子部62に差し込むことにより、最適な接続を実現できる。すなわち、このように接続すれば、定電圧回路6A〜6Cの出力電流ILA〜ILCの電流値の差を小さくすることができ、システム電流Isを小さくすることができて、消費電力を少なくすることができる。
【0171】
なお、本実施形態において、表示部61は、定電圧回路6A〜6Cの出力電流ILA〜ILCの電流値をデジタル表示(数値表示)するものであってもよい。また、表示部61は、最小の出力電流になっている定電圧回路や最大の出力電流になっている定電圧回路を、LEDランプの点等、消灯等によって示す表示をするものであってもよい。
【0172】
<第10の実施形態>
図12は、第10の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、上記第2の実施形態の構成に加え、定電圧回路6に接続される負荷8(接続部5に接続される外部装置3の負荷8)への電力供給を遮断する遮断制限スイッチ71(71A、71B、71C)をさらに備えている。また、定電圧回路6をバイパするバイパススイッチ72(72A、72B、72C)をさらに備えている。また、電源システム1の異常を監視する監視部73(73A、73B、73C)をさらに備えている。遮断制限スイッチ71(71A、71B、71C)によって、電力供給遮断制限手段が構成されている。また、バイパススイッチ72(72A、72B、72C)によって、バイパス手段が構成されている。また、監視部73(73A、73B、73C)によって、回路監視手段が構成されている。本実施形態における他の構成については、上記第2の実施形態と同様である。
【0173】
遮断制限スイッチ71Aは、定電圧回路6Aに接続される負荷8A(接続部5Aに接続される外部装置3Aの負荷8A)への電力供給を遮断するものであり、定電圧回路6Aの出力ライン6d、6eと接続部5Aの接続端子5a、5bとの間に設けられている。遮断制限スイッチ71Bは、定電圧回路6Bに接続される負荷8B(接続部5Bに接続される外部装置3Bの負荷8B)への電力供給を遮断するものであり、定電圧回路6Bの出力ライン6d、6eと接続部5Bの接続端子5a、5bとの間に設けられている。遮断制限スイッチ71Cは、定電圧回路6Cに接続される負荷8C(接続部5Cに接続される外部装置3Cの負荷8C)への電力供給を遮断するものであり、定電圧回路6Cの出力ライン6d、6eと接続部5Cの接続端子5a、5bとの間に設けられている。
【0174】
遮断制限スイッチ71A、71B、71Cは、例えば、トランジスタなどの電子スイッチであり、監視部73A、73B、73Cによって、オン状態とオフ状態とに切換えられる。遮断制限スイッチ71Aがオン状態のときには、定電圧回路6Aの出力ライン6d、6eと接続部5Aの接続端子5a、5bとが接続状態となり、定電圧回路6Aに接続される負荷8Aへの電力供給が行われる。また、遮断制限スイッチ71Aがオフ状態のときには、定電圧回路6Aの出力ライン6d、6eと接続部5Aの接続端子5a、5bとが切断状態となり、定電圧回路6Aに接続される負荷8Aへの電力供給が遮断される。同様に、遮断制限スイッチ71Bがオン状態のときには、定電圧回路6Bに接続される負荷8Bへの電力供給が行われ、遮断制限スイッチ71Bがオフ状態のときには、定電圧回路6Bに接続される負荷8Bへの電力供給が遮断される。また同様に、遮断制限スイッチ71Cがオン状態のときには、定電圧回路6Cに接続される負荷8Cへの電力供給が行われ、遮断制限スイッチ71Cがオフ状態のときには、定電圧回路6Cに接続される負荷8Cへの電力供給が遮断される。
【0175】
バイパススイッチ72Aは、定電圧回路6Aをバイパスするものであり、定電圧回路6Aの入力ライン6a、6b間に設けられている。バイパススイッチ72Bは、定電圧回路6Bをバイパスするものであり、定電圧回路6Bの入力ライン6a、6b間に設けられている。バイパススイッチ72Cは、定電圧回路6Cをバイパスするものであり、定電圧回路6Cの入力ライン6a、6b間に設けられている。
【0176】
バイパススイッチ72A、72B、72Cは、例えば、トランジスタなどの電子スイッチであり、監視部73A、73B、73Cによって、オン状態とオフ状態とに切換えられる。バイパススイッチ72Aがオン状態のときには、定電圧回路6Aの入力ライン6aと入力ライン6bとが接続状態となり、定電圧回路6Aがバイパスされる。また、バイパススイッチ72Aがオフ状態のときには、定電圧回路6Aの入力ライン6aと入力ライン6bとが切断状態となり、定電圧回路6Aがバイパスされない。同様に、バイパススイッチ72Bがオン状態のときには、定電圧回路6Bがバイパスされて、バイパススイッチ72Bがオフ状態のときには、定電圧回路6Bがバイパスされない。また同様に、バイパススイッチ72Cがオン状態のときには、定電圧回路6Cがバイパスされて、バイパススイッチ72Cがオフ状態のときには、定電圧回路6Cがバイパスされない。
【0177】
監視部73Aは、定電圧回路6Aの出力電圧VAを監視することにより過負荷(負荷短絡を含む)を検出する。すなわち、監視部73Aは、定電圧回路6Aの出力電圧VAが所定の値(例えば設定電圧値よりも所定値εだけ小さい電圧値)より下回っている場合に、定電圧回路6Aに接続されている負荷8Aが過負荷であると判断する。負荷8Aが過負荷である場合には、負荷8Aに流れる電流が不足する(すなわち、定電圧回路6Aの出力電流ILAが不足する)ため、定電圧回路6Aの出力電圧VAが低下する。従って、定電圧回路6Aの出力電圧VAが所定の値より下回っている場合に、負荷8Aが過負荷であると判断できる。また、監視部73Aは、遮断制限スイッチ71A及びバイパススイッチ72Aを制御する。同様に、監視部73Bは、定電圧回路6Bの出力電圧VBを監視することにより過負荷(定電圧回路6Bに接続されている負荷8Bが過負荷であるか否か)を検出し、また、遮断制限スイッチ71B及びバイパススイッチ72Bを制御する。また同様に、監視部73Cは、定電圧回路6Cの出力電圧VCを監視することにより過負荷(定電圧回路6Cに接続されている負荷8Cが過負荷であるか否か)を検出し、また、遮断制限スイッチ71C及びバイパススイッチ72Cを制御する。
【0178】
監視部73Aは、過負荷を検出していないときには、遮断制限スイッチ71Aをオン状態にしていると共に、バイパススイッチ72Aをオフ状態にしている。そして、監視部73Aは、過負荷を検出したときに、過負荷の原因となっている負荷8Aへの電力供給を遮断するように、遮断制限スイッチ71Aを制御する。また、監視部73Aは、これと同時に、過負荷の原因となっている負荷8Aが接続されている定電圧回路6Aをバイパスするように、バイパススイッチ72Aを制御する。すなわち、監視部73Aは、過負荷を検出したときに、遮断制限スイッチ71Aをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Aをオン状態にする。同様に、監視部73Bは、過負荷を検出していないときには、遮断制限スイッチ71Bをオン状態、バイパススイッチ72Bをオフ状態にしており、過負荷を検出したときに、遮断制限スイッチ71Bをオフ状態、バイパススイッチ72Bをオン状態にする。また同様に、監視部73Cは、過負荷を検出していないときには、遮断制限スイッチ71Cをオン状態、バイパススイッチ72Cをオフ状態にしており、過負荷を検出したときに、遮断制限スイッチ71Cをオフ状態、バイパススイッチ72Cをオン状態にする。
【0179】
このような構成において、例えば、監視部73Aが過負荷を検出したとする。すると、監視部73Aは、遮断制限スイッチ71Aをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Aをオン状態にし、定電圧回路6Aに接続される負荷8Aへの電力供給が遮断されると共に、定電圧回路6Aがバイパスされる。これにより、定電圧回路6Aは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Bと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0180】
また、監視部73Bが過負荷を検出したとする。すると、監視部73Bは、遮断制限スイッチ71Bをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Bをオン状態にし、定電圧回路6Bに接続される負荷8Bへの電力供給が遮断されると共に、定電圧回路6Bがバイパスされる。これにより、定電圧回路6Bは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Aと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0181】
また、監視部73Cが過負荷を検出したとする。すると、監視部73Cは、遮断制限スイッチ71Cをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Cをオン状態にし、定電圧回路6Cに接続される負荷8Cへの電力供給が遮断されると共に、定電圧回路6Cがバイパスされる。これにより、定電圧回路6Cは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Aと定電圧回路6Bは、正常に動作できる。
【0182】
本実施形態の電源システム1によれば、負荷8A〜8Cのいずれかに過負荷が発生した場合、その負荷への電力供給が遮断されることにより、安全を確保できる。また、過負荷の原因となっている負荷の接続されている定電圧回路がバイパスされることにより、他の定電圧回路は、正常に動作し得る。
【0183】
なお、本実施形態において、遮断制限スイッチ71A〜71C、バイパススイッチ72A〜72Cは、手動によって、オン状態とオフ状態とに切換えられるものであってもよい。この場合、監視部73A〜73Cは、過負荷を検出したときに、液晶パネルやLEDランプなどの報知手段によって、過負荷であることを報知すればよい。そして、利用者が、過負荷の原因となっている負荷への電力供給を遮断するように、遮断制限スイッチを手動によってオフ状態にし、過負荷の原因となっている定電圧回路をバイパスするように、バイパススイッチを手動でオン状態にすればよい。
【0184】
また、本実施形態において、監視部73A〜73Cは、例えばパソコンなどの外部制御装置からの制御信号を受けて、遮断制限スイッチ71A〜71C及びバイパススイッチ72A〜72Cを制御するようにしてもよい。このような構成によれば、例えば、特定の負荷への電力供給をタイマ動作によって制御(特定の負荷への電力供給を時間によって遮断)することができる。また、例えば、外部装置の数が接続部の数より少なくて、設定する出力電圧が高い場合などに、定電圧回路の直列段数を下げることができる。
【0185】
また、本実施形態において、監視部73A〜73Cでの出力電圧VA〜VCの監視結果を総合的に判断して、監視部73A〜73Cでの遮断制限スイッチ71A〜71C及びバイパススイッチ72A〜72Cの制御を総合的に制御する手段を備えていてもよい。このような構成によれば、負荷8A〜8Cの過負荷に加えて、負荷8A〜8Cの地絡を検出することができる。負荷8A〜8Cが地絡した場合には、負荷8A〜8Cのいずれが地絡しているかによって、また、負荷8A〜8Cが接続端子5a側(+側)と接続端子5b側(−側)のどちら側で地絡しているかによって、出力電圧VA〜VCが各々変動する。従って、出力電圧VA〜VCの監視結果を総合的に判断することにより、負荷8A〜8Cの地絡を検出することができる。そして、地絡の原因となっている負荷の接続されている定電圧回路をバイパスさせることにより、他の定電圧回路を正常に動作させることができる。
【0186】
また、本実施形態において、監視部73A〜73Cは、定電圧回路6A〜6Cの出力電流ILA〜ILCを監視することにより過負荷又は地絡を検出するようにしてもよい。また、遮断制限スイッチ71A〜71Cは、定電圧回路6A〜6Cに接続される負荷8A〜8Cへの電力供給を制限するものであってもよい。
【0187】
<第11の実施形態>
図13は、第11の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、上記第2の実施形態の構成に加え、電源システム1の異常を監視する監視部81をさらに備えている。監視部81によって、システム監視手段が構成されている。また、本実施形態の電源システム1では、システム電流制御部7は、過負荷のときに、システム電流Isを遮断するようになっている。システム電流制御部7によって、システム電流遮断制限手段が構成されている(システム電流制御部7は、システム電流制御手段とシステム電流遮断制限手段とを兼ねている)。本実施形態における他の構成については、上記第2の実施形態と同様である。
【0188】
本実施形態では、監視部81は、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの合計電圧VTを監視するようになっている。また、監視部81は、定電圧回路6Aの出力電圧VAの設定電圧値V1、定電圧回路6Bの出力電圧VBの設定電圧値V2、定電圧回路6Cの出力電圧VCの設定電圧値V3を記憶している。これら設定電圧値V1〜V3は、パソコンなどの外部制御装置から、出力電圧設定情報として与えられる。すなわち、監視部81には、パソコンなどの外部制御装置から、設定電圧値V1〜V3を示す出力電圧設定情報が与えられるようになっており、監視部81は、外部制御装置から与えられた出力電圧設定情報の示す設定電圧値V1〜V3を記憶している。また、監視部81は、システム電流制御部7を制御する。
【0189】
監視部81は、常時、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの合計電圧VTを監視している。そして、監視部81は、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの合計電圧VTを監視することにより過負荷(負荷短絡を含む)や地絡などの異常を検出する。すなわち、監視部81は、合計電圧VTと、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの設定電圧値V1〜V3の和との差が、所定値ε未満でない場合に、異常であると判断する。つまり、監視部81は、|V1+V2+V3−VT|<εでない場合に、異常であると判断する。
【0190】
負荷8Aが過負荷である場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VAが低下し、負荷8Bが過負荷である場合には、定電圧回路6Bの出力電圧VBが低下し、負荷8Cが過負荷である場合には、定電圧回路6Cの出力電圧VCが低下する。
【0191】
また、負荷8Aが接続部5Aの接続端子5a側(+側)で地絡している場合には、定電圧回路6Aの入力電流IAは、定電圧回路6Aの動作回路部6c及び負荷8Aに流れることなく、GND(=直流電源2の負電位)に流れる。また、入力電流IAがGNDに流れるために、定電圧回路6B、6Cには、入力電流IB、ICが流れない。従って、この場合には、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCは、各々、電圧値が0になる。
【0192】
また、負荷8Aが接続部5Aの接続端子5b側(−側)で地絡している場合には、定電圧回路6Aの入力電流IAは、定電圧回路6Aの動作回路部6c及び負荷8Aに流れた後に、GNDに流れる。また、入力電流IAがGNDに流れるために、定電圧回路6B、6Cには、入力電流IB、ICが流れない。従って、この場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VAは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6B、6Cの出力電圧VB、VCは、各々、電圧値が0になる。
【0193】
また、負荷8Bが接続部5Bの接続端子5a側(+側)で地絡している場合には、定電圧回路6Bの入力電流IBは、定電圧回路6Bの動作回路部6c及び負荷8Bに流れることなく、GNDに流れる。また、定電圧回路6Aには、入力電流IAが流れ、定電圧回路6Cには、入力電流ICが流れない。従って、この場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VAは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6B、6Cの出力電圧VB、VCは、各々、電圧値が0になる。
【0194】
また、負荷8Bが接続部5Bの接続端子5b側(−側)で地絡している場合には、定電圧回路6Bの入力電流IBは、定電圧回路6Bの動作回路部6c及び負荷8Bに流れた後に、GNDに流れる。また、定電圧回路6Aには、入力電流IAが流れ、定電圧回路6Cには、入力電流ICが流れない。従って、この場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VA、VBは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6Cの出力電圧VCは、電圧値が0になる。
【0195】
また、負荷8Cが接続部5Cの接続端子5a側(+側)で地絡している場合には、定電圧回路6Cの入力電流ICは、定電圧回路6Cの動作回路部6c及び負荷8Cに流れることなく、GNDに流れる。また、定電圧回路6A、6Bには、入力電流IA、IBが流れる。従って、この場合には、定電圧回路6A、6Bの出力電圧VA、VBは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6Cの出力電圧VCは、電圧値が0になる。
【0196】
また、負荷8Cが接続部5Cの接続端子5b側(−側)で地絡している場合には、定電圧回路6Cの入力電流ICは、定電圧回路6Cの動作回路部6c及び負荷8Cに流れた後に、GNDに流れる。また、定電圧回路6A、6Bには、入力電流IA、IBが流れる。従って、この場合には、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCは、電圧値が正常に保たれる。
【0197】
これらのことから、出力電圧VA〜VCの合計電圧VTと、出力電圧VA〜VCの設定電圧値V1〜V3の和との差が、所定値ε未満でない場合に、過負荷や地絡などの異常であると判断できる。なお、システム電流制御部7には(定電流回路12には)、直流電圧Vinから出力電圧VA〜VCを差し引いた電圧がかかり、出力電圧VA〜VCの合計電圧VTは、システム電流制御部7と定電圧回路6Aとの接続点における電位である。
【0198】
監視部81は、異常(過負荷や地絡など)を検出したときに、システム電流Isを遮断するように、システム電流制御部7を制御する。すなわち、監視部81は、異常を検出したときに、システム電流Isの電流値を0に設定するための設定信号(設定すべき電流値が0であることを示す信号)をシステム電流制御部7に与える。これにより、システム電流制御部7は、監視部81からの設定信号を受けて、システム電流Isの電流値を0にして、システム電流Isを遮断する。
【0199】
すなわち、システム電流制御部7は、異常でない場合(出力電圧VA〜VCの合計電圧VTと、出力電圧VA〜VCの設定電圧値V1〜V3の和との差が、所定値ε未満である場合)には、システム電流Isの電流値を、既に設定されている電流値に保つ。そして、システム電流制御部7は、異常である場合(出力電圧VA〜VCの合計電圧VTと、出力電圧VA〜VCの設定電圧値V1〜V3の和との差が、所定値ε未満でない場合)には、システム電流Isを遮断する。
【0200】
本実施形態の電源システム1によれば、負荷8A〜8Cのいずれかに過負荷(負荷短絡を含む)や地絡などの異常が発生した場合、全ての負荷8A〜8Cへの電力供給が遮断されることにより、安全を確保できる。また、異常を検出するための監視部81が1つで済む。
【0201】
なお、本実施形態において、監視部81は、システム電流Isを監視することにより異常を検出するようにしてもよい。また、監視部81は、異常を検出したとき、システム電流Isを制限する(減少させる)ように、システム電流制御部7を制御してもよい。すなわち、監視部81は、異常を検出したときに、電流値を設定するための設定信号として、既に設定されている電流値よりも小さい電流値を示す設定信号をシステム電流制御部7に与えるようにしてもよい。
【0202】
<第12の実施形態>
図14は、第12の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、監視部73の構成が上記第10の実施形態と異なっている。監視部73によって、システム監視手段が構成されている。本実施形態における他の構成については、上記第10の実施形態と同様である。
【0203】
本実施形態では、監視部73は、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの合計電圧VTを監視するようになっている。また、監視部73は、定電圧回路6Aの出力電圧VAの設定電圧値V1、定電圧回路6Bの出力電圧VBの設定電圧値V2、定電圧回路6Cの出力電圧VCの設定電圧値V3を記憶している。これら設定電圧値V1〜V3は、パソコンなどの外部制御装置から、出力電圧設定情報として与えられる。すなわち、監視部73には、パソコンなどの外部制御装置から、設定電圧値V1〜V3を示す出力電圧設定情報が与えられるようになっており、監視部73は、外部制御装置から与えられた出力電圧設定情報の示す設定電圧値V1〜V3を記憶している。また、監視部73は、遮断制限スイッチ71A〜71C及びバイパススイッチ72A〜72Cを制御する。
【0204】
監視部73は、常時、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの合計電圧VTを監視している。そして、監視部73は、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの合計電圧VTを監視することにより過負荷(負荷短絡を含む)や地絡などの異常を検出する。すなわち、監視部73は、合計電圧VTと、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの設定電圧値V1〜V3の和との差が、所定値ε未満でない場合に、異常であると判断する。つまり、監視部73は、|V1+V2+V3−VT|<εでない場合に、異常であると判断する。
【0205】
負荷8Aが過負荷である場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VAが低下し、負荷8Bが過負荷である場合には、定電圧回路6Bの出力電圧VBが低下し、負荷8Cが過負荷である場合には、定電圧回路6Cの出力電圧VCが低下する。
【0206】
また、負荷8Aが接続部5Aの接続端子5a側(+側)で地絡している場合には、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCは、各々、電圧値が0になる。また、負荷8Aが接続部5Aの接続端子5b側(−側)で地絡している場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VAは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6B、6Cの出力電圧VB、VCは、各々、電圧値が0になる。
【0207】
また、負荷8Bが接続部5Bの接続端子5a側(+側)で地絡している場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VAは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6B、6Cの出力電圧VB、VCは、各々、電圧値が0になる。また、負荷8Bが接続部5Bの接続端子5b側(−側)で地絡している場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VA、VBは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6Cの出力電圧VCは、電圧値が0になる。
【0208】
また、負荷8Cが接続部5Cの接続端子5a側(+側)で地絡している場合には、定電圧回路6A、6Bの出力電圧VA、VBは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6Cの出力電圧VCは、電圧値が0になる。また、負荷8Cが接続部5Cの接続端子5b側(−側)側で地絡している場合には、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCは、電圧値が正常に保たれる。
【0209】
これらのことから、出力電圧VA〜VCの合計電圧VTと、出力電圧VA〜VCの設定電圧値V1〜V3の和との差が、所定値ε未満でない場合に、過負荷や地絡などの異常であると判断できる。なお、システム電流制御部7には(定電流回路12には)、直流電圧Vinから出力電圧VA〜VCを差し引いた電圧がかかり、出力電圧VA〜VCの合計電圧VTは、システム電流制御部7と定電圧回路6Aとの接続点における電位である。
【0210】
監視部73は、異常(過負荷や地絡など)を検出していないときには、遮断制限スイッチ71A〜71Cをオン状態にしていると共に、バイパススイッチ72A〜72Cをオフ状態にしている。そして、監視部73は、異常を検出したときに、負荷8A〜8Cのうちの異常の原因となっている負荷への電力供給を遮断するように、遮断制限スイッチ71A〜71Cを制御する。また、監視部73は、これと同時に、定電圧回路6A〜6Cのうちの異常の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路をバイパスするように、バイパススイッチ72A〜72Cを制御する。
【0211】
すなわち、監視部73は、異常を検出したときに、所定のルーチンに基いて、定電圧回路6A〜6Cの中から、異常の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路を割り出す。そして、監視部73は、その割り出した定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断するように、遮断制限スイッチ71A〜71Cを制御すると共に、その割り出した定電圧回路をバイパスするように、バイパススイッチ72A〜72Cを制御する。つまり、割り出した定電圧回路が定電圧回路6Aであった場合には、遮断制限スイッチ71Aをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Aをオン状態にする。また、割り出した定電圧回路が定電圧回路6Bであった場合には、遮断制限スイッチ71Bをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Bをオン状態にする。また、割り出した定電圧回路が定電圧回路6Cであった場合には、遮断制限スイッチ71Cをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Cをオン状態にする。
【0212】
図15は、監視部73における、定電圧回路6A〜6Cの中から、異常の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路を割り出すルーチンのフローチャートを示す。監視部73は、常時、|V1+V2+V3−VT|<ε(出力電圧VA〜VCの合計電圧VTと、設定電圧値V1〜V3の和との差の絶対値が、所定値ε未満)であるか否かを判定している(#1)。
【0213】
|V1+V2+V3−VT|<εでなければ(#1でNO)、監視部73は、異常である(過負荷又は地絡である)と判断し、まず、定電圧回路6Aに接続されている負荷8Aへの電力供給を遮断(遮断制限スイッチ71Aをオフ状態に)する(#2)。そして、監視部73は、|V1+V2+V3−VT|<εであるか否かを判定する(#3)。
【0214】
ここで、|V1+V2+V3−VT|<εであれば(#3でYES)、監視部73は、定電圧回路6Aが、異常(過負荷又は地絡)の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路であると判定する(#4)。その後、監視部73は、定電圧回路6Aをバイパス(バイパススイッチ72Aをオン状態に)する。これにより、定電圧回路6Aは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Bと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0215】
また、上記#3において|V1+V2+V3−VT|<εでなければ(#3でNO)、監視部73は、定電圧回路6Bに接続されている負荷8Bへの電力供給を遮断(遮断制限スイッチ71Bをオフ状態に)する(#5)。また、定電圧回路6Aに接続されている負荷8Aへの電力供給を再開(遮断制限スイッチ71Aをオン状態に)する(#6)。そして、監視部73は、|V1+V2+V3−VT|<εであるか否かを判定する(#7)。
【0216】
ここで、|V1+V2+V3−VT|<εであれば(#7でYES)、監視部73は、定電圧回路6Bが、異常(過負荷又は地絡)の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路であると判定する(#8)。その後、監視部73は、定電圧回路6Bをバイパス(バイパススイッチ72Bをオン状態に)する。これにより、定電圧回路6Bは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Aと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0217】
また、上記#7において|V1+V2+V3−VT|<εでなければ(#7でNO)、監視部73は、定電圧回路6Cが、異常(過負荷又は地絡)の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路であると判定する(#9)。そして、監視部73は、定電圧回路6Cに接続されている負荷8Cへの電力供給を遮断(遮断制限スイッチ71Cをオフ状態に)する(#10)。また、定電圧回路6Bに接続されている負荷8Bへの電力供給を再開(遮断制限スイッチ71Bをオン状態に)する(#11)。その後、監視部73は、定電圧回路6Cをバイパス(バイパススイッチ72Cをオン状態に)する。これにより、定電圧回路6Cは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Aと定電圧回路6Bは、正常に動作できる。
【0218】
監視部73は、このように、定電圧回路6A〜6Cの中から、異常(過負荷又は地絡)の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路を割り出して、その定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断すると共に、その定電圧回路をバイパスする。
【0219】
本実施形態の電源システム1によれば、負荷8A〜8Cのいずれかに過負荷(負荷短絡を含む)や地絡などの異常が発生した場合、その負荷への電力供給が遮断されることにより、安全を確保できる。また、異常の原因となっている負荷の接続されている定電圧回路がバイパスされることにより、他の定電圧回路は、正常に動作し得る。また、異常を検出するための監視部73が1つで済む。
【0220】
なお、本実施形態において、監視部73は、定電圧回路6A〜6Cの出力電流ILA〜ILCを監視することにより異常を検出するようにしてもよい。また、遮断制限スイッチ71A〜71Cは、定電圧回路6A〜6Cに接続される負荷8A〜8Cへの電力供給を制限するものであってもよい。
【0221】
<第13の実施形態>
図16は、第13の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、監視部73の構成が上記第10の実施形態と異なっている。監視部73によって、電位監視手段が構成されている。本実施形態における他の構成については、上記第10の実施形態と同様である。
【0222】
本実施形態では、監視部73は、システム電流制御部7と定電圧回路6Aとの接続点における電源システム1の最低電位(=GND)を基準とした電位VS1を監視するようになっている。また、監視部73は、定電圧回路6Aと定電圧回路6Bとの接続点における電源システム1の最低電位を基準とした電位VS2を監視するようになっている。また、監視部73は、定電圧回路6Bと定電圧回路6Cとの接続点における電源システム1の最低電位を基準とした電位VS3を監視するようになっている。また、監視部73は、定電圧回路6Aの出力電圧VAの設定電圧値V1、定電圧回路6Bの出力電圧VBの設定電圧値V2、定電圧回路6Cの出力電圧VCの設定電圧値V3を記憶している。これら設定電圧値V1〜V3は、パソコンなどの外部制御装置から、出力電圧設定情報として与えられる。すなわち、監視部73には、パソコンなどの外部制御装置から、設定電圧値V1〜V3を示す出力電圧設定情報が与えられるようになっており、監視部73は、外部制御装置から与えられた出力電圧設定情報の示す設定電圧値V1〜V3を記憶している。また、監視部73は、遮断制限スイッチ71A〜71C及びバイパススイッチ72A〜72Cを制御する。
【0223】
監視部73は、常時、電位VS1を監視している。そして、監視部73は、この電位VS1と、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの設定電圧値V1〜V3とに基いて、電位不整合状態を検出する。すなわち、監視部73は、電位VS1が、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCの設定電圧値V1〜V3の和に対して所定値ε以上の差がある場合に、電位不整合状態であると判断する。言い換えると、電位VS1と、設定電圧値V1〜V3の和との差が、所定値ε未満でない場合に、電位不整合状態であると判断する。つまり、監視部73は、|V1+V2+V3−VS1|<εでない場合に、電位不整合状態であると判断する。
【0224】
負荷8Aが過負荷である場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VAが低下し、負荷8Bが過負荷である場合には、定電圧回路6Bの出力電圧VBが低下し、負荷8Cが過負荷である場合には、定電圧回路6Cの出力電圧VCが低下する。
【0225】
また、負荷8Aが接続部5Aの接続端子5a側(+側)で地絡している場合には、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCは、各々、電圧値が0になる。また、負荷8Aが接続部5Aの接続端子5b側(−側)で地絡している場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VAは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6B、6Cの出力電圧VB、VCは、各々、電圧値が0になる。
【0226】
また、負荷8Bが接続部5Bの接続端子5a側(+側)で地絡している場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VAは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6B、6Cの出力電圧VB、VCは、各々、電圧値が0になる。また、負荷8Bが接続部5Bの接続端子5b側(−側)で地絡している場合には、定電圧回路6Aの出力電圧VA、VBは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6Cの出力電圧VCは、電圧値が0になる。
【0227】
また、負荷8Cが接続部5Cの接続端子5a側(+側)で地絡している場合には、定電圧回路6A、6Bの出力電圧VA、VBは、電圧値が正常に保たれ、定電圧回路6Cの出力電圧VCは、電圧値が0になる。また、負荷8Cが接続部5Cの接続端子5b側(−側)側で地絡している場合には、定電圧回路6A〜6Cの出力電圧VA〜VCは、電圧値が正常に保たれる。
【0228】
これらのことから、過負荷(負荷短絡を含む)や地絡などの異常がある場合に、電位不整合状態が発生する。なお、設定電圧値V1〜V3の和は、システム電流制御部7と定電圧回路6Aとの接続点より電位の低い側に接続されている各定電圧回路の出力電圧設定情報の示す設定電圧値の和である。
【0229】
監視部73は、電位不整合状態を検出していないときには、遮断制限スイッチ71A〜71Cをオン状態にしていると共に、バイパススイッチ72A〜72Cをオフ状態にしている。そして、監視部73は、電位不整合状態を検出したときに、定電圧回路6A〜6Cのうちの電位不整合状態の原因となっている定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断するように、遮断制限スイッチ71A〜71Cを制御する。また、監視部73は、これと同時に、定電圧回路6A〜6Cのうちの電位不整合状態の原因となっている定電圧回路をバイパスするように、バイパススイッチ72A〜72Cを制御する。
【0230】
すなわち、監視部73は、電位不整合状態を検出したときに、所定のルーチンに基いて、定電圧回路6A〜6Cの中から、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路を割り出す。そして、監視部73は、その割り出した定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断するように、遮断制限スイッチ71A〜71Cを制御すると共に、その割り出した定電圧回路をバイパスするように、バイパススイッチ72A〜72Cを制御する。つまり、割り出した定電圧回路が定電圧回路6Aであった場合には、遮断制限スイッチ71Aをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Aをオン状態にする。また、割り出した定電圧回路が定電圧回路6Bであった場合には、遮断制限スイッチ71Bをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Bをオン状態にする。また、割り出した定電圧回路が定電圧回路6Cであった場合には、遮断制限スイッチ71Cをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Cをオン状態にする。
【0231】
図17は、監視部73における、定電圧回路6A〜6Cの中から、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路を割り出すルーチンのフローチャートを示す。監視部73は、常時、|V1+V2+V3−VS1|<ε(電位VS1と、設定電圧値V1〜V3の和との差の絶対値が、所定値ε未満)であるか否かを判定している(#21)。
【0232】
|V1+V2+V3−VS1|<εでなければ(#21でNO)、監視部73は、電位不整合状態であると判断し、まず、|V2+V3−VS2|<ε(電位VS2と、設定電圧値V2、V3の和との差の絶対値が、所定値ε未満)であるか否かを判定する(#22)。
【0233】
ここで、|V2+V3−VS2|<εであれば(#22でYES)、監視部73は、定電圧回路6Aが、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路であると判定する(#23)。そして、監視部73は、定電圧回路6Aに接続されている負荷8Aへの電力供給を遮断(遮断制限スイッチ71Aをオフ状態に)する(#24)。その後、監視部73は、定電圧回路6Aをバイパス(バイパススイッチ72Aをオン状態に)する。これにより、定電圧回路6Aは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Bと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0234】
また、上記#22において|V2+V3−VS2|<εでなければ(#22でNO)、監視部73は、|V3−VS3|<ε(電位VS3と、設定電圧値V3との差の絶対値が、所定値ε未満)であるか否かを判定する(#25)。
【0235】
ここで、|V3−VS3|<εであれば(#25でYES)、監視部73は、定電圧回路6Bが、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路であると判定する(#26)。そして、監視部73は、定電圧回路6Bに接続されている負荷8Bへの電力供給を遮断(遮断制限スイッチ71Bをオフ状態に)する(#27)。その後、監視部73は、定電圧回路6Bをバイパス(バイパススイッチ72Bをオン状態に)する。これにより、定電圧回路6Bは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Aと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0236】
また、上記#25において|V3−VS3|<εでなければ(#25でNO)、監視部73は、定電圧回路6Cが、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路であると判定する(#28)。そして、監視部73は、定電圧回路6Cに接続されている負荷8Cへの電力供給を遮断(遮断制限スイッチ71Cをオフ状態に)する(#29)。その後、監視部73は、定電圧回路6Cをバイパス(バイパススイッチ72Cをオン状態に)する。これにより、定電圧回路6Cは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Aと定電圧回路6Bは、正常に動作できる。
【0237】
監視部73は、このように、定電圧回路6A〜6Cの中から、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路を割り出して、その定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断すると共に、その定電圧回路をバイパスする。
【0238】
本実施形態の電源システム1によれば、電位不整合状態の場合(すなわち、負荷8A〜8Cのいずれかに過負荷(負荷短絡を含む)や地絡などの異常が発生した場合)、その負荷への電力供給が遮断されることにより、安全を確保できる。また、電位不整合状態の原因となっている負荷の接続されている定電圧回路がバイパスされることにより、他の定電圧回路は、正常に動作し得る。また、異常を検出するための監視部73が1つで済む。
【0239】
なお、本実施形態において、監視部73は、図18に示すルーチンに基いて、定電圧回路6A〜6Cの中から、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路を割り出すようにしてもよい。
【0240】
図18に示すルーチンでは、監視部73は、常時、|V1+V2+V3−VS1|<ε(電位VS1と、設定電圧値V1〜V3の和との差の絶対値が、所定値ε未満)であるか否かを判定している(#41)。
【0241】
|V1+V2+V3−VS1|<εでなければ(#41でNO)、監視部73は、電位不整合状態であると判断し、まず、定電圧回路6Aに接続されている負荷8Aへの電力供給を遮断(遮断制限スイッチ71Aをオフ状態に)する(#42)。そして、監視部73は、|V2+V3−VS2|<ε(電位VS2と、設定電圧値V2、V3の和との差の絶対値が、所定値ε未満)であるか否かを判定する(#43)。
【0242】
ここで、|V2+V3−VS2|<εであれば(#43でYES)、監視部73は、定電圧回路6Aが、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路であると判定する(#44)。その後、監視部73は、定電圧回路6Aをバイパス(バイパススイッチ72Aをオン状態に)する。これにより、定電圧回路6Aは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Bと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0243】
また、上記#43において|V2+V3−VS2|<εでなければ(#43でNO)、監視部73は、定電圧回路6Bに接続されている負荷8Bへの電力供給を遮断(遮断制限スイッチ71Bをオフ状態に)する(#45)。また、定電圧回路6Aに接続されている負荷8Aへの電力供給を再開(遮断制限スイッチ71Aをオン状態に)する(#46)。そして、監視部73は、|V3−VS3|<ε(電位VS3と、設定電圧値V3との差の絶対値が、所定値ε未満)であるか否かを判定する(#47)。
【0244】
ここで、|V3−VS3|<εであれば(#47でYES)、監視部73は、定電圧回路6Bが、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路であると判定する(#48)。その後、監視部73は、定電圧回路6Bをバイパス(バイパススイッチ72Bをオン状態に)する。これにより、定電圧回路6Bは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Aと定電圧回路6Cは、正常に動作できる。
【0245】
また、上記#47において|V3−VS3|<εでなければ(#47でNO)、監視部73は、定電圧回路6Cが、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路であると判定する(#49)。そして、監視部73は、定電圧回路6Cに接続されている負荷8Cへの電力供給を遮断(遮断制限スイッチ71Cをオフ状態に)する(#50)。また、定電圧回路6Bに接続されている負荷8Bへの電力供給を再開(遮断制限スイッチ71Bをオン状態に)する(#51)。その後、監視部73は、定電圧回路6Cをバイパス(バイパススイッチ72Cをオン状態に)する。これにより、定電圧回路6Cは、正常に動作できなくなるが、定電圧回路6Aと定電圧回路6Bは、正常に動作できる。
【0246】
監視部73は、このようなルーチンに基いて、定電圧回路6A〜6Cの中から、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路を割り出すものであってもよい。
【0247】
また、本実施形態において、遮断制限スイッチ71A〜71Cは、定電圧回路6A〜6Cに接続される負荷8A〜8Cへの電力供給を制限するものであってもよい。
【0248】
<第14の実施形態>
図19は、第14の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、監視部73の構成が上記第10の実施形態と異なっている。監視部73によって、異常監視手段が構成されている。本実施形態の電源システム1では、監視部73は、外部装置3と通信する機能を有しており、通信部でもある。また、本実施形態の電源システム1では、各接続部5は、接続端子5a、5bに加えて、信号用(通信用)端子5cをさらに備えている。また、本実施形態の電源システム1では、接続される対象としている外部装置3の構成が、上記第10の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第10の実施形態と同様である。
【0249】
各外部装置3は、負荷8に加えて、外部側通信部9を備えている。電源システム1は、電力を供給する外部装置3として、このような構成のものを対象としている。各外部装置3は、負荷8が接続端子5a、5b間に接続されることに加えて、外部側通信部9が信号用端子5cに接続されるように、接続部5に接続される。
【0250】
監視部73は、接続部5A〜5Cに接続される外部装置3A〜3C(定電圧回路6A〜6Cに接続される負荷8A〜8Cを有する外部装置3A〜3C)との間で双方向通信を行うようになっている。すなわち、監視部73は、接続部5Aの信号用端子5cを介して、外部装置3Aとの間で双方向通信を行う。また、監視部73は、接続部5Bの信号用端子5cを介して、外部装置3Bとの間で双方向通信を行う。また、監視部73は、接続部5Cの信号用端子5cを介して、外部装置3Cとの間で双方向通信を行う。また、監視部73は、遮断制限スイッチ71A〜71C及びバイパススイッチ72A〜72Cを制御する。
【0251】
各外部装置3A〜3Cは、異常診断機能を有しており、異常診断結果を示す異常診断情報を、外部側通信部9A〜9Cから信号用端子5cを介して電源システム1の監視部73に送信する。
【0252】
監視部73は、外部装置3A〜3Cからの異常診断情報に基いて、定電圧回路6A〜6Cの異常や、定電圧回路6A〜6Cに接続されている負荷8A〜8Cの異常を検出する。
【0253】
監視部73は、異常を検出していないときには、遮断制限スイッチ71A〜71Cをオン状態にしていると共に、バイパススイッチ72A〜72Cをオフ状態にしている。そして、監視部73は、異常を検出したときに、定電圧回路6A〜6Cのうちの異常のある定電圧回路に接続されている負荷、又は負荷8A〜8Cのうちの異常のある負荷への電力供給を遮断するように、遮断制限スイッチ71A〜71Cを制御する。また、監視部73は、これと同時に、定電圧回路6A〜6Cのうちの異常のある定電圧回路、又は負荷8A〜8Cのうちの異常のある負荷が接続されている定電圧回路をバイパスするように、バイパススイッチ72A〜72Cを制御する。
【0254】
すなわち、監視部73は、異常を検出したときに、異常診断情報に基いて、定電圧回路6A〜6Cの中から、定電圧回路6A〜6Cのうちの異常のある定電圧回路、又は負荷8A〜8Cのうちの異常のある負荷が接続されている定電圧回路を割り出す。そして、監視部73は、その割り出した定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断するように、遮断制限スイッチ71A〜71Cを制御すると共に、その割り出した定電圧回路をバイパスするように、バイパススイッチ72A〜72Cを制御する。つまり、割り出した定電圧回路が定電圧回路6Aであった場合には、遮断制限スイッチ71Aをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Aをオン状態にする。また、割り出した定電圧回路が定電圧回路6Bであった場合には、遮断制限スイッチ71Bをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Bをオン状態にする。また、割り出した定電圧回路が定電圧回路6Cであった場合には、遮断制限スイッチ71Cをオフ状態にすると共に、バイパススイッチ72Cをオン状態にする。
【0255】
本実施形態の電源システム1によれば、定電圧回路6A〜6C、又は負荷8A〜8Cに異常が発生した場合、異常が発生した定電圧回路に接続されている負荷、又は異常が発生した負荷への電力供給が遮断されることにより、安全を確保できる。また、異常が発生した定電圧回路、又は異常が発生した負荷が接続されている定電圧回路がバイパスされることにより、他の定電圧回路は、正常に動作し得る。
【0256】
また、電源システム1と外部装置3との間で双方向通信を行うことによって、外部装置3の異常診断機能自身や異常診断情報を伝達する手段を含めて、各種の異常の有無を確認することができる。また、電源システム1内の過電流検出機能では検出し得ない外部装置3に特有の問題に対しても、安全対策がとれる。
【0257】
なお、本実施形態において、外部装置3から、異常診断情報の他に、各種データを送信するようにして、監視部73は、外部装置3から送信される各種データに基いて、システム電流Isの電流値の制御やその他の各種制御を行うようにしてもよい。監視部73は、外部装置3の各種設定情報を双方向通信によって取り込んで、その取り込んだ外部装置3の各種設定情報を利用するようにしてもよい。また、双方向通信は、光や無線などでもよい。
【0258】
<第15の実施形態>
図20は、第15の実施形態による電源システムの構成を示す。本実施形態の電源システム1は、定電圧回路6の構成が上記第5の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第5の実施形態と同様である。
【0259】
本実施形態では、定電圧回路6A〜6Cは、シャントレギュレータであり、そのシャントレギュレータとして、ツェナーダイオード91が使用されている。すなわち、定電圧回路6A〜6Cは、各々、入力ライン6aにツェナーダイオード91のカソードが接続され、入力ライン6bにツェナーダイオード91のアノードが接続された構成となっている。
【0260】
本実施形態の電源システム1によれば、定電圧回路6がツェナーダイオード91を使用したシャントレギュレータであるため、小型で低価格のシステムを実現できる。
【符号の説明】
【0261】
1 電源システム
2 直流電源
3、3A、3A−1、3A−2、3B、3C、3C−1、3C−2 外部装置
3o コネクタ
4 入力部
4a、4b 入力端子
5、5A、5B、5C 接続部
5a、5b 接続端子
5c 信号用端子
6、6A、6B、6C、6X 定電圧回路
6a、6b 入力ライン
6c 動作回路部
6d、6e 出力ライン
7 システム電流制御部
8、8A、8A−1、8A−2、8B、8C、8C−1、8C−2 負荷
9、9A、9B、9C 外部側通信部
11 可変抵抗器
12 定電流回路
13 MOSFET
14 抵抗
15 電圧制御部
21 MOSFET
22 抵抗
23、23A、23B、23C 電圧制御部
31 定電流回路
32 レジスタ
41、41A、41B、41C MOSFET
42 制御回路部
51 定電流回路
52 カウンタ
53 タイマ回路
54 制御回路部
61 表示部
62 接続端子部
63 筐体
63a 筐体の側面
64A、64B、64C インジケータ
65 ランプ
71、71A、71B、71C 遮断制限スイッチ
72、72A、72B、72C バイパススイッチ
73、73A、73B、73C 監視部
81 監視部
91 ツェナーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電圧の直流電源が接続される入力部と、
前記入力部の入力端子間に直列接続された、負荷に電力を供給するための少なくとも2つ以上の定電圧回路と、
前記入力部から前記定電圧回路に流れるシステム電流を制御するシステム電流制御手段と、
を備えることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記システム電流制御手段は、前記システム電流の電流値を制御可能な定電流回路である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記システム電流制御手段は、前記システム電流の電流値を、前記少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記システム電流制御手段は、前記システム電流の電流値を、前記少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路の出力電圧が所定の電圧値となるように負帰還制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記定電圧回路は、シャントレギュレータであり、
前記システム電流制御手段は、前記システム電流の電流値を、前記少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路のシャント電流が所定の電流値となるように負帰還制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電源システム。
【請求項6】
前記システム電流制御手段は、前記システム電流の電流値を、前記少なくとも2つ以上の定電圧回路の全ての定電圧回路の安定動作に必要最小限の電流値となるように制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電源システム。
【請求項7】
前記システム電流制御手段は、レジスタを有し、前記システム電流の電流値を、前記レジスタのデータに基いて決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項8】
前記少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路は、出力電圧が所定の電圧値以下になると、警報信号を前記システム電流制御手段に送出し、
前記システム電流制御手段は、前記定電圧回路から前記警報信号を受け取ると、前記システム電流の電流値を増加させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項9】
前記少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路は、シャントレギュレータであり、シャント電流が所定の電流値以下になると、警報信号を前記システム電流制御手段に送出し、
前記システム電流制御手段は、前記定電圧回路から前記警報信号を受け取ると、前記システム電流の電流値を増加させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項10】
前記システム電流制御手段は、前記システム電流を一部分流して、その分流したシステム電流を、前記少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路を迂回させるように制御可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項11】
前記システム電流制御手段は、前記定電圧回路から前記警報信号を受け取っていない場合には、前記システム電流の電流値を低下させる、
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電源システム。
【請求項12】
前記システム電流制御手段には、前記少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路に接続される負荷に流すべき負荷電流についての設定情報が与えられ、
前記システム電流制御手段は、前記システム電流の電流値を、前記負荷電流についての設定情報に基いて決定する、
ことを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項13】
前記定電圧回路は、その出力電圧が制御可能であり、
前記定電圧回路の出力電圧を制御する出力電圧制御手段をさらに備え、
前記出力電圧制御手段は、出力電圧設定情報に基いて、前記定電圧回路の出力電圧を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項14】
前記少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの少なくとも1つの定電圧回路は、複数の負荷が並列接続され得る、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項15】
前記少なくとも2つ以上の定電圧回路の出力電流の電流値の大小関係を表示する表示手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項14に記載の電源システム。
【請求項16】
前記定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限する電力供給遮断制限手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項17】
前記定電圧回路をバイパスするバイパス手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項18】
前記定電圧回路の出力電圧又は出力電流を監視することにより過負荷を検出する回路監視手段をさらに備え、
前記回路監視手段は、過負荷を検出したときに、
過負荷の原因となっている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、前記電力供給遮断制限手段を制御し、
又は、過負荷の原因となっている定電圧回路をバイパスするように、前記バイパス手段を制御する、
ことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の電源システム。
【請求項19】
前記システム電流を遮断又は制限するシステム電流遮断制限手段と、
前記少なくとも2つ以上の定電圧回路の全ての定電圧回路の出力電圧の合計電圧又は前記システム電流を監視することにより過負荷を検出するシステム監視手段とをさらに備え、
前記システム監視手段は、過負荷を検出したときに、前記システム電流を遮断又は制限するように、前記システム電流遮断制限手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項20】
前記少なくとも2つ以上の定電圧回路の全ての定電圧回路の出力電圧の合計電圧又は前記システム電流を監視することにより過負荷を検出するシステム監視手段をさらに備え、
前記システム監視手段は、過負荷を検出したときに、
所定のルーチンに基いて、前記少なくとも2つ以上の定電圧回路の中から、過負荷の原因となっている負荷が接続されている定電圧回路を割り出し、
前記割り出した定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、前記電力供給遮断制限手段を制御し、
又は、前記割り出した定電圧回路をバイパスするように、前記バイパス手段を制御する、
ことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の電源システム。
【請求項21】
前記少なくとも2つ以上の定電圧回路のうちの任意の1つの定電圧回路について、その定電圧回路の接続点における本電源システムの最低電位を基準とした電位の値が、その定電圧回路を含んでそれより電位の低い側に接続されている各定電圧回路の出力電圧設定情報の示す設定電圧値の和に対して、所定値以上の差がある電位不整合状態か否かを検出する電位監視手段をさらに備え、
前記電位監視手段は、電位不整合状態を検出したときに、
電位不整合状態の原因となっている定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、前記電力供給遮断制限手段を制御し、
又は、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路をバイパスするように、前記バイパス手段を制御する、
ことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の電源システム。
【請求項22】
前記電位監視手段は、
所定のルーチンに基いて、前記少なくとも2つ以上の定電圧回路の中から、電位不整合状態の原因となっている定電圧回路を割り出し、
前記割り出した定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、前記電力供給遮断制限手段を制御し、
又は、前記割り出した定電圧回路をバイパスするように、前記バイパス手段を制御する、
ことを特徴とする請求項21に記載の電源システム。
【請求項23】
前記定電圧回路に接続される負荷を有する外部装置からの異常診断情報に基いて、前記定電圧回路、又は前記定電圧回路に接続されている負荷の異常を検出する異常監視手段をさらに備え、
前記異常監視手段は、異常を検出したときに、
前記異常診断情報に基いて、異常のある定電圧回路、又は異常のある負荷が接続されている定電圧回路を割り出し、
前記割り出した定電圧回路に接続されている負荷への電力供給を遮断又は制限するように、前記電力供給遮断制限手段を制御し、
又は、前記割り出した定電圧回路をバイパスするように、前記バイパス手段を制御する、
ことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の電源システム。
【請求項24】
前記定電圧回路に接続される負荷を有する外部装置との間で双方向通信を行う通信部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項25】
前記定電圧回路は、シャントレギュレータであり、該シャントレギュレータとして、ツェナーダイオードが使用されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項24のいずれか一項に記載の電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−60692(P2012−60692A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198258(P2010−198258)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】