電源供給システム
【課題】電源の余裕電力を他の電源供給経路を介して提供できるように制御し、不要となる電源を停止させる。
【解決手段】複数の電源モジュールと、電源モジュールを相互接続するコネクト部とからなる電源供給システムにおいて、電源モジュールは、電源回路と、電源回路の出力を給電ポートに接続する第1のスイッチと、受電ポートからに入力を負荷に接続する第2のスイッチと、電源回路の出力を負荷に接続する第3のスイッチと、電源回路と第1のスイッチないし第3のスイッチとのON/OFFを制御する制御部とから構成され、複数の電源モジュールの共同制御により、第1の電源モジュールの余剰電力を第2の電源モジュールに供給して、第2の電源モジュールの電源回路を停止する。
【解決手段】複数の電源モジュールと、電源モジュールを相互接続するコネクト部とからなる電源供給システムにおいて、電源モジュールは、電源回路と、電源回路の出力を給電ポートに接続する第1のスイッチと、受電ポートからに入力を負荷に接続する第2のスイッチと、電源回路の出力を負荷に接続する第3のスイッチと、電源回路と第1のスイッチないし第3のスイッチとのON/OFFを制御する制御部とから構成され、複数の電源モジュールの共同制御により、第1の電源モジュールの余剰電力を第2の電源モジュールに供給して、第2の電源モジュールの電源回路を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給システムに係り、特に異なる電源供給モジュールを共通使用してシステムの省電力化の実現を図る電源供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
システムにおける電源装置は、信頼度を上げるために、1台の電源よりシステム全体に供給するフルユニット電源からユニット単位で電源を供給するユニット電源に移行した。電源装置は、さらにパッケージ単位で電源を供給するオンボード電源へと電力供給する部位を限定して行き、いずれかの電源の故障があっても、その影響を最少にする様に電源システムを構築してきた。
【0003】
また、さらに信頼度をあげるため、冗長構成も合わせて採用されてきた。冗長構成とは、電源系を二重化することである。冗長構成は、それぞれ独立した複数の電源を用意して、各出力をORダイオード経由で供給する。これにより、冗長構成は、いずれか一方が電源停止した場合でも、他方からの電源供給する電源によって、システムとしては正常に動作する環境を構築している。この様な冗長構成をとる方法としては、非特許文献1に示される構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−506938号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】原田 耕介、外1名、”高周波スイッチングコンバータ高性能化技術”、(株)トリケップス、平成3年6月15日、p.201−p204
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電源設計においては、負荷の消費電力毎に、電流を見積り、電流の不足が発生しない様に電源システム設計を行なう。しかし、負荷の動作状態において、ピーク電流と通常状態で大きく異なる場合は、ピーク電流にて電源設計を行なう事になる。しかし、一時的にしか使用されない電流供給のためだけに、過大な電源を各パッケージに準備する必要があり、定常時は電力供給能力に余裕がある状態で電源を動作させている。また、各パッケージで電源を稼働させるため、最低限発生する電源損失が各パッケージにて発生する。これは、システムから見た時に過大な損失を抱える一因となる。本発明は、電源の余裕電力を他の電源供給経路を介して提供できるように制御し、不要となる電源を停止させて、電源全体の損失を減らし、装置全体の消費電力の最適化を実現する電源供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題は、複数の電源モジュールと、電源モジュールを相互接続するコネクト部とからなる電源供給システムにおいて、電源モジュールは、電源回路と、電源回路の出力を給電ポートに接続する第1のスイッチと、受電ポートからに入力を負荷に接続する第2のスイッチと、電源回路の出力を負荷に接続する第3のスイッチと、電源回路と第1のスイッチないし第3のスイッチとのON/OFFを制御する制御部とから構成され、複数の電源モジュールの共同制御により、第1の電源モジュールの余剰電力を第2の電源モジュールに供給して、第2の電源モジュールの電源回路を停止する電源供給システムにより、達成できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源の余裕電力を他の電源供給経路を介して提供できるように制御し、不要となる電源を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電源モジュールのブロック図である。
【図2】電源供給システムのブロック図である。
【図3】MCU内の初期設定情報を説明する図である。
【図4】共用可能電力の算出方法を説明する図である。
【図5】電源モジュールの損失の算出方法を説明する図である。
【図6A】電源供給システムの制御フローチャート(その1)である。
【図6B】電源供給システムの制御フローチャート(その2)である。
【図7】電源供給システムの異常処理フローチャートである。
【図8】電源モジュールの初期情報を説明する図である。
【図9】電源モジュール単独動作時の消費電力、共用可能電力、損失を説明する図である。
【図10】共用可能な給電モジュールと受電モジュールの組み合わせである。
【図11】電源モジュール共用時と単独稼働時の損失を説明する図である。
【図12】給電モジュールと受電モジュールの選択結果である。
【図13】選択結果を与えるスイッチの設定である。
【図14】電源モジュールの初期情報を説明する図である。
【図15】電源モジュール単独動作時の消費電力、共用可能電力、損失を説明する図である。
【図16】共用可能な給電モジュールと受電モジュールの組み合わせである。
【図17】電源モジュール共用時と単独稼働時の損失を説明する図である。
【図18】給電モジュールと受電モジュールの選択結果である。
【図19】選択結果を与えるスイッチの設定である。
【図20】電源モジュールの初期情報を説明する図である。
【図21】電源モジュール単独動作時の消費電力、共用可能電力、損失を説明する図である。
【図22】共用可能な給電モジュールと受電モジュールの組み合わせである。
【図23】電源モジュール共用時と単独稼働時の損失を説明する図である。
【図24】給電モジュールと受電モジュールの選択結果である。
【図25】選択結果を与えるスイッチの設定である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0011】
図1を参照して、モジュール100のハードウェア構成を説明する。図1において、モジュール100は、3台のスイッチ(SW)120と、電源回路150と、温度センサ160と、マイクロコントローラ(以下MCU:Micro-Control Unitと記載)170とから構成されている。
【0012】
MCU170は、通信ポート140を介して他のモジュール100AのMCU170と通信する。MCU170は、電源回路150の稼働状態をモニタする。MCU170は、モニター状態により電流経路を切り替えるスイッチ(SW)120−1〜120−3を制御する。MCU170は、電源回路150が他のモジュール100への供給ができる給電可能な共用可能電力算出とモジュール100内の電源回路の損失算出を行なう。
【0013】
SW120−i(i=1〜3)は、SW_iと記載することがある。SW120−1は、ONのとき、電源回路150から他のモジュール100Aに給電する。SW120−2は、ONのとき、電源回路150を停止して、他のモジュール100Bから受電する。SW120−1は、ONのとき、電源回路150から負荷に給電する。
【0014】
電源回路150は、内部レジスタの変更で電圧設定ができる。内部レジスタの変更で、電圧設定ができる電源回路部150は、特許文献1の”パワーコンバータ回路”が相当する。
【0015】
モジュール100は、出力電圧ポート180と、給電ポート110と、受電ポート130と、通信ポート140とを有する。
出力電圧ポート180は、負荷を接続する。給電ポート110は、他のモジュール100Aへ電源を供給する。受電ポート130は、他モジュール100Bから電源を受取る。通信ポート140は、他のモジュール100との通信用のポートである。
モジュール100は、MCU170が保持する初期設定テーブル50の情報と、稼働状態での電圧情報、電流情報、温度情報を収集する。
【0016】
図2を参照して、電源供給システム500の構成を説明する。図2において、電源供給システム500は、コネクト部200と、n台のモジュール100とで構成されている。コネクト部200は、電源バス210と内部通信線220とを有する。電源バス210は、モジュール100の給電ポート110と、受電ポート130と接続されている。内部通信線220は、モジュール100の通信ポート140を相互接続する。また、コネクト部200は、入力電圧Vinを各モジュール100に分配する。
【0017】
図3を参照して、MCU170が保持する初期設定テーブル50を説明する。図3において、初期設定テーブル50は、初期電圧51と、基礎損失52と、定格電力53と、定格電力効率54と、可変電圧テーブル55と、ディレーティング特性56とから構成される。定格電力53と定格電力効率54は、電源回路150の値である。可変電圧テーブル55は、電源回路150のレジスタの値と出力電圧の関係を記述する。ディレーティング特性56は、電源回路150の内部温度と出力電力との特性である。
【0018】
図4を参照して、共用可能電力の求め方を説明する。図4において、MCU170は、温度情報とディレーティング特性56とから、ディレーティング(%)を求める。MCU170は、定格電力とディレーティング(%)を掛け合わせて供給可能電力を求める。MCU170は、電圧情報と電流情報を掛け合わせて消費電力情報を求める。MCU170は、供給可能電力から消費電力情報を減算して余剰電力を求める。MCU170は、余剰電力に予め定められた係数を掛け合わせ共用可能電力を演算する。
ここで、余剰電力は、定格電力まで供給可能である。しかし、定格電力での使用は、効率が悪化する可能性があるので、係数で調整する。
【0019】
図5を参照して、電力回路150の損失の算出方法を説明する。図5において、モジュール100が単独で稼働しているとき、MCU170は、電圧、電流、温度情報を収集する。MCU170は、初期設定テーブル50の情報と収集データを元に、電源回路150の損失を求める。
【0020】
負荷異存損失は銅損である。損失Plossは、負荷依存損失と基礎損失の和であり、
Ploss=a×I^2+b …(式1)
で表わせられる。ここで、I:負荷電流、a:係数、b:基礎損失である。また、Ploss=Pin−Pout(Pin:入力電力、Pout:出力電力)で表わせられるため、定格電力時の損失Ploss maxは、
Ploss max=(1/η−1)×Pout
=(1/η−1)×V×Imax …(式2)
となる。このとき、η:定格電力効率、V:電圧、Imax:定格電流である。(式1)、(式2)より、任意の負荷電流時の損失Plossは、(式3)で表わすことができる。
【0021】
Ploss
=((V×Imax×(1/η−1)−b)/Imax^2)×I^2+b …(式3)
モジュール100は、図2に示した様にn個並列接続ができる。n個並列接続された、モジュール100は、1台のマスター100Mと(n−1)台のスレーブ100Sに分けられる。マスター100Mは、スレーブ100Sの共用可能電力、電圧情報、電源回路部の損失、消費電力情報を収集し、損失が小さくなる様な電力配分の管理を行なう。マスター100Mは、マスター100M内部のSW120を切換える。マスター100Mは、スレーブ100SのSW120の切換の指令を出す。
【0022】
スレーブ100Sは、マスター100Mに共用可能電力情報、電圧情報、消費電力情報を送信する。スレーブ100Sは、マスター100MからのSW切換え命令で、SW切換えを行なう。電源供給システム500は、電源の共用使用を行ない、他のモジュール100へ電源供給が行なえ、他のモジュール100から電源供給を受ける事ができる。共用使用によって電力損失の低減を実現できる。
【0023】
図6を参照して、電源供給システム500の電源モジュール100の動作を説明する。図6において、モジュール100は、自身がマスターか判定する(S11)。マスターのとき、モジュール100Mは、単独動作で消費電力と共用可能電力データを収集する(S12)。ステップ11でスレーブのとき、モジュール100Sは、単独動作で消費電力と共用可能電力データを収集する(S13)。モジュール100Sは、マスター100Mに収集したデータを送信する(S14)。モジュール100Mは、データを集約する(S16)。モジュール100Mは、共用可能モジュール組み合わせを抽出する(S17)。モジュール100Mは、電圧が一致か判定する(S18)。NOのとき、モジュール100Mは、単独動作する(S19)。同様に、モジュール100Sは、単独動作する(S21)。ステップ18でYESのとき、モジュール100Mは、電力に余裕があるか判定する(S22)。無しのとき、モジュール100Mは、単独動作する(S23)。同様に、モジュールS100は、単独動作する(S24)。
【0024】
ステップ22で有りのとき、モジュール100Mは、共用可能モジュールの各組み合わせで電源全体の損出を算出する(S26)。モジュール100は、単独動作時の電力損出と共用可能モジュール動作時の損失を比較する(S27)。
【0025】
図6Bに移って、モジュール100Mは、電力損失が最小の組み合わせを選択する(S28)。モジュール100Mは、SW切り換え指令をスレーブ100Sに送信する(S29)。モジュール100Mは、自身の運転モード(給電/受電/単独)を判定する(S31)。単独のとき、モジュールM100は、単独動作SW120ー3をONに切り換える(S32)。モジュール100Mは、単独動作する(S33)。モジュール100Mは、モニタする(S34)。モジュール100Mは、モジュール100Sが送信したモニタ結果を集約する(S36)。モジュール100Mは、電圧調整要か判定する(S37)。モジュール100Mは、自身の電圧を調整して(S38)、ステップ34に遷移する。また、モジュール100Mは、モジュール100Sに電圧を調整させて(S39)、モジュール100Sは、後述するステップ48に遷移する。
【0026】
ステップ31で給電のとき、モジュール100MSは、給電動作SW120ー1をONに切り換えて(S41)、ステップ34に遷移する。ステップ31で受電のとき、モジュール100は、受電動作SW120ー2をONに切り換える。モジュール100Mは、電源回路150を停止して(S43)、ステップ34に遷移する。
【0027】
SW切り換え指示を受信したモジュール100Sは、自身の運転モード(給電/受電/単独)を判定する(S44)。単独のとき、モジュール100Sは、単独動作SW120ー3をONに切り換える(S46)。モジュール100Sは、単独動作を実行する(S47)。モジュール100Sは、モニタする(S48)。モジュール100Sは、モニタ結果をマスター100Mに送信する(S49)。ステップ44で給電のとき、モジュール100Sは、給電動作SW120ー1をONにして(S50)、ステップ48に遷移する。ステップ44で受電のとき、モジュール100Sは、受電SW120ー2をONにする(S51)。モジュール100Sは、電源回路150をOFFにして(S52)、ステップ48に遷移する。
ステップ43およびステップ52で電源回路150を停止するのは、当該電源回路150の基礎損失を取り除くためである。
【0028】
図7を参照して、異常処理を説明する。図7において、モジュール100は、異常の発生したモジュール100がマスター100Mかスレーブ100Sか判定する(S61)。異常発生がマスターのとき、マスター100Mは、全SWをOFFにして(S62)、スレーブ単独動作に遷移する。ステップ61で異常発生がスレーブのとき、スレーブ100Sは、全SWをOFFにして(S64)、図6のフローの始めに戻って再調整に遷移する。
【実施例1】
【0029】
図8ないし図13を参照して、実施例1を説明する。実施例1は、図2のモジュール接続で、図1のモジュールの基本構成例を4並列に接続する事により、電源の共用化を実現するものである。
【0030】
図8を参照して、4並列のモジュールの初期情報テーブル60を説明する。初期情報テーブル60は、スレーブ100Sから送信された情報をまとめたマスター100Mが保持するテーブルである。初期情報テーブル60は、モジュール100ごとに、電圧61と、定格電力62と、定格電力効率63と、基礎損失64とをまとめたテーブルである。
【0031】
電圧61は、当該モジュールの出力電圧である。定格電力62は、当該モジュールの定格電力である。定格電力効率63は、当該モジュールの定格電力効率を保持する。負荷基礎損失64は、当該モジュールの負荷基礎損失を保持する。
【0032】
図9を参照して、消費電力テーブル70を説明する。消費電力テーブル70は、マスター100Mが保持するテーブルである。図9において、消費電力テーブル70は、モジュール100ごとに、消費電力71と、共用可能電力72と、損失73とから構成されている。消費電力71は、当該モジュールの負荷の消費電力である。共用可能電力72は、当該モジュール100の定格電力から消費電力71を減算した値である。損失73は、単独使用時の損失(負荷依存損失+基礎損失)である。
【0033】
図10を参照して、組み合わせテーブル80を説明する。組み合わせテーブル80は、マスター100Mが保持するテーブルである。図10において、組み合わせテーブル80は、給電モジュール81と、共用可能電力82と、電圧比較83と、電力比較84と、受電モジュール85と、消費電力86と、共用判定87とから構成されている。
【0034】
給電モジュール81は、給電モジュールの番号(ID)である。共用可能電力82は、その給電モジュールの共用可能電力である。受電モジュール85は、給電モジュール以外のモジュールの組み合わせを記載する。消費電力86は、受電モジュール85の合計消費電力である。電圧比較83は、給電モジュール81と受電モジュール85との電圧が一致しているかである。電圧比較83は、一致しているとき「○」を記載する。電圧比較83は、一致していないとき「×」を記載する。
【0035】
電力比較84は、給電モジュール81の共用可能電力82が、受電モジュール85の消費電力86を上回るかを記載する。電力比較84は、給電モジュール81の共用可能電力82が、受電モジュール85の消費電力86を上回るとき、「○」を記載する。電力比較84は、給電モジュール81の共用可能電力82が、受電モジュール85の消費電力86を上回らないとき、「×」を記載する。共用判定87は、電圧比較83と電力比較84がともに「○」のとき、「○」を記載する。共用判定87は、電圧比較83と電力比較84の一方でも「×」のとき、「×」を記載する。
【0036】
図11を参照して、単独稼働に対する共用稼働の損失を比較して説明する。図11において、損失比較テーブル90は、給電モジュール91と、受電モジュール92と、単独動作モジュール93と、電源全体損失合計94と、単独稼働損失合計95と、損失改善幅96とから構成されている。損失比較テーブル90は、図10の共用判定87に「○」がついたレコードの詳細である。
【0037】
給電モジュール91は、給電元モジュール100のIDである。受電モジュール92は、給電先モジュール100のIDである。単独動作モジュール93は、単独動作するモジュール100のIDである。電源全体損失合計94は、共用時の単独稼働モジュールを含めた損失である。単独稼働損失合計95は、すべてのモジュールを単独稼働させたときの損失の合計である。損失改善幅96は、単独稼働損失合計95から電源全体損失合計94を減算した値である。損失改善幅96は、大きいほど共用効果が高い。
【0038】
図12を参照して、選択結果を説明する。マスタ100Mは、図11の損失比較テーブル90において、損失改善幅96が最大かつもっとも若いレコードを選択する。その結果、損失改善幅96が最大(1.93W)のレコード4〜レコード6から、レコード4を選択する。図12において、選択結果テーブル30は、給電モジュール31と、受電モジュール32と、単独動作モジュール33と、電源全体損失合計34とから構成される。
【0039】
給電モジュール31は、損失比較テーブル90のレコード4の給電モジュール81と同じである。受電モジュール32は、損失比較テーブル90のレコード4の受電モジュール92と同じである。単独動作モジュール33は、損失比較テーブル90のレコード4の単独動作モジュール93と同じである。電源全体損失合計34は、損失比較テーブル90のレコード4の電源全体損失合計94と同じである。
【0040】
図13を参照して、SW設定テーブル40を説明する。図13において、SW設定テーブル40は、モジュール名41と、給電SW42と、受電SW43と、内部給電SW44と、電源回路45とから構成される。
【0041】
モジュール名41は、モジュールのIDである。給電SW42は、SW120−1のON/OFFを記載する。受電SW43は、SW120−2のON/OFFを記載する。内部給電SW44は、SW120−3のON/OFFを記載する。電源回路45は、電源回路150のON/OFFを記載する。
【0042】
モジュール1は、給電モジュールなので、SW120−1:ON、SW120−2:OFF、SW120−3:ON、電源回路150:ONである。モジュール2とモジュール3とは、受電モジュールなので、SW120−1:OFF、SW120−2:ON、SW120−3:OFF、電源回路150:OFFである。モジュール4は、単独動作モジュールなので、SW120−1:OFF、SW120−2:OFF、SW120−3:ON、電源回路150:ONである。
【実施例2】
【0043】
実施例2を図14ないし図19を参照して、説明する。なお、図14ないし図19は、実施例1の図8ないし図13に対応する。したがって、説明は異なる部分のみ行なう。すなわち、図14の初期情報テーブル60Aにおいて、電源モジュール100の数は3台である。実施例1では、電源モジュール100は、すべて電圧12Vであったのに対して、実施例2のモジュール2は、電圧5Vである。
【0044】
図15は、消費電力テーブル70Aである。図16は、組み合わせテーブル80Aである。図17は、損失比較テーブル90Aである。図18は、選択結果テーブル30Aである。図19は、SW設定テーブル40Aである。
【0045】
図16において、モジュール100の数が3台に減り、しかもモジュール2の電圧が他とは異なる5Vとなったので、共用判定87が「○」は、レコード2のみである。この結果、図17の損失比較テーブル90Aのレコードもレコード1のみとなる。したがって、図18の選択結果テーブル30Aは、自動的に損失比較テーブル90Aのレコード1となる。
【0046】
図19のSW設定テーブル40Aにおいて、モジュール1は、給電モジュールなので、SW120−1:ON、SW120−2:OFF、SW120−3:ON、電源回路150:ONである。モジュール2は、単独動作モジュールなので、SW120−1:OFF、SW120−2:OFF、SW120−3:ON、電源回路150:ONである。モジュール3は、受電モジュールなので、SW120−1:OFF、SW120−2:ON、SW120−3:OFF、電源回路150:OFFである。
【実施例3】
【0047】
実施例3を図20ないし図25を参照して、説明する。なお、図20ないし図25は、実施例1の図8ないし図13に対応する。したがって、説明は異なる部分のみ行なう。すなわち、図20の初期情報テーブル60Bにおいて、実施例1では、電源モジュール2〜4は、すべて定格電力10Wあったのに対して、実施例3のモジュール4は、定格電力20Wである。定格電力20Wなのでモジュール4の定格電力効率63は、向上している。しかし、基礎損失64は、増加している。
【0048】
図21は、消費電力テーブル70Bである。図22は、組み合わせテーブル80Bである。図23は、損失比較テーブル90Bである。図24は、選択結果テーブル30Bである。図25は、SW設定テーブル40Bである。
【0049】
図21の消費電力テーブル70Bにおいて、モジュール4の消費電力71は8Wと、モジュール2とモジュール3の7Wと大きな差はない。この結果、共用可能電力72は、12Wと大きく、モジュール1とモジュール2とモジュール3に給電可能である。
【0050】
図22の組み合わせテーブル80Bにおいて、モジュール4も他の1台のモジュールにも給電可能である。しかし、図23の損失比較テーブル90Bにおいて、損失改善幅96が最大になるのはレコード4である。これは、定格電力の大きい電源を優先して使用するほうが効率が高いためである。
【0051】
図23の損失比較テーブル90Bにおいて、電源全体損失合計34は3.71Wと、損失比較テーブル90の電源全体損失合計34の3.27Wより、大きくなっている。なお、図24のSW設定テーブル40Bは、図13のSW設定テーブル40と同一なので、説明を省く。
【符号の説明】
【0052】
100…モジュール、110…給電ポート、120…スイッチ(SW)、130…受電ポート、140…通信ポート、150…電源回路、160…温度センサ、170…マイクロコントローラ、180…出力電圧ポート、200…コネクト部、210…電源バス、220…内部通信線、500…電源供給システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給システムに係り、特に異なる電源供給モジュールを共通使用してシステムの省電力化の実現を図る電源供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
システムにおける電源装置は、信頼度を上げるために、1台の電源よりシステム全体に供給するフルユニット電源からユニット単位で電源を供給するユニット電源に移行した。電源装置は、さらにパッケージ単位で電源を供給するオンボード電源へと電力供給する部位を限定して行き、いずれかの電源の故障があっても、その影響を最少にする様に電源システムを構築してきた。
【0003】
また、さらに信頼度をあげるため、冗長構成も合わせて採用されてきた。冗長構成とは、電源系を二重化することである。冗長構成は、それぞれ独立した複数の電源を用意して、各出力をORダイオード経由で供給する。これにより、冗長構成は、いずれか一方が電源停止した場合でも、他方からの電源供給する電源によって、システムとしては正常に動作する環境を構築している。この様な冗長構成をとる方法としては、非特許文献1に示される構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−506938号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】原田 耕介、外1名、”高周波スイッチングコンバータ高性能化技術”、(株)トリケップス、平成3年6月15日、p.201−p204
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電源設計においては、負荷の消費電力毎に、電流を見積り、電流の不足が発生しない様に電源システム設計を行なう。しかし、負荷の動作状態において、ピーク電流と通常状態で大きく異なる場合は、ピーク電流にて電源設計を行なう事になる。しかし、一時的にしか使用されない電流供給のためだけに、過大な電源を各パッケージに準備する必要があり、定常時は電力供給能力に余裕がある状態で電源を動作させている。また、各パッケージで電源を稼働させるため、最低限発生する電源損失が各パッケージにて発生する。これは、システムから見た時に過大な損失を抱える一因となる。本発明は、電源の余裕電力を他の電源供給経路を介して提供できるように制御し、不要となる電源を停止させて、電源全体の損失を減らし、装置全体の消費電力の最適化を実現する電源供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題は、複数の電源モジュールと、電源モジュールを相互接続するコネクト部とからなる電源供給システムにおいて、電源モジュールは、電源回路と、電源回路の出力を給電ポートに接続する第1のスイッチと、受電ポートからに入力を負荷に接続する第2のスイッチと、電源回路の出力を負荷に接続する第3のスイッチと、電源回路と第1のスイッチないし第3のスイッチとのON/OFFを制御する制御部とから構成され、複数の電源モジュールの共同制御により、第1の電源モジュールの余剰電力を第2の電源モジュールに供給して、第2の電源モジュールの電源回路を停止する電源供給システムにより、達成できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源の余裕電力を他の電源供給経路を介して提供できるように制御し、不要となる電源を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電源モジュールのブロック図である。
【図2】電源供給システムのブロック図である。
【図3】MCU内の初期設定情報を説明する図である。
【図4】共用可能電力の算出方法を説明する図である。
【図5】電源モジュールの損失の算出方法を説明する図である。
【図6A】電源供給システムの制御フローチャート(その1)である。
【図6B】電源供給システムの制御フローチャート(その2)である。
【図7】電源供給システムの異常処理フローチャートである。
【図8】電源モジュールの初期情報を説明する図である。
【図9】電源モジュール単独動作時の消費電力、共用可能電力、損失を説明する図である。
【図10】共用可能な給電モジュールと受電モジュールの組み合わせである。
【図11】電源モジュール共用時と単独稼働時の損失を説明する図である。
【図12】給電モジュールと受電モジュールの選択結果である。
【図13】選択結果を与えるスイッチの設定である。
【図14】電源モジュールの初期情報を説明する図である。
【図15】電源モジュール単独動作時の消費電力、共用可能電力、損失を説明する図である。
【図16】共用可能な給電モジュールと受電モジュールの組み合わせである。
【図17】電源モジュール共用時と単独稼働時の損失を説明する図である。
【図18】給電モジュールと受電モジュールの選択結果である。
【図19】選択結果を与えるスイッチの設定である。
【図20】電源モジュールの初期情報を説明する図である。
【図21】電源モジュール単独動作時の消費電力、共用可能電力、損失を説明する図である。
【図22】共用可能な給電モジュールと受電モジュールの組み合わせである。
【図23】電源モジュール共用時と単独稼働時の損失を説明する図である。
【図24】給電モジュールと受電モジュールの選択結果である。
【図25】選択結果を与えるスイッチの設定である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0011】
図1を参照して、モジュール100のハードウェア構成を説明する。図1において、モジュール100は、3台のスイッチ(SW)120と、電源回路150と、温度センサ160と、マイクロコントローラ(以下MCU:Micro-Control Unitと記載)170とから構成されている。
【0012】
MCU170は、通信ポート140を介して他のモジュール100AのMCU170と通信する。MCU170は、電源回路150の稼働状態をモニタする。MCU170は、モニター状態により電流経路を切り替えるスイッチ(SW)120−1〜120−3を制御する。MCU170は、電源回路150が他のモジュール100への供給ができる給電可能な共用可能電力算出とモジュール100内の電源回路の損失算出を行なう。
【0013】
SW120−i(i=1〜3)は、SW_iと記載することがある。SW120−1は、ONのとき、電源回路150から他のモジュール100Aに給電する。SW120−2は、ONのとき、電源回路150を停止して、他のモジュール100Bから受電する。SW120−1は、ONのとき、電源回路150から負荷に給電する。
【0014】
電源回路150は、内部レジスタの変更で電圧設定ができる。内部レジスタの変更で、電圧設定ができる電源回路部150は、特許文献1の”パワーコンバータ回路”が相当する。
【0015】
モジュール100は、出力電圧ポート180と、給電ポート110と、受電ポート130と、通信ポート140とを有する。
出力電圧ポート180は、負荷を接続する。給電ポート110は、他のモジュール100Aへ電源を供給する。受電ポート130は、他モジュール100Bから電源を受取る。通信ポート140は、他のモジュール100との通信用のポートである。
モジュール100は、MCU170が保持する初期設定テーブル50の情報と、稼働状態での電圧情報、電流情報、温度情報を収集する。
【0016】
図2を参照して、電源供給システム500の構成を説明する。図2において、電源供給システム500は、コネクト部200と、n台のモジュール100とで構成されている。コネクト部200は、電源バス210と内部通信線220とを有する。電源バス210は、モジュール100の給電ポート110と、受電ポート130と接続されている。内部通信線220は、モジュール100の通信ポート140を相互接続する。また、コネクト部200は、入力電圧Vinを各モジュール100に分配する。
【0017】
図3を参照して、MCU170が保持する初期設定テーブル50を説明する。図3において、初期設定テーブル50は、初期電圧51と、基礎損失52と、定格電力53と、定格電力効率54と、可変電圧テーブル55と、ディレーティング特性56とから構成される。定格電力53と定格電力効率54は、電源回路150の値である。可変電圧テーブル55は、電源回路150のレジスタの値と出力電圧の関係を記述する。ディレーティング特性56は、電源回路150の内部温度と出力電力との特性である。
【0018】
図4を参照して、共用可能電力の求め方を説明する。図4において、MCU170は、温度情報とディレーティング特性56とから、ディレーティング(%)を求める。MCU170は、定格電力とディレーティング(%)を掛け合わせて供給可能電力を求める。MCU170は、電圧情報と電流情報を掛け合わせて消費電力情報を求める。MCU170は、供給可能電力から消費電力情報を減算して余剰電力を求める。MCU170は、余剰電力に予め定められた係数を掛け合わせ共用可能電力を演算する。
ここで、余剰電力は、定格電力まで供給可能である。しかし、定格電力での使用は、効率が悪化する可能性があるので、係数で調整する。
【0019】
図5を参照して、電力回路150の損失の算出方法を説明する。図5において、モジュール100が単独で稼働しているとき、MCU170は、電圧、電流、温度情報を収集する。MCU170は、初期設定テーブル50の情報と収集データを元に、電源回路150の損失を求める。
【0020】
負荷異存損失は銅損である。損失Plossは、負荷依存損失と基礎損失の和であり、
Ploss=a×I^2+b …(式1)
で表わせられる。ここで、I:負荷電流、a:係数、b:基礎損失である。また、Ploss=Pin−Pout(Pin:入力電力、Pout:出力電力)で表わせられるため、定格電力時の損失Ploss maxは、
Ploss max=(1/η−1)×Pout
=(1/η−1)×V×Imax …(式2)
となる。このとき、η:定格電力効率、V:電圧、Imax:定格電流である。(式1)、(式2)より、任意の負荷電流時の損失Plossは、(式3)で表わすことができる。
【0021】
Ploss
=((V×Imax×(1/η−1)−b)/Imax^2)×I^2+b …(式3)
モジュール100は、図2に示した様にn個並列接続ができる。n個並列接続された、モジュール100は、1台のマスター100Mと(n−1)台のスレーブ100Sに分けられる。マスター100Mは、スレーブ100Sの共用可能電力、電圧情報、電源回路部の損失、消費電力情報を収集し、損失が小さくなる様な電力配分の管理を行なう。マスター100Mは、マスター100M内部のSW120を切換える。マスター100Mは、スレーブ100SのSW120の切換の指令を出す。
【0022】
スレーブ100Sは、マスター100Mに共用可能電力情報、電圧情報、消費電力情報を送信する。スレーブ100Sは、マスター100MからのSW切換え命令で、SW切換えを行なう。電源供給システム500は、電源の共用使用を行ない、他のモジュール100へ電源供給が行なえ、他のモジュール100から電源供給を受ける事ができる。共用使用によって電力損失の低減を実現できる。
【0023】
図6を参照して、電源供給システム500の電源モジュール100の動作を説明する。図6において、モジュール100は、自身がマスターか判定する(S11)。マスターのとき、モジュール100Mは、単独動作で消費電力と共用可能電力データを収集する(S12)。ステップ11でスレーブのとき、モジュール100Sは、単独動作で消費電力と共用可能電力データを収集する(S13)。モジュール100Sは、マスター100Mに収集したデータを送信する(S14)。モジュール100Mは、データを集約する(S16)。モジュール100Mは、共用可能モジュール組み合わせを抽出する(S17)。モジュール100Mは、電圧が一致か判定する(S18)。NOのとき、モジュール100Mは、単独動作する(S19)。同様に、モジュール100Sは、単独動作する(S21)。ステップ18でYESのとき、モジュール100Mは、電力に余裕があるか判定する(S22)。無しのとき、モジュール100Mは、単独動作する(S23)。同様に、モジュールS100は、単独動作する(S24)。
【0024】
ステップ22で有りのとき、モジュール100Mは、共用可能モジュールの各組み合わせで電源全体の損出を算出する(S26)。モジュール100は、単独動作時の電力損出と共用可能モジュール動作時の損失を比較する(S27)。
【0025】
図6Bに移って、モジュール100Mは、電力損失が最小の組み合わせを選択する(S28)。モジュール100Mは、SW切り換え指令をスレーブ100Sに送信する(S29)。モジュール100Mは、自身の運転モード(給電/受電/単独)を判定する(S31)。単独のとき、モジュールM100は、単独動作SW120ー3をONに切り換える(S32)。モジュール100Mは、単独動作する(S33)。モジュール100Mは、モニタする(S34)。モジュール100Mは、モジュール100Sが送信したモニタ結果を集約する(S36)。モジュール100Mは、電圧調整要か判定する(S37)。モジュール100Mは、自身の電圧を調整して(S38)、ステップ34に遷移する。また、モジュール100Mは、モジュール100Sに電圧を調整させて(S39)、モジュール100Sは、後述するステップ48に遷移する。
【0026】
ステップ31で給電のとき、モジュール100MSは、給電動作SW120ー1をONに切り換えて(S41)、ステップ34に遷移する。ステップ31で受電のとき、モジュール100は、受電動作SW120ー2をONに切り換える。モジュール100Mは、電源回路150を停止して(S43)、ステップ34に遷移する。
【0027】
SW切り換え指示を受信したモジュール100Sは、自身の運転モード(給電/受電/単独)を判定する(S44)。単独のとき、モジュール100Sは、単独動作SW120ー3をONに切り換える(S46)。モジュール100Sは、単独動作を実行する(S47)。モジュール100Sは、モニタする(S48)。モジュール100Sは、モニタ結果をマスター100Mに送信する(S49)。ステップ44で給電のとき、モジュール100Sは、給電動作SW120ー1をONにして(S50)、ステップ48に遷移する。ステップ44で受電のとき、モジュール100Sは、受電SW120ー2をONにする(S51)。モジュール100Sは、電源回路150をOFFにして(S52)、ステップ48に遷移する。
ステップ43およびステップ52で電源回路150を停止するのは、当該電源回路150の基礎損失を取り除くためである。
【0028】
図7を参照して、異常処理を説明する。図7において、モジュール100は、異常の発生したモジュール100がマスター100Mかスレーブ100Sか判定する(S61)。異常発生がマスターのとき、マスター100Mは、全SWをOFFにして(S62)、スレーブ単独動作に遷移する。ステップ61で異常発生がスレーブのとき、スレーブ100Sは、全SWをOFFにして(S64)、図6のフローの始めに戻って再調整に遷移する。
【実施例1】
【0029】
図8ないし図13を参照して、実施例1を説明する。実施例1は、図2のモジュール接続で、図1のモジュールの基本構成例を4並列に接続する事により、電源の共用化を実現するものである。
【0030】
図8を参照して、4並列のモジュールの初期情報テーブル60を説明する。初期情報テーブル60は、スレーブ100Sから送信された情報をまとめたマスター100Mが保持するテーブルである。初期情報テーブル60は、モジュール100ごとに、電圧61と、定格電力62と、定格電力効率63と、基礎損失64とをまとめたテーブルである。
【0031】
電圧61は、当該モジュールの出力電圧である。定格電力62は、当該モジュールの定格電力である。定格電力効率63は、当該モジュールの定格電力効率を保持する。負荷基礎損失64は、当該モジュールの負荷基礎損失を保持する。
【0032】
図9を参照して、消費電力テーブル70を説明する。消費電力テーブル70は、マスター100Mが保持するテーブルである。図9において、消費電力テーブル70は、モジュール100ごとに、消費電力71と、共用可能電力72と、損失73とから構成されている。消費電力71は、当該モジュールの負荷の消費電力である。共用可能電力72は、当該モジュール100の定格電力から消費電力71を減算した値である。損失73は、単独使用時の損失(負荷依存損失+基礎損失)である。
【0033】
図10を参照して、組み合わせテーブル80を説明する。組み合わせテーブル80は、マスター100Mが保持するテーブルである。図10において、組み合わせテーブル80は、給電モジュール81と、共用可能電力82と、電圧比較83と、電力比較84と、受電モジュール85と、消費電力86と、共用判定87とから構成されている。
【0034】
給電モジュール81は、給電モジュールの番号(ID)である。共用可能電力82は、その給電モジュールの共用可能電力である。受電モジュール85は、給電モジュール以外のモジュールの組み合わせを記載する。消費電力86は、受電モジュール85の合計消費電力である。電圧比較83は、給電モジュール81と受電モジュール85との電圧が一致しているかである。電圧比較83は、一致しているとき「○」を記載する。電圧比較83は、一致していないとき「×」を記載する。
【0035】
電力比較84は、給電モジュール81の共用可能電力82が、受電モジュール85の消費電力86を上回るかを記載する。電力比較84は、給電モジュール81の共用可能電力82が、受電モジュール85の消費電力86を上回るとき、「○」を記載する。電力比較84は、給電モジュール81の共用可能電力82が、受電モジュール85の消費電力86を上回らないとき、「×」を記載する。共用判定87は、電圧比較83と電力比較84がともに「○」のとき、「○」を記載する。共用判定87は、電圧比較83と電力比較84の一方でも「×」のとき、「×」を記載する。
【0036】
図11を参照して、単独稼働に対する共用稼働の損失を比較して説明する。図11において、損失比較テーブル90は、給電モジュール91と、受電モジュール92と、単独動作モジュール93と、電源全体損失合計94と、単独稼働損失合計95と、損失改善幅96とから構成されている。損失比較テーブル90は、図10の共用判定87に「○」がついたレコードの詳細である。
【0037】
給電モジュール91は、給電元モジュール100のIDである。受電モジュール92は、給電先モジュール100のIDである。単独動作モジュール93は、単独動作するモジュール100のIDである。電源全体損失合計94は、共用時の単独稼働モジュールを含めた損失である。単独稼働損失合計95は、すべてのモジュールを単独稼働させたときの損失の合計である。損失改善幅96は、単独稼働損失合計95から電源全体損失合計94を減算した値である。損失改善幅96は、大きいほど共用効果が高い。
【0038】
図12を参照して、選択結果を説明する。マスタ100Mは、図11の損失比較テーブル90において、損失改善幅96が最大かつもっとも若いレコードを選択する。その結果、損失改善幅96が最大(1.93W)のレコード4〜レコード6から、レコード4を選択する。図12において、選択結果テーブル30は、給電モジュール31と、受電モジュール32と、単独動作モジュール33と、電源全体損失合計34とから構成される。
【0039】
給電モジュール31は、損失比較テーブル90のレコード4の給電モジュール81と同じである。受電モジュール32は、損失比較テーブル90のレコード4の受電モジュール92と同じである。単独動作モジュール33は、損失比較テーブル90のレコード4の単独動作モジュール93と同じである。電源全体損失合計34は、損失比較テーブル90のレコード4の電源全体損失合計94と同じである。
【0040】
図13を参照して、SW設定テーブル40を説明する。図13において、SW設定テーブル40は、モジュール名41と、給電SW42と、受電SW43と、内部給電SW44と、電源回路45とから構成される。
【0041】
モジュール名41は、モジュールのIDである。給電SW42は、SW120−1のON/OFFを記載する。受電SW43は、SW120−2のON/OFFを記載する。内部給電SW44は、SW120−3のON/OFFを記載する。電源回路45は、電源回路150のON/OFFを記載する。
【0042】
モジュール1は、給電モジュールなので、SW120−1:ON、SW120−2:OFF、SW120−3:ON、電源回路150:ONである。モジュール2とモジュール3とは、受電モジュールなので、SW120−1:OFF、SW120−2:ON、SW120−3:OFF、電源回路150:OFFである。モジュール4は、単独動作モジュールなので、SW120−1:OFF、SW120−2:OFF、SW120−3:ON、電源回路150:ONである。
【実施例2】
【0043】
実施例2を図14ないし図19を参照して、説明する。なお、図14ないし図19は、実施例1の図8ないし図13に対応する。したがって、説明は異なる部分のみ行なう。すなわち、図14の初期情報テーブル60Aにおいて、電源モジュール100の数は3台である。実施例1では、電源モジュール100は、すべて電圧12Vであったのに対して、実施例2のモジュール2は、電圧5Vである。
【0044】
図15は、消費電力テーブル70Aである。図16は、組み合わせテーブル80Aである。図17は、損失比較テーブル90Aである。図18は、選択結果テーブル30Aである。図19は、SW設定テーブル40Aである。
【0045】
図16において、モジュール100の数が3台に減り、しかもモジュール2の電圧が他とは異なる5Vとなったので、共用判定87が「○」は、レコード2のみである。この結果、図17の損失比較テーブル90Aのレコードもレコード1のみとなる。したがって、図18の選択結果テーブル30Aは、自動的に損失比較テーブル90Aのレコード1となる。
【0046】
図19のSW設定テーブル40Aにおいて、モジュール1は、給電モジュールなので、SW120−1:ON、SW120−2:OFF、SW120−3:ON、電源回路150:ONである。モジュール2は、単独動作モジュールなので、SW120−1:OFF、SW120−2:OFF、SW120−3:ON、電源回路150:ONである。モジュール3は、受電モジュールなので、SW120−1:OFF、SW120−2:ON、SW120−3:OFF、電源回路150:OFFである。
【実施例3】
【0047】
実施例3を図20ないし図25を参照して、説明する。なお、図20ないし図25は、実施例1の図8ないし図13に対応する。したがって、説明は異なる部分のみ行なう。すなわち、図20の初期情報テーブル60Bにおいて、実施例1では、電源モジュール2〜4は、すべて定格電力10Wあったのに対して、実施例3のモジュール4は、定格電力20Wである。定格電力20Wなのでモジュール4の定格電力効率63は、向上している。しかし、基礎損失64は、増加している。
【0048】
図21は、消費電力テーブル70Bである。図22は、組み合わせテーブル80Bである。図23は、損失比較テーブル90Bである。図24は、選択結果テーブル30Bである。図25は、SW設定テーブル40Bである。
【0049】
図21の消費電力テーブル70Bにおいて、モジュール4の消費電力71は8Wと、モジュール2とモジュール3の7Wと大きな差はない。この結果、共用可能電力72は、12Wと大きく、モジュール1とモジュール2とモジュール3に給電可能である。
【0050】
図22の組み合わせテーブル80Bにおいて、モジュール4も他の1台のモジュールにも給電可能である。しかし、図23の損失比較テーブル90Bにおいて、損失改善幅96が最大になるのはレコード4である。これは、定格電力の大きい電源を優先して使用するほうが効率が高いためである。
【0051】
図23の損失比較テーブル90Bにおいて、電源全体損失合計34は3.71Wと、損失比較テーブル90の電源全体損失合計34の3.27Wより、大きくなっている。なお、図24のSW設定テーブル40Bは、図13のSW設定テーブル40と同一なので、説明を省く。
【符号の説明】
【0052】
100…モジュール、110…給電ポート、120…スイッチ(SW)、130…受電ポート、140…通信ポート、150…電源回路、160…温度センサ、170…マイクロコントローラ、180…出力電圧ポート、200…コネクト部、210…電源バス、220…内部通信線、500…電源供給システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源モジュールと、前記電源モジュールを相互接続するコネクト部とからなる電源供給システムにおいて、
前記電源モジュールは、電源回路と、前記電源回路の出力を給電ポートに接続する第1のスイッチと、受電ポートからに入力を負荷に接続する第2のスイッチと、前記電源回路の出力を前記負荷に接続する第3のスイッチと、前記電源回路と前記第1のスイッチないし前記第3のスイッチとのON/OFFを制御する制御部とから構成され、
前記複数の電源モジュールの共同制御により、第1の電源モジュールの余剰電力を第2の電源モジュールに供給して、前記第2の電源モジュールの前記電源回路を停止することを特徴とする電源供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電源供給システムであって、
前記電源モジュールは、さらに温度センサを含み、
前記温度センサが検出した温度に基づくディレーティングを考慮して前記余剰電力を算出することを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電源供給システムであって、
前記電源モジュールは、前記制御部に接続された通信ポートをさらに含み、
前記コネクト部は、前記受電ポートと前記給電ポートとに接続された電源バスと、前記通信ポートに接続された内部通信線とを備えることを特徴とする電力供給システム。
【請求項1】
複数の電源モジュールと、前記電源モジュールを相互接続するコネクト部とからなる電源供給システムにおいて、
前記電源モジュールは、電源回路と、前記電源回路の出力を給電ポートに接続する第1のスイッチと、受電ポートからに入力を負荷に接続する第2のスイッチと、前記電源回路の出力を前記負荷に接続する第3のスイッチと、前記電源回路と前記第1のスイッチないし前記第3のスイッチとのON/OFFを制御する制御部とから構成され、
前記複数の電源モジュールの共同制御により、第1の電源モジュールの余剰電力を第2の電源モジュールに供給して、前記第2の電源モジュールの前記電源回路を停止することを特徴とする電源供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電源供給システムであって、
前記電源モジュールは、さらに温度センサを含み、
前記温度センサが検出した温度に基づくディレーティングを考慮して前記余剰電力を算出することを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電源供給システムであって、
前記電源モジュールは、前記制御部に接続された通信ポートをさらに含み、
前記コネクト部は、前記受電ポートと前記給電ポートとに接続された電源バスと、前記通信ポートに接続された内部通信線とを備えることを特徴とする電力供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−100441(P2012−100441A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246380(P2010−246380)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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