説明

電源供給装置

【課題】要求される電圧に応じてスイッチング素子のオンオフの周波数を変化させる電源供給装置を提供する。
【解決手段】交流電力を整流回路11で変換した直流電力を、昇圧チョッパ回路12に設けられたスイッチング素子13のオンオフの切り替えによって昇圧して所定電圧の電力を供給する電源供給装置10において、予めスイッチング素子13のオンオフの動作周波数を複数設定し、負荷となる機器15が要求する電圧に応じて、動作周波数から一つを選択し、選択した動作周波数で、スイッチング素子13のオンオフのデューティ比を変えて、機器15の要求電圧を出力する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電力を直流電力に変換する電源供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動作状況に応じて必要な電圧値が変わる圧縮機やモータ等の機器に対して、例えば特許文献1に示すように、昇圧チョッパ回路(PAM回路)を備え、機器が要求する電圧の電力を供給する電源供給装置が用いられている。
この電源供給装置は、昇圧チョッパ回路にリアクトル素子及びスイッチング素子を有し、交流電源からの交流電力を整流した直流電力を、その昇圧チョッパ回路に供給している。
昇圧チョッパ回路は、供給される直流電力を、スイッチング素子をオンにしてリアクトル素子にエネルギーとして蓄え、スイッチング素子をオフにして、このリアクトル素子に蓄えられたエネルギーを放出することにより昇圧した直流電力を機器に供給する。
電源供給装置は、機器が要求する電圧に応じて、スイッチング素子のオンオフのデューティ比を変えて直流電力の昇圧率を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−50668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スイッチング素子のオンオフの周波数を固定し、オン時間を変えることでデューティ比の調整を行うのが一般的であり、スイッチング素子のオンオフ切り替えにより消費される電力は、機器が要求する電圧の大小に関係なく略同じであった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、要求される電圧に応じてスイッチング素子のオンオフの周波数を変化させる電源供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る電源供給装置は、交流電力を整流回路で変換した直流電力を、昇圧チョッパ回路に設けられたスイッチング素子のオンオフの切り替えによって昇圧して所定電圧の電力を供給する電源供給装置において、予め前記スイッチング素子のオンオフの動作周波数を複数設定し、負荷となる機器が要求する電圧に応じて、前記動作周波数から一つを選択し、該選択した動作周波数で、前記スイッチング素子のオンオフのデューティ比を変えて、前記機器の要求電圧を出力する。
【0006】
本発明に係る電源供給装置において、前記スイッチング素子のオンオフ切り替えは、前記交流電力の電圧のゼロクロス点検出時を基準(即ち開始点)にしたタイミングで行われるのが好ましい。
【0007】
本発明に係る電源供給装置において、前記ゼロクロス点を検出する時間間隔で前記スイッチング素子のオンオフ切り替えを複数回行う前記動作周波数では、一周期あたりの前記スイッチング素子のオン時間が前記ゼロクロス点に近いほど長いのが好ましい。
【0008】
本発明に係る電源供給装置において、前記動作周波数は、周波数の異なる低周波と高周波の2種類であって、前記機器の要求電圧が、比較する基準電圧より低い場合には、低周波の前記動作周波数を選択し、前記機器の要求電圧が、前記基準電圧より高い場合には、高周波の前記動作周波数を選択するのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電源供給装置は、予めスイッチング素子のオンオフの動作周波数を複数設定し、機器が要求する電圧に応じて、動作周波数から一つを選択し、選択した動作周波数で、スイッチング素子のオンオフのデューティ比を変えるので、要求電圧が低い場合には、要求電圧が高い場合に必要とされる高周波の動作周波数より低い周波数でスイッチング素子のオンオフを行ってシステム消費電力を抑制することが可能である。
【0010】
本発明に係る電源供給装置において、スイッチング素子のオンオフ切り替えが、交流電力の電圧のゼロクロス点検出時を基準にしたタイミングで行われる場合、交流電力の電圧波形に対して所定の位相でスイッチング素子のオンオフを行うことができ、高調波の改善を確実に行うことが可能である
【0011】
本発明に係る電源供給装置において、ゼロクロス点を検出する時間間隔でスイッチング素子のオンオフ切り替えを複数回行う動作周波数で、一周期あたりのスイッチング素子のオン時間がゼロクロス点に近いほど長い場合、整流回路に入力される電流の波形を正弦波に近づけることができ、高調波の改善を効率的に行うことが可能である。
【0012】
本発明に係る電源供給装置において、動作周波数が、周波数の異なる低周波と高周波の2種類であって、機器の要求電圧が、基準電圧より低い場合には、低周波の動作周波数を選択し、機器の要求電圧が、基準電圧より高い場合には、高周波の動作周波数を選択する場合、動作周波数を選択するための制御を簡略化することができ、この制御を行うために必要なプログラム設計等のコストを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電源供給装置の回路図である。
【図2】同電源供給装置のスイッチング素子のオンオフ切り替え及び出力電圧を示す説明図である。
【図3】同電源供給装置のスイッチング素子のオンオフ制御を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る電源供給装置10は、交流電力を整流回路11で変換した直流電力を、昇圧チョッパ回路12に設けられたスイッチング素子13のオンオフの切り替えによって昇圧して所定電圧の電力を供給する装置である。以下、これらについて詳細に説明する。
【0015】
電源供給装置10は、交流電力を出力する交流電源14と、交流電源14からの交流電力を整流して直流電力(以下、単に「電力」ともいう)に変換する整流回路11と、整流回路11から送られる電力を昇圧する昇圧チョッパ回路12を備え、負荷となる機器15に電力を供給している。
機器15は、本実施の形態では圧縮機であり、電源供給装置10から供給される電力の電圧の大きさによりコンプレッサモータのスリップ量が調整され運転回転数を変えることができる。
また、電源供給装置10には、スイッチング素子13のオンオフ切り替え(スイッチング)制御等を行う制御手段17が設けられている。制御手段17は、スイッチング素子13に信号接続されたスイッチング制御回路16を介して、スイッチング素子13にオンオフ切り替えのための信号を送信する。スイッチング素子13は、スイッチング制御回路16からの信号に従ってオンオフ切り替えを行う。
【0016】
整流回路11には、ブリッジ状に接続された複数のダイオード18と、交流電源14からの交流電力が入力される入力端子19、19aが設けられている。
入力端子19、19aを介して整流回路11に供給された交流電力は、ダイオード18により整流され、整流回路11に設けられた出力端子20を介して、直流電力として昇圧チョッパ回路12に供給される。
【0017】
昇圧チョッパ回路12は、入力端子19、19a及び出力端子20を介して交流電源14に回路接続されたチョークコイルからなるリアクトル21を備え、このリアクトル21に出力端子20から送られてくる直流電力のエネルギーを蓄えることができる。
リアクトル21は、昇圧チョッパ回路12に設けられ、機器15と並列接続された平滑コンデンサ23に接続されている。
昇圧チョッパ回路12は、この平滑コンデンサ23を備えることにより、リアクトル21から出力される電力を平滑化して機器15に供給することができる。
なお、リアクトル21と平滑コンデンサ23の間には、平滑コンデンサ23からリアクトル21に電力が逆流するのを防止するダイオード24が配置されている。
【0018】
また、昇圧チョッパ回路12には、リアクトル21の出力側と整流回路11を電気的に接続するスイッチング素子13が設けられている。スイッチング素子13は、オン状態でリアクトル21の出力側と整流回路11を接続するショート回路を形成し、整流回路11の出力端子20から出力されリアクトル21を通過した電力を、整流回路11に戻す循環回路を設けて、リアクトル21にエネルギーが蓄えられる状態を確保する。
そして、スイッチング素子13は、オフ状態でリアクトル21の出力側と整流回路11を接続するショート回路を切断し、リアクトル21からの電力の出力先を平滑コンデンサ23側に切り替えることができる。
【0019】
制御手段17は、例えばマイコンからなり、スイッチング素子13のオンオフ制御等を行うためのプログラムを搭載し、主として情報記憶機能、演算機能及びデータ通信機能を備えている。
制御手段17には、予め周波数の異なるスイッチング素子13のオンオフの動作周波数が複数(本実施の形態では周波数の異なる低周波と高周波の2種類)設定されている。制御手段17は、機器15から電力供給を求める信号と共にその電力に要求される要求電圧の信号を受信すると、その要求電圧の大きさに応じて、低周波の動作周波数又は高周波の動作周波数のいずれかを選択し、その選択した動作周波数でスイッチング素子13のオンオフ切り替えを行うべく、そのためのオンオフ切り替え信号をスイッチング素子13に出力する。
【0020】
電源供給装置10には、昇圧チョッパ回路12から機器15に供給される電力の電圧値を計測する出力電圧計測回路25が設けられている。
出力電圧計測回路25は、制御手段17に信号接続されており、制御手段17は、出力電圧計測回路25を介して機器15に供給される電力の電圧(以下「出力電圧」ともいう)の大きさを検出可能である。
制御手段17は、選択した動作周波数のオンオフ切り替え信号をスイッチング素子13へ送信しながら、予め定められた時間間隔で出力電圧計測回路25を介して機器15に供給されている出力電圧を計測し、その計測した電圧と機器15の要求電圧の大きさを比較する。
そして、制御手段17は、計測した出力電圧と機器15の要求電圧の比較結果に基づき、必要に応じてスイッチング素子13のオンオフの合計時間に対するオン時間の比、即ちオンオフのデューティ比を変えて、昇圧チョッパ回路12が機器15に対して機器15が要求する要求電圧を出力するようにする。
【0021】
また、電源供給装置10には、交流電源14から出力される交流電圧を計測する入力電圧計測回路26が設けられている。
入力電圧計測回路26は、制御手段17に信号接続されており、制御手段17が入力電圧計測回路26を介して交流電源14から出力される交流電力の電圧(以下、「交流電圧」ともいう)を検出できるようにしている。
入力電圧計測回路26には、アナログ信号とデジタル信号の変換処理を行うAD変換チップが搭載されているので、デジタル信号の通信インターフェースを備える制御手段17は、入力電圧計測回路26を介して交流電源14からの交流電圧を検出可能である。
なお、スイッチング制御回路16及び出力電圧計測回路25にもそれぞれ、アナログ信号とデジタル信号を変換するAD変換チップが搭載されている。
【0022】
制御手段17は、入力電圧計測回路26を介して計測した交流電源14の交流電圧を基に交流電圧の波形を検知し、その波形の正領域と負領域が切り替わるゼロクロス点(図2参照)を検出する。
制御手段17は、ゼロクロス点の検出時を基準にスイッチング素子13へのオンオフ切り替えの信号出力を行い、スイッチング素子13のオンオフ切り替えが、ゼロクロス点検出時を基準にしたタイミングで行われるようにしている。
これにより、スイッチング素子13は、制御手段17がゼロクロス点を検出してから次にゼロクロス点を検出するまで、即ち交流電源14の交流電圧波形の半周期(180度)に対して、所定回数のオンオフ切り替えを確実に行うことができる。
【0023】
低周波の動作周波数及び高周波の動作周波数はそれぞれ、図2に示すように、交流電源14の交流電圧波形の半周期に対して、スイッチング素子13を1回オンにする周波数、及びスイッチング素子13を複数回オンにする周波数であり、高周波の動作周波数は、低周波数の動作周波数より高い周波数になっている。
なお、低周波の動作周波数は、高周波の動作周波数より低い値のものであれば、交流電源の交流電圧波形の半周期に対してスイッチング素子を複数回オンにするものでもよい。
また、本実施の形態では、制御手段に2種類の動作周波数が記憶されているが、制御手段に3種類以上の動作周波数が設定され、この設定されている3種類以上の動作周波数から一つを選択してスイッチング素子のオンオフを制御することもできる。
【0024】
図2に示すように、制御手段17がゼロクロス点を検出する時間間隔(即ち交流電源14の交流電圧波形の半周期あたり)でスイッチング素子13のオンオフ切り替えを複数回行う高周波の動作周波数では、ゼロクロス点の直前又は直後(即ち近傍)のスイッチング素子13のオン時間は、一のゼロクロス点とその次のゼロクロス点の中央部に近い中間時間領域のスイッチング素子13のオン時間より長くなっている。実際に、図2においても、スイッチング素子13のオン時間は、ゼロクロス点の直前及び直後の時間T1が一のゼロクロス点とその次のゼロクロス点の中央部の時間T2より長くなっている。
従って、スイッチング素子13のオンオフ切り替えの1周期あたりのスイッチング素子13のオン時間がゼロクロス点に近いほど長くなっており、交流電圧波形の半周期の間で、スイッチング素子13をオンにする時間tに、この間の電圧Vを乗算したt×Vは、同一又は一定の範囲(例えば±30%の範囲)になっている。
これにより、整流回路11に入力される電流の波形は正弦波に近づくことになり高調波の改善が図られる。
【0025】
次に、制御手段17によるスイッチング素子13の制御方法について詳細に説明する。
図3に示すように、制御手段17は、機器15から電力供給を要求する指令信号を受信すると、その指令信号からその電力に求められる要求電圧の大きさ情報を取得し(ステップS1)、その要求電圧の大きさを、予め制御手段17の記憶領域に設定されていた基準電圧と比較する(ステップS2)。
【0026】
この基準電圧は、制御手段17に動作周波数が設定される際に設定されたものであり、制御手段17がスイッチング素子13のオンオフ切り替え制御に低周波又は高周波のいずれの動作周波数を選択するかを決めるための判定基準となる。
制御手段17は、要求電圧が基準電圧より低い場合及び基準値以上の場合に、それぞれ低周波の動作周波数及び高周波の動作周波数を選択する。
これは、低周波の動作周波数によるスイッチング素子13のオンオフ切り替えでは、基準電圧未満の電圧を機器15に対して出力でき、高周波の動作周波数によるスイッチング素子13のオンオフ切り替えでは、基準電圧以上の電圧を機器15に対して出力することができるためである。
制御手段にN個(N≧3)の動作周波数が設定される場合、制御手段にはN−1個の基準電圧が設定され、制御手段は、要求電圧と各基準電圧の大小(高低)関係を基にして、N個の動作周波数から、機器に対して要求電圧を出力可能な一の動作周波数を選択する。
【0027】
ステップS2で、要求電圧が比較する基準電圧より高い場合(同じ場合も含む)、制御手段17は、高周波の動作周波数を選択し、スイッチング素子13に高周波の動作周波数によるオンオフ切り替え信号の送信を開始する(ステップS3)。
一方、要求電圧が比較する基準電圧より低い場合、制御手段17は、低周波の動作周波数を選択し、スイッチング素子13に低周波の動作周波数によるオンオフ切り替え信号の送信を開始する(ステップS3’)。
本実施の形態では、制御手段が、要求電圧と基準電圧が同じ場合に高周波の動作周波数を選択するようにしているが、要求電圧と基準電圧が同じ場合、低周波の動作周波数を選択するようにしてもよい。
【0028】
次に、制御手段17は、出力電圧計測回路25を介して機器15に出力している出力電圧を計測し(ステップS4又はステップS4’)、出力電圧を要求電圧に近づけるべくデューティ比の調整を行う(ステップS5又はステップS5’)。具体的には、デューティ比を大きくして出力電圧を上げ、デューティ比を小さくして出力電圧を下げる。
なお、本実施の形態では、このデューティ比の調整が、機器15の要求電圧と計測された出力電圧を基にPID制御によって行われているが、他のフィードバック制御を用いることもできる。
また、出力電圧が要求電圧に対して±α%以内の範囲であれば、デューティ比の値を維持する制御を行ってもよい。αは例えば2〜10の範囲の数値である。
【0029】
そして、ステップS5(又はステップS5’)で行われる一の動作周波数によるデューティ比の調整は、制御手段17が、機器15等から電源供給の停止信号を受信するか(ステップS6−1)、あるいは、機器15から新たな要求電圧の指令信号を受信する(ステップS7)まで行われる。
制御手段17が電源供給の停止信号を受信した場合(ステップS6−1)、デューティ比の調整を止めスイッチング素子13へのオンオフ切り替え信号の送信を停止して、機器15への電力供給を終了する(ステップS6−2)。
一方、制御手段17が機器15から新たな要求電圧の指令信号を受信した場合(ステップS7)には、ステップS1に戻って、受信した指令信号から要求電圧の値を取得し、基準電圧とその新たな要求電圧の比較を行って、高周波の動作周波数か低周波の動作周波数のいずれか一を選択する。
この制御手段17によるスイッチング素子13のオンオフ切り替え制御によって、電源供給装置10は、機器15に対して要求電圧と同じ(実質的な意味において同じ)大きさの出力電力を出力することができる。
【0030】
図2には、スイッチング素子13のオンオフ切り替えが行われたある時間について、スイッチング素子13のオンオフ切り替え、要求電圧及び出力電圧の関係が示されている。
図2に示されている時間領域D1、D2は、低周波の動作周波数によってスイッチング素子13のオンオフ切り替えがなされている時間帯であって、それぞれ、あるゼロクロス点を検出してから次のゼロクロス点を検出するまでの時間領域、D1の終了時点から次のゼロクロス点を検出するまでの時間領域である。
時間領域D1では出力電圧が要求電圧より低いので、制御手段17は、時間領域D2で出力電圧を上げるべく、デューティ比を時間領域D1のときより大きくするオンオフ切り替え信号をスイッチング素子13に送信する。このため、時間領域D2でのスイッチング素子13のオン時間W2は、時間領域D1でのスイッチング素子13のオン時間W1より長くなっている。
【0031】
そして、要求電圧が出力電圧と実質的に同じ値となると、デューティ比の変化率と共に出力電圧の変化は小さくなり、出力電圧は時間経過に伴う変化が微小な安定状態になる。
図2の例では、時間領域D2の終了間際で出力電圧と要求電圧が実質的に等しい安定状態となり、その後に機器15から制御手段17に対して新たな要求電圧の信号が送信されている。この要求電圧は基準電圧より高い値のため、制御手段17は、高周波の動作周波数を選択し、この選択された高周波の動作周波数でスイッチング素子13のオンオフ切り替えの制御を継続する。
【0032】
制御手段17は、要求電圧の大きさに応じてスイッチング素子13の動作周波数を選択するので、要求電圧が低い場合には、スイッチング素子13が低い周波数でオンオフ切り替えされ、スイッチング素子13のオンオフ動作で消費する電力を抑えることができる。
従って、電源供給装置10では、システム消費電力が抑制され、結果として力率を改善することが可能となる。実験による計測では、動作周波数が固定の電源供給装置でシステム消費電力が40Wであったのに対し、電源供給装置10ではシステム消費電力が10Wという結果を得ている。
また、電源供給装置10は、従来の電源供給装置に対して主として制御手段に搭載されるプログラムのみが変更されるのみであるので、設計コスト等を抑えることができる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、電源供給装置は圧縮機以外の、動作状況によって必要とする電圧が変わる機器、例えばモータ等に対する電力供給にも用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
10:電源供給装置、11:整流回路、12:昇圧チョッパ回路、13:スイッチング素子、14:交流電源、15:機器、16:スイッチング制御回路、17:制御手段、18:ダイオード、19、19a:入力端子、20:出力端子、21:リアクトル、23:平滑コンデンサ、24:ダイオード、25:出力電圧計測回路、26:入力電圧計測回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を整流回路で変換した直流電力を、昇圧チョッパ回路に設けられたスイッチング素子のオンオフの切り替えによって昇圧して所定電圧の電力を供給する電源供給装置において、
予め前記スイッチング素子のオンオフの動作周波数を複数設定し、負荷となる機器が要求する電圧に応じて、前記動作周波数から一つを選択し、該選択した動作周波数で、前記スイッチング素子のオンオフのデューティ比を変えて、前記機器の要求電圧を出力することを特徴とする電源供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源供給装置において、前記スイッチング素子のオンオフ切り替えは、前記交流電力の電圧のゼロクロス点検出時を基準にしたタイミングで行われることを特徴とする電源供給装置。
【請求項3】
請求項2記載の電源供給装置において、前記ゼロクロス点を検出する時間間隔で前記スイッチング素子のオンオフ切り替えを複数回行う前記動作周波数では、一周期あたりの前記スイッチング素子のオン時間が前記ゼロクロス点に近いほど長いことを特徴とする電源供給装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源供給装置において、前記動作周波数は、周波数の異なる低周波と高周波の2種類であって、前記機器の要求電圧が、比較する基準電圧より低い場合には、低周波の前記動作周波数を選択し、前記機器の要求電圧が、前記基準電圧より高い場合には、高周波の前記動作周波数を選択することを特徴とする電源供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−90504(P2012−90504A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237664(P2010−237664)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(390002886)株式会社長府製作所 (197)
【Fターム(参考)】