説明

電源制御装置

【課題】電気機器の電源オン前の電力消費を抑えつつ電源オンを適切に検出する。
【解決手段】プリンターPに組み込まれる検出部90aの磁石92がプリンターPの電源ボタンBのオンオフ操作に連動して作動し、磁石92に対向して配置される磁気スイッチ94と信号出力回路90bとにより磁石92の作動に応じてローレベルの信号またはハイレベルの信号を出力し、制御IC80はLatch端子に信号出力回路90bからハイレベルの信号が入力される場合にOUT端子からスイッチング回路40へスイッチング用の制御信号を出力しLatch端子にローレベルの信号が入力される場合にOUT端子からの制御信号の出力を禁止する。これにより、プリンターPの電源オン前に2次側に電力を供給することがなく電源オンを検出することができるから、電源オン前の無駄な電力消費を抑えつつ電源オンを検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源を所定の直流電圧に変換して電気機器に供給する電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の電源制御装置としては、入力した商用電源を直流電圧に変換し、変換した直流電圧をスイッチング回路によって交流電圧としてトランスの1次側の巻線に印加し、トランスの2次側の巻線に誘起された交流電圧を直流電圧に整流して電気機器に出力する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、電気機器の電源がオンされる前からスイッチング回路を駆動して2次側に電力を供給しておき、その電力を用いて電気機器の電源オンを検出するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−300775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような電源制御装置においては、電気機器がオンされる前から電力が継続的に消費されることになるため、オンされるまでの時間によっては電力消費が無視できないものとなる。近年、このような電機機器においては、電源オフ時の電力消費を抑制することが省電力化を図るための重要な課題として考えられており、さらなる改善が求められている。
【0005】
本発明の電源制御装置は、電気機器の電源がオンされる前の電力消費を抑えつつ電源オンを適切に検出することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電源制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電源制御装置は、
商用電源を所定の直流電圧に変換して電気機器に供給する電源制御装置であって、
商用電源を整流して直流電圧を出力する第1の整流回路と、
該出力された直流電圧をスイッチング素子のスイッチングにより交流電圧に変換する直流交流変換回路と、
該変換された交流電圧を変圧するトランスと、
該変圧された交流電圧を整流して前記所定の直流電圧を出力する第2の整流回路と、
前記電気機器に組み込まれ、ユーザーによる該電気機器の電源スイッチのオンオフ操作に連動して機械的に作動する操作連動部と、
前記操作連動部の作動に応じて前記電源スイッチがオンされることを示すオン信号かオフされることを示すオフ信号かのいずれかを前記第1の整流回路からの直流電圧を用いて出力する信号出力部と、
前記直流交流変換回路のスイッチング素子にスイッチング制御信号を出力可能な出力端子と、前記信号出力部から出力された信号を入力可能な入力端子とを有し、該入力端子に前記オン信号が入力される場合には前記出力端子から前記スイッチング制御信号を出力し、前記入力端子に前記オフ信号が入力される場合には前記出力端子からの前記スイッチング制御信号の出力を停止する集積回路と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の電源制御装置では、電気機器に組み込まれる操作連動部が、ユーザーによる電気機器の電源スイッチのオンオフ操作に連動して機械的に作動し、信号出力部が、操作連動部の作動に応じて前記電源スイッチがオンされることを示すオン信号かオフされることを示すオフ信号かのいずれかを第1の整流回路からの直流電圧を用いて出力し、直流交流変換回路のスイッチング素子にスイッチング制御信号を出力可能な出力端子と信号出力部から出力された信号を入力可能な入力端子とを有する集積回路が、入力端子にオン信号が入力される場合には出力端子からスイッチング制御信号を出力し、入力端子にオフ信号が入力される場合には出力端子からのスイッチング制御信号の出力を停止する。これにより、電源がオンされる前にはオフ信号の入力によりトランスの2次側に電力を供給することがなく、2次側に電力を供給していなくても電気機器の電源がオンされたときにはオン信号が入力されるから、電気機器の電源がオンされる前の無駄な電力消費を抑えつつ電源オンを検出することができる。
【0009】
また、本発明の電源制御装置において、前記集積回路は、前記入力端子に所定の電圧を作用させる回路であり、前記信号出力部は、前記集積回路の入力端子とグランドとの接続と切断とを切り替える半導体スイッチとしての第1のスイッチと、前記電気機器に組み込まれ前記第1の整流回路からの直流電圧を前記第1のスイッチへのスイッチ切替信号として出力するか否かを切り替える第2のスイッチとからなる部であり、前記操作連動部は、前記電源スイッチのオンオフ操作に連動して前記第2のスイッチを作動させる部であるものとすることもできる。こうすれば、電源のオンオフ操作に伴って、集積回路の入力端子にはグランドと接続されることによる低電圧の信号かグランドと切り離されることによる所定の電圧の信号かのいずれかが入力されることになるため、簡易な構成で電気機器の電源オンを検出することができる。この態様の本発明の電源制御装置において、前記第2のスイッチは、磁力により作動して前記第1のスイッチへのスイッチ切替信号を出力するか否かを切り替える磁気スイッチであり、前記操作連動部は、前記電源スイッチのオンオフ操作に連動して前記磁気スイッチに接近または離間する磁石部材であるものとすることもできる。このような電源制御装置では1次側と2次側との絶縁が要求されるが、磁石部材と磁気スイッチとを電気的に絶縁することができるため、絶縁の要求を満たして適切に電源オンを検出することができる。
【0010】
または、本発明の電源制御装置において、前記集積回路は、前記入力端子に所定の電圧を作用させる回路であり、前記信号出力部は、前記第1の整流回路からの直流電圧を受けて発光する発光素子と、前記集積回路の入力端子とグランドとの接続と切断とを受光の有無に基づくスイッチング動作により切り替える受光素子とが前記電気機器に組み込まれてなる部であり、前記操作連動部は、前記電源のオンオフ操作に連動して前記発光素子から前記受光素子への発光の遮断と該遮断の解除とが可能な遮断部材であるものとすることもできる。こうすれば、電源のオンオフ操作に伴って、集積回路の入力端子にはグランドと接続されることによる低電圧の信号かグランドと切り離されることによる所定の電圧の信号かのいずれかが入力されることになるため、簡易な構成で電気機器の電源オンを検出することができる。また、このような電源制御装置では1次側と2次側との絶縁が要求されるが、発光素子および受光素子と遮断部材とは電気的に絶縁することができるため、絶縁の要求を満たして適切に電源オンを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電源制御装置10の回路構成を示す回路図。
【図2】変形例の電源制御装置10Aの回路構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態である電源制御装置10の回路構成を示す回路図である。本実施形態の電源制御装置10は、商用電源(AC100Vなど)を所定の直流電圧(DC20Vなど)に変換してプリンターPに供給するACアダプター20と、プリンターPの電源ボタンBのオンオフ操作を検出するボタン操作検出部90(90a,90b)とからなる。なお、本実施形態では、ボタン操作検出部90のうち、実際にオンオフ操作を検出する検出部90aがプリンターPに組み込まれ、検出部90aによる検出を受けてオンオフ信号を出力する信号出力回路90bがACアダプター20に組み込まれている。また、プリンターPは、給紙された用紙にインクを吐出して印刷を行なう周知のインクジェット方式のプリンターとして構成されており、電力が供給されることにより駆動する各種駆動モーターや印刷ヘッドなどからなる負荷Lを備える。なお、プリンターPの電源ボタンBは、ユーザーのオンオフ操作により電源がオンされている間はプリンターPの内方に押し込まれ、電源がオフされている間はプリンターPの外方に押し戻されるよう構成されている。
【0013】
ACアダプター20は、主要な構成要素として、商用電源を整流して直流電圧を出力する第1の整流回路30と、第1の整流回路30から出力された直流電圧をスイッチングにより交流電圧に変換するスイッチング回路40と、スイッチング回路40により変換された交流電圧を変圧するトランス50と、トランス50により変圧された交流電圧を整流して直流電圧を出力する第2の整流回路60と、第2の整流回路60から出力された直流電圧に応じてフォトカプラー75の出力を制御する定電圧制御用回路70と、フォトカプラー75からの出力に応じてスイッチング回路40へのスイッチング制御用の信号を生成して出力する制御IC80とを備えている。なお、トランス50を挟んで、第1の整流回路30やスイッチング回路40,制御IC80が配置された側を1次側と称し、第2の整流回路60や定電圧制御用回路70が配置された側を2次側と称する。
【0014】
第1の整流回路30は、商用電源に接続される4つのダイオードが組み合わされたダイオードブリッジ32と、平滑コンデンサーC1とからなり、商用電源をダイオードブリッジ32により全波整流して平滑コンデンサーC1により平滑化した直流電圧を出力する。
【0015】
スイッチング回路40は、抵抗R4を介してゲートが制御IC80に接続されると共にドレインがトランス50に接続されるMOS型FETなどのスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1のソースに接続された電流検出用の抵抗R5とからなり、整流回路30から出力される直流電圧をスイッチング素子Q1のスイッチング動作により交流電圧に変換する。
【0016】
トランス50は、第1の整流回路30の出力側とスイッチング回路40のスイッチング素子Q1のドレインとに接続された1次巻線52と、第2の整流回路60に接続された2次巻線54と、ダイオードD1を介して平滑コンデンサーC2に接続された補助巻線56とにより構成されている。このトランス50では、スイッチング素子Q1のスイッチング動作により変換された交流電圧が1次巻線52に印加されることにより、各巻線の巻線数比に応じた交流電圧が2次巻線54や補助巻線56に誘起される。
【0017】
第2の整流回路60は、トランス50の2次巻線54に接続されたダイオードD2と、ダイオードD2に接続された平滑コンデンサーC3とからなり、トランス50の2次巻線54に誘起された交流電圧を半波整流して平滑化した直流電圧をプリンターPの負荷Lに出力電圧(Vout−GND間)として出力する。
【0018】
定電圧制御用回路70は、詳細な図示は省略するが、第2の整流回路60から出力された直流電圧に応じてフォトカプラー75の発光素子であるフォトダイオード75aに流れる電流を調整するための回路として構成されている。また、フォトカプラー75の受光素子であるフォトトランジスター75bは、制御IC80に接続され、受光量に応じた信号を制御IC80に出力する。このため、定電圧制御用回路70によりフォトダイオード75aへの電流が調整されると、フォトダイオード75aの発光量が変化し、それに伴ってフォトトランジスター75bの受光量が変化して、制御IC80に入力される信号も変化する。即ち、定電圧制御用回路70とフォトカプラー75とにより2次側の出力電圧に応じた信号が制御IC80に入力される。
【0019】
制御IC80は、スイッチング回路40のスイッチング素子Q1を制御するためのICチップとして構成され、ボタン操作検出部90の信号出力回路90bから出力される信号が入力されるLatch端子と、フォトトランジスター75bから2次側の出力電圧に応じた信号がフィードバック信号として入力されるFB端子と、スイッチング素子Q1の電流値を検出するためにスイッチング素子Q1と電流検出用の抵抗R5との接続点の電位が入力されるIS端子と、グランドに接続されるGND端子と、スイッチング素子Q1のゲートにスイッチング用の制御信号を出力するOUT端子と、制御IC80の起動用の電圧が入力されるVH端子と、トランス50の補助巻線56により誘起されダイオードD1と平滑コンデンサーC2とにより整流と平滑とがなされた直流電圧が入力されるVCC端子とを備えている。この制御IC80は、スイッチング制御をしていない間はVH端子から入力される電圧により駆動し、スイッチング制御をしている間はトランス50の補助巻線56に誘起されてVCC端子から入力される電圧により駆動する。また、VH端子やVCC端子から入力された電圧を用いてLatch端子やFB端子などに所定の電圧(例えば0.3Vを超える電圧など)を印可(プルアップ)するよう構成されている。この制御IC80では、FB端子に入力されるフィードバック信号やIS端子から入力されたスイッチング素子Q1(抵抗R5)の電圧などに基づいて2次側の出力電圧が所定の直流電圧に近付くようスイッチング用の制御信号を生成し、生成した制御信号をOUT端子から出力する。また、制御IC80は、Latch端子にローレベルの信号(例えば0.3V以下の電圧など)がある一定時間以上継続して入力(作用)したときにはOUT端子からの制御信号の出力を禁止して出力を停止し、Latch端子に上述した所定の電圧としてのハイレベルの信号が入力(作用)したときにはOUT端子からの制御信号の出力の禁止を解除して出力するよう構成されている。
【0020】
ボタン操作検出部90の検出部90aは、プリンターPの電源ボタンBの裏面に取り付けられた磁石92と、磁石92に対向して磁石94aが配置され信号出力回路90bに接続された電力ライン96とグランドに接続された電力ライン98との接続と切断とを切り替える磁気スイッチ94とを備えている。電源ボタンBに取り付けられた磁石92は、オン操作により電源ボタンBが押し込まれるのに伴って押し込み方向側の位置に移動して磁気スイッチ94の磁石94aに接近し、オフ操作により電源ボタンBが押し戻されるのに伴って押し戻し方向側の位置に移動して磁石94aから離間する。これらの磁石92と磁石94aとは、磁力による反発力を及ぼし合うよう同一の磁極が互いに向き合って配置されている。また、磁石94aは、図示しないリターンスプリングにより磁石92側(押し戻し方向側)に付勢されており、その付勢力は、磁石92が押し込み方向側の位置にあり磁石94aに接近する場合には磁力による反発力を下回り、磁石92が押し戻し方向側の位置にあり磁石94aから離間する場合には磁力による反発力を上回るよう定められている。このため、電源ボタンBのオン操作により磁石92が押し込み方向側の位置に移動すると、磁力による反発力がリターンスプリングの付勢力に打ち勝って磁気スイッチ94が押し込み方向側に移動して、電力ライン96,98を接続する。また、電源ボタンBのオフ操作により磁石92が押し戻し方向側の位置に移動すると、磁力による付勢力がリターンスプリングの反発力に打ち勝って磁気スイッチ94が押し戻し方向側に移動して、電力ライン96,98を切断する。なお、回路上は2次側となる電源ボタンBに取り付けられた磁石92と1次側となる磁気スイッチ94とは電気的な絶縁が要求されるため、磁石92と磁気スイッチ94とは絶縁に必要な所定の間隔をもって配置するものとした。また、電力ライン96,98とVout用の電力ラインやGND用の電力ラインとにおいても同様に絶縁に必要な所定の間隔をもって配置するものとした。
【0021】
ボタン操作検出部90の信号出力回路90bは、整流回路30の出力側に接続される抵抗R1と、この抵抗R1と電力ライン96とに接続される抵抗R2と、抵抗R1と抵抗R2との接続点にベースが接続されると共にコレクタがグランドに接続されるトランジスターT1と、整流回路30の出力側に接続されると共にトランジスターT1のエミッタに接続される抵抗R3と、抵抗R3とトランジスターT1のエミッタとの接続点にベースが接続されると共にエミッタがグランドに接続され且つコレクタが制御IC80のLatch端子に接続されるトランジスターT2とからなる。この信号出力回路90bでは、トランジスターT1がオフされると、整流回路30から抵抗R3を介してトランジスターT2のベースに電流が流れてトランジスターT2がオンされて、制御IC80のLatch端子とグランドとを接続する。このため、トランジスターT1がオフされる場合には、Latch端子には上述したローレベルの信号が入力されることになる。一方、トランジスターT1がオンされると、整流回路30から抵抗R3を介してトランジスターT1のエミッタ−コレクタ間を電流が流れるから、トランジスターT2がオフされて、制御IC80のLatch端子とグランドとを切断する。上述したように、制御IC80は、VH端子から入力された電圧を用いてLatch端子に所定の電圧を印可するよう構成したから、トランジスターT1がオンされる場合には、Latch端子にはローレベルの信号ではなく所定の電圧としてのハイレベルの信号が入力されることになる。
【0022】
次に、こうして構成された本実施形態の電源制御装置10の動作、特に、商用電源に接続された状態でプリンターPの電源がオフされている場合の動作とオンされている場合の動作について説明する。まず、電源がオフされている場合について説明する。電源がオフされている場合、検出部90aでは、電源ボタンBが押し戻されることに伴って磁石92が押し戻し側の位置にあるため、磁気スイッチ94は電力ライン96,98を切断する。このとき、信号出力回路90bでは、電力ライン96,98の切断によりトランジスターT1がオフされるためトランジスターT2がオンされて、制御IC80のLatch端子とグランドとを接続する。これにより、Latch端子にはローレベルの信号が入力されるから、制御IC80は、OUT端子からの出力を禁止する。即ち、スイッチング回路40(スイッチング素子Q1)のスイッチング動作が行なわれることがないから、2次側に電力が供給されることもない。
【0023】
続いて電源がオンされている場合について説明する。電源がオンされている場合、検出部90aでは、電源ボタンBが押し込まれることに伴って磁石92が押し込み側の位置にあるため、磁気スイッチ94は電力ライン96,98を接続する。このとき、信号出力回路90bでは、電力ライン96,98の接続によりトランジスターT1がオンされるためトランジスターT2がオフされて、制御IC80のLatch端子とグランドとを切断する。これにより、Latch端子にはハイレベルの信号が入力されるから、制御IC80は、OUT端子からの出力の禁止を解除する。即ち、スイッチング用の制御信号をOUT端子から出力してスイッチング回路40のスイッチング動作を行なって、必要な電力を2次側に供給することができる。これらのことから、プリンターPの電源がオンされる前は2次側への電力の供給を停止して電力消費を抑えることができ、2次側への電力の供給を停止していてもLatch端子に入力される信号がローレベルからハイレベルに変化することによりプリンターPの電源がオンされたことを検出することができる。また、このような電源制御装置10においては、1次側と2次側との電気的な絶縁が要求されるが、1次側の回路に組み込まれた信号出力回路90bに接続される磁気スイッチ94と、2次側の電源ボタンBに取り付けられた磁石92とを電気的な絶縁に必要な所定の間隔をもって配置するものとしたから、そのような要求も満たすことができる。この結果、プリンターPの電源がオンされる前の電力消費を抑えつつ電源オンを適切に検出することができる。
【0024】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の第1の整流回路30が本発明の「第1の整流回路」に相当し、スイッチング回路40が「直流交流変換回路」に相当し、トランス50が「トランス」に相当し、第2の整流回路60が「第2の整流回路」に相当し、検出部90aの磁石92が「操作連動部」に相当し、検出部90aの磁気スイッチ94と信号出力回路90bとが「信号出力部」に相当し、制御IC80が「集積回路」に相当する。また、「信号出力部」のうち、トランジスターT1,T2が「第1のスイッチ」に相当し、磁気スイッチ94が「第2のスイッチ」に相当する。
【0025】
以上詳述した本実施形態の電源制御装置10によれば、プリンターPに組み込まれる検出部90aの磁石92がプリンターPの電源ボタンBのオンオフ操作に連動して作動し、磁石92に対向して配置される磁気スイッチ94と信号出力回路90bとにより磁石92の作動に応じてローレベルの信号またはハイレベルの信号を出力し、制御IC80はLatch端子にハイレベルの信号が入力される場合にはOUT端子からスイッチング回路40へのスイッチング用の制御信号を出力しLatch端子にローレベルの信号が入力される場合にはOUT端子からの制御信号の出力を禁止するから、プリンターPの電源がオンされる前の2次側への電力の供給を停止して無駄な電力消費を抑えつつ電源オンを検出することができる。また、磁石92と磁気スイッチ94とは電気的に絶縁できるよう配置したため、適切に電源オンを検出することができる。
【0026】
なお、本発明は上述した実施態様に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0027】
上述した実施形態では、オンオフ操作検出部90のうち信号出力回路90bをACアダプター20に組み込むものとしたが、これに限られず、信号出力回路90bを検出部90aと共にプリンターPに組み込むものとしてもよい。
【0028】
本実施形態では、Latch端子にローレベルの信号が入力される場合にOUT端子からの出力を禁止してハイレベルの信号が入力される場合にOUT端子からの出力の禁止を解除するよう制御IC80を回路構成するものとしたが、これに限られず、ハイレベルの信号が入力される場合にOUT端子からの出力を禁止してローレベルの信号が入力される場合にOUT端子からの出力の禁止を解除するよう回路構成するものとしてもよい。この場合、プリンターPの電源がオフの場合にLatch端子とグランドとを切断し、プリンターPの電源がオンの場合にLatch端子とグランドとを接続するよう信号出力回路90bを構成するものとしてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、検出部90aにおいて磁力の反発力により磁気スイッチ94を作動させるものとしたが、これに限られず、磁力の吸引力により磁気スイッチ94を作動させるものなどとしてもよい。
【0030】
上述した実施形態では、検出部90aを磁石92と磁気スイッチ94との組み合わせにより構成するものとしたが、これに限られず、絶縁された状態で電源ボタンBの操作を検出することができるものであれば如何なる構成としてもよく、例えば遮断板とフォトカプラーとを組み合わせた構成としたり、磁石とコイルとを組み合わせて誘起電流を用いた構成としたりすることができる。それらの変形例のうち、遮断板とフォトカプラーとを組み合わせた構成とした場合について説明する。図2は、変形例の電源制御装置10Aの回路構成を示す回路図である。なお、図2においては、図1と同じ構成については同一の符号を付してその説明を省略する。図示するように、オンオフ操作検出部100は、電源ボタンBの裏面に取り付けられた遮断板102と、この遮断板102を挟んで発光素子としてのフォトダイオード104aと受光素子としてのフォトトランジスター104bとが配置されるフォトカプラー104とからなる。なお、回路上2次側となる電源ボタンBに取り付けられた遮断板102と1次側となるフォトダイオード104およびフォトトランジスター104bとは電気的な絶縁が要求されるため、これらを絶縁に必要な所定の間隔をもって配置するものとした。このフォトカプラー104は、フォトダイオード104aが第1の整流回路30の出力側に接続された抵抗R6に電力ライン108を介して接続されると共にグランドに接地された電力ライン107に接続され、フォトトランジスター104bが制御IC80のLatch端子に電力ライン106を介して接続されると共にフォトダイオード104aと電力ライン107との接続点に接続されている。遮断板102は、プリンターPのオン操作により電源ボタンBが押し込まれるのに伴って押し込み方向側の位置に移動してフォトダイオード104aからフォトトランジスター104bへの発光を遮断する。また、オフ操作により電源ボタンBが押し戻されるのに伴って押し戻し側の位置に移動してフォトダイオード104aからフォトトランジスター104bへの発光の遮断を解除する。このため、プリンターPの電源がオフされている場合には、フォトダイオード104aからの発光を受光したフォトトランジスター104bが電力ライン106,107を接続し、制御IC80のLatch端子とグランドとを接続する。これにより、Latch端子にはローレベルの信号が入力されるから、OUT端子からの出力が禁止される。一方、電源がオンされている場合には、フォトダイオード104aからの発光が遮断されたフォトトランジスター104bが電力ライン106,107を遮断し、制御IC80のLatch端子とグランドとを切断する。これにより、Latch端子にはハイレベルの信号が入力されるため、OUT端子からの出力の禁止が解除される。これらのことから、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0031】
本実施形態では、OUT端子からの出力可否をLatch端子に入力される信号に基づいて定めるものとしたが、これに限られず、Latch端子以外の他の端子に入力される信号に基づいて出力可否を定めるよう回路を構成するものとしてもよい。この場合、他の端子としては、例えば、FB端子などを用いるものとしてよい。
【0032】
本実施形態では、本発明をプリンターPへの電力供給を制御する電源制御装置10に適用して説明したが、これに限られず、ACアダプターからの電力により作動すると共に電源ボタンやスイッチなどのオンオフ操作により電源が投入される機器であれば、携帯型のパーソナルコンピューターやビデオカメラ,音楽再生機,携帯情報端末などの他の如何なる電気機器に適用するものとしても構わない。
【符号の説明】
【0033】
10,10A 電源制御装置、20,20A ACアダプター、30 第1の整流回路、32 ダイオードブリッジ、40 スイッチング回路、50 トランス、52 1次巻線、54 2次巻線、56 補助巻線、60 第2の整流回路、70 定電圧制御用回路、75 フォトカプラー、75a フォトダイオード、75b フォトトランジスター、80 制御IC、90,100 ボタン操作検出部、90a 検出部、90b 信号出力回路、92 磁石、94 磁気スイッチ、94a 磁石、96,98,106,107,108 電力ライン、102 遮断板、104 フォトカプラー、104a フォトダイオード、104b フォトトランジスター、B 電源ボタン、C1,C2,C3 平滑コンデンサー、D1,D2 ダイオード、L 負荷、P プリンター、Q1 スイッチング素子(MOS型FET)、R1,R2,R3,R4,R5,R6 抵抗、T1,T2 トランジスター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源を所定の直流電圧に変換して電気機器に供給する電源制御装置であって、
商用電源を整流して直流電圧を出力する第1の整流回路と、
該出力された直流電圧をスイッチング素子のスイッチングにより交流電圧に変換する直流交流変換回路と、
該変換された交流電圧を変圧するトランスと、
該変圧された交流電圧を整流して前記所定の直流電圧を出力する第2の整流回路と、
前記電気機器に組み込まれ、ユーザーによる該電気機器の電源スイッチのオンオフ操作に連動して機械的に作動する操作連動部と、
前記操作連動部の作動に応じて前記電源スイッチがオンされることを示すオン信号かオフされることを示すオフ信号かのいずれかを前記第1の整流回路からの直流電圧を用いて出力する信号出力部と、
前記直流交流変換回路のスイッチング素子にスイッチング制御信号を出力可能な出力端子と、前記信号出力部から出力された信号を入力可能な入力端子とを有し、該入力端子に前記オン信号が入力される場合には前記出力端子から前記スイッチング制御信号を出力し、前記入力端子に前記オフ信号が入力される場合には前記出力端子からの前記スイッチング制御信号の出力を停止する集積回路と
を備える電源制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源制御装置であって、
前記集積回路は、前記入力端子に所定の電圧を作用させる回路であり、
前記信号出力部は、前記集積回路の入力端子とグランドとの接続と切断とを切り替える半導体スイッチとしての第1のスイッチと、前記電気機器に組み込まれ前記第1の整流回路からの直流電圧を前記第1のスイッチへのスイッチ切替信号として出力するか否かを切り替える第2のスイッチとからなる部であり、
前記操作連動部は、前記電源スイッチのオンオフ操作に連動して前記第2のスイッチを作動させる部である
電源制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の電源制御装置であって、
前記第2のスイッチは、磁力により作動して前記第1のスイッチへのスイッチ切替信号を出力するか否かを切り替える磁気スイッチであり、
前記操作連動部は、前記電源スイッチのオンオフ操作に連動して前記磁気スイッチに接近または離間する磁石部材である
電源制御装置。
【請求項4】
請求項1記載の電源制御装置であって、
前記集積回路は、前記入力端子に所定の電圧を作用させる回路であり、
前記信号出力部は、前記第1の整流回路からの直流電圧を受けて発光する発光素子と、前記集積回路の入力端子とグランドとの接続と切断とを受光の有無に基づくスイッチング動作により切り替える受光素子とが前記電気機器に組み込まれてなる部であり、
前記操作連動部は、前記電源のオンオフ操作に連動して前記発光素子から前記受光素子への発光の遮断と該遮断の解除とが可能な遮断部材である
電源制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−199964(P2011−199964A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61886(P2010−61886)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】