説明

電源回路

【課題】供給電流量が小さい電動膨張弁の駆動用の電源回路を提供する。
【解決手段】電動膨張弁3を駆動するための電源回路20は、駆動用電源回路21と、蓄電装置22と、第1スイッチ23と、第2スイッチ24と、これらスイッチを制御する制御回路25とを備えている。制御回路25は、電動膨張弁3が駆動する駆動期間においては、第1スイッチ23により駆動用電源回路21と蓄電装置22との間を非接続状態にするとともに第2スイッチ24により蓄電装置22と電動膨張弁3との間を接続状態にして電動膨張弁3に電力を供給する。一方、電動膨張弁3が駆動しない非駆動期間においては、第1スイッチ23により駆動用電源回路21と蓄電装置22との間を接続状態にするとともに第2スイッチ24により蓄電装置22と電動膨張弁3との間を非接続状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に設けられた断続的に駆動する電動膨張弁に対して電力を供給する電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の電動膨張弁を駆動させるための電源回路として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。すなわち、図4に示すように、電源回路120の電力線が直接電動膨張弁のコイル141に接続されている。電動膨張弁を駆動する際には、電動膨張弁のコイル141と接地線とを接続状態および非接続状態の間で切り換えることにより、コイル141に流す電流を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−81975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電源回路は、この電源回路に接続される各種の電子部品の駆動電圧および電流量を考慮して設計される。例えば、電源回路の供給電流量は、電源回路に接続されている電子部品のうち最も電流量が大きい電子部品が電力供給不足により動作しなくなることのないように、電源回路の供給電流量が設定されている。
【0005】
一方、電源回路の供給電流量を小さくしたいという要求がある。電源回路の供給電流量を従来よりも小さくすることができれば、電源回路の構成部品として、許容電流量の小さい電子部品すなわち小型の電子部品を用いることができ、その分、電源回路を小さくすることができるためである。しかし、電動膨張弁用の電源回路は、電動膨張弁を駆動させるために必要な電流量以上の電流供給能力を備える必要があるため、電源回路の供給電力量を小さくすることは困難である。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、供給電流量が小さい電動膨張弁の駆動用の電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、空気調和機に設けられ、断続的に駆動する電動膨張弁について、この電動膨張弁に対して電力を供給する電源回路において、前記電動膨張弁を駆動する電力を形成する駆動用電源回路と、前記駆動用電源回路からの電力供給により充電するともに放電により前記電動膨張弁に電力供給する蓄電装置と、前記駆動用電源回路と前記蓄電装置との間を接続状態および非接続状態に切り換える第1スイッチと、前記蓄電装置と前記電動膨張弁の間を接続状態および非接続状態に切り換える第2スイッチと、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御回路とを備え、前記蓄電装置の容量は、前記電動膨張弁を1回駆動させるために必要な電力に相当する大きさ以上であり、前記制御回路は、前記電動膨張弁を駆動する駆動期間において、前記第1スイッチにより前記駆動用電源回路と前記蓄電装置との間を非接続状態にするとともに前記第2スイッチにより前記蓄電装置と前記電動膨張弁との間を接続状態にして前記電動膨張弁に電力供給し、前記電動膨張弁を駆動しない非駆動期間においては、前記第1スイッチにより前記駆動用電源回路と前記蓄電装置との間を接続状態にするとともに前記第2スイッチにより前記蓄電装置と前記電動膨張弁との間を非接続状態にすることを要旨としている。
【0008】
従来の電源回路では、供給電流量は、電動膨張弁の駆動に必要な電流量以上の大きさとされている。これにより電動膨張弁を確実に駆動させる。しかし、電動膨張弁が駆動していない期間は、電動膨張弁により電流が消費されないため、電源回路の電力供給能力に余裕が生じる。この点を鑑み、上記発明では、電動膨張弁が駆動しない非駆動期間は、上記2つのスイッチを上記構成のように制御することにより、駆動用電源回路からの電力供給により蓄電装置を充電する。一方、電動膨張弁が駆動する駆動期間は、上記2つのスイッチを上記構成のように制御することにより、蓄電装置の放電により電動膨張弁に電力を供給する。すなわち、駆動用電源回路により電動膨張弁に電力を供給せず、蓄電装置により電動膨張弁に電力を供給する構成としているため、電源回路の供給電流量を電動膨張弁の電流量よりも小さくすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電源回路において、前記第2スイッチはトランジスタにより構成され、前記トランジスタのコレクタ許容電流量は、前記電動膨張弁を駆動させるために必要な電流量よりも大きいことを要旨としている。
【0010】
この発明によれば、コレクタ許容電流量が電動膨張弁を駆動させるために必要な電流量よりも大きいトランジスタにより第2スイッチが構成されているため、蓄電装置からの放電量を、電動膨張弁を駆動させるために必要な電流量相当の大きさにすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電源回路において、前記制御回路は、前記電動膨張弁の駆動前に、前記第1スイッチにより前記駆動用電源回路と前記蓄電装置との間を非接続状態にするとともに、前記第2スイッチにより前記蓄電装置と前記電動膨張弁との間を接続状態にすることを要旨としている。
【0012】
電動膨張弁の駆動時に、第1スイッチと第2スイッチを操作するとき、蓄電装置からの放電量が所定量まで立ち上がるまでに時間を要することに起因して、電動膨張弁に十分な電流が供給されないおそれがある。この点、この発明によれば、電動膨張弁の駆動前に、第1スイッチと第2スイッチとを上記のようの操作するため、電動膨張弁の駆動開始時点において電力供給不足により電動膨張弁の始動が遅れることを抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電源回路において、前記電動膨張弁の電力供給線には電源電圧が印加されていることを要旨としている。この発明によれば、蓄電装置の放電時に、電圧が維持されるため、より確実に電動膨張弁を駆動させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電源回路において、前記蓄電装置はコンデンサであることを要旨としている。
蓄電装置はコンデンサで構成されるため、蓄電装置を2次電池により構成する場合と比べて、電源回路の構成を簡単なものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電動膨張弁を駆動する駆動期間において、第1スイッチにより駆動用電源回路と蓄電装置との間を非接続状態にするとともに第2スイッチにより蓄電装置と電動膨張弁との間を接続状態にして電動膨張弁に電力供給する。一方、電動膨張弁を駆動しない非駆動期間においては、第1スイッチにより駆動用電源回路と蓄電装置との間を接続状態にするとともに第2スイッチにより蓄電装置と電動膨張弁との間を非接続状態にする。これにより、供給電流量が小さい電動膨張弁の駆動用の電源回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の空気調和機についてその全体構成を示す全体図。
【図2】同実施形態の電動膨張弁の電源回路について、その構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態の電源回路について、電動膨張弁の駆動期間と第1スイッチと第2スイッチとの駆動時期との関係を示すタイミングチャート。
【図4】従来の電源回路について、その構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1を参照して、本実施形態の電源回路を備える空気調和機の構成を示す。
空気調和機1は、室内に設けられる室内熱交換器2と、冷媒を膨張させるための電動膨張弁3と、室外に設けられる室外熱交換器4と、冷媒を圧縮する圧縮機5と、冷媒の流れの方向を切り換える四路切換弁6と、電動膨張弁3等を制御する制御装置10とを備えている。室外熱交換器4は、冷房運転時には凝縮器として機能するとともに、暖房運転時には蒸発器として機能する。室内熱交換器2は、冷房運転時には蒸発器として機能するとともに、暖房運転時には凝縮器として機能する。
【0018】
室外熱交換器4には、暖房運転における低圧側の飽和冷媒温度を検出するための第1温度センサ11が設けられている。第1温度センサ11は室外熱交換器4が蒸発器として動作するときの入口側に設けられている。以下の説明においては、第1温度センサ11により検出される値を第1温度TEAとする。
【0019】
室内熱交換器2には、冷房運転における低圧側の飽和冷媒温度を検出するための第2温度センサ12が設けられている。第2温度センサ12は、室内熱交換器2が蒸発器として動作するときの入口側に設けられている。以下の説明においては、第2温度センサ12により検出される値を第2温度TEBとする。
【0020】
四路切換弁6は、冷房運転時に、圧縮機5の出口を室外熱交換器4側に流路に接続するとともに圧縮機5の入口を室内熱交換器2側に流路に接続する。暖房運転時には、圧縮機5の出口を室内熱交換器2側に流路に接続するとともに圧縮機5の入口を室外熱交換器4側に流路に接続する。これにより、室外熱交換器4および室外熱交換器4の機能を反転させる。
【0021】
圧縮機5は冷媒を圧縮する。圧縮機5には、冷媒の吸入側に冷媒温度を検出する第3温度センサ13が設けられている。以降、第3温度センサ13により検出される値を第3温度TECとする。第1温度センサ11および第2温度センサ12および第3温度センサ13は上記制御装置10に接続されている。
【0022】
制御装置10は、暖房運転時に、第1温度TEAと第3温度TECとに基づいて暖房運転時の過熱度を算出する。また、制御装置10は、冷房運転時に、第2温度TEBと第3温度TECとに基づいて冷房運転時の過熱度を算出する。そして、各運転時の過熱度に基づいて吸入ガス冷媒の目標温度が設定されるとともに、各運転時に吸入ガス冷媒の温度が目標温度となるように、電動膨張弁3の開度が制御される。
【0023】
電動膨張弁3は、冷媒の流路に設けられる弁体と、弁体が嵌り込む弁座と、弁体を移動させるステッピングモータ40とを備えている。ステッピングモータ40は、4個のコイル41を備えるステータと、ステータに対して軸方向に移動するロータとを備えている。なお、弁体は、ロータの先端に連結されている。ステッピングモータ40は、制御装置10のPID制御に基づいて駆動される。
【0024】
図2を参照して、電動膨張弁3を動作させるための電源回路20について説明する。
電源回路20は、商用電源の交流電源を整流して電圧電源を形成する駆動用電源回路21と、駆動用電源回路21からの電力供給により充電する蓄電装置22と、第1スイッチ23と、第2スイッチ24と、第1スイッチ23および第2スイッチ24を制御する制御回路25とを備えている。なお、制御回路25は、上記制御装置10内に含まれている。
【0025】
駆動用電源回路21は、電動膨張弁3およびその他の電装部品30(負荷)を動作させるための電源電圧VCCを形成する。具体的には、電源電圧VCCは、電動膨張弁3の動作電圧範囲内の値をとる。駆動用電源回路21の供給電流量は、電動膨張弁3の最大消費電流量よりも小さい。なお、この供給電流量は、電源回路20の供給電流量と同じ値になっている。
【0026】
駆動用電源回路21を構成する電子部品は、駆動用電源回路21の供給電流量に応じて選択される。例えば、レギュレータとしては、従来構造の駆動用電源回路21で採用されているものに比べて、最大出力電流の小さいものが採用されている。また、パワートランジシタとしては、従来構造の駆動用電源回路21で採用されているものに比べて、コレクタ許容電流量の小さいものが採用されている。このような構成により、従来構造の駆動用電源回路21に比べて、駆動用電源回路21が小さくなる。上記従来構成の駆動用電源回路21とは、駆動用電源回路21の供給電流量を電動膨張弁3の最大消費電流量よりも大きく設定した回路を示す。
【0027】
第1スイッチ23は、コレクタ許容電流量が、電動膨張弁3の最大消費電流量よりも小さくかつ駆動用電源回路21の供給電流量よりも大きいトランジスタにより、構成されている。一方、第2スイッチ24は、電動膨張弁3の最大消費電流量よりも大きいコレクタ許容電流量を有するトランジスタにより構成されている。
【0028】
第1スイッチ23および第2スイッチ24は次のように動作する。
第1スイッチ23は、駆動用電源回路21と蓄電装置22との間を接続状態および非接続状態に切り換える。すなわち、第1スイッチ23が閉状態のとき駆動用電源回路21と蓄電装置22との間を接続状態とする。第1スイッチ23が開状態のとき駆動用電源回路21と蓄電装置22との間を非接続状態とする。
【0029】
第2スイッチ24は、蓄電装置22と電動膨張弁3の間を接続状態および非接続状態に切り換える。すなわち、第2スイッチ24が閉状態のとき蓄電装置22と電動膨張弁3との間を接続状態とする。第2スイッチ24が開状態のとき蓄電装置22と電動膨張弁3の間を非接続状態とする。
【0030】
ステッピングモータ40には、ステータの各コイル41に電流を流すためのモータ駆動回路43が接続されている。モータ駆動回路43には、各コイル41とグランドとの間を接続状態および非接続状態とに切り換える内部スイッチが設けられている。内部スイッチは、制御装置10から出力される駆動信号に基づいて駆動される。この駆動信号は、上記PID制御に基づいて形成されるものである。
【0031】
ステッピングモータ40は第2スイッチ24を介して蓄電装置22に接続されている。すなわち、ステッピングモータ40は蓄電装置22からの供給電力により動作する。なお、ステッピングモータ40の電力供給線42には電源電圧VCCが印加されている。これにより、下記に示すように第1スイッチ23が開状態となるとともに第2スイッチ24が閉状態となったとき、コンデンサの電位が維持される。
【0032】
第1スイッチ23および第2スイッチ24は次のように制御される。
電動膨張弁3を駆動しない期間は、第1スイッチ23が閉状態されるとともに第2スイッチ24が開状態される。すなわち、駆動用電源回路21と蓄電装置22とが接続状態にされるとともに、蓄電装置22と電動膨張弁3とが非接続状態にされる。これにより、蓄電池が充電される。
【0033】
一方、電動膨張弁3が駆動する期間は、第1スイッチ23が開状態にされるとともに第2スイッチ24が閉状態にされる。すなわち、駆動用電源回路21と蓄電装置22とが非接続状態にされるとともに、蓄電装置22と電動膨張弁3とが接続状態にされる。これにより、蓄電池が放電する。
【0034】
制御装置10は、電動膨張弁3を駆動するための駆動信号を出力する。駆動信号はモータ駆動回路43に入力される。モータ駆動回路43は、駆動信号に基づいて各コイル41に接続されている内部スイッチを駆動し、これにより電動膨張弁3の弁体を移動させる。
【0035】
蓄電装置22は、コンデンサおよび抵抗(図示省略)により構成されている。蓄電装置22としては、電動膨張弁3を1回動作させるために必要な電力量以上の電力を充電することのできるものが採用されている。電動膨張弁3の1回の動作とは、最小の開度から最大の開度に弁体を駆動するときに消費される電力量と、コイル41に電流を流したときから弁体が実際に動きだすまでに消費される電力量と、弁体を移動させるときに電力量不足にならないように設定されている補正電力量との総和として与えられる。
【0036】
次に、空気調和機1の動作を説明する。
冷房運転時には、室外熱交換器4で凝縮液化された冷媒が電動膨張弁3で減圧された後、室内熱交換器2で蒸発し、圧縮機5に戻る。一方、暖房運転時には、室内熱交換器2で凝縮液化された冷媒が電動膨張弁3で減圧された後、室外熱交換器4で蒸発して圧縮機5に戻る。電動膨張弁3の開度調整は、上記したように第1温度TEAおよび第2温度TEBおよび第3温度TECに基づいて行われる。この開度調整は周期的に実行される。例えば、20秒に1回実行される。また電動膨張弁3の開度調整は0.1秒以内で行われる。
【0037】
図3を参照して、電動膨張弁3の駆動時期と第1スイッチ23と第2スイッチ24との駆動時期との関係を説明する。
時刻t1、すなわち電動膨張弁3の駆動時期よりも所定期間TA前の時期、第1スイッチ23が開状態にされるとともに第2スイッチ24が閉状態にされる。これにより、蓄電装置22の放電が開始される。
【0038】
時刻t2、すなわち電動膨張弁3を駆動するとき制御装置10からモータ駆動回路43に駆動信号が出力される。これにより、電動膨張弁3の所定のコイル41に電流が流れ、弁体が移動する。蓄電装置22からコイル41に電流が流れるため、蓄電装置22の電位が低下する。
【0039】
時刻t3、すなわち駆動信号の出力が停止されたとき、電動膨張弁3のコイル41に電流が流れなくなり、弁体が止まる。蓄電装置22から放電が停止するため、蓄電装置22の電位の低下が停止する。
【0040】
時刻t4、すなわち電動膨張弁3の駆動時期よりも所定期間TB経過したとき、第1スイッチ23が閉状態にされるとともに第2スイッチ24が開状態にされる。これにより、蓄電装置22の充電が開始される。
【0041】
時刻t5、すなわち第1スイッチ23が閉状態にされるとともに第2スイッチ24が開状態にされたときから所定期間経過したとき、蓄電装置22の充電が完了し、蓄電装置22の電位が駆動用電源回路21の電源電圧VCCに対応する電位になる。
【0042】
すなわち、電動膨張弁3が駆動する期間、すなわち第1スイッチ23が開状態にされるとともに第2スイッチ24が閉状態にされた時期から第1スイッチ23が閉状態にされるとともに第2スイッチ24が開状態にされる時期までの期間は、電動膨張弁3の駆動期間TCとして、電動膨張弁3と蓄電装置22との間が接続状態にされる。
【0043】
一方、電動膨張弁3の駆動期間TC以外の期間は、すなわち第1スイッチ23が閉状態にされるとともに第2スイッチ24が開状態にされた時期から第1スイッチ23が開状態にされるとともに第2スイッチ24が閉状態にされる時期までの期間は、電動膨張弁3の非駆動期間TDとして、電動膨張弁3と蓄電装置22との間が非接続状態にされる。なお、電動膨張弁3の非駆動期間TDは、蓄電装置22の充電が完了するまでに要する最大時間よりも十分長い時間に設定されている。
【0044】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、制御回路25は、電動膨張弁3の駆動期間TCにおいて、第1スイッチ23を開状態にして駆動用電源回路21と蓄電装置22との間を非接続状態にするとともに、第2スイッチ24を閉状態にして蓄電装置22と電動膨張弁3との間を接続状態にし、電動膨張弁3に電力供給する。一方、電動膨張弁3の非駆動期間TDにおいては、第1スイッチ23を閉状態にして駆動用電源回路21と蓄電装置22との間を接続状態にするとともに、第2スイッチ24を開状態にして蓄電装置22と電動膨張弁3との間を非接続状態にする。
【0045】
この構成によれば、電動膨張弁3が駆動しない非駆動期間TDは、第1スイッチ23および第2スイッチ24を上記構成のように制御することにより、駆動用電源回路21からの電力供給により蓄電装置22を充電する。一方、電動膨張弁3が駆動する駆動期間TCは、第1スイッチ23および第2スイッチ24を上記構成のように制御することにより、蓄電装置22の放電により電動膨張弁3に電力を供給する。これにより、駆動用電源回路21の供給電流量を電動膨張弁3の電流量よりも小さくすることができる。また、従来構造の電源回路20に用いられていた電子部品よりも電流についての最大定格が小さい部品を用いて電源回路20を構成することができるため、電源回路20を小型にすることができる。
【0046】
(2)上記実施形態では、第2スイッチ24を構成するトランジスタのコレクタ許容電流量は、電動膨張弁3を駆動させるために必要な電流量よりも大きい。この構成によれば、蓄電装置22からの放電量を、電動膨張弁3を駆動させるために必要な電流量相当の大きさにすることができる。これにより、第2スイッチ24が過熱することを抑制するとともに電力不足に起因する電動膨張弁3の駆動停止が生じることを抑制することができる。
【0047】
(3)上記実施形態では、制御回路25は、電動膨張弁3の駆動前に、第1スイッチ23により駆動用電源回路21と蓄電装置22との間を非接続状態にするとともに、第2スイッチ24により蓄電装置22と電動膨張弁3との間を接続状態にする。この構成によれば、電動膨張弁3の駆動開始時点において電力供給不足により電動膨張弁3の始動が遅れることを抑制することができる。
【0048】
(4)上記実施形態では、電動膨張弁3の電力供給線42には電源電圧VCCが印加されている。この構成によれば、蓄電装置22の放電時に電圧が維持されるため、より確実に電動膨張弁3を駆動させることができる。
【0049】
(5)上記実施形態では、蓄電装置22をコンデンサにより構成する。これにより、蓄電装置22を2次電池により構成する場合と比べて、電源回路20の構成を簡単なものとすることができる。
【0050】
(変形例)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0051】
・上記実施形態では、電源回路20の蓄電装置22をコンデンサにより構成しているが、2次電池により構成することもできる。この構成によれば、蓄電量を増大することができる。
【0052】
・上記実施形態では、第1スイッチ23および第2スイッチ24はトランジスタにより構成されているが、第1スイッチ23および第2スイッチ24を電磁開閉器により構成することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1…空気調和機、2…室内熱交換器、3…電動膨張弁、4…室外熱交換器、5…圧縮機、6…四路切換弁、10…制御装置、11…第1温度センサ、12…第2温度センサ、13…第3温度センサ、20…電源回路、21…駆動用電源回路、22…蓄電装置、23…第1スイッチ、24…第2スイッチ、25…制御回路、30…電装部品、40…ステッピングモータ、41…コイル、42…電力供給線、43…モータ駆動装置、120…電源回路、141…コイル、140…モータ、150…電装部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機に設けられ、断続的に駆動する電動膨張弁(3)について、この電動膨張弁に対して電力を供給する電源回路(20)において、
前記電動膨張弁(3)を駆動する電力を形成する駆動用電源回路(21)と、前記駆動用電源回路(21)からの電力供給により充電するともに放電により前記電動膨張弁(3)に電力供給する蓄電装置(22)と、前記駆動用電源回路(21)と前記蓄電装置(22)との間を接続状態および非接続状態に切り換える第1スイッチ(23)と、前記蓄電装置(22)と前記電動膨張弁(3)の間を接続状態および非接続状態に切り換える第2スイッチ(24)と、前記第1スイッチ(23)および前記第2スイッチ(24)を制御する制御回路(25)とを備え、前記蓄電装置(22)の容量は、前記電動膨張弁(3)を1回駆動させるために必要な電力に相当する大きさ以上であり、
前記制御回路(25)は、前記電動膨張弁(3)を駆動する駆動期間において、前記第1スイッチ(23)により前記駆動用電源回路(21)と前記蓄電装置(22)との間を非接続状態にするとともに前記第2スイッチ(24)により前記蓄電装置(22)と前記電動膨張弁(3)との間を接続状態にして前記電動膨張弁(3)に電力供給し、
前記電動膨張弁(3)を駆動しない非駆動期間においては、前記第1スイッチ(23)により前記駆動用電源回路(21)と前記蓄電装置(22)との間を接続状態にするとともに前記第2スイッチ(24)により前記蓄電装置(22)と前記電動膨張弁との間を非接続状態にする
ことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電源回路において、
前記第2スイッチ(24)はトランジスタにより構成され、
前記トランジスタのコレクタ許容電流量は、前記電動膨張弁(3)を駆動させるために必要な電流量よりも大きい
ことを特徴とする電源回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源回路において、
前記制御回路(25)は、前記電動膨張弁(3)の駆動前に、前記第1スイッチ(23)により前記駆動用電源回路(21)と前記蓄電装置(22)との間を非接続状態にするとともに、前記第2スイッチ(24)により前記蓄電装置(22)と前記電動膨張弁(3)との間を接続状態にする
ことを特徴とする電源回路。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電源回路において、
前記電動膨張弁(3)の電力供給線(42)には電源電圧が印加されている
ことを特徴とする電源回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電源回路において、
前記蓄電装置(22)はコンデンサである
ことを特徴とする電源回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−172719(P2012−172719A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33261(P2011−33261)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】