説明

電源検出回路

【課題】外付け逆流防止用ダイオードを必要とせずに、電源が抜けた時の誤検出を防止する電源検出回路の提供を目的とする。
【解決手段】電源と充電電流又は充電電圧を制御するPMOSトランジスタ間に内蔵の逆流防止スイッチを設けることで、電源が抜けて充電電流が設定電流以下に減少した時に、発振回路を用いて逆流防止スイッチを一定周期で一定時間オフさせる構成とする。逆流防止スイッチがオフしている間は2次電池からの逆流がなくなり、電源端子の電圧が低下し、電源が抜けたことを検出するため、電源とPMOSトランジスタ間に外付け逆流防止用ダイオードを挿入することなく、電源が脱けた時の誤検出を防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充電機能を備えた携帯電子機器に搭載され、ACアダプタやUSB等の電源の脱着を検出する電源検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2次電池を充電する機能を備えた携帯電子機器では、2次電池への充電動作中にACアダプタ等の電源が抜かれた場合に直ちに充電動作を停止させるため、電源検出回路を用いて電源電圧を検出する必要がある。しかし、2次電池から電源端子への逆流電流が発生すると電源が抜かれたにも関わらず、電源検出回路が2次電池の電圧を検出してしまうため、電源が抜けていないと誤認識してしまう。図4は、充電動作中にACアダプタ等の電源が抜かれると同時に、電源端子には2次電池の電圧が出力されてしまうため、電源検出回路は電源が抜けていないと誤認識してしまう場合の構成図であり、図5はその動作波形である。図4において16は2次電池、17は充電電流検出用の抵抗、18は充電電流又は充電電圧を制御するPMOSトランジスタ、19は充電電流又は充電電圧を設定値にするためPMOSトランジスタ18を制御する制御回路、20は充電電流を検出する電流検出回路、21は2次電池の電圧(m)を検出する電圧検出回路、22はアダプタ検出回路23や電圧検出回路21の情報から制御回路19のオン・オフを制御する充電制御回路、23はACアダプタの出力を入力される電源端子DCINの電圧(l)を所定値と比較することによって脱着を検出するアダプタ検出回路、24はACアダプタである。
【0003】
図5は図4の(l)〜(q)に示す各部動作波形である。図4、図5を参照しながら以下にその動作を説明する。
【0004】
図5において、当初はACアダプタ24から2次電池16への充電動作状態であったが、タイミング(5)でACアダプタ24が抜かれてしまった場合について説明する。その瞬間、2次電池16からPMOSトランジスタ18を通してアダプタ検出回路23に逆流電流が発生する。電源端子DCINの電圧(l)は2次電池16の出力電圧(m)まで低下するが、アダプタ検出回路23の検出レベルがそれ以下の場合はアダプタ検出回路23の出力(o)はHighを維持する。そのため、充電制御回路19の出力(p)もHighを維持し、制御回路19の出力(q)はPMOSトランジスタ18をオン状態に維持する。その結果、ACアダプタ24が抜かれたにも関わらず、充電動作を継続してしまう。
【0005】
このような逆流電流を防ぐための従来の技術の一つとしては、電源と2次電池間に逆流防止用ダイオードを挿入する手段がある。電源と2次電池間に逆流防止用ダイオードを挿入した場合の2次電池への充電動作としては特許文献1に記載のものが知られている。図6は、電源と2次電池間に逆流防止用ダイオードを挿入した場合の構成図であり、図7はその動作波形である。図6において25は2次電池、26は充電電流検出用の抵抗、27は充電電流又は充電電圧を制御するPMOSトランジスタ、28は充電電流又は充電電圧を設定値にするためPMOSトランジスタ27を制御する制御回路、29は充電電流を検出する電流検出回路、30は2次電池の電圧を検出する電圧検出回路、31はアダプタ検出回路32や電圧検出回路30の情報から制御回路28のオン・オフを制御する充電制御回路、32はACアダプタの出力を入力される電源端子DCINの電圧(l)を所定値と比較することによって脱着を検出するアダプタ検出回路、33はACアダプタ、34は逆流防止用ダイオードである。
【0006】
図7は図6の(r)〜(w)に示す各部動作波形である。図6、図7を参照しながら以下にその動作を説明する。
【0007】
図7において、当初はACアダプタから2次電池への充電動作状態であったが、タイミング(6)でACアダプタ33が抜かれてしまった場合について説明する。逆流防止用ダイオード34があるため、2次電池25からアダプタ検出回路32への逆流電流が発生しないので、アダプタ検出回路32で消費される電流により、電源端子DCINの電圧(r)は低下する。タイミング(7)にて電源端子DCINの電圧(r)が検出電圧以下に低下したため、アダプタ検出回路32の出力(u)はHighからLowに切り換わる。そのため、充電制御回路31の出力(v)もHighからLowに切り換わり、制御回路28はオフ、制御回路28の出力(w)はPMOSトランジスタ27をオフ状態にさせる。その結果、充電動作を停止させる。
【特許文献1】特開2004−64915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の電源検出回路は外付けの逆流防止用ダイオードを用いることで、電源が抜けた時の誤検出を防止している。また、逆流電流防止用ダイオードには、充電時に電圧降下によって動作電源電圧範囲が狭くならないように大電流でも電圧降下が少なく、充電時の大きな熱損失にも耐える必要があるため、サイズの大きなダイオードを使用することが多い。更に近年ではACアダプタだけでなく、USBを電源として充電を実施する携帯電子機器が増えている上に、携帯電子機器にはUSB端子が複数用意されている場合が多いため、外付けダイオード点数が増える傾向にある。
【0009】
しかし、実際には携帯電子機器の小型化を実現するためにも、部品点数及び実装面積の削減が強く要望されている。
【0010】
本発明は外付けの逆流防止用ダイオードを必要とせずに、電源が抜けた時の誤検出を防止する電源検出回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するため本発明は、各電源からの電圧が印加される複数の電源端子と、前記複数の電源端子の電圧レベルを検出する複数の電源端子電圧検出回路と、前記2次電池への充電電流を検出する電流検出回路と、前記2次電池の充電電圧を所定の電圧値に制御する制御素子と、前記各電源端子と前記制御素子間に接続される複数のスイッチ回路と、発振回路と、前記電流検出回路からの出力に基づいて前記充電電流が所定の電流値以下になると前記発振回路の出力に応じて前記複数のスイッチ回路をオンオフする複数のスイッチ制御回路を有する構成とする。
【0012】
ここで、前記電源端子電圧検出回路は、対応する前記電源端子の電圧が、対応する電源の出力電圧下限値以下になると前記制御素子を停止させる信号を出力する構成としてもよい。また、前記電流検出回路は、前記所定の電流値が前記2次電池の充電終了を示すレベルに設定される構成としてもよい。
【0013】
以上の構成により、電源が抜けて充電電流が設定電流以下に減少した時に、スイッチ回路がオフしている間は2次電池からの逆流がなくなり、電源端子の電圧が低下するので、電源が抜けたことを検出できる。即ち、電源とPMOSトランジスタ間に外付け逆流防止用ダイオードを挿入することなく、電源が抜けた時の誤検出を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電源検出回路は逆流防止スイッチと電流検出回路及び発振回路を使用することで、従来必要とされた外付けの逆流電流防止用ダイオードが不要となったため、複数の電源を備えた携帯電子機器において部品点数及び実装面積の削減が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態における電源検出回路の構成図である。図1において、1は2次電池、2は充電電流検出用の抵抗、3は充電電流又は充電電圧を制御するPMOSトランジスタ、4は充電電流又は充電電圧を設定値にするためPMOSトランジスタ3を制御する制御回路、5は充電電流を検出する電流検出回路、6は2次電池の電圧を検出する電圧検出回路、7はアダプタ検出回路8やVBUS検出回路9や電圧検出回路6の情報から制御回路4のオン・オフを制御する充電制御回路、8はACアダプタの出力を入力される電源端子DCINの電圧(a)を所定値と比較することによって脱着を検出するアダプタ検出回路、9はUSB電源電圧を入力される電源端子VBUSの電圧(b)を所定値と比較することによって脱着を検出するVBUS検出回路、10は発振回路、11は逆流防止スイッチのオン・オフを制御する逆流防止スイッチ制御回路、12と13は寄生ダイオードが逆向きになるようにPMOSトランジスタを配置することでオフ時の電流を遮断する逆流防止スイッチ、14はACアダプタ、15はUSBである。
【0017】
図2、図3は図1の(a)〜(k)に示す各部動作波形である。図1、図2、図3を参照しながら以下にその動作を説明する。
【0018】
図2において、ACアダプタ14のみ装着され、充電中に電源が抜けることなく充電を終了する通常動作の場合について説明する。ACアダプタ14のみが装着されているため、電源端子DCINの電圧(a)及びACアダプタ検出回路8の出力(e)はHigh、電源端子VBUSの電圧(b)及びVBUS検出回路9の出力(f)はLow、充電電流検出回路5の出力(h)は充電電流が充電を終了するための設定電流以下になるまではHigh、逆流防止スイッチ制御回路11はACアダプタ用の逆流防止スイッチ制御信号(j)のみLow、USB用の逆流防止スイッチ制御信号(k)はHigh、2次電池が満充電状態に近づくにつれ充電電流(d)は徐々に減少している状態である。タイミング(1)において充電電流が充電を終了するための設定電流以下になったために、充電電流検出回路5の出力(h)がHighからLowに切り換わる。それにより、逆流防止スイッチ制御回路11は発振回路を用いて一定周期でACアダプタ用の逆流防止スイッチ制御信号(j)にHighとLowを繰り返し出力する。そのため、ACアダプタ用の逆流防止スイッチ12も一定周期でオン・オフを繰り返す。もし、この状態でACアダプタ14が抜かれたら、ACアダプタ用の逆流防止スイッチ12がオフした時に電源端子DCINの電圧(a)がLowになるため、アダプタ検出回路8の出力(e)がLowになり、充電動作を停止させる。充電電流が充電を終了するための設定電流以下になって一定時間(T1)後のタイミング(2)において、充電動作を停止させるために充電制御回路7の出力(g)がHighからLowに切り換わり、それによって、制御回路4の出力(i)がHighになりPMOSトランジスタ3をオフさせる。同時にACアダプタ用の逆流防止スイッチ制御信号(j)もHighになり、逆流防止スイッチ12もオフする。
【0019】
図3において、ACアダプタ14のみ装着され、ACアダプタ14から2次電池への充電動作状態であったが、タイミング(3)でACアダプタ14が抜かれてしまった場合について説明する。ACアダプタ14のみが装着されているため、電源端子DCINの電圧(a)及びACアダプタ検出回路8の出力(e)はHigh、電源端子VBUSの電圧(b)及びVBUS検出回路出力(f)はLow、充電電流検出回路5の出力(h)は充電電流が充電を終了するための設定電流以下になるまではHigh、逆流防止スイッチ制御回路11はACアダプタ用の逆流防止スイッチ制御信号(j)のみLow、USB用の逆流防止スイッチ制御信号(k)はHigh、充電電流(d)は順方向に流れている状態である。タイミング(3)においてACアダプタ14が抜かれたため、逆流電流が発生し、電源端子DCINの電圧(a)は2次電池1の電圧(c)まで低下する。電源がないため、充電電流は充電を終了するための設定電流以下になるために、充電電流検出回路5の出力(h)はHighからLowに切り換わる。それにより、逆流防止スイッチ制御回路11は発振回路を用いて一定周期でACアダプタ用の逆流防止スイッチ制御信号(j)にHighとLowを繰り返し出力し、ACアダプタ用の逆流防止スイッチ12も一定周期でオン・オフを繰り返そうとする。逆流防止スイッチ12が一定時間オフすることで、アダプタ検出回路8の出力(e)で消費される電流により、電源端子DCINの電圧(a)は低下する。タイミング(4)にて電源端子DCINの電圧(a)が検出電圧以下に低下したため、アダプタ検出回路8の出力(e)はHighからLowに切り換わる。充電動作を停止させるために充電制御回路7の出力(g)がHighからLowに切り換わり、それによって、制御回路4の出力(i)がHighになりPMOSトランジスタ3をオフさせる。
【0020】
以上のように、ACアダプタ14が抜けると、充電電流(d)が設定電流以下に減少した時に、発振回路10によってスイッチ回路である逆流防止スイッチ12がオフしている間に2次電池1からの逆流がなくなり、電源端子DCINの電圧(a)が低下するので、ACアダプタ14が抜けたことを検出できる。ACアダプタ14以外の電源、例えばUSBのみからの電源供給時においてUSBが抜けた場合も、VBUS検出回路9によって同様に検出可能であることは明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に係る電源検出回路は、充電機能を備えた携帯電子機器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態における、電源検出回路の構成図
【図2】本発明の実施形態における、電源検出回路における各部動作波形図
【図3】本発明の実施形態における、電源検出回路における各部動作波形図
【図4】従来の電源検出回路の構成を示す回路図
【図5】従来の電源検出回路の各部動作波形図
【図6】従来の電源検出回路の構成を示す回路図
【図7】従来の電源検出回路の各部動作波形図
【符号の説明】
【0023】
1 2次電池
2 抵抗
3 PMOSトランジスタ
4 制御回路
5 電流検出回路
6 電圧検出回路
7 充電制御回路
8 アダプタ検出回路
9 VBUS検出回路
10 発振回路
11 逆流防止スイッチ制御回路
12 逆流防止スイッチ
13 逆流防止スイッチ
14 ACアダプタ
15 USB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源からの2次電池の充電システムにおいて、各電源からの電圧が印加される複数の電源端子と、前記複数の電源端子の電圧レベルを検出する複数の電源端子電圧検出回路と、前記2次電池への充電電流を検出する電流検出回路と、前記2次電池の充電電圧を所定の電圧値に制御する制御素子と、前記各電源端子と前記制御素子間に接続される複数のスイッチ回路と、発振回路と、前記電流検出回路からの出力に基づいて前記充電電流が所定の電流値以下になると前記発振回路の出力に応じて前記複数のスイッチ回路をオンオフする複数のスイッチ制御回路を有する電源検出回路。
【請求項2】
前記電源端子電圧検出回路は、対応する前記電源端子の電圧が、対応する電源の出力電圧下限値以下になると前記制御素子を停止させる信号を出力する請求項1記載の電源検出回路。
【請求項3】
前記電流検出回路は、前記所定の電流値が前記2次電池の充電終了を示すレベルに設定される請求項1記載の電源検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−228416(P2008−228416A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61490(P2007−61490)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】