電源装置、およびLED駆動装置
【課題】 負荷回路の両端のうちいずれが地絡した場合でも、構成を複雑にすることなく負荷回路への電力供給を低減できる非絶縁型の電源装置、およびLED駆動装置を提供する。
【解決手段】 負極をグランドラインG1に接地した直流電源E1からの入力電力を所望の直流電力に変換して負荷回路Y1へ供給する非絶縁型の電源装置A1であって、負荷回路Y1の一端と直流電源E1の負極との間に電気的に接続したインピーダンス要素Z1と、負荷回路Y1の他端と直流電源E1の正極との間に電気的に接続したコンデンサC1とを備え、コンデンサC1と負荷回路Y1とインピーダンス要素Z1との直列回路は、直流電源E1の両端間に接続される。
【解決手段】 負極をグランドラインG1に接地した直流電源E1からの入力電力を所望の直流電力に変換して負荷回路Y1へ供給する非絶縁型の電源装置A1であって、負荷回路Y1の一端と直流電源E1の負極との間に電気的に接続したインピーダンス要素Z1と、負荷回路Y1の他端と直流電源E1の正極との間に電気的に接続したコンデンサC1とを備え、コンデンサC1と負荷回路Y1とインピーダンス要素Z1との直列回路は、直流電源E1の両端間に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、およびLED駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、直流負荷に直流電力を供給する電源装置があり、様々な分野で用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、照明分野においては、LED(Light Emitting Diode)素子が盛んに使用され、その用途も多様化している。車両の照明では、白色LED素子が車室内において活用され、さらには高輝度化によってヘッドライト、デイタイムランニングランプ等にも使用されている。
【0004】
LED素子は、白熱電球と比べ長寿命で応答性が速く、構造上コンパクトに実装できる。また、各種の色が簡単に実現でき、調光による点灯制御も容易である。そして、灯具などの照明器具は、薄型化が可能になり、立体的に実装できることにより、車のデザインなど形状に制限を与えない自由な設計が可能になる等の利点がある。
【0005】
上述した照明器具は、LED素子と、LED素子を点灯させる電源装置とを備えるものであり、複数のLED素子を直列接続してなる光源に一定の電流を供給することによって、複数のLED素子を均一な明るさで点灯させるものが提供されている。
【0006】
そして、電源装置には、出力電圧(例えば、直列接続されたLED素子の両端電圧)が入力電圧より高い場合は昇圧チョッパ回路が使用され、出力電圧が入力電圧より低い場合は降圧チョッパ回路が使用される。電源環境や負荷状態によって、昇圧と降圧との両モードで動作する場合は、昇降圧チョッパ回路が使用される。
【0007】
従来用いられている昇降圧チョッパ回路の一例として、CUK(チューク)回路の構成を図13に示す。
【0008】
このCUK回路は、非絶縁型の電源装置であり、直流電源E101を入力電源として、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX101に直流電力を供給する。直流電源E101は、その負極をグランドラインG101に接地している。
【0009】
そして、直流電源E101の正極−負極間には、インダクタL101とスイッチング素子S101との直列回路が接続されている。スイッチング素子S101の両端間には、コンデンサC101とダイオードD101との直列回路が接続され、ダイオードD101の両端間には、インダクタL102とコンデンサC102との直列回路が接続されている。そして、コンデンサC102の両端間には、LEDユニットX101が接続され、LEDユニットX101に直流電流が供給される。
【0010】
このような構成において、直流電源E101の正極から負極に至る経路において、インダクタL101、コンデンサC101、インダクタL102、LEDユニットX101が順に接続された直列回路が設けられている。そして、直流電源E101の負極とLEDユニットX101の一端(LED素子のアノード側)との間の経路は共通線W101で構成されており、LEDユニットX101の一端は、グランドラインG101と同電位(または略同電位)になる。さらに、ダイオードD101は、コンデンサC101とインダクタL102との接続点にアノードを接続し、共通線W101にカソードを接続している。
【0011】
そして、図示しない制御回路によって、スイッチング素子S101がオン・オフ駆動されることによって、LEDユニットX101に直流電力が供給されて、LEDユニットX101の各LED素子が点灯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−224049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図13において、LEDユニットX101が地絡した場合(LEDユニットX101がグランドラインG101に接触した場合)、以下のようになる。
【0014】
まず、他端側電路Wa101が地絡した場合、直流電源E101の正極−インダクタL101−コンデンサC101−インダクタL102−電路Wa101−グランドラインG101−直流電源E101の負極を通る閉回路で、地絡電流が流れる。しかしながら、コンデンサC101によって、電源側(直流電源E101)と負荷側(LEDユニットX101)とが直流的に分離されており、地絡電流は、コンデンサC101によって制限される。そして、LEDユニットX101の両端を実質的にグランドラインG101で短絡したことになるので、LEDユニットX101は点灯しなくなる。使用者は、LEDユニットX101の消灯によって、異常が発生したことを認識できる。
【0015】
一方、一端側電路Wb101が地絡した場合、電路Wb101は共通線W101の一部であることから、LEDユニットX101は点灯し続ける。車載用の照明器具の場合、異常が発生しても点灯し続けることは、車輌の運行上は安全な動作と考えることはできる。しかしながら、使用者は異常と認識することはできないので、異常状態が発生している状態で、電源装置が継続的に使用されると、問題が生じる虞がある。
【0016】
例えば、電源装置の出力とLEDユニットX101とを接続する配線のハーネスがなんらかの構造物に挟まれ、それが原因で電路Wb101がグランドラインG101と接触し、地絡した場合でも、異常を検出できないことになる。この正常な状態ではないモードで継続使用されると、ハーネスが過熱するなどの問題が生じることになる。また、近傍の電装品のグランドラインとの干渉が発生する虞もある。
【0017】
そこで、共通線W101に検出抵抗などを接続して、地絡を検出する方法が提案されているが、検出精度、制御の複雑化などの課題があり、地絡検出手段の構成の複雑化による部品点数の増大、コストアップなどの要因となっていた。
【0018】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷回路の両端のうちいずれが地絡した場合でも、構成を複雑にすることなく負荷回路への電力供給を低減できる非絶縁型の電源装置、およびLED駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の電源装置は、一方の極を接地した直流電源からの入力電力を所望の直流電力に変換して負荷回路へ供給する非絶縁型の電源装置であって、前記負荷回路の一端に接続したインピーダンス要素と、前記負荷回路の他端に接続した第1のコンデンサとを備えて、前記第1のコンデンサと前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を構成し、この直列回路は、前記直流電源の両極間に電気的に接続されることを特徴とする。
【0020】
この発明において、前記第1のコンデンサに電気的に接続して、前記第1のコンデンサの充放電を切り替えるスイッチング素子を備え、前記スイッチング素子がオン・オフすることによって前記直流電源の電圧を昇圧する昇圧部と、前記スイッチング素子がオン・オフすることによって前記昇圧部による昇圧電圧を降圧し、この降圧電圧を前記負荷回路へ印加する降圧部とを具備することが好ましい。
【0021】
この発明において、前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、第1のインダクタ、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、第2のインダクタが順に接続された直列回路が設けられ、前記第1のインダクタと前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、前記スイッチング素子が接続され、前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、ダイオードが接続され、前記第2のインダクタが、前記インピーダンス要素を構成することが好ましい。
【0022】
この発明において、前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、スイッチング素子、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、第1のインダクタが順に接続された直列回路が設けられ、前記スイッチング素子と前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、第2のインダクタが接続され、前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間にはダイオードが接続され、前記第1のインダクタが、前記インピーダンス要素を構成することが好ましい。
【0023】
この発明において、前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、第1のインダクタ、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、ダイオードが順に接続された直列回路が設けられ、前記第1のインダクタと前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、スイッチング素子が接続され、前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には第2のインダクタが接続され、前記ダイオードが、前記インピーダンス要素を構成することが好ましい。
【0024】
この発明において、前記負荷回路は、LED素子、または白熱灯、または抵抗素子からなる負荷を備えることが好ましい。
【0025】
この発明において、前記負荷回路は、前記負荷に並列接続した第2のコンデンサを備えることが好ましい。
【0026】
この発明において、前記負荷回路は、前記負荷の一端に接続した第3のインダクタと、前記負荷の他端に接続した第4のインダクタと、前記負荷と前記第3,第4のインダクタとの直列回路に並列接続した第2のコンデンサとを備えることが好ましい。
【0027】
この発明において、前記インピーダンス要素は、インダクタンスとキャパシタンスと抵抗とのうち、少なくとも1つで構成されることが好ましい。
【0028】
この発明において、前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を複数備えることが好ましい。
【0029】
本発明のLED駆動装置は、一方の極を接地した直流電源からの入力電力を所望の直流電力に変換して、1乃至複数のLED素子からなる負荷回路へ供給する非絶縁型のLED駆動装置であって、前記負荷回路の一端に接続したインピーダンス要素と、前記負荷回路の他端に接続した第1のコンデンサとを備えて、前記第1のコンデンサと前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を構成し、この直列回路は、前記直流電源の両極間に電気的に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明では、非絶縁型の電源装置、およびLED駆動装置において、負荷回路の両端のうちいずれが地絡した場合でも、構成を複雑にすることなく負荷回路への電力供給を低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1のシステムの概略を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(c)同上のインピーダンス要素の構成例を示す回路図である。
【図3】(a)〜(c)同上の負荷回路の構成例を示す回路図である。
【図4】実施形態2のシステム構成を示す回路図である。
【図5】同上の負荷回路の別の構成を示す回路図である。
【図6】同上の別のシステム構成を示す回路図である。
【図7】実施形態3のシステム構成を示す回路図である。
【図8】同上の負荷回路の別の構成を示す回路図である。
【図9】同上の別のシステム構成を示す回路図である。
【図10】実施形態4のシステム構成を示す回路図である。
【図11】同上の負荷回路の別の構成を示す回路図である。
【図12】同上の別のシステム構成を示す回路図である。
【図13】従来のシステム構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の電源装置A1の概略構成を示しており、電源装置A1は、コンデンサC1(第1のコンデンサ)を含むコンバータ部A11と、インピーダンス要素Z1とで非絶縁型の電源装置を構成し、直流電源E1を入力電源として、負荷回路Y1に直流電力を供給する。
【0034】
そして、直流電源E1は、その負極をグランドラインG1に接地しており、直流電源E1の両端間には、コンバータ部A11のコンデンサC1、負荷回路Y1、インピーダンス要素Z1の直列回路が接続している。具体的には、負荷回路Y1の一端にはインピーダンス要素Z1が接続し、負荷回路Y1の他端にはコンデンサC1が接続し、直流電源E1の正極側から負極側に至る経路に、コンデンサC1、負荷回路Y1、インピーダンス要素Z1を順に接続している。
【0035】
直流電源E1の負極とインピーダンス要素Z1との間の経路は共通線W1で構成されており、インピーダンス要素Z1の一端は、グランドラインG1と同電位(または略同電位)になる。さらに、コンデンサC1−負荷回路Y1間は、電路Wa1で接続され、負荷回路Y1−インピーダンス要素Z1間は、電路Wb1で接続される。
【0036】
而して、電路Wa1は、共通線W1との間に負荷回路Y1、インピーダンス要素Z1を含み、電路Wb1は、共通線W1との間にインピーダンス要素Z1を含む。したがって、負荷回路Y1の両端電路である電路Wa1,Wb1の双方が、グランドラインG1とは異なる電位になる。
【0037】
このような構成を有する電源装置A1は、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡(グランドラインG1に接触)したとしても、直流電源E1の正極からコンデンサC1を介した閉回路で地絡電流が流れる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンデンサC1によって、電源側(直流電源E1)と負荷側(負荷回路Y1)とが直流的に分離されており、回路が保護される。
【0038】
なお、コンデンサC1は、コンバータ部A11の通常の電力供給動作を行うために用いられているコンデンサであり、このコンデンサC1を、地絡時に電源側と負荷側とを分離する目的でも使用している。したがって、地絡対策用のコンデンサを追加する必要がなく、構成の簡略化、低コスト化を図ることができる。
【0039】
そして、電路Wa1が地絡した場合、直流電源E1の正極−コンデンサC1−電路Wa1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れ、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、負荷回路Y1の動作停止によって、電源装置A1に異常が発生したことを認識できる。
【0040】
また、電路Wb1が地絡した場合、直流電源E1の正極−コンデンサC1−電路Wa1−負荷回路Y1−電路Wb1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、負荷回路Y1の動作停止によって、電源装置A1に異常が発生したことを認識できる。
【0041】
このように、電路Wa1,Wb1が地絡した場合は、電源装置A1の主回路が上述の状態になるので、地絡を検出し判別する制御手段を設ける必要がなく、回路構成を簡素化、低コスト化することができる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンバータ部A11のコンデンサC1を地絡対策用のコンデンサとすることによって、構成を複雑にすることなく負荷回路Y1への電力供給を低減できる。
【0042】
図2(a)〜(c)は、インピーダンス要素Z1の構成例であり、インダクタ(図2(a))、コンデンサ(図2(b))、抵抗(図2(c))を用いて構成される。インピーダンス要素Z1は、インダクタ、コンデンサ、抵抗のいずれかを単体で用いる構成、インダクタ、コンデンサ、抵抗の2つ以上を組み合わせた構成のいずれであってもよく、コンバータ部A11の回路構成に応じて構成される。すなわち、インピーダンス要素Z1は、負荷回路Y1を流れる負荷電流を限流する機能を有する要素であればよい。
【0043】
図3(a)〜(c)は、負荷回路Y1の構成例であり、1乃至複数のLED素子(図3(a))、フィラメント電球(図3(b))、抵抗負荷(図3(c))等で構成される。負荷回路Y1にフィラメント電球を用いた場合、印加電圧を一定にするコンバータを使用する。そして、LED素子およびフィラメント電球は光源負荷なので、電路Wa1,Wb1の地絡が生じると消灯(または減灯)し、使用者は、電源装置A1に異常が発生したことを認識できる。負荷回路Y1に抵抗負荷等の駆動負荷を用いた場合でも、電路Wa1,Wb1の地絡発生時には、負荷回路Y1の動作停止によって、電源装置A1に異常が発生したことを認識できる。
【0044】
(実施形態2)
図4は、電源装置A1の具体的な回路構成を示しており、CUK(チューク)回路を基本構成とする昇降圧チョッパ回路である。以降、図4の電源装置にA1aの符号を付す。また、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0045】
このCUK回路を基本構成とする電源装置A1aは、非絶縁型の電源装置であり、直流電源E1を入力電源として、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX1に直流電力を供給するLED駆動装置を構成する。直流電源E1は、その負極をグランドラインG1に接地している。
【0046】
そして、直流電源E1の正極から負極に至る経路には、インダクタL1(第1のインダクタ)、コンデンサC1(第1のコンデンサ)、負荷回路Y1、インダクタL2(第2のインダクタ)を順に接続した直列回路が配置されている。インダクタL1とコンデンサC1との接続点と、直流電源E1の負極との間には、スイッチング素子S1が接続される。さらに、ダイオードD1のアノードが、コンデンサC1と負荷回路Y1との接続点に接続され、ダイオードD1のカソードが、直流電源E1の負極に接続されている。ここで、インダクタL2が、インピーダンス要素Z1を構成する。
【0047】
負荷回路Y1は、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX1と、コンデンサC2(第2のコンデンサ)との並列回路で構成されており、LEDユニットX1とコンデンサC2との並列回路に、電源装置A1aから直流電流が供給される。LEDユニットX1のLED素子は、そのアノードが電路Wb1に接続し、カソードが電路Wa1に接続する。
【0048】
このような電源装置A1aは、直流電源E1を電源とした昇圧機能を有するコンバータ部A11(昇圧部)と、コンデンサC1を電源とした降圧機能を有するコンバータ部A12(降圧部)とからなる。コンバータ部A11は、インダクタL1、スイッチング素子S1、コンデンサC1、ダイオードD1で構成される。コンバータ部A12は、スイッチング素子S1、コンデンサC1、ダイオードD1、インダクタL2で構成される。
【0049】
そして、図示しない制御回路によって、スイッチング素子S1がオン・オフ駆動されることによって、負荷回路Y1に直流電力が供給されて、LEDユニットX1の各LED素子が点灯する。
【0050】
以下、この回路の動作について説明する。
【0051】
まず、昇圧機能を有するコンバータ部A11の動作として、スイッチング素子S1がオンすると、直流電源E1−インダクタL1−スイッチング素子S1−直流電源E1の閉回路に電流が流れ、インダクタL1は、磁気エネルギーを蓄積する。そして、スイッチング素子S1がオフすると、インダクタL1−コンデンサC1−ダイオードD1−直流電源E1−インダクタL1の閉回路で、インダクタL1の磁気エネルギーが放出され、コンデンサC1に電荷が蓄積される。このスイッチング素子S1のオン・オフ動作によって、コンデンサC1の両端電圧は、直流電源E1より高い電圧に昇圧される。
【0052】
次に、降圧機能を有するコンバータ部A12の動作として、スイッチング素子S1がオンすると、上記の動作で蓄積されたコンデンサC1の両端電圧が電源となり、コンデンサC1の蓄積電荷が放出される。具体的には、コンデンサC1−スイッチング素子S1−インダクタL2−負荷回路Y1(LEDユニットX1、コンデンサC2)−コンデンサC1の閉回路で、コンデンサC1の蓄積電荷が放出される。このとき、インダクタL2に磁気エネルギーが蓄えられる。
【0053】
そして、スイッチング素子S1がオフすると、インダクタL2に逆起電力が発生し、スイッチング素子S1のオン時の電流方向を維持するように、インダクタL2−負荷回路Y1(LEDユニットX1、コンデンサC2)−ダイオードD1−インダクタL2の閉回路で電流が流れる。このスイッチング素子S1のオン・オフ動作によって、コンデンサC1の両端電圧より低い電圧が負荷回路Y1に印加される。負荷回路Y1への印加電圧が、直流電源E1の電圧より高いか低いかは、スイッチング素子S1の動作(オンデューティ、周波数)や回路定数によって設定できる。
【0054】
このように、スイッチング素子S1のオン・オフ動作によって、直流電源E1に対しては昇圧モードで動作し、コンデンサC1の両端電圧に対しては降圧モードで動作することになる。インダクタL1,L2の電流は、三角波のような電流波形になるが、LEDユニットX1の電流は、コンデンサC2によって平滑された直流電流となる。
【0055】
このCUK回路を基本構成とする電源装置A1aにおいて、直流電源E1の負極とインダクタL2との間の経路は共通線W1で構成されており、インダクタL2の一端は、グランドラインG1と同電位(または略同電位)になる。さらに、コンデンサC1−負荷回路Y1間は、電路Wa1で接続され、負荷回路Y1−インダクタL2間は、電路Wb1で接続される。なお、図4において、電路Wa1は、コンデンサC1−LEDユニットX1間、コンデンサC1−コンデンサC2間の各電路で構成される。また、電路Wb1は、LEDユニットX1−インダクタL2間、コンデンサC2−インダクタL2間の各電路で構成される。
【0056】
而して、電路Wa1は、共通線W1との間に、負荷回路Y1、インダクタL2を含み、電路Wb1は、共通線W1との間にインダクタL2を含む。したがって、負荷回路Y1の両端電路である電路Wa1,Wb1の双方が、グランドラインG1とは異なる電位になる。
【0057】
このようなCUK回路を基本構成とする電源装置A1aは、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡(グランドラインG1に接触)したとしても、直流電源E1の正極からコンデンサC1を通る閉回路で地絡電流が流れる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンデンサC1によって、電源側(直流電源E1)と負荷側(負荷回路Y1)とが直流的に分離されており、回路が保護される。
【0058】
なお、コンデンサC1は、CUK回路の通常の電力供給動作を行うために用いられているコンデンサであり、このコンデンサC1を、地絡時に電源側と負荷側とを分離する目的でも使用している。したがって、地絡対策用のコンデンサを追加する必要がなく、構成の簡略化、低コスト化を図ることができる。
【0059】
例えば、LEDユニットX1が、電源装置A1aから離れた場所に配置され、電源装置A1aの出力とLEDユニットX1とを接続する配線のハーネスがなんらかの構造物に挟まれることがある。この場合、電路Wa1,Wb1がグランドラインG1と接触し、地絡が発生する虞がある。
【0060】
そして、電路Wa1が地絡した場合、直流電源E1の正極−インダクタL1−コンデンサC1−電路Wa1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX1の消灯(または減光)によって、電源装置A1aに異常が発生したことを認識できる。
【0061】
また、電路Wb1が地絡した場合、直流電源E1の正極−インダクタL1−コンデンサC1−電路Wa1−負荷回路Y1(LEDユニットX1、コンデンサC2)−電路Wb1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX1の消灯(または減光)によって、電源装置A1aに異常が発生したことを認識できる。
【0062】
そして、電路Wa1,Wb1のいずれが地絡したとしても、地絡電流はインダクタL1を通るので、急峻な地絡電流が流れず、地絡電流は緩やかな波形となって、回路部品へのストレスは低減される。そして、LEDユニットX1の消灯(または減光)を検出することによって、スイッチング素子S1のオン・オフ駆動を停止させればよい。
【0063】
また、図5は、負荷回路Y1の別の形態である。コンバータ部A12は、インダクタL2の値によって、負荷回路Y1に供給する電流が、連続、不連続、臨界モードに分かれるが、その電流波形によって、LEDユニットX1を流れる電流のリプル値が大きく変わる。そこで、図5では、LEDユニットX1の両端にインダクタL31,L32(第3,4のインダクタ)をそれぞれ直列接続し、さらにこの直列回路にコンデンサC2(第2のコンデンサ)を並列接続しており、リプル電流を低減させるフィルタ機能を有している。リプル電流は、コンデンサC2、インダクタL31,L32の値、電流モードによって決定される。
【0064】
また、インピーダンス要素Z1として、抵抗のみを用いた場合、スイッチング素子S1がオン・オフしてチョッピングした電圧波形がコンデンサC2で平滑され、このコンデンサC2の平滑電圧がLEDユニットX1に印加される。この構成は、LEDユニットX1の電流が比較的小さく、LEDユニットX1の印加電圧が直流電源E1の電圧より高い場合に有効である。
【0065】
また、インピーダンス要素Z1として、抵抗とコンデンサとの並列回路を用いた場合、抵抗のみを用いる場合よりも、インピーダンス要素Z1の両端電圧を低くすることができる。また、コンデンサの充電電圧は、抵抗を介して放電される。
【0066】
また、インピーダンス要素Z1としてコンデンサのみを用いてもよい。この場合、スイッチング素子S1を非常に高い周波数でオン・オフ動作させ、インピーダンス要素Z1とコンデンサC2との間で授受される電力を用いてLEDユニットX1を点灯させる。この構成は、電源装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0067】
また、図6は、複数の負荷回路Y1を設けた電源装置A1bであり、負荷回路Y1のそれぞれには、インピーダンス要素Z1であるインダクタL2が直列接続される。この場合、いずれかの負荷回路Y1の接続電路の地絡によって、上記同様に、1つ以上の負荷回路Y1のLEDユニットX1が消灯(または減光)し、電源装置A1bに異常が発生したことを認識できる。
【0068】
(実施形態3)
図7は、電源装置A1の具体的な回路構成を示しており、ZETA SEPIC(ゼータ・セピック)回路を基本構成とする昇降圧チョッパ回路である。以降、図7の電源装置にA1cの符号を付す。また、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0069】
このZETA SEPIC回路を基本構成とする電源装置A1cは、非絶縁型の電源装置であり、直流電源E1を入力電源として、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX11に直流電力を供給するLED駆動装置を構成する。直流電源E1は、その負極をグランドラインG1に接地している。
【0070】
そして、直流電源E1の正極から負極に至る経路には、スイッチング素子S11、コンデンサC1(第1のコンデンサ)、負荷回路Y1、インダクタL11(第1のインダクタ)を順に接続した直列回路が配置されている。スイッチング素子S11とコンデンサC1との接続点と、直流電源E1の負極との間には、インダクタL12(第2のインダクタ)が接続される。さらに、ダイオードD11のアノードが、直流電源E1の負極に接続され、ダイオードD11のカソードが、コンデンサC1と負荷回路Y1との接続点に接続されている。ここで、インダクタL11が、インピーダンス要素Z1を構成する。
【0071】
負荷回路Y1は、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX11と、コンデンサC12(第2のコンデンサ)との並列回路で構成されており、LEDユニットX11とコンデンサC12との並列回路に、電源装置A1cから直流電流が供給される。LEDユニットX11のLED素子は、そのアノードが電路Wa1に接続し、カソードが電路Wb1に接続する。
【0072】
そして、図示しない制御回路によって、スイッチング素子S11がオン・オフ駆動されることによって、負荷回路Y1に直流電力が供給されて、LEDユニットX11の各LED素子が点灯する。なお、ZETA SEPIC回路の動作については周知であり、説明は省略する。
【0073】
このZETA SEPIC回路を基本構成とする電源装置A1cにおいて、直流電源E1の負極とインダクタL11との間の経路は共通線W1で構成されており、インダクタL11の一端は、グランドラインG1と同電位(または略同電位)になる。さらに、コンデンサC1−負荷回路Y1間は、電路Wa1で接続され、負荷回路Y1−インダクタL11間は、電路Wb1で接続される。なお、図7において、電路Wa1は、コンデンサC1−LEDユニットX11間、コンデンサC1−コンデンサC12間の各電路で構成される。また、電路Wb1は、LEDユニットX11−インダクタL11間、コンデンサC12−インダクタL11間の各電路で構成される。
【0074】
而して、電路Wa1は、共通線W1との間に、負荷回路Y1、インダクタL11を含み、電路Wb1は、共通線W1との間にインダクタL11を含む。したがって、負荷回路Y1の両端電路である電路Wa1,Wb1の双方が、グランドラインG1とは異なる電位になる。
【0075】
このようなZETA SEPIC回路を基本構成とする電源装置A1cは、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡(グランドラインG1に接触)したとしても、直流電源E1の正極からコンデンサC1を通る閉回路で地絡電流が流れる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンデンサC1によって、電源側(直流電源E1)と負荷側(負荷回路Y1)とが直流的に分離されており、回路が保護される。
【0076】
なお、コンデンサC1は、ZETA SEPIC回路の通常の電力供給動作を行うために用いられているコンデンサであり、このコンデンサC1を、地絡時に電源側と負荷側とを分離する目的でも使用している。したがって、地絡対策用のコンデンサを追加する必要がなく、構成の簡略化、低コスト化を図ることができる。
【0077】
例えば、LEDユニットX11が、電源装置A1cから離れた場所に配置され、電源装置A1cの出力とLEDユニットX11とを接続する配線のハーネスがなんらかの構造物に挟まれることがある。この場合、電路Wa1,Wb1がグランドラインG1と接触し、地絡が発生する虞がある。
【0078】
そして、電路Wa1が地絡した場合、直流電源E1の正極−スイッチング素子S11−コンデンサC1−電路Wa1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX11の消灯(または減光)によって、電源装置A1cに異常が発生したことを認識できる。
【0079】
また、電路Wb1が地絡した場合、直流電源E1の正極−スイッチング素子S11−コンデンサC1−電路Wa1−負荷回路Y1(LEDユニットX11、コンデンサC12)−電路Wb1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX11の消灯(または減光)によって、電源装置A1cに異常が発生したことを認識できる。
【0080】
そして、LEDユニットX11の消灯(または減光)を検出することによって、スイッチング素子S11のオン・オフ駆動を停止させればよい。
【0081】
また、図8は、負荷回路Y1の別の形態である。コンバータ部A11は、インダクタL12の値によって、負荷回路Y1に供給する電流が、連続、不連続、臨界モードに分かれるが、その電流波形によって、LEDユニットX11を流れる電流のリプル値が大きく変わる。そこで、図8では、LEDユニットX11の両端にインダクタL41,L42(第3,4のインダクタ)をそれぞれ直列接続し、さらにこの直列回路にコンデンサC12(第2のコンデンサ)を並列接続しており、リプル電流を低減させるフィルタ機能を有している。リプル電流は、コンデンサC12、インダクタL41,L42の値、電流モードによって決定される。
【0082】
また、インピーダンス要素Z1として、抵抗のみを用いた場合、スイッチング素子S11がオン・オフしてチョッピングした電圧波形がコンデンサC12で平滑され、このコンデンサC12の平滑電圧がLEDユニットX11に印加される。この構成は、LEDユニットX11の電流が比較的小さく、LEDユニットX11の印加電圧が直流電源E1の電圧より高い場合に有効である。
【0083】
また、インピーダンス要素Z1として、抵抗とコンデンサとの並列回路を用いた場合、抵抗のみを用いる場合よりも、インピーダンス要素Z1の両端電圧を低くすることができる。また、コンデンサの充電電圧は、抵抗を介して放電される。
【0084】
また、インピーダンス要素Z1としてコンデンサのみを用いてもよい。この場合、スイッチング素子S11を非常に高い周波数でオン・オフ動作させ、インピーダンス要素Z1とコンデンサC12との間で授受される電力を用いてLEDユニットX11を点灯させる。この構成は、電源装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0085】
また、図9は、複数の負荷回路Y1を設けた電源装置A1dであり、負荷回路Y1のそれぞれには、インピーダンス要素Z1であるインダクタL12が直列接続される。この場合、いずれかの負荷回路Y1の接続電路の地絡によって、上記同様に、1つ以上の負荷回路Y1のLEDユニットX11が消灯(または減光)し、電源装置A1dに異常が発生したことを認識できる。
【0086】
(実施形態4)
図10は、電源装置A1の具体的な回路構成を示しており、SEPIC(セピック)回路を基本構成とする昇降圧チョッパ回路である。以降、図10の電源装置にA1eの符号を付す。また、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0087】
このSEPIC回路を基本構成とする電源装置A1eは、非絶縁型の電源装置であり、直流電源E1を入力電源として、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX21に直流電力を供給するLED駆動装置を構成する。直流電源E1は、その負極をグランドラインG1に接地している。
【0088】
そして、直流電源E1の正極から負極に至る経路には、インダクタL21(第1のインダクタ)、コンデンサC1(第1のコンデンサ)、負荷回路Y1、ダイオードD21を順に接続した直列回路が配置されている。インダクタL21とコンデンサC1との接続点と、直流電源E1の負極との間には、スイッチング素子S21が接続される。コンデンサC1と負荷回路Y1との接続点と、直流電源E1の負極との間には、インダクタL22(第1のインダクタ)が接続される。なお、ダイオードD21は、そのアノードが負荷回路Y1に接続され、カソードが直流電源E1の負極に接続されている。ここで、ダイオードD21が、インピーダンス要素Z1を構成する。
【0089】
負荷回路Y1は、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX21と、コンデンサC22(第2のコンデンサ)との並列回路で構成されており、LEDユニットX21とコンデンサC22との並列回路に、電源装置A1eから直流電流が供給される。LEDユニットX21のLED素子は、そのアノードが電路Wa1に接続し、カソードが電路Wb1に接続する。
【0090】
そして、図示しない制御回路によって、スイッチング素子S21がオン・オフ駆動されることによって、負荷回路Y1に直流電力が供給されて、LEDユニットX21の各LED素子が点灯する。なお、SEPIC回路の動作については周知であり、説明は省略する。
【0091】
このSEPIC回路を基本構成とする電源装置A1eにおいて、直流電源E1の負極とダイオードD21との間の経路は共通線W1で構成されており、ダイオードD21の一端は、グランドラインG1と同電位(または略同電位)になる。さらに、コンデンサC1−負荷回路Y1間は、電路Wa1で接続され、負荷回路Y1−ダイオードD21間は、電路Wb1で接続される。なお、図10において、電路Wa1は、コンデンサC1−LEDユニットX21間、コンデンサC1−コンデンサC22間の各電路で構成される。また、電路Wb1は、LEDユニットX21−ダイオードD21間、コンデンサC22−ダイオードD21間の各電路で構成される。
【0092】
而して、電路Wa1は、共通線W1との間に、負荷回路Y1、ダイオードD21を含み、電路Wb1は、共通線W1との間にダイオードD21を含む。したがって、負荷回路Y1の両端電路である電路Wa1,Wb1の双方が、グランドラインG1とは異なる電位になる。
【0093】
このようなSEPIC回路を基本構成とする電源装置A1eは、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡(グランドラインG1に接触)したとしても、直流電源E1の正極からコンデンサC1を通る閉回路で地絡電流が流れる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンデンサC1によって、電源側(直流電源E1)と負荷側(負荷回路Y1)とが直流的に分離されており、回路が保護される。
【0094】
なお、コンデンサC1は、SEPIC回路の通常の電力供給動作を行うために用いられているコンデンサであり、このコンデンサC1を、地絡時に電源側と負荷側とを分離する目的でも使用している。したがって、地絡対策用のコンデンサを追加する必要がなく、構成の簡略化、低コスト化を図ることができる。
【0095】
例えば、LEDユニットX21が、電源装置A1eから離れた場所に配置され、電源装置A1eの出力とLEDユニットX21とを接続する配線のハーネスがなんらかの構造物に挟まれることがある。この場合、電路Wa1,Wb1がグランドラインG1と接触し、地絡が発生する虞がある。
【0096】
そして、電路Wa1が地絡した場合、直流電源E1の正極−インダクタL21−コンデンサC1−電路Wa1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX21の消灯(または減光)によって、電源装置A1eに異常が発生したことを認識できる。
【0097】
また、電路Wb1が地絡した場合、直流電源E1の正極−インダクタL21−コンデンサC1−電路Wa1−負荷回路Y1(LEDユニットX21、コンデンサC22)−電路Wb1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX21の消灯(または減光)によって、電源装置A1eに異常が発生したことを認識できる。
【0098】
そして、電路Wa1,Wb1のいずれが地絡したとしても、地絡電流はインダクタL21を通るので、急峻な地絡電流が流れず、地絡電流は緩やかな波形となって、回路部品へのストレスは低減される。そして、LEDユニットX21の消灯(または減光)を検出することによって、スイッチング素子S21のオン・オフ駆動を停止させればよい。
【0099】
また、図11は、負荷回路Y1の別の形態である。コンバータ部A11は、インダクタL22の値によって、負荷回路Y1に供給する電流が、連続、不連続、臨界モードに分かれるが、その電流波形によって、LEDユニットX21を流れる電流のリプル値が大きく変わる。そこで、図11では、LEDユニットX21の両端にインダクタL51,L52(第3,4のインダクタ)をそれぞれ直列接続し、さらにこの直列回路にコンデンサC22(第2のコンデンサ)を並列接続しており、リプル電流を低減させるフィルタ機能を有している。リプル電流は、コンデンサC22、インダクタL51,L52の値、電流モードによって決定される。
【0100】
また、図12は、複数の負荷回路Y1を設けた電源装置A1fであり、負荷回路Y1のそれぞれには、インピーダンス要素Z1であるダイオードD21が直列接続される。この場合、いずれかの負荷回路Y1の接続電路の地絡によって、上記同様に、1つ以上の負荷回路Y1のLEDユニットX21が消灯(または減光)し、電源装置A1fに異常が発生したことを認識できる。
【符号の説明】
【0101】
A1 電源装置
E1 直流電源
C1 コンデンサ(第1のコンデンサ)
Y1 負荷回路
Z1 インピーダンス要素
G1 グランドライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、およびLED駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、直流負荷に直流電力を供給する電源装置があり、様々な分野で用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、照明分野においては、LED(Light Emitting Diode)素子が盛んに使用され、その用途も多様化している。車両の照明では、白色LED素子が車室内において活用され、さらには高輝度化によってヘッドライト、デイタイムランニングランプ等にも使用されている。
【0004】
LED素子は、白熱電球と比べ長寿命で応答性が速く、構造上コンパクトに実装できる。また、各種の色が簡単に実現でき、調光による点灯制御も容易である。そして、灯具などの照明器具は、薄型化が可能になり、立体的に実装できることにより、車のデザインなど形状に制限を与えない自由な設計が可能になる等の利点がある。
【0005】
上述した照明器具は、LED素子と、LED素子を点灯させる電源装置とを備えるものであり、複数のLED素子を直列接続してなる光源に一定の電流を供給することによって、複数のLED素子を均一な明るさで点灯させるものが提供されている。
【0006】
そして、電源装置には、出力電圧(例えば、直列接続されたLED素子の両端電圧)が入力電圧より高い場合は昇圧チョッパ回路が使用され、出力電圧が入力電圧より低い場合は降圧チョッパ回路が使用される。電源環境や負荷状態によって、昇圧と降圧との両モードで動作する場合は、昇降圧チョッパ回路が使用される。
【0007】
従来用いられている昇降圧チョッパ回路の一例として、CUK(チューク)回路の構成を図13に示す。
【0008】
このCUK回路は、非絶縁型の電源装置であり、直流電源E101を入力電源として、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX101に直流電力を供給する。直流電源E101は、その負極をグランドラインG101に接地している。
【0009】
そして、直流電源E101の正極−負極間には、インダクタL101とスイッチング素子S101との直列回路が接続されている。スイッチング素子S101の両端間には、コンデンサC101とダイオードD101との直列回路が接続され、ダイオードD101の両端間には、インダクタL102とコンデンサC102との直列回路が接続されている。そして、コンデンサC102の両端間には、LEDユニットX101が接続され、LEDユニットX101に直流電流が供給される。
【0010】
このような構成において、直流電源E101の正極から負極に至る経路において、インダクタL101、コンデンサC101、インダクタL102、LEDユニットX101が順に接続された直列回路が設けられている。そして、直流電源E101の負極とLEDユニットX101の一端(LED素子のアノード側)との間の経路は共通線W101で構成されており、LEDユニットX101の一端は、グランドラインG101と同電位(または略同電位)になる。さらに、ダイオードD101は、コンデンサC101とインダクタL102との接続点にアノードを接続し、共通線W101にカソードを接続している。
【0011】
そして、図示しない制御回路によって、スイッチング素子S101がオン・オフ駆動されることによって、LEDユニットX101に直流電力が供給されて、LEDユニットX101の各LED素子が点灯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−224049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図13において、LEDユニットX101が地絡した場合(LEDユニットX101がグランドラインG101に接触した場合)、以下のようになる。
【0014】
まず、他端側電路Wa101が地絡した場合、直流電源E101の正極−インダクタL101−コンデンサC101−インダクタL102−電路Wa101−グランドラインG101−直流電源E101の負極を通る閉回路で、地絡電流が流れる。しかしながら、コンデンサC101によって、電源側(直流電源E101)と負荷側(LEDユニットX101)とが直流的に分離されており、地絡電流は、コンデンサC101によって制限される。そして、LEDユニットX101の両端を実質的にグランドラインG101で短絡したことになるので、LEDユニットX101は点灯しなくなる。使用者は、LEDユニットX101の消灯によって、異常が発生したことを認識できる。
【0015】
一方、一端側電路Wb101が地絡した場合、電路Wb101は共通線W101の一部であることから、LEDユニットX101は点灯し続ける。車載用の照明器具の場合、異常が発生しても点灯し続けることは、車輌の運行上は安全な動作と考えることはできる。しかしながら、使用者は異常と認識することはできないので、異常状態が発生している状態で、電源装置が継続的に使用されると、問題が生じる虞がある。
【0016】
例えば、電源装置の出力とLEDユニットX101とを接続する配線のハーネスがなんらかの構造物に挟まれ、それが原因で電路Wb101がグランドラインG101と接触し、地絡した場合でも、異常を検出できないことになる。この正常な状態ではないモードで継続使用されると、ハーネスが過熱するなどの問題が生じることになる。また、近傍の電装品のグランドラインとの干渉が発生する虞もある。
【0017】
そこで、共通線W101に検出抵抗などを接続して、地絡を検出する方法が提案されているが、検出精度、制御の複雑化などの課題があり、地絡検出手段の構成の複雑化による部品点数の増大、コストアップなどの要因となっていた。
【0018】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷回路の両端のうちいずれが地絡した場合でも、構成を複雑にすることなく負荷回路への電力供給を低減できる非絶縁型の電源装置、およびLED駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の電源装置は、一方の極を接地した直流電源からの入力電力を所望の直流電力に変換して負荷回路へ供給する非絶縁型の電源装置であって、前記負荷回路の一端に接続したインピーダンス要素と、前記負荷回路の他端に接続した第1のコンデンサとを備えて、前記第1のコンデンサと前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を構成し、この直列回路は、前記直流電源の両極間に電気的に接続されることを特徴とする。
【0020】
この発明において、前記第1のコンデンサに電気的に接続して、前記第1のコンデンサの充放電を切り替えるスイッチング素子を備え、前記スイッチング素子がオン・オフすることによって前記直流電源の電圧を昇圧する昇圧部と、前記スイッチング素子がオン・オフすることによって前記昇圧部による昇圧電圧を降圧し、この降圧電圧を前記負荷回路へ印加する降圧部とを具備することが好ましい。
【0021】
この発明において、前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、第1のインダクタ、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、第2のインダクタが順に接続された直列回路が設けられ、前記第1のインダクタと前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、前記スイッチング素子が接続され、前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、ダイオードが接続され、前記第2のインダクタが、前記インピーダンス要素を構成することが好ましい。
【0022】
この発明において、前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、スイッチング素子、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、第1のインダクタが順に接続された直列回路が設けられ、前記スイッチング素子と前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、第2のインダクタが接続され、前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間にはダイオードが接続され、前記第1のインダクタが、前記インピーダンス要素を構成することが好ましい。
【0023】
この発明において、前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、第1のインダクタ、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、ダイオードが順に接続された直列回路が設けられ、前記第1のインダクタと前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、スイッチング素子が接続され、前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には第2のインダクタが接続され、前記ダイオードが、前記インピーダンス要素を構成することが好ましい。
【0024】
この発明において、前記負荷回路は、LED素子、または白熱灯、または抵抗素子からなる負荷を備えることが好ましい。
【0025】
この発明において、前記負荷回路は、前記負荷に並列接続した第2のコンデンサを備えることが好ましい。
【0026】
この発明において、前記負荷回路は、前記負荷の一端に接続した第3のインダクタと、前記負荷の他端に接続した第4のインダクタと、前記負荷と前記第3,第4のインダクタとの直列回路に並列接続した第2のコンデンサとを備えることが好ましい。
【0027】
この発明において、前記インピーダンス要素は、インダクタンスとキャパシタンスと抵抗とのうち、少なくとも1つで構成されることが好ましい。
【0028】
この発明において、前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を複数備えることが好ましい。
【0029】
本発明のLED駆動装置は、一方の極を接地した直流電源からの入力電力を所望の直流電力に変換して、1乃至複数のLED素子からなる負荷回路へ供給する非絶縁型のLED駆動装置であって、前記負荷回路の一端に接続したインピーダンス要素と、前記負荷回路の他端に接続した第1のコンデンサとを備えて、前記第1のコンデンサと前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を構成し、この直列回路は、前記直流電源の両極間に電気的に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明では、非絶縁型の電源装置、およびLED駆動装置において、負荷回路の両端のうちいずれが地絡した場合でも、構成を複雑にすることなく負荷回路への電力供給を低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1のシステムの概略を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(c)同上のインピーダンス要素の構成例を示す回路図である。
【図3】(a)〜(c)同上の負荷回路の構成例を示す回路図である。
【図4】実施形態2のシステム構成を示す回路図である。
【図5】同上の負荷回路の別の構成を示す回路図である。
【図6】同上の別のシステム構成を示す回路図である。
【図7】実施形態3のシステム構成を示す回路図である。
【図8】同上の負荷回路の別の構成を示す回路図である。
【図9】同上の別のシステム構成を示す回路図である。
【図10】実施形態4のシステム構成を示す回路図である。
【図11】同上の負荷回路の別の構成を示す回路図である。
【図12】同上の別のシステム構成を示す回路図である。
【図13】従来のシステム構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の電源装置A1の概略構成を示しており、電源装置A1は、コンデンサC1(第1のコンデンサ)を含むコンバータ部A11と、インピーダンス要素Z1とで非絶縁型の電源装置を構成し、直流電源E1を入力電源として、負荷回路Y1に直流電力を供給する。
【0034】
そして、直流電源E1は、その負極をグランドラインG1に接地しており、直流電源E1の両端間には、コンバータ部A11のコンデンサC1、負荷回路Y1、インピーダンス要素Z1の直列回路が接続している。具体的には、負荷回路Y1の一端にはインピーダンス要素Z1が接続し、負荷回路Y1の他端にはコンデンサC1が接続し、直流電源E1の正極側から負極側に至る経路に、コンデンサC1、負荷回路Y1、インピーダンス要素Z1を順に接続している。
【0035】
直流電源E1の負極とインピーダンス要素Z1との間の経路は共通線W1で構成されており、インピーダンス要素Z1の一端は、グランドラインG1と同電位(または略同電位)になる。さらに、コンデンサC1−負荷回路Y1間は、電路Wa1で接続され、負荷回路Y1−インピーダンス要素Z1間は、電路Wb1で接続される。
【0036】
而して、電路Wa1は、共通線W1との間に負荷回路Y1、インピーダンス要素Z1を含み、電路Wb1は、共通線W1との間にインピーダンス要素Z1を含む。したがって、負荷回路Y1の両端電路である電路Wa1,Wb1の双方が、グランドラインG1とは異なる電位になる。
【0037】
このような構成を有する電源装置A1は、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡(グランドラインG1に接触)したとしても、直流電源E1の正極からコンデンサC1を介した閉回路で地絡電流が流れる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンデンサC1によって、電源側(直流電源E1)と負荷側(負荷回路Y1)とが直流的に分離されており、回路が保護される。
【0038】
なお、コンデンサC1は、コンバータ部A11の通常の電力供給動作を行うために用いられているコンデンサであり、このコンデンサC1を、地絡時に電源側と負荷側とを分離する目的でも使用している。したがって、地絡対策用のコンデンサを追加する必要がなく、構成の簡略化、低コスト化を図ることができる。
【0039】
そして、電路Wa1が地絡した場合、直流電源E1の正極−コンデンサC1−電路Wa1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れ、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、負荷回路Y1の動作停止によって、電源装置A1に異常が発生したことを認識できる。
【0040】
また、電路Wb1が地絡した場合、直流電源E1の正極−コンデンサC1−電路Wa1−負荷回路Y1−電路Wb1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、負荷回路Y1の動作停止によって、電源装置A1に異常が発生したことを認識できる。
【0041】
このように、電路Wa1,Wb1が地絡した場合は、電源装置A1の主回路が上述の状態になるので、地絡を検出し判別する制御手段を設ける必要がなく、回路構成を簡素化、低コスト化することができる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンバータ部A11のコンデンサC1を地絡対策用のコンデンサとすることによって、構成を複雑にすることなく負荷回路Y1への電力供給を低減できる。
【0042】
図2(a)〜(c)は、インピーダンス要素Z1の構成例であり、インダクタ(図2(a))、コンデンサ(図2(b))、抵抗(図2(c))を用いて構成される。インピーダンス要素Z1は、インダクタ、コンデンサ、抵抗のいずれかを単体で用いる構成、インダクタ、コンデンサ、抵抗の2つ以上を組み合わせた構成のいずれであってもよく、コンバータ部A11の回路構成に応じて構成される。すなわち、インピーダンス要素Z1は、負荷回路Y1を流れる負荷電流を限流する機能を有する要素であればよい。
【0043】
図3(a)〜(c)は、負荷回路Y1の構成例であり、1乃至複数のLED素子(図3(a))、フィラメント電球(図3(b))、抵抗負荷(図3(c))等で構成される。負荷回路Y1にフィラメント電球を用いた場合、印加電圧を一定にするコンバータを使用する。そして、LED素子およびフィラメント電球は光源負荷なので、電路Wa1,Wb1の地絡が生じると消灯(または減灯)し、使用者は、電源装置A1に異常が発生したことを認識できる。負荷回路Y1に抵抗負荷等の駆動負荷を用いた場合でも、電路Wa1,Wb1の地絡発生時には、負荷回路Y1の動作停止によって、電源装置A1に異常が発生したことを認識できる。
【0044】
(実施形態2)
図4は、電源装置A1の具体的な回路構成を示しており、CUK(チューク)回路を基本構成とする昇降圧チョッパ回路である。以降、図4の電源装置にA1aの符号を付す。また、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0045】
このCUK回路を基本構成とする電源装置A1aは、非絶縁型の電源装置であり、直流電源E1を入力電源として、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX1に直流電力を供給するLED駆動装置を構成する。直流電源E1は、その負極をグランドラインG1に接地している。
【0046】
そして、直流電源E1の正極から負極に至る経路には、インダクタL1(第1のインダクタ)、コンデンサC1(第1のコンデンサ)、負荷回路Y1、インダクタL2(第2のインダクタ)を順に接続した直列回路が配置されている。インダクタL1とコンデンサC1との接続点と、直流電源E1の負極との間には、スイッチング素子S1が接続される。さらに、ダイオードD1のアノードが、コンデンサC1と負荷回路Y1との接続点に接続され、ダイオードD1のカソードが、直流電源E1の負極に接続されている。ここで、インダクタL2が、インピーダンス要素Z1を構成する。
【0047】
負荷回路Y1は、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX1と、コンデンサC2(第2のコンデンサ)との並列回路で構成されており、LEDユニットX1とコンデンサC2との並列回路に、電源装置A1aから直流電流が供給される。LEDユニットX1のLED素子は、そのアノードが電路Wb1に接続し、カソードが電路Wa1に接続する。
【0048】
このような電源装置A1aは、直流電源E1を電源とした昇圧機能を有するコンバータ部A11(昇圧部)と、コンデンサC1を電源とした降圧機能を有するコンバータ部A12(降圧部)とからなる。コンバータ部A11は、インダクタL1、スイッチング素子S1、コンデンサC1、ダイオードD1で構成される。コンバータ部A12は、スイッチング素子S1、コンデンサC1、ダイオードD1、インダクタL2で構成される。
【0049】
そして、図示しない制御回路によって、スイッチング素子S1がオン・オフ駆動されることによって、負荷回路Y1に直流電力が供給されて、LEDユニットX1の各LED素子が点灯する。
【0050】
以下、この回路の動作について説明する。
【0051】
まず、昇圧機能を有するコンバータ部A11の動作として、スイッチング素子S1がオンすると、直流電源E1−インダクタL1−スイッチング素子S1−直流電源E1の閉回路に電流が流れ、インダクタL1は、磁気エネルギーを蓄積する。そして、スイッチング素子S1がオフすると、インダクタL1−コンデンサC1−ダイオードD1−直流電源E1−インダクタL1の閉回路で、インダクタL1の磁気エネルギーが放出され、コンデンサC1に電荷が蓄積される。このスイッチング素子S1のオン・オフ動作によって、コンデンサC1の両端電圧は、直流電源E1より高い電圧に昇圧される。
【0052】
次に、降圧機能を有するコンバータ部A12の動作として、スイッチング素子S1がオンすると、上記の動作で蓄積されたコンデンサC1の両端電圧が電源となり、コンデンサC1の蓄積電荷が放出される。具体的には、コンデンサC1−スイッチング素子S1−インダクタL2−負荷回路Y1(LEDユニットX1、コンデンサC2)−コンデンサC1の閉回路で、コンデンサC1の蓄積電荷が放出される。このとき、インダクタL2に磁気エネルギーが蓄えられる。
【0053】
そして、スイッチング素子S1がオフすると、インダクタL2に逆起電力が発生し、スイッチング素子S1のオン時の電流方向を維持するように、インダクタL2−負荷回路Y1(LEDユニットX1、コンデンサC2)−ダイオードD1−インダクタL2の閉回路で電流が流れる。このスイッチング素子S1のオン・オフ動作によって、コンデンサC1の両端電圧より低い電圧が負荷回路Y1に印加される。負荷回路Y1への印加電圧が、直流電源E1の電圧より高いか低いかは、スイッチング素子S1の動作(オンデューティ、周波数)や回路定数によって設定できる。
【0054】
このように、スイッチング素子S1のオン・オフ動作によって、直流電源E1に対しては昇圧モードで動作し、コンデンサC1の両端電圧に対しては降圧モードで動作することになる。インダクタL1,L2の電流は、三角波のような電流波形になるが、LEDユニットX1の電流は、コンデンサC2によって平滑された直流電流となる。
【0055】
このCUK回路を基本構成とする電源装置A1aにおいて、直流電源E1の負極とインダクタL2との間の経路は共通線W1で構成されており、インダクタL2の一端は、グランドラインG1と同電位(または略同電位)になる。さらに、コンデンサC1−負荷回路Y1間は、電路Wa1で接続され、負荷回路Y1−インダクタL2間は、電路Wb1で接続される。なお、図4において、電路Wa1は、コンデンサC1−LEDユニットX1間、コンデンサC1−コンデンサC2間の各電路で構成される。また、電路Wb1は、LEDユニットX1−インダクタL2間、コンデンサC2−インダクタL2間の各電路で構成される。
【0056】
而して、電路Wa1は、共通線W1との間に、負荷回路Y1、インダクタL2を含み、電路Wb1は、共通線W1との間にインダクタL2を含む。したがって、負荷回路Y1の両端電路である電路Wa1,Wb1の双方が、グランドラインG1とは異なる電位になる。
【0057】
このようなCUK回路を基本構成とする電源装置A1aは、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡(グランドラインG1に接触)したとしても、直流電源E1の正極からコンデンサC1を通る閉回路で地絡電流が流れる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンデンサC1によって、電源側(直流電源E1)と負荷側(負荷回路Y1)とが直流的に分離されており、回路が保護される。
【0058】
なお、コンデンサC1は、CUK回路の通常の電力供給動作を行うために用いられているコンデンサであり、このコンデンサC1を、地絡時に電源側と負荷側とを分離する目的でも使用している。したがって、地絡対策用のコンデンサを追加する必要がなく、構成の簡略化、低コスト化を図ることができる。
【0059】
例えば、LEDユニットX1が、電源装置A1aから離れた場所に配置され、電源装置A1aの出力とLEDユニットX1とを接続する配線のハーネスがなんらかの構造物に挟まれることがある。この場合、電路Wa1,Wb1がグランドラインG1と接触し、地絡が発生する虞がある。
【0060】
そして、電路Wa1が地絡した場合、直流電源E1の正極−インダクタL1−コンデンサC1−電路Wa1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX1の消灯(または減光)によって、電源装置A1aに異常が発生したことを認識できる。
【0061】
また、電路Wb1が地絡した場合、直流電源E1の正極−インダクタL1−コンデンサC1−電路Wa1−負荷回路Y1(LEDユニットX1、コンデンサC2)−電路Wb1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX1の消灯(または減光)によって、電源装置A1aに異常が発生したことを認識できる。
【0062】
そして、電路Wa1,Wb1のいずれが地絡したとしても、地絡電流はインダクタL1を通るので、急峻な地絡電流が流れず、地絡電流は緩やかな波形となって、回路部品へのストレスは低減される。そして、LEDユニットX1の消灯(または減光)を検出することによって、スイッチング素子S1のオン・オフ駆動を停止させればよい。
【0063】
また、図5は、負荷回路Y1の別の形態である。コンバータ部A12は、インダクタL2の値によって、負荷回路Y1に供給する電流が、連続、不連続、臨界モードに分かれるが、その電流波形によって、LEDユニットX1を流れる電流のリプル値が大きく変わる。そこで、図5では、LEDユニットX1の両端にインダクタL31,L32(第3,4のインダクタ)をそれぞれ直列接続し、さらにこの直列回路にコンデンサC2(第2のコンデンサ)を並列接続しており、リプル電流を低減させるフィルタ機能を有している。リプル電流は、コンデンサC2、インダクタL31,L32の値、電流モードによって決定される。
【0064】
また、インピーダンス要素Z1として、抵抗のみを用いた場合、スイッチング素子S1がオン・オフしてチョッピングした電圧波形がコンデンサC2で平滑され、このコンデンサC2の平滑電圧がLEDユニットX1に印加される。この構成は、LEDユニットX1の電流が比較的小さく、LEDユニットX1の印加電圧が直流電源E1の電圧より高い場合に有効である。
【0065】
また、インピーダンス要素Z1として、抵抗とコンデンサとの並列回路を用いた場合、抵抗のみを用いる場合よりも、インピーダンス要素Z1の両端電圧を低くすることができる。また、コンデンサの充電電圧は、抵抗を介して放電される。
【0066】
また、インピーダンス要素Z1としてコンデンサのみを用いてもよい。この場合、スイッチング素子S1を非常に高い周波数でオン・オフ動作させ、インピーダンス要素Z1とコンデンサC2との間で授受される電力を用いてLEDユニットX1を点灯させる。この構成は、電源装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0067】
また、図6は、複数の負荷回路Y1を設けた電源装置A1bであり、負荷回路Y1のそれぞれには、インピーダンス要素Z1であるインダクタL2が直列接続される。この場合、いずれかの負荷回路Y1の接続電路の地絡によって、上記同様に、1つ以上の負荷回路Y1のLEDユニットX1が消灯(または減光)し、電源装置A1bに異常が発生したことを認識できる。
【0068】
(実施形態3)
図7は、電源装置A1の具体的な回路構成を示しており、ZETA SEPIC(ゼータ・セピック)回路を基本構成とする昇降圧チョッパ回路である。以降、図7の電源装置にA1cの符号を付す。また、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0069】
このZETA SEPIC回路を基本構成とする電源装置A1cは、非絶縁型の電源装置であり、直流電源E1を入力電源として、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX11に直流電力を供給するLED駆動装置を構成する。直流電源E1は、その負極をグランドラインG1に接地している。
【0070】
そして、直流電源E1の正極から負極に至る経路には、スイッチング素子S11、コンデンサC1(第1のコンデンサ)、負荷回路Y1、インダクタL11(第1のインダクタ)を順に接続した直列回路が配置されている。スイッチング素子S11とコンデンサC1との接続点と、直流電源E1の負極との間には、インダクタL12(第2のインダクタ)が接続される。さらに、ダイオードD11のアノードが、直流電源E1の負極に接続され、ダイオードD11のカソードが、コンデンサC1と負荷回路Y1との接続点に接続されている。ここで、インダクタL11が、インピーダンス要素Z1を構成する。
【0071】
負荷回路Y1は、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX11と、コンデンサC12(第2のコンデンサ)との並列回路で構成されており、LEDユニットX11とコンデンサC12との並列回路に、電源装置A1cから直流電流が供給される。LEDユニットX11のLED素子は、そのアノードが電路Wa1に接続し、カソードが電路Wb1に接続する。
【0072】
そして、図示しない制御回路によって、スイッチング素子S11がオン・オフ駆動されることによって、負荷回路Y1に直流電力が供給されて、LEDユニットX11の各LED素子が点灯する。なお、ZETA SEPIC回路の動作については周知であり、説明は省略する。
【0073】
このZETA SEPIC回路を基本構成とする電源装置A1cにおいて、直流電源E1の負極とインダクタL11との間の経路は共通線W1で構成されており、インダクタL11の一端は、グランドラインG1と同電位(または略同電位)になる。さらに、コンデンサC1−負荷回路Y1間は、電路Wa1で接続され、負荷回路Y1−インダクタL11間は、電路Wb1で接続される。なお、図7において、電路Wa1は、コンデンサC1−LEDユニットX11間、コンデンサC1−コンデンサC12間の各電路で構成される。また、電路Wb1は、LEDユニットX11−インダクタL11間、コンデンサC12−インダクタL11間の各電路で構成される。
【0074】
而して、電路Wa1は、共通線W1との間に、負荷回路Y1、インダクタL11を含み、電路Wb1は、共通線W1との間にインダクタL11を含む。したがって、負荷回路Y1の両端電路である電路Wa1,Wb1の双方が、グランドラインG1とは異なる電位になる。
【0075】
このようなZETA SEPIC回路を基本構成とする電源装置A1cは、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡(グランドラインG1に接触)したとしても、直流電源E1の正極からコンデンサC1を通る閉回路で地絡電流が流れる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンデンサC1によって、電源側(直流電源E1)と負荷側(負荷回路Y1)とが直流的に分離されており、回路が保護される。
【0076】
なお、コンデンサC1は、ZETA SEPIC回路の通常の電力供給動作を行うために用いられているコンデンサであり、このコンデンサC1を、地絡時に電源側と負荷側とを分離する目的でも使用している。したがって、地絡対策用のコンデンサを追加する必要がなく、構成の簡略化、低コスト化を図ることができる。
【0077】
例えば、LEDユニットX11が、電源装置A1cから離れた場所に配置され、電源装置A1cの出力とLEDユニットX11とを接続する配線のハーネスがなんらかの構造物に挟まれることがある。この場合、電路Wa1,Wb1がグランドラインG1と接触し、地絡が発生する虞がある。
【0078】
そして、電路Wa1が地絡した場合、直流電源E1の正極−スイッチング素子S11−コンデンサC1−電路Wa1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX11の消灯(または減光)によって、電源装置A1cに異常が発生したことを認識できる。
【0079】
また、電路Wb1が地絡した場合、直流電源E1の正極−スイッチング素子S11−コンデンサC1−電路Wa1−負荷回路Y1(LEDユニットX11、コンデンサC12)−電路Wb1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX11の消灯(または減光)によって、電源装置A1cに異常が発生したことを認識できる。
【0080】
そして、LEDユニットX11の消灯(または減光)を検出することによって、スイッチング素子S11のオン・オフ駆動を停止させればよい。
【0081】
また、図8は、負荷回路Y1の別の形態である。コンバータ部A11は、インダクタL12の値によって、負荷回路Y1に供給する電流が、連続、不連続、臨界モードに分かれるが、その電流波形によって、LEDユニットX11を流れる電流のリプル値が大きく変わる。そこで、図8では、LEDユニットX11の両端にインダクタL41,L42(第3,4のインダクタ)をそれぞれ直列接続し、さらにこの直列回路にコンデンサC12(第2のコンデンサ)を並列接続しており、リプル電流を低減させるフィルタ機能を有している。リプル電流は、コンデンサC12、インダクタL41,L42の値、電流モードによって決定される。
【0082】
また、インピーダンス要素Z1として、抵抗のみを用いた場合、スイッチング素子S11がオン・オフしてチョッピングした電圧波形がコンデンサC12で平滑され、このコンデンサC12の平滑電圧がLEDユニットX11に印加される。この構成は、LEDユニットX11の電流が比較的小さく、LEDユニットX11の印加電圧が直流電源E1の電圧より高い場合に有効である。
【0083】
また、インピーダンス要素Z1として、抵抗とコンデンサとの並列回路を用いた場合、抵抗のみを用いる場合よりも、インピーダンス要素Z1の両端電圧を低くすることができる。また、コンデンサの充電電圧は、抵抗を介して放電される。
【0084】
また、インピーダンス要素Z1としてコンデンサのみを用いてもよい。この場合、スイッチング素子S11を非常に高い周波数でオン・オフ動作させ、インピーダンス要素Z1とコンデンサC12との間で授受される電力を用いてLEDユニットX11を点灯させる。この構成は、電源装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0085】
また、図9は、複数の負荷回路Y1を設けた電源装置A1dであり、負荷回路Y1のそれぞれには、インピーダンス要素Z1であるインダクタL12が直列接続される。この場合、いずれかの負荷回路Y1の接続電路の地絡によって、上記同様に、1つ以上の負荷回路Y1のLEDユニットX11が消灯(または減光)し、電源装置A1dに異常が発生したことを認識できる。
【0086】
(実施形態4)
図10は、電源装置A1の具体的な回路構成を示しており、SEPIC(セピック)回路を基本構成とする昇降圧チョッパ回路である。以降、図10の電源装置にA1eの符号を付す。また、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0087】
このSEPIC回路を基本構成とする電源装置A1eは、非絶縁型の電源装置であり、直流電源E1を入力電源として、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX21に直流電力を供給するLED駆動装置を構成する。直流電源E1は、その負極をグランドラインG1に接地している。
【0088】
そして、直流電源E1の正極から負極に至る経路には、インダクタL21(第1のインダクタ)、コンデンサC1(第1のコンデンサ)、負荷回路Y1、ダイオードD21を順に接続した直列回路が配置されている。インダクタL21とコンデンサC1との接続点と、直流電源E1の負極との間には、スイッチング素子S21が接続される。コンデンサC1と負荷回路Y1との接続点と、直流電源E1の負極との間には、インダクタL22(第1のインダクタ)が接続される。なお、ダイオードD21は、そのアノードが負荷回路Y1に接続され、カソードが直流電源E1の負極に接続されている。ここで、ダイオードD21が、インピーダンス要素Z1を構成する。
【0089】
負荷回路Y1は、複数のLED素子を直列接続したLEDユニットX21と、コンデンサC22(第2のコンデンサ)との並列回路で構成されており、LEDユニットX21とコンデンサC22との並列回路に、電源装置A1eから直流電流が供給される。LEDユニットX21のLED素子は、そのアノードが電路Wa1に接続し、カソードが電路Wb1に接続する。
【0090】
そして、図示しない制御回路によって、スイッチング素子S21がオン・オフ駆動されることによって、負荷回路Y1に直流電力が供給されて、LEDユニットX21の各LED素子が点灯する。なお、SEPIC回路の動作については周知であり、説明は省略する。
【0091】
このSEPIC回路を基本構成とする電源装置A1eにおいて、直流電源E1の負極とダイオードD21との間の経路は共通線W1で構成されており、ダイオードD21の一端は、グランドラインG1と同電位(または略同電位)になる。さらに、コンデンサC1−負荷回路Y1間は、電路Wa1で接続され、負荷回路Y1−ダイオードD21間は、電路Wb1で接続される。なお、図10において、電路Wa1は、コンデンサC1−LEDユニットX21間、コンデンサC1−コンデンサC22間の各電路で構成される。また、電路Wb1は、LEDユニットX21−ダイオードD21間、コンデンサC22−ダイオードD21間の各電路で構成される。
【0092】
而して、電路Wa1は、共通線W1との間に、負荷回路Y1、ダイオードD21を含み、電路Wb1は、共通線W1との間にダイオードD21を含む。したがって、負荷回路Y1の両端電路である電路Wa1,Wb1の双方が、グランドラインG1とは異なる電位になる。
【0093】
このようなSEPIC回路を基本構成とする電源装置A1eは、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡(グランドラインG1に接触)したとしても、直流電源E1の正極からコンデンサC1を通る閉回路で地絡電流が流れる。すなわち、電路Wa1,Wb1のうちいずれが地絡したとしても、コンデンサC1によって、電源側(直流電源E1)と負荷側(負荷回路Y1)とが直流的に分離されており、回路が保護される。
【0094】
なお、コンデンサC1は、SEPIC回路の通常の電力供給動作を行うために用いられているコンデンサであり、このコンデンサC1を、地絡時に電源側と負荷側とを分離する目的でも使用している。したがって、地絡対策用のコンデンサを追加する必要がなく、構成の簡略化、低コスト化を図ることができる。
【0095】
例えば、LEDユニットX21が、電源装置A1eから離れた場所に配置され、電源装置A1eの出力とLEDユニットX21とを接続する配線のハーネスがなんらかの構造物に挟まれることがある。この場合、電路Wa1,Wb1がグランドラインG1と接触し、地絡が発生する虞がある。
【0096】
そして、電路Wa1が地絡した場合、直流電源E1の正極−インダクタL21−コンデンサC1−電路Wa1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX21の消灯(または減光)によって、電源装置A1eに異常が発生したことを認識できる。
【0097】
また、電路Wb1が地絡した場合、直流電源E1の正極−インダクタL21−コンデンサC1−電路Wa1−負荷回路Y1(LEDユニットX21、コンデンサC22)−電路Wb1−グランドラインG1−直流電源E1の負極を通る閉回路で地絡電流が流れる。これは、正常な回路動作時の電流経路とは異なるため、負荷回路Y1への電力供給が抑制される。使用者は、LEDユニットX21の消灯(または減光)によって、電源装置A1eに異常が発生したことを認識できる。
【0098】
そして、電路Wa1,Wb1のいずれが地絡したとしても、地絡電流はインダクタL21を通るので、急峻な地絡電流が流れず、地絡電流は緩やかな波形となって、回路部品へのストレスは低減される。そして、LEDユニットX21の消灯(または減光)を検出することによって、スイッチング素子S21のオン・オフ駆動を停止させればよい。
【0099】
また、図11は、負荷回路Y1の別の形態である。コンバータ部A11は、インダクタL22の値によって、負荷回路Y1に供給する電流が、連続、不連続、臨界モードに分かれるが、その電流波形によって、LEDユニットX21を流れる電流のリプル値が大きく変わる。そこで、図11では、LEDユニットX21の両端にインダクタL51,L52(第3,4のインダクタ)をそれぞれ直列接続し、さらにこの直列回路にコンデンサC22(第2のコンデンサ)を並列接続しており、リプル電流を低減させるフィルタ機能を有している。リプル電流は、コンデンサC22、インダクタL51,L52の値、電流モードによって決定される。
【0100】
また、図12は、複数の負荷回路Y1を設けた電源装置A1fであり、負荷回路Y1のそれぞれには、インピーダンス要素Z1であるダイオードD21が直列接続される。この場合、いずれかの負荷回路Y1の接続電路の地絡によって、上記同様に、1つ以上の負荷回路Y1のLEDユニットX21が消灯(または減光)し、電源装置A1fに異常が発生したことを認識できる。
【符号の説明】
【0101】
A1 電源装置
E1 直流電源
C1 コンデンサ(第1のコンデンサ)
Y1 負荷回路
Z1 インピーダンス要素
G1 グランドライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の極を接地した直流電源からの入力電力を所望の直流電力に変換して負荷回路へ供給する非絶縁型の電源装置であって、
前記負荷回路の一端に接続したインピーダンス要素と、前記負荷回路の他端に接続した第1のコンデンサとを備えて、前記第1のコンデンサと前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を構成し、この直列回路は、前記直流電源の両極間に電気的に接続される
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第1のコンデンサに電気的に接続して、前記第1のコンデンサの充放電を切り替えるスイッチング素子を備え、
前記スイッチング素子がオン・オフすることによって前記直流電源の電圧を昇圧する昇圧部と、
前記スイッチング素子がオン・オフすることによって前記昇圧部による昇圧電圧を降圧し、この降圧電圧を前記負荷回路へ印加する降圧部とを具備する
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、第1のインダクタ、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、第2のインダクタが順に接続された直列回路が設けられ、
前記第1のインダクタと前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、前記スイッチング素子が接続され、
前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、ダイオードが接続され、
前記第2のインダクタが、前記インピーダンス要素を構成する
ことを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、スイッチング素子、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、第1のインダクタが順に接続された直列回路が設けられ、
前記スイッチング素子と前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、第2のインダクタが接続され、
前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間にはダイオードが接続され、
前記第1のインダクタが、前記インピーダンス要素を構成する
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項5】
前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、第1のインダクタ、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、ダイオードが順に接続された直列回路が設けられ、
前記第1のインダクタと前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、スイッチング素子が接続され、
前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には第2のインダクタが接続され、
前記ダイオードが、前記インピーダンス要素を構成する
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項6】
前記負荷回路は、LED素子、または白熱灯、または抵抗素子からなる負荷を備えることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の電源装置。
【請求項7】
前記負荷回路は、前記負荷に並列接続した第2のコンデンサを備えることを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項8】
前記負荷回路は、前記負荷の一端に接続した第3のインダクタと、前記負荷の他端に接続した第4のインダクタと、前記負荷と前記第3,第4のインダクタとの直列回路に並列接続した第2のコンデンサとを備えることを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項9】
前記インピーダンス要素は、インダクタンスとキャパシタンスと抵抗とのうち、少なくとも1つで構成されることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の電源装置。
【請求項10】
前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を複数備えることを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の電源装置。
【請求項11】
一方の極を接地した直流電源からの入力電力を所望の直流電力に変換して、1乃至複数のLED素子からなる負荷回路へ供給する非絶縁型のLED駆動装置であって、
前記負荷回路の一端に接続したインピーダンス要素と、前記負荷回路の他端に接続した第1のコンデンサとを備えて、前記第1のコンデンサと前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を構成し、この直列回路は、前記直流電源の両極間に電気的に接続される
ことを特徴とするLED駆動装置。
【請求項1】
一方の極を接地した直流電源からの入力電力を所望の直流電力に変換して負荷回路へ供給する非絶縁型の電源装置であって、
前記負荷回路の一端に接続したインピーダンス要素と、前記負荷回路の他端に接続した第1のコンデンサとを備えて、前記第1のコンデンサと前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を構成し、この直列回路は、前記直流電源の両極間に電気的に接続される
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第1のコンデンサに電気的に接続して、前記第1のコンデンサの充放電を切り替えるスイッチング素子を備え、
前記スイッチング素子がオン・オフすることによって前記直流電源の電圧を昇圧する昇圧部と、
前記スイッチング素子がオン・オフすることによって前記昇圧部による昇圧電圧を降圧し、この降圧電圧を前記負荷回路へ印加する降圧部とを具備する
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、第1のインダクタ、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、第2のインダクタが順に接続された直列回路が設けられ、
前記第1のインダクタと前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、前記スイッチング素子が接続され、
前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、ダイオードが接続され、
前記第2のインダクタが、前記インピーダンス要素を構成する
ことを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、スイッチング素子、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、第1のインダクタが順に接続された直列回路が設けられ、
前記スイッチング素子と前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、第2のインダクタが接続され、
前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間にはダイオードが接続され、
前記第1のインダクタが、前記インピーダンス要素を構成する
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項5】
前記直流電源の前記他方の極から前記一方の極に至る経路には、第1のインダクタ、前記第1のコンデンサ、前記負荷回路、ダイオードが順に接続された直列回路が設けられ、
前記第1のインダクタと前記第1のコンデンサとの接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には、スイッチング素子が接続され、
前記第1のコンデンサと前記負荷回路との接続点と、前記直流電源の前記一方の極との間には第2のインダクタが接続され、
前記ダイオードが、前記インピーダンス要素を構成する
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項6】
前記負荷回路は、LED素子、または白熱灯、または抵抗素子からなる負荷を備えることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の電源装置。
【請求項7】
前記負荷回路は、前記負荷に並列接続した第2のコンデンサを備えることを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項8】
前記負荷回路は、前記負荷の一端に接続した第3のインダクタと、前記負荷の他端に接続した第4のインダクタと、前記負荷と前記第3,第4のインダクタとの直列回路に並列接続した第2のコンデンサとを備えることを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項9】
前記インピーダンス要素は、インダクタンスとキャパシタンスと抵抗とのうち、少なくとも1つで構成されることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の電源装置。
【請求項10】
前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を複数備えることを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の電源装置。
【請求項11】
一方の極を接地した直流電源からの入力電力を所望の直流電力に変換して、1乃至複数のLED素子からなる負荷回路へ供給する非絶縁型のLED駆動装置であって、
前記負荷回路の一端に接続したインピーダンス要素と、前記負荷回路の他端に接続した第1のコンデンサとを備えて、前記第1のコンデンサと前記負荷回路と前記インピーダンス要素との直列回路を構成し、この直列回路は、前記直流電源の両極間に電気的に接続される
ことを特徴とするLED駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−98297(P2013−98297A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238741(P2011−238741)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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