説明

電源装置、点灯装置、灯具、車両

【課題】トランスを用いることなく、出力に地絡や天絡の異常が発生した場合にも回路が壊れることのない電源装置、点灯装置、灯具、車両を提供する。
【解決手段】電源装置1は、一対の入力端21,22間にスイッチング素子S1と第1のインダクタL1との直列回路を備え、一対の出力端31,32間に第2のインダクタL2とダイオードD1との直列回路を備えている。スイッチング素子S1と第1のインダクタL1とは一端同士が互いに接続され、スイッチング素子S1の他端が正極側の入力端21に接続される。第2のインダクタL2はその一端がダイオードD1のカソードと接続され、他端が第1の出力端31に接続される。第1のコンデンサC1は、第1のインダクタL1の一端とダイオードD1のカソードとの間に接続され、第2のコンデンサC2は、第1のインダクタL1の他端とダイオードD1のアノードとの間に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源からの電力を変換して負荷へ供給する電源装置、点灯装置、灯具、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電源装置は、たとえば車両における前照灯などの灯具に用いられ、発光ダイオード(LED)などの光源からなる負荷に電力供給する(たとえば特許文献1参照)。特許文献1記載の電源装置は、トランスによって1次側の電流経路と二次側の電流経路とが分離されたDC−DC変換回路(フライバックコンバータ)を有し、DC−DC変換回路の出力電圧の異常の有無を判定する出力異常状態判定手段を備えている。
【0003】
この種の電源装置においては、たとえば配線の噛み込みや劣化による短絡、誤配線などによって、電源装置の出力線が直流電源(バッテリー)のグランド(負極側)に接触(地絡)したり、活線(正極側)に接触(天絡)したりする可能性がある。特許文献1記載の電源装置は、このような地絡や天絡が発生した場合でも、出力異常状態判定手段にて出力異常と判定されるとDC−DC変換回路の出力動作を停止させるので、回路の保護が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−284721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の電源装置では、出力に地絡や天絡が発生した時に回路を保護できるものの、DC−DC変換回路にトランスを用いているので、低コスト化が困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されており、トランスを用いることなく、出力に地絡や天絡の異常が発生した場合にも回路が壊れることのない電源装置、点灯装置、灯具、車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電源装置は、オンとオフとを交互に繰り返すスイッチング素子および第1のインダクタの直列回路からなり、直流電源が接続される一対の入力端間に前記スイッチング素子を前記直流電源の正極側とするように接続された第1の直列回路と、第2のインダクタおよび整流素子の直列回路からなり、負荷が接続される一対の出力端間に前記第2のインダクタを前記整流素子のカソード側とするように接続された第2の直列回路と、前記第1のインダクタにおける前記スイッチング素子との接続点である一端と前記整流素子のカソードとの間に接続された第1のコンデンサと、前記第1のインダクタの他端と前記整流素子のアノードとの間に接続された前記第2のコンデンサとを備えることを特徴とする。
【0008】
この電源装置において、前記第2のコンデンサと並列に接続された抵抗をさらに備えることが望ましい。
【0009】
この電源装置において、前記第2のコンデンサは、前記第1のコンデンサに比べて容量が大きいことがより望ましい。
【0010】
この電源装置において、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路をさらに備え、前記制御回路は、前記第2のコンデンサと前記整流素子との接続点の電位を監視し、当該電位が所定の閾値を下回ると前記スイッチング素子のスイッチング動作を停止することがより望ましい。
【0011】
この電源装置において、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路と、前記第2のコンデンサにおける前記整流素子の接続点と前記出力端との間に挿入された検出用抵抗の両端電圧を監視することにより、前記出力端から前記負荷に流れる出力電流の大きさを計測する電流計測部とをさらに備え、前記制御回路は、前記電流計測部の計測値が所定の基準値となるように前記スイッチング素子を制御しており、前記第2のコンデンサと前記整流素子との接続点の電位が所定の閾値を下回る期間が所定時間継続すると、前記スイッチング素子のスイッチング動作の停止状態を維持することがより望ましい。
【0012】
本発明の点灯装置は、上記電源装置を備え、半導体発光素子を用いた光源負荷が前記負荷として前記出力端に接続され、前記光源負荷に電力供給することにより前記光源負荷を点灯させることを特徴とする。
【0013】
本発明の灯具は、上記点灯装置を灯体に備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の車両は、上記灯具を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、トランスを用いることなく、出力に地絡や天絡の異常が発生した場合にも回路が壊れることのない構成を実現できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る電源装置の構成を示す概略回路図である。
【図2】実施形態1に係る電源装置の基本構成を示す概略回路図である。
【図3】実施形態1に係る電源装置の動作を説明する図である。
【図4】実施形態1に係る電源装置の動作を説明する波形図である。
【図5】実施形態1に係る電源装置で地絡、天絡が発生した状態を示す説明図である。
【図6】実施形態1に係る電源装置の地絡発生時の動作を説明する波形図である。
【図7】実施形態1に係る電源装置の地絡発生時の動作を説明する波形図である。
【図8】実施形態2の電源装置の構成を示す概略回路図である。
【図9】実施形態2に係る電源装置の動作を説明する波形図である。
【図10】実施形態2に係る電源装置を用いた点灯装置の構成を示す概略回路図である。
【図11】実施形態2に係る電源装置を用いた灯具の断面図である。
【図12】実施形態2に係る電源装置を用いた車両の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
本実施形態においては、車両に用いられ、直流電源(たとえば12Vの車載バッテリー)からの電力を変換して負荷(たとえば発光ダイオード)へ供給する電源装置を例に説明する。
【0018】
本実施形態の電源装置1は、図2に示すように、直流電源2(図1参照)が接続される一対の入力端(電源接続端子)21,22と、負荷3(図1参照)が接続される一対の出力端(負荷接続端子)31,32とを備えている。なお、図2は電源装置1の基本構成を示す概略回路図であり、図1はこの基本構成を具現した電源装置1の概略回路図である。
【0019】
この電源装置1は、入力端21,22間に、スイッチング素子S1と第1のインダクタL1との直列回路からなる第1の直列回路11を備え、出力端31,32間に、第2のインダクタL2とダイオードD1との直列回路からなる第2の直列回路12を備えている。
【0020】
ここで、第1の直列回路11は、スイッチング素子S1を直流電源2の正極(プラス)側である第1の入力端(正極入力端)21に接続し、第1のインダクタL1を直流電源2の負極(マイナス)側である第2の入力端(負極入力端)22に接続している。つまり、スイッチング素子S1と第1のインダクタL1とは一端同士が互いに接続され、スイッチング素子S1の他端が第1の入力端21に接続され、第1のインダクタL1の他端が第2の入力端22に接続されている。
【0021】
第2の直列回路12は、第2のインダクタL2を第1の出力端31に接続し、ダイオードD1のアノードを第2の出力端32に接続している。つまり、第2のインダクタL2はその一端がダイオードD1のカソードと接続され、第2のインダクタL2の他端が第1の出力端31に接続され、ダイオードD1のアノードが第2の出力端32に接続されている。第1の出力端31は高電位側となる負荷3の一端に接続され、第2の出力端32は低電位側となる負荷3の他端に接続される。
【0022】
また、電源装置1は、第1の直列回路11と第2の直列回路12との間に接続された第1のコンデンサC1および第2のコンデンサC2を備えている。第1のコンデンサC1は、第1のインダクタL1の一端(スイッチング素子S1との接続点)と、ダイオードD1のカソード(第2のインダクタL2との接続点)との間に接続されている。第2のコンデンサC2は、第1のインダクタL1の他端(第2の入力端22)と、ダイオードD1のアノード(第2の出力端32)との間に接続されている。
【0023】
さらに、本実施形態の電源装置1は、図1に示すようにスイッチング素子S1のオン/オフ動作を制御する制御回路13と、一対の出力端31,32間に接続された第3のコンデンサC3とを備えている。第3のコンデンサC3は、平滑用に設けられており、一対の出力端31,32間において第2の直列回路12と並列に接続されている。ここでは、スイッチング素子S1としては電圧駆動型のMOS−FET(Metal-Oxide-SemiconductorField-Effect Transistor)が用いられ、制御回路13はスイッチング素子S1のゲート端子に接続されている。なお、スイッチング素子S1はMOS−FETに限らず他の素子であってもよく、整流素子についてもダイオードD1に限らず他の素子でもよい。
【0024】
制御回路13は、回路部品小型化の観点から周波数が数百kHzの駆動信号をスイッチング素子S1に対して出力し、スイッチング素子S1を高周波でオン/オフさせる。ここでは、制御回路13は、周波数固定でスイッチング素子S1のオンデューティを変化させるPWM(Pulse WidthModulation)制御によりスイッチング素子S1のオン/オフ動作を制御する。具体的には、制御回路13は、電源装置1への入力電流や入力電圧を監視し、これらの値が所定値となるようにスイッチング素子S1のオン/オフ動作を制御することで所望の出力を得る。あるいは、制御回路13は、たとえばフォトカプラを使用し、電源装置1からの出力電流や出力電圧を監視し、これらの値が所定値となるように直接的に制御する構成であってもよい。
【0025】
次に、上述した構成の電源装置1において、制御回路13によりスイッチング素子S1がオンとオフとを交互に繰り返した場合の基本的な動作について、図3および図4を参照しながら説明する。図3では、スイッチング素子S1がオンのときの動作を(a)、オフのときの動作を(b)に示している。図3中「+」印は第1〜3のコンデンサC1〜C3に発生する電圧の極性(「+」が正極側)を表している(図5以降も同様)。図4は、横軸を時間軸として、(a)がスイッチング素子S1のオン/オフ、(b)が電流I1、(c)が電流I2、(d)が入力電圧V10、(e)が電圧(V2−V1)、(f)が電圧(−V3)、(g)が出力電圧V11を表している。
【0026】
ここで、図3および図4中の「V10」は電源装置1への入力電圧、「V11」は電源装置1からの出力電圧を示し、「I1」は第1のインダクタL1に流れる電流、「I2」は第2のインダクタL2に流れる電流を示している(図5以降も同様)。図3中の「P1」はコンデンサC1のスイッチング素子S1およびインダクタL1との接続点、「P2」はコンデンサC1のインダクタL2およびダイオードD1との接続点、「P3」はコンデンサC2のダイオードD1との接続点を示す(図5以降も同様)。図4における「V1」はP1点の電位(グランド基準)、「V2」はP2点の電位(グランド基準)、「V3」はP3点の電圧(グランド基準)を示している(図5以降も同様)。
【0027】
まず、時刻t0(図4参照)にスイッチング素子S1がオンすると、スイッチング素子S1のオン期間(t0〜t1)に、第1のインダクタL1に流れる電流I1は時間経過に伴って増加し、直流電源2から第1のインダクタL1にエネルギーが蓄えられる。
【0028】
また、このとき(t0〜t1)、時刻t0より前のスイッチング素子S1のオフ期間において第1および第2のコンデンサC1,C2に蓄えられていたエネルギーが、第2のインダクタL2および負荷(第3のコンデンサC3)3へ伝達される。さらにこのとき、第1および第2のコンデンサC1,C2に蓄えられたエネルギーを受けて第2のインダクタL2に流れる電流I2は時間経過に伴って増加し、第2のインダクタL2にはエネルギーが蓄えられる。これにより、第1のコンデンサC1の両端電圧(V2−V1)および第2のコンデンサC2の両端電圧(−V3)は低下する。
【0029】
次に、時刻t1にスイッチング素子S1がオフすると、第1のインダクタL1に蓄えられていたエネルギーは、スイッチング素子S1のオフ期間(t1〜t2)に、第1および第2のコンデンサC1,C2へダイオードD1を介して伝達される。これにより、第1のコンデンサC1の両端電圧(V2−V1)および第2のコンデンサC2の両端電圧(−V3)は上昇し、第1のインダクタL1に流れる電流I1は時間経過に伴って減少する。また、このとき(t1〜t2)、第2のインダクタL2に蓄えられていたエネルギーは負荷(第3のコンデンサC3)3へ伝達され、第2のインダクタL2に流れる電流I2は時間経過に伴って減少する。
【0030】
電源装置1は、上述したようなスイッチング素子S1のオン期間の動作とオフ期間の動作とを時刻t2以降においても繰り返すことにより、各部に図4に示すような電圧、電流が発生し、負荷3に電力を供給する。なお、本実施形態では、出力端31,32間に接続された第3のコンデンサC3によって、電源装置1の出力電圧V11は平滑される。
【0031】
ここで、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とで静電容量が同じ場合、エネルギーの観点から第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とでは発生する電圧は同じであり、図4(a)〜(g)はそのときの波形を示している。つまり、第1のコンデンサC1の電圧(V2−V1)と、第2のコンデンサC2の電圧(−V3)は同様の波形となる(図4(e)および(f)参照)。また、本実施形態の回路構成では、第1および第2のコンデンサC1,C2に発生する電圧(V2−V1、および−V3)を加えた値は、出力電圧V11と略同じ値になる。
【0032】
なお、上記の説明では、電源装置1の基本動作を分かり易く説明するために、第1および第2のインダクタL1,L2に流れる電流I1,I2がゼロになることなく連続して流れるモード(電流連続モード)を例に説明した。また、出力電圧V11についても、第3のコンデンサC3により完全に平滑された値として示した(図4(g)参照)。実際には、コンデンサC1,C2やインダクタL1,L2の定数やスイッチング素子S1の駆動周波数、あるいは負荷3のインピーダンスなどによって、たとえば電流I1,I2の脈動が増えたり、よりフラットになったりするが、基本的な動作は上述の通りである。
【0033】
次に、電源装置1の出力に地絡あるいは天絡が生じた場合の電源装置1の動作について、図5〜7を参照しながら順に説明する。
【0034】
まず、図5に(1)で示すように低電位側となる第2の出力端32が直流電源2のグランド(負極)に接触して地絡が発生している場合、電源装置1の動作波形は図6に示すようになる。図6は、図4と異なる部分のみを抽出して示しており、横軸を時間軸として、(a)がスイッチング素子S1のオン/オフ、(b)が第1のコンデンサC1の電圧(V2−V1)、(c)が第2のコンデンサC2の電圧(−V3)、(d)が出力電圧V11を表している。
【0035】
この場合、地絡によって第2の出力端32の電位は直流電源2のグランドに固定される。そのため、第2のコンデンサC2の電圧(−V3)はゼロとなる一方(図6(c)参照)、第1のコンデンサC1の電圧(V2−V1)がその分上昇する(図6(b)参照)。本実施形態の電源装置1においては、このような異常(地絡)発生時であっても、必要があればスイッチング素子S1のオン/オフ動作を制御することにより、負荷3への電力供給を継続することが可能である。
【0036】
また、図5に(2)で示すように高電位側となる第1の出力端31が直流電源2のグランドに接触して地絡が発生している場合、電源装置1の動作波形は図7に示すようになる。図7は、図4と異なる部分のみを抽出して示しており、横軸を時間軸として、(a)がスイッチング素子S1のオン/オフ、(b)が第1のコンデンサC1の電圧(V2−V1)、(c)が第2のコンデンサC2の電圧(−V3)、(d)が出力電圧V11を表している。
【0037】
この場合、地絡によって第1の出力端31の電位は直流電源2のグランドに固定される。そのため、第2のコンデンサC2の電圧(−V3)は出力電圧V11により決まる電位となり、その際、第1のコンデンサC1の電圧(V2−V1)はその影響により略ゼロになる。本実施形態の電源装置1においては、このような異常(地絡)発生時であっても、図5(1)のケースと同様に、必要があればスイッチング素子S1のオン/オフ動作を制御することにより、負荷3への電力供給を継続することが可能である。
【0038】
また、図5に(3)で示すように第2の出力端32が直流電源2の活線(正極)に接触して天絡が発生している場合、動作波形の図示は省略するが、地絡の場合と同じように第2の出力端32の電位は直流電源2の正電位に固定される。本実施形態の電源装置1においては、このような異常(天絡)発生時であっても、図5(1)のケースと同様に、必要があればスイッチング素子S1のオン/オフ動作を制御することにより、負荷3への電力供給を継続することが可能である。
【0039】
同様に、図5に(4)で示すように第1の出力端31が直流電源2の活線に接触して天絡が発生している場合も、動作波形の図示は省略するが、地絡の場合と同じように第1の出力端31の電位は直流電源2の正電位に固定される。本実施形態の電源装置1においては、このような異常(天絡)発生時であっても、図5(1)のケースと同様に、必要があればスイッチング素子S1のオン/オフ動作を制御することにより、負荷3への電力供給を継続することが可能である。
【0040】
以上説明した構成の電源装置1によれば、トランスを用いていないにもかかわらず、出力に地絡や天絡の異常が発生した場合に回路が壊れることなく負荷3への電力供給を継続できるという利点がある。すなわち、本実施形態の電源装置1は、直流電源2に接続される入力端21,22と、負荷3に接続される出力端31,32とが、第1の直列回路11−第2の直列回路12間に設けられた第1および第2のコンデンサC1,C2によって直流的に遮断されている。つまり、電源装置1は、第1および第2のコンデンサC1,C2によって入力側と出力側とを直流的に遮断しているので、たとえば出力に地絡や天絡の異常が生じても、この異常が入力に影響することはなく、回路が壊れることなく負荷3への電力供給を継続できる。
【0041】
しかも、この電源装置1は、入力端21,22と出力端31,32との間をコンデンサC1,C2によって遮断しているので、トランスを用いて絶縁する構成に比べて、簡単な回路構成を採用でき、トランスが不要になった分コストを低く抑えることができる。
【0042】
さらに、本実施形態の電源装置1は、出力側(第1の出力端31)に第2のインダクタL2が設けられているので、出力側の電流、電圧のリップルを低く抑えることができる。また、本実施形態によれば、入力端21,22に接続された直流電源2の電圧を、負荷3に適した電圧に昇圧または降圧(つまり昇降圧)して、供給することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、第1および第2のコンデンサC1,C2の静電容量が同じ場合を例に説明したが、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とで静電容量が異なっていてもよい。すなわち、第1および第2のコンデンサC1,C2の静電容量を意図的に異なる値としておくことにより、エネルギーの観点から第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とで発生する電圧の分担を変化させることが可能である。たとえば、第2のコンデンサC2の静電容量を第1のコンデンサC1の静電容量よりも大きくすることによって、第2の出力端32の電位(V3)を直流電源2のグランドレベルに近づけることができる。このような第1および第2のコンデンサC1,C2の静電容量の設定(選択)は、たとえば出力制御のために出力の電位を所定の範囲にする場合などに有効である。
【0044】
また、制御回路13によるスイッチング素子S1の制御方法に関しては、周波数固定のPWM制御は一例に過ぎず、PWM制御に限らず他の方法(例えば周波数制御など)であってもよい。
【0045】
(実施形態2)
本実施形態の電源装置1は、図8に示すように、第2のコンデンサC2と並列に接続された第1の抵抗R1を備える点が、実施形態1の電源装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0046】
すなわち、本実施形態では、電源装置1は、第2の入力端22に接続された第1のインダクタL1の他端と、第2の出力端32に接続されたダイオードD1のアノードとの間に、第2のコンデンサC2および第1の抵抗R1の並列回路を備えている。この電源装置1は、第2のコンデンサC2と並列に第1の抵抗R1を接続したことにより、第2のコンデンサC2の電圧(−V3)を、第1の抵抗R1の抵抗値に応じた値に設定可能である。要するに、第1の抵抗R1の値を調節することによって、第2のコンデンサC2の電圧を意図的に任意の値に設定することができる。
【0047】
図9は、第1の抵抗R1の抵抗値を比較的小さく設定(たとえば100Ω以下)した場合の電源装置1の動作波形を示している。図9は、図4と異なる部分のみを抽出して示しており、横軸を時間軸として、(a)がスイッチング素子S1のオン/オフ、(b)が第1のコンデンサC1の電圧(V2−V1)、(c)が第2のコンデンサC2の電圧(−V3)、(d)が出力電圧V11を表している。
【0048】
この場合、第2のコンデンサC2の電圧(−V3)は略ゼロとなり(図9(c)参照)、第1のコンデンサC1の電圧(V2−V1)は、実施形態1で述べたようにその分上昇する(図9(b)参照)。このように、第1の抵抗R1の抵抗値を比較的小さく設定することによって、たとえば出力検出回路の構成を簡略化する目的で、第2の出力端32の電位(V3)を意図的に直流電源2のグランドレベルに近づけることができる。
【0049】
逆に、第1の抵抗R1の抵抗値を比較的大きく設定(たとえば1kΩ)した場合には、第2のコンデンサC2の電圧(−V3)は数V程度を中心として脈動する電圧となる。
【0050】
また、この電源装置1は、目的とする出力の異常状態(地絡あるいは天絡)に対応できる抵抗R1の定数が選定されていると、異常発生のモードによっては異常発生時に抵抗R1を介して入出力間に直流電流が流れることがあるが、異常時にも回路が壊れない。そのため、電源装置1は、入出力間がトランスを用いて絶縁される構成に比べて、簡単な回路構成を採用でき、トランスが不要になった分コストを低く抑えることができる。
【0051】
なお、本実施形態において、第2のコンデンサC2の静電容量を第1のコンデンサC1の静電容量よりも大きくすることで、第2のコンデンサC2の電圧(−V3)のリップルを低減することができ、上記リップルも含めてゼロに近い電圧を得たい場合に有効である。
【0052】
次に、本実施形態の電源装置1を点灯装置に適用した場合を例として、電源装置1のより具体的な構成について説明する。
【0053】
電源装置1を備えた点灯装置は、図10に示すように、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を用いた光源負荷30が負荷として一対の出力端31,32間に接続され、光源負荷30に電力(定電流)を供給することにより光源負荷30を点灯させる。光源負荷30は、たとえば直列接続された複数個(図10では2個)のLED(発光ダイオード)モジュール301,302で構成され、各LEDモジュール301,302は、たとえば直列接続された4個のLEDチップ(半導体発光素子)で構成されている。
【0054】
図10に示す電源装置1は、図8の構成に加え、一対の入力端21,22間に接続された第4のコンデンサC4と、第3のコンデンサC3におけるダイオードD1のアノードの接続点と第2の出力端32との間に接続された第2の抵抗R2とをさらに備えている。第4のコンデンサC4は平滑用であって、第2の抵抗R2は出力端31,32から光源負荷39に流れる出力電流の大きさを計測するための検出用抵抗である。この電源装置1は、検出用抵抗たる第2の抵抗R2と制御回路13との組み合わせにより、出力電流を一定とする定電流制御が可能な点灯装置を構成する。
【0055】
以下、制御回路13の具体的な構成について、図10を参照しながら説明する。なお、図10では、「P4」は第2の抵抗R2における第2の出力端32との接続点を示している。
【0056】
制御回路13は、オペアンプ131、コンデンサC13および抵抗R13,R14,R15,R19で構成された差動増幅回路41と、オペアンプ132、コンデンサC12および抵抗R12で構成された誤差演算回路42とを備えている。
【0057】
差動増幅回路41は、オペアンプ131の反転入力−出力間にコンデンサC13と抵抗R13との並列回路が接続され、オペアンプ131の非反転入力が抵抗R15を介してグランドに接続されている。さらに、オペアンプ131の反転入力には第2の抵抗R2の一端(第3のコンデンサC3との接続点)が抵抗R14を介して接続され、オペアンプ131の非反転入力には第2の抵抗R2の他端(P4)が抵抗R19を介して接続されている。これにより、差動増幅回路41は、第2の抵抗R2の両端間に発生する電位差(P4点の電位V4とP3点の電位V3との差分)を増幅し、出力電流を計測する電流計測部を構成する。
【0058】
誤差演算回路(比例積分制御で構成)42は、オペアンプ132の反転入力−出力間にコンデンサC12と抵抗R12との直列回路が接続されている。さらに、オペアンプ132の反転入力には差動増幅回路41の出力(オペアンプ131の出力)が接続され、オペアンプ132の非反転入力には第1の基準電圧Vref1が印加されている。これにより、誤差演算回路42は、出力電流の計測結果を基準電圧Vref1と比較して、誤差演算結果を次段の比較回路へ与える。
【0059】
さらに、制御回路13は、誤差演算回路42の出力(オペアンプ132の出力)と、高周波の三角波を発振信号として出力するオシレータ(高周波発振回路)133の出力とを比較するコンパレータ134からなる比較回路を備えている。コンパレータ134は、誤差演算回路42の出力をオシレータ133からの発振信号と比較することにより、スイッチング素子S1の駆動信号(PWM信号)を生成する。
【0060】
上記構成により、制御回路13は、差動増幅回路41の出力(出力電流の計測結果)が基準電圧Vref1と等しくなるように、スイッチング素子S1の駆動信号のオンデューティを決定する。コンパレータ134は生成した駆動信号を第1のアンド(論理積)回路130を介してスイッチング素子S1に出力しており、これにより、制御回路13は電源装置1の出力電流が定電流となるようなフィードバック制御を実現する。ここにおいて、電源装置1は、出力電流の検出に差動増幅回路41を用い、出力に異常が発生した場合でも電流検出用の抵抗R2に流れる電流値を検出し、この検出値が基準電圧Vref1となるようにフィードバック制御によるスイッチング動作を行っている。そのため、出力異常発生時において、光源負荷30などへの過大な電流が発生するのを抑制することができる。
【0061】
次に、制御回路13において、電源装置1の出力に発生する地絡や天絡などの異常を検出するための構成について説明する。
【0062】
制御回路13は、オペアンプ135、コンデンサC20および抵抗R20,R21,R22で構成された反転増幅回路43と、コンパレータ136と、第2のアンド回路137とを備えている。
【0063】
反転増幅回路43は、オペアンプ135の反転入力−出力間にコンデンサC20と抵抗R20との並列回路が接続され、オペアンプ135の非反転入力が抵抗R22を介してグランドに接続されている。さらに、オペアンプ135の反転入力にはP3点(第2のコンデンサC2におけるダイオードD1との接続点)が抵抗R21を介して接続され、オペアンプ135の出力はコンパレータ136の反転入力に接続されている。これにより、反転増幅回路43は、P3点の電位V3を反転増幅してコンパレータ136に出力する。
【0064】
コンパレータ136は、非反転入力に基準電圧Vref2が印加されており、この基準電圧Vref2を反転増幅回路43の出力(電位V3の反転増幅)が上回ると、直ちに出力をLレベルとする。コンパレータ136の出力は第2のアンド回路137に入力されており、第2のアンド回路137の出力は第1のアンド回路130に入力されている。
【0065】
したがって、制御回路13は、コンパレータ136の出力がLレベルになると、第2のアンド回路137の出力がLレベルになって、第1のアンド回路130もLレベルになる。要するに、制御回路13は、第2のコンデンサC2とダイオードD1との接続点(P3)の電位V3を監視しており、電位V3が所定の閾値を下回ると、第2および第1のアンド回路137,130の出力がLレベルになる。ここでいう閾値は、電位V3が通常取り得る値の最小値であって、基準電圧Vref2によって決定される。このとき、制御回路13は、スイッチング素子S1をオフにしてスイッチング素子S1のスイッチング動作(オン/オフ動作)を停止する。
【0066】
また、コンパレータ136の出力には状態検出回路138が設けられており、この状態検出回路138の出力も第2のアンド回路137の入力に接続されている。状態検出回路138は、コンパレータ136からの入力がLレベルとなる状態が所定時間(たとえば5ms)継続した場合に、出力をHレベルからLレベルに変化させて状態を維持する。状態検出回路138の出力がLレベルとなることにより、第2および第1のアンド回路137,130の出力もLレベルとなり、制御回路13は、スイッチング素子S1をオフにしてスイッチング素子S1のスイッチング動作(オン/オフ動作)を停止する。
【0067】
具体的には、状態検出回路138は、入力が所定時間連続してLレベルであった場合(Lレベルを維持)や、入力がHレベルからLレベルになる状態が所定時間繰り返し発生した場合(H/L繰り返し)、出力をLレベルに変化させ、その状態を維持(ラッチ)する。
【0068】
ここで、電源装置1の出力に地絡または天絡が生じた場合の制御回路13の動作について説明する。
【0069】
まず、第1の出力端31に地絡が生じた場合には、出力端31の電位が直流電源2のグランドに固定され、電位V3が第3のコンデンサC3の両端電圧分だけ低下するため、電位V3が所定の閾値を下回る。そのため、制御回路13では、この異常(地絡)を検出してコンパレータ136の出力がLレベルに変化する。これにより、第2および第1のアンド回路137,130の出力もLレベルとなり、制御回路13は、スイッチング素子S1をオフにしてスイッチング素子S1のスイッチング動作を停止する。
【0070】
また、第2の出力端32に地絡が生じた場合には、出力端32の電位が直流電源2のグランドに固定される。そのため、電源装置1は、実質的に第1の抵抗R1と第2の抵抗R2とが並列に接続された構成となり、第3のコンデンサC3に発生した電圧によって、第1および第2の抵抗R1,R2の並列回路を介して光源負荷30に地絡電流が流れる。これにより、第2のコンデンサC2と抵抗R2との接続点(P3)には、第1および第2の抵抗R1,R2の合成抵抗と、これらを流れる電流とに応じた電圧が発生する。この場合にも、第1および第2の抵抗R1,R2の各抵抗値と、基準電圧Vref2の値とが適切に設定されていれば、制御回路13では、この異常(地絡)を検出してコンパレータ136の出力がLレベルに変化する。これにより、第2および第1のアンド回路137,130の出力もLレベルとなり、制御回路13は、スイッチング素子S1をオフにしてスイッチング素子S1のスイッチング動作を停止する。
【0071】
また、電源装置1が昇圧回路として使用されている場合には、制御回路13は、天絡の発生時にも異常(天絡)を検出して、スイッチング素子S1のスイッチング動作を停止することができる。
【0072】
要するに、制御回路13は、電源装置1の出力に地絡や天絡などの異常が発生した場合には、この異常を検出してコンパレータ136の出力がLレベルに変化し、第2のアンド回路137の出力がLレベルになって、第1のアンド回路130もLレベルになる。このとき、制御回路13は、スイッチング素子S1をオフにしてスイッチング素子S1のスイッチング動作を停止する。
【0073】
以上説明した本実施形態の電源装置1によれば、出力に地絡や天絡の異常が発生した場合には、上記構成によってより速やかに異常を検出し、スイッチング素子S1のスイッチング動作を停止することができ、回路保護を図ることができる。
【0074】
また、制御回路13は、第2のコンデンサC2とダイオードD1との接続点(P3)の電位V3が閾値を下回る期間が所定時間継続すると、状態検出回路138により、スイッチング素子S1のスイッチング動作の停止状態を維持する。したがって、電源装置1は、出力に地絡や天絡の異常が発生した状態が所定時間継続すると、スイッチング素子S1が動作を停止した状態に維持されることになり、より確実に回路保護を図ることができる。
【0075】
次に、制御回路13において、電源装置1の出力電圧を監視し、出力開放時の電圧制御、並びに出力開放状態や出力短絡状態が継続して発生した場合における回路保護を行うための構成について説明する。
【0076】
制御回路13は、オペアンプ139、コンデンサC14および抵抗R16,R17,R18で構成された非反転増幅回路44と、非反転増幅回路44の出力に接続される3つのコンパレータ140,141,143とを備えている。さらに、制御回路13は、コンパレータ141,142の出力に接続されたタイマラッチ回路143,144と、タイマラッチ回路143,144の出力と第1のアンド回路130との間に接続されたノア(否定論理和)回路145とを備えている。
【0077】
非反転増幅回路44は、オペアンプ139の反転入力−出力間にコンデンサC14と抵抗R16との並列回路が接続され、オペアンプ139の反転入力が抵抗R18を介してグランドに接続されている。さらに、オペアンプ139の非反転入力には第1の出力端31が抵抗R17を介して接続され、オペアンプ139の出力はコンパレータ140,142の反転入力およびコンパレータ141の非反転入力に接続されている。これにより、非反転増幅回路44は、電源装置1の高電位側である第1の出力端31の電位(出力電圧)を増幅し、コンパレータ140,141,142に出力する。
【0078】
コンパレータ140は、非反転入力に基準電圧Vref3が印加され、出力が第1のアンド回路130に入力されており、基準電圧Vref3を非反転増幅回路44の出力(出力電圧の検出値)が上回ると、第1のアンド回路130への出力をLレベルとする。このコンパレータ140は、たとえば電源装置1が出力に光源負荷30が接続されていない無負荷、開放状態で動作した際に出力電圧が異常に高くなることから、この異常電圧から回路を保護する目的で設けられている。つまり、電源装置1は、出力電圧が所定の閾値(基準電圧Vref3で決まる)よりも大きくなった場合には、コンパレータ140がアンド回路130にLレベルの信号を出力してスイッチング素子S1をオフにし、スイッチング動作を停止させる。このように、電源装置1は、出力電圧が所定の閾値を超えようとした場合にはスイッチング素子S1の動作を一旦停止するので、開放電圧の制御を行うことができる。なお、この回路は光源負荷30自体がオープン故障した場合にも有効である。
【0079】
また、コンパレータ141は、反転入力に基準電圧Vref4が印加されており、この基準電圧Vref4を非反転増幅回路44の出力(出力電圧の検出値)が下回ると、タイマラッチ回路143への出力をLレベルとする。タイマラッチ回路143は、コンパレータ141からの信号が所定時間継続してHレベルであった場合には、出力をLレベルからHレベルに変化させてノア回路145に出力する。このとき、ノア回路145からは第1のアンド回路130にLレベルの信号が出力されるため、スイッチング素子S1はオフになる。つまり、電源装置1は、出力開放などにより出力電圧が高い状態が継続して発生した場合には、コンパレータ141およびタイマラッチ回路143によってスイッチング素子S1を完全に停止させて回路を保護する。
【0080】
また、コンパレータ142は、非反転入力に基準電圧Vref5が印加されており、この基準電圧Vref5を非反転増幅回路44の出力(出力電圧の検出値)が上回ると、タイマラッチ回路144への出力をLレベルとする。タイマラッチ回路144は、コンパレータ142からの信号が所定時間継続してHレベルであった場合には、出力をLレベルからHレベルに変化させてノア回路145に出力する。つまり、電源装置1は、出力端31,32間または光源負荷30の短絡により出力電圧が低い状態が継続して発生した場合、コンパレータ142およびタイマラッチ回路144によってスイッチング素子S1を完全に停止させて回路を保護する。なお、タイマラッチ回路143.144のラッチ状態は、たとえば電源装置1への電源入力を一旦オフにすることでキャンセルされる(電源リセット)。
【0081】
以上説明した本実施形態の電源装置1によれば、制御回路13により、出力開放時の電圧制御、並びに出力開放状態や出力短絡状態が継続して発生した場合における回路保護が可能になる。本実施形態の電源装置1は、これらの回路保護の機能を、地絡や天絡などの異常を検出する機能と組み合わせることにより、より確実に各種の異常の検出が可能になるという利点がある。
【0082】
ところで、本実施形態の電源装置1を用いた点灯装置は、たとえば車両用のヘッドランプ(前照灯)などの灯具に用いられる。ヘッドランプ100は、たとえば図11に示すように、光源負荷30と、光源負荷30の前方(図11中の左側)に配置された光学ユニット101と、光源負荷30に点灯電力を供給する点灯装置(電源装置)10とを主構成として灯体102に備えている。
【0083】
点灯装置10と光源負荷30との間は、出力線103により電気的に接続されており、この出力線103を介して光源負荷30に点灯電力が供給される。また、光源負荷30には放熱板104が取り付けられており、光源負荷30で発生した熱がこの放熱板104により外部に放熱される。さらに、光学ユニット101は光源負荷30から出射された光の配光を制御する。点灯装置10は、灯体102の下面に取り付けられており、車両に設けられた直流電源2としての車載バッテリー(図示せず)から、電源線105を介して電源供給される。なお、光源負荷30、光学ユニット101、放熱板104等からなる光源ユニットは、固定具106によって灯体102に取り付けられている。
【0084】
ここにおいて、放熱板104は、固定やノイズ対策のために車両の車載バッテリーのグランド、あるいは点灯装置10の筐体と接続されることがある。この構成では、何らかのアクシデントによって電源装置(点灯装置10)1の出力に異常(地絡)が発生する可能がある。このような異常が発生した場合においても、本実施形態に係る電源装置1を用いることによって、電源装置1のスイッチング素子S1をオフにしてスイッチング動作を停止させることができる。
【0085】
図12は、上述したヘッドランプ100を左右で一対搭載した車両107の外観斜視図である。この車両107においては、たとえば配線の不備などにより配線切れや配線被覆の剥離などが生じ、電源装置1の出力(出力端31,32)に地絡や天絡が生じても、電源装置1のスイッチング素子S1をオフにしてスイッチング動作を停止させることができる。なお、灯具はヘッドランプ100に限らず、車両107の方向指示器や尾灯などであってもいいし、それ以外の灯具でもよい。
【0086】
ところで、本実施形態では光源負荷30は、2個のLEDモジュール301,302で構成される例を示したが、光源負荷30を構成するLEDモジュールの個数は2個に限らず、1個または3個以上であってもよい。また、制御回路13は、出力の定電流制御の手法として、誤差演算回路42による比例積分制御を用いているが、他の定電流制御の手法を用いてもよい。さらに、制御回路13に関しては、マイコン(マイクロコンピュータ)などを用いて構成してもよく、フィードバック制御部をデジタル的に構成することもできる。また、本実施形態では、出力電流を一定値に制御(定電流制御)する電源装置1を例に説明したが、電源装置1は、出力電圧を一定値に制御(定電圧制御)する構成であってもよい。
【0087】
また、点灯装置10に適用される電源装置1は、第1の抵抗R1を備えた図8の構成に限らず、実施形態1で説明したように第1の抵抗R1のない構成の電源装置1であってもよい。
【0088】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【符号の説明】
【0089】
1 電源装置
2 直流電源
3 負荷
10 点灯装置
13 制御回路
21,22 入力端
30 光源負荷
31,32 出力端
41 差動増幅回路(電流計測部)
100 ヘッドライト(灯具)
102 灯体
107 車両
C1 第1のコンデンサ
C2 第2のコンデンサ
D1 ダイオード(整流素子)
L1 第1のインダクタ
L2 第2のインダクタ
R1 第1の抵抗
R2 第2の抵抗(検出用抵抗)
S1 スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンとオフとを交互に繰り返すスイッチング素子および第1のインダクタの直列回路からなり、直流電源が接続される一対の入力端間に前記スイッチング素子を前記直流電源の正極側とするように接続された第1の直列回路と、
第2のインダクタおよび整流素子の直列回路からなり、負荷が接続される一対の出力端間に前記第2のインダクタを前記整流素子のカソード側とするように接続された第2の直列回路と、
前記第1のインダクタにおける前記スイッチング素子との接続点である一端と前記整流素子のカソードとの間に接続された第1のコンデンサと、
前記第1のインダクタの他端と前記整流素子のアノードとの間に接続された前記第2のコンデンサとを備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第2のコンデンサと並列に接続された抵抗をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第2のコンデンサは、前記第1のコンデンサに比べて容量が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路をさらに備え、
前記制御回路は、前記第2のコンデンサと前記整流素子との接続点の電位を監視し、当該電位が所定の閾値を下回ると前記スイッチング素子のスイッチング動作を停止することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路と、
前記第2のコンデンサにおける前記整流素子の接続点と前記出力端との間に挿入された検出用抵抗の両端電圧を監視することにより、前記出力端から前記負荷に流れる出力電流の大きさを計測する電流計測部とをさらに備え、
前記制御回路は、前記電流計測部の計測値が所定の基準値となるように前記スイッチング素子を制御しており、前記第2のコンデンサと前記整流素子との接続点の電位が所定の閾値を下回る期間が所定時間継続すると、前記スイッチング素子のスイッチング動作の停止状態を維持することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電源装置を備え、半導体発光素子を用いた光源負荷が前記負荷として前記出力端に接続され、前記光源負荷に電力供給することにより前記光源負荷を点灯させることを特徴とする点灯装置。
【請求項7】
請求項6に記載の点灯装置を灯体に備えることを特徴とする灯具。
【請求項8】
請求項7に記載の灯具を備えることを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−110840(P2013−110840A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253562(P2011−253562)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】