説明

電源装置及び制御電圧生成ユニット

【課題】従来の電源装置よりも信頼性が高い電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置1では、制御電圧生成ユニット5−1〜5−nは、上記DC−DCコンバータ1台に対して1つ設けられて、上記第1電流生成ユニット4が上記電流Irを出力する出力部4bと、当該出力部4bの電位を確定させる終端ユニット6との間の電位差を、各DC−DCコンバータ毎に均等に分割することにより、各DC−DCコンバータが出力する電流を制御するための均等な制御電圧Vrを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台のDC−DCコンバータを備える電源装置及び制御電圧生成ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
負荷に対して所望の電力を供給するための機器である電力供給機器として、DC−DCコンバータ(DC-DC converter)等を用いた電源装置が、従来から用いられている。
【0003】
ここで、負荷に供給される所望の電力が大きいために、1台の電力供給機器では、所望の電力を負荷に供給することが出来ない場合を考える。負荷に供給される所望の電力が大きいということは、負荷に対して流れる電流である負荷電流が大きいということを意味する。
【0004】
この場合、電源装置において、電力供給機器を複数台並列に接続する。これにより、負荷が必要とする所望の電力を、複数台の電力供給機器から供給することが出来る。
【0005】
電力供給機器を複数台並列に接続するものとして、特許文献1において電源装置が開示されている。特許文献1の電源装置では、差動増幅器を備えるDC−DCコンバータが、複数台並列に接続されている。また、それぞれの差動増幅器の非反転入力端子(+)が、電流共通バスに並列に接続されている(即ち、共通に接続されている)。
【0006】
上記構成において、電流共通バスにおける電流の最大値と、それぞれの差動増幅器における出力電流を検出した結果を示す電流の最大値とを比較する。そして、比較した結果に基づいて、各DC−DCコンバータが備えるスイッチング素子のゲートに入力される信号の周波数を制御する(スイッチング制御)。
【0007】
電流共通バスにおける電位は、複数台のDC−DCコンバータの中で出力電流が最大であるDC−DCコンバータが出力する最大電流に応じた電位である最大電位となる。そして、他のDC−DCコンバータでは、上記最大電位に基づいて、自身が出力する電流を上記最大電流に追従させる制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−262651号公報(2006年9月28日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の電源装置では、並列に接続されている複数台のDC−DCコンバータにおいて、各DC−DCコンバータの出力電流が、上記最大電流に追従して、各DC−DCコンバータの出力電流が平衡に至る。
【0010】
このため、各DC−DCコンバータの出力電流が平衡に至るまでの間に、複数台のDC−DCコンバータの間で、出力電流のばらつき(値の差異)が発生する。
【0011】
また、負荷は、負荷の動作状態に応じて、必要とする電力が変動する。これにより、各DC−DCコンバータから負荷へ供給される電力が変動する。よって、各DC−DCコンバータの出力電流が変動する。これにより、上記最大電流が変動する。各DC−DCコンバータの出力電流は、上記最大電流に追従するので、各DC−DCコンバータが負荷へ供給する電流に、ばらつきが発生しやすい。
【0012】
電源装置の信頼性に関して、複数台のDC−DCコンバータの中で、1台のDC−DCコンバータのみが、他より出力電流が大きくなる(ばらつきが発生する)と、上記1台のDC−DCコンバータのみが、他より温度が高くなる。この場合、上記1台のDC−DCコンバータを構成する部品のみが、他より温度が高くなり、電源装置としての信頼性が損なわれる。具体的には、寿命が短くなったり、故障する確率が高くなったりする。
【0013】
また、各DC−DCコンバータが負荷へ供給する電流に、ばらつきが発生すると、DC−DCコンバータが備えるトランスにおいて、異音が発生することもある。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、従来の電源装置よりも信頼性が高い電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電源装置は、上記課題を解決するために、少なくとも2台のDC−DCコンバータが負荷に対して並列に接続され、各DC−DCコンバータが、それぞれ電力を供給することにより、負荷に電力を供給する電源装置であって、上記負荷に流れる電流である負荷電流に応じた第1電流を生成する第1電流生成部と、上記DC−DCコンバータ1台に対して1つ設けられるとともに、上記第1電流生成部が上記第1電流を出力する出力部と、当該出力部の電位を確定させる終端部との間の電位差を、各DC−DCコンバータの能力に比例して各DC−DCコンバータ毎に分割することにより、各DC−DCコンバータが出力する電流を制御するための制御電圧を生成する制御電圧生成部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
上記発明によれば、各制御電圧生成部において、各DC−DCコンバータが出力する電流を制御するための制御電圧が生成される。
【0017】
上記制御電圧は、上記出力部と上記終端部との間の電位差を、各DC−DCコンバータの能力(各DC−DCコンバータが出力することが出来る電力の最大値(即ち電流の最大値))に比例して各DC−DCコンバータ毎に分割することにより生成される。各DC−DCコンバータの能力が同じ場合には、制御電圧は同じ大きさになる。
【0018】
各DC−DCコンバータには、各DC−DCコンバータの能力に比例した制御電圧が入力される。これにより、各DC−DCコンバータから出力される電流である上記直流電流は、DC−DCコンバータの能力に応じた電流となる。よって、各DC−DCコンバータは、負荷をその能力に比例して分担することとなるので、各DC−DCコンバータは、熱的平衡を取ることが出来る。なお、各DC−DCコンバータの能力が同じ場合には、負荷を均等に負担することとなるので、各DC−DCコンバータの温度は、互いに等しくなる。
【0019】
電源装置の信頼性に関して、複数台のDC−DCコンバータの中で、1台のDC−DCコンバータのみが、能力以上の負担がかかると、あるいは、能力が同じ場合に他より出力電流が大きくなると、上記1台のDC−DCコンバータのみが、他より温度が高くなる。この場合、上記1台のDC−DCコンバータを構成する部品のみが、他より温度が高くなり、電源装置としての信頼性が損なわれる。具体的には、寿命が短くなったり、故障する確率が高くなったりする。
【0020】
しかし、本発明の電源装置では、各DC−DCコンバータから出力される電流である上記直流電流は、各DC−DCコンバータの能力に応じた電流となる。よって、特定のDC−DCコンバータにかかる負荷の割合が、他のDC−DCコンバータにかかる負荷の割合より大きくなることはない。従って、従来の電源装置よりも高い信頼性を得ることが出来る。
【0021】
さらに、DC−DCコンバータの寿命は、自身の温度に依存して変化するが、各DC−DCコンバータは温度が等しくなるので、各DC−DCコンバータの寿命も等しくなる。その結果、従来の電源装置よりも高い信頼性を得ることが出来る。
【0022】
上記電源装置では、上記制御電圧生成部は、対応するDC−DCコンバータの能力に比例した抵抗値を有したシャント抵抗を備え、各制御電圧生成部に備えられたシャント抵抗は、上記出力部と上記終端部との間に、直列に接続されていてもよい。
【0023】
これにより、シャント抵抗の値に応じて、分圧された制御電圧を生成することが出来る。そして、各DC−DCコンバータの能力が同じ場合には、シャント抵抗を同じ抵抗値に設定して、均等に分圧された制御電圧を生成することが出来る。
【0024】
上記電源装置では、上記DC−DCコンバータは、自身が出力する直流電流に応じた第2電流を生成する第2電流生成部と、上記制御電圧に応じて、上記直流電流の目標値である目標電流を生成する電流目標値設定部と、上記第2電流と上記目標電流とを比較する比較部とをさらに備えてもよい。
【0025】
これにより、各DC−DCコンバータから出力される電流である上記直流電流は、上記第2電流と上記目標電流との比較結果に応じて制御され、DC−DCコンバータの能力に応じた電流となる。
【0026】
上記いずれかの電源装置では、各DC−DCコンバータが出力することが出来る電流の最大値は、同一であり、各シャント抵抗の抵抗値は、全て等しくてもよい。
【0027】
これにより、均等に分圧された制御電圧を生成することが出来る。
【0028】
上記いずれかの電源装置では、各DC−DCコンバータが出力することが出来る電流の最大値は、それぞれ異なっており、各シャント抵抗の抵抗値は、対応するDC−DCコンバータが出力することが出来る電流の最大値に比例してもよい。
【0029】
これにより、シャント抵抗器の抵抗値は、各DC−DCコンバータの能力に応じたシャント抵抗器の抵抗値となり、上記目標電流も、各DC−DCコンバータの能力に応じた値となる。
【0030】
例えば、能力の単位が1であるDC−DCコンバータに対応する制御電圧生成ユニットのシャント抵抗の抵抗値を1とする。この時、能力の単位が2倍であるDC−DCコンバータに対応する制御電圧生成ユニットのシャント抵抗の抵抗値を、抵抗値が1であるシャント抵抗の抵抗値の2倍とする。
【0031】
同様に、能力の単位がn倍のDC−DCコンバータに対応する制御電圧生成ユニットのシャント抵抗の抵抗値は、抵抗値が1であるシャント抵抗の抵抗値のn倍とする。
【0032】
このような構成とすることで、各能力に応じた大きさの電流目標値を、各DC−DCコンバータに入力することが出来る。その結果、各DC−DCコンバータは、自身の能力に応じた電流を出力することが出来るので、能力に対する負荷の割合を一定にすることが出来る。
【0033】
よって、特定のDC−DCコンバータの温度が、他のDC−DCコンバータより高くなることはない。従って、従来の電源装置よりも高い信頼性を得ることが出来る。
【0034】
上記いずれかの電源装置では、上記制御電圧生成部はリレー回路を備え、当該リレー回路を動作させるインダクタを備え、上記インダクタには、対応するDC−DCコンバータが出力する電圧が印加され、対応するDC−DCコンバータが故障していなければ、上記DC−DCコンバータから上記インダクタへ電圧が印加されて、上記シャント抵抗に上記第1電流が流されることにより、上記直流電流を制御するための電圧である制御電圧が生成されて、上記DC−DCコンバータに出力し、上記DC−DCコンバータが故障していれば、上記DC−DCコンバータから上記インダクタへ電圧が印加されずに、上記シャント抵抗に上記第1電流が流されないことにより、上記制御電圧が生成されなくともよい。
【0035】
接続されているDC−DCコンバータが、故障等で作動していない時は、上記制御電圧生成部が備える上記リレー回路が働かない。よって、上記第1電流が、上記シャント抵抗を迂回する(上記シャント抵抗に流れない)。このため、作動していないDC−DCコンバータに対応する上記制御電圧生成部が備えるシャント抵抗の抵抗値は、上記第1電流が流れる閉回路に対して加算されない。従って、作動していないDC−DCコンバータを除外して、正確な上記制御電圧を生成する電源装置を、簡単な構成で実現することが出来る。
【0036】
本発明の制御電圧生成ユニットは、上記課題を解決するために、負荷に対して並列に接続される少なくとも2台のDC−DCコンバータと、各DC−DCコンバータが、上記負荷に対してそれぞれ電力を供給することにより、上記負荷に流れる電流である負荷電流に応じた第1電流を生成する第1電流生成部とを備えた電源装置に搭載されるとともに、上記DC−DCコンバータ1台に対して1つ設けられる制御電圧生成ユニットであって、対応するDC−DCコンバータの能力に比例した抵抗値を有したシャント抵抗と、上記第1電流が上記シャント抵抗に流れることによって、上記対応するDC−DCコンバータの出力を制御するための制御電圧を発生するオン状態と、上記第1電流が上記シャント抵抗に流れないオフ状態とでスイッチ回路を切り替えるリレー回路とを備え、上記リレー回路は、上記対応するDC−DCコンバータの稼動に連動して、上記スイッチ回路をオンにすることを特徴とする。
【0037】
上記発明によれば、上記リレー回路は、上記対応するDC−DCコンバータの稼動に連動して、上記スイッチ回路をオンにする。
【0038】
これにより、対応するDC−DCコンバータが故障していない場合に、各DC−DCコンバータの能力に比例した制御電圧を、対応するDC−DCコンバータに出力することが出来る。
【0039】
よって、各DC−DCコンバータは、負荷を均等に負担することとなるので、各DC−DCコンバータの温度は、互いに等しくなり、特定のDC−DCコンバータの温度が、他のDC−DCコンバータより高くなることはない。
【0040】
従って、本発明の制御電圧生成ユニットは、従来の電源装置よりも信頼性が高い電源装置を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0041】
従来の電源装置よりも信頼性が高い電源装置を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る電源装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るDC−DCコンバータの回路図である。
【図3】本発明の実施形態に係る制御電圧生成ユニットの回路図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電源装置において、電流がどのように流れるかを説明するための説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る電源装置のブロック図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る制御電圧生成ユニットの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の一実施形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、図1を用いて、本発明の一実施形態について説明する。
【0044】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0045】
(電源装置1の構成)
図1は、本実施形態1に係る電源装置1のブロック図である。電源装置1は、電源2、DC−DCコンバータ(DC-DC converter)3−1〜3−n、及びDC−DCコンバータ3−1〜3−nと1対1に対応した逆流防止ダイオードD−R1〜D−Rnを備えている。また、電源装置1は、第1電流生成ユニット4(第1電流生成部)、DC−DCコンバータ3−1〜3−nと1対1に対応した制御電圧生成ユニット5−1〜5−n(制御電圧生成部)、及び終端ユニット6(終端部)を備えている。
【0046】
また、DC−DCコンバータ3−1〜3−nは、少なくとも2台であり、本実施形態1の場合、DC−DCコンバータ3−1〜3−nの能力は、同一である。即ち、DC−DCコンバータ3−1〜3−nが出力することが出来る電力の最大値(即ち電流の最大値であり、DC−DCコンバータの能力と称する)は、同一である。
【0047】
なお、DC−DCコンバータ3−1〜3−nの1台あたりの能力には、制限(限界)がある。よって、複数台を用いて負荷7へ負荷電流Itotal(後述する)を流す。
【0048】
さらに、逆流防止ダイオードD−R1〜D−Rnは、負荷7からDC−DCコンバータ3−1〜3−nへ電流が逆流することを防止するためのダイオードである。
【0049】
さらに、第1電流生成ユニット4は、負荷電流測定ユニットと言い換えることもでき、検出部4aと出力部4bとを備えている。第1電流生成ユニット4については、図4を用いて後述する。
【0050】
なお、本実施形態1において、符号に含まれる「n」は、2以上の整数を意味する。図1の電源装置1では、DC−DCコンバータ及び制御電圧生成ユニットが、それぞれ4つずつ示されている。しかし、図1の電源装置1は、DC−DCコンバータ及び制御電圧生成ユニットを、それぞれ2つ備える構成を取ることも出来る。この場合はn=2となる。
【0051】
図1の電源装置1において、電源2の出力は、DC−DCコンバータ3−1〜3−nの入力に接続されている。電源2のグランドは、DC−DCコンバータ3−1〜3−nの第1グランドに接続されている。
【0052】
DC−DCコンバータ3−1の出力は、逆流防止ダイオードD−R1のアノードに接続されている。DC−DCコンバータ3−2〜3−nの出力は、DC−DCコンバータ3−1の出力と同様に構成されている。即ち、DC−DCコンバータ3−2〜3−nの出力は、それぞれ、逆流防止ダイオードD−R2〜D−Rnのアノードに接続されている。
【0053】
逆流防止ダイオードD−R1〜D−Rnのカソードは、それぞれ、ノードN1に接続されている。ノードN1は、第1電流生成ユニット4の検出部4aの一端に接続されている。第1電流生成ユニット4の検出部4aの他端は、負荷7の一端に接続されている。
【0054】
負荷7の他端は、ノードN2に接続されている。ノードN2は、DC−DCコンバータ3−1〜3−nがそれぞれ有する第2グランドに接続されている。
【0055】
第1電流生成ユニット4の出力部4bは、制御電圧生成ユニット5−1の雄型コネクタに接続されている。制御電圧生成ユニット5−1の雌型コネクタは、制御電圧生成ユニット5−2の雄型コネクタに接続されている。同様に、制御電圧生成ユニット5−(n−1)の雌型コネクタは、制御電圧生成ユニット5−nの雄型コネクタに接続されている。制御電圧生成ユニット5−nの雌型コネクタは、終端ユニット6に接続されている。
【0056】
制御電圧生成ユニット5−1の出力コネクタは、DC−DCコンバータ3−1が備える電流目標値設定回路16−1(図2参照)の入力に接続されている。制御電圧生成ユニット5−2〜5−nの出力コネクタの接続先は、制御電圧生成ユニット5−1の出力コネクタと同様になっている。即ち、制御電圧生成ユニット5−2〜5−nの出力コネクタは、それぞれ、DC−DCコンバータ3−2〜3−nがそれぞれ備える電流目標値設定回路の入力に接続されている。
【0057】
そして、電源2のグランドと、DC−DCコンバータ3−1〜3−nの第1グランドと、DC−DCコンバータ3−1〜3−nの第2グランドと、負荷7の他端とは、電気的に接地されている。
【0058】
なお、DC−DCコンバータ3−1〜3−nが備える電流目標値設定回路(16−1等)については、図2を用いて後述する。また、制御電圧生成ユニット5−1の、雄型コネクタ(12a−1)、雌型コネクタ(12b−1)及び出力コネクタ(11−1)については、図3を用いて後述する。
【0059】
(電源装置1の動作)
まず、図1及び(電源装置1の構成)の記載に示されるように、本実施形態1の電源装置1では、DC−DCコンバータ3−1〜3−nが、電源2と負荷7との間で、並列に接続されている。負荷7は、n台のDC−DCコンバータ3−1〜3−nを必要とする、あるいはn台のDC−DCコンバータ3−1〜3−nを用意することが好ましい負荷である。
【0060】
電源2は、DC−DCコンバータ3−1〜3−nに対して第1直流電力を供給する。電源2は、例えばAC−DCコンバータであり、商用の交流電源から入力された交流電力を第1直流電力に変換して、DC−DCコンバータ3−1〜3−nに供給する。
【0061】
DC−DCコンバータ3−1は、第1直流電力を元に、第2直流電力を負荷7へ供給する。第2直流電力が負荷7へ供給される際は、第2直流電力に応じた電流である直流電流I1が、逆流防止ダイオードD−R1を介してノードN1へ出力される。
【0062】
DC−DCコンバータ3−2〜3−nは、DC−DCコンバータ3−1と同様の動作を行う。即ち、DC−DCコンバータ3−2〜3−nは、第1直流電力を元に、第2直流電力を負荷7へ供給する。これとともに、各第2直流電力に応じた電流である直流電流I2〜Inは、それぞれ、逆流防止ダイオードD−R1〜D−Rnを介して、ノードN1へ出力される。
【0063】
ノードN1には、直流電流I1〜Inが入力される。よって、ノードN1から負荷7へ供給される電流である負荷電流Itotalは、
Itotal=I1+I2+I3+・・・+In (1)
となる。よって、負荷7が必要とする電力が大きい場合(即ち、負荷7に対して流れる電流である負荷電流Itotalが大きい場合)においても、複数台のDC−DCコンバータ3−1〜3−nにより、負荷7が必要とする、電力及び電流を供給することが出来る。
【0064】
なお、上記説明において、n台のDC−DCコンバータ3−1〜3−nで、負荷電流Itotalを供給している。しかし、(n−1)台か(n−2)台のDC−DCコンバータで負荷電流Itotalを供給することが好ましい。少なくとも1台、好ましくは2台のDC−DCコンバータを予備とすることにより、電源装置1の信頼性を高めることが出来る。
【0065】
ここで、上述するように、第1電流生成ユニット4は、検出部4aと出力部4bとを備えている。上記検出部4aには、ノードN1から負荷7へ供給される電流である負荷電流Itotalが流れる。上記出力部4bは、上記検出部4aに流れる電流である負荷電流Itotalに応じた電流である電流Ir(第1電流)を、制御電圧生成ユニット5−1に出力する。
【0066】
電流Irは、制御電圧生成ユニット5−1→制御電圧生成ユニット5−2→制御電圧生成ユニット5−3→・・・→制御電圧生成ユニット5−n→終端ユニット6の経路で流れる。この点については、図3を用いて後述する。
【0067】
制御電圧生成ユニット5−1〜5−nの各々は、シャント抵抗14を備えている。シャント抵抗14については、図3を用いて後述するが、制御電圧生成ユニット5−1〜5−nの数と同じn個のシャント抵抗14の抵抗値は、以下の通りである。即ち、シャント抵抗の抵抗値は、対応するDC−DCコンバータが出力する電流である直流電流に応じた抵抗値である。具体的には、n個のシャント抵抗14の抵抗値は、互いに等しいか、あるいは実質的に等しい。また、シャント抵抗14の抵抗値の精度は非常に高く、抵抗値の許容誤差が±0.5%である。
【0068】
制御電圧生成ユニット5−1〜5−nにおいて、互いに抵抗値が等しいシャント抵抗14に、同一の大きさの電流Irが流れる。これにより、制御電圧生成ユニット5−1〜5−nは、電流Irとシャント抵抗14−1〜14−nとに応じた電圧であって、均等な電圧である制御電圧Vrを、DC−DCコンバータ3−1〜3−nが備える電流目標値設定回路の入力に出力することが出来る。
【0069】
DC−DCコンバータ3−1〜3−nは、自身が備える電流目標値設定回路の入力に入力される制御電圧Vrの値に応じて、自身が出力する直流電流I1〜Inを制御する(増減する)。
【0070】
上述したように、本実施形態1に係る電源装置1は、第1電流生成ユニット4、制御電圧生成ユニット5−1〜5−n、及び、終端ユニット6を備えている。これにより、各DC−DCコンバータが備える電流目標値設定回路の入力には、均等な制御電圧Vrが自動的に入力される。よって、各DC−DCコンバータから出力される電流の目標値も自動的に等しくなり、直流電流I1〜Inは、互いに等しくなるように制御される。従って、
I1=I2=I3=・・・=In (2)
が成立する。また、(1)式と(2)式とから、
Itotal=n×In (3)
となる。
【0071】
このように、直流電流I1〜Inが、互いに等しくなる結果、DC−DCコンバータ3−1〜3−nにかかる負荷が均等になる。よって、DC−DCコンバータ3−1〜3−nの温度も、互いに等しくなる(即ち、熱的平衡を取ることが出来る)。
【0072】
電源装置の信頼性に関して、複数台のDC−DCコンバータの中で、1台のDC−DCコンバータのみが、他より出力電流が大きくなると、上記1台のDC−DCコンバータのみが、他より温度が高くなる。この場合、上記1台のDC−DCコンバータを構成する部品のみが、他より温度が高くなり、電源装置としての信頼性が損なわれる。具体的には、寿命が短くなったり、故障する確率が高くなったりする。
【0073】
しかし、本実施形態1に係る電源装置1では、各DC−DCコンバータから出力される電流である直流電流I1〜Inは、互いに等しくなる。これにより、特定のDC−DCコンバータから出力される電流が、他のDC−DCコンバータから出力される電流より大きくなることはない。よって、上記特定のDC−DCコンバータの温度が、他のDC−DCコンバータより高くなることはない。従って、従来の電源装置よりも高い信頼性を得ることが出来る。
【0074】
さらに、DC−DCコンバータの寿命は、自身の温度に依存して変化するが、DC−DCコンバータ3−1〜3−nは温度が等しくなるので、DC−DCコンバータ3−1〜3−nの寿命も等しくなる。その結果、従来の電源装置よりも信頼性が高い電源装置1を提供することが出来る。
【0075】
また、電流Irは、負荷電流Itotalに応じた電流である。よって、負荷電流Itotalが変動すると、この変動に応じて電流Irも変動する。そして、制御電圧Vrも、電流Irに応じて変動する。
【0076】
しかし、変動後の制御電圧Vrも、変動前の制御電圧Vrと同様に、各DC−DCコンバータに対して均等な電圧である。よって、負荷電流Itotalが変動しても、電流の目標値は、各DC−DCコンバータにかかる負荷に応じた値に、自動的に変更される。本実施形態1では、電流の目標値は、各DC−DCコンバータ間で常に等しい。従って、各DC−DCコンバータから出力される直流電流I1〜Inは、各DC−DCコンバータに能力に応じた電流になるように制御されて、均等になる。
【0077】
本実施形態1に係る電源装置1は、少なくとも2台のDC−DCコンバータ3〜1〜3−nが負荷7に対して並列に接続され、各DC−DCコンバータが、それぞれ電力を供給することにより、負荷に電力を供給する電源装置である。
【0078】
電源装置1は、以下の構成要素を備えている。第1に、負荷7に流れる電流である負荷電流Itotalに応じた電流Irを生成する第1電流生成ユニット4を備えている。
【0079】
第2に、上記DC−DCコンバータ1台に対して1つ設けられるとともに、各DC−DCコンバータが出力する電流を制御するための制御電圧Vrを生成する制御電圧生成ユニット5−1〜5−nとを備えている。
【0080】
制御電圧Vrは、第1電流生成ユニット4が電流Irを出力する出力部4bと、当該出力部4bの電位を確定させる終端ユニット6との間の電位差を、各DC−DCコンバータの能力に比例して各DC−DCコンバータ毎に分割することにより生成される。各DC−DCコンバータの能力が同じ場合には、制御電圧は同じ大きさになる。即ち、上記電位差は、均等に分割される。
【0081】
さらに、制御電圧生成ユニット5−1〜5−nは、雄型コネクタと雌型コネクタとで接続を行うので、接続がより容易となる。
【0082】
(DC−DCコンバータの構成)
ここで、本実施形態1に係るDC−DCコンバータ3−1〜3−nについて、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態1に係るDC−DCコンバータ3−1の回路図である。なお、図2に示す負荷7は、図1に示す負荷7と概念的に同一である。
【0083】
DC−DCコンバータ3−1は、キャパシタC1−1,C2−1、インダクタL−1、ダイオードD−1、スイッチング素子Q−1を備えている。
【0084】
また、DC−DCコンバータ3−1は、コントローラー8−1(比較部)、PI動作部9−1、コンパレータ10−1、第2電流生成部15−1、及び、電流目標値設定回路16−1(電流目標値設定部)を備えている。コントローラー8−1、PI動作部9−1、コンパレータ10−1、第2電流生成部15−1、及び、電流目標値設定回路16−1は、制御系17−1を構成する。
【0085】
さらに、第2電流生成部15−1は、検出部と出力部とを備えている。
【0086】
なお、図2は、DC−DCコンバータ3−1の図であるが、DC−DCコンバータ3−2〜DC−DCコンバータ3−nの回路構成は、DC−DCコンバータ3−1と同一である。
【0087】
即ち、DC−DCコンバータ3−nは、キャパシタC1−n,C2−n、インダクタL−n、ダイオードD−n、及び、スイッチング素子Q−nを備えている。
【0088】
また、DC−DCコンバータ3−nは、コントローラー8−n、PI動作部9−n、コンパレータ10−n、第2電流生成部15−n、及び、電流目標値設定回路16−nを備えている。コントローラー8−n、PI動作部9−n、コンパレータ10−n、第2電流生成部15−n、及び、電流目標値設定回路16−nは、制御系17−nを構成する。
【0089】
図2のDC−DCコンバータ3−1において、電源装置1の電源2の出力は、インダクタL−1の一端と、キャパシタC1−1の一端とに接続されている。
【0090】
インダクタL−1の他端は、ダイオードD−1のアノードと、スイッチング素子Q−1のコレクタとに接続されている。
【0091】
ダイオードD−1のカソードは、第2電流生成部15−1の検出部の一端と、キャパシタC2−1の一端とに接続されている。第2電流生成部15−1の検出部の他端は、電源装置1の逆流防止ダイオードD−R1のアノードに接続されている。
【0092】
電源装置1の逆流防止ダイオードD−R1のカソードは、電源装置1のノードN1と、電源装置1の第1電流生成ユニット4の検出部4aとを介して、前記負荷7の一端に接続されている。なお、図2では、電源装置1のノードN1と、電源装置1の第1電流生成ユニット4とは、図示を省略している。
【0093】
第2電流生成部15−1の出力部は、コントローラー8−1の第1入力に接続されている。コントローラー8−1の第2入力は、電流目標値設定回路16−1の出力に接続されている。電流目標値設定回路16−1の入力には、電源装置1の制御電圧生成ユニット5−1が備える出力コネクタ11−1から、制御電圧Vrが入力される。
【0094】
コントローラー8−1の第1出力は、PI動作部9−1の一端に接続されている。コントローラー8−1の第2出力は、上記制御電圧生成ユニット5−1が備える出力コネクタ11−1の入力に接続されている。PI動作部9−1の他端は、コンパレータ10−1の非反転入力端子(+)に接続されている。コンパレータ10−1の反転入力端子(−)には、キャリア信号carrierが入力される。コンパレータ10−1の出力は、スイッチング素子Q−1のベースに接続されている。
【0095】
そして、電源2のグランド、キャパシタC1−1の他端、スイッチング素子Q−1のエミッタ、キャパシタC2−1の他端、及び、負荷7の他端は、電気的に接地されている。
【0096】
(DC−DCコンバータの動作)
図2のDC−DCコンバータ3−1では、まず、電源2からDC−DCコンバータ3−1へ、第1直流電力が供給される。即ち、電源2からインダクタL−1の一端へ電流が流れる。この電流は、交流成分を含んでいるので、キャパシタC1−1により高周波成分を除去される。
【0097】
インダクタL1−1から出力される電流は、スイッチング素子Q−1においてオン・オフを交互に行う制御であるスイッチング制御により、矩形パルスを含む波形の電流となる。
【0098】
スイッチング制御後の電流は、ダイオードD−1により整流される。整流後の電流は、キャパシタC2−1により高周波成分を除去される。これにより、直流電流I1を、DC−DCコンバータ3−1の外部に出力することが出来る。
【0099】
直流電流I1は、第2電流生成部15−1の検出部→逆流防止ダイオードD−R1→負荷7の経路で流れる。
【0100】
次に、直流電流I1の制御について説明する。直流電流I1は、DC−DCコンバータ3−1の外部に出力される際に、第2電流生成部15−1の検出部にも流れる。
【0101】
第2電流生成部15−1の検出部に直流電流I1が流れると、第2電流生成部15−1の出力部から、直流電流I1に応じた電流である電流Ir1(第2電流)が生成される。第2電流生成部15−1から出力された電流Ir1は、コントローラー8−1の第1入力に入力される。
【0102】
また、上述したように、電流目標値設定回路16−1の入力には、制御電圧生成ユニット5−1が備える出力コネクタ11−1の出力から、制御電圧Vrが入力される。電流目標値設定回路16−1は、制御電圧Vrに基づいて、直流電流I1の目標値(電流目標値)を示す電流である目標電流Itを、コントローラー8−1の第2入力に出力する。
【0103】
コントローラー8−1は、直流電流I1に応じた電流である電流Ir1と、上記目標電流Itとを比較して、比較結果に応じた信号であって、アナログ信号である制御信号Scを、PI動作部9−1へ出力する。
【0104】
コントローラー8−1における2つの電流の比較について、第1に、電流Ir1が目標電流Itよりも小さい場合は、制御信号Scのレベルをより高くする。第2に、電流Ir1が目標電流Itよりも大きい場合は、制御信号Scのレベルをより低くする。第3に、電流Ir1が目標電流Itに等しい場合は、制御信号Scのレベルを維持する。
【0105】
制御信号Scのレベルがより高くなると、後述するパルス信号Spにおいて、スイッチング素子Q−1をオンするためのパルスの幅がより広くなる。これに対して、制御信号Scのレベルがより低くなると、パルス信号Spにおいて、スイッチング素子Q−1をオンするためのパルスの幅が狭くなる。
【0106】
コントローラー8−1から出力される制御信号Scは、PI動作部9−1に入力される。PI動作のPは、比例動作(proportional action、P動作)を示し、PI動作のIは、積分動作(integral action、I動作)を示す。
【0107】
PI動作部9−1では、P動作によって、直流電流I1を制御する制御系17−1の、安定度や早応性を補償する。このP動作にI動作を付加することによって、外乱に対するオフセットを除く。
【0108】
PI動作部9−1によってPI動作が行われた後の信号は、コンパレータ10−1の非反転入力端子(+)に入力される。コンパレータ10−1の反転入力端子(−)には、キャリア信号carrierが入力される。
【0109】
コンパレータ10−1は、PI動作が行われた後の信号と、キャリア信号carrierとを比較することにより、矩形パルスを含むパルス信号Spを生成する。コンパレータ10−1は、生成したパルス信号Spを、自身の出力からスイッチング素子Q−1のベースへ出力する。
【0110】
スイッチング素子Q−1は、自身のベースに入力されたパルス信号Spに応じてオン・オフを交互に行う。これにより、DC−DCコンバータ3−1は、スイッチング制御を行って直流電流I1を出力することが出来る。また、DC−DCコンバータ3−2〜3−nも同様に、スイッチング制御を行って直流電流I2〜Inを出力することが出来る。
【0111】
(制御電圧生成ユニットの構成)
ここで、本実施形態1に係る制御電圧生成ユニット5−1〜5−nについて、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態1に係る制御電圧生成ユニット5−1の回路図である。
【0112】
制御電圧生成ユニット5−1は、出力コネクタ11−1、雄型コネクタ12a−1、雌型コネクタ12b−1、リレー回路13−1、及び、シャント抵抗14−1を備えている。また、出力コネクタ11−1には、第1出力端子11a−1、第2出力端子11b−1、第1入力端子11c−1、及び、第2入力端子11d−1が設けられている。さらに、リレー回路13−1は、インダクタLr−1と、切り替えスイッチSW−1とを備えている。
【0113】
なお、上記各端子11a−1〜11d−1の名称に含まれる「入力」および「出力」は、出力コネクタ11−1の接続先であるDC−DCコンバータ3−1に対する入力および出力を意味している。また、図3は、制御電圧生成ユニット5−1の図であるが、制御電圧生成ユニット5−2〜制御電圧生成ユニット5−nの回路構成は、制御電圧生成ユニット5−1と同一である。
【0114】
制御電圧生成ユニット5−nは、出力コネクタ11−n、雄型コネクタ12a−n、雌型コネクタ12b−n、リレー回路13−n、及び、シャント抵抗14−nを備えている。また、出力コネクタ11−nには、第1出力端子11a−n、第2出力端子11b−n、第1入力端子11c−n、及び、第2入力端子11d−nが設けられている。さらに、リレー回路13−nは、インダクタLr−nと、切り替えスイッチSW−nとを備えている。
【0115】
図3の制御電圧生成ユニット5−1において、雄型コネクタ12a−1は、電源装置1の第1電流生成ユニット4の出力部4bに接続されている。雄型コネクタ12a−1の出力は、第1出力端子11a−1と、切り替えスイッチSW−1の第1端子とに接続されている。
【0116】
切り替えスイッチSW−1の第2端子(NO)は、シャント抵抗14−1の一端に接続されている。シャント抵抗14−1の他端は、第2出力端子11b−1と、切り替えスイッチSW−1の第3端子(NC)と、雌型コネクタ12b−1の入力とに接続されている。
【0117】
雌型コネクタ12b−1は、次段の制御電圧生成ユニット5−2の雄型コネクタ12a−2に接続されている。
【0118】
そして、制御電圧生成ユニット5−1の内部において、雌型コネクタ12b−1の出力と、雄型コネクタ12a−1の入力とは、互いに接続されている。
【0119】
図2に示すように、DC−DCコンバータ3−1が負荷7に接続された状態において、DC−DCコンバータ3−1の正負2つの出力端にかかる電圧が、上記第1入力端子11c−1、及び、第2入力端子11d−1に印加されるようになっている。ただし、この構成に限らず、DC−DCコンバータ3−1が稼動した状態を示す任意の電圧が、上記第1入力端子11c−1、及び、第2入力端子11d−1に印加されるようになっていてもよい。上記任意の電圧としては、例えば、前記電流Ir1に応じて、コントローラー8−1が生成した電圧が挙げられる。
【0120】
(制御電圧生成ユニットの動作)
図3の制御電圧生成ユニット5−1の動作について、以下に説明する。まず、DC−DCコンバータ3−1が正常に動作している(故障していない)場合は、インダクタLr−1の両端(即ち、第1入力端子11c−1と第2入力端子11d−1との間)に、DC−DCコンバータ3−1が稼動した状態を示す電圧がかかる。
【0121】
上記電圧がインダクタLr−1の両端に印加されることにより、リレー回路13−1が働く。これにより、リレー回路13−1の切り替えスイッチSW−1では、第1端子と第2端子(NO)とが接続される。従って、雄型コネクタ12a−1の一方の端子→切り替えスイッチSW−1→シャント抵抗14−1→雌型コネクタ12b−1の一方の端子の経路で、電流Irが流れる。
【0122】
DC−DCコンバータ3−1が正常に動作していない(故障している)場合は、インダクタLr−1の両端に電圧が加えられなくなるので、リレー回路13−1が働かない。よって、リレー回路13−1の切り替えスイッチSW−1では、第1端子と第3端子(NC)とが接続された状態になる(ノーマリークローズ)。従って、雄型コネクタ12a−1の一方の端子→切り替えスイッチSW−1→雌型コネクタ12b−1の一方の端子の経路で、電流Irが流れる。
【0123】
一方、DC−DCコンバータ3−1が正常に動作している場合には、シャント抵抗14−1に電流が流れることにより、第1出力端子11a−1と第2出力端子11b−1との間に、制御電圧Vrが生じる。制御電圧Vrは、出力コネクタ11−1を介して、電流目標値設定回路16−1に入力される。従って、DC−DCコンバータ3−1は、制御電圧Vrに応じた直流電流I1を出力することが出来る。
【0124】
なお、制御電圧生成ユニット5−2〜5−nは、制御電圧生成ユニット5−1と同様に動作する。即ち、制御電圧生成ユニット5−2〜5−nは、それぞれ、電流目標値設定回路16−2〜16−nに、制御電圧Vrを出力する。従って、DC−DCコンバータ3−2〜3−nは、それぞれ、制御電圧Vrに応じた直流電流I2〜Inを出力することが出来る。
【0125】
また、雌型コネクタ12b−1の他方の端子から、雄型コネクタ12a−1の他方の端子へ、電流Irが流れるが、この点については、(電流Ir)及び図4を用いて後述する。
【0126】
以上のように、本実施形態1に係る制御電圧生成ユニット5−1〜5−nは、電源装置1に搭載される。電源装置1は、第1に、負荷7に対して並列に接続される少なくとも2台のDC−DCコンバータを備える。第2に、各DC−DCコンバータが、上記負荷7に対してそれぞれ電力を供給することにより、上記負荷7に流れる電流である負荷電流Itotalに応じた電流Irを生成する第1電流生成ユニット4を備える。
【0127】
また、制御電圧生成ユニット5−1〜5−nは、上記DC−DCコンバータ1台に対して1つ設けられる。そして、上記第1電流生成ユニット4が上記電流Irを出力する出力部4bと、当該出力部4bの電位を確定させる終端ユニット6との間の電位差を、各DC−DCコンバータ毎に均等に分割する。これにより、各DC−DCコンバータが出力する電流を制御するための均等な制御電圧Vrを生成する。
【0128】
また、制御電圧生成ユニット5−1〜5−nは、以下の構成要素を備えている。第1に、各DC−DCコンバータ毎に等しい抵抗値を有したシャント抵抗14−1〜14−nを1つずつ備えている。第2に、シャント抵抗14−1〜14−nと1対1に対応するリレー回路13−1〜13−nを備えている。
【0129】
上記n個のシャント抵抗14−1〜14−nは、上記出力部4bと終端ユニット6との間に、直列に接続されることによって分圧回路を構成し、シャント抵抗14−1〜14−nのそれぞれが、上記制御電圧Vrを生成する。
【0130】
リレー回路13−1は、切り替えスイッチSW−1(スイッチ回路)により、2つの状態が切り替えられる。第1の状態は、電流Irが上記シャント抵抗14−1に流れることによって、上記対応するDC−DCコンバータの出力を制御するための制御電圧Vrを発生するオン状態である。第2の状態は、電流Irがシャント抵抗14−1に流れないオフ状態である。
【0131】
リレー回路13−1は、上記対応するDC−DCコンバータの稼動に連動して、対応するDC−DCコンバータ3−1が故障していなければ、切り替えスイッチSW−1をオン状態とする。
【0132】
これにより、DC−DCコンバータ3−1からインダクタLr−1へ電圧が印加されて、シャント抵抗14−1に電流Irが流されることにより、直流電流I1を制御するための電圧である制御電圧Vrが生成されて、DC−DCコンバータ3−1に出力される。
【0133】
一方、DC−DCコンバータ3−1が故障していれば、切り替えスイッチSW−1をオフ状態とする。これにより、DC−DCコンバータ3−1からインダクタLr−1へ電圧が印加されない。よって、シャント抵抗14−1に電流Irが流されないことにより、制御電圧Vrが生成されないようにすることが出来る。従って、故障したDC−DCコンバータ3−1を使用しないようにする(作動していないDC−DCコンバータを除外する)ことが出来る。
【0134】
(電流Ir)
上述したように、電流Irは、第1電流生成ユニット4から制御電圧生成ユニット5−1へ出力される。本項では、本実施形態1に係る電源装置1において電流Irがどのように流れるかについて、図4を用いて説明する。
【0135】
なお、図4の第1電流生成ユニット4は、あくまで一例である。第1電流生成ユニット4は、検出部4aに負荷電流Itotalが流れることにより、出力部4bから雄型コネクタ12a−1の一方の端子へ電流Irを出力することが出来るものであればよい。
【0136】
図4は、本実施形態1に係る電源装置1において、電流Irがどのように流れるかを説明するための説明図である。なお、説明の便宜上、図4は、制御電圧生成ユニットが2つ(即ち、DC−DCコンバータが2台)である場合の図とする。
【0137】
図4に示すように、第1電流生成ユニット4の検出部4aには、ノードN1から負荷7へ供給される電流である負荷電流Itotalが流れる。検出部4aは、熱線(ヒータ)であり、負荷電流Itotalが流れることにより、ジュール熱を生じる。
【0138】
第1電流生成ユニット4の出力部4bは、熱電対である。熱電対である出力部4bは、第1金属4b1と第2金属4b2とを備えている。
【0139】
図4において、第1金属4b1の一端と、第2金属4b2の一端とは、検出部4aの一点において接続されている。
【0140】
第1金属4b1の他端は、雄型コネクタ12a−1の一方の端子へ接続されている。雌型コネクタ12b−1の一方の端子は、雄型コネクタ12a−2の一方の端子へ接続されている。
【0141】
雌型コネクタ12b−2の一方の端子と、雌型コネクタ12b−2の他方の端子とは、終端ユニット6の内部で短絡されている。
【0142】
雄型コネクタ12a−2の他方の端子は、雌型コネクタ12b−1の他方の端子へ接続されている。
【0143】
そして、雄型コネクタ12a−1の他方の端子は、第2金属4b2の他端に接続されている。
【0144】
上記構成によれば、熱線(ヒータ)である検出部4aに負荷電流Itotalが流れると、熱電対である出力部4bの両端に、熱起電力が生じる。上述したように、制御電圧生成ユニット5−1,5−2はそれぞれ、抵抗値が等しいシャント抵抗を有しているので、熱起電力とシャント抵抗とにより、電流Irを流すことが出来る。
【0145】
図4に示す向きに電流Irを流すためには、例えば、第1金属4b1を亜鉛として、第2金属4b2に白金を用いればよい。これにより、+0.76mVの熱起電力を得ることが出来る。
【0146】
なお、図2の第2電流生成部15−1も、図4の第1電流生成ユニット4と同様に、熱線と熱電対とで実現してもよい。
【0147】
このように、電源装置1では、制御電圧生成ユニット5−1は、対応するDC−DCコンバータの能力に比例した抵抗値を有したシャント抵抗14−1を備えている。そして、各制御電圧生成ユニットに備えられたシャント抵抗14−1は、出力部4bと終端ユニット6との間に、直列に接続されていてもよい。
【0148】
これにより、シャント抵抗の値に応じて、分圧された制御電圧を生成することが出来る。そして、各DC−DCコンバータの能力が同じ場合には、シャント抵抗14−1を同じ抵抗値に設定して、均等に分圧された制御電圧Vrを生成することが出来る。
【0149】
(実施形態1の総括)
所望の電力を得るために、同じ能力を持つDC−DCコンバータを複数台接続して並列動作させるときに、負荷を各々の機器に均等に負担させるために、以下の構成を採用する。即ち、各DC−DCコンバータの電流目標値を、予め設定せずに、負荷電流Itotalに基づいて自動的に等しい値に設定する。
【0150】
各電流目標値が均等でないと、負担が大きいDC−DCコンバータの温度(動作温度)が上昇してしまい、部品への負担が増加して、信頼性が損なわれてしまう。
【0151】
図1に電源装置1の全体構成を示す。図1のように、所望の電力を得るためにn台のDC-DCコンバータを並列に接続する。また、各DC−DCコンバータに対応して制御電圧生成ユニットが設けられている。
【0152】
電源装置1において、負荷電流Itotalが流れるラインに、第1電流生成ユニット4を設ける。また、DC−DCコンバータとケーブル等で接続された制御電圧生成ユニット5−1〜5−nを、雄型コネクタと雌型コネクタとを用いて接続する。
【0153】
各々の制御電圧生成ユニット同士は、雄型コネクタと雌型コネクタとで接続される。よって、複数の制御電圧生成ユニットを、直列に接続することが出来る。最終段の制御電圧生成ユニットに、終端ユニット6を接続する。
【0154】
各々の制御電圧生成ユニット5−1〜5−nには、高精度かつ同一の抵抗値を有するシャント抵抗が備えられている。
【0155】
各DC−DCコンバータに対応した制御電圧生成ユニットを直列に接続するだけで、負荷電流Itotalにより生じる電圧を、制御電圧生成ユニットの台数分で分圧する。分圧された電圧は、制御電圧Vrとして、各DC−DCコンバータが備える電流目標値設定回路に入力される。
【0156】
また、同一の抵抗値を持つシャント抵抗を各々備えた制御電圧生成ユニットを直列に接続するだけで、第1電流生成ユニット4の上記出力部4bと、終端ユニット6との間の電位差を均等に分割して、制御電圧Vrを生成することが出来る。これにより、電流目標値を均等にすることが出来るため、並列動作するDC−DCコンバータに、電流目標値を予め設定する必要がない。また、負荷7の消費電力が変動する場合においても、変動に追従して、上記電位差が均等に分割された制御電圧Vrを生成することが出来る。
【0157】
なお、接続されているDC−DCコンバータが、故障等で作動していない時は、制御電圧生成ユニットが備えるリレー回路が働かない。よって、電流IrがNC端子側を経由して、シャント抵抗を迂回する(シャント抵抗に流れない)。このため、作動していないDC−DCコンバータに対応する制御電圧生成ユニットが備えるシャント抵抗の抵抗値は、電流Irが流れる閉回路に対して加算されない。従って、作動していないDC−DCコンバータを除外して、正確な制御電圧Vrを生成することが出来る。以上のような動作を、図1〜図4に示すような簡単な構成で実現することが出来る。
【0158】
電流目標値は、図2の電流目標値設定回路(16−1)に入力される。そして、電流目標値設定回路から出力される目標電流Itと、DC−DCコンバータ3−1が出力する直流電流I1とを比較し、直流電流I1が目標電流Itに一致するように制御される。
【0159】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について図5及び図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態において説明すること以外の構成は、前記実施形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記実施形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0160】
本実施形態2と、実施形態1との相違点は、以下の通りである。まず、図5の電源装置21において、DC−DCコンバータ23−1〜23−nの能力は、同一ではない。即ち、DC−DCコンバータ23−1〜23−nが出力することが出来る電力の最大値(即ち電流の最大値)は、同一ではない。この点については、(電源装置21の動作)で後述する。また、制御電圧生成ユニット25−1〜25−n内部のシャント抵抗の抵抗値は、同一ではない。
【0161】
図5は、本実施形態2に係る電源装置21のブロック図である。電源装置21は、DC−DCコンバータ23−1〜23−n、及び、DC−DCコンバータ23−1〜23−nと1対1に対応した制御電圧生成ユニット25−1〜25−nを備えている。その他の構成は、前記実施形態1に係る電源装置1と同じ構成である。
【0162】
(電源装置21の動作)
図5の電源装置21において、DC−DCコンバータ23−2〜23−nは、DC−DCコンバータ23−1と同様の動作を行うが、供給する直流電力、言い換えれば、能力が異なる。即ち、DC−DCコンバータ23−1〜23−nは、第1直流電力を元に、それぞれ異なる直流電力を負荷7へ供給する。これとともに、それぞれ異なる直流電力に応じた電流である直流電流I2’〜In’は、それぞれ、逆流防止ダイオードD−R1〜D−Rnを介して、ノードN3へ出力される。
【0163】
ノードN3には、直流電流I1’〜In’が入力される。よって、ノードN3から負荷7へ供給される電流である負荷電流Itotalは、実施形態1の(1)式で示される。
【0164】
電流Ir’は、制御電圧生成ユニット25−1→制御電圧生成ユニット25−2→制御電圧生成ユニット25−3→・・・→制御電圧生成ユニット25−n→終端ユニット6の経路で流れる。この点については、図6を用いて後述する。
【0165】
制御電圧生成ユニット25−1〜25−nは、シャント抵抗14−1’〜14−n’を備えている。シャント抵抗14−1’〜14−n’については、図6を用いて後述するが、制御電圧生成ユニット25−1〜25−nがそれぞれ有するn個のシャント抵抗の抵抗値は、以下の通りである。即ち、シャント抵抗の抵抗値は、対応するDC−DCコンバータが出力する電流である直流電流に応じた抵抗値である。具体的には、シャント抵抗14−1’の抵抗値がR、シャント抵抗14−2’の抵抗値が2×R、シャント抵抗14−3’の抵抗値が3×R、シャント抵抗14−n’の抵抗値がn×Rである。
【0166】
ここで、直流電流I1’〜In’について、以下の式が成立する。
I2’=2×I1’ (4)
I3’=3×I1’ (5)
In’=n×I1’ (6)
(制御電圧生成ユニットの構成)
ここで、本実施形態2に係る制御電圧生成ユニット25−1〜25−nについて、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態2に係る制御電圧生成ユニット25−1の回路図である。
【0167】
制御電圧生成ユニット25−1は、シャント抵抗14−1’、及び、交換式シャント抵抗モジュール30−1を備えている。シャント抵抗14−1’は、交換式シャント抵抗モジュール30−1に収容されているので、シャント抵抗14−1’は交換することが出来る。その他の構成は、実施形態1の制御電圧生成ユニット5−1と同じ構成である。
【0168】
同様に、制御電圧生成ユニット25−nは、シャント抵抗14−n’、及び、交換式シャント抵抗モジュール30−nを備えている。シャント抵抗14−n’は、交換式シャント抵抗モジュール30−nに収容されているので、シャント抵抗14−n’は交換することが出来る。その他の構成は、実施形態1の制御電圧生成ユニット5−nと同じ構成である。
【0169】
図6の制御電圧生成ユニット25−1において、切り替えスイッチSW−1の第2端子(NO)は、交換式シャント抵抗モジュール30−1の一端を介して、シャント抵抗14−1’の一端に接続されている。シャント抵抗14−1’の他端は、交換式シャント抵抗モジュール30−1の他端を介して、第2出力端子11b−1と、切り替えスイッチSW−1の第3端子(NC)と、雌型コネクタ12b−1の入力とに接続されている。
【0170】
(制御電圧生成ユニットの動作)
図6の制御電圧生成ユニット25−1の動作について、以下に説明する。
【0171】
DC−DCコンバータ23−1が正常に動作しており、シャント抵抗14−1’に電流が流れることにより、第1出力端子11a−1と第2出力端子11b−1との間に、制御電圧Vr1が生じる。制御電圧Vr1は、出力コネクタ11−1を介して、DC−DCコンバータ23−1が備える電流目標値設定回路に入力される。従って、DC−DCコンバータ23−1は、制御電圧Vr1に応じた直流電流I1’を出力することが出来る。
【0172】
なお、制御電圧生成ユニット25−2〜25−nは、制御電圧生成ユニット25−1と同様に動作する。即ち、制御電圧生成ユニット25−2〜25−nは、それぞれ、DC−DCコンバータ23−2〜23−nが備える電流目標値設定回路に、制御電圧Vr2〜Vrnを出力する。従って、DC−DCコンバータ23−2〜23−nは、それぞれ、制御電圧Vr2〜Vrnに応じた直流電流I2’〜In’を出力することが出来る。
【0173】
(実施形態2の総括)
各々の能力が異なるDC−DCコンバータを複数台接続して並列動作させることにより、所望の電力を得る電源装置(システム)において、各DC−DCコンバータに均等な電流目標値を設定した場合、各DC−DCコンバータの負荷電流は均等になる。
【0174】
しかしながら、本実施形態2のDC−DCコンバータ23−1〜23−nは、各々が異なる能力を有している。このため、各DC−DCコンバータに均等な電流目標値を設定すると、各DC−DCコンバータの能力に対する負荷の割合が異なってしまう。
【0175】
能力に対する負荷の割合が大きいほど、電源装置の温度が上昇したり、各部品への負担が大きくなったりする。このため、電源装置が故障し易くなる。よって、複数台のDC−DCコンバータを備える電源装置において、各DC−DCコンバータの故障が発生する時期が異なる。従って、電源装置全体としての動作可能期間が短くなり、結果として、電源装置の長期信頼性が損なわれる。
【0176】
そこで、本実施形態2に係る電源装置21では、以下の構成を採用した。即ち、各々の能力が異なるDC−DCコンバータを複数台接続して並列動作させる場合は、能力に対する負荷の割合が等しくなるように、目標電流値を設定する。
【0177】
これにより、各DC−DCコンバータにおける発熱のばらつきを抑え、部品への負担の偏りを無くすことが出来る。よって、故障のし易さの偏りをなくし、電源装置の長期信頼性を確保することができる。
【0178】
具体的な方法として、各DC−DCコンバータに取り付けられる制御電圧生成ユニットに設けるシャント抵抗の抵抗値を、各DC−DCコンバータの能力に比例させて設定するようにする。
【0179】
これにより、シャント抵抗器の抵抗値は、各DC−DCコンバータの能力に応じたシャント抵抗器の抵抗値となり、目標電流も、各DC−DCコンバータの能力に応じた値となる。
【0180】
例えば、図5のように、能力の単位が1であるDC−DCコンバータ23−1に対応する制御電圧生成ユニット25−1のシャント抵抗14−1’の抵抗値を1とする。この時、能力の単位が2倍であるDC−DCコンバータ23−2に対応する制御電圧生成ユニット25−2のシャント抵抗14−2’の抵抗値を、シャント抵抗14−1’の抵抗値の2倍とする。
【0181】
同様に、能力の単位がn倍のDC−DCコンバータ23−nに対応する制御電圧生成ユニット25−nのシャント抵抗14−n’の抵抗値は、シャント抵抗14−1’の抵抗値のn倍とする。
【0182】
このような構成とすることで、各能力に応じた大きさの電流目標値を、各DC−DCコンバータに入力することが出来る。その結果、各DC−DCコンバータは、自身の能力に応じた電流を出力することが出来るので、能力に対する負荷の割合を一定にすることが出来る。
【0183】
よって、特定のDC−DCコンバータの温度が、他のDC−DCコンバータより高くなることはない。従って、従来の電源装置よりも高い信頼性を得ることが出来る。
【0184】
さらに、DC−DCコンバータの寿命は、自身の温度に依存して変化するが、各DC−DCコンバータは温度が等しくなるので、各DC−DCコンバータの寿命も等しくなる。その結果、従来の電源装置よりも高い信頼性を得ることが出来る。
【0185】
また、制御電圧生成ユニット(25−1)のシャント抵抗(14−1’)は、図6に示すように、交換式シャント抵抗モジュール(30−1)に差し込む(収容する)。DC−DCコンバータの能力に応じた大きさのシャント抵抗を、交換式シャント抵抗モジュールを差し込むことで、制御電圧生成ユニット内のシャント抵抗の抵抗値を変更することが出来る。
【0186】
なお、接続されているDC−DCコンバータが、故障等で作動していない時は、制御電圧生成ユニットが備えるリレー回路が働かない。よって、電流Ir’がNC端子側を経由して、シャント抵抗を迂回する(シャント抵抗に流れない)。このため、作動していないDC−DCコンバータに対応する制御電圧生成ユニットが備えるシャント抵抗の抵抗値は、電流Ir’が流れる閉回路に対して加算されない。従って、作動していないDC−DCコンバータを除外して、正確な制御電圧Vr1〜Vrnを生成することが出来る。以上のような動作を、図5及び図6に示すような簡単な構成で実現することが出来る。
【0187】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明の電源装置は、従来の電源装置よりも信頼性が高いので、電気自動車に搭載される電源装置に好適に用いることが出来る。
【符号の説明】
【0189】
1,21 電源装置
2 電源
3−1〜3−n,23−1〜23−n DC−DCコンバータ
4 第1電流生成ユニット(第1電流生成部)
4a 検出部
4b 出力部
4b1 第1金属
4b2 第2金属
5−1〜5−n,25−1〜25−n 制御電圧生成ユニット(制御電圧生成部)
6 終端ユニット
7 負荷
8−1,8−n コントローラー(比較部)
9−1,9−n PI動作部
10−1,10−n コンパレータ
11−1,11−n 出力コネクタ
11a−1,11a−n 第1出力端子
11b−1,11b−n 第2出力端子
11c−1,11c−n 第1入力端子
11d−1,11d−n 第2入力端子
12a−1,12a−2,12a−n 雄型コネクタ
12b−1,12b−2,12b−n 雌型コネクタ
13−1,13−n リレー回路
14−1〜14−n,14−1’〜14−n’ シャント抵抗
15−1,15−n 第2電流生成部
16−1〜16−n 電流目標値設定回路(電流目標値設定部)
17−1,17−n 制御系
30−1,30−n 交換式シャント抵抗モジュール
C1−1,C1−n キャパシタ
C2−1,C2−n キャパシタ
D−1,D−n ダイオード
D−R1〜D−Rn 逆流防止ダイオード
I1〜In,I1’〜In’ 直流電流
Ir,Ir’ 電流(第1電流)
Ir1 電流(第2電流)
It 目標電流
Itotal 負荷電流
L−1,L−n,L1−1 インダクタ
Lr−1,Lr−n インダクタ
N1〜N4 ノード
Q−1,Q−n スイッチング素子
SW−1,SW−n スイッチ
Sc 制御信号
Sp パルス信号
Vr,Vr1〜Vrn 制御電圧
carrier キャリア信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2台のDC−DCコンバータが負荷に対して並列に接続され、
各DC−DCコンバータが、それぞれ電力を供給することにより、負荷に電力を供給する電源装置であって、
上記負荷に流れる電流である負荷電流に応じた第1電流を生成する第1電流生成部と、
上記DC−DCコンバータ1台に対して1つ設けられるとともに、上記第1電流生成部が上記第1電流を出力する出力部と、当該出力部の電位を確定させる終端部との間の電位差を、各DC−DCコンバータの能力に比例して各DC−DCコンバータ毎に分割することにより、各DC−DCコンバータが出力する電流を制御するための制御電圧を生成する制御電圧生成部とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
上記制御電圧生成部は、対応するDC−DCコンバータの能力に比例した抵抗値を有したシャント抵抗を備え、各制御電圧生成部に備えられたシャント抵抗は、上記出力部と上記終端部との間に、直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
上記DC−DCコンバータは、
自身が出力する直流電流に応じた第2電流を生成する第2電流生成部と、
上記制御電圧に応じて、上記直流電流の目標値である目標電流を生成する電流目標値設定部と、
上記第2電流と上記目標電流とを比較する比較部とをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
各DC−DCコンバータが出力することが出来る電流の最大値は、同一であり、
各シャント抵抗の抵抗値は、全て等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
各DC−DCコンバータが出力することが出来る電流の最大値は、それぞれ異なっており、
各シャント抵抗の抵抗値は、対応するDC−DCコンバータが出力することが出来る電流の最大値に比例することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
上記制御電圧生成部はリレー回路を備え、当該リレー回路を動作させるインダクタを備え、
上記インダクタには、対応するDC−DCコンバータが出力する電圧が印加され、対応するDC−DCコンバータが故障していなければ、上記DC−DCコンバータから上記インダクタへ電圧が印加されて、上記シャント抵抗に上記第1電流が流されることにより、上記直流電流を制御するための電圧である制御電圧が生成されて、上記DC−DCコンバータに出力し、
上記DC−DCコンバータが故障していれば、上記DC−DCコンバータから上記インダクタへ電圧が印加されずに、上記シャント抵抗に上記第1電流が流されないことにより、上記制御電圧が生成されないことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項7】
負荷に対して並列に接続される少なくとも2台のDC−DCコンバータと、
各DC−DCコンバータが、上記負荷に対してそれぞれ電力を供給することにより、上記負荷に流れる電流である負荷電流に応じた第1電流を生成する第1電流生成部とを備えた電源装置に搭載されるとともに、上記DC−DCコンバータ1台に対して1つ設けられる制御電圧生成ユニットであって、
対応するDC−DCコンバータの能力に比例した抵抗値を有したシャント抵抗と、
上記第1電流が上記シャント抵抗に流れることによって、上記対応するDC−DCコンバータの出力を制御するための制御電圧を発生するオン状態と、上記第1電流が上記シャント抵抗に流れないオフ状態とでスイッチ回路を切り替えるリレー回路とを備え、
上記リレー回路は、上記対応するDC−DCコンバータの稼動に連動して、上記スイッチ回路をオンにすることを特徴とする制御電圧生成ユニット。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−244745(P2012−244745A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111770(P2011−111770)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】