説明

電源装置及び照明装置

【課題】 直列接続されるLEDの数に拘わらず、LEDの明るさのばらつきを抑制し、発熱量の増加及び効率の低下を防止することができる電源装置及び該電源装置を備える照明装置を提供する。
【解決手段】 LED9、9、…に流れる電流を抵抗61で検出し、検出した電流を電圧に変換して演算増幅器71へ出力し、入力された電圧に応じた電圧Voを演算増幅器71で出力し、電圧Voに応じて演算増幅器71から出力される電流Ioと、抵抗74、75を流れる設定電流Irとを比較する。電流Ioが設定電流Irを超える場合には、余剰電流Ie(Io−Ir)を抵抗77、フォトダイオード76b、シャントレギュレータ78の直列回路に流し、PWM制御部51がFET53のゲートへ出力するドライブ信号を停止することにより、コンバータ回路5の出力電圧を下げ、電流Ifを小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDに電流を供給する電源装置及び該電源装置を備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から光源として用いられてきた蛍光灯に比べて、省電力又は長寿命であるという理由で、LED(Light Emitting Diode)が光源として注目を浴びており、数十mAから数百mA程度の比較的大きな電流を流すことができるLEDが、屋内用の照明機器のみならず、道路用照明機器、産業用照明機器などに幅広く使用されるようになった。
【0003】
このようなLEDを照明機器用の光源として用いる場合、照明機器からの発光量を確保するために、複数のLEDを集合体として接続して機器内に配置し(例えば、複数のLEDを直列に接続し)、集合体としてのLEDに定電圧電源を接続して、一定の電圧をLEDに印加するとともに、LEDに流れる電流を所定の値にするために、LEDに直列に制限抵抗を接続して電流を制限する電源装置が用いられている。
【0004】
図4は従来のLED用の電源装置の構成を示すブロック図である。図において、1は電源装置に交流電圧を入力するための商用電源である。フィルタ回路2は、商用電源1から流入するノイズを除去する。整流回路3は、入力された交流電圧を全波整流する。コンデンサ4は、整流回路3で全波整流された電圧波形を平滑し、ほぼ一定な直流電圧をコンバータ回路10へ出力する。コンバータ回路10は、定電圧制御部を内蔵し、所定の定電圧を出力する。コンバータ回路10の出力側には、電流制限用の抵抗20を介して、直列接続されたLED9、9、…を接続してある。
【0005】
これにより、各LEDには、コンバータ回路10の出力電圧から、各LEDの順方向電圧降下分の電圧を差し引いた電圧を、制限抵抗値で割った値の電流が流れ、各LEDは所定の明るさで点灯する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電源装置にあっては、コンバータ回路10の出力電圧は、常に一定となるように制御される。一方、LEDの順方向電圧は、LEDの点灯経過時間、周囲温度などにより変化する。このため、例えば、LEDの周囲温度が上昇した場合には、直列接続されたLED夫々の順方向電圧の低下が重畳されるため、制限抵抗に印加される電圧が上昇し、LEDに流れる電流が増加する。このため、周囲温度が変化した場合に、LEDの明るさが変化するとともに、制限抵抗が消費する電力が増加して、電源装置の発熱が大きくなり、また、電源装置の効率が低下するという問題があった。また、かかる問題は、直列接続されるLEDの数が増えるに応じて顕著になる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、LEDに供給される電流を検出し、検出した電流と閾値電流とを比較する比較部を備えることにより、比較した結果に基づいて、出力電圧を変化させて、LEDに供給される電流を略一定にすることにより、直列接続されるLEDの数に拘わらず、点灯時間又は周囲温度などが変化した場合であっても、LEDの明るさのばらつきを抑制し、発熱量の増加及び効率の低下を防止することができる電源装置及び該電源装置を備える照明装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、出力電圧を検出する電圧検出部を備えることにより、LEDが接続されていない無負荷の状態において、出力電圧が異常に上昇することを防止することができる電源装置及び該電源装置を備える照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る電源装置は、LEDに電流を供給する電源装置において、出力電圧可変の電圧供給部と、前記LEDに供給する電流を検出する電流検出部と、閾値電流を設定する閾値設定部と、前記電流検出部が検出した電流と前記閾値電流とを比較する比較部とを備え、該比較部が比較した結果に基づいて、前記電圧供給部の出力電圧を変更して前記LEDに流れる電流を略一定にするようにしてあることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る電源装置は、第1発明において、前記電流検出部は、前記LEDに直列に接続される第1の抵抗素子を有し、前記閾値設定部は、カソード端子、アノード端子、及び基準電圧端子を有する基準電圧設定素子の基準電圧端子に、第2の抵抗素子及び第3の抵抗素子夫々の一端を接続してあり、前記比較部は、前記第2の抵抗素子及び第3の抵抗素子夫々の他端間に接続され、前記基準電圧設定素子と、該基準電圧設定素子のカソード端子又はアノード端子に一端を接続した第4の抵抗素子との直列回路を有しており、前記LEDに供給される電流を前記第1の抵抗素子で変換して得られる電圧を前記第2の抵抗素子の他端へ出力するようにしてあり、前記直列回路を流れる電流に基づいて、前記電圧供給部の出力電圧を変更するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る電源装置は、第1発明又は第2発明において、前記出力電圧を検出する電圧検出部を備え、該電圧検出部が検出した電圧が、所定の閾値電圧を超えた場合に、前記電圧供給部の出力電圧を下げるようにしてあることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る照明装置は、LEDと、該LEDに電流を供給する第1発明乃至第3発明のいずれかに記載の電源装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
第1発明及び第4発明にあっては、電流検出部は、電圧供給部が供給した電圧によりLEDに供給する電流を検出する。比較部は、前記電流検出部が検出した電流と、閾値設定部が設定した閾値電流とを比較する。前記比較部が比較した結果、検出した電流が前記閾値電流より大きい場合には、LEDに供給する電流を小さくするように前記電圧供給部の出力電圧を下げる。一方、検出した電流が前記閾値電流より小さい場合には、LEDに供給する電流を大きくするように前記電圧供給部の出力電圧を上げる。
【0014】
第2発明にあっては、LEDに供給する電流を第1の抵抗素子で変換して得られた電圧(例えば、増幅された電圧)を第2の抵抗素子の他端へ出力する。前記第2の抵抗素子の一端は、第3の抵抗素子の一端に接続してあるとともに、基準電圧設定素子の基準電圧端子に接続してあるため、前記第2の抵抗素子及び第3の抵抗素子に流れる電流は、前記基準電圧設定素子の基準電圧を第3の抵抗素子の抵抗値で割った値(LEDに流れる電流の目標値に対応する閾値電流)に設定される。また、前記第2の抵抗素子及び第3の抵抗素子夫々の他端間には、前記基準電圧設定素子と、該基準電圧設定素子のアノード端子又はカソード端子に一端を接続した第4の抵抗素子との直列回路を接続してある。
【0015】
LEDに供給する電流が増加した場合、前記増幅された電圧は大きくなり、前記第2の抵抗素子の他端における電圧が上昇する。前記第2の抵抗素子及び第3の抵抗素子には閾値電流以上の電流が流れないため、前記基準電圧設定素子と第4の抵抗素子との直列回路に、前記閾値電流を超えた電流が流れる。前記直列回路に流れる電流により、前記電圧供給部の出力電圧を下げ、LEDに供給する電流を小さくする。
【0016】
一方、LEDに供給する電流が減少した場合、前記増幅された電圧は小さくなり、前記第2の抵抗素子の他端における電圧が低下する。前記電圧による電流が前記閾値電流を下回った場合、前記基準電圧設定素子と第4の抵抗素子との直列回路には電流が流れない。前記直列回路に電流が流れないことにより、前記電圧供給部の出力電圧を上げ、LEDに供給する電流を大きくする。これにより、LEDに供給する電流を、目標値にほぼ等しい値にする。
【0017】
第3発明にあっては、電圧検出部が検出した出力電圧が、所定の閾値電圧を越えた場合、電圧供給部の出力電圧を所定の閾値電圧まで下げる。
【発明の効果】
【0018】
第1発明及び第4発明にあっては、LEDに供給する電流を検出し、検出した電流と、閾値設定部で設定された閾値電流とを比較する比較部を備え、比較した結果に基づいて、電圧供給部の出力電圧を変更するようにしてあることにより、直列接続したLEDの数に拘わらず、常に略一定の電流をLEDに供給することができるため、時間変化、温度変化などに基づいて生じるLEDの明るさ変動を抑制することができる。また、LEDに短絡破損が生じて負荷が大きく変動した場合であっても、常に略一定の電流をLEDに供給することができ、LEDに過剰電流が流れることを防止でき、信頼性が向上する。また、制限抵抗を用いる必要がないため、制限抵抗で生じた発熱、電力消費を無くすことができ、無駄な消費電力を低減して効率を上げることができる。
【0019】
第2発明にあっては、第2の抵抗素子の一端と他端を接地した第3の抵抗素子の一端とを接続し、前記一端に基準電圧設定素子の基準電圧端子を接続した閾値設定部と、前記基準電圧設定素子と該基準電圧設定素子のアノード端又はカソード端に一端を接続した第4の抵抗素子との直列回路を有する比較部とを備え、前記直列回路に流れる電流の有無に応じて、電圧供給部の出力電圧を変更するようにしてあることにより、比較的簡便な構成で電流制御をして、LEDに常に略一定の電流を供給することができ、直列接続したLEDの数に拘わらず、時間変化、温度変化などに基づいて生じるLEDの明るさ変動を抑制することができる。また、LEDに短絡破損が生じて負荷が大きく変動した場合であっても、常に略一定の電流をLEDに供給することができ、LEDに過剰電流が流れることを防止でき、信頼性が向上する。また、制限抵抗を用いる必要がないため、制限抵抗で生じた発熱、電力消費を無くすことができ、無駄な消費電力を低減して効率を上げることができる。
【0020】
第3発明にあっては、電圧検出部が検出した出力電圧が、所定の閾値電圧を越えた場合、電圧供給部の出力電圧を下げることにより、無負荷時などに出力電圧が異常に上昇することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る照明装置の構成を示すブロック図であり、図2は本発明に係る電源装置の構成を示す回路図である。照明装置は、電源装置及び該電源装置の出力側に複数直列に接続されたLED9、9、…を有する。電源装置の入力側には、商用電源1を接続してある。
【0022】
図において、2はフィルタ回路である。フィルタ回路2は、商用電源1から流入するノイズを遮断する。整流回路3は、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路であり、入力された交流電圧を全波整流し、全波整流した直流電圧をコンデンサ4へ出力する。コンデンサ4は、整流回路3から入力された直流電圧を平滑し、ほぼ一定の直流電圧をコンバータ回路5へ出力する。
【0023】
コンバータ回路5は、一次巻線及び二次巻線を有し、入力された直流電圧を所定の直流電圧に降圧するためのトランス部52と、トランス部52の一次巻線の一端にドレインを接続してあり、所定の発振周波数(例えば、40kHz)でスイッチング動作をするFET53と、FET53のスイッチング動作を制御するため、FET53のゲートにドライブ信号を、出力端DRを介して出力するPWM制御部51と、FET53のドレイン・ソース間を流れる電流を検出し、検出した電流を電圧に変換してPWM制御部51のセンス端ISへ出力し、PWM制御部51の各周期毎の電流制御をするために一端をFET53のソースに接続し、他端を接地してある抵抗54と、FET53の発振を停止させ間欠発振モードに移行するための制御信号を、フィードバック端FBを介してPWM制御部51へ出力するフォトトランジスタ55a、55bとを備える。すなわち、PWM制御部51は、フォトトランジスタ55a、又はフォトトランジスタ55bのいずれかがオンになっている間、FET53のスイッチング動作をドライブするドライブ信号の出力を停止する。
【0024】
電流検出回路6は、抵抗61を備え、抵抗61は、LED9、9、…に直列に接続するようにしてあり、抵抗61の一端は定電流制御回路7へ接続してあり、他端はコンバータ回路5の二次巻線の一端に接続してある。また、二次巻線の前記一端は接地してある。これにより、LED9、9、…に流れる電流Ifに抵抗61の抵抗値を積算して得られる電圧を定電流制御回路7へ出力する。
【0025】
定電流制御回路7は、演算増幅器71を備え、電流検出回路6の抵抗61の前記一端を、抵抗79を介して演算増幅器71の非反転入力端に接続してある。また、演算増幅器71の反転入力端と出力端との間には抵抗72を接続してあり、演算増幅器71の反転入力端と接地との間には抵抗73を接続してある。これにより、抵抗61で検出された電流Ifは、電圧に変換され、演算増幅器71の非反転入力端に入力され、抵抗72、73の抵抗値で決定される増幅度に応じて、演算増幅器71は正相増幅器として動作して出力端に電圧Voを出力する。
【0026】
また、定電流制御回路7は、演算増幅器71の出力端と接地との間に直列に接続した抵抗74及び抵抗75と、抵抗74及び抵抗75の接続点に基準電圧端子を接続し、アノード端子を接地したシャントレギュレータ78(基準電圧設定素子)と、演算増幅器71の出力端とシャントレギュレータ78のカソード端子との間に直列に接続した抵抗77及びフォトダイオード76bとを備える。これにより、抵抗74、75には、シャントレギュレータ78の基準電圧端子の電圧Vrを抵抗75の抵抗値で割った値の設定電流Ir(閾値電流)を常に流すように設定することができる。
【0027】
演算増幅器71の出力端の電圧Voが上昇し、前記出力端から出力される電流Ioが設定電流Irを超えた場合、設定電流Irを超えた分の余剰電流Ie(Io−Ir)は、抵抗77、フォトダイオード76b、及びシャントレギュレータ78の直列回路に流れ、フォトダイオード76bに電流が流れることにより、フォトトランジスタ55bはオンとなる。一方、演算増幅器71の出力端の電圧Voが低下し、前記出力端から出力される電流Ioが設定電流Ir以下になった場合、抵抗77とシャントレギュレータ78との直列回路には余剰電流Ieが流れず、フォトダイオード76bに電流が流れないことにより、フォトトランジスタ55bはオフとなる。
【0028】
コンバータ回路5の出力端間には、抵抗81、フォトダイオード82a、及びツェナーダイオード83を直列に接続してある。コンバータ回路5の出力電圧が、ツェナーダイオード83で設定される閾値電圧を超えた場合、フォトダイオード82aに電流が流れ、フォトトランジスタ55aをオンにする。また、コンバータ回路5の出力電圧が、前記閾値電圧以下になった場合、フォトダイオード82aには電流が流れず、フォトトランジスタ55aをオフにする。これにより、無負荷状態などにおいて、コンバータ回路5の出力電圧が異常に上昇した場合、FET53の発振動作を停止して、コンバータ回路の出力電圧を低下させることができる。
【0029】
次に本発明の電源装置の動作について説明する。電源装置の入力端に交流電圧を印加することにより、PWM制御部51は、所定の発振周波数(例えば、40kHz)、パルス幅(例えば、デューティ比50%)を有するドライブ信号を出力端DRからFET53のゲートへ出力し、FET53はスイッチング動作を行う。これにより、コンバータ回路5は所定の出力電圧を出力し、直列接続したLED9、9、…に直流電流を供給する。
【0030】
PWM制御部51は、FET53のドレイン・ソース間を流れる電流を抵抗54で電圧に変換し、変換した電圧をセンス端ISで取得し、取得した電圧に応じて電流制御を行う。これにより、各周期毎に過電流保護回路を設定することができる。
【0031】
電流検出回路6の抵抗61は、LED9、9、…を流れる電流Ifを検出し、検出した電流Ifを電圧に変換して、演算増幅器71の非反転入力端へ出力する。演算増幅器71は、入力された電圧を、所定の増幅率で増幅した電圧Voを出力端から出力する。
【0032】
LED9、9、…の周囲温度が上昇することにより、LED9、9、…夫々の順方向電圧Vfが、例えば、3.5Vから3.0Vに低下した場合、コンバータ回路5の出力電圧は一定のままであるから、LED9、9、…に流れる電流Ifは増加する。電流Ifが増加した場合、演算増幅器71の非反転入力端に入力される電圧も増加し、演算増幅器71の出力端の電圧Voは上昇する。
【0033】
出力端の電圧Voが上昇すると、出力端から出力される電流Ioも増加し、電流Ioが設定電流Irを超えた場合、余剰電流Ie(Io−Ir)が抵抗77、フォトダイオード76b、シャントレギュレータ78を流れ、フォトダイオード76bを流れる電流Ieにより、フォトトランジスタ55bがオンとなる。これにより、PWM制御部51のフィードバック端FBがLOWレベルになり、FET53のゲートへ出力するドライブ信号を停止して、FET53の発振動作が一旦停止する間欠発振モードに移行する。
【0034】
FET53の発振動作が停止することにより、コンバータ回路5の出力電圧は低下し、LED9、9、…に流れる電流Ifは減少する。これにより、周囲温度の変化などにより、LED9、9、…の順方向電圧Vfが低下した場合であっても、電流Ifの増加を抑制することができる。
【0035】
一方、電流Ifが減少した場合、演算増幅器71の非反転入力端に入力される電圧も減少し、演算増幅器71の出力端の電圧Voは低下する。出力端の電圧Voが低下すると、出力端から出力される電流Ioが減少し、電流Ioが設定電流Ir以下になった場合、余剰電流Ieはゼロとなり、フォトダイオード76bには電流Ieが流れない。このため、フォトトランジスタ55bがオフとなる。これにより、PWM制御部51のフィードバック端FBがHIGHレベルになり、停止していたドライブ信号をFET53のゲートへ出力し、コンバータ回路5は間欠発振モードから通常発振モードに移行する。
【0036】
FET53の発振動作が行われることにより、コンバータ回路5の出力電圧は上昇し、LED9、9、…に流れる電流Ifは上昇する。これにより、電流Ifの減少を抑制し、周囲温度の変化、負荷変動などが生じた場合であっても、略一定の電流IfをLED9、9、…に供給することができる。
【0037】
図3はLED9、9、…に流れる電流Ifの変化を示すタイムチャートである。図に示すように、当初、目標値であった電流Ifは、温度変化、負荷変動などにより時点t1で上昇し始めたとする。時点t1までは、FET53は通常発振モードで動作している。
【0038】
時点t1で電流Ifの上昇を検出した電流検出回路6は、検出した電流から変換した電圧を定電流制御回路7の演算増幅器71へ出力する。演算増幅器71は入力された電圧に応じた電圧Voを出力する。電圧Voにより余剰電流Ieがフォトダイオード76bに流れることにより、FET53は一旦発振動作を停止し、間欠発振モードに移行する。
【0039】
FET53の発振動作を停止することにより、コンバータ回路5の出力電圧は低下し、上昇していた電流Ifも減少し始める。電流Ifの減少を検出した電流検出回路6は、検出した電流から変換した電圧を定電流制御回路7の演算増幅器71へ出力する。演算増幅器71は入力された電圧に応じた電圧Voを出力する。電圧Voが低下して余剰電流Ieがフォトダイオード76bに流れなくなった場合(時点t2)、FET53は発振動作を開始し、通常発振モードに移行する。コンバータ回路5の出力電圧は上昇し、電流Ifは増加し始め、所定の目標値になる。
【0040】
このように、周囲温度の変化によるLED9、9、…の順方向電圧の変動、負荷変動などが生じた場合であっても、LED9、9、…に流れる電流Ifを略一定の目標値に保つことができる。
【0041】
以上説明したように、本発明にあっては、LED9、9、…に流れる電流を抵抗61で検出し、検出した電流を電圧に変換して演算増幅器71へ出力し、入力された電圧に応じた電圧Voを演算増幅器71で出力し、電圧Voに応じて演算増幅器71から出力される電流Ioと、抵抗74、75を流れる設定電流Irとを比較する。電流Ioが設定電流Irを超える場合には、余剰電流Ie(Io−Ir)を抵抗77、フォトダイオード76b、シャントレギュレータ78の直列回路に流し、PWM制御部51がFET53のゲートへ出力するドライブ信号を停止することにより、コンバータ回路5の出力電圧を下げ、電流Ifを小さくする。
【0042】
一方、電流Ioが設定電流Ir以下である場合には、余剰電流Ieがフォトダイオード76bを流れず、PWM制御部51がFET53のゲートへ出力するドライブ信号を出力することにより、コンバータ回路5の出力電圧を上げ、電流Ifを大きくする。これにより、周囲温度の変化によるLED9、9、…の順方向電圧の変動、負荷変動などが生じた場合であっても、LED9、9、…に流れる電流Ifを略一定の目標値に保つことができる。
【0043】
これにより、比較的簡便な構成で、直列接続したLEDの数に拘わらず、常に略一定の電流をLEDに流すことができるため、時間変化、温度変化に基づいて生じるLEDの明るさ、輝度の変動を抑制することができる。また、LEDに短絡破損が生じて負荷が大きく変動した場合であっても、常に略一定の電流をLEDに流すことができ、LEDに過剰電流が流れることを防止でき、信頼性が向上する。また、従来のように制限抵抗を用いる必要がないため、制限抵抗で生じた発熱、電力消費を無くすことができ、無駄な消費電力を低減して効率を上げることができる。
【0044】
また、本発明にあっては、コンバータ回路5の出力電圧が、ツェナーダイオード83で設定される閾値電圧を超えた場合、フォトダイオード82aに電流が流れ、フォトトランジスタ55aをオンにする。これにより、無負荷状態などにおいて、コンバータ回路5の出力電圧が異常に上昇した場合、FET53の発振動作を停止して、コンバータ回路5の出力電圧を低下させることができる。
【0045】
上述の実施の形態においては、電源装置は、整流回路3を備える構成であったが、これに限定されるものではなく、入力電圧として交流電圧に代えて、電池により供給される直流電圧を入力する構成であってもよい。この場合は、整流回路3、コンデンサ4は不要になる。また、コンバータ回路5は、降圧型に限定されるものではなく、昇圧型、昇降圧型であってもよい。
【0046】
上述の実施の形態においては、コンバータ回路5は、PWM方式のパルス幅を変更して出力電圧を可変とする構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、VCO(Voltage Controlled Oscillator、電圧制御発振器)など、出力電圧を可変できるものであれば、どのような構成であってもよい。
【0047】
上述の実施の形態では、LEDを複数個直列に接続する構成であったが、LEDの数は特に限定されるものではなく、1個であってもよい。なお、LEDの数は多いほど、各LEDの順方向電圧の変動が加算されるため、本発明による効果は、より顕著に現れるといえる。また、LEDに代えて有機EL素子などの電流駆動素子を負荷として用いることも可能である。
【0048】
上述の実施の形態においては、抵抗61で電流Ifから変換された電圧を正相増幅器として作動する演算増幅器71へ出力する構成であったが、演算増幅器71を逆相増幅器として作動させる構成であってもよい。この場合は、フォトトランジスタ55bの出力を反転させた信号をPWM制御部51へ出力することができる。
【0049】
上述の実施の形態において、抵抗61、72、73、74、75、77は、1つの抵抗として構成してあるが、各抵抗は1つの抵抗に限定されるものではなく、複数の抵抗を直列又は並列に接続した抵抗群であってもよい。また、可変抵抗を用いる構成であってもよい。また、抵抗77は、シャントレギュレータ78のカソード側に代えてアノード側に接続する構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る照明装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る電源装置の構成を示す回路図である。
【図3】LEDに流れる電流の変化を示すタイムチャートである。
【図4】従来のLED用の電源装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
5 コンバータ回路
6 電流検出回路
7 定電流制御回路
8 電圧検出回路
9 LED
51 PWM制御部
53 FET
55a、55b フォトトランジスタ
61 抵抗
71 演算増幅器
72、73、74、75、77 抵抗
76b フォトダイオード
78 シャントレギュレータ
81 抵抗
82a フォトダイオード
83 ツェナーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDに電流を供給する電源装置において、
出力電圧可変の電圧供給部と、
前記LEDに供給する電流を検出する電流検出部と、
閾値電流を設定する閾値設定部と、
前記電流検出部が検出した電流と前記閾値電流とを比較する比較部と
を備え、
該比較部が比較した結果に基づいて、前記電圧供給部の出力電圧を変更して前記LEDに流れる電流を略一定にするようにしてあることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電流検出部は、
前記LEDに直列に接続される第1の抵抗素子を有し、
前記閾値設定部は、
カソード端子、アノード端子、及び基準電圧端子を有する基準電圧設定素子の基準電圧端子に、第2の抵抗素子及び第3の抵抗素子夫々の一端を接続してあり、
前記比較部は、
前記第2の抵抗素子及び第3の抵抗素子夫々の他端間に接続され、前記基準電圧設定素子と、該基準電圧設定素子のカソード端子又はアノード端子に一端を接続した第4の抵抗素子との直列回路を有しており、
前記LEDに供給される電流を前記第1の抵抗素子で変換して得られる電圧を前記第2の抵抗素子の他端へ出力するようにしてあり、前記直列回路を流れる電流に基づいて、前記電圧供給部の出力電圧を変更するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記出力電圧を検出する電圧検出部を備え、
該電圧検出部が検出した電圧が、所定の閾値電圧を超えた場合に、前記電圧供給部の出力電圧を下げるようにしてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
LEDと、該LEDに電流を供給する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源装置とを備えることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−222376(P2006−222376A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36271(P2005−36271)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000195029)星和電機株式会社 (143)
【出願人】(590004648)株式会社共進電機製作所 (7)
【Fターム(参考)】