説明

電源装置及び発光素子駆動装置

【課題】デジタル回路からの出力信号のライン数を増やすことなく、簡単な回路構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号を従来よりも低い周波数の動作クロックを生成する。
【解決手段】ADC11からのデジタル値に基づいて、CPU14が一定時間毎に制御指令値と出力差分値を算出する。この出力差分値に基づいて、PWMユニット15が充電端子PH0,PH1へHレベルの信号を出力するのか、或いは放電端子PL0,PL1へLレベルの信号を出力するのかを決定し、出力電圧Voutの安定化を図る。マイクロプロセッサ4からは、少なくとも充電端子PH0,PH1と放電端子PL0,PL1に対応した出力ラインがあればよい。また、駆動信号S5の周波数はランプ信号S2と同一で、クロック信号S1に同期する。したがって、クロック信号S1ひいては駆動信号S5の周波数は、コンバータ2の仕様を考慮して決定できる。一方、前記信号は、ランプ信号S2の周波数よりも低くてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び発光素子駆動装置に関し、特に、マイクロプロセッサを用いてPWM制御を行なう電源装置及び発光素子駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、デジタル回路としてのマイクロプロセッサが制御指令値を算出し、その算出値を示すデジタル信号に基づいて、パルス発振器が所定のデューティ比の駆動信号を生成する発光素子駆動装置が開示されている。デジタル信号が10ビットの信号であれば、そのデジタル値0〜1023に基づいて駆動信号のデューティ比が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−331017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デューティ比を調整できる段階は、デジタル信号のビット数に依存する。デューティ比を細かく調整したい場合には、デジタル信号のビット数を増やさなければならない。デジタル信号のビット数を増やすと、マイクロプロセッサからの出力信号のライン数が増加する。マイクロコンピュータ内で駆動信号を生成すれば、マイクロコンピュータの出力信号のライン数を減らすことができるが、デューティ比を細かく調整したい場合には、マイクロコンピュータの動作クロックの周波数を高くしなければならない。
【0005】
そこで本発明は、デジタル回路からの出力信号のライン数を増やすことなく、簡単な回路構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号を従来よりも低い周波数の動作クロックで生成できる電源装置及び発光素子駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スイッチング素子のオン・オフ動作により電力を供給するコンバータと、制御指令値をデジタル演算により算出して、前記コンバータを制御するデジタル回路と、を備えた電源装置であって、前記コンバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段により検出された電圧値をデジタル値に変換する変換回路と、前記変換回路からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分値を算出する演算を行なう演算回路と、前記演算回路で算出された前記差分値に基づいて、1つの充電端子と1つの放電端子からなる1組み以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子の高レベル又は低レベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路と、前記充電端子に高レベルの信号を出力しているときに充電され、前記放電端子に低レベルの信号を出力しているときに放電されるコンデンサを備えた充放電回路と、前記演算回路に与えられる動作クロックに基づいて生成されたクロック信号に同期したランプ信号を出力するランプ信号発生回路と、前記ランプ信号と前記コンデンサの両端間電圧との比較結果に基づいて、前記スイッチング素子をオン・オフ動作させる駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備えて構成される。
【0007】
本発明は、スイッチング素子のオン・オフ動作により電力を供給するコンバータと、制御指令値をデジタル演算により算出し、前記コンバータを制御するデジタル回路とを備え、前記コンバータから供給される電力により発光素子を駆動する発光素子駆動装置であって、前記発光素子に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電圧値をデジタル値に変換する変換回路と、前記変換回路からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分値を算出する演算を行なう演算回路と、前記演算回路で算出された前記差分値に基づいて、1つの充電端子と1つの放電端子からなる1組み以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子の高レベル又は低レベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路と、前記充電端子に高レベルの信号を出力しているときに充電され、前記放電端子が低レベルの電圧を出力しているときに放電されるコンデンサを備えた充放電回路と、前記演算回路に与えられる動作クロックに基づいて生成されたクロック信号に同期したランプ信号を出力するランプ信号発生回路と、前記ランプ信号と前記コンデンサの両端間電圧との比較結果に基づいて、前記スイッチング素子をオン・オフ動作させる駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備えて構成される。
【0008】
本発明は、スイッチング素子のオン・オフ動作により電力を供給するコンバータと、制御指令値をデジタル演算により算出して、前記コンバータを制御するデジタル回路と、を備えた電源装置であって、前記コンバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段により検出された電圧値をデジタル値に変換する変換回路と、前記変換回路からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分値を算出する演算を行なう演算回路と、前記演算回路で算出された前記差分値に基づいて、1つ以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力し、1つ以上の制御端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子及び前記制御端子の高レベル又は低レベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路と、前記充放電端子に高レベルの信号を出力しているときに充電され、前記充放電端子に低レベルの信号を出力しているときに放電されるコンデンサ,及び前記充放電端子と前記コンデンサとの間のラインに挿入接続され、前記制御端子の信号レベルに応じてオン,オフするスイッチ素子を備えた充放電回路と、前記演算回路に与えられる動作クロックに基づいて生成されたクロック信号に同期したランプ信号を出力するランプ信号発生回路と、前記ランプ信号と前記コンデンサの両端間電圧との比較結果に基づいて、前記スイッチング素子をオン・オフ動作させる駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備えて構成される。
【0009】
本発明は、スイッチング素子のオン・オフ動作により電力を供給するコンバータと、制御指令値をデジタル演算により算出し、前記コンバータを制御するデジタル回路とを備え、前記コンバータから供給される電力により発光素子を駆動する発光素子駆動装置であって、前記発光素子に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流値をデジタル値に変換する変換回路と、前記変換回路からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分値を算出する演算を行なう演算回路と、前記演算回路で算出された前記差分値に基づいて、1つ以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力し、1つ以上の制御端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子及び前記制御端子の高レベル又は低レベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路と、前記充放電端子に高レベルの信号を出力しているときに充電され、前記充放電端子に低レベルの信号を出力しているときに放電されるコンデンサ,及び前記充放電端子と前記コンデンサとの間のラインに挿入接続され、前記制御端子の信号レベルに応じてオン,オフするスイッチ素子を備えた充放電回路と、前記演算回路に与えられる動作クロックに基づいて生成されたクロック信号に同期したランプ信号を出力するランプ信号発生回路と、前記ランプ信号と前記コンデンサの両端間電圧との比較結果に基づいて、前記スイッチング素子をオン・オフ動作させる駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電源装置によれば、コンバータの出力電圧を反映した変換回路からのデジタル値に基づいて、演算回路が一定時間毎に今回の制御指令値を算出し、前回の制御指令値との差分値を算出する。この差分値に基づいて、信号出力回路が充放電端子へ高レベルの信号を出力するのか、或いは低レベルの信号を出力するのかを決定すると共に、その高レベル又は低レベルの信号の出力期間を決定して、充放電回路のコンデンサを充放電させることで、コンバータの出力電圧の安定化を図る。したがって、デジタル回路からは少なくとも充電端子と放電端子に対応した出力ラインがあればよい。
【0011】
また、駆動信号生成回路で生成される駆動信号の周波数はランプ信号と同一となり、このランプ信号の周波数はクロック信号に同期したものとなる。したがって、クロック信号ひいては駆動信号の周波数は、演算回路により制御指令値や差分値を算出するための処理時間ではなく、コンバータの仕様を考慮して決定できる。一方、差分値に基づいてその出力期間が決定される充電端子への高レベルの信号や、放電端子への低レベルの信号は、ランプ信号の周波数よりも低くてもよく、駆動信号のデューティ比を詳細に調整したい場合に、動作クロックの周波数をわざわざ高くする必要がない。
【0012】
このように、デジタル回路からの出力ライン数を増やすことなく、充放電回路を付加しただけの簡単な構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号を従来よりも低い周波数の動作クロックで生成することができる。
【0013】
本発明の発光素子駆動装置によれば、発光素子への出力電流を反映した変換回路からのデジタル値に基づいて、演算回路が一定時間毎に今回の制御指令値を算出し、前回の制御指令値との差分値を算出する。この差分値に基づいて、信号出力回路が充放電端子へ高レベルの信号を出力するのか、或いは低レベルの信号を出力するのかを決定すると共に、その高レベル又は低レベルの信号の出力期間を決定して、充放電回路のコンデンサを充放電させることで、発光素子への出力電流の安定化を図る。したがって、デジタル回路からは少なくとも充電端子と放電端子に対応した出力ラインがあればよい。
【0014】
また、駆動信号生成回路で生成される駆動信号の周波数はランプ信号と同一となり、このランプ信号の周波数はクロック信号に同期したものとなる。したがって、クロック信号ひいては駆動信号の周波数は、演算回路により制御指令値や差分値を算出するための処理時間ではなく、コンバータの仕様を考慮して決定できる。一方、差分値に基づいてその出力期間が決定される充電端子への高レベルの信号や、放電端子への低レベルの信号は、ランプ信号の周波数よりも低くてもよく、駆動信号のデューティ比を詳細に調整したい場合に、動作クロックの周波数をわざわざ高くする必要がない。
【0015】
このように、デジタル回路からの出力ライン数を増やすことなく、充放電回路を付加しただけの簡単な構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号を従来よりも低い周波数の動作クロックで生成することができる。
【0016】
本発明の電源装置によれば、コンバータの出力電圧を反映した変換回路からのデジタル値に基づいて、演算回路が一定時間毎に今回の制御指令値を算出し、前回の制御指令値との差分値を算出する。この差分値に基づいて、信号出力回路が充放電端子へ高レベルの信号を出力するのか、或いは低レベルの信号を出力するのかを決定し、且つ制御端子へ高レベルの信号を出力するのか、或いは低レベルの信号を出力するのかを決定すると共に、その高レベル又は低レベルの信号の出力期間を決定して、充放電回路のコンデンサを充放電させることで、コンバータの出力電圧の安定化を図る。したがって、デジタル回路からは少なくとも充放電端子と制御端子に対応した出力ラインがあればよい。
【0017】
また、駆動信号生成回路で生成される駆動信号の周波数はランプ信号と同一となり、このランプ信号の周波数はクロック信号に同期したものとなる。したがって、クロック信号ひいては駆動信号の周波数は、演算回路により制御指令値や差分値を算出するための処理時間ではなく、コンバータの仕様を考慮して決定できる。一方、差分値に基づいてその出力期間が決定される充放電端子への高レベル又は低レベルの信号や、制御端子への高レベル又は低レベルの信号は、ランプ信号の周波数よりも低くてもよく、駆動信号のデューティ比を詳細に調整したい場合に、動作クロックの周波数をわざわざ高くする必要がない。
【0018】
このように、デジタル回路からの出力ライン数を増やすことなく、充放電回路を付加しただけの簡単な構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号を従来よりも低い周波数の動作クロックで生成することができる。
【0019】
本発明の発光素子駆動装置によれば、発光素子への出力電流を反映した変換回路からのデジタル値に基づいて、演算回路が一定時間毎に今回の制御指令値を算出し、前回の制御指令値との差分値を算出する。この差分値に基づいて、信号出力回路が充放電端子へ高レベルの信号を出力するのか、或いは低レベルの信号を出力するのかを決定し、且つ制御端子へ高レベルの信号を出力するのか、或いは低レベルの信号を出力するのかを決定すると共に、その高レベル又は低レベルの信号の出力期間を決定して、充放電回路のコンデンサを充放電させることで、コンバータの出力電圧の安定化を図る。したがって、デジタル回路からは少なくとも充放電端子と制御端子に対応した出力ラインがあればよい。
【0020】
また、駆動信号生成回路で生成される駆動信号の周波数はランプ信号と同一となり、このランプ信号の周波数はクロック信号に同期したものとなる。したがって、クロック信号ひいては駆動信号の周波数は、演算回路により制御指令値や差分値を算出するための処理時間ではなく、コンバータの仕様を考慮して決定できる。一方、差分値に基づいてその出力期間が決定される充放電端子への高レベル又は低レベルの信号や、制御端子への高レベル又は低レベルの信号は、ランプ信号の周波数よりも低くてもよく、駆動信号のデューティ比を詳細に調整したい場合に、動作クロックの周波数をわざわざ高くする必要がない。
【0021】
このように、デジタル回路からの出力ライン数を増やすことなく、充放電回路を付加しただけの簡単な構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号を従来よりも低い周波数の動作クロックで生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る電源装置の回路図である。
【図2】同上、ランプ信号生成回路の回路図である。
【図3】同上、パルス制御回路の回路図である。
【図4】同上、各部のタイミングチャートである。
【図5】同上、図3の代替例を示すパルス制御回路の回路図である。
【図6】同上、図3のさらに代替例を示すパルス制御回路の回路図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る電源装置及び発光素子駆動装置について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る第一の実施形態の電源装置を示している。この実施形態の電源装置は、出力電圧Voutを一定に制御する定電圧出力回路ブロック1の構成を有する。定電圧出力回路ブロック1は、制御対象となるコンバータ2と、コンバータ2に対する電圧帰還ループを形成する電圧検出回路3,マイクロプロセッサ4,ランプ信号生成回路5及びパルス制御回路6とにより構成される。
【0025】
コンバータ2は、入力端子+Vi,−Vi間に印加される直流入力電圧Vinを、直流出力電圧Voutに変換して出力端子+Vo,−Voに供給するもので、出力端子+Vo,−Vo間には図示しない負荷が接続される。ここでのコンバータ2は、入力電圧Vinよりも高い出力電圧Voutに変換するために、チョークコイルL1と、スイッチング素子Q1と、ダイオードD1と、コンデンサC1とによる昇圧チョッパ回路を構成している。より具体的には、入力端子+Vi,−Viの両端間に、チョークコイルL1とスイッチング素子Q1との直列回路が接続され、スイッチング素子Q1の両端間に、ダイオードD1とコンデンサC1との直列回路が接続され、コンデンサC1の両端に出力端子+Vo,−Voが接続される。スイッチング素子Q1はNチャネルのMOS型FETであるが、バイポーラトランジスタなどの別な制御端子付き半導体素子を利用してもよい。
【0026】
電圧検出回路3は、コンバータ2からの出力電圧Voutを検出するもので、出力端子+Vo,−Vo間に分圧用の抵抗R1,R2の直列回路を接続して構成される。抵抗R1,R2の接続点には、出力電圧Voutを分圧した電圧値のアナログ検出電圧が生成される。
【0027】
デジタル回路に相当するマイクロプロセッサ4は、出力電圧Voutを安定化させるための制御指令値をデジタル演算により算出するもので、ADC11と、基準電源12と、CPU14と、PWMユニット15と、動作クロック16と、クロック生成回路17とをそれぞれ内蔵する。
【0028】
ADC11は、電圧検出回路3からの電圧値(アナログ検出電圧)をデジタル値に変換するアナログ−デジタル変換回路に相当する。また基準電源12は、ADC11がアナログ値をデジタル値に変換するときに使用する基準信号を、基準電圧として生成するものである。
【0029】
CPU(中央演算ユニット)14は、ADC11で得られたデジタル信号に基づいてデジタルの制御指令値を算出する演算に続けて、前回算出した制御指令値と今回算出した制御指令値との差分値を算出する演算を行なう演算回路に相当する。またPWM(パルス幅制御)ユニット15は、CPU14で算出された差分値に基づいて、少なくとも2つ以上の充電端子PH0,PH1及び放電端子PL0,PL1へ、H(高)レベル又はL(低)レベルの信号を、それぞれ出力する信号出力回路に相当する。
【0030】
動作クロック16は、CPU14を一定の周期で動作させるための動作クロック信号を出力するものである。またクロック生成回路17は、動作クロック16からの動作クロック信号を分周したクロック信号(同期クロック信号)S1を、マイクロプロセッサ4の外部に出力する分周器として設けられる。本実施形態では、動作クロック16からの例えば8MHzの動作クロック信号を、クロック生成回路17で16分周して、500kHzのクロック信号S1をランプ信号生成回路5に送出する。このクロック信号S1は、後述する駆動信号S5の周波数を決定するものである。
【0031】
マイクロプロセッサ4はその他に、動作クロック16からの動作クロック信号を分周して、クロック信号S1よりも低い周波数のクロック信号をPWMユニット15に出力する別なクロック生成回路(図示せず)を内蔵する。本実施形態では、動作クロック16からの例えば8MHzの動作クロック信号を、別なクロック生成回路で256分周して、31.25kHzのクロック信号をPWMユニット15に送出する。これによりPWMユニット15は、各放電端子PL0,PL1と充電端子PH0,PH1へ、周波数が31.25kHzのそれぞれ独立した信号を、パルス制御回路6に出力することができる。したがってCPU14も、動作クロック信号の256クロック毎に、新たな制御指令値を決定するようになっている。また、PWMユニット15に代わって図示しない汎用I/Oポートを、放電端子PL0,PL1と充電端子PH0,PH1として代用し、ADC11の変換周期又は図示しない汎用タイマーの周波数に同期させて、ソフトウエア上でそれぞれ独立した電圧信号をパルス制御回路6に出力させても良い。
【0032】
ランプ信号生成回路5は、マイクロプロセッサ4から出力されるクロック信号S1に基づいて、鋸波状のランプ信号S2を生成するものである。ランプ信号生成回路5からは、クロック信号S1と同じ周波数のランプ信号S2がパルス制御回路6に出力される。
【0033】
図2は、ランプ信号生成回路5の回路例を示したものである。同図において、ランプ信号生成回路5は、スイッチ素子Q2と、コンデンサC2,C3と、ダイオードD2と、抵抗R4,R5,R6とにより構成される。具体的には、クロック信号S1の入力端子21にコンデンサC2の一端を接続し、コンデンサC2の他端にダイオードD2のカソードと抵抗R4の一端を接続し、抵抗R4の他端に抵抗R5の一端とNPN型トランジスタからなるスイッチ素子Q2のベースを接続する。また、図示しない内部電源からの動作電圧Vccのラインに抵抗R6の一端を接続し、抵抗R6の他端にスイッチ素子Q2のコレクタとコンデンサC3の一端を接続する。そして、ダイオードD2のアノード,抵抗R5の他端,スイッチ素子Q2のエミッタ及びコンデンサC3の他端を接地ラインに共通して接続し、抵抗R6とコンデンサC3の接続点であって、スイッチ素子Q2のコレクタを、ランプ信号S2の出力端子22に接続して、ランプ信号生成回路5を構成する。
【0034】
再度図1に戻り、パルス制御回路6は、充電端子PH0,PH1へ出力されるHレベルの信号や、放電端子PL0,PL1へ出力されるLレベルの信号に基づくパルス幅の駆動信号S5を、ランプ信号生成回路5から出力されるランプ信号S2と同じ周期で、スイッチング素子Q1の制御端子であるゲートに送出するものである。
【0035】
図3は、パルス制御回路6の回路例を示したもので、これは図1において、PWMユニット15が1つの放電端子PL0と、1つの充電端子PH0からなる1組みだけの充放電端子を備えた場合の回路構成を示している。同図において、パルス制御回路6は、充放電回路28とコンパレータCMPとからなり、充放電回路28は、コンデンサC4と、ダイオードD3,D4と、抵抗R8,R9とにより構成される。具体的には、ランプ信号S2の入力端子24に、コンパレータCMPの一方の入力端子である反転入力端子を接続し、PWMユニット15の放電端子PL0に接続する入力端子41に、ダイオードD3のカソードを接続し、PWMユニット15の充電端子PH0に接続する入力端子42に、ダイオードD4のアノードを接続する。また、ダイオードD3のアノードに抵抗R8の一端を接続し、ダイオードD4のカソードに抵抗R9の一端を接続し、抵抗R8,R9の他端とコンデンサC4の一端との接続点に、コンパレータCMPの他方の入力端子である非反転入力端子を接続する。そして、コンデンサC4の他端を接地ラインに接続し、コンパレータCMPの出力端子を駆動信号S5の出力端子26に接続して、パルス制御回路6を構成する。
【0036】
次に、上記構成についてその作用を説明する。この説明では、図4に示す各部のタイミングチャートを参照する。同図において、最上段にあるのは動作クロック16からの動作クロック信号を示しており、以下、クロック信号S1,ランプ信号S2,CPU14で生成される制御指令値,差分出力値,放電端子PL0の信号レベル,充電端子PH0の信号レベル,前記図3で示したコンデンサC4の両端間電圧S4,駆動信号S5をそれぞれ示している。
【0037】
パルス制御回路6からスイッチング素子Q1のゲートにパルス状の駆動信号S5が与えられると、スイッチング素子Q1はオン・オフ動作を繰り返す。スイッチング素子Q1がオンすると、チョークコイルL1に入力電圧Vinが印加されるので、ダイオードD1はオフ状態となり、平滑用のコンデンサC1の放電電圧が出力端子+Vo,−Voから負荷に出力電圧Voutとして供給される。スイッチング素子Q1がオフすると、入力電圧VinにチョークコイルL1の逆起電圧が重畳されるので、ダイオードD1はオン状態となり、そのダイオードD1を通してコンデンサC1が充電されると共に、入力電圧Vinよりも高い出力電圧Voutが、出力端子+Vo,−Voから負荷に供給される。
【0038】
コンバータ2からの出力電圧Voutは、電圧検出回路3によって監視される。電圧検出回路3は、出力電圧Voutを抵抗R1,R2で分圧して得たアナログ検出電圧を、マイクロプロセッサ4のADC11に送出する。ADC11では、基準電源12からの基準電圧を利用して、前記アナログ検出電圧をデジタル値に変換し、これをCPU14に送出する。
【0039】
CPU14は、電圧検出回路3及びADC11で得られた検出電圧の値に基づいて、制御指令値を算出する。この場合、出力電圧Voutが高くなると制御指令値が低くなり、逆に出力電圧Voutが低くなると制御指令値が高くなる。算出された制御指令値は、差分出力値を算出するのに一時的に記憶手段(図示せず)に記憶保持される。次にCPU14は、前回の制御指令値を記憶手段から読み出して、今回の算出した制御指令値と前回の制御指令値との差分を算出する。この差分出力値は、一定周期で算出される制御指令値に対して、所定の制御遅延を有して算出され、CPU14からPWMユニット15に送出される。
【0040】
PWMユニット15は、CPU14からの差分出力値に基づいて、充電端子PH0からHレベルの電圧が出力される期間と、放電端子PL0からLレベルの電圧が出力される期間をそれぞれ決定する。この場合、差分出力値がプラス(正)であれば、Hレベルの信号が充電端子PH0へ出力され、逆に差分出力値がマイナス(負)であれば、Lレベルの信号が放電端子PL0へ出力される。充電端子PH0へ出力するHレベルの信号、或いは放電端子PL0へ出力するLレベルの信号は、差分出力値の絶対値が大きくなる程、その期間が長くなり、差分出力値の絶対値が小さくなる程、その期間が短くなる。
【0041】
PWMユニット15は、動作クロック16からの動作クロック信号を256分周した約30kHzのクロック信号が与えられ、このクロック信号と同じ周波数で、充電端子PH0や放電端子PL0へそれぞれ独立したロジックレベルの信号を生成する。そのためCPU14は、この信号と同じ周波数毎に、新たな制御指令値と差分出力値を決定する。図4に示す例では、充電端子PH0や放電端子PL0へ出力する信号の周波数に合わせて、CPU14が「10」,「50」,「128」,「40」,「30」の各制御指令値を順に算出する。またCPU14は、制御指令値を算出したのに続いて、前回の制御指令値との差分値(差分出力値)を算出する。図4に示す例では、CPU14が「+10」,「+40」,「+78」,「−110」,「−10」の各差分出力値を順に算出し、PWMユニット15に出力する。PWMユニット15は、その差分出力値の絶対値に応じた時間幅で、差分出力値がプラスの場合には、充電端子PH0をHレベルに切替え、差分出力値がマイナスの場合には、放電端子PL0をLレベルに切替えるような信号を、マイクロプロセッサ4からパルス制御回路6に送出する。
【0042】
マイクロプロセッサ4は、前記充電端子PH0や放電端子PL0へ出力する信号の他に、クロック生成回路17からのクロック信号S1をランプ信号生成回路5に送出する。ランプ信号生成回路5は、マイクロプロセッサ4からのクロック信号S1に基いて、図2で示したコンデンサC3の充放電動作により、ランプ信号S2を生成する。より具体的には、入力端子21におけるクロック信号S1は、コンデンサC2を通してトリガ状に波形整形され、抵抗R4,R5で分圧された後に、スイッチ素子Q2のベースに与えられる。このトリガ信号の電圧レベルが立ち上がると、スイッチ素子Q2のエミッタ・コレクタ間がオンすることにより、コンデンサC3を放電する一方で、トリガ信号の電圧レベルが低下すると、スイッチ素子Q2のエミッタ・コレクタ間がオフすることにより、抵抗R6を通して動作電圧VccがコンデンサC3に与えられ、コンデンサC3を充電する。つまり、コンデンサC3の放電は、クロック信号S1の立ち上がりエッジに同期して行われ、その後、コンデンサC3の充電が開始する。したがって、ランプ信号S2は、マイクロプロセッサ4からのクロック信号S1に同期した信号になる。また、クロック信号S1の周波数を変えることにより、ランプ信号S2の周波数を変えることができる。
【0043】
パルス制御回路6の充放電回路28は、マイクロプロセッサ4の少なくとも一つのI/Oポートである充電端子PH0にHレベルの信号が出力されたときに、ダイオードD4から抵抗R9を通してコンデンサC4の充電が行われ、マイクロプロセッサ4の少なくとも別な一つのI/Oポートである放電端子PL0にLレベルの信号が出力されたときに、抵抗8からダイオードD3を通してコンデンサC4の放電が行われるように構成される。充電端子PH0に接続する入力端子42とコンデンサC4は、充電回路を構成するダイオードD4と抵抗R9とを介して接続される。この際、ダイオードD4のアノードを入力端子42に接続して、充電端子PH0にHレベルの信号が出力されたときに、コンデンサC4を充電できるようにする。放電端子PL0に接続する入力端子41とコンデンサC4も、放電回路を構成するダイオードD3と抵抗R8とを介して接続される。この際、ダイオードD3のカソードを入力端子41に接続して、放電端子PL0にLレベルの信号が出力されたときに、コンデンサC4を放電できるようにする。ここでは、充放電回路28のコンデンサC4を充放電するためのエネルギーが必要となるため、充電端子PH0に接続するプルアップ回路や、放電端子PH0に接続するプルダウン回路などが、PWMユニット15に内蔵される。
【0044】
こうして、充放電回路28の出力電圧となるコンデンサC4の両端間電圧S4は、CPU14の差分出力値から、充電端子PH0へ出力するHレベルの信号の時間幅と、放電端子PL0へ出力するLレベルの信号の時間幅に基づいて調整される。具体的には図4に示すように、充電端子PH0へHレベルの信号が出力される期間に、コンデンサC4が充電して、その両端間電圧S4が直線的に上昇し、放電端子PL0へLレベルの信号が出力される期間に、コンデンサC4が放電して、その両端間電圧S4が直線的に下降する。それ以外の、充電端子PH0へLレベルの信号が出力され、且つ放電端子PL0へHレベルの信号が出力される期間は、コンデンサC4が充放電されず、その両端間電圧S4が保持(ホールド)される。コンデンサC4の充放電時間は、CPU14で算出される差分出力値によって決められるが、その可変ステップは、最大でも動作クロック信号の周期時間よりも短いことが必要である。
【0045】
表1は、図3に示すパルス制御回路6において、充電端子PH0と放電端子PL0の各ロジックレベルに対するコンデンサC4の両端間電圧S4をあらわした遷移表である。
【0046】
【表1】

【0047】
ランプ信号生成回路5からのランプ信号S2は、パルス制御回路6のコンパレータCMPの反転入力端子に入力され、充放電回路28の出力電圧であるコンデンサC4の両端間電圧S4は、コンパレータCMPの非反転入力端子に入力される。コンパレータCMPは、ランプ信号S2の電圧値とコンデンサC4の両端間電圧S4との比較結果に基づくデューティ比のパルス駆動信号S5を、スイッチング素子Q1のゲートに送出する。これにより、コンバータ2からの出力電圧Voutが一定値となるように、スイッチング素子Q1がオン・オフ動作される。
【0048】
上記一連の動作で、コンバータ2からの出力電圧Voutを一定値にするには、電圧検出回路3からの電圧値が低下したときに、デジタル値が上昇するようにADC11を構成し、ADC11からのデジタル値が上昇したときに、制御指令値が上昇するようにCPU14を構成すればよい。代わりに、電圧検出回路3からの電圧値が低下したときに、デジタル値が低下するようにADC11を構成し、ADC11からのデジタル値が低下したときに、制御指令値が上昇するようにCPU14を構成してもよい。
【0049】
前記駆動信号S5の周波数は、ランプ信号S2の周波数と同じになり、この駆動信号S5のパルス幅は、コンデンサC4の両端間電圧S4により調整される。図3に示す回路では、ランプ信号S2の電圧レベルと比較して、コンデンサC4の両端間電圧S4が上昇すると、オンデューティの長い駆動信号が生成される。したがって、コンデンサC4の両端間電圧S4が高くなるに従い、スイッチング素子2をオンにする駆動信号S5のパルス幅も広がる。充電端子PH0や放電端子PL0に出力される信号の周波数は、ランプ信号S2の周波数よりも低くてもよい。
【0050】
本実施形態では、マイクロプロセッサ4が8ビットで制御しているため、(0〜255)×動作クロック信号の周期(125nS)の範囲で、充電端子PH0にHレベルの信号を出力する期間や、放電端子PL0にLレベルの信号を出力する期間が変化する。これらの信号の出力期間は、動作クロック16からの動作クロック信号(8MHz)に基づいて生成され、125nS単位で段階的に変化する。そしてこの信号の出力期間に基づいて、コンデンサC4の両端間電圧S4は上昇又は減少し、当該電圧S4とランプ信号S2がコンパレータCMPにそれぞれ入力される。したがって、コンパレータCMPから出力される駆動信号S5は、コンデンサC4の両端間電圧S4が上昇又は減少する期間中に、そのパルス幅を1パルス毎に変化させることが可能になる。
【0051】
また、駆動信号S5の周波数(500kHz)は、チョークコイルL1のサイズとスイッチング素子Q1のスイッチングロスの双方を考慮して決定される。その理由は、周波数を低くするとチョークコイルL1のサイズが大きくなり、周波数を高くすると、スイッチング素子Q1のスイッチングロスが増加するからである。クロック生成回路17は、CPU14で制御指令値を算出するための処理時間を確保するのに、動作クロック信号を16分周してはおらず、コンバータ2の仕様に基づいて、クロック信号S1の周波数を決定することができる。
【0052】
本実施形態において、動作クロック信号の周波数は例えば500kHzであっても、動作クロック16にクロック生成回路17の機能を兼用させることで、駆動信号S5の周波数を500kHzのままにした回路が実現可能である。この場合、充電端子PH0や放電端子PL0からの電圧信号の周波数は、500/256=1.95kHzとなる。またCPU14は、動作クロック信号に対して256クロック毎に新たな制御指令値を算出できればよく、動作クロック信号の周波数に依存しない。
【0053】
また別な例として、PWMユニット15に複数の例えば2つの充電端子PH0,PH1と、複数の例えば2つの放電端子PL0,PL1からなる2組みの充放電端子を備えてもよい。その場合のパルス制御回路6を、図5に示す。同図において、これは図3に示すパルス制御回路6に、入力端子43,44と、ダイオードD5,D6と、抵抗R10,R11とを付加して構成される。充放電回路28は、コンデンサC4と、ダイオードD3,D4,D5,D6と、抵抗R8,R9,R10,R11とにより構成される。
【0054】
具体的には、PWMユニット15の放電端子PL1に接続する入力端子43に、ダイオードD5のカソードを接続し、PWMユニット15の充電端子PH1に接続する入力端子44に、ダイオードD6のアノードを接続する。また、ダイオードD5のアノードに抵抗R10の一端を接続し、ダイオードD6のカソードに抵抗R11の一端を接続し、抵抗R10,R11の他端と、前述した抵抗R8,R9の他端及びコンデンサC4の一端との接続点に、コンパレータCMPの非反転入力端子を接続する。それ以外の構成や作用については、上述した通りである。
【0055】
本例では、一方の充電端子PH0に対応する抵抗R9の抵抗値と、他方の充電端子PH1に対応する抵抗R11の抵抗値を異ならせることにより、3段階でコンデンサ4への充電電流を選択できる。つまり、パルス制御回路6の充放電回路28は、一方の充電端子PH0だけを使用した充電と、他方の充電端子PH1だけを使用した充電と、双方の充電端子PH0,PH1を使用した充電のうちの何れかを選択できる。また同様に、コンデンサ4の放電についても、一方の放電端子PL0に対応する抵抗R8の抵抗値と、他方の放電端子PL1に対応する抵抗R10の抵抗値を異ならせることにより、3段階でコンデンサ4への放電電流を選択できる。この場合も、充放電回路28のコンデンサC4を充放電するためのエネルギーが必要となるため、充電端子PH0,PH1にそれぞれ接続するプルアップ回路や、放電端子PH0,PH1にそれぞれ接続するプルダウン回路などが、PWMユニット15に内蔵される。
【0056】
表2は、図5に示すパルス制御回路6において、充電端子PH0,PH1と放電端子PL0,PL1の各ロジックレベルに対するコンデンサC4の両端間電圧S4をあらわした遷移表である。
【0057】
【表2】

【0058】
上記の遷移表で、例えば双方の充電端子PH0,PH1で充電を行なう場合、PWMユニット15は充電端子PH0,PH1へ同時にHレベルの信号を出力する。これは図4のタイミングチャートで、CPU14の算出する差分出力値が「+78」であるのに対応して、コンデンサC4の両端間電圧S4が上昇する傾斜部の期間を短くしたい場合に行われる。充電端子PH0,PH1への信号を同時にHレベルにすると、2つのダイオードD4,D6を通してコンデンサC4が急速に充電され、片方の充電端子PH0,PH1への信号だけをHレベルにした場合に比べて、前記傾斜部の勾配が急になり、短時間で目標値に到達する(表2の「上昇3」)。それ以外に、片方の充電端子PH0,PH1への信号だけをHレベルにすると、充電端子PH0,PH1への信号を同時にHレベルにした場合に比べて、傾斜部の勾配が緩やかになる(表2の「上昇1」や「上昇2」)。コンデンサC4を充電する場合に、PWMユニット15は放電端子PL0,PL1への信号を何れもHレベルにして、ダイオードD3,D5からの放電を防止する。
【0059】
また、CPU14の算出する差分出力値が「−110」であるのに対応して、放電端子PL0,PL1への信号を同時にLレベルにすると、2つのダイオードD3,D5を通してコンデンサC4が急速に放電され、片方の放電端子PL0,PL1への信号だけをLレベルにした場合に比べて、コンデンサC4の両端間電圧S4が下降する傾斜部の勾配が急になり、短時間で目標値に到達する(表2の「下降3」)。それ以外に、片方の放電端子PL0,PL1への信号だけをLレベルにすると、放電端子PL0,PL1への信号を同時にLレベルにした場合に比べて、傾斜部の勾配が緩やかになる(表2の「下降1」や「下降2」)。コンデンサC4を放電する場合に、PWMユニット15は充電端子PH0,PH1への信号を何れもLレベルにして、ダイオードD4,D6からの充電を防止する。
【0060】
上記コンデンサC4の両端間電圧S4が上昇又は降下する傾斜部の期間は、動作クロック信号に基づいて決まる最小期間(125nS)の整数倍でしか調整できない。しかし本例のように、複数の充電端子PH0,PH1と複数の放電端子PL0,PL1を利用して、前記傾斜部の勾配を複数段階に調整できるようにすれば、コンデンサC4に対する充放電をより適切に行なうことが可能になる。この場合もコンデンサC4の充放電時間は、CPU14で算出される差分出力値によって決められるが、その可変ステップは、最大でも動作クロック信号の周期時間よりも短いことが必要である。
【0061】
また本例において、例えば抵抗R8の抵抗値が抵抗R10の抵抗値よりも大きく、抵抗R9の抵抗値が抵抗R11の抵抗値よりも大きいとすると、CPU14で算出された差分出力値の絶対値が小さい場合には、大きな抵抗値の抵抗R8,R9に接続する充電端子PH0又は放電端子PL0を使用して、コンデンサC4の充放電を行なう。差分出力値の絶対値がそれよりも大きく中程度の場合には、小さな抵抗値の抵抗R10,R11に接続する充電端子PH1又は放電端子PL1を使用して、コンデンサC4の充放電を行なう。差分出力値の絶対値が中程度よりもさらに大きい場合には、双方の充電端子PH0,PH1又は放電端子PL0,PL1を使用して、コンデンサC4の充放電を行なう。
【0062】
つまりPWMユニット15は、CPU14から得られる差分出力値の絶対値に対して閾値m,n(m<n)を設け、その絶対値が0以上m未満の範囲では、充電端子PH0又は放電端子PL0を使用してコンデンサC4の充放電を行ない、絶対値がm以上n未満の範囲では、充電端子PH1又は放電端子PL1を使用してコンデンサC4の充放電を行ない、絶対値がn以上の範囲では、双方の充電端子PH0,PH1又は放電端子PL0,PL1を使用してコンデンサC4の充放電を行なうように、それぞれの充電端子PH0,PH1及び放電端子PL0,PL1の信号レベルを、上記遷移表に従って設定する。
【0063】
さらに、上述した傾斜部の勾配を途中で変更できるようにPWMユニット15を構成してもよい。例えば、前記差分出力値の絶対値に基づいて、最初は双方の充電端子PH0,PH1又は放電端子PL0,PL1を使用して、コンデンサC4を急速に充放電させ、その後、大きな抵抗値の抵抗R8,R9に接続する充電端子PH0又は放電端子PL0を使用して、コンデンサC4を充放電させて、コンデンサC4の両端間電圧S4を微調整することもできる。
【0064】
このように、本例では2つの充電端子PH0,PH1と、2つの放電端子PL0,PL1を備えたものについて説明したが、充電端子や放電端子の数を3つ以上にして、充放電端子を3組み以上に増やせば、コンデンサC4の両端間電圧S4を、より細かく短時間で調整することが可能になる。
【0065】
以上のように、本実施形態の電源装置は、スイッチング素子Q1のオン・オフ動作により負荷に電力を供給するコンバータ2と、制御指令値をデジタル演算により算出して、コンバータ2からの出力電圧Voutを所定値に制御するデジタル回路としてのマイクロプロセッサ4とを備えている。また、コンバータ2の出力電圧Voutを検出する電圧検出手段としての電圧検出回路3を備え、マイクロプロセッサ4は、電圧検出回路3により検出された電圧値のアナログ検出電圧を、デジタル値に変換する変換回路としてのADC11と、ADC11からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分出力値を算出する演算を行なう演算回路としてのCPU14と、CPU14で算出された差分出力値に基づいて、1つ以上の充電端子PH0,PH1と1つ以上の放電端子PL0,PL1からなる1組み以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子のHレベル又はLレベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路としてのPWMユニット15と、を備える。さらにマイクロプロセッサ4の外部には、充電端子PH0,PH1にHレベルの信号を出力しているときに充電され、放電端子PL0,PL1にLレベルの信号を出力しているときに放電されるコンデンサC4を備えた充放電回路28と、CPU14に与えられる動作クロック信号に基づいて生成されたクロック信号S1に同期して、鋸波状のランプ信号S2を出力するランプ信号発生回路5と、ランプ信号S2とコンデンサC4の両端間電圧S4との比較結果に基づいて、スイッチング素子Q1をオン・オフ動作させるための駆動信号S5を生成する駆動信号生成回路としてのコンパレータCMPと、を備えている。
【0066】
この場合、コンバータ2の出力電圧Voutを反映したADC11からのデジタル値に基づいて、CPU14が一定時間毎に今回の制御指令値を算出し、前回の制御指令値との差分出力値を算出する。この差分出力値に基づいて、PWMユニット15が充電端子PH0,PH1へHレベルの信号を出力するのか、或いは放電端子PL0,PL1へLレベルの信号を出力するのかを決定すると共に、そのHレベル又はLレベルの信号の出力期間を決定して、充放電回路28のコンデンサC4を充放電させることで、コンバータ2の出力電圧Voutの安定化を図る。したがって、マイクロプロセッサ4から充放電回路28へは、少なくとも充電端子PH0,PH1と放電端子PL0,PL1に対応した出力ラインだけがあればよい。
【0067】
また、コンパレータCMPで生成される駆動信号S5の周波数はランプ信号S2と同一となり、このランプ信号S2の周波数はクロック信号S1に同期したものとなる。したがって、クロック信号S1ひいては駆動信号S5の周波数は、CPU14により制御指令値を算出するための処理時間ではなく、コンバータ2の仕様を考慮して決定できる。一方、差分出力値に基づいてその出力期間が決定される充電端子PH0,PH1へのHレベルの信号や、放電端子PL0,PL1へのLレベルの信号は、ランプ信号S2の周波数よりも低くてもよく、駆動信号S5のデューティ比を詳細に調整したい場合に、動作クロックの周波数をわざわざ高くする必要がない。
【0068】
このように、マイクロプロセッサ4からの出力ライン数を増やすことなく、充放電回路28を付加しただけの簡単な構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号S5を従来よりも低い周波数の動作クロックで生成することが可能になる。
【0069】
上記実施形態では、図6に示すような、さらに別な例のパルス制御回路6を採用してもよい。図6のパルス制御回路6は、スイッチ素子Q3としてNチャネルMOS型FETを使用して、コンデンサC4の両端間電圧S4を制御するものである。これに対応してPWMユニット15も、前述の充電端子PH0,PH1や放電端子PL0,PL1に代わるI/Oポートとして、一つ以上の充放電端子PX0と、一つ以上の制御端子PG0が設けられる。
【0070】
ここでの充放電回路28は、PWMユニット15の充放電端子PX0に接続する入力端子51と、PWMユニット15の制御端子PG0に接続する入力端子52とを備える。また、入力端子51にソースを接続し、入力端子52にゲートを接続したスイッチ素子Q3と、スイッチ素子53のドレインに一端を接続した抵抗R12と、抵抗12の他端と共にコンパレータCMPの非反転入力端子に一端を接続するコンデンサC4とを備え、それ以外の構成は図3や図5で示したものと共通している。
【0071】
スイッチ素子Q3は、PチャネルMOS型FETや、別な制御端子付き半導体素子でもよく、バイポーラトランジスタであれば、上記ゲート,ソース,ドレインが、ベース,エミッタ,コレクタにそれぞれ対応する。また、スイッチ素子Q3がMOS型FETの場合は、素子本来の特性として、ソースからドレインへの電流の流れを許容するダイオード61が内蔵される。
【0072】
PWMユニット15は、CPU14で前記差分出力値が算出される毎に、その差分出力値に基づいて、1つ以上の充放電端子PX0へロジックレベルの信号を出力し、1つ以上の制御端子PG0へロジックレベルの信号を出力すると共に、これらの充放電端子PX0及び前記制御端子PG0のHレベル又はLレベルの信号の出力期間を、それぞれ調整するように構成される。それ以外の電源装置としての構成は、図1に示すものと共通である。
【0073】
PWMユニット15は、差分出力値がプラスの値であれば、充放電端子PX0へHレベルの信号を出力すると共に、制御端子PG0へHレベルの信号を出力して、スイッチ素子Q3をオン状態にする。これにより、充放電端子PX0からスイッチ素子Q3と抵抗R12を順に通してコンデンサC4が充電され、コンデンサC4の両端間電圧C4が上昇する。スイッチ素子Q3がMOS型FETの場合、スイッチ素子Q3をオンさせなくても、内蔵するダイオード61を通してコンデンサC4を充電することができるが、ダイオード61による損失を考慮して、スイッチ素子Q3をオン状態にすることが好ましい。また、この充放電端子PX0への信号をHレベルにし、制御端子PG0への信号をHレベルにする期間は、差分出力値の絶対値が大きくなるほど長く、差分出力値の絶対値が小さくなるほど短くなる。この期間が終了すると、PWMユニット15は充放電端子PX0と制御端子PG0への信号を何れもLレベルにし、コンデンサC4の両端間電圧C4を保持する。
【0074】
一方、PWMユニット15は、差分出力値がマイナスの値であれば、充放電端子PX0にLレベルの信号を出力すると共に、制御端子PG0にHレベルの信号を出力して、スイッチ素子Q3をオン状態にする。これにより、抵抗R12からスイッチ素子Q3と充放電端子PX0を順に通してコンデンサC4が放電され、コンデンサC4の両端間電圧C4が下降する。この充放電端子PX0への信号をLレベルにし、制御端子PG0への信号をHレベルにする期間は、差分出力値の絶対値が大きくなるほど長く、差分出力値の絶対値が小さくなるほど短くなる。この期間が終了すると、PWMユニット15は充放電端子PX0と制御端子PG0へ電圧を何れもLレベルにし、コンデンサC4の両端間電圧C4を保持する。ここでは、充放電回路28のコンデンサC4を充放電するためのエネルギーが必要となるため、充放電端子PX0に接続するプルアップ回路又はプルダウン回路などが、PWMユニット15に内蔵される。同様に、スイッチ素子Q3をオン又はオフにするためのエネルギーが必要となるため、制御端子PG0に接続するプルアップ回路又はプルダウン回路などが、PWMユニット15に内蔵される。
【0075】
表3は、図6に示すパルス制御回路6において、充放電端子PX0と制御端子PG0の各ロジックレベルに対するコンデンサC4の両端間電圧S4をあらわした遷移表である。
【0076】
【表3】

【0077】
図6に示すパルス制御回路6は、2つ以上の充放電端子PX0,PX1,…と、2つ以上の制御端子PG0,PG1,…を備えたPWMユニット15に対しても、充放電回路28の構成を追加することで適用できる。この場合、入力端子51,52と、スイッチ素子Q3と、抵抗R12とによる回路を、充放電端子PX0,PX1,…と制御端子PG0,PG1,…に対応して複数設ければよい。またそれぞれの回路で、抵抗12の抵抗値を異ならせることで、上記図3で示したパルス制御回路6と同様の作用効果が得られる。
【0078】
このように本例でも、コンバータ2の出力電圧Voutを反映したADC11からのデジタル値に基づいて、CPU14が一定時間毎に今回の制御指令値を算出し、前回の制御指令値との差分出力値を算出する。この差分出力値に基づいて、PWMユニット15が充放電端子PX0,PX1,…へHレベルの信号を出力するのか、或いはLレベルの信号を出力するのかを決定し、且つ制御端子PG0,PG1,…へHレベルの信号を出力するのか、或いはLレベルの信号を出力するのかを決定すると共に、これらの充放電端子PX0,PX1,…や制御端子PG0,PG1,…におけるHレベル又はLレベルの信号の出力期間を決定して、コンデンサC4を充放電させることで、コンバータ2の出力電圧Voutの安定化を図る。したがって、マイクロプロセッサ4から充放電回路28へは、少なくとも充放電端子PX0,PX1,…と制御端子PG0,PG1,…に対応した出力ラインだけがあればよい。
【0079】
また、コンパレータCMPで生成される駆動信号S5の周波数はランプ信号S2と同一となり、このランプ信号S2の周波数はクロック信号S1に同期したものとなる。したがって、クロック信号S1ひいては駆動信号S5の周波数は、CPU14により制御指令値を算出するための処理時間ではなく、コンバータ2の仕様を考慮して決定できる。一方、差分出力値に基づいてその出力期間が決定される充放電端子PX0,PX1,…へのHレベル又はLレベルの信号や、制御端子PG0,PG1,…へのHレベル又はLレベルの信号は、ランプ信号S2の周波数よりも低くてもよく、駆動信号S5のデューティ比を詳細に調整したい場合に、動作クロックの周波数をわざわざ高くする必要がない。
【0080】
このように、マイクロプロセッサ4からの出力ライン数を増やすことなく、充放電回路28を付加しただけの簡単な構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号S5を従来よりも低い周波数の動作クロックで生成することが可能になる。
【0081】
次に、本発明に係る第二の実施形態について、図7を参照しながら説明する。本実施形態は、出力端子+Vo,−Vo間に接続する負荷が、特に一乃至複数の発光素子30である発光素子駆動装置に適用される。当該発光素子駆動装置は、発光素子30に流れる出力電流Ioutを一定に制御する定電流出力回路ブロック100の構成を有している。定電流出力回路ブロック100は、制御対象となるコンバータ2と、コンバータ2に対する電流帰還ループを形成する電流検出回路31,マイクロプロセッサ4,ランプ信号生成回路5及びパルス制御回路6とにより構成され、電流検出回路31以外の各部の構成は、第一実施形態の定電圧出力回路ブロック1と全く共通している。
【0082】
電流検出回路31は、前記出力電流Ioutを検出するもので、コンバータ2と発光素子30との間の出力ライン間に電流検出器としての抵抗R3を挿入接続して構成される。抵抗R1の両端間には、出力電流Ioutに比例した電圧値のアナログ検出電流が生成される。電流検出器は抵抗R3に限らず、より損失の少ないホール素子などを用いたカレントセンサなどを用いてもよい。
【0083】
発光素子駆動装置としての動作は、負荷が発光素子30に特定され、アナログ検出電圧がアナログ検出電流に置き換わっただけで、第一の実施形態で示した電源装置と共通している。したがって、ここでは再度の説明は行なわない。またパルス制御回路6は、前述した図3,図5,図6の何れを採用しても構わない。
【0084】
本実施形態の発光素子駆動装置は、スイッチング素子Q1のオン・オフ動作により電力を供給するコンバータ2と、制御指令値をデジタル演算により算出して、コンバータ2からの出力電圧Voutを所定値に制御するデジタル回路としてのマイクロプロセッサ4とを備え、コンバータ2から供給される電力により発光素子30を駆動する構成を有している。また、発光素子30への出力電流Ioutを検出する電流検出手段としての電流検出回路31を備え、マイクロプロセッサ4は、電流検出回路31により検出された電流値のアナログ検出電流を、デジタル値に変換する変換回路としてのADC11と、ADC11からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分出力値を算出する演算を行なう演算回路としてのCPU14と、CPU14で算出された差分出力値に基づいて、1つ以上の充電端子PH0,PH1と1つ以上の放電端子PL0,PL1からなる1組み以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子のHレベル又はLレベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路としてのPWMユニット15と、を備える。さらにマイクロプロセッサ4の外部には、充電端子PH0,PH1にHレベルの信号を出力しているときに充電され、放電端子PL0,PL1にLレベルの信号を出力しているときに放電されるコンデンサC4を備えた充放電回路28と、CPU14に与えられる動作クロック信号に基づいて生成されたクロック信号S1に同期して、鋸波状のランプ信号S2を出力するランプ信号発生回路5と、ランプ信号S2とコンデンサC4の両端間電圧S4との比較結果に基づいて、スイッチング素子Q1をオン・オフ動作させるための駆動信号S5を生成する駆動信号生成回路としてのコンパレータCMPと、を備えている。
【0085】
この場合、発光素子30への出力電流Ioutを反映したADC11からのデジタル値に基づいて、CPU14が一定時間毎に今回の制御指令値を算出し、前回の制御指令値との差分出力値を算出する。この差分出力値に基づいて、PWMユニット15が充電端子PH0,PH1へHレベルの信号を出力するのか、或いは放電端子PL0,PL1へLレベルの信号を出力するのかを決定すると共に、そのHレベル又はLレベルの信号の出力期間を決定して、充放電回路28のコンデンサC4を充放電させることで、コンバータ2の出力電圧Voutの安定化を図る。したがって、マイクロプロセッサ4から充放電回路28へは、少なくとも充電端子PH0,PH1と放電端子PL0,PL1に対応した出力ラインだけがあればよい。
【0086】
また、コンパレータCMPで生成される駆動信号S5の周波数はランプ信号S2と同一となり、このランプ信号S2の周波数はクロック信号S1に同期したものとなる。したがって、クロック信号S1ひいては駆動信号S5の周波数は、CPU14により制御指令値を算出するための処理時間ではなく、コンバータ2の仕様を考慮して決定できる。一方、差分出力値に基づいてその出力期間が決定される充電端子PH0,PH1へのHレベルの信号や、放電端子PL0,PL1へのLレベルの信号は、ランプ信号S2の周波数よりも低くてもよく、駆動信号S5のデューティ比を詳細に調整したい場合に、動作クロックの周波数をわざわざ高くする必要がない。
【0087】
このように、マイクロプロセッサ4からの出力ライン数を増やすことなく、充放電回路28を付加しただけの簡単な構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号S5を従来よりも低い周波数の動作クロックで生成することが可能になる。
【0088】
また、前記図6のパルス制御回路6を組み込んだ発光素子駆動装置の場合も、第一の実施形態で説明した通り、マイクロプロセッサ4からの出力ライン数を増やすことなく、充放電回路28を付加しただけの簡単な構成で、デューティ比を細かく調整した駆動信号S5を従来よりも低い周波数の動作クロックで生成することが可能になる。
【0089】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えばコンバータ2は、図示した昇圧チョッパ回路に限らず、一乃至複数のスイッチング素子を備えたあらゆる回路構成のコンバータに適用できる。また、最終的に出力電圧Voutや出力電流Ioutが安定化するように、各部の信号レベルや論理構成を上記各実施形態に示したものと変更しても構わない。
【符号の説明】
【0090】
2 コンバータ
3 電圧検出回路(電圧検出手段)
4 マイクロプロセッサ(デジタル回路)
5 ランプ信号発生回路
11 ADC(変換回路)
14 CPU(演算回路)
15 PWMユニット(信号出力回路)
28 充放電回路
31 電流検出回路(電流検出手段)
C4 コンデンサ
CMP コンパレータ(駆動信号生成回路)
Q1 スイッチング素子
Q3 スイッチ素子
PH0,PH1 充電端子
PL0,PL1 放電端子
PX0,PX1 充放電端子
PG0,PG1 制御端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子のオン・オフ動作により電力を供給するコンバータと、
制御指令値をデジタル演算により算出して、前記コンバータを制御するデジタル回路と、を備えた電源装置であって、
前記コンバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された電圧値をデジタル値に変換する変換回路と、
前記変換回路からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分値を算出する演算を行なう演算回路と、
前記演算回路で算出された前記差分値に基づいて、1つの充電端子と1つの放電端子からなる1組み以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子の高レベル又は低レベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路と、
前記充電端子に高レベルの信号を出力しているときに充電され、前記放電端子に低レベルの信号を出力しているときに放電されるコンデンサを備えた充放電回路と、
前記演算回路に与えられる動作クロックに基づいて生成されたクロック信号に同期したランプ信号を出力するランプ信号発生回路と、
前記ランプ信号と前記コンデンサの両端間電圧との比較結果に基づいて、前記スイッチング素子をオン・オフ動作させる駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
スイッチング素子のオン・オフ動作により電力を供給するコンバータと、
制御指令値をデジタル演算により算出し、前記コンバータを制御するデジタル回路とを備え、
前記コンバータから供給される電力により発光素子を駆動する発光素子駆動装置であって、
前記発光素子に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流値をデジタル値に変換する変換回路と、
前記変換回路からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分値を算出する演算を行なう演算回路と、
前記演算回路で算出された前記差分値に基づいて、1つの充電端子と1つの放電端子からなる1組み以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子の高レベル又は低レベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路と、
前記充電端子に高レベルの信号を出力しているときに充電され、前記放電端子が低レベルの電圧を出力しているときに放電されるコンデンサを備えた充放電回路と、
前記演算回路に与えられる動作クロックに基づいて生成されたクロック信号に同期したランプ信号を出力するランプ信号発生回路と、
前記ランプ信号と前記コンデンサの両端間電圧との比較結果に基づいて、前記スイッチング素子をオン・オフ動作させる駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備えた発光素子駆動装置。
【請求項3】
スイッチング素子のオン・オフ動作により電力を供給するコンバータと、
制御指令値をデジタル演算により算出して、前記コンバータを制御するデジタル回路と、を備えた電源装置であって、
前記コンバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された電圧値をデジタル値に変換する変換回路と、
前記変換回路からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分値を算出する演算を行なう演算回路と、
前記演算回路で算出された前記差分値に基づいて、1つ以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力し、1つ以上の制御端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子及び前記制御端子の高レベル又は低レベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路と、
前記充放電端子に高レベルの信号を出力しているときに充電され、前記充放電端子に低レベルの信号を出力しているときに放電されるコンデンサ,及び前記充放電端子と前記コンデンサとの間のラインに挿入接続され、前記制御端子の信号レベルに応じてオン,オフするスイッチ素子を備えた充放電回路と、
前記演算回路に与えられる動作クロックに基づいて生成されたクロック信号に同期したランプ信号を出力するランプ信号発生回路と、
前記ランプ信号と前記コンデンサの両端間電圧との比較結果に基づいて、前記スイッチング素子をオン・オフ動作させる駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項4】
スイッチング素子のオン・オフ動作により電力を供給するコンバータと、
制御指令値をデジタル演算により算出し、前記コンバータを制御するデジタル回路とを備え、
前記コンバータから供給される電力により発光素子を駆動する発光素子駆動装置であって、
前記発光素子に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流値をデジタル値に変換する変換回路と、
前記変換回路からのデジタル値に基づいて前記制御指令値を算出する演算と、前回の制御指令値と今回の制御指令値との差分値を算出する演算を行なう演算回路と、
前記演算回路で算出された前記差分値に基づいて、1つ以上の充放電端子へロジックレベルの信号を出力し、1つ以上の制御端子へロジックレベルの信号を出力すると共に、前記充放電端子及び前記制御端子の高レベル又は低レベルの信号の出力期間を調整する信号出力回路と、
前記充放電端子に高レベルの信号を出力しているときに充電され、前記充放電端子に低レベルの信号を出力しているときに放電されるコンデンサ,及び前記充放電端子と前記コンデンサとの間のラインに挿入接続され、前記制御端子の信号レベルに応じてオン,オフするスイッチ素子を備えた充放電回路と、
前記演算回路に与えられる動作クロックに基づいて生成されたクロック信号に同期したランプ信号を出力するランプ信号発生回路と、
前記ランプ信号と前記コンデンサの両端間電圧との比較結果に基づいて、前記スイッチング素子をオン・オフ動作させる駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備えた発光素子駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−81359(P2013−81359A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−208681(P2012−208681)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】