説明

電源装置

【課題】電力消費装置の制御手段と通信可能に接続された制御手段を有し、該制御手段が電力消費装置の消費電力を制御することによって、電源装置の一部に故障が発生した場合でもシステムダウンを回避することができ、電力消費装置へ供給される電力の総和を電源装置が供給可能な最大電力内に抑えることができ、信頼性が高く、コストの低いようにする。
【解決手段】電力消費装置に電力を供給する複数の小電源を有する電源装置13であって、各小電源の故障を検出し、電力消費装置に供給可能な最大電力を算出する故障検出回路16と、前記電力消費装置の消費電力が、前記故障検出回路16が算出した最大電力以下となるように制御信号を前記電力消費装置に送信する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子装置、電気装置等の各種の電力消費装置に電力を供給する電源装置においては、1台の電源装置から電力消費装置に対して電力を一方的に供給するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、電力消費装置が複数台である場合であっても、1台の電源装置から複数台の電力消費装置に対して電力を供給するのが一般的である。この場合、前記電源装置が供給可能な最大電力は各電力消費装置の定格電力の総和に等しいか、又は、それ以上必要である。
【特許文献1】特開平7−241031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の電源装置においては、1台の電源装置から電力を供給するので、電源装置に故障が発生すると、すべての電力消費装置への電力の供給が途絶え、システムダウンが発生してしまう。また、電力消費装置の通常の運転状態では、各電力消費装置の消費電力の総和が定格電力の総和に達することがほとんどないにも関わらず、電源装置が供給可能な最大電力は、各電力消費装置の定格電力の総和以上であることが要求される。そのため、大規模な電源装置が必要となり、部品点数の増加等のため電源装置のコストが増大してしまう。
【0005】
本発明は、前記従来の電源装置の問題点を解決して、電力消費装置の制御手段と通信可能に接続された制御手段を有し、該制御手段が電力消費装置の消費電力を制御することによって、電源装置の一部に故障が発生した場合でもシステムダウンを回避することができ、電力消費装置へ供給される電力の総和を電源装置が供給可能な最大電力内に抑えることができ、信頼性が高く、コストの低い電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の電源装置においては、電力消費装置に電力を供給する複数の小電源を有する電源装置であって、各小電源の故障を検出し、電力消費装置に供給可能な最大電力を算出する故障検出回路と、前記電力消費装置の消費電力が、前記故障検出回路が算出した最大電力以下となるように制御信号を前記電力消費装置に送信する制御手段とを有する。
【0007】
本発明の他の電源装置においては、さらに、前記電力消費装置は複数のユニットから成り、前記制御手段は、各ユニットから必要な電力を示す電力要求信号を受信すると、各ユニットに供給可能な電力を示す電力許可信号を返信する。
【0008】
本発明の更に他の電源装置においては、さらに、前記故障検出回路は、前記小電源が送信した故障通知信号によって故障の発生した小電源の数及び正常な小電源の数を把握し、該正常な小電源の数に基づいて電力消費装置に供給可能な最大電力を算出する。
【0009】
本発明の更に他の電源装置においては、複数のユニットから成る電力消費装置に電力を供給する電源装置であって、各ユニットから必要な電力を示す電力要求信号を受信すると、各ユニットに供給可能な電力を示す電力許可信号を返信する制御手段を有し、各ユニットの消費電力の合計が電源装置の供給可能な最大電力を超えないようにする。
【0010】
本発明の更に他の電源装置においては、さらに、前記制御手段は選択されたユニットの消費電力を抑制させる。
【0011】
本発明の更に他の電源装置においては、さらに、前記ユニットは、決定した動作モードに必要な電力を示す電力要求信号を送信し、該電力要求信号が示す必要な電力よりも受信した電力許可信号が示す供給可能な電力が低い場合、前記動作モードを変更する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源装置は、電力消費装置の制御手段と通信可能に接続された制御手段を有し、該制御手段が電力消費装置の消費電力を制御するようになっている。これにより、電源装置の一部に故障が発生した場合でもシステムダウンを回避することができ、電力消費装置へ供給される電力の総和を電源装置が供給可能な最大電力内に抑えることができ、信頼性を向上させ、コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【0015】
図において、10は本実施の形態におけるシステムであり、電力を消費する電力消費装置のユニットとしての第1ユニット11a、第2ユニット11b及び第3ユニット11cを有する。なお、前記第1ユニット11a、第2ユニット11b及び第3ユニット11cを統合的に説明する場合には、ユニット11として説明する。ここで、該ユニット11の各々は、電子装置や電気装置であるが、電力を消費する装置であればいかなる種類の装置であってもよい。また、ユニット11の数は、図示される例においては3つであるが、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよいし、任意に設定することができる。
【0016】
そして、前記第1ユニット11a、第2ユニット11b及び第3ユニット11cは、その内部に、各々の動作を制御する制御手段としての消費側制御チップ12a、消費側制御チップ12b及び消費側制御チップ12cを備える。なお、前記消費側制御チップ12a、消費側制御チップ12b及び消費側制御チップ12cを統合的に説明する場合には、消費側制御チップ12として説明する。また、該消費側制御チップ12は、必ずしも単一のチップから成るものでなくてもよく、複数のチップやその他の部品を含むものであってもよい。
【0017】
なお、前記第1ユニット11a、第2ユニット11b及び第3ユニット11cの定格電力は、各々400〔W〕であり、ユニット11全体の総和が1200〔W〕である。
【0018】
また、前記システム10は、ユニット11に電力を供給する電源装置13を有する。該電源装置13は、小電源としての第1小電源14a、第2小電源14b、第3小電源14c、第4小電源14d、第5小電源14e、制御手段としての電源側制御チップ15及び故障検出回路16を備える。そして、前記第1小電源14a、第2小電源14b、第3小電源14c、第4小電源14d及び第5小電源14eが出力可能な、すなわち、供給可能な最大電力は、各々200〔W〕であり、総計の出力電力が1000〔W〕である。なお、前記第1小電源14a、第2小電源14b、第3小電源14c、第4小電源14d及び第5小電源14eを統合的に説明する場合には、小電源14として説明する。また、該小電源14の数は、図示される例においては5つであるが、4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよいし、任意に設定することができる。さらに、前記第1小電源14a、第2小電源14b、第3小電源14c、第4小電源14d及び第5小電源14eは、電力供給線によって第1ユニット11a、第2ユニット11b及び第3ユニット11cと接続され、前記電力供給線を介して第1ユニット11a、第2ユニット11b及び第3ユニット11cの各々に最大400〔W〕の電力を供給する。
【0019】
そして、前記故障検出回路16は、前記第1小電源14a、第2小電源14b、第3小電源14c、第4小電源14d及び第5小電源14eと、制御線ALARM−A、制御線ALARM−B、制御線ALARM−C、制御線ALARM−D及び制御線ALARM−Eとによって、各々接続されている。前記第1小電源14a、第2小電源14b、第3小電源14c、第4小電源14d及び第5小電源14eは、故障が発生すると、制御線ALARM−A、制御線ALARM−B、制御線ALARM−C、制御線ALARM−D及び制御線ALARM−Eを介して故障検出回路16に故障通知信号ALARMを送信することによって、故障の発生を通知するようになっている。これにより、故障検出回路16は、故障が発生している小電源14の数、及び、故障が発生していない正常な小電源14の数を把握することができる。そして、故障検出回路16は、正常な小電源14の数に基づいて、電源装置13が出力可能な最大電力を算出し、該最大電力を電源側制御チップ15に設定するようになっている。
【0020】
また、該電源側制御チップ15と、前記消費側制御チップ12a、消費側制御チップ12b及び消費側制御チップ12cの各々とは、制御信号線によって接続され、制御信号の送受信を行う。そして、電源側制御チップ15は、前記消費側制御チップ12a、消費側制御チップ12b及び消費側制御チップ12cの各々に対して、供給可能な電力を通知するようになっている。すると、消費側制御チップ12a、消費側制御チップ12b及び消費側制御チップ12cの各々は、電源側制御チップ15から通知された供給可能な電力に適合するように、第1ユニット11a、第2ユニット11b及び第3ユニット11cの動作を制御することができる。
【0021】
次に、電源側制御チップ15と消費側制御チップ12との間の制御信号について説明する。
【0022】
図2は本発明の第1の実施の形態における電源装置の制御チップとユニットの制御チップとの間の制御信号の詳細を示す図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるユニットの制御信号情報の詳細を示す表である。
【0023】
図2は、電源装置13の電源側制御チップ15と第3ユニット11cの消費側制御チップ12cとの間の制御信号としての電力要求信号及び電力許可信号の詳細を示している。ここで、REQ C−1及びREQ C−0は、第3ユニット11cから電源装置13に対して必要な電力を示す電力要求信号であり、要求する消費電力の値を表す2〔bit〕の信号である。また、ACK C−1及びACK C−0は、電源装置13から第3ユニット11cに供給可能な電力を示す電力許可信号であり、許可される消費電力を表す2〔bit〕の信号である。なお、電源装置13の電源側制御チップ15と第1ユニット11aの消費側制御チップ12a及び第2ユニット11bの消費側制御チップ12bとの間の電力要求信号及び電力許可信号も、同様である。そして、REQ及びACKの後に続く大文字のアルファベットは、Aが第1ユニット11aであることを示し、Bが第2ユニット11bであることを示し、Cが第3ユニット11cであることを示している。そのため、電源装置13の電源側制御チップ15と第1ユニット11aの消費側制御チップ12aとの間の電力要求信号及び電力許可信号は、REQ A−1、REQ A−0、ACK A−1及びACK A−0となり、電源装置13の電源側制御チップ15と第2ユニット11bの消費側制御チップ12bとの間の電力要求信号及び電力許可信号は、REQ B−1、REQ B−0、ACK B−1及びACK B−0となる。なお、各ユニット11の消費側制御チップ12が出力する電力要求信号を統合的に説明する場合には、電力要求信号REQとして説明し、電源側制御チップ15が出力する電力許可信号を統合的に説明する場合には、電力許可信号ACKとして説明する。
【0024】
また、図3には、第3ユニット11cの制御信号情報の詳細が示されている。なお、第1ユニット11a及び第2ユニット11bの制御信号情報も同様である。
【0025】
次に、前記構成のシステム10の動作について説明する。
【0026】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるユニットの消費電力の例を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における小電源の1つに故障が発生した場合の動作を示すフローチャートである。なお、図4において、縦軸には電力、横軸には時間を採ってある。
【0027】
本実施の形態において、電源装置13の小電源14に故障が発生した場合、故障した小電源14は故障検出回路16に故障通知信号ALARMを送信する。すると、故障検出回路16は、正常な小電源14の数に基づいて、電源装置13全体で出力可能な最大電力を算出し、算出された最大電力を最大電力定格として制御チップ15に再設定する。図1に示される例において、小電源14の数は5つであるから、例えば、1つの小電源14に故障が発生すると、正常な小電源14の数は4つとなり、電源装置13全体の最大電力定格は800〔W〕となる。
【0028】
ここでは、説明を簡略化するために、第1ユニット11a、第2ユニット11b及び第3ユニット11cの順で消費電力が許可されて電力が供給されるものとする。また、第3ユニット11cの動作を中心に説明するが、第1ユニット11a及び第2ユニット11bの動作についても同様である。
【0029】
まず、第3ユニット11cの消費側制御チップ12cは、第3ユニット11cの動作モードを決定する。そして、前記消費側制御チップ12cは、電力要求信号REQ C(1:0)を出力する。この場合、要求する消費電力の値を表す制御信号REQ C(1:0)を電源装置13の電源側制御チップ15に送信することによって、決定した動作モードに必要な消費電力を電源装置13に要求する。
【0030】
続いて、電力要求信号REQ C(1:0)を受信した電源側制御チップ15は、電力許可信号ACK C(1:0)を出力する。該電力許可信号ACK C(1:0)は、第3ユニット11cへの供給を許可する消費電力を表す信号であり、消費側制御チップ12cに送信される。
【0031】
続いて、該消費側制御チップ12cは、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)であるか否かを判断する。すなわち、電源側制御チップ15によって許可された消費電力が電源装置13に要求した消費電力と等しいか否かを判断する。
【0032】
ここで、図4には、ユニット11に許可された消費電力の時間帯(1)〜(4)毎の変化が示されている。図4(a)は第1ユニット11aに許可された消費電力の変化を示し、図4(b)は第2ユニット11bに許可された消費電力の変化を示し、図4(c)は第3ユニット11cに許可された消費電力の変化を示し、図4(d)はユニット11全体に許可された消費電力の変化を示している。
【0033】
そして、図4に示される例において、時間帯(1)及び(4)では、ユニット11全体の消費電力が、1つの小電源14に故障が発生した電源装置13全体の最大電力定格である800〔W〕を超えていないので、電源側制御チップ15は、すべてのユニット11の消費側制御チップ12から要求された通りの消費電力を許可する。
【0034】
そのため、時間帯(1)及び(4)のような場合、消費側制御チップ12cは、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)であると判断し、通常処理を実行する。すなわち、消費側制御チップ12cは、電源装置13に要求した通りの消費電力が許可されたと判断し、当初決定した動作モードに従って第3ユニット11cの動作を制御する。そして、当初決定した動作モードに従った動作が終了すると、処理を終了し、再び、第3ユニット11cの動作モードを決定して、前述の動作を繰り返す。
【0035】
一方、図4に示される例において、時間帯(2)では、ユニット11全体の消費電力が、1つの小電源14に故障が発生した電源装置13全体の最大電力定格である800〔W〕を超えて、1200〔W〕になってしまう。そこで、電源側制御チップ15は、消費側制御チップ12cに電力許可信号として[ACK C(1:0)=00b]を送信し、第3ユニット11cに消費電力を供給しないようにする。
【0036】
そのため、時間帯(2)のような場合、消費側制御チップ12cは、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)でないと判断し、動作モードを変更する。この場合、消費側制御チップ12cは、電力許可信号として[ACK C(1:0)=00b]を受信したことによって、電源装置13に要求した通りの消費電力が許可されなかったと判断し、受信した電力許可信号ACK C(1:0)の内容に従って、当初決定した動作モードを変更し、第3ユニット11cの動作を停止させる。そして、処理を終了し、再び、第3ユニット11cの動作モードを決定して、前述の動作を繰り返す。
【0037】
また、図4に示される例において、時間帯(3)では、ユニット11全体の消費電力が、1つの小電源14に故障が発生した電源装置13全体の最大電力定格である800〔W〕を超えて、1000〔W〕になってしまう。そこで、電源側制御チップ15は、消費側制御チップ12cに電力許可信号ACK C(1:0)を送信し、第3ユニット11cに200〔W〕だけ消費電力を供給するようにする。
【0038】
そのため、時間帯(3)のような場合、消費側制御チップ12cは、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)でないと判断し、動作モードを変更する。この場合、消費側制御チップ12cは、電源装置13に要求した通りの消費電力が許可されたなかったと判断し、受信した電力許可信号ACK C(1:0)の内容に従って、当初決定した動作モードを変更し、省電力処理を行って第3ユニット11cを200〔W〕の消費電力で動作させる。そして、変更された動作モードに従った動作が終了すると処理を終了し、再び、第3ユニット11cの動作モードを決定して、前述の動作を繰り返す。
【0039】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 消費側制御チップ12cは動作モードを決定する。
ステップS2 消費側制御チップ12cはREQ C(1:0)を出力する。
ステップS3 電源側制御チップ15はACK C(1:0)を出力する。
ステップS4 消費側制御チップ12cはACK C(1:0)=REQ C(1:0)であるか否か判断する。ACK C(1:0)=REQ C(1:0)である場合はステップS5に進み、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)でない場合はステップS6に進む。
ステップS5 消費側制御チップ12cは通常処理を実行する。
ステップS6 消費側制御チップ12cは動作モードを変更する。
ステップS7 消費側制御チップ12cは処理を終了し、ステップS1に戻る。
【0040】
このように、本実施の形態においては、小電源14に故障が発生した場合であっても、システム10がダウンすることがなく、省電力で動作を行わせることができる。
【0041】
また、本実施の形態においては、複数のユニット11を動作させる例について説明したが、動作させるユニット11が単数である場合にも適用可能である。さらに、本実施の形態において、電力要求信号REQは各ユニット11から非同期に出力され、電源側制御チップ15は、各ユニット11から電力要求信号REQを受信するとリアルタイムに電力許可信号ACKを出力するようになっているが、前記電力要求信号REQの各々及び電力許可信号ACKの各々を同期させるようにすることもできる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0043】
図6は本発明の第2の実施の形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【0044】
図6に示されるように、本実施の形態において、電源装置13は、前記第1の実施の形態における第1小電源14a、第2小電源14b、第3小電源14c、第4小電源14d及び第5小電源14eに代えて、単一の電源17を備える。該電源17が供給可能な最大電力は1000〔W〕である。また、前記電源装置13は、前記第1の実施の形態における故障検出回路16を備えていない。その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
また、電源側制御チップ15と消費側制御チップ12との間の制御信号についても、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
次に、本実施の形態におけるシステム10の動作について説明する。
【0047】
図7は本発明の第2の実施の形態におけるユニットの消費電力の例を示す図、図8は本発明の第2の実施の形態におけるシステムの動作を示すフローチャートである。なお、図7において、縦軸には電力、横軸には時間を採ってある。
【0048】
ここでは、説明を簡略化するために、第1ユニット11a、第2ユニット11b及び第3ユニット11cの順で消費電力が許可されて電力が供給されるものとする。また、第3ユニット11cの動作を中心に説明するが、第1ユニット11a及び第2ユニット11bの動作についても同様である。
【0049】
まず、第3ユニット11cの消費側制御チップ12cは、第3ユニット11cの動作モードを決定する。そして、前記消費側制御チップ12cは、電力要求信号REQ C(1:0)を出力する。この場合、要求する消費電力の値を表す電力要求信号REQ C(1:0)を電源装置13の電源側制御チップ15に送信することによって、決定した動作モードに必要な消費電力を電源装置13に要求する。
【0050】
続いて、電力要求信号REQ C(1:0)を受信した電源側制御チップ15は、電力許可信号ACK C(1:0)を出力する。該電力許可信号ACK C(1:0)は、第3ユニット11cへの供給を許可する消費電力を表す信号であり、消費側制御チップ12cに送信される。
【0051】
続いて、該消費側制御チップ12cは、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)であるか否かを判断する。すなわち、電源側制御チップ15によって許可された消費電力が電源装置13に要求した消費電力と等しいか否かを判断する。
【0052】
ここで、図7には、ユニット11に許可された消費電力の時間帯(1)〜(4)毎の変化が示されている。図7(a)は第1ユニット11aに許可された消費電力の変化を示し、図7(b)は第2ユニット11bに許可された消費電力の変化を示し、図7(c)は第3ユニット11cに許可された消費電力の変化を示し、図7(d)はユニット11全体に許可された消費電力の変化を示している。
【0053】
そして、図7に示される例において、時間帯(1)及び(4)では、ユニット11全体の消費電力が、電源17の最大電力定格である1000〔W〕を超えていないので、電源側制御チップ15は、すべてのユニット11の消費側制御チップ12から要求された通りの消費電力を許可する。
【0054】
そのため、時間帯(1)及び(4)のような場合、消費側制御チップ12cは、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)であると判断し、通常処理を実行する。すなわち、消費側制御チップ12cは、電源装置13に要求した通りの消費電力が許可されたと判断し、当初決定した動作モードに従って第3ユニット11cの動作を制御する。そして、当初決定した動作モードに従った動作が終了すると、処理を終了し、再び、第3ユニット11cの動作モードを決定して、前述の動作を繰り返す。
【0055】
一方、図7に示される例において、時間帯(2)では、ユニット11全体の消費電力が、電源17の最大電力定格である1000〔W〕を超えて、1200〔W〕になってしまう。そこで、電源側制御チップ15は、消費側制御チップ12cに電力許可信号として[ACK C(1:0)=01b]を送信し、第3ユニット11cに200〔W〕だけ消費電力を供給するようにする。
【0056】
そのため、時間帯(2)のような場合、消費側制御チップ12cは、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)でないと判断し、動作モードを変更する。この場合、消費側制御チップ12cは、電力許可信号として[ACK C(1:0)=01b]を受信したことによって、電源装置13に要求した通りの消費電力が許可されなかったと判断し、受信した電力許可信号ACK C(1:0)の内容に従って、当初決定した動作モードを変更し、省電力処理を行って第3ユニット11cを200〔W〕の消費電力で動作させる。なお、第3ユニット11cの動作を停止させることもできる。そして、変更された動作モードに従った動作が終了すると処理を終了し、再び、第3ユニット11cの動作モードを決定して、前述の動作を繰り返す。
【0057】
また、図7に示される例において、時間帯(3)では、ユニット11全体の消費電力が、電源17の最大電力定格である1000〔W〕を超えて、1100〔W〕になってしまう。そこで、電源側制御チップ15は、消費側制御チップ12cに電力許可信号ACK C(1:0)を送信し、第3ユニット11cに300〔W〕だけ消費電力を供給するようにする。
【0058】
そのため、時間帯(3)のような場合、消費側制御チップ12cは、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)でないと判断し、動作モードを変更する。この場合、消費側制御チップ12cは、電源装置13に要求した通りの消費電力が許可されたなかったと判断し、受信した電力許可信号ACK C(1:0)の内容に従って、当初決定した動作モードを変更し、省電力処理を行って第3ユニット11cを300〔W〕の消費電力で動作させる。なお、第3ユニット11cの動作を停止させることもできる。そして、変更された動作モードに従った動作が終了すると処理を終了し、再び、第3ユニット11cの動作モードを決定して、前述の動作を繰り返す。
【0059】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 消費側制御チップ12cは動作モードを決定する。
ステップS12 消費側制御チップ12cはREQ C(1:0)を出力する。
ステップS13 電源側制御チップ15はACK C(1:0)を出力する。
ステップS14 消費側制御チップ12cはACK C(1:0)=REQ C(1:0)であるか否か判断する。ACK C(1:0)=REQ C(1:0)である場合はステップS15に進み、ACK C(1:0)=REQ C(1:0)でない場合はステップS16に進む。
ステップS15 消費側制御チップ12cは通常処理を実行する。
ステップS16 消費側制御チップ12cは動作モードを変更する。
ステップS17 消費側制御チップ12cは処理を終了し、ステップS11に戻る。
【0060】
このように、本実施の形態においては、供給可能な最大電力がユニット11全体の定格電力以下である電源装置13を使用してユニット11を動作させることができ、電源装置13の規模及びコストを小さくすることができる。
【0061】
また、本実施の形態において、電力要求信号REQは各ユニット11から非同期に出力され、電源側制御チップ15は、各ユニット11から電力要求信号REQを受信するとリアルタイムに電力許可信号ACKを出力するようになっているが、前記電力要求信号REQの各々及び電力許可信号ACKの各々を同期させるようにすることもできる。
【0062】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における電源装置の制御チップとユニットの制御チップとの間の制御信号の詳細を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるユニットの制御信号情報の詳細を示す表である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるユニットの消費電力の例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における小電源の1つに故障が発生した場合の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるユニットの消費電力の例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるシステムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
11 ユニット
11a 第1ユニット
11b 第2ユニット
11c 第3ユニット
12a、12b、12c 消費側制御チップ
13 電源装置
14a 第1小電源
14b 第2小電源
14c 第3小電源
14d 第4小電源
14e 第5小電源
15 電源側制御チップ
16 故障検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)電力消費装置に電力を供給する複数の小電源を有する電源装置であって、
(b)各小電源の故障を検出し、電力消費装置に供給可能な最大電力を算出する故障検出回路と、
(c)前記電力消費装置の消費電力が、前記故障検出回路が算出した最大電力以下となるように制御信号を前記電力消費装置に送信する制御手段とを有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
(a)前記電力消費装置は複数のユニットから成り、
(b)前記制御手段は、各ユニットから必要な電力を示す電力要求信号を受信すると、各ユニットに供給可能な電力を示す電力許可信号を返信する請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記故障検出回路は、前記小電源が送信した故障通知信号によって故障の発生した小電源の数及び正常な小電源の数を把握し、該正常な小電源の数に基づいて電力消費装置に供給可能な最大電力を算出する請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
(a)複数のユニットから成る電力消費装置に電力を供給する電源装置であって、
(b)各ユニットから必要な電力を示す電力要求信号を受信すると、各ユニットに供給可能な電力を示す電力許可信号を返信する制御手段を有し、
(c)各ユニットの消費電力の合計が電源装置の供給可能な最大電力を超えないようにすることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
前記制御手段は選択されたユニットの消費電力を抑制させる請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記ユニットは、決定した動作モードに必要な電力を示す電力要求信号を送信し、該電力要求信号が示す必要な電力よりも受信した電力許可信号が示す供給可能な電力が低い場合、前記動作モードを変更する請求項4に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−143236(P2007−143236A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330978(P2005−330978)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】