説明

電源装置

【課題】それぞれの二次出力の負荷がある範囲内にある場合は、フィードバック制御により、二次側出力は所定の精度内に制御される。しかしながら、それぞれの二次側出力が不均衡な状態になると、メインの制御をかけていない出力が所定精度に対して急激に外れる、例えば、第1の出力の負荷が大きく、他方の第2の出力が小さくなると、第2出力が上記精度に対して急激に大きくなる場合がある。本発明は、簡単な回路で複数の出力電圧を安定化することを目的とする。
【解決手段】平滑電圧から第1の出力電圧および少なくとも第2の出力電圧を生成するトランス4、および、トランス4の一次側に第1の出力電圧を負帰還するフィードバック手段を備えた電源装置において、第2の出力電圧とグランド間にツェナーダイオード7を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電源装置を図3に示す。図3において、商用電源などから整流、平滑した直流電圧100から複数の二次電圧V1、V2、V3を出力する構成とする場合がある。ここで、平滑電圧を電源トランス101および電源制御回路102を介して、二次電圧に変換する低電圧発生回路、即ち低圧電源装置において、複数の二次電圧が出力される。
【0003】
複数の二次電圧を出力する場合、1次側から電源トランス101を介して、1つの二次電圧を生成し、その二次電圧からDC−DCコンバータやシリーズドロッパを介して複数の二次電圧を生成する構成とする。あるいは、電源トランスの1次巻線に対して2次側に複数の巻線を施し、複数の二次電圧を出力する構成とする。もしくは、それらを混合した構成とする。
【0004】
電源トランス101の一次巻線に対して二次側に複数の巻線を施し、複数の二次電圧を出力する場合、二次側のそれぞれの出力電圧の比率は、二次側の各々の巻線数比率にほぼ従う。1つの電源トランス101から複数の二次電圧を出力する場合、相互の巻線が干渉し合うため、例えば、一方の二次側出力の負荷を大きくすると他方の二次側出力が大きくなったり、一方の二次側出力の負荷を小さくすると他方の二次側出力が小さくなったりする。このような場合、複数の出力のうち、最も精度を必要とする第1の二次側出力にフィードバック制御回路103を用い、主に制御をかけて1次側の電源制御回路に戻し出力を制御する。他の第2の二次側出力にはメインのフィードバック制御より小比率なフィードバック制御回路104を用い、フィードバックをかけて一次側電源制御回路に戻し、または、第2の二次側出力にはフィードバック制御をかけずに、第1の出力とのクロス特性により第2の二次側出力が制御され出力される(例えば、特許文献1乃至5参照)。
【特許文献1】特開2004−208379号公報
【特許文献2】特開2004−117811号公報
【特許文献3】特開2000−102248号公報
【特許文献4】特開平11−215690号公報
【特許文献5】特開平10−052032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それぞれの二次出力の負荷がある範囲内にある場合は、フィードバック制御により、二次側出力は所定の精度内に制御される。しかしながら、それぞれの二次側出力が不均衡な状態になると、メインの制御をかけていない出力が所定精度に対して急激に外れる、例えば、第1の出力の負荷が大きく、他方の第2の出力が小さくなると、第2出力が上記精度に対して急激に大きくなる場合がある。
【0006】
このような場合、第2出力に抵抗等の擬似負荷を接続し、第2出力の負荷を小さくしても所定の負荷をひけるようにすることで精度を維持する方法がある。しかし、この方法の場合、第2出力に接続した擬似負荷が常に電力を消費するため、効率に影響を及ぼす可能性がある。また、前記従来技術では、複雑な回路構成を構築する必要があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、擬似負荷の消費電力を大きくすることなく、精度が良く構成の簡易な電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電源装置は、平滑電圧から第1の出力電圧および少なくとも第2の出力電圧を生成するトランス、および、前記トランスの一次側に前記第1の出力電圧を負帰還するフィードバック手段を備えた電源装置において、前記第2の出力電圧とグランド間にツェナーダイオードを備えたものである。また、前記第2の出力電圧の負荷電流特性と前記ツェナーダイオードのツェナー電圧(以下Vz)−ツェナー電流(以下Iz)特性を利用して前記出力電圧2を制限するものである。これによって、簡単な回路構成で安定した電圧を取り出せるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
ツェナーダイオードの特性を利用することで複雑な回路を構成することなく、安定した電圧を取り出せるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
交流電源1と、交流電源1を全波整流する構成に接続されたダイオ−ドブリッジ2と、ダイオードブリッジ2の全波整流出力を平滑する一次平滑コンデンサ3と、一次巻線と複数の二次巻線で構成されるトランス4と、前記一次電圧をトランス4を介してスイッチングすることで複数の二次出力を生成するスイッチングIC5と、それぞれの二次出力を整流するダイオード8、9、10とそれぞれの二次電圧を平滑するコンデンサ11、12、13と、二次出力電圧をスイッチングIC5にフィードバックすることで、二次出力電圧をコントロールするフィードバック回路6と、二次電圧のうち一つの出力を分圧してフィードバック回路6に入力する分圧抵抗14、15と、フィードバック回路6に接続されない出力とグランド間に接続されたツェナーダイオード7と、それぞれの二次電圧に接続される負荷16、17で構成される電源装置において、交流電源1はダイオードブリッジ2に入力され、全波整流される。
【0011】
その入力電圧は平滑コンデンサ3で直流化される。直流化された入力電圧はトランス4とスイッチングIC5によって二次出力を生成する。このとき、複数の二次出力を持つトランスを用いた電源装置であれば、その他の方式であってもかまわない。
【0012】
二次出力は、それぞれの整流ダイオード8、9、10によって整流され、それぞれの平滑コンデンサ11、12、13によって平滑され、電圧Va、Vb、Vcとなる。このとき、二次出力Vaの電圧は、分圧抵抗14、15によって分圧され、フィードバック回路6を介し、スイッチングIC5に負帰還されることで二次出力を安定化させる。このとき、分圧抵抗とフィードバック回路は二次出力に対し負帰還がかかるものであれば方式は問わない。
【0013】
電源トランスの出力は、一次巻線に対して二次側に複数の巻線を施し、複数の二次電圧を出力する場合、それぞれの比率は、二次側の各々の巻線数比率にほぼ従う。また、それぞれの出力は互いに干渉するため、一方の負荷が変動すると、もう一方の出力電圧も変動する。このとき、最も精度の必要な出力をフィードバック制御に使用することで、もう一方の出力はそのクロス特性によって出力される。このとき、一方の二次出力Vaはフィードバック制御を行い、Vbをトランスのクロス特性にゆだねた場合に、Vbが無負荷のときに過大な電圧とならないように、図2に示すように、二次電圧Vbは負荷に応じて出力負荷特性20のように推移する。このとき、ツェナーダイオード7のIz−Vz特性が21とした場合、Vbはツェナーダイオード7へ電流が流れることにより低下し、出力負荷特性20と交わる電圧、すなわち16.3Vで安定することとなる。このときツェナーダイオード7に流れる電流は、8mA程度となる。負荷16が増加した場合、例えば5mA
流れたとすると出力負荷特性はIzに対し23のように変化し、ツェナーダイオード6に流れる電流は5mAとなる。このように、外部負荷の大きさに応じてIzも低下するため、負荷抵抗を接続するよりも無駄な電力を抑えることができ、Izの制限抵抗を必要としないものである。
【0014】
また、ツェナーダイオード7のIz−Vz特性が22となった場合、同様にVbはツェナーダイオード6へ電流が流れることにより低下し、出力負荷特性20と交わる電圧、すなわち16Vで安定する。このとき、ツェナーダイオード6に流れる電流は15mAと変動する。ツェナーダイオード7は公差のほかに温度特性によりVzが変動するが、5V程度のVzを持つものを選択し任意の数直列に接続すればツェナー降伏、あるいはアバランシェ降伏の温度特性による変動を小さく押さえることができ、素子1個当たりの電力損し積も軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の電源装置は、小電力の電源系を用いる用途に幅広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における回路図
【図2】本発明のツェナーダイオードのVz−Iz特性と出力電圧負荷特性例を示す図
【図3】従来の電源装置における回路図
【符号の説明】
【0017】
1 交流電源
2 ダイオードブリッジ
3 一次平滑コンデンサ
4 トランス
5 スイッチングIC
6 フィードバック回路
7 ツェナーダイオード
8 ダイオード
9 ダイオード
10 ダイオード
11 コンデンサ
12 コンデンサ
13 コンデンサ
14 分圧抵抗1
15 分圧抵抗2
16 負荷1
17 負荷2
20 出力電圧負荷特性1
21 Vz−Iz特性1
22 Vz−Iz特性2
23 出力電圧負荷特性2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源出力を平滑する手段、前記平滑電圧から第1の出力電圧および少なくとも第2の出力電圧を生成するトランス、および、前記トランスの一次側に前記第1の出力電圧を負帰還するフィードバック手段を備えた電源装置において、前記第2の出力電圧とグランド間にツェナーダイオードを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
第2の出力電圧の負荷電流特性とツェナーダイオードのツェナー電圧(以下Vz)−ツェナー電流(以下Iz)特性を利用して出力電圧2を制限することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
ツェナーダイオードのVzが所定の値のものを、任意の数量直列に接続することを特徴とする請求項2記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−200477(P2010−200477A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41949(P2009−41949)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】