説明

電源装置

【課題】比較的簡単な回路構成で、互いに絶縁された複数の出力電圧の変動を抑制することができる電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置1は、一対の第1の出力端子21間に接続されたブリーダ抵抗51および切替部52の直列回路と、切替部52を制御する制御部53と、第2の出力端子22の出力電圧を検出する検出部54とを備えている。制御部53は、第1の出力端子21に接続されている負荷が規定値よりも小さくなる軽負荷時に、一対の第1の出力端子21間にブリーダ抵抗51が挿入され、負荷だけでなくブリーダ抵抗51にも電流が流れるように、切替部52をオンオフ制御する。制御部53は、第1の出力端子21が軽負荷か否かを検出部54の検出結果を用いて判断し、軽負荷であると判断すると切替部52をオンする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の出力端子の各々に出力電圧を発生する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、負荷の遠隔監視制御を行うために、伝送ユニットが信号線を通して伝送信号を伝送し、負荷に接続された端末器の監視や制御を行う技術が知られている。この種の監視制御システムとしては、伝送ユニットと複数台の端末器とが2線式の信号線に接続されており、伝送ユニットが、時分割方式の伝送信号を信号線に送出することにより、各端末器との間で通信を行うシステムがある。このシステムでは、電源電圧の供給と伝送信号の伝送とに信号線を共用できるので、信号線とは別に電源供給線を設ける必要がない。
【0003】
ところで、上述したようなシステムで用いられる伝送ユニットは、伝送信号の送出用の伝送電圧と、CPU(Central Processing Unit)や内部回路を動作させるための内部電源電圧とが必要である。そのため、伝送ユニットには、交流電源(商用電源)からの電力供給を受けて第1および第2の2つの出力端子の各々に出力電圧(伝送電圧および内部電源電圧)を発生する2出力の電源装置が用いられる。
【0004】
2出力の電源装置は、たとえば1つの一次巻線に対して二次側に複数の巻線を有するトランスを備え、トランスの一次側に与えられた電圧に応じた出力電圧を第1および第2の出力端子から出力する。このような場合、複数の出力電圧の全てについてレギュレーションが要求されるため、たとえば以下の方法によりレギュレーションを確保することが一般的である。
【0005】
第1の方法として、電源装置が、第1および第2の出力端子のうち第1の出力端子のみにフィードバックをかけ、出力をフィードバック制御する方法がある。第2の方法として、電源装置が、第1および第2の出力端子ごとに別々に電源回路を有し、各出力端子からの出力を別個独立にフィードバックする方法がある。第3の方法としては、第1および第2の両出力端子のグランドが共通している場合に、電源装置が、2つの出力ラインから電圧検出を行い、その2つの出力レギュレーションを改善する方法がある(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−78964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記第2の方法では、電源装置は部品点数が増えて回路規模が大きくなるため、筐体サイズやコストの観点から採用するのが難しい。また、上述した伝送ユニットなどでは、伝送電圧と内部電源電圧とは互いに絶縁されている必要があるため、上記第3の方法も採用することはできない。
【0008】
ただし、電源装置が第1の方法を採用した場合、フィードバックされていない第2の出力端子の出力電圧は、フィードバックされている第1の出力端子に接続される負荷の変動の影響を受けて変動することがある。たとえば、伝送ユニットにおいては、伝送電圧を生じる第1の出力端子に接続される負荷が軽くなる(つまり第1の出力端子の出力電流が小さくなる)と、第2の出力端子に生じる内部電源電圧が低下して、必要な電圧を確保できなくなる可能性がある。
【0009】
本発明は上記事由に鑑みて為されており、比較的簡単な回路構成で、互いに絶縁された複数の出力電圧の変動を抑制することができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電源装置は、互いに絶縁された第1の出力端子と第2の出力端子との各々に個別に出力電圧を発生し、前記第2の出力端子の出力電圧が前記第1の出力端子の出力電圧に関連して変化する電力変換部と、前記第1の出力端子の出力電圧に応じて前記第1の出力端子の出力電圧を調節するように前記電力変換部をフィードバック制御する帰還制御部と、前記第1の出力端子の出力電圧が印加されるブリーダ抵抗および切替部の直列回路と、前記第1の出力端子に接続されている負荷の大きさに相当する評価値を所定の閾値と比較し、前記負荷が規定値よりも小さい軽負荷と判断した場合に前記ブリーダ抵抗に電流が流れるように前記切替部を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
この電源装置において、前記第2の出力端子の出力電圧を検出する検出部をさらに備え、前記制御部は、前記検出部の検出値を前記評価値として当該評価値が前記閾値以下になると前記軽負荷と判断することが望ましい。
【0012】
この電源装置において、前記第1の出力端子の出力電流を検出する検出部をさらに備え、前記制御部は、前記検出部の検出値を前記評価値として当該評価値が前記閾値以下になると前記軽負荷と判断することがより望ましい。
【0013】
この電源装置において、前記第1の出力端子の出力電圧を検出する検出部をさらに備え、前記制御部は、前記検出部の検出値を前記評価値として当該評価値が前記閾値以上になると前記軽負荷と判断することがより望ましい。
【0014】
この電源装置において、前記検出部は前記第2の出力端子の出力電圧に対応する電圧が印加されるツェナダイオードを具備し、前記制御部は、前記ツェナダイオードを通過する電流の有無を監視し、当該電流が流れていなければ前記検出部の検出値が前記閾値以下であると判断することがより望ましい。
【0015】
この電源装置において、前記切替部は前記制御部によってオンオフ制御されるスイッチング素子からなり、前記制御部は、前記軽負荷と判断したときに、前記検出部の検出値の大きさに応じて前記スイッチング素子のオンデューティを変化させることがより望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、比較的簡単な回路構成で、互いに絶縁された複数の出力電圧の変動を抑制することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る電源装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】実施形態1に係る電源装置において問題となる電流−電圧特性を示す説明図である。
【図3】実施形態1に係る電源装置の要部の回路図である。
【図4】実施形態1に係る電源装置の他の電流−電圧特性を示す説明図である。
【図5】実施形態2に係る電源装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】実施形態2に係る電源装置の電流−電圧特性を示す説明図である。
【図7】実施形態3に係る電源装置の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
本実施形態の電源装置は、交流電源(商用電源)からの電力供給を受けて第1および第2の2つの出力端子の各々に、個別に出力電圧を発生する2出力の電源装置である。
【0019】
以下では、一例として照明制御システムの伝送ユニット(制御ユニット)に用いられる電源装置について説明する。この伝送ユニットは、照明器具、あるいは壁スイッチやセンサ(明るさセンサや人感センサ等)を具備する端末器に対して2線式の信号線を通して時分割方式の伝送信号を伝送し、各端末器との間で通信を行う。これにより、伝送ユニットは、壁スイッチやセンサの監視結果に応じて、照明器具を遠隔制御することが可能である。この種の伝送ユニットには、伝送信号の送出用の伝送電圧と、CPU(Central Processing Unit)や内部回路を動作させるための内部電源電圧とを、2つの出力端子の各々に個別に発生する2出力の電源装置が用いられる。
【0020】
本実施形態の電源装置1は、図1に示すように、交流電源からの電力供給を受けて、互いに絶縁された第1の出力端子21と第2の出力端子22との各々に個別に出力電圧を発生する電力変換部2と、電力変換部2を制御する帰還制御部3とを備えている。電力変換部2は、一対の入力端子23が交流電源に接続され、一対の第1の出力端子21からは伝送電圧を出力し、一対の第2の出力端子22からは内部電源電圧を出力する。ここでは、電力変換部2は、入力端子23には交流100Vが印加され、第1の出力端子21に伝送電圧として27Vの直流電圧を発生し、第2の出力端子22に内部電源電圧として12Vの直流電圧を発生する。
【0021】
電力変換部2は、1つの一次巻線41に対して第1および第2の2つの二次巻線42,43を有するトランス4を備え、トランス4の一次側に与えられた電圧に応じた出力電圧を第1および第2の出力端子21,22から出力する。そのため、電力変換部2は、第2の出力端子22の出力電圧が第1の出力端子21の出力電圧に関連して変化する。電力変換部2は、交流電源からの入力電圧を整流、平滑し、さらにスイッチングしてトランス4の一次巻線41に印加する一次側回路24と、各二次巻線42,43の出力を整流、平滑する第1および第2の二次側回路25,26とを備えている。ここで、第1の二次巻線42に接続された第1の二次側回路25の出力端が第1の出力端子21を構成し、第2の二次巻線43に接続された第2の二次側回路26の出力端が第2の出力端子22を構成する。
【0022】
帰還制御部3は、第1の出力端子21の出力電圧に応じて第1の出力端子21の出力電圧を調節するように、一次側回路24をフィードバック制御する。すなわち、帰還制御部3は、第1の出力端子21の出力電圧が一定に維持されるように、第1の出力電圧21の出力電圧の大きさに応じて、トランス4の一次巻線41に供給される電力の大きさを制御する。一次巻線41に供給される電力の大きさが変わると、電力変換部2の第1の出力端子21の出力電圧がフィードバック制御され、これに関連して第2の出力端子22の出力電圧も変化する。
【0023】
ところで、上述した構成では、フィードバックされていない第2の出力端子22の出力電圧は、第1の出力端子21に接続されている負荷(図示せず)の大きさ、つまり第1の出力端子21から負荷に流れる負荷電流の大きさによって大きく変動する可能性がある。たとえば、第2の出力端子22からの出力電流が300mAに固定されている場合には、第1の出力端子21からの負荷電流の大きさに応じて、第1および第2の各出力端子21,22に生じる出力電圧は図2に示すように変化する。なお、図2では、横軸を第1の出力端子21からの負荷電流として、第2の出力端子22の出力電圧(以下、「第2の出力電圧」という)を(a)に示し、第1の出力端子21の出力電圧(以下、「第1の出力電圧」という)を(b)に示している。
【0024】
すなわち、第1の出力電圧は、帰還制御部3によりフィードバック制御されているため、図2(b)に示すように、第1の出力端子21からの負荷電流がごく小さい(ここでは20mA以下程度)ときに定格電圧(27V)より高くなるものの、略一定に維持される。図2(b)の例では、第1の出力端子21からの負荷電流がごく小さい(ここでは20mA以下程度)ときには、第1の出力電流が小さくなるほど第1の出力電圧は高くなる。
【0025】
一方、第2の出力電圧は、フィードバック制御されていないため、図2(a)に示すように、第1の出力端子21からの負荷電流が小さくなるほど低くなり、定格電圧(12V)から大きく変動する。図2(a)の例では、第1の出力端子21からの負荷電流が約25mAを下回ると、第2の出力電圧は8Vを下回る程度まで低下する。
【0026】
このように、第1の出力端子21の出力電流(以下、「第1の出力電流」という)が変動すると、第2の出力電圧が大きく変動し、内部電源電圧として必要な電圧(たとえば8V)を確保できなくなる可能性がある。そこで、本実施形態の電源装置1は、以下に説明する構成を採用することにより、第1の出力電流の変動を抑制し、第2の出力電圧の変動を抑制する。
【0027】
すなわち、本実施形態の電源装置1は、図1に示すように、一対の第1の出力端子21間に接続されたブリーダ抵抗51および切替部52の直列回路と、切替部52を制御する制御部53と、電圧を検出する検出部54とを備えている。
【0028】
切替部52は、制御部53からの制御信号に応じてオンとオフとが切り替わるスイッチング素子(本実施形態ではトランジスタ)からなる。つまり、切替部52は、オンの状態で、一対の第1の出力端子21間にブリーダ抵抗51を接続する。ブリーダ抵抗51と切替部52との直列回路には、第1の出力電圧が印加されるので、切替部52がオンの状態にあれば、ブリーダ抵抗51には第1の出力端子21から電流が流れることになる。なお、切替部52のオン時にブリーダ抵抗51に流す電流は、電源装置1の出力電圧の大きさによって異なるが、ここでは一例として60mAに設定する。この場合のブリーダ抵抗51の抵抗値は450Ω(=27/0.06)となる。ただし、ブリーダ抵抗51に流す電流の値やブリーダ抵抗51の抵抗値はこの値に限らず、適宜設定される。
【0029】
制御部53は、第1の出力端子21に接続されている負荷の大きさに相当する評価値を所定の閾値と比較し、負荷が規定値よりも小さい軽負荷であると判断した場合に、ブリーダ抵抗51に電流が流れるように切替部52をオンオフ制御する。言い換えれば、制御部53は、評価値と閾値との比較結果によって、第1の出力端子21から負荷に流れる負荷電流が規定値よりも小さい軽負荷であるか否かを判断し、その判断結果に応じて切替部52をオンオフ制御する。本実施形態においては、制御部53は、第1の出力端子21が軽負荷か否かを検出部54の検出結果を用いて判断しており、軽負荷と判断すると、Hレベルの制御信号を出力することによって切替部52をオンする。
【0030】
検出部54は、一対の第2の出力端子22間に接続されており、第2の出力電圧を検出する。制御部53は、検出部54の検出値を評価値として、この評価値(つまり第2の出力電圧)が所定の閾値以下になることをもって、第1の出力端子21が軽負荷になったと判断する。
【0031】
上述したような構成によれば、電源装置1は、第1の出力端子21が軽負荷になると、一対の第1の出力端子21間にブリーダ抵抗51が挿入されるので、負荷だけでなくブリーダ抵抗51にも第1の出力電流が流れることになる。つまり、ブリーダ抵抗51は、第1の出力電流を流すシャント抵抗として機能し、第1の出力端子21から出力される電力は負荷だけでなくブリーダ抵抗51でも消費される。これにより、第1の出力端子21に接続されている負荷(に流れる負荷電流)が規定値よりも小さくなくなる軽負荷時であっても、第1の出力電流は、ブリーダ抵抗51に流れる電流分だけ持ち上げられて規定値よりも大きくなる。
【0032】
したがって、電源装置1は、第1の出力電流の変動が抑制され、結果的に、第1の出力電流の変動に伴う第2の出力電圧の変動も抑制される。要するに、電源装置1は、たとえ第1の出力端子21に接続されている負荷が軽負荷であって、第1の出力端子21から負荷に流れる負荷電流が大きく減少した場合でも、ブリーダ抵抗51に流れる電流によって第1の出力電流はある程度の大きさが維持される。そのため、第1の出力端子21から負荷に流れる負荷電流が大きく減少しても、第2の出力電圧は大きく低下することなく、内部電源電圧として必要な電圧(たとえば8V)を確保できる。
【0033】
次に、本実施形態の電源装置1における切替部52、制御部53、検出部54の具体的な構成について、図3の例を参照して簡単に説明する。
【0034】
検出部54は、第2の出力端子22の正極と負極(グランド)との間に接続されたツェナダイオード61および抵抗62,63の直列回路からなる。ツェナダイオード61は、カソードが第2の出力端子22の正極に接続されており、アノードが抵抗62,63を介して第2の出力端子22の負極に接続されている。ここで、ツェナダイオード61は、第2の出力電圧が閾値よりも高い間にオンするように、ツェナ電圧が設定されている。
【0035】
制御部53は、検出部54における抵抗62−抵抗63の接続点に対し抵抗64を介して一次側が接続されたフォトカプラ65と、フォトカプラ65の二次側に接続された抵抗66とを有している。フォトカプラ65は、一次側における抵抗64とは反対側の端子が第2の出力端子22の負極に接続され、二次側における抵抗66とは反対側の端子が第1の出力端子21の負極に接続されている。さらに、制御部53は、第1の出力端子21の正極と負極(グランド)との間に直列に接続された抵抗67,68と、抵抗67−抵抗68の接続点とフォトカプラ65−抵抗66の接続点との間に挿入されたプルアップ抵抗69とを有している。
【0036】
切替部52は、トランジスタからなり、第1の出力端子21の正極と負極との間に、コレクタ−エミッタがブリーダ抵抗51と直列に接続されている。切替部52は、ベースが制御部53における抵抗66のフォトカプラ65とは反対側の端子に接続されており、制御部53からの電流がベースに流入することにより、コレクタ−エミッタ間をオン(導通)する。
【0037】
上記構成により、第2の出力電圧がツェナダイオード61のツェナ電圧よりも高い場合、ツェナダイオード61がオンして検出部54から制御部53のフォトカプラ65に電流が流れるので、フォトカプラ65がオンすることになる。一方、第1の出力端子21からの負荷電流が小さく、第2の出力電圧がツェナダイオード61のツェナ電圧より低い場合、ツェナダイオード61がオフして検出部54から制御部53のフォトカプラ65への電流が停止し、フォトカプラ65がオフすることになる。
【0038】
制御部53は、フォトカプラ65がオンしている間は、切替部52としてのトランジスタのベースを抵抗66を介してグランド(第1の出力端子21の負極)に接続するので、切替部52をオフとする。一方、フォトカプラ65がオフしている間は、制御部53は、第1の出力電圧を抵抗67,68で分圧した電圧によって、プルアップ抵抗69と抵抗66との接続点の電位が引き上げられるので、抵抗66を通してHレベルの制御信号を出力し切替部52をオンする。
【0039】
以上説明した本実施形態の電源装置1によれば、第1の出力端子21に接続されている負荷が軽負荷になると、切替部52がオンしてブリーダ抵抗51にも第1の出力電流が流れるので、第1の出力電流の変動が抑制され、第2の出力電圧の変動も抑制される。したがって、ブリーダ抵抗51、切替部52、制御部53、検出部54を用いた比較的簡単な回路構成で、互いに絶縁された第1および第2の複数の出力電圧の変動を抑制することが可能となる。要するに、この電源装置1は、第1の出力端子21側の軽負荷時に、ブリーダ抵抗51に電流を流すことによって、出力電圧のレギュレーションを確保することができる。
【0040】
しかも、この電源装置1は、第1の出力端子21に接続されている負荷が規定値以上になると、切替部52がオフしてブリーダ抵抗51への電力供給を停止し、負荷のみへ電力供給を行うので、ブリーダ抵抗51による電力消費も必要最小限に抑えられる。
【0041】
また、本実施形態では、制御部53は、フィードバックの掛かっていない第2の出力電圧を検出する検出部54の検出結果を用いて、第1の出力端子21に接続されている負荷が軽負荷であるか否かを判断している。つまり、制御部53は、第1の出力電圧に比較して電圧変動の大きい第2の出力電圧に応じて、ブリーダ抵抗51に第1の出力電流を流すので、第2の出力電圧がより安定するという利点がある。
【0042】
さらにまた、本実施形態では、検出部54は、第2の出力電圧が印加されるツェナダイオード61を具備し、制御部53は、ツェナダイオード61を通過する電流の有無を監視し、当該電流が流れていなければ検出部54の検出値が閾値以下であると判断している。そのため、制御部53は、演算増幅器を用いて検出部54の検出値を基準電圧と比較する構成に比べて、部品点数を少なくでき、また基準電圧も不要になるため回路構成が簡単になる。なお、ツェナダイオード61を用いた構成では、演算増幅器を用いた構成ほどの精度は期待できないものの、制御部53における検出値が閾値以下か否かの判断には、それほど高い精度は必要ないので、ツェナダイオード61を用いた構成で十分である。
【0043】
また、制御部53は、検出部54と切替部52との間にフォトカプラ65を有しているので、第1の出力端子21と第2の出力端子22とを互いに絶縁しながら、第2の出力電圧を第1の出力端子21に接続された切替部52の制御に反映させることができる。つまり、フォトカプラ65は、一次側と二次側とが電気的に絶縁された絶縁部を構成するので、制御部53は、第2の出力電圧に応じて切替部52を制御しながらも、第1の出力端子21と第2の出力端子22との絶縁状態を維持できる。
【0044】
ところで、本実施形態の電源装置1の他の例として、制御部53は、第1の出力端子21に接続されている負荷が軽負荷のときに、検出部54の検出値の大きさに応じて切替部52のオンデューティを変化させる構成であってもよい。
【0045】
すなわち、制御部53は、周期的にHレベル、Lレベルを繰り返す矩形波状の制御信号を切替部52に出力し切替部52をスイッチング動作させ、制御信号の1周期に占めるHレベルの期間の割合を変化させることによって切替部52のオンデューティを変化させる。ここでは、検出部54は第2の出力電圧を検出しているので、制御部53は、検出部54の検出値が大きくなるほどオンデューティが小さくなるように、切替部52のオンデューティを変化させる。
【0046】
これにより、電源装置1は、切替部52を完全にオン、オフするのではなくスイッチング動作させるので、ブリーダ抵抗51に流す電流の大きさを、固定ではなく、検出部54の検出値に応じて連続的に変化させることができる。したがって、たとえば第2の出力端子22からの出力電流が300mAに固定されている場合、図4に示すように第1の出力端子21からの負荷電流の変動に伴う第1の出力電圧および第2の出力電圧の変動を一層小さく抑えることができる。なお、図4では、横軸を第1の出力端子21からの負荷電流として、第2の出力電圧を(a)に示し、第1の出力電圧を(b)に示している。
【0047】
第2の出力電圧は、図4(a)に示すように、第1の出力端子21からの負荷電流が小さくなると、ある程度までは定格電圧(12V)から低下するものの、ブリーダ抵抗51に電流が流れ始めてからは略一定に維持される。図4(a)では、第2の出力電圧は、負荷電流の減少に伴い9〜10V程度までは低下するものの、それ以下には低下せず略一定に維持される。なお、図4(b)では、第1の出力端子21からの負荷電流がごく小さい(ここでは20mA以下程度)ときにも、第1の出力電圧は定格電圧(27V)に維持されている。
【0048】
さらに、このように検出部54の検出値の大きさに応じて切替部52のオンデューティを変化させる構成では、ブリーダ抵抗51に必要以上に大きな電流を流すことがないため、ブリーダ抵抗51での電力消費を小さく抑えられるという効果もある。
【0049】
なお、電源装置1は、少なくとも第1および第2の2つの出力端子21,22を有していればよく、2出力に限らず、3つ以上の出力端子を有する多出力の電源装置であってもよい。
【0050】
(実施形態2)
本実施形態の電源装置1は、第2の出力電圧を検出する検出部54(図1参照)に代えて、図5に示すように、第1の出力端子21の出力電流(第1の出力電流)を検出する電流検出部55を検出部として備えている点が、実施形態1の電源装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。なお、図5では、帰還制御部3の図示を省略している。
【0051】
電流検出部55は、電力変換部2と第1の出力端子21との間に挿入されている。制御部53は、電流検出部55の検出値を評価値として第1の出力端子21が軽負荷か否かを判断しており、電流検出部55で検出される第1の出力電流が所定の閾値以下になることをもって、軽負荷であると判断する。ここで、第1の出力電流の閾値は、軽負荷か否かを分ける負荷電流の規定値と同値とする。制御部53は、軽負荷であると判断すると、Hレベルの制御信号を出力することによって切替部52をオンしてブリーダ抵抗51に第1の出力電流を流すので、第1の出力電流の変動が抑制され、第2の出力電圧の変動も抑制される。
【0052】
本実施形態の電源装置1において、たとえば第2の出力端子22からの出力電流が300mAに固定されている場合、第1の出力端子21からの負荷電流の大きさに応じて、第2の出力電圧は図6に示すように変化する。つまり、図6に示すように、第1の出力端子21から負荷に流れる負荷電流が大きく減少しても、第2の出力電圧は大きく低下することなく、内部電源電圧として必要な電圧(たとえば8V)を確保できる。なお、図6では、横軸が第1の出力端子21からの負荷電流、縦軸が第2の出力電圧を表している。
【0053】
以上説明した本実施形態の電源装置1によれば、制御部53は、第1の出力電流を検出する電流検出部55の検出結果を用いて、第1の出力端子21が軽負荷か否かを判断している。したがって、制御部53は、第1の出力端子21に接続されている負荷が規定値より小さくなる軽負荷時には、確実に切替部52をオンしてブリーダ抵抗51にも第1の出力電流を流すことができ、第2の出力電圧を安定させることができるという利点がある。さらに、制御部53は、電流検出部55と切替部52との間にフォトカプラなどの絶縁部を有さなくても、第1の出力端子21と第2の出力端子22との絶縁状態を維持できる。
【0054】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0055】
(実施形態3)
本実施形態の電源装置1は、第2の出力電圧を検出する検出部54(図1参照)に代えて、図7に示すように、第1の出力端子21の出力電圧(第1の出力電圧)を検出する電圧検出部56を検出部として備えている点が、実施形態1の電源装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。なお、図7では、帰還制御部3の図示を省略している。
【0056】
電圧検出部56は、一対の第1の出力端子21間に接続されている。制御部53は、電圧検出部56の検出値を評価値として第1の出力端子21が軽負荷か否かを判断しており、電圧検出部56で検出される第1の出力電圧が所定の閾値以上になることをもって、軽負荷であると判断する。制御部53は、軽負荷であると判断すると、Hレベルの制御信号を出力することによって切替部52をオンしてブリーダ抵抗51に第1の出力電流を流すので、第1の出力電流の変動が抑制され、第2の出力電圧の変動も抑制される。
【0057】
以上説明した本実施形態の電源装置1によれば、制御部53は、第1の出力電圧を検出する電圧検出部56の検出結果を用いて、第1の出力端子21が軽負荷か否かを判断している。したがって、制御部53は、電圧検出部56と切替部52との間にフォトカプラなどの絶縁部を有さなくても、第1の出力端子21と第2の出力端子22との絶縁状態を維持できる。
【0058】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【符号の説明】
【0059】
1 電源装置
2 電力変換部
3 帰還制御部
21 第1の出力端子
22 第2の出力端子
51 ブリーダ抵抗
52 切替部
53 制御部
54 検出部
55 電流検出部(検出部)
56 電圧検出部(検出部)
61 ツェナダイオード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに絶縁された第1の出力端子と第2の出力端子との各々に個別に出力電圧を発生し、前記第2の出力端子の出力電圧が前記第1の出力端子の出力電圧に関連して変化する電力変換部と、前記第1の出力端子の出力電圧に応じて前記第1の出力端子の出力電圧を調節するように前記電力変換部をフィードバック制御する帰還制御部と、
前記第1の出力端子の出力電圧が印加されるブリーダ抵抗および切替部の直列回路と、前記第1の出力端子に接続されている負荷の大きさに相当する評価値を所定の閾値と比較し、前記負荷が規定値よりも小さい軽負荷と判断した場合に前記ブリーダ抵抗に電流が流れるように前記切替部を制御する制御部とを備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第2の出力端子の出力電圧を検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部の検出値を前記評価値として当該評価値が前記閾値以下になると前記軽負荷と判断することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1の出力端子の出力電流を検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部の検出値を前記評価値として当該評価値が前記閾値以下になると前記軽負荷と判断することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第1の出力端子の出力電圧を検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部の検出値を前記評価値として当該評価値が前記閾値以上になると前記軽負荷と判断することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
前記検出部は前記第2の出力端子の出力電圧に対応する電圧が印加されるツェナダイオードを具備し、
前記制御部は、前記ツェナダイオードを通過する電流の有無を監視し、当該電流が流れていなければ前記検出部の検出値が前記閾値以下であると判断することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項6】
前記切替部は前記制御部によってオンオフ制御されるスイッチング素子からなり、
前記制御部は、前記軽負荷と判断したときに、前記検出部の検出値の大きさに応じて前記スイッチング素子のオンデューティを変化させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5696(P2013−5696A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137914(P2011−137914)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】