説明

電源ICパッケージ

【課題】高いインダクタンス値が効果的に得られる微細磁性粉末をコイル間に充填することにより、薄型化したインダクタなどの平面磁気素子を用いた電源ICパッケージを実現する。
【解決手段】磁性粉末7と樹脂との混合物から成る第1の磁性層3と第2の磁性層5との間に平面コイル4を有する平面磁気素子1を用いた電源ICパッケージにおいて、上記平面コイル4のコイル配線4c、4c同士の間隔をWとする一方、上記磁性粉末7の最大径をLとしたときに、関係式W>2Lを満たすと共に、長さWの線分中に含まれる磁性粉末7の個数が3個以上であり、上記磁性粉末7の平均粒径が0.5μm以上であり、上記磁性層中に含有される磁性粉末7と上記平面コイル4とが、距離1μm以下に近接しているか、または接触している一方、上平面磁気素子1の厚さが0.4mm以下である平面磁気素子を用いたことを特徴とする電源ICパッケージである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型インダクタとして使用される平面磁気素子(磁気受動素子)を用いた電源ICパッケージに係り、特に平面コイルに発生する磁界に対する透磁率を高めインダクタンスを向上させた電源ICパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の小型化・軽量化が進展し、これに伴って各種デバイスが薄膜プロセスを用いて作製される傾向にある。この流れの中でインダクタ(リアクター)、トランス、磁気ヘッドなどの磁気素子も従来のバルク磁性材料に巻線を施した構造に代えて、スパイラル形状やつづら折れ(ミランダ型)パターンを有する平面コイルを磁性体で被覆した外鉄型の構造を有する平面磁気素子(平面インダクタ)が提案され、デバイスの小型薄型化が試行されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
一方、小型電子機器用のDC−DCコンバータの例に見られるように、機器の小型軽量化を実現するためにMHz以上の高い動作周波数で動作させようという技術的要求が高まっている。このような電子機器においては高周波用インダクタが一つのキーコンポーネントとなっており、以下のような特性が要求されている。
【0004】
(1)小型薄型であること。
【0005】
(2)周波数特性が良好であること。
【0006】
(3)適当な電力容量を有すること。
【0007】
一般的に小型インダクタ素子としては、バルクフェライトにコイルを巻回したものや塗布型のフェライト材料と塗布型の導体材料とを一体に焼成したものが実用化されている(例えば、特許文献1参照)。前者は、バルクフェライトコアを小型・薄型化するに伴って表面劣化層が総体積に占める割合が大きくなり、透磁率を始めとした特性が劣化し、低損失で高インダクタンスのインダクタ素子が実現できなくなる。また、後者はコイルをスパイラル型やトロイダル型を形成する様にパターニングして塗布し、これらのコイルによって軟磁性体が励磁される様にフェライトを塗布し、最後にこれらを焼結して作製されている。例えばトロイダル型のインダクタではフェライトと導体とを交互にパターン化して塗布する工程を経て製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−299120号公報
【特許文献2】特開平5−275247号公報
【特許文献3】特開2002−353030号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】IEEE Trans.Magn.MAG−20,No.5,pp.1804−1806. しかしながら、上記従来のインダクタに用いられる軟磁性材料は概して透磁率が低いために、高いインダクタンス値が得られにくい欠点があった。一方、この欠点を補うために多量の磁性材料を用いるとインダクタなどの磁気素子の薄型化には限界があり、部品の高密度実装化による機器の小型化が困難になるという問題点を生じていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のように透磁率が低いために多量の磁性材量を使用する必要があったという従来の状況に鑑み、高いインダクタンス値が効果的に得られる配置構造を採用することにより、薄型化したインダクタなどの平面磁気素子を用いた電源ICパッケージを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明者らは特に高いインダクタンス値が得られるような磁性粉末の寸法形状及び配置構造を鋭意研究し、実験によりそれらのファクターが磁気素子特性に及ぼす影響を確認した。その結果、コイル配線同士の間隔と、磁性粉末の最大径とを所定の関係となるように調整してコイル配線間に充填したり、または平面コイルとその上下に形成される磁性層との間に絶縁層を形成せず、磁性層に含有される磁性粉末が直接平面コイルに接触するか、または距離1μm以下に近接するように形成して薄型インダクタを構成したときに、コイルに発生する磁界に対する透磁率を効果的に向上でき、インダクタンス値が向上した薄型インダクタが初めて実現するという知見が得られた。特に、平面コイルとその上下に形成される磁性層との間に絶縁層を配設しない場合においては、上下の磁性層を貫く磁束が多くなり、インダクタンス値を高くできることが判明した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
すなわち、本発明に係る電源ICパッケージは、磁性粉末と樹脂との混合物から成る第1の磁性層と第2の磁性層との間に平面コイルを有する平面磁気素子を用いた電源ICパッケージにおいて、上記平面コイルのコイル配線同士の間隔をWとする一方、上記磁性粉末の最大径をLとしたときに、関係式W>2Lを満たすと共に、長さWの線分中に含まれる磁性粉末の個数が3個以上であり、上記磁性粉末の平均粒径が0.5μm以上であり、上記磁性層中に含有される磁性粉末と上記平面コイルとが、距離1μm以下に近接しているか、または接触している一方、上平面磁気素子の厚さが0.4mm以下である平面磁気素子を用いたことを特徴とする。
【0013】
上記平面磁気素子において、平面コイルのコイル配線同士の間隔Wとは、図1〜図5に示すように、あるコイル配線から対向するコイル配線へ直線を引いたときの距離であり、隣接するコイル配線間の隙間の幅である。なお、コイル配線がL字型に屈曲している部分は、上記間隔Wの測定対象にはしない。
【0014】
また、コイル配線同士の隙間に充填された磁性粉末の最大径Lは、下記のように測定される。すなわち、図7に示すように平面コイル4のコイル配線4c、4c間に形成された磁性層の拡大写真を撮影し、観察される個々の磁性粉末7の中で最も大きな径を測定する(図6参照)。この測定作業を上記表面の任意の3箇所で行い、その測定値で最も大きな値を磁性粉末の最大径Lとする。
【0015】
なお、磁性粉末をガス水アトマイズ法等によって調製した段階においては、調製した磁性粉末を篩いに掛けた後の最大径Lは、用いた篩いの目開き寸法に相当する。
【0016】
上記平面磁気素子において、上記磁性粉末の最大径Lがコイル配線同士の間隔W以上(W≦L)である場合には、磁性粉末がコイル配線間に充填されず、また充填されても配線間隙の長手方向に磁性粉末の長軸が配置されるために、コイル間に充填された磁性粉末がコイルによって形成される磁場によって影響を受け易くなり平面コイルのインダクタンス値が低下し易くなる。したがって磁性粉末の最大径Lは、コイル配線同士の間隔Wより小さい範囲とされる。上記最大径の範囲内において平面磁気素子のインダクタンスを高くすることが可能になる。
【0017】
上記磁性粉末および各磁性層を構成する磁性材料としては、特に限定されるものではなく、純鉄、センダスト(Fe−5.5Al−10Si)の他に、パーマロイ(Fe−78.5Ni)等のFe−Ni系合金、Co系アモルファス合金、Fe系アモルファス合金、珪素鋼(Fe−5.5Si)等の金属軟磁性材料やフェライトなどの酸化物が使用できる。アモルファス合金としては、一般式(M1−aM’100−b(但し、MはFe,Coから選択された少なくとも1種の元素であり、M’は、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、TaおよびWから選択された少なくとも1種の元素であり、XはB、Si、CおよびPから選択された少なくとも1種の元素を示し、aおよびbはそれぞれ0≦a≦0.15、10at%≦b≦35at%を満足する)で表される組成を有するものが好ましい。また、コスト面を考慮するとセンダストやFe系アモルファス合金のようにFeベースの材料が好ましい。
【0018】
前記平面コイルは、図1に示すような角型スパイラル形状ないしは図4に示すようなつづれ折り状に形成したミアンダー型コイルまたは図5に示すような丸型スパイラル形状に展開する等のように、隣接する導体コイルが並走する形状の平面コイルであれば同様のインダクタンス増大効果が得られる。上記平面コイルの厚さ(高さ)は10〜200μm程度に調整される。
【0019】
また上記平面磁気素子において、前記各磁性層中に含有される磁性粉末と上記平面コイルとが接触しているか、または距離1μm以下に近接していることが好ましい。すなわち、磁性層に含有される磁性粉末が直接平面コイルに接触するか、または距離1μm以下に近接させることにより、コイルに発生する磁界に対する透磁率を効果的に向上でき、インダクタンス値が向上した薄型インダクタが実現する。
【0020】
また上記平面磁気素子において、前記平面コイルのコイル配線同士の間隔をWとする一方、上記磁性粉末の最大径をLとしたときに、関係式W>2Lを満たすことが好ましい。この磁性粉末の最大径Lが関係式W>2Lを満たすように、磁性粉末をより微細に調製することにより、磁性粉末がコイル配線間に効果的に充填される結果、コイルに発生する磁界に対する透磁率を効果的に向上でき、コイルのインダクタンス値をより向上させることができる。
【0021】
さらに上記平面磁気素子において、前記磁性粉末の平均粒径が80μm以下であることが好ましい。磁性粉末の平均粒径が80μmを超えるように粗大になると、コイル配線間の空隙部に磁性粉末が十分に充填しにくくなると共に、コイル配線間の磁性体の粉末充填率が低下しインダクタンスの向上は期待できない。そのため、磁性粉末の平均粒径は80μm以下とされるが、50μm以下、さらには35μm以下がさらに望ましい。しかしながら、この平均粒径Dが0.5μm未満では磁性粉末が過度に微細であり取扱いが難しい。具体的には、表面酸化層や表面劣化層を生じて磁気特性劣化や、熱振動による磁気特性劣化を発生し易い。また、ペーストとしたときに粉末が均一に混合されにくい等の難点がある。
【0022】
さらに上記平面磁気素子において、前記平面コイルのコイル配線同士の隙間への前記磁性粉末の充填率が30vol%以上であることが好ましい。このコイル配線同士の隙間への磁性粉末の充填率が30vol%未満と過少になると、平面磁気素子のインダクタンスが低下するため好ましくない。したがって、上記磁性粉末充填率は30vol%以上が好ましいが、さらに50vol%以上が好ましい。
【0023】
また上記平面磁気素子において、前記平面コイルのコイル配線同士の間隔をWとしたとき、長さWの線分中に含まれる磁性粉末の個数が3個以上であることが好ましい。この磁性粉末の個数は図7に示すように測定される。すなわち、コイル配線4c、4c間の間隙部の幅Wに相当する長さを有する線分中に一部でも含まれる磁性粉末7の数が計数される。図7においては線分に含まれる磁性粉末7の個数は5である。コイル配線間隔との関係で上記磁性粉末の個数が2個以下である場合には、磁性層の粉末充填率が低いために十分な磁気特性が得られない。したがって、上記コイル配線間に直線上に配置される磁性粉末の個数は3以上とされるが、5個以上がさらに好ましい。
【0024】
さらに上記平面磁気素子において、前記磁性粉末(粒子)は、アモルファス合金、平均結晶粒径が2μm以下であるFe基微細結晶合金、フェライトの少なくとも1種の磁性材料から成ることが好ましい。上記磁性材料から成る磁性粒子をコイル間隙に充填することにより、透磁率が高まり平面磁気素子のインダクタンス値を高めることができる。このとき、第1磁性層または第2磁性層に用いた磁性粉末を用いると製造性が向上する。
【0025】
また上記平面磁気素子において、前記平面磁気素子の全厚さが0.4mm以下であることが好ましい。本発明では平面磁気素子とICチップとを同一パッケージ内に収容し、より小型の回路部品を実現することを目的としておリ、半導体チップと同じ高さ未満でないとワンパッケージ化するメリットがなくなる。このため、平面磁気素子の厚さは高くても半導体素子ペレットの一般的な高さ0.625mm未満、望ましくは0.4mm以下が求められる。特に平面磁気素子の厚さを0.4mm程度以下にすることにより、後述の図8〜図10に示すような積層タイプのワンパッケージ化が可能になる。上記平面磁気素子を構成する第1の磁性層と第2の磁性層の厚さは、それぞれ50〜200μm程度に設定すると良い。
【0026】
さらに上記平面磁気素子において、前記平面コイルは、金属粉末の低温焼成体から成ることが好ましい。金属粉末としては、Cu,Ag,Au、Pt、Ni,Sn,その他の導電性粉末が用いられ、特に導電性および経済性の観点からCu、Agが好ましい。平面コイルは、上記金属粉末と樹脂と溶媒との混合物を所定パターンに塗布した後に自然乾燥したり、溶媒気化温度ないしはそれ以上の温度に加熱したり、還元等の反応含む加熱操作を実施したりしてコイルとして固化せしめて形成される。
【0027】
上記平面コイルは、金属粉末(導電性粉末)と樹脂バインダとの混合物を乾燥や加熱により固化したもの、スパッタやメッキ等の成膜技術により成膜されたもの、などが好適に使用できる。金属粉末と樹脂バインダの混合物を用いたものの方が安価に作製できるので好ましい。また、導電性金属箔をエッチングにより形成、または型により所定形状に打ち抜いたものを使用しても良い。
【0028】
平面コイル配線の幅、高さ(厚さ)、間隔(隙間)は、コイルの特性に影響を及ぼす要因であり、配線密度を高めて配線の幅及び厚さを可及的に大きく設定し、かつ配線の間隔は相互の絶縁性を保持する範囲で可及的に小さくすることが望ましい。具体的には、コイル配線の高さ(厚さ)は、20μm以上、好ましくは40μm以上が好ましい。薄いとコイル抵抗が大きくなり高い性能指数(Q値:Quality factor)が得られない。要求される性能に応じて可及的に厚くすることが好ましい。また前記のように、コイル配線の間隔は狭いほど良い。配線間隔が広いとデバイスサイズが増加し、またコイル長が長くなるためにコイル直流抵抗が大きくなり、性能指数(Q値)が低下する。したがって、配線間隔Wは200μm以下が好適である。また、配線間隔Wの最小値は10μm以上が好ましい。配線間隔Wが10μm未満では均一な加工が困難になり配線のショートなどの歩留まりが低下するおそれがある。
【0029】
また上記平面磁気素子において、前記磁性層は樹脂バインダを20質量%以下混合した磁性混合物であることが好ましい。なお、上記樹脂バインダとしては、セルロース系、クロロプレインゴム系、二トリルゴム系、ポリサルファイド系、ブタジエンゴム系、SBR系、シリコーンゴム系等のエラストマー、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、塩化ビニル系、ポリスチレン系、ポリイミド系等の熱可塑性樹脂等の有機物、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂の有機物、SiO等の無機物等を用いることができる。
【0030】
上記のような平面磁気素子は、例えば次のような工程を経て製造される。すなわち,所定の最大径Lおよび平均粒径Dを有する磁性粉末にビヒクルを混合してペーストを調製し、このペーストを用いて基体上に所定寸法で印刷し第1磁性層を調製する。
【0031】
その第1磁性層上面に、例えばAgペーストやCuペースト等の導電性金属ペーストを使用して角型スパイラル状またはミアンダー状もしくは丸型スパイラル状にパターン化して平面コイルを印刷する。平面コイルはミアンダコイルのように隣接する導体コイル配線が並走する平面コイルであれば同様の効果を示す。なお、上記平面コイルは上記金属ペーストを印刷する方法以外に、めっき法、導体金属箔の打抜き法、導体金属箔のエッチング法、スパッタ法、蒸着法などの気相成長法など、低い体積抵抗率の平面コイルを実現できるものであれば特に限定されるものではない。
【0032】
そして上記平面コイル形成後に、この平面コイルを被覆するように所定のパターン及び厚さで第2磁性層を印刷することにより、上記平面コイルが第1及び第2の磁性層によって被覆された平面磁気素子としての薄型インダクタが形成される。このとき、第2磁性層の磁性パターンには、コイル端子部に相当する部位に開口を設ける。
【0033】
上記平面コイルの上下面に磁性層を形成する方法としては、磁性体の薄板を絶縁性接着剤で接着する方法、磁性粉末を樹脂中に分散した磁性体ペーストを塗布乾燥する方法,上記磁性体のめっきを施す方法などがあり、これらを組み合わせても良い。
【0034】
本発明に係る電源ICパッケージは、上記のように調製した平面磁気素子と、制御IC,電界効果トランジスタ(FET)等の半導体チップとを同一基板または同一パッケージ上の平面方向または高さ方向に実装して形成される。特に上記電源ICパッケージは、同一基板上に平面磁気素子とICチップとを一体に実装したIC一体型であることが、デバイスの小型化に有効である。また、複数の半導体チップと能動素子とを一体化しワンパッケージ化することも可能である。例えば、DC−DCコンバータ等の電源機能を組み込んだパッケージとしても良いし、外付けでキャパシタ等を配置することにより、同様の電源機能を持たせることができる。
【発明の効果】
【0035】
上記構成に係る平面磁気素子によれば、磁性粉末の最大径Lがコイル配線同士の間隔Wより小さい(W>L)ために、磁性粉末がコイル配線間に効果的に充填され、またコイル間に充填された磁性粉末が可及的に等方形状であるために、コイルによって形成される磁場方向の影響を受けにくくなり平面コイルのインダクタンス値が上昇する。またコイル配線同士の間隔Wより小さい最大径Lを有する磁性粉末が平面コイルの配線間の隙間に充填されて形成されているために、平面コイルに発生する磁界に対する透磁率を向上させることができ、インダクタンスが向上した薄型のインダクタとしての磁気素子が実現する。
【0036】
さらに、上記のように調製した平面磁気素子と、制御IC,電界効果トランジスタ(FET)等の半導体チップとを同一基板または同一パッケージ上の平面方向または高さ方向に実装してワンパッケージ化することも可能であり、機能素子の高密度実装も可能となり、半導体デバイスの小型化および高機能化に顕著な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】コイル形状として角型スパイラル形状を採用した場合における、本発明の一実施例に係る平面磁気素子の平面図。
【図2】図1または図5におけるII−II矢視断面図。
【図3】図2におけるIII部の部分拡大断面図。
【図4】コイル形状としてミアンダー形状を採用した場合における、本発明の一実施例に係る平面磁気素子の平面図。
【図5】コイル形状として丸型スパイラル形状を採用した場合における、本発明の一実施例に係る平面磁気素子の平面図。
【図6】図3に示す磁性粒子の寸法測定方法を示す断面図。
【図7】図3に示すコイル配線間の幅Wに充填された磁性粉末の個数を測定する方法を示す断面図。
【図8】本発明に係る平面磁気素子と半導体チップとを平面上に配置してパッケージングしたICパッケージの構成例を示す断面図。
【図9】本発明に係る平面磁気素子と半導体チップとを積層配置してパッケージングしたICパッケージの構成例を示す断面図。
【図10】本発明に係る平面磁気素子と半導体チップとをバンプ方式にて積層してパッケージングしたICパッケージの構成例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に本発明の実施形態について添付図面および以下の実施例を参照して、より具体的に説明する。
【0039】
[実施例1〜5]
表1に示す組成を有する各磁性材料粉末を篩い分けして表1に示す最大粒径L(最大径)および平均粒径Dを有する磁性粉末を調製した。なお、表1に示す最大粒径は篩いの目開き値とした。各磁性粉末に対してエチルセルロース溶液を16質量%の割合で混合して磁性粉末ペーストをそれぞれ調製した。
【0040】
次に図3に示すように、基体2としての厚さ35μmのポリイミドシートに上記磁性粉末ペーストをそれぞれ使用して厚さ150μmになるように印刷後、温度150℃で60min乾燥することにより第1の磁性層3を作製した。
【0041】
さらに、その第1磁性層3の上面に、図1に示すようにコイル配線の幅Bが150μmであり、コイル配線同士の間隔Wが100μmである、つまりライン/スペースが150μm/100μmである15ターンの平面コイル4としてのスパイラルコイルを、平均粒径1μmのAgペーストを用いて厚さ20μmになるように印刷後、温度150℃で60min間に亘って低温焼成して平面コイル4を作製した。ついで、その平面コイル4上面に、第1磁性層3と同様な方法で厚さ150μmの第2磁性層5を印刷して実施例1〜5に係る平面磁気素子としての薄型インダクタ1をそれぞれ調製した。なお、各実施例に係るコイルにおいてはコイル配線同士の間隔Wの線分中に含まれる磁性粉末の個数を3個以上とした。
【0042】
[比較例1〜5]
実施例1−5において作製した第1の磁性層3の上面に、絶縁層としてのポリイミド樹脂を厚さ10μmになるようにバーコーターにて塗布した。次に、その絶縁層上面に実施例1−5と同様な平面コイル4を作製した。さらに、その平面コイル4の上面に絶縁層としてのポリイミド樹脂を厚さが10μmになるように塗布した。ついで、その絶縁層の上面に実施例1−5と同様な第2の磁性層5を印刷することにより、比較例1−5に係る平面磁気素子としての薄型インダクタをそれぞれ調製した。
【0043】
上記のように調製された各実施例および比較例に係る平面磁気素子としての薄型インダクタの厚さH,インダクタンス値および性能指数(Q値)を測定した結果を表1に示す。
【0044】
ここで表1においてインダクタ厚さHとは、図3に示すように基体2がある場合は基体2の下端から平面磁気素子1の第2磁性層5上端までの距離を示す一方、基体2がない場合は平面磁気素子1の第1磁性層3下端から第2磁性層5上端までの距離をいう。
【0045】
なお、薄型インダクタの厚さHはミツトヨ製マイクロメータで測定した。また各平面磁気素子のインダクタンスおよび性能指数(Q値)は、横河ヒューレットパッカード製インピーダンスアナライザ4192Aを使用し、その励磁電圧を0.5Vとし、測定周波数を10MHzとした条件で測定した。評価測定結果を下記表1に示す。
【表1】

【0046】
上記表1に示す結果から明らかなように、コイル配線同士の間隔Wより小さい最大径Lを有する磁性粉末が平面コイル4の配線間の隙間に充填されて形成されている各実施例に係る平面磁気素子1によれば、平面コイル4に発生する磁界に対する透磁率を向上させることができた。また、磁性層3、5と平面コイル4との間に絶縁層が形成されておらず、磁性粉末が平面コイルと十分近接しているために、インダクタンスが十分に向上した薄型のインダクタとしての平面磁気素子1が実現した。
【0047】
一方、磁性層3,5と平面コイル4との間に絶縁層を形成した各比較例に係る平面磁気素子では、上下の磁性層を貫く磁束の減少および磁性粉末7がコイル配線間の隙間に十分に充填されないために、インダクタンス値が実施例と比較して大幅に低下することが再確認された。
【0048】
[実施例6〜10]
表2に示す組成を有する各磁性材料粉末を篩い分けして表2に示す最大粒径L(最大径)および平均粒径Dを有する磁性粉末を調製した。なお、表2に示す最大粒径は篩いの目開き値とした。各磁性粉末に対してエポキシ樹脂溶液を11質量%の割合で混合して磁性粉末ペーストをそれぞれ調製した。
【0049】
次に図3に示すように、基体2としての厚さ35μmのポリイミドシートに上記磁性粉末ペーストをそれぞれ使用して厚さ100μmになるように印刷後、温度150℃で30min乾燥することにより第1の磁性層3を作製した。
【0050】
さらに、その第1磁性層3の上面に、図1に示すようにコイル配線の幅Bが100μmであり、コイル配線同士の間隔Wが100μmである、つまりライン/スペースが100μm/100μmである15ターンの平面コイル4としてのスパイラルコイルを、平均粒径0.5μmのAgペーストを用いて厚さ25μmになるように印刷後、温度200℃で30分間に亘って低温焼成して平面コイル4を作製した。ついで、その平面コイル4上面に、第1磁性層3と同様な方法で厚さ100μmの第2磁性層5を印刷して実施例6〜10に係る平面磁気素子としての薄型インダクタ1をそれぞれ調製した。なお、各実施例に係るコイルにおいてはコイル配線同士の間隔Wの線分中に含まれる磁性粉末の個数を3個以上とした。
【0051】
[比較例6〜10]
実施例6〜10において使用した最大粒径32μmの磁性粉末に代えて、最大粒径が150μmの粗大な磁性粉末を使用した点以外は実施例6〜10と同様に処理することにより、比較例6〜10に係る平面磁気素子としての薄型インダクタをそれぞれ調製した。
【0052】
上記のように調製された各実施例および比較例に係る平面磁気素子としての薄型インダクタの厚さH,インダクタンス値および性能指数(Q値)を実施例1〜5と同様にして測定した結果を下記表2に示す。
【表2】

【0053】
上記表2に示す結果から明らかなように、平面コイル4の線間距離Wよりも大きな磁性粉末7を用いて薄型インダクタを作製した比較例6〜10に係る薄型インダクタにおいては、実施例6〜10と比較してインダクタンス値が低下していることが判明した。
【0054】
[実施例11〜15]
表3に示す組成を有する各磁性材料粉末を篩い分けして表3に示す最大粒径L(最大径)および平均粒径Dを有する磁性粉末を調製した。なお、表3に示す最大粒径は篩いの目開き値とした。各磁性粉末に対してポリイミド樹脂溶液を12質量%の割合で混合して磁性粉末ペーストをそれぞれ調製した。
【0055】
次に図3に示すように、基体2としての厚さ35μmのポリイミドシートに上記磁性粉末ペーストをそれぞれ使用して厚さ150μmになるように印刷後、温度150℃で30分間乾燥することにより第1の磁性層3を作製した。
【0056】
さらに、その第1磁性層3の上面に、図1に示すようにコイル配線の幅Bが200μmであり、コイル配線同士の間隔Wが200μmである、つまりライン/スペースが200μm/200μmである15ターンの平面コイル4としてのスパイラルコイルを、低抵抗Agペーストを用いて厚さ10μmになるように印刷後、温度200℃で30分間に亘って低温焼成して平面コイル4を作製した。ついで、その平面コイル4上面に、第1磁性層3と同様な方法で厚さ200μmの第2磁性層5を印刷して実施例11〜15に係る平面磁気素子としての薄型インダクタ1をそれぞれ調製した。なお、各実施例に係るコイルにおいてはコイル配線同士の間隔Wの線分中に含まれる磁性粉末の個数を3個以上とした。
【0057】
[実施例16〜20]
実施例11〜15において、磁性粉末の結合剤として使用したポリイミド樹脂溶液に代えてシリコーン樹脂を12質量%の割合で添加した点以外は、実施例11〜15と同様に第1磁性層、平面コイルおよび第2磁性層の形成乾燥、焼成した後に、基体として使用したポリイミドシートを剥離させることにより、実施例16〜20に係る平面磁気素子としての薄型インダクタ1をそれぞれ調製した。なお、各実施例に係るコイルにおいてはコイル配線同士の間隔Wの線分中に含まれる磁性粉末の個数を3個以上とした。
【0058】
上記のように調製された各実施例および比較例に係る平面磁気素子としての薄型インダクタの厚さH,インダクタンス値および性能指数(Q値)を実施例1〜5と同様にして測定した結果を下記表3に示す。
【表3】

【0059】
上記表3に示す結果から明らかなように、磁性粉末と混合するバインダ樹脂の種類および基体としてのポリイミドシートの有無に関係なく、インダクタンス性能が安定した薄型インダクタが得られることが判明した。
【0060】
[実施例21]
表4に示す組成を有する磁性粉末を篩い分けして表4に示す最大粒径L(最大径)および平均粒径Dを有する磁性粉末を調製した。なお、表4に示す最大粒径は篩いの目開き値とした。磁性粉末に対してエチルセルロース溶液を16質量%の割合で混合して磁性粉末ペーストをそれぞれ調製した。
【0061】
次に図3に示すように、基体2としての厚さ20μmのPENシートに上記磁性粉末ペーストを使用して厚さ150μmになるように印刷後、温度150℃で60分間乾燥することにより第1の磁性層3を作製した。
【0062】
さらに、その第1磁性層3の上面に、平均粒径1μmのAgペーストを用いて厚さ30μmになるように印刷後、温度150℃で60min間に亘って低温焼成して平面コイル4を作製した。この平面コイル4は、図1および図3に示すようなスパイラル型平面コイル4であり、コイル配線の幅Bが200μmであり、コイル配線同士の間隔Wが200μmである、つまりライン/スペースが200μm/200μmである15ターンの平面コイル4としてのスパイラルコイルを配置した。
【0063】
次に、そのスパイラルコイル4の上面に第1磁性層3と同様な方法で厚さ150μmの第2の磁性層5を塗布形成することにより実施例21に係る平面磁気素子としての薄型インダクタ1を調製した。なお、各実施例に係るコイルにおいてはコイル配線同士の間隔Wの線分中に含まれる磁性粉末の個数を3個以上とした。
【0064】
[実施例22]
実施例21において銅箔を打ち抜いて作製されたスパイラル型平面コイル4に代えてエッチング法によって作製したスパイラルコイルを使用した点以外は実施例21と同様に処理して実施例22に係る平面磁気素子としての薄型インダクタ1を調製した。
【0065】
[実施例23〜26]
表4に示す材料仕様および寸法仕様でスパイラルコイルをエッチング処理により形成することにより図1に示すような実施例23〜24に係る薄型インダクタ1をそれぞれ調製した。
【0066】
[実施例27〜28]
表4に示す材料仕様および寸法仕様で製造し、スパイラルコイルをミアンダー型コイルに変更した点以外は実施例25〜26と同様に処理して図4に示すような実施例27〜28に係る薄型インダクタ1aをそれぞれ調製した。
【0067】
[比較例11〜12]
表4に示す材料仕様および寸法仕様で製造し、エッチング法によりスパイラルコイルを製造した点以外は比較例1と同様に処理することにより、比較例11〜12に係る平面磁気素子としての薄型インダクタをそれぞれ調製した。
【0068】
上記のように調製された各実施例および比較例に係る平面磁気素子としての薄型インダクタの厚さH,インダクタンス値および性能指数(Q値)を実施例1〜5と同様にして測定した結果を下記表4に示す。
【表4】

【0069】
上記表4に示す結果から明らかなように、実施例21と実施例23、または実施例22と実施例24とを比較すると、Agペーストを焼成して製造したスパイラルコイルを用いた実施例21、22に係る薄型インダクタよりも、エッチング法で平面コイルを調製した実施例23、24に係る薄型インダクタの方が、特性が改善されることが判明した。これは、実施例23、24において、エッチングで調製した平面コイルで隣り合うコイルの間隙部が上方に向かって開いているために、磁性粒子が間隙部に入り易く配線間に存在する磁性粒子数が増加してインダクタンスが大きくなるためである。
【0070】
また、Ag製平面コイルに比較してCu箔製平面コイルでは、コイル抵抗値が相対的に減少するので性能指数(Q値)が増加する。
【0071】
さらに、実施例21〜26のスパイラルコイルを用いた薄型インダクタと、実施例27〜28および比較例13〜14のミアンダー型コイルを用いた薄型インダクタとを比較すると、ミアンダー型コイルではインダクタンスが稼げないために、特性が低下することも判明した。ただし、ミアンダー型コイルでは、接続端子を基材の外周縁に配置することができるので、実装性はスパイラル型コイルを用いたものより改善される。また、共にミアンダー型コイルを用いた実施例27と比較例13とを比較しても、本実施例27の方が、特性がより向上することが判明した。
【0072】
[実施例29〜32]
コイル配線同士の間隔をWとしたときに、長さWの線分中に含有される磁性粒子数を表5に示すように変更した点以外は、実施例11と同様に処理して実施例11と同様に処理して図1に示すような実施例29〜32に係る薄型インダクタをそれぞれ調製した。
【0073】
上記のように調製された各実施例に係る平面磁気素子としての薄型インダクタの厚さH,インダクタンス値および性能指数(Q値)を実施例1〜5と同様にして測定した結果を下記表5に示す。
【表5】

【0074】
上記表5に示す結果から明らかなように、長さWの線分中に含有される磁性粒子数が3個以上、さらに5個以上であればインダクタンスおよび性能指数は向上することが判明した。なお、実施例29〜32においては、最大粒径や平均粒径が等しい磁性粉末を用いているが、磁性粉末は扁平形状や球状や桿状などの種々の形状を有するものがあり、粒子の短径に対する長径の比(アスペクト比)の比が若干異なるために、平均粒径が同じであっても配線間隙W中に存在する磁性粒子数は変化するものである。
【0075】
以上の実施例においては平面コイルとして図1に示すような角型スパイラル形状コイルまたは図4に示すようなミアンダー形状コイルを設けた平面磁気素子を例にとって説明したが、本発明は上記実施例に限らず、たとえば図5に示すような、端子6を設けた丸型スパイラル形状の平面コイル4bを磁性層3に形成した場合においても同様な効果が得られる。
【0076】
各実施例に係る平面磁気素子1としての薄型インダクタ1,1aの厚さHは0.26〜0.39mmとなり、制御ICや電界効果トランジスタ(FET)等の半導体チップ8の厚さ以下となる。したがって、図8〜図10に示す様にスイッチングIC等の半導体チップ8と平面磁気素子1、1aとを一体化しパッケージングすることにより、インダクタ内蔵の薄型ICパッケージ10,10a、10bが実現する。
【0077】
図8に示すICパッケージ10は、パッケージ基板上の平面方向に半導体チップ8と平面磁気素子1,1aとを配置し、それぞれリードフレーム9に接続しモールド樹脂で固定した構造を有し、図9に示すICパッケージ10aは、パッケージ基板上の厚さ方向に半導体チップ8と平面磁気素子1,1aとを積層配置し、それぞれリードフレーム9に接続しモールド樹脂で固定した構造を有し、図10に示すICパッケージ10bは、パッケージ基板上の厚さ方向に半導体チップ8と平面磁気素子1,1aとをバンプ接合方式により積層配置し、それぞれリードフレーム9に接続しモールド樹脂で固定した構造を有している。
【0078】
このような平面磁気素子としてのインダクタを含む薄型パッケージによれば、例えばワンパッケージ化された小型のDC−DCコンバータICや電源ICパッケージを容易に実現できる。
【0079】
各表に示す結果から明らかなように、コイル配線同士の間隔Wより小さい最大径Lを有する磁性粉末が平面コイルの配線間の隙間に充填されて形成されている各実施例に係る平面磁気素子によれば、平面コイルに発生する磁界に対する透磁率を向上させることができ、インダクタンスが向上した薄型のインダクタとしての平面磁気素子が実現する。
【0080】
さらに、上記のように調製した平面磁気素子と、制御IC,電界効果トランジスタ(FET)等の半導体チップとを同一基板または同一パッケージ上の平面方向または高さ方向に実装してワンパッケージ化することも可能になり、機能素子の高密度実装も可能となり、半導体デバイスの小型化および高機能化に顕著な効果を発揮する。
【0081】
特にスパイラルコイルを配置した平面磁気素子では、所定粒径の微細な磁性粉末を極少量の有機バインダでペースト化してコイル配線間に充填した場合、微細な磁性粉末同士を有機物のような絶縁体で覆うことがなく、磁性粉末同士を最も近接した状態にすることが可能であり、透磁率の低下を抑制できる。このため、特に大きなインダクタンス値を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
上記構成に係る平面磁気素子を用いた電源ICパッケージによれば、磁性粉末の最大径Lがコイル配線同士の間隔Wより小さい(W>L)ために、磁性粉末がコイル配線間に効果的に充填され、またコイル間に充填された磁性粉末が可及的に等方形状であるために、コイルによって形成される磁場方向の影響を受けにくくなり平面コイルのインダクタンス値が上昇する。またコイル配線同士の間隔Wより小さい最大径Lを有する磁性粉末が平面コイルの配線間の隙間に充填されて形成されているために、平面コイルに発生する磁界に対する透磁率を向上させることができ、インダクタンスが向上した薄型のインダクタとしての磁気素子が実現する。
【0083】
さらに、上記のように調製した平面磁気素子と、制御IC,電界効果トランジスタ(FET)等の半導体チップとを同一基板または同一パッケージ上の平面方向または高さ方向に実装してワンパッケージ化することも可能であり、機能素子の高密度実装も可能となり、半導体デバイスの小型化および高機能化に顕著な効果を発揮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粉末と樹脂との混合物から成る第1の磁性層と第2の磁性層との間に平面コイルを有する平面磁気素子を用いた電源ICパッケージにおいて、上記平面コイルのコイル配線同士の間隔をWとする一方、上記磁性粉末の最大径をLとしたときに、関係式W>2Lを満たすと共に、長さWの線分中に含まれる磁性粉末の個数が3個以上であり、上記磁性粉末の平均粒径が0.5μm以上であり、上記磁性層中に含有される磁性粉末と上記平面コイルとが、距離1μm以下に近接しているか、または接触している一方、上平面磁気素子の厚さが0.4mm以下である平面磁気素子を用いたことを特徴とする電源ICパッケージ。
【請求項2】
前記長さWの線分中に含まれる磁性粉末の個数が5個以上であることを特徴とする請求項1記載の電源ICパッケージ。
【請求項3】
前記磁性粉末は、アモルファス合金、微細結晶合金、純鉄、センダスト、Fe−Ni系合金、Fe−Si系合金、フェライトの少なくとも1種から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか1項に記載の電源ICパッケージ。
【請求項4】
前記磁性粉末の平均粒径が80μm以下であることを特徴とする請求項1記載の電源ICパッケージ。
【請求項5】
前記平面コイルは、金属粉末の焼成体から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電源ICパッケージ。
【請求項6】
前記平面コイルは、金属箔をエッチングして形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電源ICパッケージ。
【請求項7】
前記コイル配線同士の間隔Wが10〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載の電源ICパッケージ。
【請求項8】
IC一体型であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電源ICパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−65904(P2013−65904A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−4723(P2013−4723)
【出願日】平成25年1月15日(2013.1.15)
【分割の表示】特願2007−542648(P2007−542648)の分割
【原出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(303058328)東芝マテリアル株式会社 (252)
【Fターム(参考)】