説明

電球及び照明装置

【課題】 小型化の容易な調光式の電球及び照明装置を提供する。
【解決手段】 電球1は、受光部2と、点灯と消灯とを人がちらつきを感じない周波数で繰り返すときに、1周期の時間に対する点灯している時間の比(デューティ比)が変化することで調光可能な発光部3とを備える。発光部3は、受光部2に光が入射しているときに消灯し、入射していないときに点灯するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光可能な電球及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源としてLED(発光ダイオード)を使用した調光(明るさを調整)可能なLED電球が提案されている(特許文献1)。このLED電球は、遠隔操作用の赤外線リモコンからの信号を受信するリモコン受光部と、受光部が受信した信号に基づいてLEDに入力する電流をパルス幅変調するPWM制御回路とを備える。このLED電球は、PWM制御回路によって入力電流がパルス幅変調されることで調光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−282838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のLED電球では、調光を可能にするために、受信したリモコンからの信号を解析してPWM制御をするPWM制御回路等のように複雑な機能を有する回路が電球内部に内蔵されている。このため、LED電球の小型化を阻む要因となり、近年の電球に対する小型化の要求に対応ができない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、小型化の容易な調光式の電球及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電球は、受光部と、点灯と消灯を繰り返す駆動信号のデューティ比を変えることで調光可能な発光部とを備え、発光部は、駆動信号により、受光部に光が入射しているときに消灯又は点灯し、入射していないときに点灯又は消灯するように駆動されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、発光部は、点灯と消灯を繰り返す駆動信号のデューティ比が変化することで調光できる。また、発光部は、受光部に光が入射しているときに消灯し入射していないときに点灯するか、又は受光部に光が入射しているときに点灯し入射していないときに消灯する。すなわち、発光部は、受光部への光の入射の有無によって調光できる。これによって、本発明の電球は、特許文献1のように、リモコンの信号を解析してPWM制御をする回路が内蔵されている電球に比べて、簡単な構成になる。これによって、調光式の電球であっても小型化が容易になる。
【0008】
本発明において、当該電球を固定すると共に外部の電源から電圧が供給される口金を備え、口金は、受光部に入射する光が透過する光透過部を有することが好ましい。これにより、口金から受光部に対して光を入射できるため、口金を保持するソケット等に発光部を調光するための光源を設ければよい。既存の電球の口金の大きさを大きくするような変更をしなくとも受光部に光を照射できる。
【0009】
本発明において、発光部は、複数の発光ダイオードを光源とし、複数の発光ダイオードは、各発光ダイオードによる電圧降下を合計した電圧値が、電源から供給される最大電圧値を超えない数だけ直列接続されることが好ましい。
【0010】
これにより、電源から供給される最大電圧分を、複数の発光ダイオードのみで電圧降下できる。ここで、最大電圧値を超えない数とは、可能な限り直流電圧値に近くなる発光ダイオードの数である。但し、この数は、電球として出力する発光部の明るさ等の条件によって多少下回ってもよい。この場合には、抵抗器やトランジスタ等を用いた簡単な回路によって、発光ダイオードによる電圧降下の残りの電圧を吸収する。
【0011】
このように、電源の最大電圧値が大きいときであっても発光ダイオードのみ若しくは抵抗器やトランジスタ等を用いた簡単な回路によって電源の出力電圧を降下でき、DC−DCコンバータのような降圧回路を使用しなくてもよい。従って、電球を小型化することができる。
【0012】
また、電球にPWM制御をする回路が内蔵されているような場合には、IC(集積回路)が使用されることが多い。通常、ICは駆動電圧が5[V]に設定されており、家庭用の交流電圧(100[V])を用いる場合には、大きく電圧を降下させる必要がある。更に、通常の電球は50[V]前後で使用することが多い。この場合には、交流電圧を整流した後、50[V]に降圧してから、再度5[V]に降圧する必要が出て来るため、多くの回路を電球内部に実装する必要がある。
【0013】
しかしながら、上述したように、本発明の電球は、簡単な構成であるため、IC等は使用しない。更に、複数のダイオードを直列接続することで、発光部の電圧降下を大きくすることができ、電源が高電圧であっても、この電圧を降下できるような数の発光ダイオードを直列接続すれば降圧回路が不要となる。従って、電球の小型化を容易にできる。
【0014】
本発明において、照明装置が、上述した電球と、受光部に対して光を照射する調光用発光部と、発光部の調光に応じて、調光用発光部に点灯と消灯を繰り返す電圧信号を供給する調光信号発生回路とを備えることが好ましい。これにより、調光信号発生回路(例えば、PWM変調回路)のような複雑な処理をする回路を電球の外部に備えるため、電球を小型化できる。
【0015】
本発明において、照明装置が、上述した電球と、口金が挿嵌されるソケットと、ソケットから受光部に対して光を照射する調光用発光部と、発光部の調光に応じて、調光用発光部に点灯と消灯を繰り返す電圧信号を供給する調光信号発生回路とを備えることが好ましい。これにより、上記の照明装置と同様に、調光信号発生回路(例えば、PWM変調回路)のような複雑な処理をする回路を電球の外部に備えるため、電球を小型化できる。
【0016】
また、調光用発光部から照明装置の外部へ光が漏れる場合や、又は特許文献1のようにリモコンと通信する等の理由によって受光部に照明装置の外部から光の入射がある場合などでは、正常な通信信号であることを識別するための情報を通信信号に付加する必要がある。この通信信号の生成及び解析には複雑な制御回路が必要になる。
【0017】
しかしながら、本発明においては、ソケットから電球の口金の光透過部を介して受光部に光を照射するので、調光用発光部の光が照明装置の外部に漏れることがなく、且つ外部からの光が意図せず受光部に入射することもない。このため、調光用発光部の光源には、赤外線等以外の光(例えば、可視光等)を採用しても周囲の環境に影響を与えない。更に、複雑な通信信号の生成及び解析をする必要もないため、製品設計の自由度の向上や製造コストの低減等ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の電球及び照明器具を含む照明装置を示す図。
【図2】(a)は実施形態の電球を口金側から見たときの図。(b)は別の実施形態の電球を口金側から見たときの図。
【図3】実施形態の電球及び照明器具を含む照明装置の電気的な接続について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図3を参照して、本発明の実施形態の電球1及び照明器具11を含む照明装置10の構成について説明する。
【0020】
まず電球1について説明する。電球1は、受光部2と、発光部3と、口金4と、基板5と、ケース6とを備える。更に、電球1は、AC−DC変換器7と、点灯回路8と、第1抵抗器r1と、第2抵抗器r2とを備える。受光部2は、光が入射されるとコレクタからエミッタ間に電流が流れるフォトトランジスタで構成されている。
【0021】
発光部3は、光源として複数の発光ダイオードを備え、各発光ダイオードは直列に接続されている。本実施形態では、各発光ダイオードの電圧降下が3[V]のものを使用しており、42個の発光ダイオードを直列に接続することで、発光部3の電圧降下を126[V]としている。但し、発光ダイオードの電圧降下は、個体差のため多少の値の変動はある。このため、発光部3の電圧降下は、必ずしも126[V]になるとは限らない。
【0022】
口金4は、円柱状に形成され、側面に螺旋状の溝を有する所謂ねじ込み式の口金である。口金4は、導電材で構成されるプラス電極4+及びマイナス電極4−と、絶縁材で構成される絶縁部4aとで構成される。プラス電極4+は、口金4の底(図1の電球1の上端部)の中央部に配置される。マイナス電極4−は、螺旋状の溝を有する円柱状の側面を形成する。絶縁部4aは、口金4の底の周縁側に、プラス電極4+を囲うように配置され、プラス電極4+とマイナス電極4−とを絶縁している。また、絶縁部4aは、光を透過可能な絶縁体(例えば、ガラス等)で構成されている。本実施形態の絶縁部4aが、本発明における光透過部に相当する。
【0023】
なお、本実施形態では、絶縁部4aを光が透過可能な絶縁体で構成して光透過部としているが、これに限らない。例えば、図2(b)に示されるように、絶縁部4aに開口部4bを設けてもよい。この場合には、開口部4bによって光が透過可能であるので、絶縁部4aは光を透過できなくてもよい。この場合には、開口部4bが、本発明における光透過部に相当する。
【0024】
また、図2(b)には開口部4bを6つ設けているが、開口部4bの数はこれに限らず、受光部2に対して光を入射可能なようにする数だけ設ければよい。例えば、開口部4bを1つだけ設けた場合であっても、受光部2への光の経路が確保可能であればよい。図2(b)では、口金4が後述するソケット15にねじ込まれたときに、どの位置でねじ込みが止められても受光部2に光を入射可能なように開口部4bを6つ設けている。
【0025】
基板5は、一方の面に受光部2が実装され、他方の面に発光部3が実装されており、更に口金4のプラス電極4+及びマイナス電極4−から電圧が供給される電極パッド(図示省略)を備える。基板5は、この電極パッドから受光部2及び発光部3に電圧を供給可能に配線パターンが形成されている。また、基板5においては、受光部2が実装されてた面に後述のAC−DC変換器7、点灯回路8、第1抵抗器r1及び第2抵抗器r2も実装され、それぞれの電気的な接続に従って配線パターンが形成されている。
【0026】
ケース6は、光を透過可能な部材(例えば、ガラス等)で形成されている。ケース6は、内部が空洞の球状又は円筒状に形成され、その内部に受光部2、発光部3及び基板5が配置される。また、ケース6は孔6aを有し、この孔6aに口金4が嵌め合いされている。
【0027】
次に、照明器具11について説明する。照明器具11は、電球1を固定すると共に、電球1に対して電圧を供給する。照明器具11は、交流100[V]の電源12と、調光用発光部13と、調光信号発生回路14と、ソケット15とを備える。また、照明器具11は、ユーザーが調光するための調光用操作スイッチ(図示省略)を有しており、ユーザーは、この調光用操作スイッチの操作によって、電球1の発光部3を調光できる。
【0028】
調光用発光部13は、光源が1つの発光ダイオードで構成され、受光部2に対して光を照射する。調光信号発生回路14は、所謂ワンチップマイコン等で構成され、上述した調光用操作スイッチの操作に応じて調光用発光部13に供給する電圧信号(パルス波)を発生する。
【0029】
ソケット15は、電球1の口金4が挿嵌できるように、口金4の側面に設けられた螺旋状の溝に合うような螺旋状の溝が形成される。また、ソケット15は、プラス電極15+と、マイナス電極15−と、絶縁体(図示省略)とから構成されている。
【0030】
ソケット15のプラス電極15+は、ソケット15に口金4が挿嵌されたときに、口金4のプラス電極4+に電気的に接続されるようにソケット15の底部の中央部を形成し、ソケット15のマイナス電極15−は、口金4のマイナス電極4−に電気的に接続されるようにソケット15の側面を形成している。
【0031】
ソケット15の絶縁体は、ソケット15の底部の周縁側にマイナス電極15−を囲うように配置され、ソケット15のプラス電極15+とマイナス電極15−との間を絶縁する。ここで、ソケット15の底部とは、口金4が挿嵌されたときに口金4の底と接触する面(図1のソケット15の上側の面)である。
【0032】
また、ソケット15は、底部に、調光用発光部13の光を口金4の底に配置された絶縁部4aを介して受光部2に入射できるように孔15aが設けられ、調光用発光部13が設置されている。
【0033】
次に、図3を参照して、本実施形態の電球1及び照明器具11を含む照明装置10の電気的な接続について説明する。
【0034】
まず、電球1の電気的な接続について説明する。電球1は、口金4のプラス電極4+及びマイナス電極4−に、照明器具11のソケット15のプラス電極15+及びマイナス電極15−を介して電源12から100[V]の交流電圧が供給される。
【0035】
口金4のプラス電極4+及びマイナス電極4−は、交流電圧を直流電圧に変換するAC−DC変換器(交流−直流変換器、整流平滑回路)7に接続される。AC−DC変換器7は、4つのダイオードを使用するブリッジ整流回路と平滑化コンデンサとで構成され、交流電圧が、AC−DC変換器7を通ることで、ブリッジ整流回路によって全波整流された後にコンデンサによって平滑化されて、直流電圧として出力される。
【0036】
AC−DC変換器7のプラス側には、第1抵抗器r1を介して発光部3と第2抵抗器r2が並列に接続される。発光部3は、直列接続されている最初の段の発光ダイオードのアノードが第1抵抗器r1に接続され、最初の段の発光ダイオードのカソードが次の段の発光ダイオードのアノードに接続される。このように発光ダイオード同士は、前段の発光ダイオードのカソードが次段の発光ダイオードのアノードに接続される。発光部3の最後の段の発光ダイオードのカソード及び第2抵抗器r2の第1抵抗器r1が接続されている側とは反対側には、点灯回路8が接続される。点灯回路8は、更に、受光部2のコレクタが接続される。
【0037】
点灯回路8は、第1トランジスタ8aと、第3抵抗器8bと、第2トランジスタ8cとを備える。第1トランジスタ8a及び第2トランジスタ8cは、いずれもnpn型のトランジスタである。第1トランジスタ8aのコレクタは、発光部3の最後の段の発光ダイオードのカソードに接続される。第1トランジスタ8aのベースは、第2抵抗器r2の第1抵抗器r1が接続されている側とは反対側に接続される。第1トランジスタ8aのエミッタは、第3抵抗器8b及び第2トランジスタ8cのベースが並列に接続される。第3抵抗器8bの第1トランジスタ8aのエミッタに接続されている側とは反対側、及び第2トランジスタ8cのエミッタは、AC−DC変換器7のマイナス側に接続、すなわち接地(0[V]の電位に接続)される。
【0038】
フォトトランジスタで構成される受光部2のコレクタは、第2抵抗器r2の第1抵抗器r1が接続されている側とは反対側と、第1トランジスタ8aのベースと、第2トランジスタ8cのコレクタとに接続される。受光部2のエミッタは、第2トランジスタ8cのエミッタ等と同様に、AC−DC変換器7のマイナス側に接続、すなわち接地される。
【0039】
電球1は、以上のように接続されているので、受光部2に光が入射されていないときは、AC−DC変換器7の出力が、第1抵抗器r1及び第2抵抗器r2を介して第1トランジスタ8aのベースに供給され、第1トランジスタ8aのコレクタ・エミッタ間が電気的に導通する状態(以下、「オン状態」という)になる。これによって、発光部3、すなわち、直列に接続された複数の発光ダイオードに電流が流れて発光部3が点灯する。
【0040】
一方、受光部2に光が入射されているときは、受光部2がオン状態になる、すなわち、第1トランジスタ8aのベースが接地して、このベースの電位が0[V]になる。これによって、第1トランジスタ8aのベースに電流が流れなくなり、第1トランジスタ8aのコレクタ・エミッタ間が電気的に遮断する状態(以下、「オフ状態」という)になる。これによって、発光部3に電流が流れなくなり、発光部3は消灯する。
【0041】
このように、電球1は、受光部2に光が入射しているときに発光部3が消灯し、受光部2に光が入射していないときに発光部3が点灯するように構成されている。
【0042】
また、AC−DC変換器7から出力される直流電圧は、コンデンサによる平滑化を行なった場合であっても、交流電圧のピーク近くに相当する箇所に多少のリップルが重畳されてしまう。このため、点灯回路8は、発光部3の点灯時に、このリップルを吸収可能に構成されている。第2トランジスタ8cによって第1トランジスタ8aのベースに負帰還がかかるため、AC−DC変換器7から出力される電圧信号が変動しても、第1トランジスタ8aのベースの電位の変動が安定化される。
【0043】
次に、照明器具11の電気的な接続について説明する。電源12は、プラス側がソケット15のプラス電極15+に接続され、マイナス側がソケット15のマイナス電極15−に接続される。また、電源12のプラス側及びマイナス側は、調光信号発生回路14の入力のプラス側及びマイナス側にそれぞれ接続される。
【0044】
調光信号発生回路14の出力のプラス側は、発光ダイオードで構成される調光用発光部13のアノードに接続され、調光信号発生回路14の出力のマイナス側は、調光用発光部13のカソードに接続される。
【0045】
次に、電球1の調光について説明する。調光信号発生回路14は、オフ(例えば、0[V])とオン(例えば、3[V])とを所定の周波数で繰り返すパルス波を、調光用発光部13に供給する。ここで、所定の周波数は、光の点灯と消灯との繰り返しによって、人がちらつきを感じない周波数に設定されていればよい。例えば、所定の周波数は100[Hz]以上に設定される。調光信号発生回路14は、このパルス波のデューティ比(1周期の時間に対するオンの時間の比)を変更することで電球1の調光を行なう。
【0046】
詳細には、調光信号発生回路14は、電球1を現時点よりも明るくするように調光用操作スイッチが操作されたときには、調光用発光部13の1周期の時間に対する点灯時間が短くなるように出力信号のパルス幅変調を行なう、すなわち、パルス波のデューティ比を小さくする。これによって、調光用発光部13が1周期の間で消灯している時間が長くなり、受光部2が1周期の間で受光していない時間が長くなり、発光部3が1周期の間で発光している時間が長くなる。従って、発光部3は、1周期における点灯の割合が消灯の割合に比べて増加し、人は発光部3の光度が増加したように感じ、電球1が明るくなる。
【0047】
一方、調光信号発生回路14は、電球1を現時点よりも暗くするように調光用操作スイッチが操作されたときには、明るくする場合とは逆に、調光用発光部13の1周期の時間に対する点灯時間が長くなるように出力信号のパルス幅変調を行なう、すなわち、パルス波のデューティ比を大きくする。これによって、調光用発光部13が1周期の間で点灯している時間が長くなり、受光部2が1周期の間で受光している時間が長くなり、発光部3が1周期の間で消灯している時間が長くなる。従って、発光部3は、1周期における点灯の割合が消灯の割合に比べて減少し、人は発光部3の光度が減少したように感じ、電球1が暗くなる。
【0048】
以上のように、本実施形態の電球1は、発光部3を、人がちらつきを感じない周波数で、点灯と消灯とを繰り返すようにし、1周期の時間に対する点灯時間の比(デューティ比)を変えることで調光可能となっている。また、電球1は、フォトトランジスタで構成された受光部2と点灯回路8とによって、受光部2に光が入射しているときに発光部3が消灯し、受光部2に光が入射していないときに発光部3が点灯する。従って、発光部3の調光を電球1の外、すなわち、本実施形態では、照明器具11側に調光信号発生回路14を設ければ電球1の調光ができる。
【0049】
これによって、受信したリモコンからの信号を解析してPWM制御をするPWM制御回路等のような複雑な機能を有する回路を電球1に設けることなく、簡単な回路だけで電球1を調光することができる。このため、電球1の小型化を容易にすることができる。
【0050】
また、一般に、口金を有する電球では、プラス電極とマイナス電極との間に絶縁部を設ける必要があるが、本実施形態では、光透過部を電球1の口金4の絶縁部で構成している。受光部2への光の入射経路を形成する際に、電球1の小型化を阻害するような部材を新たに付与する必要がない。このため、電球を小型化できる。
【0051】
また、本実施形態では、照明器具11のソケット15の底部に設けられた孔15aに、調光用発光部13が設置されている。この、調光用発光部13は、口金4の絶縁部4aを介して受光部2に光を照射する。このため、調光用発光部13の光は、電球1及び照明器具11の外部に漏れることがなく、且つ外部からの光が意図せず受光部2に入射することもない。従って、調光用発光部13は、光源として赤外線以外の光(例えば、可視光等)を採用しても周囲の環境に影響を与えない。更に、複雑な通信信号の生成及び解析をする必要もないため、製品設計の自由度の向上や製造コストの低減等ができる。
【0052】
また、本実施形態では、電源12を交流100[V]の電源で構成しており、直流電圧に整流したときの最大電圧値は理論値で約141[V]となる。また、発光部3は、光源に42個の発光ダイオードを用いており、各発光ダイオードをAC−DC変換器7の出力に対して直列に接続している。各発光ダイオードは、電圧降下が3[V]のものを使用しており、発光部3の全体の電圧降下は126[V]となる。発光部3による電圧降下の残りの電圧、すなわち、141−126=15[V]は、上述したように点灯回路8で電圧を吸収するように構成している。この場合には、15[V]がリップルの最大値となる。
【0053】
なお、点灯回路8による電圧降下を大きく設定することは電力損失の増加等を招くため、電圧降下を小さくすることが好ましい。そこで、家庭用の交流電圧を電源12として用いる場合には、発光部3の発光ダイオードの数は、発光ダイオードの各素子の電圧降下の個体差等も考慮して、40個〜45個程度が望ましい。このような数の発光ダイオードを直列接続することが、本発明における「各発光ダイオードによる電圧降下を合計した電圧値が、複数の発光ダイオードに供給される最大電圧値を超えないように、直流電圧値になる数だけ直列接続される」ことに相当する。
【0054】
このように40個〜45個程度の数の発光ダイオードを直列接続することで、電球1の内部に降圧回路が不要となり、電球1の小型化を容易にできる。
【0055】
なお、本実施形態では、電球1を、受光部2に光が入射しているときに発光部3を消灯し、受光部2に光が入射していないときに発光部3を点灯しているが、これに限らない。例えば、受光部2に光が入射しているときに発光部3を点灯し、受光部2に光が入射していないときに発光部3を消灯するように配線してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…電球、2…受光部、3…発光部、4…口金、4a…絶縁部(光透過部)、4b…開口部(別の実施形態の光透過部)、5…基板、6…ケース、7…AC−DC変換器、10…照明装置、11…照明器具、12…電源、13…調光用発光部、14…調光信号発生回路、15…ソケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部と、点灯と消灯を繰り返す駆動信号のデューティ比を変えることで調光可能な発光部とを備え、
前記発光部は、前記駆動信号により、前記受光部に光が入射しているときに消灯又は点灯し、入射していないときに点灯又は消灯するように駆動されることを特徴とする電球。
【請求項2】
請求項1に記載の電球において、当該電球を固定すると共に外部の電源から電圧が供給される口金を備え、前記口金は、前記受光部に入射する光が透過する光透過部を有することを特徴とする電球。
【請求項3】
請求項2に記載の電球において、
前記発光部は、複数の発光ダイオードを光源とし、
前記複数の発光ダイオードは、各発光ダイオードによる電圧降下を合計した電圧値が、前記電源から供給される最大電圧値を超えない数だけ直列接続されることを特徴とする電球。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電球を備える照明装置であって、
前記受光部に対して光を照射する調光用発光部と、
前記発光部の調光に応じて、前記調光用発光部に点灯と消灯を繰り返す電圧信号を供給する調光信号発生回路とを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の電球を備える照明装置であって、
前記口金が挿嵌されるソケットと、
前記ソケットから前記受光部に対して光を照射する調光用発光部と、
前記発光部の調光に応じて、前記調光用発光部に点灯と消灯を繰り返す電圧信号を供給する調光信号発生回路とを備えることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−243410(P2012−243410A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109472(P2011−109472)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】