説明

電球形蛍光ランプ

【課題】
温度特性抵抗素子に不良品が混ざっていても安全に使用できる電球形蛍光ランプを提供することを目的とする。
【解決手段】
内面に蛍光体層が形成されており、放電媒体が封入された発光管1と;この発光管を保持するとともに口金3が取り付けられたカバー体2と;前記発光管1を点灯させる点灯回路5、自己発熱に伴う温度上昇に応じて抵抗値が増加する温度特性抵抗素子7およびこの温度特性抵抗素子7の異常発熱時に前記温度特性抵抗素子7を前記点灯回路5から切り離すように動作する接続切断手段12を有し、前記カバー体2内に収容された点灯装置10と;を具備している。接続切断手段12は、温度特性抵抗素子7が異常発熱によって温度上昇すると温度特性抵抗素子7を点灯回路5から切り離すように動作するので、点灯は継続しながら温度特性抵抗素子7がそれ以上発熱することを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度特性抵抗素子を有する電球形蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
電球形蛍光ランプの点灯装置は、例えばインバータ回路の出力端間にインダクタおよび共振用コンデンサが直列的に接続され、共振用コンデンサと並列的に放電ランプとしての蛍光ランプおよび温度正特性抵抗素子が接続されて構成されている。
【0003】
この点灯装置は、温度正特性抵抗素子の抵抗値が所定値に上昇するまでの時間は高い始動電圧が発生せず、フィラメント電極を十分に予熱してから高いランプ始動電圧を印加して放電ランプが点灯を開始するように動作する。このため、ランプ始動電圧の印加によってフィラメント電極がスパッタ等によって劣化することが抑制されるので、点滅回数が多くなることによるフィラメント劣化を原因とした短寿命化が防止できる。すなわち、インバータ回路への通電開始直後は、温度正特性抵抗素子の抵抗値が小さく、ランプが始動することがない低い電圧が両フィラメント電極間に印加されつつ予熱電流が各フィラメント電極に流れて各フィラメント電極が予熱される。その後、温度正特性抵抗素子の自己発熱による温度上昇に伴い抵抗値が増加し、共振回路の共振成分が変動することによって共振電圧が上昇していく。そして、十分な熱電子放射が行われる程度に各インバータ回路がフィラメント電極を予熱するのに必要な時間が経過したときに、共振電圧がランプ始動可能な電圧まで上昇するように設計されているので、フィラメント電極が十分予熱されてからランプが始動、点灯することになる。
【0004】
また、ランプ点灯後には温度正特性抵抗素子にわずかながら不要な電流が流れるが、このわずかな電流も損失につながるため、蛍光ランプが点灯した後は温度正特性抵抗素子に流れる電流を遮断することが好ましい。このため、温度正特性抵抗素子に電圧制限素子を直列に接続し、ランプ点灯後は制限素子が動作して温度特性抵抗素子を非導通状態にする放電ランプの点灯装置の構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−50801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、温度特性抵抗素子の中には極希ではあるが、発光管を点灯させているときに異常発熱する不良品が混入する可能性がある。この不良品が異常発熱すると、カバー体が加熱され発煙等の不具合を引き起こすことがあるので、万が一このような不良品が混ざっていても安全に使用できる製品を提供する必要がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、温度特性抵抗素子が異常発熱した場合には、発熱が継続しないように前記温度特性抵抗素子を点灯装置に設けることで、不良品が混ざっていても安全に使用できる電球形蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電球形蛍光ランプは、内面に蛍光体層が形成されており、放電媒体が封入された発光管と、この発光管を保持するとともに口金が取り付けられたカバー体と、前記発光管を点灯させる点灯回路、前記点灯回路に接続され自己発熱に伴う温度上昇に応じて抵抗値が増減する温度特性抵抗素子およびこの温度特性抵抗素子の異常発熱時に前記温度特性抵抗素子を前記点灯回路から切り離すように動作する接続切断手段を有し、前記カバー体内に収容された点灯装置とを具備したことを特徴とする。
【0008】
また、前記接続切断手段は前記温度特性抵抗素子から導出された第1のリード線および前記第1のリード線と前記点灯回路を接続する第2のリード線の間を接続し、かつ130から300℃の温度で溶融する接着材であってもよい。温度特性抵抗素子は異常発熱時に300℃以上温度上昇することが実験によって確かめられており、130〜300℃の融点を持つ接着材を用いれば本発明の目的を達成することができる。このとき、温度特性抵抗素子から接着材までの長さは10mm以内であることが好ましい。温度特性抵抗素子の異常発熱時に発生する熱は、温度特性抵抗素子から導出されるリード線上を10mmまでの範囲において接着材を溶融するのに十分高い温度に上昇することが実験によって確かめられた。
【0009】
また、前記温度特性抵抗素子から導出されるリード線を、前記温度特性抵抗素子の異常発熱時に発生する熱によって切り離すように動作をする変形部材であってもよい。
【0010】
また、前記接続切断手段は前記温度特性抵抗素子と直列に接続され、前記温度特性抵抗素子の異常発熱時に発生する熱によって非導通となる温度ヒューズであってもよい。
【0011】
さらに、本発明の電球形蛍光ランプは、内面に蛍光体層が形成されており、放電媒体が封入された発光管と、この発光管を保持するとともに口金が取り付けられたカバー体と、前記発光管を点灯させる点灯回路および自己発熱に伴う温度上昇に応じて抵抗値が増減する温度特性抵抗素子を有し、この温度特性抵抗素子からの離間寸法が3mm以内の領域内および温度特性抵抗素子から導出されたリード線の導出長さ10mm以内の部位からの離間寸法が3mm以内の領域内に点灯回路の一部品であって比較的耐熱性の低い回路素子の少なくとも一部が位置するように各素子が配設され、前記カバー体内に収容された点灯装置とを具備したことを特徴とする。
【0012】
さらにまた、本発明の電球形蛍光ランプは、内面に蛍光体層が形成されており、放電媒体が封入された発光管とこの発光管を保持するとともに口金が取り付けられたカバー体と前記発光管を点灯させるようにスイッチング動作を行う電界効果トランジスタおよびこの電界効果トランジスタが実装される基板を有しており、前記カバー体内に収容されるとともに、前記発光管を点灯させる点灯回路と前記点灯回路の電界効果トランジスタの接続端子に隣接した前記基板位置にリード線が接続されて前記基板に実装されてなる自己発熱に伴う温度上昇に応じて抵抗値が増減する温度特性抵抗素子とを具備したことを特徴とする。
【0013】
温度特性抵抗素子は、温度上昇に伴い抵抗値が増加する温度正特性抵抗素子または温度上昇に伴い抵抗値が減少する温度負特性抵抗素子のいずれであってもよい。また、温度特性抵抗素子は点灯回路に接続され、ランプ点灯時にフィラメント予熱を適切に行うように動作させる構成、発光管の寿命末期時のように点灯回路に過電流が流れる場合に回路素子に流れる過電流を減少させ回路素子を保護する構成、点灯回路のスイッチング動作を制御するドライブの回路定数を周囲温度に応じて変化させる構成等、種々目的で使用が可能である。したがって、温度抵抗素子と点灯回路との接続関係は特に限定されない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電球形蛍光ランプによれば、温度特性抵抗素子と点灯回路との間に接続切断手段が設けられているので、温度特性抵抗素子が異常発熱によって温度上昇すると温度特性抵抗素子が接続切断手段によって点灯回路から切り離され、温度特性抵抗素子がそれ以上発熱することがなく、カバー体等の熱影響を確実に防ぐことができる。
【0015】
また、接続切断手段に130〜300℃で溶融する接着材を用いることで、温度特性抵抗素子の異常発熱時の温度上昇により温度特性抵抗素子と点灯回路とが簡単な構成により確実に切断できる。温度特性抵抗素子から接着材までの距離を10mm以内に配設すれば温度特性抵抗素子を確実に切断できる。
【0016】
また、接続切断手段に変形部材を用いることによって温度特性抵抗素子から導出されるリード線を切り離すように動作させることができるので、接着材を必要とすることなく簡単な構成で確実に接続を切断することができる。
【0017】
また、接続切断手段に温度ヒューズを用いれば、所定の温度になれば温度ヒューズが切れるように設定することによって、簡単な構成で確実に接続を切断することができる。
【0018】
さらに本発明の電球形蛍光ランプによれば、温度特性抵抗素子および温度特性抵抗素子から導出されたリード線の前記温度特性抵抗素子から10mm以内の部位から3mm以内の領域内に点灯回路の一部品であって比較的耐熱性の低い回路素子の少なくとも一部が位置するように各素子が実装されているので、温度特性抵抗素子が異常発熱した時にその異常発熱の熱によって比較的耐熱性の低い回路素子を破壊し、点灯回路の発振を停止させることができ、温度特性抵抗素子がそれ以上温度上昇するのを確実に防ぐことができる。
【0019】
さらにまた、本発明の電球形蛍光灯ランプによれば、基板に実装され発光管を点灯させるようにスイッチング動作を行う電界効果トランジスタの接続端子に隣接した前期基板位置に前記基板に実装されてなる自己発熱に伴う温度上昇に応じて抵抗値が増減する温度特性抵抗素子のリード線が接続されて、この前記温度特性抵抗素子の異常発熱時に発生する熱が温度特性抵抗素子と電界効果トランジスタとを電気的に接続する導電経路を介して伝わるように配設されているので、温度特性抵抗素子が異常発熱した時に、確実に電界効果トランジスタを破壊し、ランプの発振を停止させることができ、温度特性抵抗素子がそれ以上温度上昇するのを確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明による第1の実施形態の電球形蛍光ランプの構成を示す断面図である。
【0022】
電球形蛍光ランプ50は、蛍光ランプとしての発光管1と、この発光管1を保持するカバー体2と、発光管1を覆うように設置され、口金3とともにカバー体2に取り付けられたグローブ4とを備えている。カバー体2の内部には点灯装置10が配設されている。この点灯装置10は、点灯回路5、この点灯回路5を構成する回路素子が実装された回路基板6およびこの基板に実装された温度特性抵抗素子7から構成されている。点灯回路5は、比較的耐熱性の高い回路素子8および比較的耐熱性の低い回路素子9等の電子部品を少なくとも有して構成されている。なお、温度特性抵抗素子7は、極希ではあるが、点灯回路の動作中に異常発熱する不良品が混入されるおそれがあるので、万が一発熱した時にカバー体2を溶融させないように、回路基板6の略中央位置に配置させている。また、カバー体2の溶融を防止するためにカバー体2、口金3および回路基板5で形成される空間の体積をV(m3)、温度特性抵抗素子7からカバー体2までの距離をd(m)、発光管7に入力される電力をW(W)としたとき、電球形蛍光ランプ50は、W/(V×d)<0.3の条件式を満足するように構成することが望ましい。0.3を超えると発熱した温度特性抵抗素子7によってカバー体2が溶融する可能性があるので好ましくない。
【0023】
図2は、第1の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯回路を示す回路図である。
【0024】
点灯回路5は、発光管1を点灯させるために、商用電源15により駆動されるインバータ回路部16を有している。発光管1の一端側にはインバータ回路部16に直接接続されているフィラメント18aが封装されるとともに、発光管1の他端側には限流用インダクタンス素子17を介してインバータ回路部16に接続されるフィラメント18bが封装されている。発光管1の両端に設置されたフィラメント18aと18bの非電源側に、共振用コンデンサ19がそれぞれ接続されており、共振用コンデンサ19および発光管1と並列的に温度特性抵抗素子7が接続されている。すなわち、インバータ回路への通電開始直後は、温度正特性抵抗素子の抵抗値が小さく、ランプが始動することがない低い電圧が両フィラメント電極間に印加されつつ予熱電流が各フィラメント電極に流れて各フィラメント電極が予熱される。その後、温度正特性抵抗素子の自己発熱による温度上昇に伴い抵抗値が増加し、共振回路の共振成分が変動することによって共振電圧が上昇していく。そして、十分な熱電子放射が行われる程度に各インバータ回路がフィラメント電極を予熱するのに必要な時間が経過したときに、共振電圧がランプ始動可能な電圧まで上昇するように設計されているので、フィラメント電極が十分予熱されてからランプが始動、点灯することになる。
【0025】
ここで、温度特性抵抗素子7は共振用コンデンサ19と並列に接続されているので、温度特性抵抗素子7の接続が点灯回路5から切断されても発光管1は点灯を継続することができる。
【0026】
図3は、本発明の第1の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置10を示す一部拡大断面図である。
【0027】
温度特性抵抗素子7および温度特性抵抗素子7から導出されている第一のリード線11、11は、はんだ等の接着材からなる接続切断手段12、12によって点灯回路に接続された第二のリード線13、13に保持されている。温度特性抵抗素子7が異常発熱すると、温度特性抵抗素子7の温度が上昇し、温度特性抵抗素子7から導出された第一のリード線11、11に熱が伝わり、接続切断手段12、12も温度上昇するのでこれらのうち少なくとも一方が溶融する。はんだとしての接続切断手段12、12が溶融すると第一のリード線11、11と第二のリード線13、13との接続が切断され、温度特性抵抗素子7は点灯回路5から電気的に切り離されるので、温度特性抵抗素子7に電流が流れることがなくなり温度特性抵抗素子7の温度上昇が停止する。
【0028】
温度特性抵抗素子7が異常発熱した後に、温度特性抵抗素子7に電流が流れ続けると、温度特性抵抗素子7の温度が約300〜700℃まで上昇する。一方、はんだの融点は一般に約180〜220℃なので、温度特性抵抗素子7からはんだまでの距離が10mm以内である場合には、はんだが第一のリード線11を介して熱伝導によって確実に溶融する。温度特性抵抗素子7からはんだまでの距離が10mmを超えるとはんだは溶融せずに残り、温度特性抵抗素子7が点灯回路から切り離されないことが実験によって確かめられた。
【0029】
図4は、本発明の第2の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置10を示す一部拡大断面図である。第2の実施形態は温度特性抵抗素子7と比較的耐熱性の高い回路素子8、例えばインダクタンス素子とをシリコーン接着剤14で接着したものであり、その他の構成は第1の実施形態と同一である。第一のリード線11、11がはんだ等の接着材からなる接続切断手段12、12のみによって保持されていると、接続切断手段12、12の両者が溶融して温度特性抵抗素子7が第二のリード線13、13から切り離されたときに、高温状態の温度特性抵抗素子7がカバー体2または回路基板6に接触し、溶融または発煙などの不具合を起こす可能性がある。そこで、温度特性抵抗素子7と比較的耐熱性の高い回路素子8とをシリコーン接着剤14で接着している。これによって第一のリード線11、11が第二のリード線13、13から完全に切り離されたとしても、温度特性抵抗素子7は比較的耐熱性の高い回路素子8に保持されるので回路基板6やカバー体2に接触することがない。
【0030】
温度特性抵抗素子7を比較的耐熱性の高い回路素子8に保持する手段としては耐熱性のバンドで温度特性抵抗素子7と比較的耐熱性の高い回路素子8とを保持する方法や、温度特性抵抗素子7と比較的耐熱性の高い回路素子8とを絶縁性のワイヤーで結束し固定する等の方法であってもよい。
【0031】
図5は、本発明の第3の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置10を示す一部拡大断面図である。第3の実施形態は、接続切断手段を熱によって変形する動作を行う変形部材としたものであり、その他の構成については第1の実施形態と同一である。
【0032】
温度特性抵抗素子7は、温度特性抵抗素子7から導出される一方のリード線20aが回路基板6に取り付けられて点灯回路5と接続されるとともに、他方のリード線20bが変形部材21によって支持されている。回路基板6に接続された略L字状のリード線20cの先端には接点22が配設されている。リード線20bは、その先端部が接点22と接続するように変形部材21によって保持されている。温度特性抵抗素子7が異常発熱によって温度上昇すると、変形部材21はその先端側が回路基板6側に倒れる方向に変形し、リード線20bと接点22との接続を切り離すように動作する。変形部材21が変形を開始する温度を130〜180℃にしておけば、通常点灯時は動作することなく異常発熱時にだけ温度特性抵抗素子7がリード線20bの接続を切断するように動作させることができる。変形部材21はバイメタルなどのように温度上昇に伴って変形する素材であればよいが、消灯後に接点22との接続が復帰することは好ましくないので、形状記憶合金のように変形後の形状が復帰しない部材を用いるのが望ましい。
【0033】
図6は、本発明の第4の実施形態を示す電球形蛍光ランプの点灯回路の回路図である。第4の実施形態は接続切断手段を温度ヒューズにしたものであり、その他の構成は第1の実施形態と同一である。
【0034】
本実施形態の点灯装置は、温度特性抵抗素子の接続関係と、接続切断手段の構成とが図2の回路図とは異なっているので、異なる部分についてのみ詳述し、その他の説明は省略する。インバータ回路部16には、フィラメント18aの電源側およびインダクタコイル17を介してフィラメント18bの電源側がそれぞれ接続されている。接続切断手段としての温度ヒューズ23は、温度特性抵抗素子7に直列接続されており、この直列体がフィラメント18bの電源側とインダクタコイル19の非電源側との間およびフィラメント18aの電源側とインバータ回路部16との間に接続されていて、共振用コンデンサ19および蛍光ランプとしての発光管1に対して並列的に接続されている。温度ヒューズ23は、温度特性抵抗素子7の異常発熱時の温度上昇により非導通となるので、温度特性抵抗素子7は点灯回路5から切断されることになり、それ以上温度上昇するのを防ぐことができる。また、このように構成することで温度ヒューズ23が非導通となっても点灯回路5には電流が流れるので発光管1の点灯は継続させることができる。また、所定の温度で温度ヒューズが切断されるように設定しておくことで、温度特性抵抗素子7へ流れる電流を確実に遮断することができる。
【0035】
図7は、本発明の第5の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置10の一部拡大断面図である。本実施形態は、温度特性抵抗素子7の異常発熱時に点灯回路の構成部品を破壊させて点灯回路の発振を停止させる構成に特徴を有するものである。なお、電球形蛍光ランプ全体の構成や基本回路構成は図1および図2に示すものと同一であるため、その詳細な説明は省略する。
【0036】
温度特性抵抗素子7が異常発熱した場合、カバー体2が溶融等の不具合を防止する方法として、温度特性抵抗素子7が異常発熱したときに発生する熱を回路基板6に実装された比較的耐熱性の低い回路素子9に伝え比較的耐熱性の低い回路素子9を破壊すれば、点灯回路の発振を停止させることができる。このとき、破壊する対象の比較的耐熱性の低い回路素子9とは、例えば共振用コンデンサ、電界効果トランジスタ、電解コンデンサ等が挙げられる。これらは、耐熱性が低く、かつ破壊されると確実に発振が停止する素子である。
【0037】
温度特性抵抗素子7から3mm以内の空間または温度特性抵抗素子7から導出されたリード線25の温度特性抵抗素子7から10mm以内の部位から3mm以内の空間に比較的耐熱性の低い回路素子9の少なくとも一部が位置するように配設されていると、温度特性抵抗素子7の異常発熱時の熱が熱伝導、対流または輻射によって比較的耐熱性の低い回路素子9へ伝わり、自己の温度が上昇して、熱破壊し、回路素子としての機能が停止し、点灯回路の発振が停止することが実験により確認された。
【0038】
本実施形態では、図7に示すように温度特性抵抗素子7の本体から3mm以内の空間に比較的耐熱性の低い回路素子9の少なくとも一部が配設されている。このように比較的耐熱性の低い回路素子9を配設すると、温度特性抵抗素子7の異常発熱時の温度上昇によって熱破壊されて機能が停止し、点灯回路5の発振を停止させることができる。
【0039】
図8は、本発明の第6の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置10の一部拡大断面図である。
【0040】
本実施形態では、温度特性抵抗素子7から導出されたリード線25の温度特性抵抗素子7から10mm以内の部位からの離間寸法が3mm以内の領域内に比較的耐熱性の低い回路素子9の少なくとも一部が位置するように、比較的耐熱性の低い回路素子9が配設されている。
【0041】
温度特性抵抗素子7は、上述のとおりカバー体2の溶融を防止するために回路基板6中央に配設する必要があるが、本実施形態によれば、比較的耐熱性の低い回路素子9が温度特性抵抗素子7の周囲に配設されていない場合でも、リード線25を利用して熱影響を与えることが可能となり、回路素子9を熱破壊させることが可能となる。
【0042】
図9は、図7および図8の実施形態の変形例を示す一部拡大断面図である。図9に示すように温度特性抵抗素子7と比較的耐熱性の低い回路素子9とをシリコーン接着材14で接着してもよい。この構成にすることで、異常発熱した温度特性抵抗素子7の熱を熱伝導性の高いシリコーン接着材12によって回路素子9に伝えることができ、回路素子9の働きを確実に停止させることで、点灯回路5の発振を停止させることができる。
【0043】
図10ないし図11を参照して本発明の第7の実施形態を説明する。図10は、本実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置10の一部拡大断面図である。図11は、本実施形態の温度特性抵抗素子7と電界効果トランジスタとの接続関係を示す回路図の一部である。図12は本実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置10の一部拡大下面図である。なお、本実施形態は第5および第6の実施形態と同様に温度特性抵抗素子の温度上昇によって点灯回路の発振を停止させるものであり、破壊させる対象を電界効果トランジスタとした点に特徴を有している。
【0044】
温度特性抵抗素子7は回路基板6の一方の主面側に配設され、温度特性抵抗素子7から導出されたリード線25が回路基板6にあらかじめ形成された挿孔を介して回路基板6の他方の主面に形成された接続ランド27にはんだ28で接続されている。このランド27の隣りには電界効果トランジスタ26の接続端子の一部であるドレーン26Dの接続ランド29が形成されている。このランド29に電界効果トランジスタ26のドレーン26Dが接続されることで、リード線25とドレーン26Dとが配線パターン30を介して電気的に接続されている。温度特性抵抗素子7は発光管1に対して並列的に接続されておりその一端のリード線25が電界効果トランジスタ26のドレーン26Dと同電位で接続されている。ゲート26G、ソース26Sは回路基板に配線されたパターンを介して点灯回路素子に接続される。
【0045】
次に本実施形態の作用について説明する。温度特性抵抗素子7が異常発熱により温度上昇すると、温度特性抵抗素子7からリード線25およびランド27、29およびこれらを結ぶ配線パターン30を介して電界効果トランジスタ26のドレーン26Dに過剰な熱が伝わる。リード線25と電界効果トランジスタ26のドレーン26Dとを接続する配線パターン30は、主電流が流れるため比較的面積が大きめに形成されている。このため温度特性抵抗素子7から異常発熱時に発生する熱が電界効果トランジスタ26のドレーン26Dに伝わりやすい。ランド29に接続されるドレーン26Dは電界効果トランジスタ26のパッドであり、ランド28との接触部を広くすることができるので効率よく電界効果トランジスタ26に熱を伝えることができる。ここで、温度特性抵抗素子7のランド27とドレーン26Dをはんだ等の導電性物質で接続して熱伝導性を向上させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による実施形態の電球形蛍光ランプの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1、第2および第3の実施形態を示す電球形蛍光ランプの点灯回路の回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置の一部拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置の一部拡大断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置の一部拡大断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態を示す電球形蛍光ランプの点灯回路の回路図である。
【図7】本発明の第5の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置の一部拡大断面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置の一部拡大断面図である。
【図9】本発明の第5、6の実施形態の変形例を示す一部拡大断面図である。
【図10】本発明の第7の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置の一部拡大断面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯回路を示す回路図の一部である。
【図12】本発明の第7の実施形態の電球形蛍光ランプの点灯装置の一部拡大下面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 発光管
2 カバー体
3 口金
5 点灯回路
7 温度特性抵抗素子
10 点灯装置
12 接着材
21 変形部材
23 温度ヒューズ
26 電界効果トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に蛍光体層が形成されており、放電媒体が封入された発光管と;
この発光管を保持するとともに口金が取り付けられたカバー体と;
前記発光管を点灯させる点灯回路、前記点灯回路に接続され自己発熱に伴う温度上昇に応じて抵抗値が増減する温度特性抵抗素子およびこの温度特性抵抗素子の異常発熱時に前記温度特性抵抗素子を前記点灯回路から切り離すように動作する接続切断手段を有し、前記カバー体内に収容された点灯装置と;
を具備したことを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項2】
前記接続切断手段は、前記温度特性抵抗素子から導出された第1のリード線および前記第1のリード線と前記点灯回路を接続する第2のリード線の間を接続し、かつ130℃〜300℃の温度で溶融する接着材であることを特徴とする請求項1記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項3】
前記温度特性抵抗素子から接着材までの長さが10mm以内であることを特徴とする請求項2記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項4】
前記接続切断手段は、前記温度特性抵抗素子の異常発熱時に発生する熱によって変形し、前記温度特性抵抗素子を前記点灯回路から切り離す動作をするように前記点灯装置に配設された変形部材であることを特徴とする請求項1記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項5】
前記接続切断手段は、前記温度特性抵抗素子と直列に接続され、前記温度特性抵抗素子の異常発熱時に発生する熱によって非導通となる温度ヒューズであることを特徴とする請求項1記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項6】
内面に蛍光体層が形成されており、放電媒体が封入された発光管と;
この発光管を保持するとともに口金が取り付けられたカバー体と;
前記発光管を点灯させる点灯回路および自己発熱に伴う温度上昇に応じて抵抗値が増減
する温度特性抵抗素子を有し、この温度特性抵抗素子からの離間寸法が3mm以内の領域内および温度特性抵抗素子から導出されたリード線の導出長さ10mm以内の部位からの離間寸法が3mm以内の領域内に点灯回路の一部品であって比較的耐熱性の低い回路素子の少なくとも一部が位置するように各素子が配設され、前記カバー体内に収容された点灯装置と;
を具備したことを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項7】
内面に蛍光体層が形成されており、放電媒体が封入された発光管と;
この発光管を保持するとともに口金が取り付けられたカバー体と;
前記発光管を点灯させるようにスイッチング動作を行う電界効果トランジスタおよびこの電界効果トランジスタが実装される基板を有しており、前記カバー体内に収容されるとともに、前記発光管を点灯させる点灯回路と;
前記点灯回路の電界効果トランジスタの接続端子に隣接した前記基板位置にリード線が接続されて前記基板に実装されてなる自己発熱に伴う温度上昇に応じて抵抗値が増減する温度特性抵抗素子と;
を具備したことを特徴とする電球形蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−95475(P2007−95475A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282863(P2005−282863)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】