説明

電球形電灯の筐体の製造方法

【課題】インサート成形時のキャビティ内における金属製筐体の位置決めを向上させることが可能な電球形電灯の筐体の製造方法を提供する。
【解決手段】開閉可能な第1と第2の成形金型61,62を用いて金属製筐体20に対する樹脂製筐体のインサート成形により筐体を製造する場合に、第1の成形金型61に備えたすり鉢形凹面61Aに金属製筐体20の外面を当接させかつ、第2の成形金型62に備えたメイン押圧突部62Bを金属製筐体20の大径側端部に押し付けると共に、第2の成形金型62のうちインナー嵌合筒部31を成形するインナー成形面62Aから第1と第2の成形金型61,62の開閉方向に突出したサブ押圧突部62T,62Tを金属製筐体20の小径側端部に押し付けてから、溶融樹脂を第1と第2の成形金型61,62の間のキャビティ60Aへと射出して樹脂製筐体を成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基端部から先端部に向かって拡径し、その大径側端部に内蓋体が嵌め込まれる金属製筐体と、金属製筐体の内側に嵌合したインナー嵌合筒部を有する樹脂製筐体とを備えた電球形電灯の筐体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の電球形電灯の筐体の製造方法としては、金属製筐体と樹脂製筐体とを別々に製造しておき、金属製筐体の内側に樹脂製筐体を挿入して組み付けるという製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、樹脂製筐体を組み付けた金属製筐体のうち、樹脂製筐体で覆われていない大径側端部の内側に内蓋体を嵌め込んでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−206026号公報(段落[0014]〜[0018]、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した筐体をインサート成形によって一体的に製造する場合には、金属製筐体を射出成形金型で挟持する必要がある。
【0005】
しかしながら、金属製筐体の端部のみでの挟持では、キャビティ内における金属製筐体の位置がばらつき、インサート成形品の形状がばらつくという問題が起こり得る。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、インサート成形時のキャビティ内における金属製筐体の位置決めを向上させることが可能な電球形電灯の筐体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る電球形電灯の筐体の製造方法は、電球形電灯の口金側の基端部から口金と反対側の先端部に向かって拡径した筒状をなし、その大径側端部の内側に、発光素子実装基板を含む内蓋体が嵌め込まれる金属製筐体と、電球形電灯の基端部から先端部に向かって拡径した筒状をなして金属製筐体の内側に嵌合するインナー嵌合筒部を有する樹脂製筐体とを備えた電球形電灯の筐体を、開閉可能な成形金型内に金属製筐体を配置して樹脂製筐体を射出成形により製造する製造方法であって、一方の成形金型に金属製筐体の外面を当接させかつ、他方の成形金型に備えたメイン押圧突部を金属製筐体の大径側端部内面に押し付けると共に、他方の成形金型のうちインナー嵌合筒部を成形する成形面から成形金型の開閉方向に突出したサブ押圧突部を金属製筐体のうち軸方向の中間部より小径側部分の内面に押し付けてから、溶融樹脂を成形金型のキャビティ内へと射出して樹脂製筐体を成形するところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電球形電灯の筐体の製造方法において、金属製筐体における小径側端部の開口縁を内側に屈曲させて結合鍔部を形成しておき、結合鍔部がキャビティ内に張り出すようにしたところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の電球形電灯の筐体の製造方法において、結合鍔部の外面の一部に当接する鍔部当接面を一方の成形金型に設けておき、サブ押圧突部と鍔部当接面との間で、結合鍔部を挟持するところに特徴を有する。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の電球形電灯の筐体の製造方法において、成形金型を型閉めした状態で、サブ押圧突部と一方の成形金型のキャビティ面との間で金属製筐体の軸方向の中間部を挟持するようにしたところに特徴を有する。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の電球形電灯の筐体の製造方法において、金属製筐体の内面のうちインナー嵌合筒部に覆われる部分に予め接着剤を塗布しておくところに特徴を有する。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の電球形電灯の筐体の製造方法において、金属製筐体の内面のうちインナー嵌合筒部の大径側端部に覆われる部分を除いた全体に予め接着剤を塗布しておくところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
[請求項1の発明]
請求項1の発明によれば、成形金型を型閉めしたときに、金属製筐体の大径側端部が一方の成形金型のキャビティ面と他方の成形金型に備えたメイン押圧突部との間で挟持されると共に、金属製筐体の軸方向の中間部より小径側部分が、一方の成形金型のキャビティ面と他方の成形金型の成形面から成形金型の開閉方向に突出したサブ押圧突部との間で挟持される。即ち、キャビティ内の金属製筐体は、その大径側端部と、軸方向の中間部より小径側部分とで位置決めされるから、キャビティ内における金属製筐体の位置決めが向上する。これにより、筐体の形状のばらつきを防止することが可能になる。
【0014】
しかも、サブ押圧突部を設けたことで、インサート成形後の筐体には、樹脂製筐体を貫通して金属製筐体を筐体の内側に露出させた露出孔が形成されるから、この筐体を備えた電球形電灯では、筐体の内側の熱を露出孔を介して金属製筐体に伝えて放熱を行うことが可能となる。
【0015】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、金属製筐体における小径側端部の開口縁を内側に屈曲させて形成した結合鍔部が樹脂製筐体を構成する樹脂に埋設されるから、樹脂製筐体の成形と同時に、金属製筐体と樹脂製筐体とを抜け止め状態で結合することができる。
【0016】
[請求項3及び4の発明]
請求項3の発明によれば、樹脂製筐体のうち、結合鍔部の内面を覆った部分を貫通して結合鍔部の一部を筐体の内側に露出させた露出孔を形成することができる。そして、この筐体を備えた電球形電灯を、口金を上に向けた状態で使用した場合には、筐体内に籠もった熱が露出孔のある上側に向かって移動するので、より効果的に放熱を行うことができる。
【0017】
ここで、例えば、金属製筐体が結合鍔部を備えていない場合には、請求項4の発明のように、サブ押圧突部と一方の成形金型のキャビティ面との間で金属製筐体の軸方向の中間部を挟持するようにしてもよい。このようにすれば、樹脂製筐体のインナー嵌合筒部を貫通して金属製筐体の軸方向の中間部を筐体の内側に露出させた露出孔を形成することができ、その露出孔から筐体内の熱を金属製筐体に伝えて放熱を行うことができる。なお、結合鍔部の有無に拘わらず、金属製筐体の軸方向の中間部をサブ押圧突部と一方の成形金型のキャビティ面との間で挟持するようにしてもよい。
【0018】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、樹脂製筐体の成形及び、その樹脂製筐体におけるインナー嵌合筒部と金属製筐体との固着を同一工程で行うことができる。インナー嵌合筒部と金属製筐体とを固着したことで、金属製筐体と樹脂製筐体との相対回転を禁止することができると共に、電球形電灯の筐体全体が捻られるトーション負荷や、筐体全体が曲げられるモーメント負荷や、筐体全体が挟持されて潰される挟持負荷に対する強度を向上させることができる。
【0019】
[請求項6の発明]
請求項6の発明によれば、筐体の強度向上を図りつつ、生産性の向上を図ることができる。詳細には、金属製筐体の内面のうちインナー嵌合筒部の大径側端部に覆われる部分を除いた全体に接着剤を塗布しておくようにしたことで、インナー嵌合筒部の大径側端部以外の全体が金属製筐体と固着された状態となる一方、金属製筐体の大径側端部が金属製筐体と固着されていない状態となる。
【0020】
そして、インナー嵌合筒部の大径側端部以外の全体が金属製筐体と固着された状態となることで、電球形電灯の筐体全体にトーション負荷やモーメント負荷や挟持負荷がかかっても、金属製筐体の小径側端部及び、金属製筐体の軸方向の中間部の変形が防がれる。さらに、上記したように金属製筐体の大径側端部は、内蓋体によって内側から支持されているので、上記トーション負荷等による金属製筐体の大径側端部の変形も防がれる。即ち、請求項6の発明によれば、金属製筐体にインナー嵌合筒部を固着せずに組み付けただけのものに比べて強度が高い電球形電灯の筐体を提供することが可能になる。
【0021】
また、例えば、インナー嵌合筒部の外面全体が金属製筐体に固着されていると、金属製筐体の全体が変形し難くなるので、内蓋体の形状のばらつきを大径側端部の変形によって吸収することが困難になり、NG品が発生したり、組み立てに手間を要する等の問題が生じ、生産効率向上の妨げとなりうる。
【0022】
これに対し、請求項6の発明によれば、インナー嵌合筒部の大径側端部が金属製筐体と固着されていない状態となることで、金属製筐体の大径側端部は、内蓋体を嵌め込む前の状態では、正規の断面形状から歪んだ断面形状へと容易に変形する。これにより、内蓋体の形状のばらつきを金属製筐体の大径側端部の変形によって容易に吸収することができ、NG品の発生を抑えて生産性を高くすることができる。即ち、請求項6の発明によれば、金属製筐体にインナー嵌合筒部の全体を固着して組み付けたものに比べて生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電球形電灯の側面図
【図2】電球形電灯の側断面図
【図3】放熱部材及び素子実装基板の平面図
【図4】金属製筐体の平面図
【図5】電球形電灯の筐体を大径側端部から見た斜視図
【図6】筐体の平面図
【図7】図6におけるX−X切断面における断面図
【図8】図6におけるY−Y切断面における断面図
【図9】筐体の大径側端部における拡大断面図
【図10】筐体のインサート成形用金型を型開き状態にしたときの側断面図
【図11】筐体のインサート成形用金型を型閉め状態にしたときの側断面図
【図12】第2実施形態に係るインサート成形用金型の側断面図
【図13】そのインサート成形用金型で成形された筐体の側断面図
【図14】変形例に係る筐体の側断面図
【図15】(A)変形例に係る成形金型の側断面図、(B)その成形金型で成形された筐体の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を、図1〜図11に基づいて説明する。図1及び図2には、本発明に係る電球形電灯10の全体が示されている。この電球形電灯10は、一般的に「LED電球」と称されるものであって、透光カバー12と筐体13とで構成されたボディ11の内側に、「発光素子」としてのLED14が実装された素子実装基板15と、LED14を駆動するためのドライバモジュール16とを収容している。なお、発光素子はLEDに限定するものではなく、例えば、エレクトロルミネッセンスでもよい。
【0025】
透光カバー12は、透明又は半透明な樹脂又はガラスで構成されており、筐体13から膨出したドーム形となっている。これに対し、筐体13は、口金17側の基端部から透光カバー12側の先端部に向かってテーパー状に拡径している。そして、図2に示すように、筐体13の大径側端部に素子実装基板15が配置されており、その素子実装基板15が筐体13の大径側端部に装着された透光カバー12によって覆われている。図2及び図3に示すように、素子実装基板15は、例えば、矩形平板状をなしており、透光カバー12との対向面に複数のLED14,14・・・が分散配置され、その裏面にはコネクタ15Cが実装されている。また、素子実装基板15の裏面には、LED14,14・・・から発生した熱を筐体13に逃がすために、金属製(例えば、アルミニウム製)の放熱部材40が宛がわれており、その放熱部材40が筐体13の大径側端部の内側に嵌合装着されている。なお、素子実装基板15と放熱部材40とで、本発明の「内蓋体」が構成されている。
【0026】
筐体13は、金属製筐体20と樹脂製筐体30とから構成されている。金属製筐体20は、ヒートシンクとして機能するように熱伝導性のよい金属(例えば、アルミニウム)で構成されている。一方、樹脂製筐体30は、筐体13内に収容したドライバモジュール16と金属製筐体20とを電気的に絶縁するために絶縁性の樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂)で構成されている。なお、金属製筐体20及び樹脂製筐体30は、熱伝導性のよいその他の金属及び樹脂で構成してもよい。
【0027】
金属製筐体20は、プレス成形品であって、口金17から素子実装基板15に向かってテーパー状に拡径した筒状(漏斗形)をなすと共に、その小径側端部の開口縁を内側に屈曲させて円環状の結合鍔部22が形成されている。また、図4に示すように、結合鍔部22には、その内周縁を、例えば、矩形状に切り欠いた切り欠き部24が周方向に間隔を開けて複数形成されている。本実施形態では、結合鍔部22の周方向で互いに180度離れた2カ所に切り欠き部24,24が形成されている。
【0028】
結合鍔部22の内縁部は、樹脂製筐体30を構成する樹脂に埋設されている。また、その埋設部分において、結合鍔部22の内縁部に形成された切り欠き部24,24と樹脂製筐体30とが凹凸係合している。
【0029】
樹脂製筐体30は、金属製筐体20の内側に嵌合したインナー嵌合筒部31と、金属製筐体20の小径側端部から金属製筐体20の外側に突出した外側突出部32とを備えている。インナー嵌合筒部31は、金属製筐体20の内面形状に対応した形状、具体的には、素子実装基板15に向かってテーパー状に拡径した筒状(漏斗形)をなし、金属製筐体20のテーパー内面を覆っている。また、図5及び図7に示すように、インナー嵌合筒部31の大径側端部は、金属製筐体20の大径側端部よりも小径側に一定幅でずらされている。即ち、金属製筐体20の大径側端部には、樹脂製筐体30に覆われることなく内側に露出した内面露出部23が全周に亘って設けられている。
【0030】
図7に示すように、インナー嵌合筒部31の小径側端部からは円環状の鍔被覆部33が内側に向かって突出しており、その鍔被覆部33が金属製筐体20の結合鍔部22の内面を覆っている。
【0031】
図5及び図6に示すように、鍔被覆部33には、周方向で等間隔に複数の鍔部露出孔33A,33Aが形成されている。鍔部露出孔33A,33Aは、鍔被覆部33を金属製筐体20の軸方向で貫通している(図2参照)。そして、これら鍔部露出孔33A,33Aによって、結合鍔部22の内面の一部が樹脂製筐体30の内側に露出している。
【0032】
鍔部露出孔33A,33Aが設けられたことで、筐体13内に籠もった熱(ドライバモジュール16から発生した熱)が金属製筐体20に伝わって、金属製筐体20から放熱される。例えば、口金17を上にした状態で電球形電灯10を使用した場合には、筐体13内の暖気が鍔部露出孔33A,33Aのある上方へと移動するので、鍔部露出孔33A,33Aが特に効果的である。
【0033】
図7に示すように、樹脂製筐体30の外側突出部32は、インナー嵌合筒部31と同軸の円筒形をなしている。外側突出部32は鍔被覆部33の内縁部から起立しており、それら鍔被覆部33と外側突出部32との境界部分には、金属製筐体20における結合鍔部22の内縁部が埋設されている。
【0034】
外側突出部32は、鍔被覆部33(インナー嵌合筒部31)に近い方から順に、大径筒部32A、中径筒部32B、小径筒部32Cとなっており、その順に段階的に外径が小さくなっている。鍔被覆部33から最も離れた小径筒部32Cの外周面にはねじ山が形成されており(図1及び図2参照)、ここに一端有底筒形のねじ式口金17(E形口金)が螺合されている。そして、口金17の開口端寄り部分が、中径筒部32Bの外側に嵌合してカシメ固定されている。
【0035】
図2に示すように、外側突出部32(中径筒部32B及び小径筒部32C)の外側に装着された口金17の開口端は、中径筒部32Bと大径筒部32Aとの間の段差面32Dに突き当てられており、それ以上、金属製筐体20に接近することが禁止される。つまり、口金17と金属製筐体20とが大径筒部32Aの軸長分だけ離して配置され、口金17と金属製筐体20との間を電気的に絶縁することができる。
【0036】
樹脂製筐体30の内側にはドライバモジュール16が収容されている。ドライバモジュール16は、例えば、コンデンサやスイッチング素子等の複数の電気部品16E,16E・・・を回路基板16Kに実装した構造をなし、商用電源の交流を直流に変換してLED14,14・・・に定電流の直流電流を供給する。図2に示すように、回路基板16Kは、樹脂製筐体30の軸方向に延びた縦長平板状をなしており、インナー嵌合筒部31と外側突出部32とに跨って収容されている。また、回路基板16Kは、インナー嵌合筒部31に収容された部分が外側突出部32に収容された部分に対して幅広となっている(図7参照)。さらに、回路基板16Kに実装された電気部品16E,16E・・・は、樹脂製筐体30及び放熱部材40から離されている。
【0037】
図2に示すように、ドライバモジュール16からは複数本のリード線16A,16Bが延びている。ドライバモジュール16の出力部から延びたリード線16A,16Aは、素子実装基板15のコネクタ15Cに接続されている。
【0038】
一方、ドライバモジュール16の入力部から延びたリード線16B,16Bは、口金17に接続(ハンダ付け)されている。詳細には、外側突出部32の筒壁を貫通したリード線挿通孔32Eと、外側突出部32の末端開口32Fとからリード線16B,16Bが引き出されて、それぞれ口金17の筒壁及び底壁に接続されている。
【0039】
図2に示すように、樹脂製筐体30のうち外側突出部32の内側には、ドライバモジュール16を保持するための保持部38が形成されている。保持部38は、外側突出部32の筒壁内面から張り出しかつ挿通孔38Cを挟んで配置された1対の基板突当壁38A,38Aと、両基板突当壁38A,38Aからそれぞれドライバモジュール16側に起立した基板挟持壁38B,38Bとを備えている(図6参照)。
【0040】
図2及び図7に示すように、ドライバモジュール16の回路基板16Kは、その長手方向の一端部が基板突当壁38A,38Aに突き当てられかつ、その一端部が基板挟持壁38B,38Bのスリット部38S,38Sに挿入されている。
【0041】
図5に示すように、樹脂製筐体30のうちインナー嵌合筒部31の内面には、複数の補強リブ34,34・・・が形成されている。補強リブ34,34・・・は、インナー嵌合筒部31の内面から突出しかつ軸方向と平行に延びている。補強リブ34,34・・・は、インナー嵌合筒部31の大径側端部及び小径側端部から共に離れた軸方向の中間部に形成されている。また、補強リブ34,34・・・のうち、樹脂製筐体30の内側を向いた内側辺は樹脂製筐体30の軸方向と平行であり、大径側端部の方を向いた先端面は、樹脂製筐体30の軸方向と直交した同一平面で揃えられている(図7及び図8参照)。
【0042】
本実施形態では、図6に示すように、補強リブ34,34・・・が全部で8つ設けられており、隣同士になった2つの補強リブ34,34が対をなしている。そして、対をなした2つの補強リブ34,34を間に挟んで、素子実装基板15及び放熱部材40を固定支持した固定支持柱35,35・・・が設けられている。
【0043】
固定支持柱35,35・・・は、インナー嵌合筒部31の内面から樹脂製筐体30の軸方向と平行に大径側端部に向かって起立しかつ、軸心部にビス締結孔を備えた円柱構造をなしている。ここで、固定支持柱35,35・・・の先端面は、補強リブ34の先端面よりもインナー嵌合筒部31の大径側端部の方に突出しかつ、インナー嵌合筒部31の大径側端部よりも小径側端部の方に位置している(図8参照)。
【0044】
インナー嵌合筒部31の内面には位置決めリブ37が形成されている。図7に示すように、位置決めリブ37は、補強リブ34と同様にインナー嵌合筒部31の内面から突出しかつ軸方向と平行に延びている。また、位置決めリブ37は、補強リブ34よりも厚肉であり、補強リブ34の先端面よりもインナー嵌合筒部31の大径側端部の方に突出している(図6及び図7参照)。
【0045】
インナー嵌合筒部31の内面には、補強リブ34,34に加えて1対の補強壁36,36が形成されている。これら補強壁36,36は、インナー嵌合筒部31の内面から樹脂製筐体30の軸方向と平行に起立しており、インナー嵌合筒部31の径方向、より詳細には、基板突当壁38A,38Aの並び方向で対向配置されている(図6参照)。そして、各補強壁36,36は、2つの固定支持柱35,35とそれら2つの固定支持柱35,35の間で対をなした2つの補強リブ34,34とを連結している。
【0046】
筐体13の大径側端部に嵌合装着された放熱部材40は、円板形の底壁41と、底壁41の外周縁から曲げ起こされた円環状の周壁42とから構成されている。
【0047】
放熱部材40の底壁41には、前記固定支持柱35,35の数及び配置と一致するように複数(本実施形態では、4つ)のビス孔41A,41A・・・が貫通形成されており、その底壁41上に載置された素子実装基板15にも、固定支持柱35,35の数及び配置と一致するように複数(本実施形態では、4つ)のビス孔15A,15A・・・が貫通形成されている(図3参照)。そして、素子実装基板15と放熱部材40は、それぞれのビス孔15A,41Aを貫通したビス(図示せず)によって固定支持柱35,35・・・の先端、即ち、筐体13の大径側端部に固定支持されている。なお、図3には、素子実装基板15に貫通形成された4つのビス孔15A,15A・・・のうちの3つと、放熱部材40に貫通形成された4つのビス孔40A,40A・・・のうちの1つが示されている。また、図示しないが、放熱部材40の底壁41には、コネクタ用開口が貫通形成され、そのコネクタ用開口に素子実装基板15のコネクタ15Cが挿通されている。
【0048】
図2に示すように、放熱部材40の周壁42は、底壁41から離れるに従って拡径している。詳細には、周壁42は、底壁41の外周縁からテーパー状に拡径した第1拡径部42Aと、第1拡径部42Aの大径側端部から径方向外側に張り出した環状段差部42Bと、環状段差部42Bの外周縁からテーパー状に拡径した第2拡径部42Cとを有している。そして、図9に示すように、第1拡径部42Aが樹脂製筐体30の大径側端部の内側に遊嵌すると共に、第2拡径部42Cが金属製筐体20の大径側端部における内面露出部23に接触状態で嵌合し、環状段差部42Bにインナー嵌合筒部31の大径側端部が突き合わされている。そして、第2拡径部42Cと内面露出部23とがカシメ固定されて、両者が接触状態に保持されている。
【0049】
これにより、金属製筐体20のうち放熱部材40より口金17側の全体が、インナー嵌合筒部31によって内側から支持されると共に、金属製筐体20のうちインナー嵌合筒部31より先の大径側端部が、放熱部材40によって内側から支持され、金属製筐体20の外面が局所的に加圧されるような負荷を受けても、その負荷による金属製筐体20の陥没変形を防ぐことが可能となっている。
【0050】
また、発光素子実装基板15と金属製筐体20との間が放熱部材40によって連絡され、LED14,14・・・から発生した熱を金属製筐体20に伝えて放熱することが可能となっている。ここで、口金17を下にした状態で電球形電灯10を使用した場合には、樹脂製筐体30内の暖気が放熱部材40のある上方へと移動するので、放熱部材40が特に効果的となる。
【0051】
図3に示すように、放熱部材40には、その外縁部の一部を長孔状に切除した位置決め凹部43が形成されている。放熱部材40を筐体13の大径側端部に嵌合装着する際に、位置決め凹部43と樹脂製筐体30に形成された位置決めリブ37(図6参照)とを凹凸係合させると、放熱部材40の各ビス孔41A,41A・・・と、樹脂製筐体30の固定支持柱35,35・・・とが同軸線上に位置決めされるようになっている。
【0052】
ここで、樹脂製筐体30におけるインナー嵌合筒部31は、金属製筐体20の内面に対して、熱伝導性のよい接着剤(図示せず)によって固着されている。即ち、図9に示すように、インナー嵌合筒部31は、その大径側端部を除く全体(以下、「固着支持筒部31A」という)が接着剤によって金属製筐体20と固着した状態で金属製筐体20を内側から支持している。
【0053】
これにより、例えば、電球形電灯10を照明器具のソケットにねじ込む際に筐体13全体にトーション負荷がかかったり、ソケットに対して斜めに傾いた状態で挿し込むことで筐体13にモーメント負荷がかかったり、筐体13を強く握り過ぎて挟持負荷がかかったりしても、金属製筐体20の小径側端部及び、金属製筐体20の軸方向の中間部の変形が防がれる。さらに、上記したように金属製筐体20の大径側端部は、放熱部材40によって内側から支持されているので、上記トーション負荷等による金属製筐体20の大径側端部の変形も防がれる。
【0054】
そして、インナー嵌合筒部31はその大径側端部、詳細には、インナー嵌合筒部31の軸方向の中間位置P1より放熱部材40(内面露出部23)側の部分(以下、「非固着支持筒部31B」という)が、金属製筐体20に固着されていない状態で金属製筐体20のテーパー内面に宛がわれて、金属製筐体20を内側から支持している。この非固着支持筒部31Bを設けたことにより、金属製筐体20の大径側端部は、放熱部材40を嵌め込む前の状態では、正規の断面形状から歪んだ断面形状へと容易に変形可能となる。
【0055】
ここで、中間位置P1は、インナー嵌合筒部31の大径側の端面から小径端端部の側に所定距離L1だけ離れた放熱部材40(内面露出部23)寄りの位置であり、本実施形態では、補強リブ34の先端面と略同一位置、具体的には、インナー嵌合筒部31の大径側の端面から約5[mm]離れた位置となっている。
【0056】
以上が、本実施形態の電球形電灯10及びその筐体13の構成であって、次に、電球形電灯10及び筐体13の製造方法について説明する。筐体13の製造方法は以下のようである。
【0057】
まずは、板金をプレス加工して金属製筐体20を成形する。次いで、成形された金属製筐体20の内面のうち、インナー嵌合筒部31で覆われる部分に接着剤(ここでは、ホットメルト)を塗布する。接着剤の塗布は、インナー嵌合筒部31の大径側端部で覆われる部分(中間位置P1より内面露出部23側)及び内面露出部23とする部分に接着剤が塗布されないようにマスキングをして行う。なお、接着剤は、電球形電灯10を通常使用したときの発熱で軟化しないものを使用する。
【0058】
接着剤が乾燥したら、インサート成形用金型60(図10及び図11参照)に金属製筐体20を配置して射出成形(インサート成形)を行う。即ち、図11に示すように、インサート成形用金型60のキャビティ60A内に金属製筐体20を固定保持した状態で、そのキャビティ60A内に、樹脂製筐体30を構成する溶融樹脂を射出し、金属製筐体20と樹脂製筐体30とが一体に結合した筐体13を成形する。
【0059】
ここで、インサート成形用金型60は、例えば、固定型である第1の成形金型61(本発明の「一方の成形金型」に相当する)と、可動型である第2の成形金型62(本発明の「他方の成形金型」に相当する)とから構成されている。
【0060】
より詳細には、第1の成形金型61のキャビティ面は、テーパー状に縮径したすり鉢形凹面61Aと、そのすり鉢形凹面61Aの小径側端部から内側に突出した鍔部当接面61Bとを有している。一方、第2の成形金型62は、インナー嵌合筒部31の内面を成形するインナー成形面62Aの基端部を段付き状に拡径させたメイン押圧突部62Bと、インナー成形面62Aのうち鍔被覆部33を成形する成形面から第1と第2の成形金型61,62の開閉方向に突出した複数のサブ押圧突部62T,62Tを備えている。これら複数のサブ押圧突部62T,62Tは、第2の成形金型62の軸回りに均等配置されている。
【0061】
そして、図10に示すように、型開き状態で第1の成形金型61に金属製筐体20を嵌め込んでから第2の成形金型62を閉じて型閉め状態にすると、図11に示すように、第1の成形金型61のすり鉢形凹面61Aと第2の成形金型62のメイン押圧突部62Bとの間で、金属製筐体20の大径側端部が全周に亘って挟持される。
【0062】
また、第1の成形金型61の鍔部当接面61Bと第2の成形金型62に備えたサブ押圧突部62T,62Tとの間で金属製筐体20の小径側端部である結合鍔部22が挟持される。このように、第1と第2の成形金型61,62の間で金属製筐体20の大径側端部と小径側端部とが挟持されることで、金属製筐体20がキャビティ60A内で心出しされかつ、移動不能に固定される。
【0063】
この状態でキャビティ60Aに樹脂製筐体30を構成する樹脂を射出すると、キャビティ60A内に充填された樹脂によって樹脂製筐体30が成形されると共に、その樹脂の熱で金属製筐体20の内面に塗布された接着剤が溶融し、樹脂製筐体30のインナー嵌合筒部31と金属製筐体20とが接着剤によって固着する。つまり、樹脂製筐体30の成形及びインナー嵌合筒部31と金属製筐体20との固着が、同一工程で行われる。
【0064】
このとき、第1の成形金型61のすり鉢形凹面61Aと第2の成形金型62のメイン押圧突部62Bとの間で挟持された金属製筐体20の大径側端部には、樹脂製筐体30で被覆されずに内側に露出した内面露出部23が形成される。また、結合鍔部22の内面が鍔被覆部33で覆われると共に、サブ押圧突部62T,62Tが突き当てられた部分には、鍔被覆部33を貫通した鍔部露出孔33A,33Aが形成される。
【0065】
また、図11に示す型閉め状態において、金属製筐体20における結合鍔部22の内縁部は、キャビティ60A内に張り出しており、その張り出した結合鍔部22の内縁部が樹脂製筐体30を構成する樹脂に埋設される。即ち、上記したように、樹脂製筐体30における鍔被覆部33と外側突出部32との境界部分に、結合鍔部22の内縁部が全周に亘って埋設される(図7及び図8参照)。これにより、樹脂製筐体30の成形と同時に樹脂製筐体30と金属製筐体20とが抜け止め状態で結合される。
【0066】
さらに、結合鍔部22の内縁部に形成された切り欠き部24,24(図4参照)に、樹脂製筐体30を構成する樹脂が入り込んで硬化することにより、樹脂製筐体30と金属製筐体20とが周方向で係合して、両者の相対回転が禁止(回り止め)される。
【0067】
キャビティ60A内の樹脂製筐体30及び接着剤が固まったら、インサート成形用金型60を型開きして筐体13を抜き取る。以上が筐体13の製造方法である。
【0068】
電球形電灯10の製造方法は以下のようである。まずは、筐体13(樹脂製筐体30)の内側にドライバモジュール16を組み付ける。具体的には、筐体13の大径側端部からドライバモジュール16を挿入し、基板挟持壁38B,38Bのスリット部38S,38Sに回路基板16Kを挿入して挟持させる。このとき、回路基板16Kの長手方向に延びた両側辺を基板支持壁39,39に摺接させながら挿入することで、回路基板16Kをスムーズにスリット部38S,38Sに挿入することができる。
【0069】
次に、ドライバモジュール16から延びた入力側のリード線16B,16Bを、外側突出部32の末端開口32F及びリード線挿通孔32Eから引き出す。次いで、外側突出部32の外側に口金17を装着する共に、リード線16B,16Bを口金17の所定部位に接続(ハンダ付け)する。
【0070】
次に、放熱部材40及び素子実装基板15を筐体13に取り付ける。具体的には、ドライバモジュール16の出力側のリード線16A,16Aを、放熱部材40のコネクタ用開口(図示せず)に通して素子実装基板15のコネクタ15Cに接続しておき、放熱部材40の位置決め凹部43と樹脂製筐体30の位置決めリブ37とを凹凸係合させて、放熱部材40を筐体13の大径側端部の内側に嵌め込む。
【0071】
ここで上記したように、金属製筐体20の大径側端部は、放熱部材40を嵌め込む前の状態では、正規の断面形状から歪んだ断面形状へと容易に変形する。これにより、放熱部材40の形状のばらつきを金属製筐体20の大径側端部の変形によって容易に吸収することができる。
【0072】
次に、放熱部材40及び素子実装基板15を樹脂製筐体30にビス止めする。即ち、放熱部材40上に素子実装基板15を載置して、両者のビス孔15A,41Aの位置を合わせ、それらビス孔15A,41Aに挿入したビスを固定支持柱35,35に締め付ける。
【0073】
放熱部材40及び発光素子実装基板15を筐体13に固定したら、放熱部材40の周壁42(第2拡径部42C)と金属製筐体20の大径側端部とをかしめて、両者を接触状態のまま固定する。最後に、筐体13の大径側端部に透光カバー12を装着する。以上が電球形電灯10の製造方法である。
【0074】
このように、本実施形態の製造方法によれば、第1と第2の成形金型61,62を型閉めしたときに、金属製筐体20の大径側端部が第1の成形金型61に備えたすり鉢形凹面61Aと第2の成形金型62に備えたメイン押圧突部62Bとの間で挟持されると共に、金属製筐体20の小径側端部に備えた結合鍔部22が、第2の成形金型62のサブ押圧突部62T,62Tと第1の成形金型61に備えた鍔部当接面61Bとの間で挟まれる。即ち、金属製筐体20の大径側端部だけでなく、金属製筐体20の小径側端部も挟持することができ、キャビティ60A内における金属製筐体20の位置決めが向上する。これにより、筐体13の形状のばらつきを防止することが可能になる。
【0075】
しかも、サブ押圧突部62T,62Tを設けたことで、インサート成形後の筐体13には、樹脂製筐体30を貫通して金属製筐体20を筐体13の内側に露出させた鍔部露出孔33A,33Aが形成されるから、この筐体13を備えた電球形電灯10では、筐体13の内側の熱を鍔部露出孔33A,33Aを介して金属製筐体20に伝えて放熱を行うことが可能となる。
【0076】
また、インナー嵌合筒部31の大径側端部を除く全体(固着支持筒部31A)が、金属製筐体20に固着した状態で金属製筐体20を内側から支持するので、電球形電灯10の筐体13全体に、トーション負荷やモーメント負荷や挟持負荷がかかっても、金属製筐体20の小径側端部及び、金属製筐体20の軸方向の中間部の変形が防がれる。また、金属製筐体20の大径側端部は、放熱部材40によって内側から支持されているので、上記トーション負荷等による金属製筐体20の大径側端部の変形も防がれる。即ち、本実施形態によれば、金属製筐体20にインナー嵌合筒部31を固着せずに組み付けただけのものに比べて強度を向上させることができる。
【0077】
そして、インナー嵌合筒部31の大径側端部(非固着支持筒部31B)が、金属製筐体20に固着されていない状態で金属製筐体20を内側から支持するので、金属製筐体20の大径側端部は、放熱部材40を嵌め込む前の状態では、正規の断面形状から歪んだ断面形状へと容易に変形する。これにより、放熱部材40の形状のばらつきを金属製筐体20の大径側端部の変形によって容易に吸収することができ、NG品の発生を抑えて生産性を高くすることができる。即ち、本実施形態によれば、金属製筐体20にインナー嵌合筒部31の全体を固着して組み付けたものに比べて、生産性を向上させることができる。
【0078】
なお、本実施形態のように、金属製筐体20とインナー嵌合筒部31とを固着させた筐体13は、全く固着していない筐体に比べて、電球形電灯10の内部の温度上昇を抑える(効果的に放熱を行う)ことが可能になる。
【0079】
[第2実施形態]
この第2実施形態は、筐体13を製造するためのインサート成形用金型60の形状が第1実施形態とは異なる。即ち、上記第1実施形態では、第2の成形金型62のインナー成形面62Aから突出した複数のサブ押圧突部62T,62Tが、鍔部当接面61Bとの間で金属製筐体20の結合鍔壁22を挟持するように構成されていたが、本実施形態では、図12に示すように、サブ押圧突部62T,62Tとすり鉢形凹面61Aとの間で金属製筐体20の軸方向の中間部を、第1及び第2の成形金型61,62の開閉方向で挟持するように構成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同一であるので、重複する説明は省略する。
【0080】
本実施形態のインサート成形用金型60を用いて筐体13を製造すると、図13に示すように、インナー嵌合筒部31をその軸方向と平行に貫通して金属製筐体20のテーパー内面を樹脂製筐体30の内側に露出させた筒部内面露出孔31A,31Aが形成される。これら筒部内面露出孔31A,31Aを介して筐体13内の熱を金属製筐体20に伝えて放熱を行うことが可能となる。即ち、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同等の効果を奏する。なお、サブ押圧突部62T,62Tによって形成される筒部内面露出孔31Aは、樹脂製筐体30の軸方向と直交する方向から筒部内面露出孔31Aを見たときに、その筒部内面露出孔31Aを通して金属製筐体20のテーパー内面が見えないような大きさとすることが好ましい。また、例えば、図14に示すように、インナー嵌合筒部31のうち、補強壁36と重なった部分に筒部内面露出孔31Aが形成されるようにサブ押圧突部62Tを配置してもよい。なお、金属製筐体20の軸方向の中間部と結合鍔部22との両方に、サブ押圧突部62T,62Tが押し付けられるようにサブ押圧突部62T,62Tを配置してもよい。即ち、樹脂製筐体30に、筒部内面露出孔31Aと鍔部露出孔33Aの両方が形成されるように構成してもよい。
【0081】
さらに、サブ押圧突部62T,62Tは、必ずしも軸状に突出していなくてもよく、例えば、図15(A)に示すように、型開き時にアンダーカットにならない形状で成形金型61,62の開閉方向に突出形成されていてもよい。なお、同図(B)は、この成形金型61,62で成形された筐体13の側断面図である。
【0082】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0083】
(1)上記実施形態では、樹脂製筐体30のインナー嵌合筒部31の外面と金属製筐体20の内面との固着を、接着剤によって行っていたが、金属製筐体20の内面に細かな凹凸面を形成してインサート成形を行い、樹脂製筐体30を構成する樹脂が金属製筐体20の内面の凹凸に入り込んで硬化することによるアンカー効果によって、インナー嵌合筒部31と金属製筐体20とを固着させてもよい。
【0084】
(2)上記実施形態では、金属製筐体20に形成した結合鍔部22を樹脂製筐体30を構成する樹脂に埋設して抜け止め状態に結合していたが、金属製筐体20とインナー嵌合筒部31との固着強度が十分に確保できれば、このような埋設構造を備えていなくてもよい。
【0085】
(3)また、上記実施形態では、金属製筐体20と樹脂製筐体30とを回り止めするために、結合鍔部22の内縁部に切り欠き部24,24を形成していたが、インナー嵌合筒部31との固着強度が十分に確保できれば、切り欠き部を設けなくてもよい。
【0086】
(4)上記実施形態の筐体13のうち、金属製筐体20及び樹脂製筐体30のインナー嵌合筒部31の形状は、テーパー形状(円錐形)に限定するものではなく、小径側端部から大径側端部に向かって湾曲しながら拡径したラッパ形又は砲弾形でもよい。
【0087】
(5)上記実施形態の樹脂製筐体30の内部に形成された補強リブ34や固定支持柱35の配置や形状及び、ドライバモジュール16の配置や保持構造は、上記実施形態の構成に限定するものではなく、適宜変更してもよい。
【0088】
(6)上記実施形態では、素子発光基板15の裏面に放熱部材40を宛がって、その放熱部材40の外縁部を金属製筐体20の内面露出部23に接触させていたが、素子発光基板15をセラミックス基板や金属ベース基板(例えば、アルミベース基板)等の高熱伝導性の基板で構成してその外縁部を直接、金属製筐体20の内面露出部24に接触させた構成でもよい。即ち、本発明に係る「内蓋体」は、素子実装基板15のみで構成してもよい。
【0089】
(7)上記実施形態では、第1の成形金型61にすり鉢状凹面61Aに金属製筐体20を嵌め込んでから型閉じを行っていたが、第2の成形金型62のインナー成形面62Aに金属製筐体20を嵌め込んでから型閉じを行ってもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 電球形電灯
13 筐体
14 LED(発光素子)
15 素子実装基板
17 口金
20 金属製筐体
22 結合鍔部
30 樹脂製筐体
31 インナー嵌合筒部
40 放熱部材(内蓋体)
60A キャビティ
61 第1の成形金型(一方の成形金型)
61A すり鉢形凹面
61B 鍔部当接面
62 第2の成形金型(他方の成形金型)
62B メイン押圧突部
62T サブ押圧突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電球形電灯の口金側の基端部から前記口金と反対側の先端部に向かって拡径した筒状をなし、その大径側端部の内側に、発光素子実装基板を含む内蓋体が嵌め込まれる金属製筐体と、
前記電球形電灯の前記基端部から前記先端部に向かって拡径した筒状をなして前記金属製筐体の内側に嵌合するインナー嵌合筒部を有する樹脂製筐体とを備えた電球形電灯の筐体を、開閉可能な成形金型内に前記金属製筐体を配置して前記樹脂製筐体を射出成形により製造する製造方法であって、
一方の成形金型に前記金属製筐体の外面を当接させかつ、他方の成形金型に備えたメイン押圧突部を前記金属製筐体の大径側端部内面に押し付けると共に、前記他方の成形金型のうち前記インナー嵌合筒部を成形する成形面から前記成形金型の開閉方向に突出したサブ押圧突部を前記金属製筐体のうち軸方向の中間部より小径側部分の内面に押し付けてから、溶融樹脂を前記成形金型のキャビティ内へと射出して前記樹脂製筐体を成形することを特徴とする電球形電灯の筐体の製造方法。
【請求項2】
前記金属製筐体における前記小径側端部の開口縁を内側に屈曲させて結合鍔部を形成しておき、前記結合鍔部が前記キャビティ内に張り出すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電球形電灯の筐体の製造方法。
【請求項3】
前記結合鍔部の外面の一部に当接する鍔部当接面を前記一方の成形金型に設けておき、前記サブ押圧突部と前記鍔部当接面との間で、前記結合鍔部を挟持することを特徴とする請求項2に記載の電球形電灯の筐体の製造方法。
【請求項4】
前記成形金型を型閉めした状態で、前記サブ押圧突部と前記一方の成形金型のキャビティ面との間で前記金属製筐体の軸方向の中間部を挟持するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の電球形電灯の筐体の製造方法。
【請求項5】
前記金属製筐体の内面のうち前記インナー嵌合筒部に覆われる部分に予め接着剤を塗布しておくことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の電球形電灯の筐体の製造方法。
【請求項6】
前記金属製筐体の内面のうち前記インナー嵌合筒部の大径側端部に覆われる部分を除いた全体に予め接着剤を塗布しておくことを特徴とする請求項5に記載の電球形電灯の筐体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−10290(P2013−10290A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145322(P2011−145322)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】