説明

電着プライマー組成物

本発明は、触媒的に活性な芯・鞘型粒子を含む電着プライマー組成物に関する。この電着プライマー組成物は、特に自動車ボディまたはその部品の塗膜形成用の陰極浸漬塗装に利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バインダー水分散液と架橋剤と細かく区分された支持体に結合している触媒とからなる陰極析出性の電着プライマー組成物に関する。本発明はまた、陰極析出性電着プライマー組成物の導電性の被塗装品、特に自動車ボディまたはその部品の塗装への使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
陰極電着塗装(陰極電気浸漬)は、直流を印加して、水希釈可能な塗料材料を電気伝導性の被塗装品(workpiece)上に塗装するプロセスである。被塗装品を塗料浴中に浸漬し、イオン化している塗料がこの被塗装品の上に析出する。次いでこの被塗装品を浴から取り出し、他の工程でこの塗料を焼結する。なお、好ましい被塗装品としては、自動車ボディやその部品があげられる。
【0003】
この水希釈可能なプライマー系には、例えばジブチルスズオキシドなどの架橋触媒が加えられる。このような触媒を使用する場合、ジブチルスズオキシドの代謝物であるジブチルスズ化合物が原因となったり関連して、火口状の凹みができうることが観測された。これらの凹みは塗料の品質を低下させるため、しばしば後処理が必要となる。このため、例えば自動車の仕上げラインでこの塗料を磨く必要があり、コストアップにつながる。また、これらの凹みの結果として塗料の見かけ品質が低下し、市場での品質ランクが低下する。
【0004】
また、ジブチルスズオキシドとジオクチルスズオキシドを使用する場合には、浸漬タンク中で析出の例が認められた。最悪の場合には、このような析出の結果として、陰極電気浸漬タンク中で浸漬プライマーのすべてが失われることとなる。陰極電気浸漬タンクでは、前処理工程からのリン酸の同伴の結果、リン酸レベルが増加する可能性がある。電着塗装の架橋反応が例えばジブチルスズオキシドのようなスズ化合物で触媒される場合には、リン酸スズ塩が容易に形成されて、析出物として浅い窪みあるいは顕著な凹み(基材にまで達する円形のぬれ欠陥)を形成させることとなるかもしれない。また、ジブチルスズオキシドが不安定で徐々に分解して上記の析出物を形成する結果として浴の材料から除去されるため、浸漬浴中の触媒レベルが低下することとなる。このため、架橋が不十分となり耐腐食性が低下する可能性がある。
【0005】
また、ジブチルスズオキシドとジオクチルスズオキシドは、これらが固体化合物であって有機のフィルム材料中での溶解度が低いため、比較的に大量に用いる必要があり、これらの触媒の使用が経済的に好ましくなくなるという欠点を有している。また、この材料が固体であるため、分散不良の結果として欠陥や凹みが発生する可能性もある。
【0006】
電着プライマー組成物中で使用可能な一連の架橋触媒(硬化触媒とも呼ばれる)が、先行技術に開示されているが、これらは、浸漬プライマー中の硬化触媒に対する厳しい要件を満足させることができない。例えば、欧州公開公報EP0264834A1には、電着プライマー組成物への添加物としての触媒活性金属化合物を坦持する有機ポリマー支持体が開示されている。EP0859017A1には、非水親和性触媒を水系で使用可能とするために、水分散性無機支持体に塗布された非水親和性触媒が記載されている。米国公開公報US2007/0045116A1には、樹脂相と水系の媒体中に分散している触媒活性ナノ粒子とからなる電着プライマー組成物が開示されている。この樹脂相は、硬化剤と活性水素を有する樹脂とを含んでいる。ドイツ特許出願DE10041038A1には、触媒に好適なSnOで被覆されたSiO粒子が開示されている。
【0007】
これらの例のいずれにも、触媒または触媒含有粒子が、対応する分散液及び/又は浸漬プライマー組成物中で一様に分布しているものは開示されていない。また、米国出願US2007/0149655A1とWO2007/025297A3、US2007/0045116A1、US2007/0051634A1には、非坦持の触媒が示されている。言い換えれば、外層のみが触媒的に活性ではあるにもかかわらず、原理的に触媒的な材料が粒子中心部にまでも使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、支持体に結合している硬化触媒が均一に分布している電着プライマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、本出願の独立請求項に記載の技術項目により達成される。従属請求項や明細書、実施例、図面には、好ましい応用例が記載されている。
【0010】
驚くべきことに、これら既知の先行技術の問題を、バインダー水分散液と架橋剤と芯・鞘型粒子CSとからなる陰極析出性の電着プライマー組成物であって、該芯・鞘型粒子が、芯部Cと鞘部Sを形成する触媒とからなり、該芯部が触媒的に不活性の無機支持体であり、該芯・鞘型粒子が最大径として1000nmを持ち、鞘部Sの厚みが10nm以下であり、該芯・鞘型粒子が、第二の連続液相II中に第一の分散液相Iが入った形の乳懸濁液から出発して製造可能であり、第一の分散液相Iは、サブミクロン粒子状の芯部形成固体Cと分子的に分散・溶解した鞘部用前駆体物質PSと、必要に応じて反応物質Rとを含み、乳懸濁液の第一の分散液相I中で、サブミクロン芯・鞘型粒子CSが、鞘部用前駆体物質PSの化学変換または物理変換により生産される電着プライマー組成物により解決できることが明らかとなった。
【0011】
硬化触媒を含む分散液は、安定な水分散液を形成するため、陰極析出性の浸漬プライマー用の成分として特に好適である。浸漬プライマー用に前もって調整された本発明の芯・鞘型粒子の安定な水分散液の効果の改善のために、粒子の分布均一性と分散液の流動特性をもとに処理して保存することもできる。また、経済的なSiOが本発明の支持体として好ましく用いられるため、先行技術に既知の非坦持触媒と比べて材料コストを低下させることができる。本出願の浸漬プライマー組成物は、芯鞘型構造の触媒坦持粒子を含むため、先行技術に記載されている触媒に較べると安価に大量生産可能である。触媒的に不活性の無機支持体が本発明の粒子として用いられるため、またその上に触媒性の金属酸化物が好ましくは分散して相互に離れて固定化されているため、得られる触媒の比表面積は極めて大きい。この長所は先行技術の非坦持触媒には認められない。したがって、触媒坦持粒子を含むため、本出願の電着プライマー組成物は、材料の使用量が減少しているものの、より大きな触媒活性を示すことができる。また、触媒材料が芯部の表面上に固定化されているため、拡散係数が低下し、陰極電着プライマーの塗膜からその上に塗布された塗膜への触媒の移動を減少させるか、全く防止することなる。
【0012】
したがって、本明細書に記載の本発明の電着プライマー組成物は、塗料材料中の架橋反応の硬化触媒として芯・鞘型粒子を含むため、支持体結合触媒に伴う従来既知の問題を解決することができる。
【0013】
本発明の電着プライマー組成物の芯・鞘型粒子は、乳懸濁液法により製造されるが、これについて以下に述べる。
【0014】
周知のように、懸濁液とは連続液相中に分散した固相からなる混合物である。
【0015】
乳化液とは、二種の相互に非混和の液相からなる液状分散系であり、そのうち一相(分散相または内部相という)が第二の相(連続相または均一相という)中に微細な液滴状で分散している。これらの相の極性により、乳化液は水中油形(O/W)または油中水形(W/O)の乳化液と呼ばれる。前者の場合、無極性な媒体からなる油相が、この無極性相に非混和の水溶液または他の化合物からなる高極性相中に、微分散した液滴状で存在している。W/O形の乳化液の場合は逆に、高極性相が油相中に微分散した液滴状で存在する。乳化液全体に対する分散相の比率は、>0%から<100%の範囲であってよい。
【0016】
「ミニ乳化液」とは、立体効果及び/又は静電効果により及び/又は一種以上の界面活性剤により及び/又は他の助剤により安定化されている、分散相の平均液滴直径が≦5000nm(≦5μm)である熱力学的に不安定な液状分散系(乳化液)に対して用いられる言葉である。
【0017】
乳懸濁液という言葉は、乳化液中に粒子状固体が分散した混合物に対して用いられ、ミニ乳懸濁液は、内部に粒子状固体含むミニ乳化液である。
【0018】
ミニ乳化液は、例えば機械的エネルギーを、例えば攪拌エネルギーや乱流運動エネルギ、超音波、圧力を供給しながら、均質化弁や、スタチックミキサー、マイクロミキサーまたは膜を用いて、あるいは一般的には層流又は乱流状のせん断流及び/又は延伸流とキャビテーションとを用いて製造することができる。得られる乳化液の形(W/O乳化液またはO/W乳化液)は、用いる物理的な系や、分散相と連続相の濃度、一種以上の界面活性剤及び/又は助剤を選択することで決まる。
【0019】
乳化のためには、芯・鞘型粒子の製造の間にミニ乳化液中または乳懸濁液中で液滴が十分に安定であることであることが必要である。物理的な系によっては、液滴の表面電化により、即ち静電反発の結果として、液滴が安定化される。液滴相を界面活性剤で外部から安定化させる必要がある場合は、静電効果及び/又は立体効果により行うことができるが、これは、適当な安定化助剤により、または液体連続相中に存在するピカリング安定剤(表面活性粒子)によりなされる。この液体分散相は、粒子及び/又は乳化液を安定化させるための助剤をさらに含んでいてもよい。ミニ乳化液またはサブミクロン懸濁液を安定化させるための助剤には、分散相の液滴又は粒子の増粘または沈降を抑制または防止するように連続相の流動学的性質を変化させる物質が含まれる。
【0020】
本プロセスの条件下で液状の凝集状態にある相は、液体と呼ぶこととする。
【0021】
「芯部形成固体Cのサブミクロン粒子」は、一種以上の芯部形成固体Cのサブミクロン粒子をも含んでいる。同様に、分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSとは、2種以上の分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSをも意味し、分子的に分散溶解した芯部用前駆体物質PCとは、2種以上の分子的に分散溶解した芯部用前駆体物質PCをも意味する。
【0022】
一種以上の芯部形成固体と一種以上の分子的に分散溶解した鞘部形成固体の前駆体物質とを含む第一の液相Iの液滴中で、分子的に分散溶解した前駆体物質から固体の芯部表面上に鞘部を形成することができることが明らかとなった。この場合には、第一の液相Iの液滴は、サイズが小さいため(この系はミニ乳懸濁液であり、このため、出口での分散相の平均液滴直径が≦5μmとなっている)、ミニ反応器として機能して、もとの芯部形成固体のサブミクロン懸濁液の多分散性がほとんど維持されることとなる。
【0023】
この目的のためには、出発点は、第二の連続液相II中に第一の分散液相Iが入った形の乳懸濁液であって、芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSとが第一の分散液相Iに含まれている乳懸濁液である。
【0024】
ある実施様態においては、上記の乳懸濁液がさらに反応物質Rを含んでいる。
【0025】
第一の実施様態においては、上記の乳懸濁液が、
・第一の液相I中の芯部形成固体Cのサブミクロン粒子の懸濁液から出発し
・ここに鞘部用前駆体物質PSを添加して分子的に分散溶解させ、次いで
・第二の液相IIを添加し、第一の液相Iとともにエネルギーを供給しながら乳化させて製造される。
【0026】
他の実施様態においては、上記乳懸濁液は、
・連続相としての第二の液相II中に芯部形成固体Cのサブミクロン粒子を含む第一の液相Iが分散相存在する乳懸濁液から出発し、
・第一の液相Iと混和可能だが第二の液相IIとは混和しない第三の液相III中に存在する鞘部用前駆体物質PSを添加し、
・エネルギーを供給しながら、前駆体物質PSを含む第三の液相IIIと、第二の液相IIと混和可能だが第一と第三の液相IIIとは混和しない第四の液相IVとから乳化液を形成し、
・エネルギーを供給しながら、第一の液相Iの液滴と第三の液相IIIの液滴とを合一(coalescence)させて製造される。
【0027】
したがって、この実施様態においては、分散相液滴中に芯部形成固体のサブミクロン粒子を含む第一の乳懸濁液の分散相が、分散相液滴中に鞘部用前駆体物質PSを含む第二の乳化液の分散相と合一させられる。
【0028】
さらに他の実施様態においては、分散相液滴中に芯部形成固体Cのサブミクロン粒子に加えて、分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSと反応物質Rとを含む上記乳懸濁液が提供される。このために、
・出発点は、連続層としての第二の液相II中に、芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSとを含む分散相としての第一の液相Iがある形の乳懸濁液であり、
・その後、反応物質Rを第二の連続液相IIに添加し、第一の分散液相Iの液滴中に拡散させ、または
・ 第一の分散液相Iとは混和可能だが第二の連続液相IIとは混和しない他の液相Vに添加し、
・反応物質Rを含むこの他の液相Vとさらに他の液相VIとから、エネルギーを供給しながら乳化液を形成させる。相Vを含むこの乳化液の液滴を、
・芯部形成固体Cと鞘部用前駆体物質PSとを含む第一の分散液相Iの液滴と
合一させる。
【0029】
他の実施様態においては、芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSと反応物質Rとを含む上記乳懸濁液が、固体Cのサブミクロン粒子と反応物質Rとを含む乳懸濁液の液滴と分散相の液滴中に鞘部用前駆体物質PSを含む他の乳化液の液滴との強制的な合一により製造される。
【0030】
連続相としての第二の液相II中に第一の分散液相I中に含まれる芯部形成固体Cのサブミクロン粒子が存在する乳懸濁液の製造は、分散相の液滴中にサブミクロンの芯部−形成粒子状固体Cと分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSと、適当なら反応物質Rとを含む乳懸濁液の製造プロセスと同様に行われる。この目的のための第一の実施様態においては、
・出発点は、第一の分散液相I中に芯部形成固体用前駆体物質PCを含み、第二の液相IIが連続相であるミニ乳化液であり、これから、芯部形成固体の前駆体物質PCの物理的なまたは化学的な変換により第一の分散液相I中の芯部形成固体Cを含み、連続相として第二の液相IIを有するミニ乳懸濁液が得られる。
【0031】
この目的のための他の実施様態においては、
−出発点は、第一の分散液相I中に芯部形成固体用の前駆体物質PCを含み、第二の液相IIが連続相であるミニ乳化液であり、
−その後、反応物質Rが第二の連続液相IIに添加し、第一の液相の液滴中に拡散させ、または
・第一の液相Iとは混和可能だが第二の液相IIとは混和しない第三の液相IIIに添加し、
・反応物質Rを含む第三の液相IIIと、第二の液相IIとは混和可能だが第一および第三の液相とは混和しない第四の液相IVとから、エネルギーを供給しながら、乳化液を形成し、分散液相IIIの液滴を、芯部形成固体用の前駆体物質PCを含むf第一の分散液相Iの液滴と合一させ、
・その後芯部形成固体C用の前駆体物質PCを反応物質Rと化学反応させる。
【0032】
分散相の液滴中に芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSとを含む乳懸濁液から、鞘部用前駆体物質PSの物理的な変換によりサブミクロン芯・鞘型粒子が製造される実施様態において、この物理的な変換が、特に一つ以上のプロセスパラメーターの変更であってよく、好ましくは温度及び/又は圧力の変更、あるいは上記の反応物質Rの添加と同様に行う溶媒または塩の添加であってもよい。この物理的な変換は、特に冷却により行うことが可能で、あるいは鞘部及び/又は芯部の一種以上の固体を溶解している溶媒の蒸留により、あるいは上記の反応物質Rの添加と同様に、鞘部及び/又は芯部の一種以上の溶解固体の溶解度を低下させる他の溶媒の添加により、あるいは上記の反応物質Rの添加と同様に、鞘部及び/又は芯部の一種以上の溶解固体の溶解度を低下させる一種以上の他の塩の添加により行うことができる。
【0033】
「サブミクロン粒子」とは、平均外径が1μm未満の粒子状固体をさす。
【0034】
ナノ粒子の芯部の平均外径は、好ましくは≧10nmで≦900nmであり、より好ましくは≧10nmで≦500nmであり、特に好ましくは≧10nmで≦250nmである。
【0035】
サブミクロン芯・鞘型粒子の鞘部の厚みは、好ましくは≧0.5nmで≦50nmの範囲、より好ましくは≧1nmで≦8nm、特に好ましくは≧1nmで≦5nmの範囲である。
【0036】
鞘部の厚みは、次のようにして計算される:0.5×(芯・鞘型粒子の直径−芯部の直径)。
【0037】
芯部の直径と芯・鞘型粒子の直径は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で決められる。
【0038】
本明細書の粒子はサブミクロン芯・鞘型粒子であるため、芯部と鞘部の直径の合計は1000nmを超えない。芯部と鞘部の直径の合計は、多くとも1000nmである。
【0039】
鞘部は芯部を完全に覆うか、一部のみを覆う。
【0040】
「鞘部」は、芯部粒子上に離散した粒子も含む。これらの粒子は、例えば触媒機能を有していてもよい。支持体上に触媒粒子を塗布する場合、これらの粒子は、支持体の表面上で相互に接触するか、離散するようにする。
【0041】
このサブミクロン芯部粒子や離散鞘部粒子、芯・鞘型粒子は、理想的には球状構造をとる。しかしながら、この理想的な構造からずれていてもよい。これらのずれは、例えば芯・鞘型粒子の表面上での小さな凹凸の形で発生する。しかし、サブミクロン芯部粒子や離散鞘部粒子、芯・鞘型粒子は、実質的に理想的な球状三次元構造を有している。
【0042】
粒子径は電子顕微鏡写真から決定できる。
【0043】
本発明の浸漬プライマーは、一種以上の芯部形成固体Cを、好ましくは浸漬プライマーの全重量に対して0.01〜40質量%の比率で、より好ましくは1〜10質量%の比率で含んでいる。この芯部形成固体C(支持体)は、特に、SiO、TiO、Al、ZrO、FeおよびFeからなる群から選ばれる物質または一種以上の物質の混合物である。SiOとTiOが好ましい。
【0044】
上記の無機酸化物のいくつかは、異なる形状で存在する。例えば、TiOは、ルチルや、アナターゼ、板状チタン石として存在し、酸化アルミニウムの形状としては、立方晶系のγ−Alや菱面体晶系α−Alがあげられる。
【0045】
ここで用いられる支持体材料について、形状の選択において制限はない。
【0046】
上述のように、SiOが好ましい支持体材料の一つである。SiOを芯・鞘型粒子の支持体材料として使用する場合、沈降シリカが好ましい。ヒュームドシリカを分散物に使用すると、凝集物が得られる。これらの材料を触媒の支持体として使用する場合、また得られた芯・鞘型粒子が例えば水分散液に使用される場合、芯・鞘型粒子の粒径分布は不均一である。凝集物の高次構造による不均一性のため、分散液や電着プライマーに対して望まざる流動性への悪影響が出ることがある。したがって標準的な触媒は研磨樹脂で研磨し、部分的に凝集物構造を破壊する。このように芯・鞘型粒子分散液が均一な分布状態であれば、芯・鞘型粒子を浸漬プライマー組成物に添加する前のこのような凝集破壊工程を除くことができる。これらの分散液は、さらに加工することなく浸漬プライマー組成物に添加できる。このようにして、非常に安定な分散物を、即ち浸漬プライマー組成物中で本発明の粒子の沈降が極めて少ないか全くない分散液を製造することができる。
【0047】
触媒(鞘部S)は、ZnO、SnO、SnO、Bi、Ce、CeO、CuO、CuO、WO、Y、La、MnO、MoO、Nd、NdO、VO、VO、Vまたはこれらの混合物からなる群から選ぶことができる。好適なのは、SnOとSnOである。
【0048】
触媒材料として上に取り上げた酸化物のうちのいくつかは、異なる形状で存在する。形状の選択に当たりここで用いる触媒材料に制限はない。
【0049】
上述のように、さらに反応物質Rを用いることもできる。この反応物質は、例えば可溶性の有機塩基、特にアミンであってよく、あるいは水溶性の塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム水溶液、または二酸化炭素またはアンモニアなどのガス、還元剤(H、NaBH)、酸化剤、開始剤、緩衝液、またはイオン交換樹脂であってもよい。
【0050】
上記の相互に混和しない二液のうち一方が親水性であり、他方が疎水性である。
【0051】
好ましくは第一の分散液相Iが水相であり、第二の連続液相IIが油相、より好ましくは、アルカンまたはアルカン混合物、植物油または植物油混合物、シリコーン油またはシリコーン油混合物、またはこれらの物質の混合物である。
【0052】
ある実施様態では、サブミクロン芯・鞘型粒子のミニ乳懸濁液から第一の分散液相Iまたは第二の連続液相IIを取り除き、サブミクロンの芯・鞘型粒子のそれぞれ他の液相中での懸濁液を得てもよい。
【0053】
好ましくは、芯部形成粒子の上に重ねて2〜10層の、好ましくは2〜3層の鞘部を形成することもできる。しかしながら、触媒層が一層のみ形成されることが特に好ましい。
【0054】
ある好ましい実施様態においては、芯部と一層以上の鞘部が、それぞれ同一の化学組成であるが異なる形状を持っていても、特に異なる結晶構造を持っていてもよく、また芯部の材料が非晶質で一層以上の鞘部の材料が結晶性であっても、あるいはその逆であってもよい。
【0055】
もう一つの実施様態においては、鞘部が芯部を完全に覆っていないサブミクロン芯・鞘型粒子のミニ乳懸濁液を製造し、その後、下流の製造工程でこのサブミクロン芯・鞘型粒子から芯部の一部又は全部を除去して、特に蒸着、溶解またはエッチングにより除去して中空構造を形成し、次いで他の一層以上の鞘部をこの中空構造に塗布することもできる。
【0056】
上述のように、このようにして得られる芯部と鞘部からなる粒子は、理想的には球状構造をもつ。しかしながら、多層鞘部構造の場合は、この理想構造から少しずれた構造も許される。
【0057】
これらの粒子は分散液に加工され、この分散液が本発明の電着プライマー組成物の成分として用いられる。この場合、電着プライマー組成物中の芯・鞘型粒子の触媒の金属含量は、100gのバインダー固体に対して2.5〜10mmolの金属である。
【0058】
上記のプロセスで製造されたサブミクロン芯・鞘型粒子は、電着プライマー中、好ましくは陰極析出性の電着プライマー組成物中の架橋反応の触媒として使用できる。
【0059】
以下、図面および実施例をもとに本発明を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】SnO被覆SiO粒子の電子顕微鏡写真(TEM)。SiO支持体粒子の直径は20〜130nmであり、その周りを覆っているSnO粒子は2〜4nm(直径)である。図1において、SiO粒子上のSnOのふくらみは、黒い点として観察される。これらのSnO触媒粒子は、表面上で相互に隣接した粒子として、あるいは隔離された粒子として存在している。
【実施例】
【0061】
実施例1
芯・鞘型粒子の製造
芯・鞘型粒子を、上述のミニ乳化液プロセスで、Si:Snモル比を10:1として製造した。
【0062】
ミニ乳化液の製造に用いた出発原料は、SiOの45%濃度(質量%)の水懸濁液[H.C.スターク社(レバシル100/45%)]である。この懸濁液を、29.77質量%(乳化液に対して)の脱イオン水で、SiO固形分(乳化液中の)として最終濃度でSiOで2.5質量%にまで希釈した。次いで、この水懸濁液に、SnCl×5HO(乳化液当たり1.07質量%)を溶解させた。平行して、1.50質量%(乳化液に対して)のスパン80[ソルビタンモノオレエート、ロス社(ドイツ)]を、65.17質量%(乳化液に対して)のn−デカンに溶解した。次いで、これら二つの液相を混合し、ウルトラタラックス社のローターステータ式攪拌器を用いて前乳化させた。この結果、SiO粒子と溶解したSnClとを含む水性液滴を含む、溶存スパン80を含有するn−デカン連続溶液を得た。
【0063】
ついで、このようにして得られた粗乳化液を、高圧ホモジナイザー(圧力差:1000bar)で再乳化して、≦1μmの液滴を形成した。
【0064】
この乳化液を次いで、トリエチルアミン(トリエチルアミン:Snモル比=6:1)とともに、攪拌している圧力容器に入れ、130℃に加熱した。この温度で4時間保持した。このようにして、2〜4nmのSnO触媒粒子が、ある場合は隣接して、ある場合は離れてSiO表面上に存在する個別粒子として形成された(図1も参照)。
【0065】
遠心分離、上澄液の除去、液体での再分散を繰り返して、得られた粒子を洗浄した。このようにして得られた粒子を脱イオン水に再分散した。この粒子の全固形分含量は12質量%であり、固体の合計質量のうち、SnOが20%を、SiOが80%を占める。
【0066】
実施例2
電着プライマー組成物用の架橋剤の調整
架橋剤を、EP0961797B1に準じて調整した。
【0067】
攪拌器と還流冷却器と内部温度計と不活性ガス導入部を備えた反応器に、1084gの4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート系の高分子量多官能性のオリゴマー異性体(NCO相当重量=135、バソナート(R)A270、BASF;NCO価=約2.7;2,2’−及び2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート含量=5%未満)を窒素雰囲気下で投入した。2gのジブチルスズジラウレートを添加し、また生成物温度が70℃未満となるような速度で1314gのブチルジグリコールを滴下した。添加終了後、温度を70℃でさらに120分間維持した。この後の試験では、NCO基はもはや検出されなかった。この混合物を65℃に冷却した。固体分含量は>97%であった(130℃で1時間)。
【0068】
実施例3
陰極析出性の合成樹脂と架橋剤とを含む低溶媒バインダー水分散液の調整
バインダー分散液を、EP0961797B1に準じて調整した。伝熱油で加熱した、攪拌器と還流冷却器と温度計と不活性ガス導入部管を備えた試験室反応器に、1128部の市販のビスフェノールA系エポキシ樹脂(エポキシド相当重量(EEW):188)と262部のドデシルフェノールと31.4部のキシレンと228部のビスフェノールAとを投入し、この初期混合物を窒素下にて127℃に加熱した。撹拌下、1.6gのトリフェニルフォスフィンを添加した。その際、発熱反応があり温度が160℃に上昇した。130℃に冷却後、エポキシド含量を試験した。EEWは532であり、>98%のフェノール性OH基が反応したことがわかった。この時点で、297.5部のプルリオールP(ポリプロピレングリコールMW900、BASF)を冷却しながら添加した。5分間後120℃で、さらに冷却を続けながら、105部のジエタノールアミンを添加した。短い発熱の後(Tmax:127℃)、温度が110℃にまで下がった時点(30分間)で、
51部のN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを添加した。短い発熱の後(Tmax:140℃)、この混合物を、粘度が一定(1.8dPas、板/コーン粘度計、23℃、ソルベノンPM(BASF)中40%濃度)となるまで、130℃でさらに2時間反応させた。次いで、58.5部のブチルグリコールと887.8部の架橋剤(実施例5.1)を、冷却しながら添加し、生成物を105℃で排出させた。
【0069】
2100部の熱の残る混合物を、直ちに激しく攪拌しながら、前もって作製した1945部の完全脱イオン水(脱イオン水)と33.1部の氷酢酸の混合物中に分散させた。しばらく均一化をおこなった後、この分散液をさらに1404部の脱イオン水で希釈し、K900板フィルター(ザイツ社)で濾過した。この分散液の性質は、以下の通りである。
【0070】
固形分(130℃で1時間):35.7%
MEQ塩基:0.657meq/g樹脂固体
MEQ酸:0.283meq/g樹脂固体
pH:5.4
平均粒子径:125nm(光散乱法)
沈降安定性:室温で3ケ月保管後に堆積物なし
粘度:14秒(DIN4カップ、23℃)
【0071】
実施例4
カチオン性水溶性研磨樹脂
EP505445B1の実施例1.3に準じて、研磨樹脂を製造し、取扱いを大幅に容易にするために中和し、2.82部の氷酢酸と13.84部のDl水で希釈する。これにより、元の固体含量は60%に低下する。
【0072】
実施例5
水性の顔料ペースト
EP505445B1に記載の方法に準じて、下の表に(表1)示される出発原料(%質量換算で)から水性の顔料ペーストを製造する。
【0073】
【表1】

【0074】
実施例6
電気塗装浴の製造とプライマーフィルムの形成
陰極析出性の電着プライマーとしての試験のために、実施例3のバインダー水分散液と表1に示す顔料ペーストトを混合して、表2に示す浸漬プライマー浴を得る。比較のために、浸漬浴1を作る。本発明の芯部/鞘部粒子を含む実施例1の分散液と表1のペースト2を、浸漬浴2〜4に投入する。なお、最初にバインダー分散液を投入し、脱イオン水で希釈する。次いで、顔料ペーストと本発明の芯部/鞘部粒子を含む実施例1の分散液を撹拌下で導入する。図中の値は、重量部(g)である・
【0075】
【表2】

【0076】
これらの電着プライマー浴は、室温で3日間撹拌して養生させる。析出電圧が220ボルトで破過電圧が350ボルト(浴温度29℃)で2分間かけて、このプライマーの塗膜を、前処理工程でCr(VI)洗浄をしていない、陰極に連結されたリン酸亜鉛メッキのスチールの試験パネル上に形成する。
【0077】
【表3】

【0078】
析出したフィルムを脱イオン水で洗浄し、175℃(装置温度)で15分間(また、架橋程度の指標としてガラス転移温度Tgを測定するため160℃で)焼結する。
【0079】
【表4】

【0080】
*DIN53765(03.1994)−7.1章、ガラス転移:プラスチック及び弾性体の試験法−熱分析−動的示差熱量測定(DDC)による
【0081】
上記の試験により浴のリン酸添加への抵抗性を調べた。
【0082】
実施例7
リン酸スズ凹みに関する陰極浸漬塗膜の凹み感受性の試験
上述のように、例えば前処理工程からのリン酸の取り込みのため、陰極浸漬タンク中ではリン酸のレベルが上昇し、その結果としてリン酸スズ塩が生成する可能性がある。沈殿物としてこれらの塩は、浅い窪みを、場合よっては明確な凹みを形成させることがあり。リン酸塩の添加に対する陰極浸漬塗装の感受性を、リン酸水素ナトリウムを加え浸漬浴を酸性化(DIN53765に準ずる;上記“*”を参照)して試験する。
【0083】
方法:比較用浸漬浴(前述)と本発明の浸漬浴とを試験するために、L字形の金属試験パネル(10×20cm、中央が曲がっている)を塗装し、次いでこの浴中にさらに15分間浸漬し、表面の水平方向に塗装された部分を評価する。ブランクの試料を作った後、これらの浴を、100ppmのリン酸水素二ナトリウム・12水和物(5kgの浴材料を得るのに1.88gの塩と50mlの完全脱イオン水)と混合し、24時間攪拌する。85%ギ酸を用いてpHを5.5に調整した後、再度24時間攪拌し、次いで塗装させる。
【0084】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー水分散液と架橋剤と芯・鞘型粒子CSとからなる陰極析出性の電着プライマー組成物であって、
該芯・鞘型粒子が、芯部Cと鞘部Sを形成する触媒とからなり、
該芯部が触媒的に不活性の無機支持体であり、該芯・鞘型粒子が最大径として1000nmを持ち、鞘部Sの厚みが50nm以下であり、
該芯・鞘型粒子が、第二の連続液相II中に第一の分散液相Iが入った形の乳懸濁液から出発して製造可能であり、
第一の分散液相Iは、サブミクロン粒子状の芯部形成固体Cと分子的に分散・溶解した鞘部用前駆体物質PSと、必要に応じて反応物質Rとを含み、
乳懸濁液の第一の分散液相I中で、サブミクロン芯・鞘型粒子CSが、鞘部用前駆体物質PSの化学変換または物理変換により生産されることを特徴とする
電着プライマー組成物。
【請求項2】
第一の分散液相Iが第二の連続液相II中に存在する形の乳懸濁液が、
第一の分散液相I中に芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と、分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSを含み、かつ前記乳懸濁液は、
第一の液相I中に芯部形成固体Cのサブミクロン粒子が存在する懸濁液から出発し、
ここに鞘部用前駆体物質PSを添加して分子的に分散溶解させ、
次いで第二の液相IIを加えて、エネルギーを供給しながら第一の液相Iとともに乳化させて製造される、
請求項1に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項3】
第一の分散液相Iが第二の連続液相II中に存在する形の乳懸濁液が、
第一の分散液相I中に芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と、分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSを含み、かつ前記乳懸濁液は、
分散相として第一の液相I中に含まれる芯部形成固体Cのサブミクロン粒子が、
連続層としての第二の液相IIに存在する乳懸濁液から出発し、
第一の液相Iと混和可能であるが第二の液相IIとは混和しない第三の液相III中に含まれる鞘部用前駆体物質PSを添加し、
エネルギーを供給しながら、前駆体物質PSを含む第三の液相IIIと、
第二の液相IIと混和可能であるが第一と第三の液相IIIとは混和しない第四の液相IVとから乳化液を形成し、
エネルギーの供給により、第一の液相Iの液滴と第三の液相IIIの液滴とが合一されて製造される
請求項1または2に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項4】
第一の分散液相Iが第二の連続液相II中に存在する形の乳懸濁液が、
第一の分散液相I中に芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と、分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSと反応物質Rとを含み、かつ前記乳懸濁液は、
分散相としての第一の液相Iに含まれる芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSが、連続層としての第二の液相II中に存在する乳懸濁液から出発し、
反応物質Rを第二の連続液相IIに添加し第一の分散液相I中の液滴に拡散させるか、第一の分散液相Iと混和可能であるが第二の連続液相IIには非混和の他の液相Vに添加し、
エネルギーを供給しながら、反応物質Rを含む他の液相Vと他の液相VIとから乳化液を形成し、
この乳化液の液滴を、芯部形成固体Cと鞘部用前駆体物質PSとを含む第一の分散液相Iの液滴と強制的に合一させて製造される
請求項1〜3のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項5】
第一の分散液相Iが第二の連続液相II中に存在する形の乳懸濁液が、
第一の分散液相I中に芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と、分子的に分散溶解した鞘部用前駆体物質PSと反応物質Rとを含み、かつ
第一の分散液相Iが第二の連続液相II中に存在し、第一の分散液相I中に固体Cのサブミクロン粒子を含む乳懸濁液から出発し、前記乳懸濁液は、
第一の液相Iと混和可能であるが第二の液相IIには混和しない第三の液相III中に含まれる反応物質Rを添加し、
エネルギーを供給しながら、反応物質Rを含む第三の液相IIIと第四の液相IVとから乳化液を形成し
エネルギーを供給しながら第一の液相Iの液滴と第三の液相IIIの液滴とを合一させ、
その後、鞘部用前駆体物質PSを第二の連続液相IIに添加して第一の分散液相Iの液滴中に拡散させるか、
この分散相の液滴中に鞘部用前駆体物質PSを含む他の乳化液の形で添加し、
(ただし、前記他の乳化液の分散相は、第一の分散液相Iと混和可能であるが、連続液相IIとは混和せず、前記他の乳化液の連続相は、第一の連続相IIを混和可能である)、
その後、第一の分散液相Iの液滴と前記他の乳化液の液相中の液滴とを強制的に合一させて製造される
請求項1〜4のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項6】
第一の分散液相I中に含まれる芯部形成固体Cのサブミクロン粒子と連続相としての第二の液相IIとを含む乳懸濁液が、
第一の分散液相Iに芯部形成固体Cの前駆体物質PCを含み、第二の液相IIが連続相であるミニ乳化液から出発し、
芯部形成前駆体物質PCの物理的または化学的な変換により、これから
第一の分散液相I中に含まれる芯部形成固体Cが、連続相としての第二の液相IIとのミニ乳懸濁液を形成して製造される
請求項1〜5のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項7】
前記芯・鞘型粒子が実質的に球状粒子である請求項1〜6のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項8】
前記芯・鞘型粒子の芯部Cが、針状の形状、円錐状の形状または四面体、八面体、双五角錐、二十面体からなる群から選ばれる多面体状の形状をもつ請求項1〜7のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項9】
前記触媒が、芯部Cの表面上に、相互に接触するあるいは離れた個別粒子の形で配列している請求項1〜8のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項10】
前記触媒が芯部の周囲に施された鞘部を形成する請求項1〜8のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項11】
前記芯部が、SiO、TiO、ZrO、Fe、Fe、Al3、MFe、層状ケイ酸塩、又は硫化物、セレン化物、窒化物、ヒ化物、リン化物およびアンチモン化物からなる群から選ばれる半導体、または上述の材料の混合物である(ただし、Mは、遷移金属または典型元素であり、xとyは相互に独立して選ばれ、1〜4の整数を意味する)請求項1〜10のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項12】
前記鞘部がZnO、Ce、CeO、CuO、CuO、SnO、SnO、Bi、WO、Y、La、MnO、MoO、Nd、NdO、VO、VO、およびVからなる群から選ばれる請求項1〜11のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項13】
前記電着プライマー組成物中の芯・鞘型粒子の触媒の金属含量が100gのバインダー固体に対して2.5〜10mmol金属の範囲にある請求項1〜12のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物。
【請求項14】
前記請求項のいずれか一項に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物を導電性被塗装品の塗装に使用する方法。
【請求項15】
前記被塗装品が自動車ボディまたはその部品である請求項14に記載の陰極析出性の電着プライマー組成物の使用方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−521031(P2011−521031A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508835(P2011−508835)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003404
【国際公開番号】WO2009/138222
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】