説明

電磁加熱

【課題】被加熱物体の異なる位置の間で温度差が生じるホットスポット、及び構造によって生じる、不均一な加熱の問題を改善する。
【解決手段】物体を加熱することができる量のUHFまたはマイクロ波エネルギーに被加熱物体をさらす工程と、物体によって吸収される所望の量のエネルギーを決定する工程と、所望の量のエネルギーが吸収されたときに電磁加熱を調整する工程とを含む、電磁加熱の方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電磁エネルギーによる材料の加熱に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジは現代社会ではどこにでもある商品である。しかし、その限界は周知である。これらは、例えば不均一な加熱および熱の遅い吸収である。実際、通常の電子レンジは、加熱(例えば解凍)に使用する場合、被加熱物体の異なる位置の間で100℃もの温度差が生じ、結果としてホットスポット、熱暴走の領域が形成される。例えば、電子レンジで解凍される冷凍食品は、他の部分(例えば内部)が解凍もされないうちに、1つまたはそれ以上の部分(例えば外側)が温まり、または部分的に料理されることさえある。加熱されるカップの液体中に生じるホットスポットも知られており、それは結果としてユーザの人身障害を引き起こすことがある。ホットスポットを減らそうと試みる1つの一般的な方法は、加熱される物を回転することである。この方法は、希望するような均一な加熱をもたらさない。
【0003】
均一な加熱をもたらす1つの方法は、ホットスポットに溜まる熱を周囲の領域に拡散させ、伝導によって周囲の領域を加熱することである。そのような方法は、熱の拡散を可能にするために加熱が周期的に停止される、断続的加熱手順を含む場合がある。この方法は本発明の方法と共に使用することができるが、単独では進んでは停止する加熱方法は極めて遅い(ほとんどの食品の低い熱伝導率ゆえに、該方法を有効にするためには長い停止期間が必要であるため)か、または比較的効果が無いかのいずれかである。別の方法は、非常に低い電力で加熱することである。これは、例えば大きい冷凍体に使用することができる。加熱が充分に遅ければ、ホットスポットの過剰な熱は、ホットスポットにおける温度上昇が好ましからぬ状態になる前に拡散する。しかし、この方法は、完全に有効になるために10回または20回も加熱を行なう必要がある。物体からの対流のため、それは室温よりずっと高い温度で調理または加熱するための真剣な選択肢ではない。
【0004】
極低温サンプルのマイクロ波加温の問題の理論的解析を実施した、多数の論文が発表されている。そのような解析の困難さのため、そのような解析は、球形または楕円形のような正則的な形状のみに実行されてきた。実験的な試みが腎臓サイズの試料に対して行なわれてきたが、これらの実験の結果は、腎臓を解凍するための実行可能な解決策が得られることを示していない。
【0005】
さらに、より任意の形状の他の器官を解凍するための、またはより任意の形状の食品を解凍、加温、または調理するための解決策も無いようである。
【0006】
先行技術の文献には以下のものが挙げられる:
S.Evans,Electromagnetic Rewarming:The effect of CPA concentration and radio source frequency on uniformity and efficiency of heating,Cryobiology 40(2000)126−138
S.Evansら,Design of a UHF applicator for rewarming of cryopreserved biomaterials,IEEE Trans.Biomed.Eng.39(1992)217−225
M.P.Robinsonら,Rapid electromagnetic warming of cells and tissues,IEEE Trans.Biomed.Eng.46(1999)1413−1425
M.P.Robinsonら,Electromagnetic re−warming of cryopreserved tissues:effect of choice of cryoprotectant and sample shape on uniformity of heating,Phys.Med.Biol.47(2002)2311−2325.
M.C.Wusteman,Martinら,Vitrification of large tissues with dielectric warming:biological problems and some approaches to their solution,Cryobiology 48(2004)179−189.
【0007】
Cryobiology 30、493−508(1993)におけるJ.D.J.Penfoldらによる「Control of Thermal Runaway and Uniformity of Heating in the Electromagnetic Warming of a Cryopreserved Kidney Phantom」と題する論文は、理論的解析および実験結果を記載している。一部の実験は明らかに腎臓サイズのファントムで行なわれたが、主な報告結果は均一な球形の物体によるものである。
【0008】
報告の通り、直交3方向(x,y,z)から434MHzの電磁エネルギーがキャビティに供給された。xおよびy方向の給電は同一発生装置から提供され、電磁界が円偏向するように位相変化が導入された。温度の上昇と共に変化する入力インピーダンスに整合するように、周波数は32kHz刻みで(おそらく最大で約350kHzまで)変更された。
【0009】
上記論文の全てを、参照によって本書に組み込む。
【発明の開示】
【0010】
本発明者らは、均一な加熱をもたらすべく先行技術の研究者らによって講じられた処置が不適切であり、それらだけでは、器官、食品等のような不規則な形状の物体の均一な加熱(または解凍)のための実行可能な方法論を導くことができないことを認識した。特に、先行技術は多くの問題を抱えていることが分かった。本書で使用する場合、用語「不規則な」とは、物体が球形または楕円形から5%RMS体積より大きく逸脱していることを意味する。
【0011】
一般的な電子レンジは、基本的に単一周波数のマイクロ波エネルギーをレンジチャンバ内に供給するように構成される。装置の制約により、エネルギーは小さい範囲の、通常2.4から2.5MHzの間の異なる周波数で供給される。略一定周波数を使用する、または小さい周波数範囲で単一の散逸ピークを追跡するという制約が、均一な加熱を達成する能力を著しく制限していることを発明者らは認識した。実際、単一周波数での加熱は、ホットスポットの主要な原因の1つであることが分かっている。しかし、異なる周波数を使用する(1つまたはそれ以上の給電体を使用する)ことが、加熱の均一性を改善する場合がある。
【0012】
提案された先行技術の加熱器の中には2つ以上のマイクロ波入力を利用しているものがあったが、2つの入力間の周波数差は小さく、6MHz未満である。
【0013】
発明者らはまた、一般的な電子レンジのキャビティの構造、および特にキャビティのモード構造が本質的に、均一な加熱の達成を可能にしないことをも発見した。一般的に、キャビティ内の所与のモードの電磁界は位置により変化し、加熱は電磁界の強度により変化する。
【0014】
当業界では、加熱を開始する前に、被加熱物体の特徴に整合するように、電子レンジのパラメータを設定することが試みられた。しかし、加熱中に、被加熱物体の特徴(例えば所与の周波数のエネルギーを吸収する傾向)は変化する。したがって発明者らは、たとえ動作前に加熱器を被加熱物体に合わせて調整しても、短時間の動作後には、物体の特徴は変化し、調整がもはや有意でなくなることを認識した。
【0015】
別の問題は、時折、温度が上昇するにつれて、物体の所与の位置における吸収が高くなることである。これは(一般的な電子レンジでさえも)、比較的高温の場所が低温の場所より多く吸収し、かくして温度差が連続的に増大する、「熱暴走」の問題を引き起こしかねない。装置のエネルギー入力を物体のインピーダンスに合わせて調整しようと努めた場合、物体へのエネルギー送達効率を最大化することができるが、ホットスポットも一般的に増加する。
【0016】
発明者らはまた、エネルギーの散逸を取り扱う公知の刊行物が、必ずしも物体ではなく、共振装置(例えば表面電流)によるエネルギーの吸収を取り扱っていることに気付いた。さらに、物体におけるエネルギーの散逸の分布は、(透過度の多少の考察を除いては)注目されていなかった。
【0017】
さらに、複数の方向からキャビティ内に供給されるときに、給電間の結合は大きい問題になり得る。球形のサンプルの場合、これらの影響は最小限であるが、この形状からわずかでも異なると、入力間の結合は極めて大きくなり得る。そのような結合は、不均一な加熱および低い電力効率を含め、多数の問題を引き起こした。
【0018】
本発明の幾つかの例示的実施形態は、これらの問題の1つまたはそれ以上に対処する。
【0019】
本書で使用する場合、用語「加熱」とは、電磁(EM)エネルギーを物体内に送達することを意味する。時折、(例えば少なくとも加熱速度に等しい速度で同時冷却されるとき、または伝送されたエネルギーが位相変化のために取り込まれる位相変化時に)物体は本発明に従って、温度を上昇することなく加熱することができる。加熱は、電磁エネルギーを使用して解凍、解氷、加熱、調理、乾燥すること等を含む。
【0020】
本発明の一部の実施形態の態様は、実生活の、すなわち不均一または不規則な幾何学的形状の物体のより均一な加熱に取り組む。本書で使用する場合、用語「物体」とは、1つまたはそれ以上の物体の組成物を含め、任意の物体を意味する。本発明の実施形態では、解凍される器官の最熱部は、最冷部が0℃に達するときに、6℃またはそれ以下である。これは、ウシの肝臓で確認された。ウシの肝臓による実験では、−50℃から解凍した後、解凍された肝臓の温度範囲は、8℃から10℃までの範囲であった。一般的に、再結晶化を回避するために、物体は全ての部分が氷点より上になるように解凍することが望ましい。別の実施形態では、加熱後の温度の均一性を50℃以内に維持しながら、物体は他の温度(例えば給仕もしくは調理温度、または加熱前の物体の温度より高い氷点下の温度)まで加熱される。時折、加熱中に、温度の均一性が常時50℃以内であり、または10℃もしくは5℃以内でさえあるように、加熱(または解凍)される物体の温度の均一性が維持される。
【0021】
本発明の一部の実施形態の態様は、有限集合の周波数サブバンドで(単数または複数の)給電の周波数を掃引する(すなわち各サブバンドに属する多くの周波数でエネルギーを加熱器に供給する)ことに関係する。例えば、RF周波数の帯域(例えば加熱器の動作範囲全体)に対しエネルギーの散逸を測定し、測定結果に基づき、有限集合の周波数サブバンドを選択する。エネルギー効率が測定される帯域の幅は、例えば最高2GHzとすることができる。時には、帯域は中心周波数の0.5%(5/1000[MHz])から25%(100/400[MHz])の間の幅を有する場合がある。
【0022】
測定は、物体を加熱する前に、物体の加熱中に1回以上、または事前に、(サンプル物体を用いて、基本的に同一の追加物体のためのサブバンドを定めるために)実行することができる。本発明の実施形態では、RFエネルギーは、エネルギー効率測定に敏感な複数の周波数および出力レベルで、キャビティに供給される。例えば、入力を周波数掃引することができる。下述する他の方法を使用することもできる。
【0023】
本発明の一部の実施形態の態様は、加熱プロセスの効率を確保することに関する。加熱効率は、RFエネルギー源(増幅器またはその他)によって発生し、被加熱物体に吸収される出力の部分と定義される。加熱プロセスの高効率が、結果としてプロセス全体の高効率につながる。
【0024】
本発明の実施形態では、特定の帯域(Sij)の各周波数で他の給電体に結合される電力、および各周波数(Sii)でのリターンロスが、加熱効率を決定する際、および装置の特定の特性を調整する際に、例えばどの周波数でどの電力を伝送するか、およびこれらの周波数を適合する電力で送出するタイミングを決定する際に、考慮される。任意選択的に、1つの給電体からシステムに供給される吸収電力(入力電力から結合電力を引いたもの)は、他の給電体の各々に供給される吸収電力と同一になるように調整される。
【0025】
本発明の実施形態では、効率「スペクトル」の幅(Qファクタに関係する)は増大することが好ましい。RFの一般的理論から、物体(または負荷)における大きい損失は、低いQファクタと整合することが知られている。加えて、幅広の散逸ピークは、効率のピーク付近の周波数を掃引することを可能にし、それは加熱の均一性をさらに改善すると確信されている技術である。帯域幅に基づき、アンテナと表面電流との結合を低減することができる。散逸を測定すると(空のチャンバ内でさえも)、アンテナおよび/または金属部品および/または表面電流によって生じる散逸ピークは、幅狭の散逸ピークとして現われる。かくして、そのような帯域(例えば0.25%未満の幅または0.75%未満の幅でさえも)の伝送を回避することによって、エネルギー損失を低減することができる。そのような波長の伝送を防止するために、そのような測定は、物体の加熱前および/または加熱中、または加熱器の製造中に実行することができる。さらに、製造中に入力間の結合を測定し、高結合の帯域を回避することができる。
【0026】
本発明の一部の実施形態では、各伝送周波数で給電体に入力される電力は、加熱される物体によって吸収される電力の差を考慮に入れるように調整され、均一またはより均一な電力吸収を達成するのに役立ち得る。出願人らは、選択されたサブバンドで伝送周波数を変化させ、任意選択的に吸収ピーク付近で、これらの選択されたサブバンド内の各周波数で入力電力を変化させると、被加熱物体内の加熱パターンが変化することを発見した。かくして、電力を適切に調整しながら、選択されたサブバンドで周波数を掃引することによって、物体の種々の部分が加熱される。物体の様々な位置に吸収される全エネルギーを均一に維持することにより、結果として、より均等な加熱がもたらされる。
【0027】
本発明の一部の実施形態の態様は、RF加熱用のキャビティの設計、構造、および較正に関する。キャビティは、本発明の特定の要求を満たすために設計することができる。
【0028】
本発明の実施形態では、RF加熱器は、キャビティにエネルギーを供給する1つ、2つ、またはそれ以上の電磁エネルギー給電体を含む。任意選択的に、給電体はアンテナであり、好ましくは広帯域および/または指向性アンテナである。任意選択的に、給電体は、結合を低減するために異なる方向に偏向される。これらの特性は、結合を低下させ、かつ本発明を機能させる際に高い自由度を提供するために使用することができる。本発明の例示的実施形態では、直交座標に平行に配置された3つの給電体を使用する。任意選択的に、2つまたは3つ以上、例えば6つの給電体を使用する。任意選択的に、より低い均一性が受け入れられ、本発明の他の態様を利用することで充分な均一性がもたらされる場合、2つだけ(または実施形態によっては1つだけ)の給電体が設けられる。
【0029】
一部の実施形態では、到来波がそれを通してアンテナ構造の全ての部分に達する単一の本線を有するアンテナ(アンテナのアレイとすることができる)を使用するというより、幾つかのアンテナを使用することができる。このアンテナ群は、6つのアンテナの各々に異なる時間にエネルギーを伝達し、かくして複合アンテナの幾何学的形状設計の結果生じる位相を整合させることによって、アンテナアレイとして動作することができる。これにより、アンテナ前のRFエネルギーを総計するのと対照的に、物体に対するRFエネルギーを総計することが可能になる。そのようなアンテナ群の利益の中の、生産コストの潜在的な削減(より安価な増幅器)がある。加えて、各入力の位相を動的に(かつ独立して)制御する可能性により、RF(EM)モードの制御に追加の自由度がもたらされる。
【0030】
さらに、アンテナアレイは通常、単一アンテナより大きい面積を有することが注目される。考えられる利点として、加熱プロトコルに対する被加熱物体の位置の依存性が低減されることが挙げられる。おそらく2つ以上のアンテナ源がコヒーレントであり、アンテナ構造に共通の挙動を持たせることにつながる。さらに、アンテナアレイはより高い指向性または帯域幅を持つことができ、したがって本発明を機能させる際に有利である。さらに、アンテナの可変指向性をもたらし、かつ加熱される物体へのエネルギーの伝達を向上させるように、アレイはしばしば操縦可能にすることができる。
【0031】
本発明の一部の実施形態では、広帯域固体素子増幅器をRFエネルギー源として使用することができる。潜在的な利点の中には、固体素子増幅器によって広帯域の周波数を導入することができることがある。
【0032】
本発明の実施形態では、加熱プロセスの(例えば結合)1つまたはそれ以上のパラメータを改善するために、キャビティに少なくとも1つの電界調整要素が配置される。任意選択的に、2つ以上の電界調整要素が使用される。任意選択的に、少なくとも1つの電界調整要素の境界のいずれかは電気的に浮遊している(キャビティの金属壁に接触しない)。任意選択的に、少なくとも1つの要素の境界のいずれかの部分は、キャビティの壁の1つに取り付けられる。本発明の例示的実施形態では、要素の少なくとも1つは所定の位置に固定されず、したがってそれは、加熱プロセスの1つまたはそれ以上のパラメータを改善するために、移動かつ/または回転かつ/または折り畳み/展開することができる。本発明の例示的実施形態では、少なくとも1つの要素が軸の周りで回転する。本発明の例示的実施形態では、少なくとも1つの要素がキャビティの壁に沿って摺動する。
【0033】
本発明の例示的実施形態では、電界調整要素は金属または他の導体である。代替的に、電磁界を摂動させることが知られている金属を任意選択的に装荷した、誘電体のような任意の材料を適合する要素として使用することができる。電界調整要素の大きさ、構造、位置、および材料は、電界調整要素の有効性に影響を及ぼす。大きさの影響は、要素の位置によっても異なる。ある位置で、測定されるエネルギー伝達および他の加熱パラメータに対する要素の影響は、別の位置では異なる。一般的に、要素がアンテナの指向性の方向を向いているときに、比較的大きい効果を有する。
【0034】
加えて、チャンバの半径に対する高さの関係、および幾何学的形状設計(例えば箱形対筒形)は、チャンバの散逸パターンおよびチャンバ内のモードに影響することが知られている。本発明の一部の実施形態に係る装置を設計する際に、散逸のシミュレーションまたは試行錯誤的測定を使用して、所望の加熱のためにより適切な、例えば物体でより幅広の散逸ピーク(低いQファクタ)を有するか、またはより適応性のある(すなわち、例えば下述するように、同様の電界調整要素を用いて、散逸パターンのより劇的な変化を可能にする)、チャンバを選択することができる。
【0035】
本発明の一部の実施形態の態様は、キャビティに給電するために使用される給電体に関係する。本発明の実施形態によると、エネルギーは同軸入力を介してキャビティ内に供給され、同軸入力の中心導体はキャビティの壁を通過して延び、部分ループを形成する。本発明の例示的実施形態では、延長の端はキャビティの壁に取り付けられない。任意選択的に、物体への電力の伝達を改善するために、部分ループは、加熱される物体の位置に向かって放射するアンテナを含む。
【0036】
本発明の別の実施形態によると、エネルギーは、任意選択的に同軸入力を介して供給されるヘリカルアンテナを介してキャビティ内に供給される。任意選択的に、ヘリックス周期、その直径、および/またはその向きは調整可能であり、それによりチャンバ内のモードおよび散逸が変化する。本発明の一部の実施形態では、入力の1つまたはそれ以上が右回転ヘリックスを利用する一方、他の入力は左回転ヘリックスを利用する。これによりヘリックス間の結合を最小化することができる。代替的に、全てのヘリックスは同一の向きを有する。
【0037】
本発明のさらに別の実施形態によると、入力の1つまたはそれ以上でフラクタルアンテナが使用される。
【0038】
本発明の一部の追加の実施形態によると、異なる入力ポートで異なるアンテナ型が使用される。
【0039】
本発明の一部の実施形態によると、アンテナは、アンテナの自由空間中心波長をキャビティで有効な中心周波数に変換させる波長補正係数に従って設計される。発明者らは、この変換が加熱される物体の形状または大きさとは実質的に無関係であることを発見した。
【0040】
本発明の一部の実施形態の態様は、加熱器のキャビティへの電磁エネルギーの入力を制御する方法に関する。
【0041】
本発明の例示的実施形態では、物体の加熱中に物体の変化に応答して、または加熱器の初期調整中に、加熱器の1つまたはそれ以上の特性を調整する。例示的実施形態では、加熱される物体へのエネルギー伝達の正味電力および/または効率および/または均一性を改善するように、(i)少なくとも1つの電界調整要素の位置および/もしくは向き、ならびに/または(ii)少なくとも1つの周波数(または周波数のサブバンド)の伝送出力、ならびに/または(iii)1つのアンテナ構造の特性、ならびに/または(iv)被加熱物体の位置、の少なくとも1つが調整される。任意選択的に、少なくとも1つの電界調整要素の入力周波数、位置、および/または向きの2つまたはそれ以上が調整される。
【0042】
本発明の例示的実施形態では、入力の周波数が実質的に異なる。上に引用した先行技術では、周波数は最高で6MHzまで異なることができるが、本発明の例示的実施形態では、周波数は10、20、50、100、または数百MHzだけ異なる。これは、物体に均等に電力を提供する上で大きい柔軟性をもたらす。先行技術では、物体を不凍液中に浸漬することによって、物体の均一性が達成された。この結果、液体の特性が支配的になり、加熱中に周波数がほとんど変化しないシステムが得られたが、物体自体はマイクロ波環境にうまく適合しなかった。さらに、時には、物体を均一性誘導にさらすことは好ましくない(例えば生物学的材料もしくは消費に有害であるか、または食品の味または構造を損ねる場合がある流体への暴露)。
【0043】
任意選択的に、チャンバ環境は、物体の外側に設けられる一般的な環境制御要素(例えば湿気、冷却、または加温の導入)を使用して制御される。そのような外部冷却は、外側の過熱を回避することを可能にする。代替的に、解凍プロセスを開始するために、多少の加熱を外側に行なうことができる。これは再結晶化を防止するのに役立ち、または卵をゆでる場合には、加熱は卵殻における温度勾配(およびしたがって応力)が低下し、かくしてひび割れおよび破裂の可能性が低減される。したがって、本発明の一部の実施形態では、加熱される物体の外側または内部に熱放射、集熱、または熱反射要素が提供される。湿気の制御は、加熱される物体に水分を提供して物体が完全に乾燥するのを防止することができる。肉など、物体によっては、それにより水分保持層が物体上に形成され、物体が完全に乾燥するのを防止することができる。
【0044】
本発明の一部の実施形態では、RF感応物体を、加熱される物体上または付近に配置する。そのような物体は受動源として働く。そのような源の例として、ダイポール放射体として働く金属ロッド、または反射体として使用することができる金属粉末、または加熱される物体の小部分を遮蔽することができる1片の箔が挙げられる。
【0045】
本発明の一部の実施形態の態様では、加熱の終わり(例えば解凍またはボイルの終わり)を自動的に検出し、加熱を停止する。代替的に、加熱中に、誘電特性を考慮に入れるように加熱プロセスの特性を調整することができる(例えば、相変化時にはこのプロセスで長時間が費やされるのを防止するために、より大きい電力が伝達される)。本発明の実施形態では、相変化は、例えば給電体のリターンロスおよび結合の種々の測定値または所望の動作周波数によって表わされる、物体の誘電特性の変化によって検知される。任意選択的に、物体は、温度センサを含むバッグ内に包封することができる。任意選択的に、熱電対、IRセンサ、および/または光センサを使用して、解凍、調理、または他の加熱プロセスの終わりが決定される。
【0046】
任意選択的に、加熱中に、電力伝達の効率およびキャビティの給電体への電力についての連続的な知識を通して、特定の種類の物体に必要なRF電力の量および物体に吸収されるRF電力の量の正確な測定値に基づいて、物体の現在の温度が決定される。
【0047】
本発明の一部の実施形態の態様は、単なる時間の関数としての電力ではなく、RF信号の所望の駆動プロファイルを指示する加熱命令を含む、電子レンジに使用可能なパッケージ、包装体、タグ、アタッチメント、または他のインジケータを提供することに関係する。本発明の例示的実施形態では、指示されるプロファイルは、複数の周波数を含むRF駆動プロファイルを生成するテーブルまたはシミュレーションへのインデックスを含む。任意選択的に、少なくとも3つ、少なくとも5つ、もしくはそれ以上の相異なる周波数、および/または1つまたはそれ以上の周波数範囲が指示される。任意選択的に、駆動プロファイルは、使用する入力の個数、入力の位相、時間的スケジュール、ならびに/またはパッケージの熱的およびRF挙動のようなパッケージ関連情報の1つまたはそれ以上を含む。
【0048】
本発明の例示的実施形態では、共振回路が物体および/またはその表面に(例えば物体が中に包装されるバッグ内に)埋め込まれる。そのようなセンサは、周波数走査を実行し、共振周波数で入力インピーダンスの変化を探すことによって識別することができる。そのような回路は、物体を識別するために使用することができる。
【0049】
バッグに温度感知要素が設けられる場合、それらは、温度を決定するため(かつ、加熱プロセスの終わりおよび/または進捗を決定するため)に使用することもできる。任意選択的に、これらの回路の周波数は、一般的に加熱に使用される周波数からは遠く離れている。代替的に、加熱器は特定の共振構造と相互作用する周波数で電力を伝送しない(潜在的により高い、またはより低い周波数を伝送する)ように構成される。
【0050】
かくして、本発明の実施形態では、
物体が中に配置されるキャビティと、
UHFまたはマイクロ波エネルギーをキャビティ内に供給する少なくとも1つの給電体と、
UHFまたはマイクロ波エネルギーが、物体の体積の少なくとも80%または90%にわたって±30%、20%、または10%以内で均一に物体に堆積されることを確実にするように、キャビティの1つまたはそれ以上の特性またはエネルギーを制御するコントローラと
を含む、不規則な形状の物体を加熱するための電磁加熱器を提供する。
【0051】
任意選択的に、少なくとも1つの給電体は複数の給電体を含む。
【0052】
本発明の実施形態では、1つまたはそれ以上の制御される特性は、1つまたはそれ以上の給電体に入力されるエネルギーの周波数を含む。代替的に、または追加的に、1つまたはそれ以上の制御される特性は、キャビティ内部の電界調整要素の位置または向きを含む。任意選択的に、特性は、キャビティへの電力の所望の正味効率を達成するように制御される。
【0053】
本発明の実施形態では、
加熱器のキャビティに物体を配置する工程と、
加熱器内にUHFまたはマイクロ波エネルギーを供給する工程と、
物体の体積の少なくとも80%または90%にわたって±30%、20%、または10%以内で均一に物体に堆積されることを確実にするように、キャビティの1つまたはそれ以上の特性またはエネルギーを制御する工程と
を含む、不規則な形状の物体を加熱する方法をさらに提供する。
【0054】
本発明の実施形態では、1つまたはそれ以上の制御される特性は、1つまたはそれ以上の給電体に入力されるエネルギーの周波数を含む。代替的に、または追加的に、1つまたはそれ以上の制御される特性は、キャビティ内部の電界調整要素の位置または向きを含む。任意選択的に、特性は、キャビティへの電力の所望の正味効率を達成するように制御される。任意選択的に、周波数を制御する工程は、少なくとも0.5%の帯域をカバーする複数の周波数でエネルギーを供給する工程を含む。
【0055】
本発明の実施形態では、加熱の開始時に事前に物体は冷凍される。任意選択的に、物体は解凍されるまで加熱される。任意選択的に、前記加熱による解凍が物体全体で完了したときの物体中の温度差は、50℃、20℃、10℃、5℃、または2℃未満である。本発明の実施形態では、冷凍物体は動物またはヒトの器官である。
【0056】
本発明の実施形態では、
エネルギーを少なくとも1つのポートに供給する工程と、
物体の加熱中に、0.5%、2%、5%、10%、または20%を超える帯域にわたって変化するようにエネルギーの周波数を変化させる工程と
を含む、少なくとも1つのRFポートを有するキャビティで物体を加熱する方法をさらに提供する。
【0057】
本発明の実施形態では、周波数は帯域全体で掃引される。
【0058】
任意選択的に、帯域は少なくとも20MHzまたは100MHzの幅である。
【0059】
本発明の実施形態では、
キャビティと、
少なくとも1つのUHFまたはマイクロ波エネルギー給電体と、
キャビティ内に位置する少なくとも1つの調整可能な電界調整要素と
を含む、電磁加熱装置をさらに提供する。
【0060】
任意選択的に、少なくとも1つの電界調整要素は金属要素である。
【0061】
任意選択的に、少なくとも1つの調整可能な電界調整要素は、所望の電力結合を生じるように回転可能である。代替的に、または追加的に、少なくとも1つの電界調整要素は、所望の電力結合を生じるように摺動可能である。任意選択的に、少なくとも1つの調整可能な電界調整要素は、複数の独立に調整可能な要素を含む。
【0062】
本発明の実施形態では、
加熱される物体をキャビティ内に配置する工程と、
UHFまたはマイクロ波エネルギーをキャビティ内に供給する工程と、
加熱の所望の均一性を達成するように、キャビティの特性を調整する工程と
を含む、電磁加熱のための方法をさらに提供する。
【0063】
任意選択的に、キャビティはキャビティ内に少なくとも1つの調整可能な電界調整要素を含み、
キャビティを調整する工程は、少なくとも1つの電界調整要素を調整する工程を含む。
【0064】
任意選択的に、少なくとも1つの調整可能な電界調整可能な要素は、複数の前記要素を含む。
【0065】
任意選択的に、調整は、加熱が進行するにつれて少なくとも1回行なわれる。
【0066】
本発明の実施形態では、
キャビティと、
UHFまたはマイクロ波エネルギーをキャビティに供給する複数(任意選択的に2つ、3つ、または6つ)の給電体と、
キャビティ内への正味電力伝達の効率を決定し、かつキャビティ内への正味電力伝達の効率が制御されるように複数の入力の周波数を調整するコントローラと
を含む、電磁加熱のための装置をさらに提供する。
【0067】
任意選択的に、コントローラは、加熱の開始から終了までの期間中に周波数を調整する。
【0068】
任意選択的に、装置は、キャビティ内に位置する少なくとも1つの調整可能な電界調整要素を含む。任意選択的に、コントローラは、正味電力伝達の効率を向上するように電界調整要素を調整する。
【0069】
任意選択的に、コントローラは加熱が進行するにつれて周波数を調整する。
【0070】
任意選択的に、コントローラは、周波数の少なくとも2つを異なる電力で供給するように構成される。
【0071】
任意選択的に、コントローラは加熱が進行するにつれて周波数を掃引する。
【0072】
本発明の実施形態では、
加熱される物体をキャビティ内に配置する工程と、
複数の給電体を介してUHFまたはマイクロ波エネルギーをキャビティ内に供給する工程と、
給電体の各々についてキャビティ内へのエネルギーの正味伝達の効率を、周波数の範囲全体にわたって周波数の関数として決定する工程と、
決定された効率関数に応答して、供給されるエネルギーの周波数を調整する工程と
を含む、電磁加熱の方法をさらに提供する。
【0073】
本発明の実施形態では、該方法は、加熱が進行するにつれて周波数を調整することを含む。
【0074】
任意選択的に、該方法は帯域全体にわたって周波数を掃引することを含む。
【0075】
任意選択的に、該方法は、周波数が調整されたときに効率関数に応答して各給電体の電力を調整することを含む。
【0076】
本発明の実施形態では、加熱される物体へのエネルギー伝達の全体的効率が、給電体に供給されるエネルギーと比較して、40%または50%より大きい。
【0077】
本発明の実施形態では、
キャビティと、
UHFまたはマイクロ波エネルギーをキャビティ内に供給する少なくとも1つの給電体と、
加熱が進行するにつれてエネルギーの所望の周波数の変化を決定し、かつ少なくとも1MHz、10MHz、または25MHzだけ周波数を変化させるコントローラと
を含む、電磁加熱のための装置をさらに提供する。
【0078】
本発明の実施形態では、所望の周波数変化は、周波数の帯域全体にわたるキャビティへのエネルギー伝達の正味効率の測定から決定される。
【0079】
本発明の実施形態では、
加熱される物体をキャビティ内に配置する工程と、
物体を加熱するためにキャビティ内に供給されるUHFまたはマイクロ波エネルギーの周波数を、加熱の過程において少なくとも1MHz、10MHz、25MHz、または25MHz変化させる工程と
を含む、電磁加熱の方法をさらに提供する。
【0080】
本発明の実施形態では、所望の周波数変化は、周波数帯域にわたるキャビティへのエネルギー伝達の正味効率の測定から決定される。
【0081】
本発明の実施形態では、周波数は少なくとも5MHzの少なくとも1つの周波数サブバンドにわたって掃引される。
【0082】
本発明の実施形態では、電力は正味効率の測定に応答して各周波数に対して調整される。
【0083】
本発明の実施形態では、
加熱される物体をキャビティ内に配置する工程と、
複数の給電体を介してUHFまたはマイクロ波エネルギーをキャビティ内に供給する工程と
を含み、給電体の2つに供給されるエネルギーの周波数が少なくとも8MHzまたは20MHzだけ異なる、電磁加熱の方法をさらに提供する。
【0084】
本発明の実施形態では、複数の給電体の各々から物体に供給される正味エネルギーが25%以内である。
【0085】
本発明の実施形態では、
物体を加熱することができる量のUHFまたはマイクロ波エネルギーに被加熱物体をさらす工程と、
物体の状態の変化に応答する加熱プロセスの特性を決定する工程と、
所望の状態が達成されたときに加熱を調整する工程と
を含む、電磁加熱の方法をさらに提供する。
【0086】
本発明の実施形態では、
物体を加熱することができる量のUHFまたはマイクロ波エネルギーに被加熱物体をさらす工程と、
物体によって吸収されるエネルギーの量を決定する工程と、
所望の量のエネルギーが吸収されたときに加熱を調整する工程と
を含む、電磁加熱の方法をさらに提供する。
【0087】
本発明の実施形態では、
キャビティと、
UHFまたはマイクロ波エネルギーのための少なくとも1つの給電体と、
キャビティ内の物体の加熱に影響を及ぼすのに効果的な電界または磁界にキャビティ内の物体をさらすように構成された、静的または低周波電界または磁界の発生源と
を含む、電磁加熱のための装置をさらに提供する。
【0088】
本発明の実施形態では、
物体の加熱に適した量のUHFまたはマイクロ波エネルギーに被加熱物体をさらす工程と、
加熱中に、加熱の均一性または効率を高めるのに効果的な静的または低周波電界または磁界に物体をさらす工程と
を含む、電磁加熱の方法をさらに提供する。
【0089】
本発明の実施形態では、
キャビティと、
パッチアンテナ、フラクタルアンテナ、ヘリックスアンテナ、対数周期アンテナ、スパイラルアンテナ、およびキャビティの壁に触れない部分ループ内に形成されるワイヤから構成される群から選択される放射要素を含むアンテナを含むキャビティへの少なくとも1つの給電体と
を含む、電磁加熱のための装置をさらに提供する。
【0090】
本発明の実施形態では、放射要素が放射要素のアレイを含む。
【0091】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの給電体は複数の給電体を含み、少なくとも2つの給電体の放射要素が異なる。
【0092】
本発明の実施形態では、
加熱される物体を用意する工程と、
物体上、内、または付近にエネルギー集中要素を設ける工程と、
物体およびエネルギー集中要素を共振キャビティ内に配置する工程と、
物体および要素に照射して、物体の選択された場所にエネルギーの集中を引き起こす工程と
を含む、被照射物体の一部分の選択的加熱を生じる方法をさらに提供する。
【0093】
任意選択的に、エネルギー集中要素はそれが共振する周波数で照射される。
【0094】
任意選択的に、物体および要素はキャビティ内に別々に配置される。
【0095】
本発明の実施形態では、
共振キャビティと、
マイクロ波またはUHFエネルギーの少なくとも1つの源と、
少なくとも1つの源によって発生するエネルギーをキャビティ内に供給するための少なくとも1つの給電体と、
少なくとも1つの源のための電源と、
RF加熱器のための筐体と
を含み、
RF加熱器の重量が15Kg、10Kg、7Kg、またはそれ以下である、
RF加熱器を提供する。
【0096】
本発明の実施形態では、共振キャビティは少なくとも20、30、または40リットルの容積を有する。
【0097】
本発明の実施形態では、
加熱器の共振キャビティ内に物体を配置する工程と、
温度により変化する共振周波数を有する温度感知センサを設ける工程と、
給電体を介してUHFまたはマイクロ波電力を物体に放射する工程と、
給電体から反射されるエネルギーに基づき温度を決定する工程と
を含む、RF加熱器で加熱される物体の一部分の温度を決定する方法をさらに提供する。
【0098】
本発明の実施形態では、該方法は、
温度感知要素に隣接して非温度感知共振要素を配置する工程
を含み、決定工程が、前記反射エネルギーによって示される温度感知センサおよび非温度感知共振要素の共振間の周波数差に基づいて決定する工程を含む。
【0099】
本発明の実施形態では、該方法は、決定された温度に応答するエネルギーの放射の特性を制御する工程を含む。
【0100】
本発明の実施形態では、
UHFまたはマイクロ波エネルギーを物体に照射する工程と、
キャビティの湿度を調整するか、またはキャビティ内の空気を冷却する工程と
を含む、キャビティ内の物体のRF加熱のための方法をさらに提供する。
【0101】
本発明の実施形態では、キャビティの湿度を調整するか、またはキャビティ内の空気を冷却する工程は、キャビティ内の空気の湿度を調整する工程を含む。加えて、温度を調整することができる。湿度を調整する工程に代替して、またはそれに加えて、キャビティの湿度を調整するか、またはキャビティ内の空気を冷却する工程は、キャビティ内の空気を冷却する工程を含む。
【0102】
本発明の実施形態では、
共振キャビティと、
少なくとも50ワットの電力出力を有し、40%を超える効率で0.5%を超える周波数範囲にわたって掃引可能である少なくとも1つのRF源と、
少なくとも1つの源によって発生したエネルギーをキャビティ内に供給するための少なくとも1つの給電体と、
少なくとも1つの源のための電源と、
RF加熱器のための筐体と
を含む、RF加熱器をさらに提供する。
【0103】
任意選択的に、RF源は、
帯域内の選択的周波数を生成する信号発生装置と、
RF増幅器と
を含む。
【0104】
任意選択的に、少なくとも1つのRF源は複数の源を含む。
【0105】
任意選択的に、少なくとも1つの給電体は複数の給電体を含む。
【0106】
任意選択的に、少なくとも1つのRF源は、UHF源またはマイクロ波源の一方または両方を含む。
【0107】
任意選択的に、源は2%、5%、10%、20%、または25%を超える周波数範囲にわたって掃引可能である。
【0108】
任意選択的に、各給電体に利用可能な電力出力は少なくとも200ワットまたは400ワットである。
【0109】
本発明の実施形態では、
共振キャビティと、
少なくとも50ワットの電力出力を有し、かつ40%を超える効率で200MHzを超える周波数範囲にわたって掃引可能である少なくとも1つのRF源と、
少なくとも1つの源によって発生したエネルギーをキャビティ内に供給するための少なくとも1つの給電体と、
少なくとも1つの源のための電源と、
RF加熱器のための筐体と
を含む、RF加熱器をさらに提供する。
【0110】
任意選択的に、RF源は、
帯域内の選択的周波数を生成する信号発生装置と、
RF増幅器と
を含む。
【0111】
任意選択的に、少なくとも1つのRF源は複数の源を含む。
【0112】
任意選択的に、少なくとも1つの給電体は複数の給電体を含む。
【0113】
任意選択的に、少なくとも1つのRF源は、UHF源またはマイクロ波源の一方または両方を含む。
【0114】
任意選択的に、各給電体に利用可能な電力出力は少なくとも200ワットまたは400ワットである。
【0115】
本発明の実施形態では、RF加熱炉に使用するのに適したパッケージであって、加熱命令の機械可読指示を有する少なくとも1つのインジケータを含み、指示が均一な加熱命令または制御された加熱命令を示すようにしたパッケージをさらに提供する。
【0116】
本発明の実施形態では、機械可読指示は、RFキャビティ内のRF電界を走査することによって読み取り可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
本発明の例示的な非限定実施形態を添付の図を参照しながら以下で説明する。図は、例示的かつ一般的であり、縮尺通りではない。異なる図に現われる同一または類似の要素は、同一の参照符号が付けられている。
【0118】
【図1】図1A、1Bおよび1Cは、それぞれ、本発明の例示的実施形態に係るキャビティ10の略平面図である。
【0119】
【図2A】図2Aは、本発明の実施形態に係る例示的な整合要素を示す。
【図2B】図2Bは、本発明の実施形態に係る例示的な整合要素を示す。
【0120】
【図3】図3は、図1のキャビティの内部の略等角図である。
【0121】
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態に係る、エネルギーをキャビティに結合するために有用なアンテナの略図である。
【0122】
【図4B−C】図4Bは、本発明の実施形態に係る、エネルギーをキャビティに結合するために有用なヘリカルアンテナの略図である。図4Cは、ヘリカルアンテナ給電体の自由空間整合周波数およびキャビティ整合周波数の相関関係のグラフを示す。
【0123】
【図4D−E】図4D−4Eは、本発明の実施形態に係る、エネルギーをキャビティに結合するために有用な種々のフラクタルアンテナの略図である。
【図4F−G】図4F−4Gは、本発明の実施形態に係る、エネルギーをキャビティに結合するために有用な種々のフラクタルアンテナの略図である。
【図4H】図4Hは、本発明の実施形態に係る、エネルギーをキャビティに結合するために有用な種々のフラクタルアンテナの略図である。
【0124】
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態に係る電磁加熱システムの略ブロック図である。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態に係る電磁加熱システムの略ブロック図である。
【図5C】図5Cは、本発明の実施形態に係る電磁加熱システムの略ブロック図である。
【0125】
【図6】図6は、本発明の実施形態に係るシステムの動作の簡易フローチャートである。
【0126】
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る、図5に示した加熱システムの要素および周波数を調整するプロセスのフローチャートである。
【0127】
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る代替的RF回路機構を示す。
【0128】
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る自動電源停止能力を示す、典型的な解凍プロセスの周波数対時間のグラフである。
【0129】
【図10】図10は、本発明の実施形態に係る低周波バイアス構造のレイアウトを示す。
【0130】
【図11A】図11Aは、本発明の実施形態に係る、掃引電力特性を決定する方法の簡易フローチャートである。
【0131】
【図11B−D】図11Bおよび11Cは、本発明の実施形態に従って掃引電力スペクトルがいかにして決定されるかを示す。図11Dは、本発明の実施形態に従って、図11Bに示したスペクトルを提供するために作動するパルスのためのパルス形状を示す。
【0132】
【図12A】図12Aは、本発明の実施形態に係る、補助加熱コイル付きのRF加熱器を示す。
【0133】
【図12B】図12Bは、増幅器から図12Aの加熱器へ廃熱を伝達するためのスキームを概略的に示す。
【0134】
【図12C−D】12Cは、増幅器から図12Aの加熱器へ廃熱を伝達するためのスキームを概略的に示す。図12Dは、本発明の実施形態に係る、高効率で軽量のRF加熱器の外観図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0135】
本願は、RF加熱(例えばマイクロ波またはUHF)加熱の分野における多数の利点を記載する。便宜上、これらの利点を種々の装置および方法の文脈で一緒に記載するが、各々の利点は一般的に独立しており、(適用可能な)先行技術の装置または方法で、または本発明の他の利点の非最適バージョンと共に実施することができる。かくして、例えば、入力電力を調整する方法の一部を、上で参照したPenfoldらの先行技術の装置で使用することができる。逆に、本発明の発明装置(またはその部品)をPenfoldらの方法で使用することができる。これらの組合せは理想的にはならないと予想されるが、先行技術の装置および方法より改善された結果をもたらすことが期待される。
【0136】
さらに、本発明の実施形態の文脈で記載する利点は、他の実施形態で利用することができ、可能な範囲で他の実施形態の記載にオプション機能として組み込まれていると考える必要がある。実施形態は、特定の発明的要素を際立たせるために、多少簡素化された形で提示される。さらに、本発明の大半または全部の実施形態に共通する多くの特徴は発明の開示の欄に記載されており、種々の実施形態の詳細な説明の一部でもあるとみなすべきであることに留意されたい。
【0137】
以下は、記載する一部または全部の実施形態に存在する新規の特徴または変形であると確信される。これらの特徴の全部がどの特定の実施形態にも存在するわけではなく、また適用可能な全ての実施形態に対し、全ての特徴を記載するわけではないことを理解されたい。
【0138】
1)加熱が完了したときに物体の温度が50℃以内で(任意選択的に、10℃、6℃、4℃、または2℃以内まで)均一になるように、不規則な物体をRF加熱することを可能にする装置および方法。例示的実施形態は、加熱の50%以上が装置の他の部分からの伝導によってではなく、直接RF加熱によって行なわれるように、物体を直接RF加熱することによって、この均一性を達成する。本発明の一部の実施形態では、そのような直接RF加熱は70%、80%、または90%かそれ以上を達成することができる。
【0139】
2)キャビティ内に電界調整要素を含む装置、およびそれを設計しかつ使用する方法。
【0140】
3)エネルギーをキャビティ内に結合させるための結合アンテナを1つまたはそれ以上持つ加熱装置、前記アンテナを設計する方法、およびアンテナの放射パターン調整方法を含んで成るエネルギーを加熱器に供給する方法。これは、アンテナアレイ(1つまたはそれ以上の給電体を持ち、制御された位相を有する)、ループアンテナ、広帯域アンテナ、フラクタルアンテナ、指向性アンテナ、ヘリックスアンテナを利用し、アンテナを個別にまたはコヒーレントに作動させ、所望の放射パターン等を得るようにアンテナを設計することを含む。
【0141】
4)周波数の関数として加熱される物体におけるエネルギーの吸収効率の測定を使用して、加熱前、および潜在的に加熱中にも数回(例えば1秒に数回)加熱プロセスの知識を得る装置および方法。
【0142】
5)(例えばエネルギー吸収の変動を補償するために電力を伝送することによって)エネルギー吸収効率の測定に基づいて加熱プロセスの1つまたはそれ以上の特性、例えば被加熱物体に吸収される電力の量を制御するように適応された装置および方法。これは、例えば各伝送周波数で入力電力を調整し、かつ/または伝送される周波数を選択し、かつ/または電界調整要素を移動させ、かつ/または被加熱物体を移動させ、かつ/またはアンテナ特性を変化させることによって、行なうことができる。これは、加熱中または加熱の短時間の中断時のエネルギー吸収の測定に基づいて、動作前および好ましくは動作中にも1回またはそれ以上(例えば1秒に数回)行なうことができる。
【0143】
6)RF加熱中に、DCまたは低周波数電界(例えば300MHz未満、または使用される加熱周波数より実質的に低い何らかの他の値未満)または磁界を物体に印加するための装置および方法。そのような印加は加熱される物体の誘電特性を変化させると確信され、これは、加熱される物体に付与される電力を調整するさらに別の方法を提供する。
【0144】
7)動作中に、所望の加熱パターンを得るために1つまたはそれ以上の給電体からの伝送周波数および/または電力が制御された仕方で(例えば1、2、または5MHz以上)変化する装置および方法。この変動は、動作中に数回発生することがある(例えば1秒に数回)。本発明の実施形態では、所望のパターンは均一な加熱パターンである。
【0145】
8)被加熱物体の誘電特性の読み取り値に基づいて加熱を制御する装置および方法。読み取り値は加熱中に1回またはそれ以上(例えば1秒に数回)、例えば解凍またはボイルプロセスの終わり、相変化が検知されたときに、得ることができる。これは加熱の停止を実現することができる。
【0146】
9)複数の入力を含み、入力の周波数が5、10、または25MHzより大きく異なる電磁加熱器。
【0147】
10)複数の入力を含み、入力の周波数が5MHzまたはそれ以上変化するように、加熱中に少なくとも1つの入力の周波数が動的に変化する電磁加熱器。
【0148】
11)広帯域および高効率(40%超)固体素子マイクロ波増幅器を利用してエネルギーをキャビティに供給し、かつ任意選択的に発生装置によって発生する廃熱を利用してキャビティ内の空気を加熱する装置。
【0149】
12)RFエネルギー発生装置によって発生する廃熱を利用して、媒体を、例えばキャビティ内の空気、または水加熱器の場合の水を加熱する装置。
【0150】
13)(選択的にまたは一般的に)共振構造および/または設計パターンに照射し、かくしてそれを放射源として使用する(すなわち受動源を形成する)ことによって、共振装置内部の前記共振構造および/または設計パターンが放射を生じるようにする方法、およびそれを含む装置。
【0151】
14)金属のようなRF反射物体を使用して、共振器内部でこれらの物体の近傍環境に、例えば被加熱物体内、または被加熱物体の近傍環境にエネルギーを集中させるための装置および方法。
【0152】
15)高効率(少なくとも50%、時には70%または80%さえ超える)のRF加熱器の装置および方法。効率は、電力源の出力における電力に対して物体に吸収される電力と定義される。これは、加熱器が太陽エネルギー源から動作する可能性を開く。
【0153】
16)重量が15Kg未満、または10Kg未満でさえあるRF加熱器。本発明の一部の実施形態に従って、マイクロ波管ではなく、高効率の固体素子増幅器を使用することにより、高荷重変圧器の代わりに低重量のDC電力源を使用することが可能になる。この熱節約は、重いマグネトロンを軽い固体素子増幅器に置き換えることに追加される。さらに、高効率性は、例えば共振装置をヒートシンクとして使用することにより、ヒートシンクの必要性を無くす。本発明の一部の実施形態では、廃熱を増幅器からマイクロ波キャビティ内にフィードバックすることにより、ヒートシンクの必要性が排除または部分的に軽減される。
【0154】
17)TTT(その共振が温度変化により変化するか、または変調応答を用いて温度情報を伝送する、温度感知、好ましくは受動温度伝送タグ)を使用する被加熱物体の温度情報の装置および方法。これは、TTT周波数が装置の伝送範囲から離れている場合、またはTTTの周波数が装置の帯域幅内である場合、加熱中に特定のTTT周波数を回避して、行なうことができる。本発明の一部の実施形態では、周波数差の測定は絶対周波数の測定より正確であるので、1つは温度を感知し、1つは感知しない、2つの共振要素を有するタグを使用することができる。
【0155】
18)チャンバ環境制御(例えば湿気、冷却、および/または加温等の導入および/または除去)のための手段を含む、RF加熱のための装置および方法。例えば卵をゆでる場合、加熱は卵殻の温度勾配(およびしたがって応力)を低減し、かくしてひび割れおよび破裂の可能性が低減される。任意選択的に、チャンバ内の空気の温度は、物体の現在の温度、および加熱される物体(例えば肉)を閉じ込める凝縮を引き起こすなどの目標に応じて、時間と共に変動する。
【0156】
19)電力入力および加熱される物体への電力の伝達効率の知識に基づいて、加熱される物体によって吸収される電力を算出することができる装置。これは、マイクロ波調理器で現在使用されている何らかの推定加熱時間ではなく、実際の加熱に基づいて、現在の温度および/または電源停止時間の算出を可能にする。
【0157】
図1A、1B、および1Cは、本発明の例示的実施形態に係るキャビティ10のそれぞれ上面図および側面図を示す。
【0158】
図示する通り、キャビティ10は、導体、例えばアルミニウムのような金属から作られた筒状キャビティであり、UHFまたはマイクロ波範囲の周波数で、任意選択的に300MHzから3GHzの間、より好ましくは400MHzから1GHzの間で共振する。本発明の一部の実施形態では、キャビティは球形、矩形、または楕円形のキャビティである。しかし、本発明の一般的方法論は特定の共振装置キャビティの形状に限定されないことを理解されたい。
【0159】
円筒の1端12、および筒状部分14の2つの両側には給電アンテナ16、18、および20が、下述する方法を用いて任意選択的に選択される周波数でエネルギーを供給するように配置される。種々のタイプの例示的なアンテナが図4A〜4Cに示されるが、それらは本発明を実行するのに有用なアンテナを限定するものではない。
【0160】
本発明の例示的実施形態では、1つまたはそれ以上の整合要素22、24がキャビティ内部に、任意選択的に給電アンテナの近くに配置される。2種類の電界調整要素が図示されるが、他の形状および材料を使用することもできる。図2Aにより明瞭に示す第1の電界調整要素22は、キャビティ10の端部12に位置する。この実施形態では、要素は、端部に取り付けられた軸28の周りで方向30に回転可能である。任意選択的に、それは、要素22を端部12に容量結合する絶縁シート32によって端部から絶縁される。代替的に、それは導電可能に取り付けられる。
【0161】
要素22は(他の電界調整要素も同様に)、適切に調整されたときに二重効果を有するものと確信される。一方では、それは、給電体からのエネルギーを加熱される物体に選択的に向かわせるように、キャビティのモードを変化させる。第2の関連する効果は、給電体の少なくとも1つを他の給電体に同時に整合させ、結合を低減させることである。
【0162】
図2Bにより明瞭に示す電界調整要素24は、給電体18と端部12との間に位置する。要素の一端は任意選択的に、キャビティの筒状部分14に電気的に取り付けられる。要素24の他端は、絶縁材36によって端部12から離隔され絶縁される。矢印33および34によって示されるように、それは端部12および筒状部分に沿って摺動自在である。この摺動は、エネルギー吸収効率のスペクトル変化を変化させる。
【0163】
図3は、給電体および要素の位置および向きをより明瞭に示す、キャビティ内部の斜視図である。
【0164】
図4A〜4Hは、本発明を実行するのに有用な種々のタイプのアンテナを示す。これらのアンテナはそれ自体新規であるか、または公知である場合、電子レンジまたは加熱器、特にキャビティ型加熱器で給電体に使用されたことが無いものである。一般的にほとんどのマイクロ波キャビティ型加熱器では、使用される給電体は、自由空気中で定義されるように決して指向性ではなく、かつ広帯域でもない。給電体の目的は、キャビティのモードを励起させることである。先行技術のキャビティは単一周波数または狭帯域の周波数で励起されるので、アンテナはこれらのモードを励起するように特別に設計された。加えて、先行技術のマイクロ波キャビティは、1つの給電体からのエネルギーの別の給電体との結合を低減するように設計されていない導波管またはループアンテナを使用する(それらは一般的に単一の給電体しかもたない)。本発明者らは、指向性アンテナおよび/または広帯域アンテナの使用が、被加熱物体への結合の向上および他の給電体への結合の低下を可能にすることを発見した。
【0165】
一部の実施形態では、アンテナはアレイとして供給される。アンテナアレイを使用することには利点がある。帯域が大きくなり得、かつ結果に対する被加熱物体の位置の依存性が低下する。方向性を制御することができ、加熱中に調整することさえできる。RFモードを制御して、アレイの全ての単一アンテナの位相を制御することが可能である。例えばヘリックスアンテナを使用して、アンテナ構造を変えることが可能であり、インピーダンスを同調させ、かつRFモードを変化させるために、アンテナの半径および高さを変えることができる。
【0166】
図4Aは、本発明の実施形態に従って給電体16、18、および20からのエネルギーをキャビティ10内に結合するのに有用なアンテナを示す。図示する通り、給電体16は、中心導体36が屈曲してキャビティ内に延びる同軸給電体37を含む。中心導体は屈曲するが、キャビティの壁には接触しない。任意選択的に、ワイヤの端部には、アンテナ帯域幅を増大するために導電要素40が形成される。本発明者らは、図示する型のアンテナが、キャビティ内の不規則な形状の物体へのエネルギーの結合を向上することができることを発見した。そのようなアンテナは一方向に伝送し、屈曲が加熱される物体の方向に向けられた場合、物体への結合が(キャビティへの結合とは対照的に)改善されるものと確信される。
【0167】
図4Bは、本発明の実施形態に従って給電体16、18、および29からのエネルギーをキャビティ10内に結合するのに有用なヘリックスアンテナを示す。図示する通り、給電体16は、中心導体36’がヘリックス状に形成された延長部を有する同軸給電体37を含む。このアンテナは、(本発明に有用であるような)比較的広帯域の周波数で自由空間に整合するように設計することができ、かつ巻き数を変化させることによっておおよそ指向性にすることができる。次いで、図4Cに関連して下述するように、自由空間設計をキャビティの存在に対して調整する。図4Cのグラフは、自由空間波長に等しい直径および0.2波長未満の巻き間隔で巻き数7のヘリックスの実験結果を示す。しかし、本発明者らは、図4Cに示す型の湾曲が、実験により他の巻き特性の場合にも見られることを発見した。
【0168】
フラクタルアンテナは、当該分野において知られている。Xu LiangおよびMichael Yan Wan Chia,「Multiband Characteristics of Two Fractal Antennas,」 John Wiley,MW and Optical Tech.Letters,Vol.23,No.4,pp242−245,November 20,1999を参照されたい。GJ.WalkerおよびJ.R.James,「Fractal Volume Antennas」Electronics Letters,Vol.34,No.16,pp1536−1537,August 6,1998もまた参照されたい。これらの参考文献を、参照によって本書に組み込む。
【0169】
図4Dは、自由空間に放射するための当業界で公知の単純なボウタイアンテナ50を示す。(自由空間における)ボウタイの帯域幅は、740MHzの中心周波数(−3dBポイント)で604MHz、および2.84GHzの中心周波数で1917MHzである。このアンテナはモノポール指向性パターンを有するが、広帯域アンテナである(ダイポールアンテナの狭いBWを超える利点である)。しかし、モノポール指向性は給電体と平行な方向に放射しない。
【0170】
このアンテナの帯域幅(BW)は、キャビティ内部の負荷(物体)の位置に応じて10MHzから最大70MHzの間で変化する。
【0171】
このアンテナおよび以下のフラクタルアンテナは、本発明でエネルギーをキャビティ内に供給するのに役立つことができる。
【0172】
図4Eは、本発明の実施に有用な単純なシェルピンスキアンテナ52を示す。一般的に、クロスハッチ部54は金属板であり、白色中心部56は非導電領域である。図示するように、金属板は好ましくは低誘電率の誘電体上に装荷され、隅部で接続され、かつ同軸給電体36の中心導体37に接続される。キャビティにおけるその特性は、ボウタイアンテナのそれと同様である。
【0173】
図4Fは、本発明の実施に有用な変型シェルピンスキアンテナ58を示す。一般的に、クロスハッチ部60は金属板であり、白色中心部62は非導電領域である。図示するように、金属板は好ましくは低誘電率の誘電体上に装荷され、隅部で接続され、かつ同軸給電体36の中心導体37に接続される。
【0174】
同サイズの正三角形を利用して全幅が103.8mmの場合、このアンテナの中心周波数はキャビティ内部で約600MHzである。
【0175】
図4Gは、本発明の実施に有用な、さらに別の変型シェルピンスキアンテナ64を示す。一般的に、クロスハッチ部66は金属板であり、白色部68は非導電領域である。金属板は好ましくは低誘電率の誘電体上に装荷され、隅部で接続され、かつ同軸給電体36の中心導体37に接続される。
【0176】
図4Gには、キャビティ内で900MHzの中心周波数を有するアンテナの寸法が示される。
【0177】
図4Hは、相互に小さい距離(例えば2mm)をおいて配置された3つのフラクタルアンテナから作られた多層フラクタルアンテナ70を示す。
【0178】
これらのアンテナの各々の大きさは、アンテナの帯域幅を広げるためにずらして配置される。図示する例では、第1アンテナ72は、図4Gに示した寸法の0.8倍に縮小され。第2アンテナ74は図4Gのアンテナと同じ寸法を有し、第3アンテナ76はアンテナ74より1.2倍の大きさに増大される。ボリュームフラクタルアンテナ(図4G)は100MHzの帯域幅を有する。これは、前の単一フラクタルアンテナ(図4D〜4H)で達成された最大700MHzのBWを超える改善である。
【0179】
フラクタルアンテナはまた、キャビティ内に配置されたときに、中心周波数の変化をも示す。この差分は、(ヘリカルアンテナの場合と同様に)周波数のスケーリングによってキャビティ内で使用するアンテナを設計するために使用される。
【0180】
一般的に、広帯域指向性アンテナを利用して、加熱される物体に電力を供給することが望ましく、そのようなアンテナはパッチアンテナ、フラクタルアンテナ、ヘリックスアンテナ、対数周期アンテナ、およびスパイラルアンテナを含む。
【0181】
図5A〜5Dは、本発明の実施形態に係る電磁加熱システムの略ブロック図である。
【0182】
図5Aは、本発明の例示的実施形態に係るシステムの給電体90の各々の一般的ブロック図を示す。システムは、被加熱物体98に電力を供給するRFシステム96を、制御インタフェース(コントローラ)130を介して制御する、コンピュータ92によって制御される。
【0183】
図5Bは、本発明の例示的実施形態に係る、RF給電システム96の1つの電子機器のブロック図である。VCO102は、ポートへのエネルギーの周波数を設定する制御回路130(図5C)から信号を受信する。このエネルギーは、両方とも制御回路130によって制御される、RFスイッチ104および電圧制御減衰器(VCA)106を通して受け渡される。VCAを通過した後、信号の電力および周波数が設定される。負荷108は、VCO102からの信号がVCAに切り替えられないときに、VCO102によって発生する信号を減衰するために設けられる。
【0184】
信号は次いで、随意の第1双方向性結合器110の本線を通して送信される。
【0185】
VCAの出力は次いで、電力増幅器112によって、アイソレータ114を通過した後で、増幅される。増幅器112から反射する電力に比例する信号も、制御回路に送られる。
【0186】
結合器110は、それに入力した信号の一部分を(電力の検出または測定の後で)制御回路130にフィードバックする。増幅器112によって反射する電力に比例する信号もまた、コントローラ130に送られる。これらの信号はVCO/VCAおよび増幅器の監視を可能にする。生産システムでは、方向性結合器は必要ない場合がある。
【0187】
RFスイッチ116は、第2双方向性結合器120を介して、負荷118または共振装置98の給電体のいずれかに電力を切り替える。双方向性結合器120は、共振装置に入力する電力およびそこから出力する電力の両方をサンプリングし、電力測定信号をコントローラ130に送信する。
【0188】
本発明の実施形態では、RF増幅器112はLDMOS技術に基づく固体素子増幅器である。Psat=300W、効率=約22%、実効帯域−800〜1000MHz。そのような増幅器は、比較的狭い帯域幅または低効率(<25%)のいずれか、または両方を有する。これは本発明の利点の最適活用を制限する。最近、SiC(炭化ケイ素)またはGaN(窒化ガリウム)半導体技術に基づく増幅器が利用可能になった。そのような技術を利用するトランジスタは、Eudyna、Nitronex、および他のような企業から市販されている。例えば、300〜600Wの最大電力出力(低電力(50〜100ワット)モジュールから作成することができる)、および600MHz(700MHzの中心周波数時)の帯域幅、または400MHzの帯域幅(2.5GHzの中心周波数時)を有する増幅器が利用可能である。そのような増幅器は、先行技術の増幅器の効率よりずっと高い効率(60%の効率が得られる)および反射信号に対するずっと高い耐性を有するので、これらの増幅器に対してはしばしばアイソレータ114を省略することができる。この型の増幅器を利用する特定の構成については、図12A〜Dに関連して下述する。
【0189】
ここで図5Cに目を向けると、コントローラ130は、計算を実行し、システムのログ機能を達成すると共に、ユーザインタフェースとして働く、コンピュータ92を含む。それはまた、図7のフローチャートの較正および制御方法を実行する際に、残りの要素をも制御する。
【0190】
コンピュータ132は、RFシステムの種々の要素とインタフェースしてそれらに制御信号を提供する、例えばアルテラ FPGA140との通信を提供するように設計されたインタフェース134を介して、システムの残部に結合される。アルテラは、1つまたはそれ以上のマルチプレクサ136およびA/D変換器138を介して、入力を受信する(図5A〜5Cに関連して上述した通り)。加えて、それはD/A変換器140を介して(同じく図5Aおよび5Bに関連して述べた)給電体の各々の周波数および電力を設定し、かつ任意選択的に次のフローチャートを用いて説明する方法を利用して、電界調整要素の位置を設定する。生産システムでは、コンピュータは必要ない場合があり、アルテラまたは同様のコントローラは、全ての必要なデータを制御かつ処理することができる。本発明の一部の実施形態では、周波数は下述の通り掃引される。
【0191】
図6は、上述の構造を有する加熱システムの動作の簡易フローチャート150である。図7は、システムの較正160の簡易フローチャートである。明白になるように、システムの該方法の動作および較正は、より少数もしくはより多数の給電体、および/またはより多数もしくはより少数の整合要素を持つ動作システムに対しても、少しの変更を加えて使用可能である。
【0192】
152で、物体、例えば冷凍された器官または冷凍もしくは非冷凍食品物体が、キャビティ10内に配置される。次いで任意選択的に、較正または調整ルーチンが実行されて、システムの可変要素が設定される。これらは、伝送するように選択された各周波数でのキャビティへの給電体の各々における増幅器112の電力出力、各VCO102の周波数サブバンドの有限集合、種々の周波数でエネルギーを提供する方法(例えば掃引もしくは他の周波数変動、または所望の周波数および電力特性を実現するパルス信号の提供)、整合要素(例えば22、24)の位置決め、被加熱物体の位置、ならびに加熱プロセスの種々の特性、例えば物体への電力伝達の均一性および/または効率に影響を及ぼすいずれかの他の変数を含むことができる。メモリは、システムを較正するための基準156を含む。例示的基準を下述する。較正は、新しい加熱変数を決定するために実行される160。例示的較正ルーチンを、下述する図7のフローチャートに概説する。
【0193】
新しい変数が決定された後、新しい変数は設定され158、加熱が開始される170。
【0194】
周期的に(例えば1秒に数回)、加熱は短時間(おそらく数ミリ秒または数十ミリ秒)中断され、任意選択的に下述する方法に基づき、加熱を終了すべきか否かが決定される154。終了すべきである場合には、加熱は終了する153。加熱を終了するための単数または複数の基準が満たされない場合には、較正(または再調整)ルーチン160が始まる。そうでない場合、加熱170が再開される。測定段階中に、掃引は一般的に加熱段階中よりずっと幅広くなることに留意されたい。
【0195】
個々の各チャネルの較正ルーチン160については、図7のフローチャートに関連して説明する。
【0196】
較正を実行するために、電力は任意選択的に、実質的な加熱が行なわれないように充分に低いが、生成される信号を確実に検出することができるように充分高いレベルに設定される162。代替的に、較正はフル電力または中程度の電力で行なうことができる。動作電力に近いレベルで較正すると、VCAのような一部の構成要素のダイナミックレンジを低減し、それらのコストを削減することができる。
【0197】
次いで各々の入力は、チャネルの最小および最大周波数間で掃引される164。任意選択的に、上限および下限周波数は430MHzおよび450MHzである。860〜900MHzおよび420〜440MHzのような他の範囲も使用することができる。実行される加熱タスクに応じて、300〜1000MHzの間または最高3GHzまでの実質的にどんな範囲でも有用であると確信される。上述した広帯域高効率増幅器を使用する場合、増幅器の範囲内で数百MHzまたはそれ以上のずっと大きい帯域幅を掃引することができる。2つ以上の連続帯域が加熱に使用される基準を満たす場合、掃引は幾つかの不連続な帯域に及ぶことができる。
【0198】
入力反射率S11、S22、およびS33、ならびに伝達係数S12=S21、S13=S31、S23=S32は掃引中に測定され、正味電力効率が(例えばポート1について)次の通り決定される。
η1=1−(ポート1からの反射電力+ポート2および3への結合電力)/入力電力
【0199】
本発明者らは、多くの動作状況で特定の基準を最大化することが望ましいことを見出した。
【0200】
本発明の第1実施形態では、掃引範囲内で最大効率のポイントにおける正味電力効率が可能な限り高くなるという意味で、各ポートの最大正味電力効率が最大化される。効率、および効率が最大になる周波数が注目される。任意選択的に、効率ピークの幅およびQファクタも同様に注目される。
【0201】
本発明の第2実施形態は、同様の基準に基づく。この実施形態の場合、伝達の正味効率の各共振ピーク下の領域が決定される。この領域は最大になるはずである。効率、最大領域を有する共振の中心周波数、およびその幅が注目される。
【0202】
本発明の実施形態では、変数が適切に設定されているか否かを決定するための基準は、ピーク正味効率(第1実施形態)または領域もしくは幅(第2実施形態)が何らかの予め定められたレベルより高いとき、またはQファクタが何らかの予め定められたレベルより低いときである。例えば、給電体の各々について60%の正味効率より高い領域は最大化されるという制約がある場合がある。
【0203】
反射されず、他のポートにも伝達されないエネルギーは、キャビティの壁または加熱される物体に吸収されることが注目される。導電壁への吸収は物体への吸収より何倍もずっと低いので、正味効率は物体に吸収される入力電力の割合によって近似される。また、最大正味効率の周波数は、整合が最良である周波数と必ずしも同じではないことも注目される。
【0204】
本発明の実施形態では、任意選択的に電力を調整しながら、周波数掃引が行なわれる。用語「掃引」とは、個々の不連続周波数のシリアル伝送、および所望の周波数/電力スペクトル内容を有する合成パルスの伝送を含むと理解すべきである。
【0205】
本発明者らは、各周波数がキャビティ内の物体内の特定の位置で最大の吸収を有し、その位置が異なる周波数の間で変動することを発見した。したがって、ある範囲の周波数を掃引することにより物体内でピーク加熱領域が移動する場合がある。コンピュータシミュレーションは、少なくともピークのQファクタが低い(すなわち、多くのエネルギーが加熱される物体に消散される)ときに、ピーク加熱領域の移動がかなり大きくなり得ることを示した。さらに、発明者らは、掃引時に各モード(効率の異なるピークで表わされる)の振舞いが異なることを発見した。
【0206】
図11Aは、本発明の実施形態に係る、掃引電力特性を決定する方法の簡易フローチャート200である。この方法は、図6のフローチャートの処理160および158に対応する。
【0207】
物体をキャビティ内に配置した(152)後、周波数の関数として入力効率を決定する(202)(例えばスペクトル画像を得る)ためにキャビティは掃引される。入力効率の決定については上で詳述している。代替的に、対象とする範囲の広域スペクトルを有するパルスエネルギーが入力に供給される。反射エネルギーおよび他の入力に伝送されるエネルギーが決定され、例えばフーリエ解析を用いてそれらのスペクトルが解析される。いずれかの方法を用いて、周波数の関数として正味電力効率を決定することができる。
【0208】
何らかの条件下で、同様の物体が事前に加熱されたことがある場合、様々な型および大きさの物体について1組のテーブルを作成し、近接配置される測定値の代わりにショートカットとして使用することができる。
【0209】
図11Bは、入力の正味電力効率の簡易曲線250を示す。効率が高い領域および効率が低い他の領域が存在することに注目されたい。さらに、効率ピークの幾つかは幅が広く、他は幅が狭い。
【0210】
次に、全体的掃引帯域幅(BW)が決定される(204)。これは単一ピークの掃引または幾つかのピークの掃引を含むことができる。
【0211】
本発明の実施形態では、加熱段階中に、高効率ピークの各々の部分で周波数が掃引される。例えば、物体の均等な加熱を達成するには、各周波数でキャビティに入力される電力は同一である必要があると確信される。かくして、本発明の実施形態では、掃引の全周波数に対してP*ηが一定となるように、各周波数の電力は調整される。利用可能な電力は常に何らかの値に限定されるので、これは掃引に利用可能な帯域幅に制限を加える。効率の下限の例を、図11Bの破線225として示す。この値より上の効率を有する周波数に、掃引を限定することができる。
【0212】
次に、電界調整要素の位置が設定される。この調整は随意であり、状況によっては、そのような要素が存在している場合でも、それらを調整する必要はない。一般的に、そのような調整の基準は、ピークができるだけ高い効率、およびできるだけ幅広いピークを持つことである。特定の用途は、ピークを特定の帯域に移動させるなどの、追加目標を導入する場合がある。
【0213】
反復プロセス(206、208)は、電界調整要素の所望の位置および/または向きを決定するために使用される。当業界で公知の反復プロセスであってよい探索プロセスが完了すると、要素は明らかになった最良の位置に設定される(210)。
【0214】
本発明の実施形態では、物体の特定の部分に過度の電力を供給するのを回避するように、掃引は調整される(212)。例えば、物体が金属ロッドまたは金属ジッパを含む場合、効率の高ピーク254が発生し得る。金属ロッドは、ロッドの端部付近にエネルギーの集中を引き起こすことができる。このピーク時の照射を回避することにより、そのような物体の均一加熱に対する影響を時々低減することができる。
【0215】
次に、掃引パラメータが決定される(214)。
【0216】
図11Cは、本発明の実施形態に従って入力に供給されるエネルギーの電力スペクトル256を示す。ロッドに特徴的な周波数ではエネルギーが伝送されず、効率が図11Bに225で示す最小限より上の場合の他の周波数に対してもそうであることも注意されたい、電力は、効率ηおよび供給電力の積が実質的に一定になるような形状を有する。
【0217】
本発明の代替的実施形態では、エネルギーは掃引エネルギーとしてではなく、パルスの形でポートに供給される。最初に、図11Cに示すようなパルスは、パルス合成器によって生成される。このパルスは増幅されて入力に供給される。その場合、パルス合成器はVCO102(図5B)にとって代る。パルス合成器はまた、ηの周波数依存性を決定する際に使用される掃引を生成するようにプログラムすることもできる(図7の処理164)ことは理解される。
【0218】
全ての給電体における正味電力効率が基準を満たす、整合要素の位置の探索が実行される。これは、整合要素の位置および/または向きを変化させることによって実行される探索を表わす、ボックス214および216で示される。標準探索技術を使用することができ(反復)、または、特に、工業用途では一般的であるように同じ型の物体が繰返し加熱される場合、ニューラルネットワークもしくは他の学習システムを使用することができる。
【0219】
基準が満たされる場合には、電力が加熱に適したレベルに上昇され、任意選択的に掃引される。各ポートで同じ正味電力をキャビティ内へ(およびしたがって物体内へ)提供するように、それぞれの増幅器への電力は任意選択的に正規化される。任意選択的に、最も低効率のポートが物体への電力を決定する。先行技術の加熱炉では、ユーザは加熱時間を決定するが、本発明の一部の実施形態では、所望の加熱時間は一般的に予想することができる。
【0220】
再び図6に戻って、加熱を実行する170ための多数の方法論が存在する。
【0221】
本発明の1実施形態では、電力は全ての給電体に同時に供給される。これは加熱が高速であるという利点を有する。それは別個の組の回路構成が必要であるという欠点を有する。
【0222】
本発明の第2実施形態では、電力は給電体に順次、短時間供給される。潜在的に、ほとんどの回路構成の単一の集合だけが必要であり、給電体から給電体へ電力を伝達するためにスイッチが使用される。しかし、較正のために、ポートからポートへ伝送される電力を測定する方法を提供する必要がある。この回路構成は、電力が給電体に供給されないときに、給電体と整合するために使用することもできる。図5Bの回路構成に対応して、本発明の実施形態に従って加熱および較正の両機能を提供するための異なる型の回路構成を図8に示す。
【0223】
図8では、以下に示す場合を除き、図5Bと同じ参照番号を使用する。そのようなシステムは、かなり安価であるという利点を有する。それは言うまでもなく速度が遅い。しかし、各給電体へのエネルギーが同一になるように(または希望する場合には異なるように)、各給電体に供給される期間が(単独で、または入力電力の変更と連動して)調整される、追加的な均一化の方法が可能である。
【0224】
図8は、RFスイッチ116の出力まで図5Bと同様である。RFスイッチ116の後、第2RFスイッチ192が、増幅器によって送達された電力を給電体の1つに伝達する。給電体2に関係する回路構成200のみが示されている。
【0225】
回路構成200は2つのモードのうちの1つで動作する。電力伝達モードでは、コントロール130からの信号が、RFスイッチ194を介して、RFスイッチ192から双方向性結合器120へ電力を切り替える。ポートの動作の残りは、上記の通りである。受動モードでは、RFスイッチ194への入力は、増幅器112から受電しない。スイッチ194は負荷190を双方向性結合器120の入力に接続する。受動モードでは、負荷190はキャビティから給電体内に供給される電力を吸収する。生産システムでは、双方向性結合器を単方向性結合器に置き換えて、方向性結合器120の追加的な簡素化が可能である。
【0226】
スイッチ116および192ならびに任意選択的にローカルスイッチは、より複雑なスイッチネットワークに結合することができることに注目されたい。代替的に、または追加的に、給電体から戻る電力が常に負荷190にダンプされるように、RFスイッチ194をサーキュレータで置き換えることができる。
【0227】
図5Bの実施形態または図8の実施形態のいずれかでも、ポートに供給される電力の周波数は、最高正味電力すなわちエネルギー伝達の最大効率のポイントを加熱される物体に結合する共振モードの中心周波数で供給することができる。代替的に周波数は、共振の幅にわたって、またはより好ましくは幅の一部分に沿って、例えば電力効率曲線の−3dBポイント間で、または図11A〜11Cに関連して上述したように、掃引することができる。上に示した通り、任意選択的に、電力はこの掃引中に、正味入力電力が掃引中に一定またはほぼ一定に維持されるように調整される。これは、電力増幅器の電力増幅を、供給される瞬時周波数の電力効率に反比例して変更することによって達成される。
【0228】
再び図6に戻り、加えて図9を参照すると、それは、典型的な解凍プロセスの時間による特定のピークの周波数のグラフを示す。このグラフは、解凍プロセス中の物体の特性の変化を使用して、プロセスがいつ完了したかを決定する1つの方法を示す。
【0229】
図9の縦座標は、給電体の1つに対する入力として選択された周波数である。横座標は時間である。物体の解凍中に、物体中の氷は水になる。氷および水はマイクロ波またはUHFエネルギーの吸収が異なり、結果として、周波数の関数として異なるリターンロスおよび結合を生じる。これが整合を変化させるだけでなく、少なくとも整合要素の調整によって再整合した後も、吸収効率ピークの周波数が変化する。ポイントAで、氷の一部は水に変化し始め、整合の周波数は変化する。ポイントBでは、氷が全部水に変化し、整合の周波数は変化を停止する。上述の周波数および特にその変化率を監視することにより、全ての氷が水になったポイントを決定することができ、解凍だけを希望する場合は、加熱が停止する。先行技術で可能な周波数変化と比較して、本書に記載する解凍中の周波数変化は大きいことに注目されたい。
【0230】
不規則な形状および不規則な内部構造を持つ固体塊を解凍する問題の1つは、全ての氷が水になったときにそれを決定することが一般的に不可能なことである。かくして、先行技術の不均一な加熱を考慮すると、氷がどこかに残っていた場合、再結晶化を促進するので、先行技術では、一般的に、氷が残らないことを確実にするために過熱する。
【0231】
加熱を達成し、かつ解凍のプロセスの知識も提供する、本発明の加熱方法および装置は、再結晶化がかなり少なく、または存在すらしない結果をもたらすことができる。
【0232】
本発明に係る装置および方法をブタの肝臓、スシ、またはマキを解凍し、かつ卵殻ごと卵を調理するために使用した。
【0233】
次の表は、本発明のシステムおよび一般的な電子レンジを使用して、ウシの肝臓を解凍した場合の比較を示す。

【0234】
次の表は、本発明のシステムおよび一般的な電子レンジを使用して、米で覆われた生魚を含み海草で巻いたマキを解凍した場合の比較を示す。

【0235】
本発明の方法を用いて卵を調理した。一般的に、卵を電子レンジで調理しようとすると、卵は破裂する。しかし、上述したシステムを使用して、卵を卵殻ごと調理した。白身および黄身がどちらもよく調理され、白身は黄身ほど固くなかった。部分的にぱさつくこともゴム状になることもなく、味は非常に良好であり、一般的な固ゆで卵との違いは、もしあったとしてもごくわずかであった。加えて、凍結状態の魚は、凍結部分を残すことなく、かつどの部分も調理温度より高温に加熱されることなく、解凍された。
【0236】
上記実験の各々で、自動調整のために上述した方法に従って、周波数および電力は自動的に調整し、整合要素は手動で調整した。
【0237】
発明者らは、本発明の方法論により、凍結された物体を40℃未満、任意選択的に10℃、5℃、および2℃もの低温の温度むらで、氷点より少し上まで解凍することができることを確信している。そのような結果は、例えばウシの肝臓で発明者らが実行した実験によって達成された。
【0238】
そのような低い差および高速で肉および魚のような物体を解凍することは、サルモネラ、ボツリヌス中毒、および他の食中毒の発生を防止する潜在的能力を有する。制御された均一な解凍は、組織を破壊することなく移植用の器官を解凍することに潜在的な重要性を有する。
【0239】
図10は、本発明の実施形態に従って、DCまたは比較的低い周波数(最高100kHzまたは100MHzまで)をキャビティ内の物体に印加するための装置を示す。この図は、キャビティが2つの板250および252を含むことを除いては、図1と同様である。電源(図示せず)は、DCまたは比較的低い周波数の高い差動電圧を板に通す。この低い周波数電界の目的は、水分子の回転を低減することである。氷は固体状態の水であり、したがってその回転モードは抑制される。目標は、加熱率を氷のそれによって決定させるために、液体の水の回転モードを抑制することである。本発明らはまた、低周波電界が加熱される物体を構成する材料の誘電率を変化させることにより、物体への入力のより良好な整合が可能になることも確信している。
【0240】
本発明の代替的実施形態では、1つまたはそれ以上のコイルをキャビティの内部または好ましくは外部に配置し、物体の分子を整列させることによって、DCまたは低周波数磁界が印加される。低周波またはDC電界、および低周波またはDC磁界を、異なる方向からのおそらく異なる位相と組み合わせることが可能である。
【0241】
図12Aは、キャビティ内部に内部加熱器コイル600が配置されたキャビティ98を示す。入口602および出口604は、熱流体をコイルに給送して、キャビティ内の空気を加熱させることを可能にする。
【0242】
図12Bおよび12Cは、高電力増幅器606からコイルへ熱を伝達するためのシステムの2つの略図を示す。60%の効率でさえも、増幅器は数百ワットを発生することができる。このエネルギー(または少なくともその一部)を伝達して、キャビティ内の空気を加熱し、(抵抗性コイルが行なうように)赤外放射を発生させ、熱の効率を高めることができる。
【0243】
図12Bは、増幅器606からの廃熱をいかにして捕獲することができるかを示す非常に概略的な図を示す。図12Cは、同じシステムのブロック図を示す。要素608は、流体を還流するための冷却システムおよび流体ポンプシステムを表わす。それは出口604からの還流流体を受け取り、液体を(必要ならば)冷却し、増幅器606とオプションのヒートシンク612との間の間隙610に液体をポンプで送り込む。間隙への入力部およびその出力部の温度は好ましくはセンサ614および616によって測定されて、制御システム618に送られ、それは任意選択的に冷却速度およびポンプ速度の2つ以上を制御して、キャビティへの所望の熱伝達を提供する。必要に応じてヒートシンクを冷却するために、ファン620を設けることができる。増幅器とヒートシンクとの間を通過する流体は、増幅器およびヒートシンクから熱を伝達するためにも機能する。任意選択的に、熱伝導リグは、リブ間を通過する流体により増幅器とヒートシンクとの間で熱を伝達し、熱を捕集することができる。
【0244】
代替的に、ヒートパイプまたは他の手段を使用して、エネルギーを捕集してキャビティに伝達することができる。代替的に、熱風を増幅器および/またはヒートシンク上に通過させて、キャビティ内に送り込むことができる。
【0245】
キャビティへの熱伝達の有無に関わらず、高効率増幅器を使用することにより、40〜50%またはそれ以上の全体的効率を持つ高効率システムを得ることができる。比較的高い(40V〜75V)電圧の増幅器を使用するので、大型の変圧器の必要性がなくなり、ヒートシンクを小型化するか、または無くすることさえでき、増幅器が加熱器のハウジングに熱を伝達する。
【0246】
システムを最適化することにより、ハウジング650、増幅器およびコントローラのみならず、ユーザインタフェース652、および電子レンジに通常見られるように扉654をも含む、図12Dに示す加熱器は、重量を10または15Kgまたはそれ以下の軽さとすることができる。
【0247】
出願人らは、先行技術で使用されるかなり高い2.45GHzではなく、上述した例での加熱のためにUHF周波数を利用したが、解凍以外の加熱用途の場合、異なる周波数が望ましい場合がある。UHF周波数は氷によって優先的に吸収され、より高い周波数より長い波長を有するので、物体内の電磁界がより均一であり、水と比較して氷が優先的に加熱される。これにより、氷の優先的な加熱およびより均一な解凍がもたらされる。
【0248】
均一性を改善するために取り込むことができる追加手段は、以下の通りである。
【0249】
1)粉末伝導材料(金)の小粒のような種々の型および大きさの導電性材料を、冷凍プロセスの前に(例えば血液または冷却流体の循環を介して)サンプル内に挿入し、反射源として使用することができる。挿入は、導電性物体を保持する非導電性材料(吸収の有無に関わらず)の何らかのテンプレートを使用して行なうことができる。これらの受動エネルギー源は、EM放射吸収の均一性を改善することができる。
【0250】
2)サンプルのそれとは異なる仕方で温度に依存する誘電特性を変化させる材料の穿通。これらの材料を注入することにより、均一かつ高速加温を達成するために所望の方向にサンプルの誘電特性を変化させることができる。
【0251】
3)温度、圧力など、加温プロセスの種々のパラメータを測定するためのプローブの使用。これらのプローブは、冷凍プロセスの前にサンプル内部に挿入するか、またはプロセスのいずれかの段階でサンプルに隣接して取り付けることができる。これらのパラメータの測定は、加温が最適でない場合にプロセスの種々のパラメータを変化させることが可能になるように、加温プロセスの監視(制御)のための手段を提供する。マイクロ波装置内で加温中に測定するのに適したプローブが利用可能である。これらのプローブは、解凍または調理プロセスを停止するときの標識としても役立つことができる。
【0252】
そのようなプローブは、被加熱物体を入れるバッグ内に含めることができ、かつ温度依存抵抗器またはコンデンサのような温度依存要素を含めることによって、共振周波数が温度と共に変化するようにした共振要素を含むことができる。
【0253】
プローブは、周波数が温度に依存する共振回路を具備することができる。そのようなプローブは、温度を決定するために掃引パラメータを設定するために使用される走査中に走査することができる。電力伝達中は、これらの周波数は一般的に回避する必要がある。本発明の実施形態では、感温タグは非感温タグと対を成し、感温タグの周波数の変化は、2つの間の周波数差によって決定される。これにより、感温タグの周波数の絶対測定を利用して、温度のより正確な測定が可能になる。
【0254】
4)指定周波数でEM放射を吸収しない材料内にサンプルを包装する。この型の包装は、輸送中のサンプル用のパッケージとして、かつサンプルの縁部で温度および追加パラメータを測定することが可能なプローブシステムの一部として、役立てることができる。この包装は、サンプルの加温の均一性を達成するために、(サンプルの残部より速く加温する傾向を有する)サンプルの外面のための局所冷却装置として役立てることができる。
【0255】
さらに包装は、物体の追跡を助け、かつ物体を加熱するのに好適なプロトコルをシステムに指示するために、物体の識別を含むことができる。例えば包装は、較正中にキャビティが掃引されたときにそれを検出することができる、複数の共振要素を具備することができる。要素の周波数を使用して、物体のアイデンティティを示すことができる。これにより、較正の開始パラメータ、ならびに/または特定の物体および条件に対して最適化された特定の加熱プロトコルの自動または半自動設定が可能になる。
【0256】
共振回路の代わりに、またはそれに加えて、例えばRFID要素またはバーコードの形で、物体を含むパッケージまたは包装体の内容、推奨される処理および/または加熱方法の指示を含む、様々な種類の記録/格納要素が設けられる。本発明の例示的実施形態では、記録要素によって格納された鍵にインデクシングされた指示が、実際、遠隔位置に設けられる。そのような指示は、識別に関連付けられる情報に基づいて、例えばテーブルに格納するか、または要求に従って生成することができる。
【0257】
パッケージまたは包装体から情報を読み取るために、任意選択的に読取装置、例えばRFID読取装置またはバーコード読取装置が加熱器に設けられる。
【0258】
本発明の例示的実施形態では、物体が用意された後、種々のタイプの情報、例えばサイズ、重量、包装の種類、および/または調理/解凍/加熱指示が、任意選択的に記録要素に(またはそれに関連して)格納される。
【0259】
本発明の例示的実施形態では、記録要素には特定の調理指示が格納される。代替的に、または追加的に、記録要素には、その内容のプラッタ形状および/または誘電特性に関する情報が格納される。産業用の整形部分については、食品の形状がプラッタ間で比較的規則的である場合、食品の移動および/またはサイズの変化および/または形状の小さい変化、例えば加熱領域/境界の1〜2cmのずれは、均一性に一般的に大きく影響しないことが注目される。任意選択的に、プラッタは、食品をプラッタ境界に対して所望の位置に維持させる押圧および/または他の幾何学的構造を含む。
【0260】
食品の加熱中に、加熱のパラメータは任意選択的に変動する。変動の影響は、空間的および/または時間的に不均一性を引き起こすことがある。本発明の例示的実施形態では、何がいかに変動するかを定めるスクリプトが設けられる。任意選択的に、スクリプトは時間によって行なわれる決定(例えば効果の推定)および/または食品の状態(例えば測定)を含む。種々の測定方法は上に述べている。推定は任意選択的に、シミュレーションまたは以前の加熱サイクルからの経験結果に基づく。任意選択的にスクリプトは、例えば加熱炉内のプラッタの位置および/または個人的好み(加熱炉によって記憶することができる)に基づいて条件付けられる(例えば修正、生成、および/または選択される)。
【0261】
本発明の例示的実施形態では、記録要素上または遠隔位置にスクリプトが設けられる。任意選択的に、スクリプトは、所望の加熱効果を選択するユーザによって選択される。
【0262】
一実施例では、単一の食品アイテムが、所望の質感/風味を達成するために、異なる時間に異なる電力レベルを経験することがある。
【0263】
本発明の例示的実施形態では、スクリプトは様々なエネルギーレベル、および/またはそのようなエネルギーを印加する様々な時間を設定するために使用される。
【0264】
一実施例では、スクリプトは次の通りである。
(a)食品が5℃の比較的均一な温度に達するように、全てのプラッタを加熱する。
(b)プラッタ全体を80%で5分間、次いで全出力で10分間、均一に加熱する。
(c)40℃まで加熱する。
(d)10分間熱を維持する。既知の量の冷却を適用しながら、エネルギー吸収を推定することによって、任意選択的に所望の熱が維持され得ることが注目される。代替的に、既知のエネルギー吸収の量およびキャビティから出て行く空気の温度の測定値に基づいて、実際の熱吸収を推定することができる。任意選択的に、加熱炉は空気冷却源を含み、かつ/または冷却可能な壁および/またはトレイを有する。
(e)熱を30℃に下げる。
(f)10分間待つ。
(g)「終了」を報告するが、取り出されるまで30℃に放置する。
【0265】
本発明の例示的実施形態では、スクリプトは他の条件、例えば、色(例えば褐変)、蒸気(例えば水の相変化による)、体積(例えばパン生地の盛り上がりは、予想できる仕方でキャビティの挙動を変化させる)の変化の検出を含む。
【0266】
任意選択的に、スクリプトは、成分(例えば香辛料)を添加させ、または物体を混合させるかその位置を変えさせる、ユーザへの要求を含む。
【0267】
本発明の例示的実施形態では、スクリプトは、加熱炉によって達成可能な均一性制御の品質を考慮に入れる。例えば、加熱炉によって基本的に提供されるより高レベルの均一性を希望する場合、加熱は、物体内の熱を均一にするために、電力が低減される休憩を含むことができる。遅延の長さは任意選択的に、食料品および較正された加熱炉の均一性の欠如に対して事前に算出される。電力を低減する代わりに、またはそれに加えて、加熱がより良く分散されるように、食品および/または加熱領域を相互に移動させることができる。
【0268】
本発明の例示的実施形態では、スクリプトは提供されない。代わりに、加熱時間および/またはパラメータは直接、所望の結果、測定された食品特性、および/または測定された加熱特性に基づく。そのような所望の結果はユーザが提供するか、または記録可能な要素によって指示することができる。
【0269】
5)生物学的試料に適した(冷却液と同様の)液体注入。その目的は、加温を均一にすることである。この液体は、温熱療法の分野で使用される。この分野では、癌性増殖を除去するために、生物学的領域の加温が行なわれる。この分野から導出された知識から、このような液体が加温の均一性に劇的な変化を引き起こすことができ、かつそれを使用しない場合に必要になるより簡素化された加温装置の使用を可能にすることができることを理解することが可能である。
【0270】
6)冷凍プロセス中のサンプルへの活性放射源の穿刺。これらの源は活性である。つまり、外部供給線に接続され、サンプル内部から放射するEM放射源として使用される。
【0271】
本発明を部分的に解凍に関連して説明した。発明者らは、上に示した結果に基づいて、本発明の方法を、一般的な電子レンジでは極めて脆弱であるパン焼きおよび調理分野、または特に高レベルの均一性または制御が要求され、かつ/または相変化が起こる他の加熱操作に使用することができると確信している。
【0272】
本発明の種々の実施形態を利用して、物体の80%または90%以上にわたって、±10%、±20%、または±30%未満以内で、UHFまたはマイクロ波エネルギーを物体に均一に堆積することができる。
【0273】
本発明は、例示として提供されかつ本発明の範囲を限定しようとするものではない、その実施形態の詳細な説明を使用して説明されている。記載された実施形態は異なる特徴を含み、それらのうちの全てが本発明の全ての実施形態において必要とされるわけではない。本発明の実施形態の一部は、特徴の一部のみまたは特徴の可能な組合せのみを利用する。記載された本発明の実施形態の変形、および記載された実施形態において示された特徴の異なる組合せを含む本発明の実施形態は、当業者が思いつくであろう。
【0274】
さらに、用語「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(have)」およびそれらの活用形は、「含むが必ずしも限定されない」ということを意味するだろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を加熱することができる量のUHFまたはマイクロ波エネルギーに被加熱物体をさらす工程と、
物体によって吸収される所望の量のエネルギーを決定する工程と、
所望の量のエネルギーが吸収されたときに電磁加熱を調整する工程と
を含む、電磁加熱の方法。
【請求項2】
物体によって吸収されるエネルギーの量の効率を測定する工程と、
測定された効率に従って電磁加熱を調整する工程と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
RFID要素またはバーコードから読み取られた情報に基づいて、物体によって吸収されるべき所望の量のエネルギーを決定する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
物体をUHFまたはマイクロ波エネルギーにさらす工程が、複数の周波数でエネルギーを伝送することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
物体をUHFまたはマイクロ波エネルギーにさらす工程が、複数の周波数でエネルギーを伝送することを含み、調整する工程が、それぞれの伝送された周波数で入力電力を調整することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
物体をUHFまたはマイクロ波エネルギーにさらす工程が、複数の周波数でエネルギーを伝送することを含み、電磁加熱を調整する工程が、伝送されるべき複数の周波数を選択することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
物体によって吸収されるべき所望の量のエネルギーを決定し、かつ所望の量のエネルギーが物体によって吸収されたときに電磁加熱を調整するように構成されたコントローラを含む、物体を電磁加熱するための装置。
【請求項8】
UHFまたはマイクロ波エネルギーを与える少なくとも1つのRF源と、前記少なくとも1つのRF源によって発生されたエネルギーを物体の加熱のために供給するための少なくとも1つの給電体とをさらに含む、請求項8に記載の装置。
【請求項9】
物体によって吸収されるエネルギーの量の効率を測定するための手段をさらに含み、前記コントローラが、測定された効率に基づいて電磁加熱を調整するように構成されている、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのRF源は、物体の電磁加熱に影響を及ぼす電界または磁界に物体をさらすように構成された、静的または低周波電界または磁界の発生源を含む、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの給電体は、複数の給電体を含み、前記複数の給電体のうちの第1のものと関連されたアンテナは、前記複数の給電体のうちの第2のものと関連されたアンテナとは異なる、請求項8〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのRF源および前記少なくとも1つの給電体は、複数の周波数でUHFまたはマイクロ波エネルギーを伝送するように構成され、前記コントローラは、複数の周波数のそれぞれと関連された入力電力レベルを調整するようにさらに構成されている、請求項8〜11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのRF源および前記少なくとも1つの給電体は、複数の周波数でUHFまたはマイクロ波エネルギーを伝送するように構成され、前記コントローラは、伝送されるべき周波数を選択するようにさらに構成されている、請求項8〜12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
キャビティをさらに含む、請求項8〜13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
物体によって吸収されるべき所望の量のUHFまたはマイクロ波エネルギーを決定し、かつ所望の量のUHFまたはマイクロ波エネルギーが物体によって吸収されたときに電磁加熱プロセスと関連された少なくとも1つのパラメータを調整するように構成されたコントローラを含む、物体を電磁加熱するための装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B−C】
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【図4D−E】
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【図4F−G】
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【図4H】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B−D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C−D】
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【公開番号】特開2012−238616(P2012−238616A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179718(P2012−179718)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【分割の表示】特願2008−555943(P2008−555943)の分割
【原出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(508253694)ゴジ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】