説明

電磁帯域消去フィルタを利用する医用リードシステム

【課題】医療器具が植え込まれた患者のための磁気共鳴画像化(MRI)環境で利用できる電磁帯域消去フィルタを利用した医用リードシステムを提供する。
【解決手段】医用リードシステムは植え込みリード(30)を有し、このリードには所与の周波数範囲にわたりリードを通る電流の流れを減衰させる帯域消去フィルタ(38)が関連している。帯域消去フィルタは結果としての3dB帯域が少なくとも10kHzである全体的回路Qを有する。帯域消去フィルタのキャパシタンス及びインダクタンスの値は、帯域消去フィルタが選択された中心周波数で共振するよう選択される。好ましくは、帯域消去フィルタは結果としての10dB帯域が少なくとも10kHzである全体的回路Qを有する。かかる帯域消去フィルタは公知の植え込み型配備システム及び抽出システムと消極的ではあるが適合性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具が埋め込まれた患者のための磁気共鳴画像化(magnetic resonant imaging:MRI)環境で使用されるようになった医用リードシステムに関する。特に、本発明は、電磁帯域消去フィルタを有するかかる医用リードシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴画像化(MRI)は、医用リードが植え込まれた患者にとって現時点においては禁忌である。これは、主として、MRIシステムの強力な電磁界が能動植え込み型医療器具(active implantable medical device:AIMD)のアンテナ状治療デリバリリードと相互作用すると結果的に患者に対して安全上の問題が生じることに起因している。MRIシステムにより発生する高周波(radio frequency:RF)信号は、1本又は複数本のリード導体の長さに沿って結合して誘導RF電流を生じさせることが詳細に記録に残されている。これらRF電流は、大電流集中箇所にかなりの発熱を生じさせる場合があり、かかる大電流集中箇所の最も著しい箇所は、リードシステムが身体組織と直接接触する遠位先端部電極のところである。電極と組織の接触箇所のところの過剰のRF電流は、重篤な又はそれどころか生命を脅かす状況を生じさせる場合がある。文献によれば、植え込まれた深部脳刺激電極の領域の周りからのMRIに誘導された脳組織の熱的損傷、ペースメーカペーシング捕獲閾値変化又はそれどころかペースメーカに依存している患者が生命維持がなされていないということを意味する捕獲の喪失という報告が存在する。
【0003】
AIMDは、完全に植え込み可能なシステム又は外部着用器具と植え込み型リードの組み合わせを含む場合がある。AIMDは、群をなす蝸牛インプラント、圧電サウンドブリッジ変換器等を含む。AIMDは、種々の神経刺激器及び脳刺激器を更に含む場合がある。これらは、ニューロモジュレータ(neuromodulator)と呼ばれる場合がある。神経刺激器は、てんかん、肥満症及び鬱病を軽減するために例えば迷走神経を刺激するために用いられる。深部脳刺激器は、ペースメーカ様器具であり、かかる深部脳刺激器は、発作の解消を検出すると共に電気的刺激の脳組織にもたらして発作が実際に生じるのを阻止するために脳物体中の深くに植え込まれる電極を含む。また、他の異常、例えばトューレット症候群等を治すために用いられる他形式の深部脳刺激器が存在する。AIMDは、心臓ペースメーカ、左室補助装置(left ventricular assist device:LVAD)、人工心臓及び植え込み型心臓除細動器のあらゆる形式を更に含む。AIMDは、インスリン、化学療法薬、鎮痛薬等を小出しするために用いることができるドラグポンプを更に含む。AIMDは、骨折部の迅速な治癒のための種々の植え込み又は外部植え込み骨成長刺激器を含む場合がある。AIMDは、尿失禁用器具、疼痛解放脊髄刺激器、抗振せん刺激器、鬱血性心不全用器具、心再同期化治療装置(cardiac resynchronization therapy device:CRT)等を更に含む場合がある。
【0004】
米国特許出願公開第2007/0112398(A1)号明細書及び米国特許第7,853,325号明細書に開示されているようにリードシステムの遠位先端部のところの予想加熱を最小限に抑えるための新規な方法では、帯域消去フィルタの使用を含む。なお、これら2つの特許文献を参照により引用し、これらの開示内容を本明細書の一部とする。この帯域消去フィルタは、並列に接続されたインダクタ及びキャパシタで構成され、帯域消去フィルタは、植え込まれたリードシステムの1つ又は2つ以上の導体と直列に接続されている。かかるシステムでは、帯域消去フィルタは、その1つ又は複数の共振周波数が1つ又は2つ以上のMRIシステムのRF動作周波数と一致するよう構成されている。
【0005】
RF周波数は、ラムールの関係式(Lamour Relationship)によってMRI機の静磁場に直接関連付けられ、周波数は、テスラで表された静磁場強度の42.56倍に等しい(水素スキャナの場合)。典型的なMRI RFパルス化周波数は、1.5Tシステムの場合64MHzであり、3.0Tシステムの場合128MHzである。共振時、帯域消去フィルタのインピーダンスは、極めて高く(例えば、2,000オームを超える)、それにより、MRI RFパルス化周波数では遠位電極から組織への電流の流れが減少し、それにより植え込まれたリード及び/又は電極の加熱具合が減少する。リード遠位先端部電極のところのインピーダンスを増大させると、身体組織中に流れるRF電流の大きさが大幅に減少する。過剰の電流により、組織の損傷、ペーシング捕獲閾値(pacing capture threshold:PCT)変換又はそれどころか組織の壊死を生じさせる場合があるという記録が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0112398(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第7,853,325号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
植え込み型リードにこの技術を具体化することは、相当な課題である。植え込み型リードシステム用の帯域消去フィルタは、生体適合性がなければならず、リードの電気的性能特性をそれほど変えてはならず(本発明の内容を除く)、更にサイズ、重量又は植え込み性にそれほど悪影響を及ぼしてはならない。細い血管構造及び冠状静脈洞を通る左心室ペーシングに対応するためにますます細いリードが開発されている状況において、帯域消去技術は、同じ要求にマッチするよう同じようにスケーラブルでなければならない。
【0008】
本発明は、これらの要望を満たし、他の関連の利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電磁帯域消去フィルタを利用した医用リードシステムに関する。かかる医用リードシステムは、医療器具が植え込まれた患者のための磁気共鳴画像化(MRI)環境で利用されると有利である。
【0010】
本発明の医用植え込み型リードシステムは、静脈系中に挿入可能に構成されたリード本体を有するのが良い。植え込み型リードは、一端のところに設けられていて、リードシステムを能動植え込み型医療器具(AIMD)に接続する末端ピン(例えば、ISO IS-1)を有するのが良い。生物学的細胞と接触状態にある遠位端部のところには電極が設けられる。リードと関連した帯域消去フィルタは、選択された周波数又は所与の周波数範囲においてリードを通る電流の流れを減衰させる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、医用リードシステムは、近位端部を有すると共に遠位端部のところに位置した生物学的細胞と接触状態にある電極を有する植え込み状態のリードを有する。所与の周波数範囲にわたってリードを通る電流の流れを減衰させるための少なくとも1つの帯域消去フィルタがリードと関連している。帯域消去フィルタは、結果としての3dB帯域幅が少なくとも10kHzである全体的回路(overall circuit)Qを有する。帯域消去フィルタは、インダクタと並列のキャパシタを有し、並列のキャパシタとインダクタは、リードと直列に配置され、キャパシタンス及びインダクタンスの値は、帯域消去フィルタが選択された中心周波数で共振するよう選択されている。
【0012】
特に好ましい形態では、周波数範囲は、複数のMRI RFパルス化周波数を含む。さらに、帯域消去フィルタは、結果としての10dB帯域幅が幾つかの実施形態では少なくとも10kHz、他の実施形態では、少なくとも100kHz、更に別の実施形態では少なくとも0.5MHzである全体的回路Qを有するよう設計されている。
【0013】
図示の実施形態では、リードは、近位区分と、遠位縮径(distal reduced-diameter)リード延長部とを有し、帯域消去フィルタは、近位区分とリード延長部との間に設けられている。帯域消去フィルタは、固定用尖叉を有する。リード延長部の物理的長さは、好ましくは、選択された中心周波数の電気的波長の1/2未満であり、場合によっては、選択された中心周波数の電気的波長の1/4又は1/8未満である。好ましくは、帯域消去フィルタを越えるリード延長部は、15cm未満である。
【0014】
リードは、心筋リード、分割シリンダカフ電極、自己寸法決め神経カフ、多カフ神経電極、多帯域消去フィルタアレイ、深部脳電極、パドル電極、PAD電極、リング電極、能動固定先端部電極、受動固定先端部電極、リード延長部電極、プローブ、カテーテル又はアブレーションプローブから成るのが良い。帯域消去フィルタは、これらコンポーネントのうちの任意のものに組み込み可能である。多帯域消去フィルタアレイでは、複数個の帯域消去フィルタが基板上に設けられ、植え込まれたリードに沿って設けられ又はPAD若しくはパドル電極アレイ内に設けられる。この場合、帯域消去フィルタのうちの少なくとも1つは、帯域消去フィルタチップから成るのが良く、或いは帯域消去フィルタのうちの少なくとも1つは、基板上に被着された厚膜であるのが良い。
【0015】
1つ又は2つ以上の帯域消去フィルタを備えた深部脳プローブ/ハウジングは、リード延長部が脳組織内に植え込まれた状態で、頭蓋と同一平面内に(面一に)位置し、これよりも引っ込んでおり、或いは硬膜下に位置するかのいずれかである。柔軟な導体が帯域消去フィルタと電極との間に設けられるのが良い。
【0016】
リング電極は、蝸牛電極から成るのが良い。
【0017】
これらの場合の全てにおいて、帯域消去フィルタは、電極内に又はこれに隣接して設けられるのが良い。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面と関連して行なわれる以下の詳細な説明から明らかになろう。添付の図面は、本発明の原理を例示として示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】人の心臓の略図であり、本発明を具体化した左心室心臓内リードシステムを示す図である。
【図1A】フレンチサイズとミリメートルとインチの関係を表す表を示す図である。
【図2】図1のリードシステムの拡大斜視図である。
【図2A】図2に2点鎖線2Aで囲まれた領域の遠位リードの拡大図である。
【図3】人の心臓の略図であり、本発明に従って左心室の外側への心筋リード取り付け具を示す図である。
【図4】図3の4‐4線で取った本発明の帯域消去フィルタを具体化した心筋リードの断面図である。
【図5】図3の4‐4線で取った別の心筋リード先端部の断面図である。
【図6】神経に巻き付くよう設計された分割シリンダカフ電極を示す図である。
【図7】本発明の帯域消去フィルタチップを含む自己寸法決め螺旋カフコイルを示す図である。
【図8】図7の8‐8線矢視断面図である。
【図9】本発明に従って大神経幹のための多数の電極及び帯域消去フィルタチップを具体化した神経カフを示す図である。
【図10】多数の帯域消去フィルタチップを図9の多数のカフ電極のリードに直列に接続する一方法論を示す図である。
【図11】本発明に従って多数の電極を有する多タンクフィルタチップアレイに接続された多導体リード本体を示す図である。
【図12】図10の多帯域消去フィルタアレイの考えられる多くの変形例のうちの1つの露出斜視図である。
【図13】人の頭の概略断面側面図であり、本発明の帯域消去フィルタを具体化した深部脳プローブ及び電極の配置状態を示す図である。
【図14】人の頭の概略断面正面図であり、多数の深部脳プローブの使用を示す図である。
【図15】図14の線15で示された領域の拡大断面図である。
【図16】図15に類似した図であり、変形例としてのプローブ及び電極の構成を示す図である。
【図17】帯域消去フィルタチップを含むプローブが頭蓋の下に埋め込まれ、次に頭蓋穿孔が骨封入剤で覆われていることを除き、図15に類似した断面図である。
【図18】様々な品質“Q”係数を有する帯域消去フィルタに関する挿入損失と周波数の関係を示すグラフ図である。
【図19】多種多様な神経刺激器用途に利用できる遠位電極PADの斜視図である。
【図20】図19の130‐130線矢視断面図である。
【図21】図19及び図20に示された構造体と同一のフィルタリング結果を達成する別の構造の分解組立て斜視図である。
【図22】図21に示されたコンポーネントをこれらの組立て形態で示す縦断面図である。
【図23】図22に類似した断面図であり、神経刺激器用途のために新規な並列インダクタ帯域消去フィルタを構成する別の変形例を示す図である。
【図24】図23に示された構造体のコンポーネントの分解組立て斜視図である。
【図25】本発明を具体化した例示のパドル又はPAD電極の部分平面図である。
【図26】図25に示されたパドル又はPAD電極の底面図である。
【図27】図25の27‐27線矢視拡大断面図である。
【図28】代表的な神経刺激器パドル電極の遠位端部を示す図である。
【図29】パドルリードに代えて一連の屈曲ケーブル電極が用いられていることを除き、図28に類似した図である。
【図30】図25〜図29のパドル電極に見受けられる帯域消去フィルタの電気的略図である。
【図31】先行技術の神経刺激電極プローブの部分断面図である。
【図32】図31の領域32の拡大断面図であり、本発明の新規な帯域消去フィルタを組み込むよう先行技術の構造体に対して行なった改造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、近位端部を有すると共に遠位端部のところに位置した生物学的細胞と接触状態にある電極を有する植え込み状態のリードを有する医用リードシステムに関する。所与の周波数範囲にわたってリードを通る電流の流れを減衰させるための少なくとも1つの帯域消去フィルタがリードと関連している。帯域消去フィルタは、結果としての3dB帯域幅が少なくとも10kHzである全体的回路Qを有する。帯域消去フィルタは、インダクタと並列のキャパシタを有し、並列のキャパシタとインダクタは、リードと直列に配置され、キャパシタンス及びインダクタンスの値は、帯域消去フィルタが選択された中心周波数で共振するよう選択されている。本明細書で用いられる「帯域幅」という用語は、帯域消去フィルタ性能と周波数の関係を表す減衰又は挿入損失プロットを意味している。帯域消去フィルタは、その共振中心周波数において減衰ピークを有する。帯域幅は、ピークからコンピュータ計算された3dBか10dBかいずれか低い周波数差である。
【0021】
図1は、人の心臓20の略図であり、心臓20は、右鎖骨下静脈22、左鎖骨下静脈24、上大静脈26及び大動脈28を有する。代表的には両心心臓ペースメーカ又は両心植え込み型心臓除細動器(ICD)(図示せず)から引き回されたリード30がカテーテル31を通って引き回され、この場合、左鎖骨下静脈24を通り、そして次に上大静脈26を通って下方に差し向けられて冠状静脈洞32内に入っている。リード30は、先ず最初に、冠状静脈洞口34に入らなければならず、ここで、植え込み医師は、正確な場所を選択する。冠状静脈洞32は、実際には、2つのゾーンに分けられており、第1の部分(左側)は、冠状静脈洞32と呼ばれており、第2の部分(右側)は、大心静脈36と呼ばれている。大心静脈36は、左心室の後部に巻き付いている。帯域消去フィルタ38は、理想的には大心静脈36の近くに配置されるようになっており、ここで、大心静脈は、数本の静脈枝に別れる。これら枝は、後枝、外側枝40及び前枝42と呼ばれている。より包括的な名称は、心室間枝である。
【0022】
再び図1を参照すると、右心室44及び右心房46を見ることができる。また、左心房48及び左心室50が示されている。帯域消去フィルタ38の理想的な配置場所が示されている。帯域消去フィルタ38の理想的な長さは、5〜7.5mmである。この特定の配置場所では、大心静脈36の端のところにおいて心臓の動きは、比較的僅かであり、線維性組織は、帯域消去フィルタ38及びその関連のリード30を包み込み、それによりこの相対的に僅かな運動領域にこれを取り付けると共に/或いは定位置に固定する傾向がある。これは、リード30が信頼性が高く且つ破損に対して非常に耐性のある状態のままであるという点において特に有利である。冠状静脈洞32及び大心静脈36の比較的大きな直径に鑑みて、帯域消去フィルタ38を含むリードシステムのこの部分は、非常に大きな直径(例えば、7又は8フレンチ)のものである場合がある。大心静脈36が枝分かれするこの箇所を越えると、静脈系は、非常に細くなる。一般に、これら枝は、直径が6フレンチ未満であり、理想的な電極サイズは、最低3フレンチに至る。
【0023】
図1Aは、フレンチサイズとミリメートルとインチとの関係を示している。左心室ペーシングは、心臓再同期化及び鬱血性心不全の治療にとって重要なので、リード本体直径/サイズの減少が帯域消去フィルタ38の遠位端部のところで起こり、遠位電極を備えた小径/サイズリード延長部52を左心室50の外側の適正な位置で小径静脈系中に挿入できるようにすることが本発明の特徴である。
【0024】
帯域消去フィルタ38を冠状静脈洞32及び/又は大心静脈36内に位置決めした場合の主要な利点は、帯域消去フィルタ38それ自体の直径が大きい場合があり、それにより製造が非常に容易になるということにある。帯域消去フィルタ38からのリード30の遠位部分52は、左心室50の枝静脈内への容易な配備及びナビゲーションを可能にするよう細い(3〜6フレンチサイズ)。帯域消去フィルタ38の直径を上回る副次的利点としては、帯域消去フィルタの長さが挙げられる。冠状静脈洞32及び大心静脈36中に入ってナビゲートするには、一般に、枝血管に接近してこの中をナビゲートする場合と比較して、大きな曲げ半径が必要である。したがって、枝血管中に進んでこの中に位置するリード延長部52は、極めて細く且つ極めて柔軟性が高くなければならず、経験に基づいていえば、約1.5mmよりも長い堅い区分があってはならない。1.5mmを超える測定長さのリード30の硬質区分は、枝血管のきついコーナ部や曲がり部(カーブ)をするりとナビゲートする性能を阻害する場合がある。しかしながら、冠状静脈洞32及び大心静脈36内では、実質的に相当な寛容度があり、リードの堅い区分は、5mm又はそれどころか7.5mmに近くなっても良く、この場合、送達性が劇的に損なわれることはない。
【0025】
帯域消去フィルタ38を冠状静脈洞32又は大心静脈36内に配置した場合の副次的利点は、MRI画像アーチファクトと関係がある。画像アーチファクトは、強磁性材料の使用を回避することにより極めて僅かであるが、帯域消去フィルタ38を冠状動脈、心室壁動き又は最も関心のある他の解剖学的構造/生理学的部位/病理学的部位から遠ざけて配置することが依然として有益である。しかしながら、帯域消去フィルタ38が冠状静脈洞32内に配置された場合、これは、弁の付近に僅かなアーチファクトを発生させる場合がある。帯域消去フィルタ38を冠状静脈洞32又は大心静脈36内に配置させた場合の別の利点としては、その堅さがオプションとしての固定用取り付け具を巧妙に利用できる基礎となることにある。例えば、1つ又は2つ以上の尖叉が帯域消去フィルタ38の位置するリードの領域から出ている場合がある。加うるに、帯域消去フィルタ38の堅さにより、尖叉が血管壁のこれらの係合を行なうのに効果的であるようにする。変形例として、巧みにコーナ部又は二股部を越えてナビゲートさせるリード30の硬質部分は、リードを追跡するのに困難であり又は技術を要する固定機構体として機能することができる。
【0026】
帯域消去フィルタの遠位側に位置する植え込まれたリード30の部分は、リード延長部52と呼ばれる。一般に、このリード延長部52は、その近位端部が帯域消去フィルタ38に接続され、その遠位端部は、身体細胞又は組織と接触状態にある電極で終端する。本明細書における目的上、リード延長部52の電気的波長(λ)が物理的に長すぎてはならないことが重要である。これは、アンテナとしてその効率を利用し、MRIシステムのRFパルス場からエネルギーをピックアップする。一般に、1.5テスラシステムの場合、非常に効率的に結合するリード長さは、42〜60cm範囲である。好ましい実施形態では、任意のリード延長部の長さ(λ)は、これが心臓用途であるにせよ深部脳用途等であるにせよいずれにせよ、電気的波長の1/8未満であることが必要である(1/8・λ)。MRI RF周波数の電気的波長の1/8未満であるリードは、実効アンテナとしては働かず、したがって、外部MRI RFパルス場からそれほど多くはない量のエネルギーをピックアップするということが判明した。幾つかの場合において、リード延長部の電気的長さは、1/4・λという長いものであって良く又はそれどころか1/2λであっても良い。これらの場合、変数としては、リード軌道、遠位電極と接触状態にある組織の感度、患者の特性等が挙げられる。例えば、心筋組織は、深部脳組織よりも熱による損失をそれほど受けない。
【0027】
図2は、図1のリードシステム30の拡大斜視図である。先行技術において良く見られるガイドワイヤ54が設けられていることが理解でき、このガイドワイヤは、柔軟性の高いリードシステム30をこれ上でこれに沿って下方に滑らせる前に定位置に挿入可能である。末端ピン56が植え込み型医療器具、例えばペースメーカ又はICDに差し込まれるよう設計されている。帯域消去フィルタ38は、リード30が6〜9フレンチから3〜6フレンチリード延長部52まで縮径される箇所のところで示されている。帯域消去フィルタ38に取り付けられ、これに隣接して設けられるのが良いオプションとしての固定用尖叉(fixation tine)57が示されている。参考までに説明すると、フレンチ目盛は、ミリメートル(mm)又はインチで表された両方の直径に関連している。例えば、7フレンチは、直径が2.3mm(0.092インチ)であり、3フレンチは、直径が1mm(0.039インチ)に過ぎない。縮径リード延長部52の電気的長さ(λ)は、リードシステムが電極58の所望の場所で挿入されている枝静脈に従って調節可能である。
【0028】
電極58の下には、ガイドワイヤ54の他端部が位置している。電極58がいったん正しい位置に位置し、システムを試験すると、ガイドワイヤ54を抜去する。図2に示されているリードシステム30の特定の利点は、新たな配備器械又はカテーテルが不要であるということにある。換言すると、帯域消去フィルタ38を含むこのシステムは、大抵の公知の配備システムと消極的ではあるが適合性がある。また、リードシステム30は、リードが破断した場合、リードに欠陥があった場合又はリードが感染した場合に取り出されるよう設計されていることが非常に重要である。図2及び図2Aに示されたリードシステムも又、現行の機械的及びレーザリード取り出し技術と消極的ではあるが適合性がある。
【0029】
図2Aを参照すると、遠位電極58,58′の各々と関連した帯域消去フィルタ38,38′が設けられていることが理解できる。各帯域消去フィルタは、インダクタLと並列のキャパシタCから成っている。これら組み合わせL‐C帯域消去フィルタは、図示のように電極リード導体の各々と直列に配置される。植え込まれたリード内の帯域消去フィルタのより完全な説明については、米国特許第7,363,090号明細書を参照されたい。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0030】
図3は、図1に示されている人の心臓とほぼ同じ人の心臓の略図である。しかしながら、この場合、外部(心筋)電極62は、心筋リード60により外部に且つ左心室50に取り付けられている。縫合糸なし心筋リード60,64が左心室の外側に取り付けられた状態で示されている。この方法は、周知であり、一般に、縫合糸なし心筋リード線先端部電極62を定位置に取り付けるために心臓の外側のリブとねじ回し形特徴部との間における挿入を必要とする。心筋リードは、螺旋又は他の形態形の先端部を備えるのが良い縫合糸特徴部を更に有するのが良い。本発明の範囲は、心臓の外側、特に左心室の外側に取り付けられる任意形式の外部(心筋)電極62又はサテライトペーサに拡張できることは明らかなはずである。
【0031】
図4は、図3の4‐4線矢視断面図であり、帯域消去フィルタ70を含む心筋リード電極組立体62を示している。先行技術では、心筋リード電極組立体62は、典型的には、シリコーンゴム66と複合成形されている。図4に示されている組立体は、螺旋電極構造体68により心筋組織に自動取り付け状態にある。代表的には、この電極は、3.5の機械的ターンによって心筋層中に取り付けられており、白金‐イリジウム合金又はこれと同等な生体適合性材料で作られている。螺旋電極先端部68は、ねじ回し形回転外科ツールによって心筋組織中に取り付けられている。図4に示されているような帯域消去フィルタ70は、一般に、米国特許出願公開第2007/0112398(A1)号明細書の図42から取られている。当業者には明らかなように、米国特許出願公開第2007/0112398(A1)号明細書及び米国特許第7,853,325号明細書に開示されている他の新型の帯域消去フィルタ実施形態のほぼ全てを図4の心筋リード62中に組み込むことができる。
【0032】
図5は、帯域消去フィルタ70と関連した新規なリング構造体72を有している点を除き、図4に示されている心筋リード電極組立体62と極めて似ている図である。この心筋双極電極は、その螺旋先端部電極68と直列の帯域消去フィルタ70′を更に有する。図示していないが、当業者には明らかなように、ねじ回し形ヘッド機構体を先行技術の配備器具に便宜的に適合させるために追加できる。上述したように、米国特許第7,853,325号明細書に記載されているような円筒形帯域消去フィルタチップのうちの任意のものを本明細書において説明する新規な帯域消去フィルタ用途に容易に適合させることができる。
【0033】
図6は、2つの電極(アノード(a)及びカソード(c))を具体化した分割シリンダカフ電極74を示している。これは、外科医により神経の周りに挿入される設計されている。分割シリンダカフ電極は、代表的には、6〜8フレンチ直径のリード本体76から成る双極システムである。本発明の二重帯域消去フィルタチップ78(並列に配置された2つの別々の帯域消去フィルタチップ)が図示のように配置されている。一般に、カフ74は、その中心を通る神経の直径にマッチするよう寸法決めされている。リード本体76は、二重帯域消去フィルタ78の後では、一般に3〜4フレンチ範囲の縮径のものである。代表的にはカフを取り付けた後にカフを一緒に引っ張るために用いられる閉鎖縫合糸は示されていない。
【0034】
図7は、自己位置決め性の螺旋神経カフ80を示している。これらカフには、先行技術において周知である電極箔82が組み込まれている。リード本体84は、本発明の帯域消去フィルタ86に取り付けられている。これは、図示のように、単極であっても良く又は双極であっても良い。電極箔82は、エッチングされるか打ち抜き加工されるかのいずれかが行なわれるのが良く、次に、導体がこの箔に取り付けられる成端箇所を調製するか製作するかのいずれかを行なう。これは、帯域消去フィルタ86が電気的に取り付けられると共に組み込まれる場所である。帯域消去フィルタ86上の導体及び箔82は、割モールド内に配置されて組み立てられ、次にシリコーンをモールド内に注入する。図7は、双極又は多極リードの一方の脚部を示している。明らかなこととして、帯域消去フィルタ86は、多極構成では各電極箔に必要になる。
【0035】
図8は、図7の8‐8線矢視拡大断面図である。
【0036】
図9は、大神経管内で流れる電流のための大型多カフ神経電極88を示している。最適結果を得るために手探り法で種々の電極を刺激するのが良い。例えば、疼痛制御のため、疼痛が最小限に抑えられ又はなくなるまで種々の電極及び種々の形式の電気刺激を手探り法によって試してみるのが良い。図4に示されている電極に類似した多数の並列フィルタ電極90を図示のように導体92の各々と関連して配置するのが良い。
【0037】
図10は、多帯域消去フィルタアレイ94がリード本体96と直列に接続された状態で示されている変形例を示している。これは、リード延長部(帯域消去フィルタを越えて)として図9のカフ電極88又は図6及び図7に示されている多カフ電極74,80に接続されるのが良い。これは又、図11に示されている多数の単一電極に適合可能であっても良い。図10及び図11に示されているような多帯域消去フィルタチップは、装置を各リード上で互いに隣り合わせで基板上に置くことにより米国特許出願公開第2007/0112398(A1)号明細書及び米国特許第7,853,325号明細書に開示されている技術を利用して種々の仕方で構成できる。図10及び図11に示されている構造体は、信頼性の高い機械的取り付け及び体液からの保護を可能にするようシリコーン等と複合成形されるのが良い。
【0038】
図12は、図10の12‐12線矢視図であり、帯域消去フィルタチップの多重アレイ98を形成する多くの手法のうちの1つを示している。アルミナ又は先行技術において知られている任意他の基板材料のものであるのが良い薄い基板100が設けられていることが理解できる。種々の形式の帯域消去フィルタ102a〜102f(MRIチップ)がこの多重アレイ98を構成する多くの手法が存在するということを説明するために示されている。米国特許出願公開第2007/0112398(A1)号明細書の図面を参照すると、MRIチップ102a〜102fは、図80〜図85及び図136(これは、基板上に正しく被着された厚膜である)に類似している。当業者であれば認識されるように、埋め込み型又はMEMコンポーネントも又、多重帯域消去MRIフィルタアレイ98を形成するために使用できる。加うるに、実装密度を増大させるために多層基板を用いることができる。ワイヤボンドパッド104、リード106,106′及び電気接続部108(代表的には、レーザ溶接部又は金ワイヤボンド)も又示されている。帯域消去フィルタチップ102a〜102fは、図示のように成端部110を有している。これら成端部110から回路トレース112への電気的接続部が設けられている。組立体全体は、望ましくは、機械的強度及び生体適合性を高めるためにオーバーコーティングされ、複合成形された(シリコーン等と)又はガラス封入される。
【0039】
図13は、頭蓋114及び脳116を示す人の頭の概略側面断面図である。穿頭孔118が深部脳プローブ120及び関連の電極122を配置するために頭蓋114に開けられている。深部脳プローブ120は、帯域消去フィルタが先頭穴容器126内に配置されるという点でリード延長部と同じである。これにより、深部脳プローブ120及びその関連の電極122は、図1で上述したリード延長部を(l)と同じ極めて小さな直径のものにすることができる。皮膚の下を通り抜けて深部脳プローブ120に取り付けられたリード124が設けられていることが理解できる。リード124の遠位端部は、一般に、AIMD(図示せず)、例えばパルス発生器に接続される。AIMDは、患者の頭蓋内のどこかの場所に配置可能であり又は頸部を通して胸インプラント領域内に配置しても良い。1つ又は2つ以上の帯域消去フィルタがハウジング126に入れた状態で頭蓋穿頭孔118の内側に配置されている。帯域消去フィルタハウジング126は、穿頭孔内、穿頭孔上又は硬膜内又は硬膜下に配置可能である。
【0040】
図14は、人の頭の概略断面正面図であり、図13と関連して上述したように多数の深部脳プローブ120...120nが配置されるのが良いことを示している。好ましい実施形態では、深部脳プローブ120の頂部及び関連の帯域消去フィルタ126,126′の頂部は、頭蓋114の頂部と同一平面内に位置している。リード124は、一般に、パルス発生器又は送信器に接続され、かかるパルス発生器又は送信器は、埋め込まれるか皮膚の外側に位置するかのいずれかであるのが良い。また、受信器が皮膚の上に置かれているのが理解できる。深部脳プローブ120は、ネイルヘッド又はネイルシャンクを更に有するのが良い。
【0041】
図15は、図14の線15で示された領域の深部脳プローブ120の拡大断面図である。L‐C帯域消去フィルタ126,126′,126″,126′″の配置場所及び頭蓋114、リード124、穿頭孔118、硬膜層130及び脳116を覆う皮膚128が示されている。深部脳プローブ120の端部のところには、電極132が設けられている。
【0042】
図16は、柔軟性の高い領域134が帯域消去フィルタアレイ126と電極132との間に接続されている別の図を示している。この柔軟性区分134は、頭蓋114と脳116の相対運動が可能であるように歪逃がしを可能にしている。深部脳プローブ120〜120nは、機能的に上述のリード延長部52と同一のリード延長部(l)を形成している。上述したように、このリード延長部120の電気的長さは、MRI RFパルス周波数(身体組織中)の1/2波長未満、好ましくは1/4又は1/8波長未満であることが必要である。この特定の場合、深部脳プローブ120は、熱に弱い脳組織中に植え込まれているので、リード延長部の電気的長さ(l)は、1/8波長未満であることが必要である。
【0043】
図17は、図15に類似した別の形態を示しており、この場合、帯域消去フィルタアレイ126の頂部は、頭蓋114の下に位置している。穿頭孔118は、骨封入剤136で覆われている。当業者には明らかなように、深部脳プローブ120及びその関連の帯域消去フィルタアレイ126は、内科医/外科医にとって好都合な種々の場所に配置されるのが良い。
【0044】
上述の実施形態の全てにおいて、帯域消去フィルタは、電極と組織とのインターフェイスのできるだけ近くに位置することが重要である。この理由としては、リード及びその関連の導体がアンテナ(及び更に送信線)として働くことができるということにある。アンテナが波長の有効倍数である場合、アンテナは、外部環境からの多量のエネルギーをピックアップすることができる。特に、MRIスキャナからのRFパルス場は、植え込まれたリード及びこれらの関連の電極中に高レベルの電流を生じさせる場合があり、これは、身体組織に損傷を与える場合がある。図1に要素52として、図15及び図16に要素120として示されたリード延長部の長さ(l)は、できるだけ短いことが必要である。換言すると、帯域消去フィルタは、図示のように治療用センス(sense )電極又はデリバリ電極に比較的近接して配置されるべきである。
【0045】
この原理は、MRI機のRFパルス周波数により変わる。例えば、0.5テスラ機は、この場合21MHzのRFパルス周波数を有し、この波長は、帯域消去フィルタをデリバリ電極からかなり離れた距離のところに位置し、しかも依然として極めて効果的であるのに十分長い波長である。しかしながら、128MHzのRFパルス周波数で3テスラ増大させると、帯域消去フィルタは、デリバリ電極の極めて近くに位置しなければならない。これは、高いRFパルス周波数の波長が極めて短くなり、したがって、短いリード延長部に効果的に結合するからである。本発明では、好ましくは、帯域消去フィルタは、デリバリ電極から15cm以下離れて位置する。これにより、MRI RFパルス周波数において電流の流れが効果的に減少し、それにより遠位電極先端部のところの効果的な冷却が行なわれる。
【0046】
次に図18を参照すると、帯域消去フィルタ(38,70,86,102,126)の効率も又品質係数Qで測定される。帯域消去フィルタ回路Qは、代表的には、以下の等式を用いて表される。
【数1】

上式において、frは、共振周波数であり、図18に点a,bとして示されたΔf3dBは、帯域消去フィルタの3dB帯域幅である。帯域幅は、典型的には、挿入損失曲線上で測定された3dBダウン点のところの2つの測定周波数f1,f2相互間の差として解され、共振中心周波数は、f1,f2相互間の平均である。この関係で理解できるように、Q値が高いと、その結果として、30dB帯域幅が狭くなる。3dB帯域幅は、kHzかMHzかのいずれかで測定してf2−f1である。
【0047】
10dBダウン点は、図18の点“c”及び点“d”として示されており、周波数f3及び周波数f4に相当している。したがって、10dB帯域幅は、kHzかMHzかのいずれかで測定してf4−f3である。一般に、挿入損失曲線を減衰曲線と同一視することも可能であり、この場合、信号源インピーダンス及び負荷インピーダンスは、50オームである。好ましい実施形態では、信号源インピーダンスは、リード及び身体組織の信号源インピーダンスであり、負荷インピーダンスは、AIMD自体の入力インピーダンスである。当業者であれば、かかる手法が等価であることは認識されよう。
【0048】
再び図18を参照すると、抵抗器RC及びRLを含む本発明の帯域消去フィルタ138に関する概略を理解できる。抵抗器RCは、キャパシタCの等価直列抵抗器又はキャパシタと直列に追加された個別の直列抵抗器を表している。RLは、インダクタLの等価直列抵抗器を表し、この直列抵抗器は、一般的に、インダクタの電線ターン又は電線回路トレースの抵抗器に起因している。キャパシタの場合と同様、RLも又、別個の個別チップ抵抗器又は帯域消去フィルタ138のインダクタ部分と直列に追加された他形式の抵抗器であっても良い。これら抵抗の値を制御することにより、3dB帯域幅は制御され、それ故帯域消去フィルタの品質係数Qが制御される。
【0049】
3dB帯域幅と10dB帯域幅の両方を用途に応じて変化させることができる。例えば、用途が極めて特異な状況の場合、例えば、専用MRI誘導カテーテルラボ用である場合、MRIスキャナは1つしか必要ではない。例えば、特定モデルのシーメンス1.5テスラMRIスキャナしか用いられないことが分かっている場合、極めて特定のMRI RFパルス周波数であるとの確信が持てる。帯域消去フィルタ138は、3dB及び10dB帯域幅が比較的狭い状態で設計可能である。この場合、10dB帯域幅は、10kHzという小さいものであって良い。この点に関し、MRIスキャナの傾斜磁場が主静磁場の勾配を緩くすることを念頭に置くべきである。これを視覚化する仕方は、患者がMRIスキャナ台上に仰臥姿勢で位置することである。傾斜勾配が変化すると、静磁場強度は、患者の頭からかかとまで変化する。このことは、陽子の共振周波数がそれに応じて変化することを意味している。このように、RF周波数が変化し、それにより患者から像スライスが得られる。ほぼ最も幅の狭い変化は、10kHzのオーダである。他方、適合性があるようにするためには2つ又は3つのMRIスキャナ(別々の製造業者から入手できる)が必要な植え込みリード用途向きに帯域消去フィルタ138を設計する場合、100kHzの10dB帯域幅が望ましい。一般に、特に好ましい実施形態では、10dB帯域幅は、メガヘルツのオーダであり又は最低500kHzである。10dB帯域幅を最低MHz(0.5MHz)のオーダにすることにより、帯域消去フィルタ138は、市販の又はラベル付き1.5テスラMRIスキャナ群について有効であることが確信できる。同様な原理は、3テスラスキャナ、5テスラスキャナ及び異なる静磁場強度を有する他のスキャナに当てはまる。これらの場合、RFパルス周波数は、周波数が非常に高く、互いに異なる製造業者相互間の周波数のばらつき及び傾斜磁場に起因した周波数ばらつきは、kHzで測定すると一層大きい場合がある。
【0050】
もう一度、図18を参照すると、理解できるように、例えばfLで示された非常に低い周波数では、帯域消去フィルタ138が非常に低いインピーダンスを示すことが重要である。これは、減衰量が極めて少ない状態で帯域消去フィルタがペーシング信号と生物学的検出信号の両方を通さなければならないからである。同じことは、fHで示された非常に高い周波数についても当てはまる。ただし、この場合、低帯域消去フィルタが追加の減衰をもたらしている場合には問題ではない。というのは、この範囲内には生物学的信号が存在しないからである。
【0051】
したがって、帯域消去回路138の“Q”又は品質係数が非常に重要である。上述したように、非常に低い損失回路を低い周波数で提供して生物学的信号を望ましくないほど減衰させないことが望ましい。品質係数Qは、フィルタの損失を定めるだけでなく、その3dB帯域幅及び10dB帯域幅に影響を及ぼす。フィルタ応答曲線のプロット(ボーデプロット(Bode plot))が提供される場合、3dB帯域幅及び10dB帯域幅は、減衰曲線、形状及びフィルタがどれほど急峻に立ち上がったり立ち下ったりするかを定める。図18の曲線140を参照すると。64MHzで共振する帯域消去フィルタの場合、理想的な応答は、64MHzでの無限減衰量を有する応答であるが、1kHzを下回る低い周波数では減衰量がゼロである。明らかなこととして、これは、コンポーネント内の寄生損失の空間上の制限及び現実性が存在すると仮定すれば可能ではない。換言すると、内部抵抗がゼロのインダクタを構成することは可能ではない(極低温時以外)。他方、完全な(理想的な)キャパシタを構成することも可能ではない。キャパシタは、等価直列抵抗と呼ばれる内部抵抗を有し、更に、少量のインダクタンスを有する。したがって、本発明の目的を達成するために回路を実現することは、課題の1つである。これは、特に、帯域消去回路が超小型であり、信頼性が高くしかも完全に生体適合性がなければならないということを考慮した場合にも当てはまる。
【0052】
回路の性能は、インダクタLとキャパシタCの両方の効率に直接関連しており、各コンポーネントの効率が低ければ低いほど、結果としての熱損失がそれだけ一層多くなり、これは、理想的な回路図への抵抗要素RC及びRLの追加によって表せる。帯域消去フィルタ回路138の低いQの効果は、共振ピークを共振周波数の付近に広げることにある。低級キャパシタ及び/又はインダクタを慎重に用いることにより、適度に高いインピーダンス(減衰量)が多数のMRI RF周波数で提供されるよう共振を広げることができる。
【0053】
再び図18を参照すると、帯域消去フィルタ回路138の抵抗値RC,RLの大きさを制御することにより3dB帯域幅と10dB帯域幅の両方を制御することができる。インダクタと直列の抵抗を大きくしすぎないよう注意する必要があり又は生物学的周波数が減衰される。この理由は、非常に低い周波数(1kHz未満)では、誘導性リアクタンスは、非常に低くなる(ゼロにほぼ等しくなる)傾向がある。それと同時に、非常に低い周波数では、容量性リアクタンスは、無限に見える傾向がある。したがって、ペーシングパルスを送り出し又は生物学的活動を検出する適正な動作を得るためには、抵抗値RCは、実際には、それほど重要ではない。したがって、帯域消去フィルタ138のQを制御する良好な方法は、インダクタ巻線又はターンの寄生抵抗と一致した抵抗RLを確立し、更に、キャパシタQを注意深く制御することである。インダクタLの抵抗損失RLを制御しなければならないもう1つの理由は、抵抗が高すぎる場合、帯域消去フィルタの過剰の発熱が生じる場合があるということである。これは、キャパシタのC電場とインダクタのL磁場との間のMRIパルス周波数で振動する大きな周波数電流が存在するからである。この循環する電流は、2つの方法のうちの一方で、即ち、1)いずれか一方の抵抗RL又はRC(又はこれら両方)でのI2R加熱により又は2)帯域消去フィルタを包囲する気密又はシールドハウジング内の渦電流損失によるかのいずれか一方によって帯域消去フィルタ周りに発熱を生じさせる場合がある。したがって、コンポーネントの設計と帯域消去フィルタQとの間の注意深いバランスが達成されなければならない。
【0054】
ラムール(Lamour)の等式が教えることは、パルスRF場の周波数がテスラで表された臨床用スキャナの静磁場強度にMRI定数を乗算した値に等しいということである。この周波数は、典型的な従来型1.5‐テスラ水素スキャナの場合、約64MHzである。しかしながら、全ての市場に出ているラベル付き1.5‐テスラスキャナが同一であるとは限らない。異なる製造業者からの静磁場強度には相当なばらつきが存在する。この結果、種々のスキャナ製造業者ではRFパルス化周波数相互間には数百キロヘルツ又はそれどころか0.5メガヘルツの差が生じる。したがって、帯域消去フィルタ138は、中心周波数で共振するよう設計されており、frは、RFパルス周波数の中心を表している。図18に示されているように、抵抗要素RC若しくはRL又はこれら両方は、L‐Cトラップフィルタ138の3dB帯域幅を増大させるために追加される。もう一度、図18を参照すると、高Qフィルタ140、中Qフィルタ144及び低Qフィルタ142に関する減衰曲線が見える。中Qフィルタは、多くの用途で働くが、低Qフィルタの減衰量は、一般に、遠位電極のところでの過剰な発熱が起こらないようにするには適当ではない。本発明では、所望の曲線形状は、符号140又は144で示されている。これを大局的に見ると、理想的な帯域消去フィルタ(RC及びRLが両方共ゼロであることを意味する)の場合、フィルタ応答曲線は、中心がfrの上方に位置する真っ直ぐな上下線(図示せず)にように見える。これは、当然のことながら、構成するのが実際的ではない(極低温時以外)と共にMRIスキャナ群全体にわたって用いるのが実際的ではないほど幅が狭い。この抵抗要素は、個別抵抗器であっても良く或いはインダクタンスLそれ自体を形成する寄生要素としてリード又は回路トレースから形成されても良い。単純化のため、この抵抗要素は、図16及びそれ以降の図にも示されていない。しかしながら、帯域消去フィルタは、数十キロヘルツ、数百キロヘルツ又はメガヘルツのオーダでMRI RFパルス周波数にわたって減衰させるよう設計されていることは理解されよう。
【0055】
図19は、多種多様な神経刺激器用途に利用できる遠位PAD電極146を示している。神経刺激器は、蝸牛インプラント、深部脳刺激器は、尿失禁用刺激器、一般的疼痛管理刺激器、迷走神経刺激器、パーキンソン病の振戦管理刺激器等を含む。典型的な先行技術の刺激器は、例えば図19に示されている種々のPAD電極を備えた状態で市販されている場合が多い。3つの神経刺激電極148,148′,148″が示されているが、1個から10個又は24個以上の神経刺激電極を設けることができる。例えば、蝸牛神経刺激器では、一般に16個の導体が設けられ、これら導体は、聴神経に接触するよう束をなした16個の電極まで引き回されている。図19に戻ってこれを参照すると、外部又は植え込まれた能動医療器具(図示せず)に接続された3つの導体を含むリード本体150が設けられていることが理解できる。
【0056】
図20は、図19の20‐20線矢視断面図であり、本発明の新規なインダクタ‐キャパシタ帯域消去フィルタ152の一形態を示している。円板状フィードスルーキャパシタ154が設けられ、空気コアインダクタ156はその中心を通って延びていることが理解できる。これらの構成は、米国特許出願公開第2007/0112398(A1)号明細書の図45及び図47と関連して既に説明した。この場合、遠位PAD電極148は、キャパシタ154の周囲の金属被覆へのレーザ溶接又は同等の生体適合性電気接続部160を有している。また、別の導電性プレート162がインダクタ156の反対側に接続された状態で示されている。リード164がこのプレート162に機械的且つ電気的に結合されている。次に、リード164は、図19に示されているように可動性の神経刺激器PAD電極146を通って引き回されている。リード164は、AIMDに引き回されるリード本体150の部分となる。
【0057】
図21及び図22は、米国特許出願公開第2007/0112398(A1)号明細書図115及び図118に示されていて、図20のPAD電極166内のフィードスルーキャパシタ構造体を用いて同一の構成を達成する別の仕方を示している。この場合、インダクタ168は、キャパシタ154の頂部に印刷され又は補足的基板によってキャパシタに取り付けられている。リード164は、中間接触プレート170を用いて図示のようにキャパシタの内周部金属被覆168に接続されている。PAD電極148は、キャパシタの外周部金属被覆172に電気的且つ機械的に取り付けられているが、例えば絶縁性層又はライナ174により内部金属被覆168から電気的に絶縁されている。これは、説明を簡単にするために、図19を比較して逆さまの状態で示されている。
【0058】
図23は、図19に既に示したような神経刺激器用途のための並列インダクタ帯域消去フィルタを層の状態に堆積させる厚膜技術を用いたもう一つの変形例を示している。この場合も又、この電極組立体176は、説明を簡単にするために逆さまの状態で示されている。遠位PAD電極148は、例えば種々のキャパシタ及びインダクタ層の厚膜被着に用いられる基板を形成する。図23の構造体176は、図24の分解組立て図を見ることにより良好に理解できる。神経刺激器用途のため、遠位PAD電極148が底部で始まっている。先ず最初に、絶縁層178をこの導電性電極148上に刻印し、次に、1つ又は2つ以上のインダクタ層180をこの絶縁層178上に刻印する。次に、別の絶縁層182をインダクタ層180の頂部に被着させる。キャパシタ内周部電極184をこの絶縁層182上に印刷する。次に、別の絶縁層186を印刷する。次に、外周部キャパシタ電極188を刻印する。電極184と電極188の多くの交互に位置した層を所望に応じて積み上げると、所要のキャパシタンス値を達成することができる。次に、全体的絶縁層190を被着させる。従来型厚膜又はテープ製造プロセスでは周知であるように、通常、これら作業の各々相互間には乾燥ステップが設けられる。次に、構造体全体を高温で焼結して頑丈な一体構造体を形成する。次に、適当な電気接続材料を用いて電気接点192を挿入してインダクタ180の内周部と内周部キャパシタ電極プレートスタック184の内周部の両方に接触させる。次に、神経刺激器リード164をこの接触インサート192に電気的に接続する。インダクタの外周部は、神経刺激器電極PAD148に接触する。キャパシタの接地電極プレート188も又、遠位電極PAD148に接触する。これは、キャパシタンスをインダクタンスと並列に配置するという作用効果を有する。
【0059】
図25は、例えば脊髄刺激器用途に使用できるパドル又はPAD電極アレイ194を示している。このアレイは、生体適合性のある絶縁性且つ可撓性の本体198内に収容された8つの電極196を有する。8本の導体リード200(任意の本数を設けることができる)を8つの電極196の各々にそれぞれ接続する。上述したように、細長いリード200は、MRI走査中、相当多くの量のRFエネルギーをピックアップすることができる。電極196は、過熱しないということが非常に重要である。というには、これら電極は、身体組織、例えば脊髄と直接的接触状態にあるからである。
【0060】
図26は、パドル電極194の裏側を示している。
【0061】
図27は、図25の27‐27線矢視断面図である。各々が本発明の帯域消去フィルタ202に直列に接続された8つの電極PAD196が示されている。したがって、8つの電極PAD196が身体組織と接触状態にあり、リード束200を構成する8つの帯域消去フィルタ202及び8つの導体が設けられている。もう一度、図27を参照すると、スペースを節約することが必要である場合、帯域消去フィルタ202を電極PADアレイから見て遠位側の箇所に配置しても良い。この場合、電極は、本発明に従ってリード延長部の遠位端部のところに配置される。一実施例では、図12に示されているように、帯域消去フィルタは、電極PADアレイの近位側で基板上に配置される。帯域消去フィルタをかかるリード延長部の近位端部のところに配置することにより、リード本体200と関連の電極ハウジング194の両方を非常に小型にすることができる。
【0062】
図28は、代表的な神経刺激器パドル電極204の遠位端部を示しており、神経刺激器パルス電極204は、この場合、8つの電極接点206を有している。この場合、図30に示されているように、これら8つの電極206の各々には、帯域消去フィルタ208が直列に設けられている。
【0063】
図29は、パドルリード210(図28)に代えて一連の屈曲ケーブル電極導体212が用いられていることを除き図28とほぼ同じである。この場合も又、電極206の各々には帯域消去フィルタ208が直列に設けられている。
【0064】
図31は、先行技術の神経刺激電極プローブ214又はありふれたアブレーションプローブ又はカテーテルを示している。理解できるように、多数の刺激電極216〜216′″が設けられている。この特定の用途では、先端部218は、絶縁性である。
【0065】
図32は、本発明の新規な帯域消去フィルタ220,220′を有するよう改造された図31のプローブ214、神経刺激先端部218、アブレーションプローブ又はカテーテルを示している。理解できるように、これらは、刺激電極216,216′等と関連して配置されている。図示のように、所望通り多数を積み重ねることができる。これは、本発明の帯域消去フィルタ220を刺激リング216の各々と直列に配置し、それによりMRI誘導RF電流の流れを制限/阻止するという作用効果を有する。図31に示された形式の電極プローブ構造に関する通常の用途は、16個のリング電極216が設けられた蝸牛インプラントである。図31は、先行技術を示し、図32は、帯域消去フィルタBSFが電極216の各々と直列に配置された本発明の原理を示している。図32のプローブ又はカテーテルは又、上述したようにリード延長部として構成可能である。換言すると、帯域消去フィルタ220,220′等は、リード延長部の近位端部のところに配置可能である。これにより、プローブ及びその関連の電極の直径を特定の生理的用途向きに小さくすることができる。
【0066】
上述のことから、図示すると共に説明した医用リードシステムは、有利には、種々の形式の能動植え込み型医療器具(AIMD)及び種々の形式のMRI機器と共に多くの環境で使用できることは理解されよう。さらに、リードシステムと共に利用される帯域消去フィルタの構造及び形態は、米国特許第7,363,090号明細書、同第7,853,324号明細書、同第7,702,387号明細書、同第7,853,325号明細書、米国特許出願公開第2007/0112398(A1)号明細書、同第2008/0195180A(A1)号明細書、同第2008/0049376(A1)号、同第2008/0132987(A1)号、同第2008/0269591(A1)号明細書、同第2010/0100164(A1)号明細書、同第2010/0198312(A1)号明細書、同第2010/0280584(A1)号明細書並びに米国特許出願第12/873,862号明細書及び同第12/891,292号明細書に記載されているように多種多様な構成及び用途を有することができる。
【0067】
本発明の幾つかの実施形態を例示目的で詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各実施形態の種々の変形例を想到できる。したがって、本発明は、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。
【符号の説明】
【0068】
20 人の心臓
26 上大静脈
28 大動脈
30 リード
31 カテーテル
32 冠状静脈洞
36 大心静脈
38 帯域消去フィルタ
40 外側枝
42 前枝
48 左心房
50 左心室
52 リード延長部
54 ガイドワイヤ
56 末端ピン
57 固定用尖叉
58,58′ 電極
114 頭蓋
116 脳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用リードシステムであって、
近位端部を有すると共に、遠位端部のところに位置した生物学的細胞と接触状態にある電極を有する植え込み状態のリードと、
前記リードと関連していて、所与の周波数範囲にわたって前記リードを通る電流の流れを減衰させる少なくとも1つの帯域消去フィルタとを有し、前記帯域消去フィルタは、結果としての3dB帯域幅が少なくとも10kHzである全体的回路Qを有し、前記帯域消去フィルタは、インダクタと並列のキャパシタを有し、前記並列のキャパシタ及びインダクタは、前記リードと直列に配置され、キャパシタンス及びインダクタンスの値は、前記帯域消去フィルタが選択された中心周波数で共振するよう選択されている、医用リードシステム。
【請求項2】
前記リードは、心筋リード、分割シリンダカフ電極、自己寸法決め神経カフ、多カフ神経電極、多帯域消去フィルタアレイ、深部脳電極、パドル電極、PAD電極、リング電極、能動固定先端部電極、受動固定先端部電極、リード延長部電極、プローブ、カテーテル又はアブレーションプローブから成る、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記多帯域消去フィルタアレイは、基板上に設けられた複数個の帯域消去フィルタ、前記植え込まれたリードに沿って設けられた複数個の帯域消去フィルタ、又は、PAD若しくはパドル電極アレイ内に設けられた複数個の帯域消去フィルタから成る、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記帯域消去フィルタのうちの少なくとも1つは、帯域消去フィルタチップから成る、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記帯域消去フィルタのうちの少なくとも1つは、前記基板上に被着された厚膜である、請求項3記載のシステム。
【請求項6】
前記深部脳電極は、頭蓋と同一平面内に位置し、これよりも引っ込んでおり、或いは硬膜下に位置するかのいずれかである、請求項2記載のシステム。
【請求項7】
前記帯域消去フィルタと前記電極との間に設けられた柔軟な導体を有する、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記リング電極は、蝸牛電極から成る、請求項2記載のシステム。
【請求項9】
前記帯域消去フィルタは、前記電極内に又はこれに隣接して設けられている、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項10】
前記所与の周波数範囲は、複数のMRI RFパルス化周波数を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記リードは、近位区分と、遠位縮径リード延長部とを有し、前記帯域消去フィルタは、前記リード延長部の近位端部のところ又はその近くに設けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記帯域消去フィルタは、固定用尖叉を有する、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記リード延長部の物理的長さは、前記選択された中心周波数の電気的波長の1/2未満である、請求項11記載のシステム。
【請求項14】
前記リード延長部の物理的長さは、前記選択された中心周波数の電気的波長の1/4未満である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記リード延長部の物理的長さは、前記選択された中心周波数の電気的波長の1/8未満である、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記帯域消去フィルタは、生物学的細胞と接触状態にある前記電極から15cm以下離れたところに位置する、請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記帯域消去フィルタは、結果としての10dB帯域幅が少なくとも10kHzである全体的回路Qを有する、請求項1〜8又は請求10〜16のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項18】
前記帯域消去フィルタは、結果としての10dB帯域幅が少なくとも100kHzである全体的回路Qを有する、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記帯域消去フィルタは、結果としての10dB帯域幅がメガヘルツのオーダのものであり、少なくとも0.5MHzである全体的回路Qを有する、請求項18記載のシステム。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−166029(P2012−166029A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29582(P2012−29582)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(512038193)グレートバッチ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】