説明

電磁接触器

【課題】コストアップを抑制しつつ、動作状態の表示を行うとともに、手動投入による危険性を回避することが可能な電磁接触器を提供する。
【解決手段】上部フレーム2上には、本体フレームとは別体として構成された消弧装置23が主可動接触子を覆うように配置され、支持枠7dには、消弧装置23の窓枠を貫通して動作表示を行う突起部7bを支持枠7dに一体的に設け、消弧装置23の窓枠には、突起部7bを表示する表示孔3bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁接触器に関し、特に、電磁接触器の動作表示構造に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
電磁接触器は、電磁石の吸引力により接点を開閉できるもので、モータなどの負荷の自動開閉用として使用される。ここで、AC200V45KWの比較的大容量の機種では、接点支持枠の内側に角窓を形成し、この部分に主可動接触子を収納して保持する構造と、接点支持枠の外側上面に主可動接触子を保持する構造とがある。
そして、接点支持枠の内側に角窓を形成する構造では、特許文献1に開示されているように、接点支持枠の角窓上部を延長突出させることで、電磁接触器の動作状態を表示させることができる。
【0003】
一方、接点支持枠の外側上面に主可動接触子を保持する構造では、接点支持枠の上面に主可動接触子、緩衝ばねおよびこれらを保持する支持金具があり、接点支持枠を単に延長させて電磁接触器の動作表示として活用することができないため、本体フレームとは分離された消弧装置に動作表示機構が別部品で設けられていた。
図5は、従来の電磁接触器の概略構成を示す正面図、図6は、従来の電磁接触器の概略構成を示す斜視図、図7は、従来の電磁接触器のオフ状態時における概略構成を示す縦断面図、図8は、従来の電磁接触器のオフ状態時における概略構成を示す横断面図、図9は、従来の電磁接触器のオン状態時における概略構成を示す縦断面図、図10は、従来の接点支持部7の概略構成を示す斜視図である。
【0004】
図5から図10において、電磁接触器には、本体フレームとして下部フレーム1および上部フレーム2が設けられている。そして、下部フレーム1には、固定鉄心5aが設けられた固定電磁石5がこれに指令を与える電子ユニット4とともに固定されている。
そして、固定電磁石5上には可動鉄心6が対向配置され、可動鉄心6には、バックスプリングガイド8および連結ピン10を介して上部フレーム2にスライド自在に案内された接点支持部7が連結されている。
【0005】
ここで、バックスプリングガイド8は一端が開放された角箱状を呈し、バックスプリングガイド8にはバックスプリング9が内装され、バックスプリング9は、バックスプリングガイド8に対向して上部フレーム2に固定されたバックスプリング受けによって保持されている。
また、接点支持部7には角柱状の支持枠7dが形成され、支持枠7dにて支持金具11が支持枠上面7aに案内されている。そして、支持金具11の内側には、緩衝バネ13を介して主可動接点12が搭載され、主可動接点12の反対側には、支持枠7dに内装された主接触スプリング14が配置されている。
【0006】
また、上部フレーム2には、主端子板15およびこれに接触する主固定接点16が固定され、上部フレーム2の両側には、補助接点ユニット20が搭載され、上部フレーム2上には、主可動接点12および主固定接点16を覆うようにして消弧装置3が配置されている。
ここで、消弧装置3には導弧板17が設けられるとともに、消弧装置3の上面3cの中央には角孔3aが形成されている。そして、消弧装置3の中央には、支持金具11の上面に接するように表示棒18が配置され、表示棒18は、導弧板17および表示棒18を付勢する圧縮スプリング19にて保持され、外部に露出する形で角孔3aにスライド自在に案内されている。
【0007】
そして、図7において、電子ユニット4を介して固定電磁石5を励磁すると、可動鉄心6が固定鉄心5aに吸着され、これに連動して接点支持部7は固定鉄心5aの方向に移動し、主可動接点12は主固定接点16に接触する。そして、接点支持部7に連動して支持金具11が固定鉄心5aの方向に移動すると、図9に示すように、表示棒18は、圧縮スプリング19によって支持金具11とともに導弧板17で止められる位置まで固定鉄心5aの方向に移動し、消弧装置3の上面3cから引っ込んだ状態になることで、電磁接触器のオン状態を表示することができる。
【0008】
そして、固定電磁石5の励磁が解かれると、図7に示すように、可動鉄心6はバックスプリング9によって元の状態に復帰し、表示棒18が支持金具11にて押し戻されて、消弧装置3の上面3cと面一の状態になることで、電磁接触器のオフ状態を表示することができる。
【特許文献1】実公平4−33628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、電磁接触器の動作状態を表示させるために、本体フレームとは分離された消弧装置に動作表示機構を別部品で設ける方法では、電磁接触器の部品点数が増大し、電磁接触器のコストアップを招くという問題があった。
一方、接点支持枠の角窓上部を延長突出させる方法では、動作表示機構と接点支持枠とが一体となっているため、構造的に電磁接触器の手動投入ができるようになり、安全性に劣るという問題があった。
【0010】
さらに、いずれの構造においても、表示部が消弧装置の中央にくるため、この上面に定格などの表示を行う場合に角穴によって制限を受けたり、貼り付け銘板の中央をくり貫く必要があることから、銘板のコストアップを招くという問題があった。
そこで、本発明の目的は、コストアップを抑制しつつ、動作状態の表示を行うとともに、手動投入による危険性を回避することが可能な電磁接触器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の電磁接触器によれば、接点支持部を収容する本体フレームと、オン/オフ信号に基づいて前記接点支持部をスライド移動させる電磁石と、前記接点支持部に一体的に設けられ、主可動接触子を外側上面に保持する支持枠と、前記本体フレームとは別体として構成され、前記本体フレーム上に配置された消弧装置と、前記支持枠に一体的に設けられ、前記消弧装置の窓枠を貫通して動作表示を行うとともに、オフ状態時に前記消弧装置の上面とほぼ面一になるように構成された突起部とを備えることを特徴とする。
また、請求項2記載の電磁接触器によれば、前記突起部は、多相として構成された前記支持枠の両外側の2箇所に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、支持枠に突起部を一体的に設けることにより、消弧装置に動作表示機構を別部品で設けることなく、電磁接触器の動作状態を表示させることが可能となるとともに、消弧装置の上面に角穴を形成する必要がなくなり、コストアップを抑制することが可能となる。また、オフ状態時に突起部が消弧装置の上面とほぼ面一になるようにすることで、電磁接触器の手動投入を防止することができ、安全性を向上させることができる。
さらに、多相として構成された支持枠の両外側の2箇所に突起部を設けることで、点検前に接点の溶着状態を推測することが可能となり、電磁接触器の保守性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る電磁接触器について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電磁接触器の概略構成を示す正面図、図2は、本発明の一実施形態に係る電磁接触器の概略構成を示す斜視図、図3は、本発明の一実施形態に係る消弧装置23の概略構成を示す斜視図、図4は、本発明の一実施形態に係る接点支持部27の概略構成を示す斜視図である。なお、図5から図10の電磁接触器の同一部分については同一符号を付し、説明を省略する。
【0014】
図1から図4において、下部フレーム1および上部フレーム2が設けられた本体フレームには接点支持部27が収容され、接点支持部27には、主可動接触子を外側上面に保持する支持枠7dが一体的に設けられている。また、上部フレーム2上には、本体フレームとは別体として構成された消弧装置23が主可動接触子を覆うように配置されている。そして、支持枠7dには、消弧装置23の窓枠を貫通して動作表示を行う突起部7bが支持枠7dに一体的に設けられ、消弧装置23の窓枠には、突起部7bを外部に露出させる表示孔3bが形成されている。なお、突起部7bは、電磁接触器のオフ状態時に消弧装置23の上面23cとほぼ面一になるように構成することができる。また、突起部7bは、多相として構成された支持枠7dの両外側の2箇所に設けることができる。
【0015】
そして、図7の電子ユニット4を介して固定電磁石5を励磁すると、可動鉄心6が固定鉄心5aに吸着され、これに連動して接点支持部27は固定鉄心5aの方向に移動し、主可動接点12は主固定接点16に接触するとともに、突起部7bが消弧装置23の上面23cから引っ込んだ状態になることで、電磁接触器のオン状態を表示することができる。
そして、固定電磁石5の励磁が解かれると、可動鉄心6はバックスプリング9によって元の状態に復帰するとともに、これに連動して接点支持部27も元の位置に戻り、突起部7bが消弧装置23の上面23cと面一の状態になることで、電磁接触器のオフ状態を表示することができる。
【0016】
これにより、消弧装置23に動作表示機構を別部品で設けることなく、電磁接触器の動作状態を表示させることが可能となるとともに、消弧装置23の上面23cに角穴を形成する必要がなくなり、コストアップを抑制することが可能となる。また、オフ状態時に突起部7bが消弧装置23の上面23cとほぼ面一になるようにすることで、電磁接触器の手動投入を防止することができ、安全性を向上させることができる。
【0017】
さらに、多相として構成された支持枠7dの両外側の2箇所に突起部7bを設けることで、点検前に接点の溶着状態を推測することが可能となり、電磁接触器の保守性を向上させることができる。すなわち、電磁接触器のオフ状態時に左右の突起部7bが同じ程度に引っ込んでいると、中央相または多相の溶着を推測することができ、左右の突起部7bの引っ込み具合が異なる場合、端部の接点の溶着を推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る電磁接触器の概略構成を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電磁接触器の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る消弧装置23の概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る接点支持部27の概略構成を示す斜視図である。
【図5】従来の電磁接触器の概略構成を示す正面図である。
【図6】従来の電磁接触器の概略構成を示す斜視図である。
【図7】従来の電磁接触器のオフ状態時における概略構成を示す縦断面図である。
【図8】従来の電磁接触器のオフ状態時における概略構成を示す横断面図である。
【図9】従来の電磁接触器のオン状態時における概略構成を示す縦断面図である。
【図10】従来の接点支持部7の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 下部フレーム
2 上部フレーム
23 消弧装置
3a 角孔
3b 表示孔
3c 上面
4 電子ユニット
5 固定電磁石
5a 固定鉄心
6 可動鉄心
27 接点支持部
7a 支持枠上面
7b 突起部
7d 支持枠
8 バックスプリングガイド
9 バックスプリング
10 連結ピン
11 支持金具
12 主可動接点
13 緩衝バネ
14 主接触スプリング
15 主端子板
16 主固定接点
17 導弧板
18 表示棒
19 圧縮スプリング
20 補助接点ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点支持部を収容する本体フレームと、
オン/オフ信号に基づいて前記接点支持部をスライド移動させる電磁石と、
前記接点支持部に一体的に設けられ、主可動接触子を外側上面に保持する支持枠と、
前記本体フレームとは別体として構成され、前記本体フレーム上に配置された消弧装置と、
前記支持枠に一体的に設けられ、前記消弧装置の窓枠を貫通して動作表示を行うとともに、オフ状態時に前記消弧装置の上面とほぼ面一になるように構成された突起部とを備えることを特徴とする電磁接触器。
【請求項2】
前記突起部は、多相として構成された前記支持枠の両外側の2箇所に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電磁接触器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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