説明

電磁波伝搬装置および電磁波インターフェース

【課題】位置依存性の小さい電磁波インターフェースを小型かつ広帯域に実現する。
【解決手段】電磁波伝搬装置100は、面状導体1、第一面状誘電体2、面状メッシュ導体4、第二面状誘電体3を順に重ねて構成された面状伝搬媒体5と、前記面状伝搬媒体に配置された少なくとも一つの電磁波入力ポート6と、前記電磁波入力ポートを介して前記面状伝搬媒体に電力もしくは情報として電磁波を入力する送電局7と、前記面状伝搬媒体の第二面状誘電体上に設置され、電磁波インターフェース8と受電回路16から構成される少なくとも一つの受電装置23とを備え、前記電磁波インターフェースとして、誘電体基板11に複数の導体パターン9,10を配置し、前記導体パターンと受電回路との間に少なくとも一つの接続手段13を設け、前記導体パターン間の少なくとも一つの短絡手段12を、前記導体パターンの端部に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波伝搬装置および電磁波インターフェースに係り、特に、2次元的に電磁波を伝搬させる面状伝搬媒体を用いた電磁波伝搬装置およびこの装置に用いる電磁波インターフェースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンシューマ、社会インフラのあらゆる分野で電子機器のネットワーク化が進み、機器間を接続するコードの数が大幅に増加する傾向にある。それに対し、無線LAN(Local Area Network)のようなデータ伝送用途でのワイヤレス化は進んでおり、同じように電力供給に関してもワイヤレス化のニーズは年々高まっている。しかし、無線給電技術が商用化されているのは、ほぼ接触状態の極近距離で伝送するIHクッキングヒータ、シェーバー、コードレス電話等のみである。距離数m/数W以上の3次元伝送に関しては、電波拡散による伝送効率低下が大きな課題となり、無線給電技術の採用が進んでいないのが現状である。また、無線給電が商用化されている電子機器についても、位置ずれによる特性劣化が大きいため、設置箇所が指定されており設置自由度が乏しいという課題が残されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、これらの課題を解決する技術として、2枚の面状導体で面状誘電体を挟みその間で電磁波を伝達可能にするとともに、面状導体の一方をメッシュ状にして、薄膜の誘電体を介して電磁波インターフェースを配置することで、メッシュ状導体近傍に滲み出るエバネッセント波により電磁波の出入を可能とする面状伝搬媒体が開示されている。同文献には、表面波と呼ばれる電磁波を面状伝搬媒体内に閉じ込めて伝搬させる表面波伝送方式が開示されている。本方式では、面状伝搬媒体に沿って2次元的に電力を伝送させるため、3次元伝送に比べ高効率化が可能となる。また、面状伝搬媒体上に送電対象物を設置しさえすれば電力伝送が成立するので、設置自由度が高く、移動体への連続給電への応用が期待できる。
【0004】
特許文献2では、自由空間で用いる一般的なアンテナを小型化する技術として、ダイポールアンテナを変形した2つのL型ダイポールアンテナを導体板上の対向する角部に対象に配置し、各アンテナの信号導体の端部に給電点を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−093446号公報
【特許文献2】特開2009−188737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、電磁波結合を用いるため、電磁波インターフェースの大きさは面状伝搬媒体内の波長に依存し、大型化しやすい課題がある。同文献内では、この課題に対し、電磁波インターフェースのスパイラル状導体と、面状伝搬媒体のメッシュ状導体の間の相互インダクタンスMにより結合させ、両者の距離を短くすることで相互インダクタンスを低減させずに小型化することが開示されている。しかし、この電磁波インターフェースの小型化技術は、スパイラル状導体とメッシュ状導体の相対的な位置関係により相互インダクタンスが変動するため、受電量が不安定になる。そのため、特許文献1の技術を、給電特性の位置依存性が重要視される移動体への連続給電の応用へ適用することは困難である。また、位置依存性改善や小型化のためにスパイラル状導体の線路間距離Imを小さくすることは、寄生容量増加により自己共振周波数低下を引き起こす等の、別の課題が発生する。
【0007】
上記特許文献2記載の小型化技術は、2つのL形ダイポールアンテナを対向配置した平面アンテナであって、各L形ダイポールアンテナの中央部から給電するものであり、理論上1/4波長程度の小型化にとどまる。また、線状アンテナであるため、動作周波数帯域が狭く、整流回路やレギュレータで構成された受電回路との一体化による小型化が困難である。
【0008】
本発明は上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、表面波伝送方式に用いられ、給電特性の位置依存性が小さく、移動体への連続給電に好適な小型の電磁波インターフェース及びそれを用いた電磁波伝搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の代表的なものの一例を示せば、次のとおりである。本発明の電磁波伝搬装置は、基地局と端末との間で、電力もしくは情報としての電磁波の伝搬を行うための電磁波伝搬装置であって、前記電磁波伝搬装置は、面状導体、第一面状誘電体、面状メッシュ導体、及び第二面状誘電体を順に重ねて構成された面状伝搬媒体と、前記基地局と前記面状伝搬媒体とを接続する第一のインターフェースとして機能する少なくとも一つの電磁波入力ポートと、前記第二面状誘電体上に配置され、前記端末と前記面状伝搬媒体とを接続する第二のインターフェースとして機能する電磁波インターフェースとを備え、前記電磁波インターフェースは、平面状の誘電体板と、該誘電体板の一部を間に挟んで平行に設けられた複数の平面状の導体パターンとを備え、前記複数の導体パターンは、前記面状伝搬媒体側に配置された第一導体パターンを含み、前記第一導体パターンは、少なくとも一つの角部を有し、前記第一導体パターンと前記端末との間に少なくとも一つの接続手段を有し、前記第一導体パターンの前記角部に、前記複数の導体パターン間を電気的に短絡する、少なくとも一つの短絡手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、給電特性の位置依存性を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の実施形態1に係る電磁波伝搬装置の構成を示す、縦断面図である。
【図1B】図1A中の面状伝搬媒体と受電装置が接触する面A−A’を面状伝搬媒体側から見た図である。
【図2】実施形態1に係る面状伝搬媒体の斜視図である。
【図3A】実施形態1に係る第一導体パターン上の共振モードの説明図である。
【図3B】実施形態1に係る第一導体パターンの形状を変えた場合の共振モードの説明図である。
【図4】実施形態1に係る電磁波インターフェースのシミュレーション結果である。
【図5A】実施形態1に係る電磁波インターフェースの受電量の誘電体面積占有率特性の結果である。
【図5B】図5Aにおける、誘電体面積を説明する図である。
【図6】実施形態1に係る電磁波インターフェースの変形例の説明図である。
【図7】実施形態1における、電磁波入力ポートが4つの場合の、送電局の構成例を示す図である。
【図8A】実施形態1における、受電回路の構成例を示す図である。
【図8B】実施形態1における、直並列整流器の構成例を示す図である。
【図8C】実施形態1における、直並列整流器の他の構成例を示す図である。
【図9A】本発明の実施形態2に係る電磁波伝搬装置の構成例を示す、縦断面図である。
【図9B】図9A中の面状伝搬媒体と受電装置が接触する面A−A’を面状伝搬媒体側から見た図である。
【図10A】本発明の実施形態3に係る電磁波伝搬装置の構成例を示す、縦断面図である。
【図10B】図10A中の面状伝搬媒体と受電装置が接触する面A−A’を面状伝搬媒体側から見た図である。
【図11A】本発明の実施形態4に係る電磁波伝搬装置の構成例を示す、縦断面図である。
【図11B】図11A中の面状伝搬媒体と受電装置が接触する面A−A’を面状伝搬媒体側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の代表的な実施形態によれば、電磁波伝搬装置は、面状導体、第一面状誘電体、面状メッシュ導体、第二面状誘電体を順に重ねて構成された面状伝搬媒体と、前記面状伝搬媒体に配置された少なくとも一つの電磁波入力ポートと、前記電磁波入力ポートを介して前記面状伝搬媒体に電力もしくは情報として電磁波を入力する送電局(基地局)と、前記面状伝搬媒体の第二面状誘電体上に設置され、電磁波インターフェースと受電回路から構成される少なくとも一つの受電装置(端末)とを備え、前記電磁波インターフェースとして、誘電体板に複数の導体パターンを配置し、前記導体パターンと受電回路との間に少なくとも一つの接続手段を設け、前記導体パターン間の少なくとも一つの短絡手段を前記導体パターンの角部に設けていることを特徴としている。この電磁波伝搬装置によれば、表面波伝送方式に用いられ、位置依存性が小さく、移動体への連続給電に好適な小型の電磁波インターフェース及びそれを用いた電磁波伝搬装置を提供することができる。特に、受電量は、電磁波インターフェースによって覆われる面状伝搬媒体の領域の、面状メッシュ導体が配置されていない誘電体が露出している面積占有率すなわち誘電体面積占有率によって調整できる。そのため、面状メッシュ導体の形状を誘電体面積占有率の変動が小さくなるよう設定することで、受電量の位置依存性を小さく抑えることができる。さらに、この電磁波伝搬装置は、広帯域に動作させることが可能となる。
【0013】
上記電磁波伝搬装置は、他の特徴として、前記導体パターンが、誘電体板の前記面状伝搬媒体側に配置された第一導体パターンと、この第一導体パターンよりも前記受電装置側に配置された第二導体パターンを有し、前記第一導体パターンと受電回路との接続手段として少なくとも一つのスルービアを設け、前記第一導体パターンと前記第二導体パターンの短絡手段として、少なくとも一つのショートビアを前記第一導体パターンの端部に設けている。この電磁波伝搬装置によれば、電磁波インターフェースをガラスエポキシ等のプリント基板を用い、汎用基板加工プロセスで製造できるので安価に無線給電システムを実現できる。
【0014】
上記電磁波伝搬装置は、他の特徴として、前記誘電体の鉛直方向より透かして見たときに、前記第一導体パターンの外形が前記第二導体パターンの外形に含まれている。この電磁波伝搬装置によれば、電磁波インターフェースのグランド面積が大きく確保できるので安定動作できる。
【0015】
上記電磁波伝搬装置は、他の特徴として、前記ショートビアを前記第一導体パターンの角部に設けている。この電磁波伝搬装置によれば、第一導体パターンの一端面を短絡し、電磁波インターフェースの共振周波数を低減し、結果、電磁波インターフェースを小型化できる。
【0016】
上記電磁波伝搬装置は、他の特徴として、前記ショートビアを設けた前記第一導体パターンの角部を含む対角線上に、前記スルービアを配置している。この電磁波伝搬装置によれば、第一導体パターン上を流れる電流経路を長くすることができ、一電磁波インターフェースの共振周波数を低減し、結果、電磁波インターフェースを小型化できる。
【0017】
上記電磁波伝搬装置は、他の特徴として、前記第一導体パターンの異なる角部にそれぞれ設けた複数のスルービアでの各受電電力を、前記受電回路において、前記各受電電力を任意の位相差をつけて合成している。この電磁波伝搬装置によれば、複数のスルービアでの各受電電力を、任意の位相差をつけて合成することにより、電磁波インターフェースの方向性の小さくすることができる。もしくは、電磁波の到来方向に強い方向性を持たせることもでき、より大きな電力を受け取ることができる。
【0018】
上記電磁波伝搬装置は、他の特徴として、前記受電回路を前記誘電体板上に配置している。この電磁波伝搬装置によれば、電磁波インターフェースと受電回路から構成される受電装置を汎用のプリント基板上に一体化して実装できるので、小型化であるとともに安価である。
【0019】
上記電磁波伝搬装置は、他の特徴として、前記誘電体板の端面もしくは内部に、電磁波をシールドするシールド導体もしくは電波吸収体を配置している。この電磁波伝搬装置によれば、第二導体パターンの端部からの電磁波漏洩を遮蔽し、高効率な電力伝送に貢献できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施の形態1に係る電磁波伝搬装置を、図1A〜図5Bを用いて説明する。図1Aは、電磁波伝搬装置100の構成を示した断面図である。図1Bは、図1A中の面状伝搬媒体と受電装置が接触する面A−A’を面状伝搬媒体側から見た図である。
【0021】
電磁波伝搬装置100は、基地局200と端末300間で、電力もしくは情報としての電磁波の伝搬を行うための装置である。以下では、基地局200が送電局7、端末300が給電対象となる機器22を備え、送電局7から機器22へ一方向の給電を行う構成を例にして説明する。
【0022】
電磁波伝搬装置100は、送電局7から給電対象となる機器22に電力もしくは情報を供給する装置であり、面状伝搬媒体5、受電装置23、電磁波入力ポート6を備える。
【0023】
面状伝搬媒体5は、電力や情報としての電磁波の伝搬経路を成すものであり、図2に示すように、面状伝搬媒体5は、面状導体1、面状誘電体2、面状メッシュ導体4、面状誘電体スペーサ3を、順に重ねて構成され、いずれも表裏面が実質的に平行な平面で形成される。面状メッシュ導体4は、碁盤目状になって広がっており、メッシュのピッチによって、電磁波が外界へ滲み出す量を制御することができる。エバネッセント波と呼ばれる外界へ滲み出す電磁波は、伝搬距離に対して指数関数的に減衰する。典型的には、振幅が1/eに減衰する距離は1cm程度である(e:自然対数の底)。従って、面状メッシュ導体4の近傍にのみ電磁波を局在させ、外界への不要放射を極めて小さくできる。また、放射素子の可逆原理により、外界からの妨害波からの影響をほとんど受けない。面状誘電体2は、伝搬効率を考慮すると低誘電率かつ低誘電正接である材料が望ましい。面状誘電体スペーサ3は、面状メッシュ導体4を保護する役割を持つ。面状の誘電体や誘電体スペーサは、例えば発泡スチロールを用いて形成され、面状導体や面状メッシュ導体は、例えばエッチングや印刷等により形成される。
【0024】
図1A内の電磁波入力ポート6は、送電局7と面状伝搬媒体5を接続するインターフェース(第一のインターフェース)であり、両者は電磁波の進行方向に対して平行に配置され、送電局7から出力された同軸線路モード等の電磁波を、面状伝搬媒体5の表面波モードにモード変換する。送電局7は、電磁波入力ポート6、面状伝搬媒体5および受電装置23を介して機器22に電力を供給する装置である。
【0025】
面状伝搬媒体5の上に、電磁波伝搬装置100の端末300が載置される。端末300の受電装置23は、誘電体基板11に設けられた電磁波インターフェース8(第二のインターフェース)と受電回路16から成る。電磁波インターフェース8、は第一導体パターン9、第二導体パターン10、ショートビア12、スルービア13により構成される。導体パターン間を電気的に短絡するショートビア12、スルービア13は、ドリルやレーザ等で誘電体基板11に穴をあけ、内部を金属メッキすることで形成される。
【0026】
電磁波インターフェース8は、二つの結合モードを励起する第一導体パターン9、第二導体パターン10間の容量を利用し共振周波数を下げることで小型化を可能とする。誘電体基板11には導体が平行に3層形成されている。すなわち、誘電体基板11において、面状伝搬媒体5に接する導体層として第一導体パターン9、中間導体層として第二導体パターン10、面状伝搬媒体5と反対側の最上層として回路実装用導体15を形成する。電磁波インターフェース8により面状伝搬媒体5から受け取った電力が、スルービア13により回路実装用導体15上に設けられた受電回路16に送られ、受電回路16で整流され、さらに所望の電圧に変換された直流電力が、機器22に供給される。
【0027】
図1Bに示したように、第一導体パターン9は第一導体パターン長L、第二導体パターン10は第二導体パターン長gdl(gdl>L)の、大きさの異なる矩形の導体パターンである。両パターンは第一導体パターン9の角部に設けられたショートビア12にて電気的に短絡される。ショートビア12近傍で第一導体パターン9の対角線上の内側に位置するスルービア13により、第一導体パターン9が回路実装用導体15を介して受電回路16と接続される。osは、スルービアの位置の角部端からのオフセットである。自由空間で用いる電圧駆動系のダイポールアンテナ等は両端面が開放となっており共振条件を満足させるには1/2×λg(λg:実効波長)の寸法が必要である。それに対し、本構造ではショートビア12を用い第一導体パターン9の片側の端面を短絡とし他の端面を開放端とし、L=1/4×λgの寸法で共振させることが可能となる。
【0028】
図3Aは、実施形態1に係る第一導体パターン上の共振モードの説明図である。図3Aに示すように、正方形の第一導体パターン9の対角線上に給電点となるスルービア13を設けることで、第一導体パターン9の一辺の寸法Lが1/4×λgの場合の電流経路よりも、さらに低い周波数での共振を可能とする短い電流経路(定在波が成立する条件の経路)Bの電流を流すことができる。第二導体パターン10は第一導体パターン9に対してグランドとして働くため、安定動作には第一導体パターン9よりも大きなサイズにする必要がある。また、第二導体パターン10も面状伝搬媒体5と結合するため、その寸法も共振条件により決定されるが、第一導体パターン9や面状メッシュ導体4との容量により共振周波数(f1)を下げられるため、さらなる小型化が可能となる。さらに経路B(n)のように直角に曲がる経路B(1)よりも短い電流経路が分布的に複数存在するため、周波数帯域を、経路B(1)の共振周波数(f1)からこれより若干周波数の高い共振周波数(fn)まで拡大した、広帯域な動作が可能となる。または、意図的に複数の経路を成立させる、もしくは第一導体パターン9と第二導体パターン10とを異なる周波数で共振させることで、複数の動作周波数を持たせてもよい。なお、上記対角線上のスルービア13の位置によって電磁波インターフェース8の入力インピーダンスは、ショートビア12近傍からその対角に移動するに従って、0Ωから数百Ωに単調増加する。よって、受電回路との整合や、動作共振周波数を考慮し、スルービア13の位置を決定する必要がある。
【0029】
なお、第一導体パターン、第二導体パターンの形状は、正方形に限られるものではなく、長方形や任意の多角形についても、本発明は適用できる(以下の実施例も同様)。ただし、いずれの平面形状であっても、第一導体パターン9がショートビア12を設けるための少なくとも1つの角部を有していることが望ましい。例えば、図3Bに示すように、正六角形の第一導体パターン9の1つの角部を起点とする対角線上に、ショートビア12やスルービア13を設けることで、第一導体パターン9の一辺の寸法Lをλg/12の場合の電流経路よりも、さらに低い周波数での共振を可能とする経路の電流を流すことができる。
【0030】
特に、第一導体パターン、第二導体パターンの形状が長方形の場合は、寸法を選択することにより円偏波として動作させることもできる。これにより、方向性の小さい電磁波インターフェースを実現することも可能である。
【0031】
図4は、上述した電磁波インターフェース8の、スルービア13での反射量24、通過量25の周波数特性のシミュレーション結果である。設計周波数はRFIDと同じ950MHzとした。ここで通過量は、有限の大きさの面状伝搬媒体端面でのポインティングベクトルの面積分値を入力電力で除算して算出した。950MHzにおいて反射量24、通過量25はそれぞれ−21.0dB、−9.4dBという数値が得られている。なお、本シミュレーションは以下のパラメータを用いた。図1Bにおいて、第二導体パターン長gdl=50[mm]、第一導体パターン長L=14.7[mm]、スルービアの位置オフセットOS=2.0[mm]とし、誘電体基板11の第一導体パターン9と第二導体パターン10の間の厚さは1.6mm、比誘電率は4.7とした。第一導体パターン長、第二導体パターン長はそれぞれ実効波長換算で0.1λg、0.34λgに相当する。また、図1Aにおいて、導体メッシュ線幅=1[mm]、導体メッシュピッチp=7[mm]、面状誘電体スペーサ3の厚さは0.1mm、比誘電率は2.1、面状誘電体2の厚さは3.45mm、比誘電率は1.05とした。
【0032】
次に、電磁波インターフェースの受電量の位置依存性について説明する。図5Aは上述した電磁波インターフェースを用いて、面状伝搬媒体の導体メッシュ線幅wと導体メッシュピッチpを変えたときの、受電量の変動を相対的に観測した結果である。横軸は、電磁波インターフェースによって覆われる面状伝搬媒体の領域の、面状メッシュ導体が配置されていない誘電体が露出している面積占有率((P−W)/P)、以下、誘電体面積占有率)に置き換えている。図5Bの斜線で示す領域が、誘電体の露出している領域である。図5Aの縦軸は受電量の相対値である。17は受電量の誘電体面積占有率の特性を示している。受電量は、誘電体面積占有率の関数として単調増加の傾向にあることが図5Aのグラフから読み取れる。したがって、電磁波インターフェースの位置変動による誘電体面積占有率の変動が小さければ、受電量の位置依存性は低減される。例えば、受電量の変動を1dB以内に収めるためには、誘電体面積占有率を、図5Aのグラフで示している0.86以下の範囲では、0.03程度の変動に抑える必要がある。
【0033】
式(1)は、誘電体面積占有率Dの変動量が最大のときの変動範囲と、そのときの第二導体パターン長gdl’を示している。
【0034】
【数1】

【0035】
ここでnは自然数である。計算例として図4におけるシミュレーションのパラメータ条件を式(1)に当てはめると、Dmax=0.74、Dmin=0.71となり、受電量の変動を1dB以内に収めることができ、移動体へも安定した連続給電ができるといえる。
【0036】
また、本実施例では第一導体パターン9、第二導体パターン10が共に正方形の例を説明したが、前記のとおり長方形や任意の多角形等の平面形状についても、本発明は適用できる。特に、長方形に関しては、寸法を選択することにより円偏波として動作させることもできる。これにより、方向性の小さい電磁波インターフェースを実現することも可能である。
【0037】
図6(a)〜図6(d)は、本実施形態における電磁波インターフェース8の変形例を示すものである。図6(a)は、矩形の第二導体パターン10の各辺から中心に向かって方形状の切り欠き18を加えた電磁波インターフェース8を示している。図6(b)は、矩形の第一導体パターン9の各辺から中心に向かって方形状の切り欠き18を加えた電磁波インターフェース8を示している。図6(c)は、矩形の第二導体パターン10の各角から中心に向かって方形状の切り欠き18を加えた電磁波インターフェース8を示している。図6(d)は、矩形の第一導体パターン9のスルービア13を通る対角線上の角を除く二つの角から中心に向かって方形状の切り欠き18を加えた電磁波インターフェース8を示している。どの変形例も、矩形の第一導体パターン9もしくは矩形の第二導体パターン10上を流れる電流経路を迂回させることで、それぞれの小型化に効果を示すものである。本変形例では、切り欠きの数を2個もしくは4個として説明したが、1個以上の切り欠きを装荷すれば相応の効果は得られる。また、切り欠きの位置や形状についても同様である。他の多角形についても、同様に、切り欠きを設けて電流経路を迂回させることで小型化できるという効果がある。
【0038】
図7は、電磁波入力ポート6が4つ(6−1,6−2,6−3,6−4)の場合の送電局7の構成例である。送電局7は、発振器51、分配器52、電源電圧変換器53、移相器54、可変利得増幅器55、パワー増幅器56、制御部57、電力検出部58で構成される。なお、電源電圧変換器53、移相器54、可変利得増幅器55、パワー増幅器56は、4つの電磁波入力ポート6に各々対応して設けられている。発振器51は、電磁波伝搬装置100の使用周波数に相当する周波数の信号を生成する。分配器52は4つの移相器54に使用周波数の信号を分配する。移相器54は入力された信号の位相を調整してその出力を可変利得増幅器55に供給する。パワー増幅器56の電源は電源電圧変換器53によって供給される。可変利得増幅器55は利得を切り替え、出力電力を調整して出力する。パワー増幅器56は電磁波入力ポート6へ電力を出力する。制御部57は、電力検出部58の検出した各可変利得増幅器55及び各パワー増幅器56の出力電力に基づいて、各電磁波入力ポートの電源電圧変換器53、移相器54、可変利得増幅器55を制御する。
【0039】
送電局7から電力を供給する場合、送電局7の消費電力と送電電力との比、つまり送電効率は高い方が好ましい。また、面状伝搬媒体5上の受電装置23の位置により、受電装置23の受電電力は変化するため、送電局7の送電電力の調整により、これを補償して受電電力を一定にするか、送電効率が高いときほど大電力を送電することが好ましい。あるいは、受電装置23に接続された機器22の消費電力や動作状態に合わせて送電電力を変えることが好ましい。つまり、送電局7は、幅広い送電電力、例えば10dB程度にわたり高い送電効率を実現することが好ましい。
【0040】
これを実現するため、機器22の状態等に基づく所望の送電電力に応じて、各電源電圧変換部53は各パワー増幅器56の電源電圧を、各可変利得増幅器55は各パワー増幅器56の入力電力を調整する。つまり、所望の送電電力が高いほど、パワー増幅器56の電源電圧と入力電力を高く設定する。これにより、幅広い送電電力にわたって、パワー増幅器56を飽和状態で使用できるようになり、送電効率を高く維持することができる。
【0041】
なお、所望の送電電力をパワー増幅器56が飽和状態で出力しているかどうかは、電力検出部58で各パワー増幅器56の入出力電力を検出することにより判断する。つまり、各パワー増幅器56の出力電力を検出することで、所望の送電電力が出力されているかどうかを判断する。併せて、各パワー増幅器56の入力電力を検出することで、各パワー増幅器56の電力利得を検出し、各パワー増幅器56が飽和状態で動作しているかどうかを判断する。
【0042】
このとき、送電局7全体の消費電力のうち、パワー増幅器56の消費電力の占める割合が高ければ高いほど、パワー増幅器56の電力利得は送電電力に依らずほぼ一定とすることが好ましい。逆に、パワー増幅器56以外の消費電力の割合が増えるほど、パワー増幅器56の電力利得は、送電電力が小さいほど高く設定することが好ましい。
【0043】
なお、各移相器54の位相調整量は、複数の電磁波入力ポート6の各々から出力される電磁波が面状伝搬媒体5上の受電装置23の位置で強めあうように、制御部57で制御すると、受電装置23の受電電力が高くなり好ましい。または、面状伝搬媒体5の受電装置23以外の位置や送電したくない位置で複数の電磁波入力ポート6から出力される電磁波が打ち消しあうように、制御部57で各位相調整量を制御すると良い。
【0044】
なお、図7の例では、電磁波入力ポート6が4つの場合の送電局7の構成例を示したが、電磁波入力ポート6の数は1つでも複数でも構わない。また、複数の電磁波入力ポート6で電源電圧変換器53、移相器54、可変利得増幅器55、パワー増幅器56の全てもしくはいずれかを共用してもよい。また、発振器51と分配器52を複数備えたり、移相器の代わりに周波数変換器を備えたりすることにより、一部または全ての電磁波入力ポート6から異なる周波数の電磁波を出力しても良い。異なる周波数の電磁波を出力することにより、面状伝搬媒体5上の所望の位置において、各電磁波入力ポート6から出力される電磁波は強めあったり、打ち消しあったりする。
【0045】
次に、受電回路16について説明する。図8Aは、受電回路16の構成例である。受電回路16は、直並列整流器60、電圧/電流検出部61、レギュレータ62、制御部63で構成される。直並列整流器60は電磁波インターフェース8で受電した交流電力を直流電力に整流する。電圧/電流検出部61は、直並列整流器60からレギュレータ62へ流れる電流と直並列整流器60の出力電圧を検出する。レギュレータ62は直並列整流器60の出力電圧を機器22の所望の電圧に変換して出力する。制御部63は、電圧/電流検出部61で検出した電圧と電流の値に応じて、直並列整流器の直並列数を制御する。なお、制御部63は電圧/電流検出部61で検出した電圧と電流の値から電力を求めることもできる。
電圧/電流検出部61は、直並列整流器60からレギュレータ62へ流れる電流値を微小な抵抗によって電圧に変換して検出し、レギュレータ62の入力電圧とともにアナログデジタル変換器でデジタル値に変換すると良い。
【0046】
電磁波インターフェース8から入力される受電電力は、送電局7の送電電力や面状伝搬媒体5上の受電装置23の位置などによって変動する。また、機器22の消費電力や動作状態により必要な電圧や電力が変化する。以上のことから、直並列整流器60は幅広い受電電力、例えば10dB程度にわたって、受電効率を高く維持することが好ましい。
【0047】
これを実現するために、制御部63で直並列整流器60内の整流回路64の直並列数を制御する。図8B、図8Cは直並列整流器60の構成例である。図8Bは整流回路64の直並列数をスイッチ65とスイッチ66で制御する構成例、図8Cは整流回路64の直並列数をスイッチ67とスイッチ68で制御する構成例である。
【0048】
図8Bにおいて、整流回路64の入力インピーダンスをZ1とする。2つの整流回路64a、64bの入力を特性インピーダンスZ1の伝送線路で接続すると、接続した箇所から見た入力インピーダンスZ2はZ1の半分になる。Z2の箇所は、特性インピーダンスZ1、かつ、使用する周波数の波長λの4分の1の長さの伝送線路を介して見るとZ2の4倍、つまり、Z1の2倍のインピーダンスZ3になる。従って、Z3の箇所2つを接続すると接続した箇所から見た入力インピーダンスZ4はZ3の半分、つまり、Z1となる。一方、スイッチ65及びスイッチ66を開放し、整流回路64a、64b、64cを切り離した場合も、整流回路64dの入力インピーダンスZ1がそのまま入力インピーダンスZ4になり、直並列整流器60の入力インピーダンスはZ1となる。なお、スイッチ65、66は制御部63によって制御される。
【0049】
この構成によれば、直並列整流器60の入力インピーダンスを一定に保ちつつ、整流回路64の直並列数を切り替えることができ、幅広い受電電力を効率よく受電することができる。
【0050】
図8Cの構成例でも図8Bと同様に、整流回路64の直並列数を切り替えても入力インピーダンスを一定に保つことができる。スイッチ67とスイッチ68は特性インピーダンスZ1の伝送線路をグラウンドと短絡する機能を持つ。スイッチ67を短絡すると、スイッチ67の箇所でのインピーダンスZ5は低くなり、理想的にはゼロになる。しかし、使用する周波数の波長λの4分の1の長さの伝送線路を介した箇所でのインピーダンスZ6は高くなり、理想的には無限大になる。つまり、スイッチ65を開放した場合と同じく、使用する周波数において整流回路64e、64fが切り離される。同様に、スイッチ68を短絡すると、整流回路64gが切り離される。なお、スイッチ67、68は制御部63によって制御される。
【0051】
この構成によれば、直並列整流器60の入力インピーダンスを一定に保ちつつ、かつ、受電電力の線路に直列に素子を追加することなく、整流回路64の直並列数を切り替えることができ、幅広い受電電力をより効率よく受電することができる。
【0052】
なお、図8A〜図8Cでは整流回路64の直並列数を4つとしたが、4つに限らないことは自明である。例えば、整流回路64を3つ以上接続し合計9つ以上としてもよいし、接続箇所は2箇所に限らず4箇所以上にしても良い。
また、スイッチ65、66、67、68は、使用する周波数において、スイッチと同様の電気的機能を実現できるものであれば良い。例えば、可変容量を用い、スイッチ65、66、67、68の短絡時には容量値を大きくし、開放時には容量値を小さくしてもよい。同様に可変抵抗やその他の電気的特性が可変の素子で構成してもよい。
【0053】
本実施形態では、第一導体パターン9と第二導体パターン10をショートビア12で短絡させるとしたが、使用周波数に対して両者を導通させることができれば代用可能であり、形状は円筒状に拘らない。また、導体3層構成の誘電体基板11については、異なる材料の基板を貼り合わせてもよく、電磁波インターフェース8と受電回路16を物理的に切り離して使用しても問題ない。
【0054】
また、本実施形態では受電用として電磁波インターフェース8を説明したが、この電磁波インターフェース8を送電用の電磁波入力ポート6として用い、小型化を図ることも可能である。
【0055】
また、本実施形態1は、電磁波伝搬装置100を給電装置として説明したが、送電局7、受電回路16をそれぞれ通信基地局、受信装置に置き換えることで、電磁波を電力として送るのではなく、機器間の通信信号、制御信号として送ることも可能である。もちろん、両者を同時もしくは時分割に送ることも組み合わせの構成で実現できることは言うまでもない。
【0056】
また、本発明の基地局200と端末300は、各々、電磁波伝搬装置100を介して電磁波の送受信機能を備え、双方向に情報の送受信を行うものであっても良い。この場合、各端末300は受電回路のみならず送電局も備え、基地局200は送電局のみならず受電回路も備えている。例えば、基地局200から複数の端末300へ電力や制御信号を送り、各端末300から基地局200へ応答情報や測定データを送るシステムであっても良い。
【0057】
端末300の機器22は、例えば、床面を構成する面状伝搬媒体5上を移動する、医療、介護用あるいは保安用のロボット等の移動体であり、電磁波伝搬装置100を介して基地局200から移動体300へ、無線(ワイヤレス、コネクタレス)でかつ高信頼に連続給電・連続通信を行い、ロボット等に所定の作業を実行させることができる。これにより、移動体は重量の重いバッテリーを搭載することなく、長時間の作業を行うことができる。
【0058】
以上のように、本実施形態1に係る電磁波伝搬装置100は、二つの結合モードを励起する第一導体パターン9、第二導体パターン10間の容量と、および両者と面状メッシュ導体4との容量とを利用して共振周波数を下げ、さらに両導体パターンをショートビア12により短絡し、第一導体パターン9の対角線上に給電点となるスルービア13を設けることにより、電磁波インターフェース8を小型化し、広帯域に動作させることが可能となる。
【0059】
本実施例の電磁波伝搬装置によれば、ショートビアを第一導体パターンの角部に設けているので、第一導体パターンの一端面を短絡し、電磁波インターフェースの共振周波数を低減し、結果、電磁波インターフェースを小型化できる。本実施例の電磁波伝搬装置によれば、ショートビアを設けた矩形の第一導体パターンの角部を含む対角線上に、スルービアを配置しているので、第一導体パターン上を流れる電流経路を長くすることができ、電磁波インターフェースの共振周波数を低減し、結果、電磁波インターフェースを小型化できる。
【0060】
また、本実施形態1によれば、電磁波インターフェース8と受電回路16から構成される受電装置23を汎用のプリント基板上に一体化して実装できるので、小型化であるとともに安価である。すなわち、本実施例の電磁波伝搬装置によれば、導体パターンとして、誘電体板にいずれも平面状の第一導体パターンと第二導体パターンを配置し、第一導体パターンと受電回路との接続手段として少なくとも一つのスルービアを設け、第一導体パターンと第二導体パターンの短絡手段として、少なくとも一つのショートビアを第一導体パターンの端部に設けている。このような複数の平面状の部材を積層した構成の電磁波インターフェースは、例えば、ガラスエポキシ等のプリント基板を用い、汎用基板加工プロセスで製造できる。そのため、安価に無線給電システムを実現できる。
【0061】
さらに、本実施例の電磁波伝搬装置によれば、誘電体の鉛直方向より透かして見たときに、第一導体パターンの外形が第二導体パターンの外形に含まれている。これにより、電磁波インターフェースのグランド面積が大きく確保できるので安定動作できる。
【0062】
また、本実施形態1の電磁波伝搬装置100に用いる電磁波インターフェース8は誘電体面積占有率によって受電量を調整できるので、面状メッシュ導体4の形状を誘電体面積占有率の変動が小さくなるよう設定すれば、受電量の位置依存性を小さく抑えることができる。
【0063】
このように、本実施形態の電磁波伝搬装置によれば、電磁波インターフェースを小型化し、広帯域に動作させることが可能となる。また、誘電体面積占有率によって受電量を調整できるので、面状メッシュ導体の形状を誘電体面積占有率の変動が小さくなるよう設定すれば、受電量の位置依存性を小さく抑えることができる。
【実施例2】
【0064】
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図9Aは、本発明の実施の形態2に係る電磁波伝搬装置100の構成を示した断面図である。図9Bは、図9A中の面状伝搬媒体5と受電装置23が接触する面A−A’を面状伝搬媒体5側から見た図である。
【0065】
電磁波伝搬装置100は、基地局200と端末300間で、電力もしくは情報としての電磁波の伝搬を行うための装置である。以下では、実施の形態1と同様に、送電局7から機器22へ一方向の給電を行う構成を例にして説明する。
【0066】
電磁波伝搬装置100は、送電局7から給電対象となる機器22に電力を供給する装置であり、面状伝搬媒体5、受電装置23、電磁波入力ポート6を備える。受電装置23は、誘電体基板11に設けられた電磁波インターフェース8と受電回路16から成る。電磁波インターフェース8は矩形平面状の第一導体パターン9、矩形平面状の第二導体パターン10、ショートビア12、スルービア13、シールドビア群19、シールド導体20により構成される。ショートビア12、スルービア13、シールドビア群19はドリルやレーザ等で誘電体基板11に穴をあけ、内部を金属メッキすることで形成される。送電局7、受電回路16の各構成及び機能は、実施の形態1と同様である。
【0067】
電磁波インターフェース8は、二つの結合モードを励起する第一導体パターン9、第二導体パターン10間の容量を利用し共振周波数を下げることで小型化を可能とする。導体3層構成の誘電体基板11において、面状伝搬媒体5に接する導体層に第一導体パターン9、中間導体層に第二導体パターン10、面状伝搬媒体5と反対側の層に回路実装用導体15を形成する。電磁波インターフェース8により面状伝搬媒体5から受け取った電力が、スルービア13により回路実装用導体15上に設けられた受電回路16に送られ、受電回路16で整流され、さらに所望の電圧に変換され、機器22に供給される。第二導体パターン10に接続されたシールドビア群19とシールド導体20は、第二導体パターン10の端部からの電磁波漏洩を遮蔽する役割を持ち、高効率な電力伝送に貢献する。
【0068】
図9Bにおいて、第一導体パターン9、第二導体パターン10は第一導体パターン9の角部に設けられたショートビア12にて短絡される。ショートビア12近傍で矩形の第一導体パターン9の対角線上のスルービア13により受電回路16と接続される。本構造ではショートビア12を用い片側の端面を短絡とし、第一導体パターン9の対角線上に給電点となるスルービア13を設けることで、低い周波数での共振を可能とする。第二導体パターン10は第一導体パターン9に対してグランドとして働くため、安定動作には第一導体パターン9よりも大きなサイズにする必要がある。また、第二導体パターン10とシールド導体20も面状伝搬媒体5と結合するため、その寸法も共振条件により決定されるが、第一導体パターン9や面状メッシュ導体4との容量により共振周波数を下げられるため、さらなる小型化が可能となる。併せて、シールドビア群19、シールド導体20により第二導体パターン10の面積が等価的に大きくなることも小型化を推進する。また、シールドビア群19の隣接するシールドビア同士のピッチは1/4λg以下が望ましい。なお、上記対角線上のスルービア13の位置によって電磁波インターフェース8の入力インピーダンスは、ショートビア12近傍からその対角に移動するに従って、0Ωから数百Ωに単調増加する。よって、受電回路との整合や、動作共振周波数を考慮し、スルービア13の位置を決定する必要がある。
【0069】
本実施形態では、電磁波インターフェースの電磁波漏洩を遮蔽する手段として、シールドビア群19、シールド導体20を用いた構成について説明したが、代案として、誘電体基板11端面に、金属箔もしくは使用周波数帯で動作する電波吸収体を配置してもよい。
【0070】
また、本実施形態では受電用として電磁波インターフェース8を説明したが、送電用の電磁波入力ポート6として用い、小型化を図ることも可能である。
【0071】
以上のように本実施形態2に係る電磁波伝搬装置100は、二つの結合モードを励起する第一導体パターン9、第二導体パターン10間の容量および両者と面状メッシュ導体4との容量を利用し共振周波数を下げ、さらに両者をショートビア12により短絡し、第一導体パターン9の対角線上に給電点となるスルービア13を設け、第二導体パターン10に接続されたシールドビア群19とシールド導体20を配置することにより、電磁波インターフェース8を小型化し、広帯域に動作させることが可能となる。
【0072】
また、本実施形態2の電磁波伝搬装置100に用いる電磁波インターフェース8は、シールドビア群19とシールド導体20を設けているので、第二導体パターン10の端部からの電磁波漏洩を遮蔽し、高効率な電力伝送に貢献できる。
【0073】
また、本実施形態2の電磁波伝搬装置100に用いる電磁波インターフェース8は誘電体面積占有率によって受電量を調整できるので、面状メッシュ導体4の形状を誘電体面積占有率の変動が小さくなるよう設定すれば、受電量の位置依存性を小さく抑えることができる。
【0074】
また、本実施形態2によれば、電磁波インターフェース8と受電回路16から構成される受電装置23を汎用のプリント基板上に一体化して実装できるので、小型化であるとともに安価である。
【0075】
また、本実施形態2は給電装置として説明したが、送電局7、受電回路16をそれぞれ通信基地局、受信装置に置き換えることで、電磁波を電力として送るのではなく、機器間の通信信号、制御信号として送ることも可能である。もちろん、両者を同時もしくは時分割に送ることも組み合わせの構成で実現できることは言うまでもない。
【0076】
また、基地局200と端末300は、各々、電磁波の送受信機能を備え、双方向に情報の送受信を行うものであっても良い。この場合、各端末300は受電回路のみならず送電局も備え、基地局200は送電局のみならず受電回路も備えている。例えば、基地局200から複数の端末300へ電力や制御信号を送り、各端末300から基地局200へ応答情報や測定データを送るシステムであっても良い。
【実施例3】
【0077】
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図10Aは、本発明の実施の形態2に係る電磁波伝搬装置100の構成を示した断面図である。図10Bは、図10A中の面状伝搬媒体5と受電装置23が接触する面A−A’を面状伝搬媒体5側から見た図である。電磁波伝搬装置100は、送電局7から給電対象となる機器22に電力を供給する装置であり、面状伝搬媒体5、受電装置23、電磁波入力ポート6を備える。受電装置23は、誘電体基板11に設けられた電磁波インターフェース8と受電回路16から成る。電磁波インターフェース8は第一導体パターン9、第二導体パターン10、ショートビア12a、12b、スルービア13a、13bにより構成される。ショートビア12a、12b、スルービア13a、13bはドリルやレーザ等で誘電体基板11に穴をあけ、内部を金属メッキすることで形成される。送電局7、受電回路16の各構成及び機能は、実施の形態1と同様である。
【0078】
電磁波インターフェース8は、二つの結合モードを励起する第一導体パターン9、第二導体パターン10間の容量を利用し共振周波数を下げることで小型化を可能とする。導体3層構成の誘電体基板11において、面状伝搬媒体5に接する導体層に第一導体パターン9、中間導体層に第二導体パターン10、面状伝搬媒体5と反対側の層に回路実装用導体15を形成する。電磁波インターフェース8により面状伝搬媒体5から受け取った電力が、スルービア13a、13bにより回路実装用導体15上に設けられた受電回路16に送られ、受電回路16で整流され、さらに所望の電圧に変換され、機器22に供給される。
【0079】
図10Bにおいて、矩形の第一導体パターン9と第二導体パターン10は、第一導体パターン9のそれぞれ別の角部に設けられたショートビア12a、12bにて短絡される。すなわち、矩形の底辺の第一の角部に設けられたショートビア12a近傍で第一導体パターン9の対角線上のスルービア13a、及び、矩形の底辺の第二の角部に設けられたショートビア12b近傍で対角線上のスルービア13bにより受電回路16と接続される。本構造ではショートビア12a、12bを用い片側の端面を短絡とし、第一導体パターン9の対角線上に給電点となるスルービア13a、13bを設けることで、低い周波数での共振を可能とする。第二導体パターン10は第一導体パターン9に対してグランドとして働くため、安定動作には第一導体パターン9よりも大きなサイズにする必要がある。また、第二導体パターン10も面状伝搬媒体5と結合するため、その寸法も共振条件により決定されるが、第一導体パターン9や面状メッシュ導体4との容量により共振周波数を下げられるため、さらなる小型化が可能となる。なお、上記対角線上のスルービア13の位置によって電磁波インターフェース8の入力インピーダンスは、ショートビア12近傍からその対角に移動するに従って、0Ωから数百Ωに単調増加する。よって、受電回路との整合や、動作共振周波数を考慮し、スルービア13の位置を決定する必要がある。
【0080】
また、電磁波インターフェース8には方向性が無いことが望ましい。面状伝搬媒体5の端面が短絡もしくは開放の反射端の場合、内部で多重反射が起こり、電磁波の到来方向が位置によって異なることが有り得る。これに対し、使用周波数帯で動作する電波吸収体を面状伝搬媒体5の端面に配置することで上記課題は軽減されるが、電波吸収体での吸収成分は損失になってしまう。また、電磁波インターフェース8の取り扱い性の観点から、面状伝搬媒体5内のあらゆる到来方向の電磁波を均一に受けられることが重要である。スルービア13a、13bで取り出される電力はそれぞれお互いが直交する共振モード26a、26bにより励起された電磁界成分であり、共振モード26a、26bには90度の位相差が存在する。すなわち一般的な円偏波の受信アンテナと同等の動作をし、あらゆる到来方向の電磁波を均一に受けられる。スルービア13a、13bで取り出された電力は90度の位相差をつけて受電回路16内の整流回路よりも前段で合成することで、方向性の小さい受電装置23が実現できる。また、位相差を調節して合成し、意図的に方向性をつけることも可能であり、電磁波の到来方向が既知の場合は、より大きな電力を受け取ることができる。
【0081】
本実施形態では二組のスルービア、ショートビアを用いた電磁波インターフェース8について説明したが、第一導体パターン9の平面形状に応じてスルービアを3個以上用いれば、より可変な方向性やより小さい方向性を実現できる。例えば、第一導体パターン9と第二導体パターン10が共に正六角形の場合、3組のスルービアとショートビアを、第一導体パターン9の対角線上に位置しない3つの角部に設けても良い。あるいは、第一導体パターン9と第二導体パターン10が共に八角形であり、4組のスルービアとショートビアを、第一導体パターン9の対角線上に位置しない4つの角部に設けても良い。このように、二組のスルービアとショートビアの位置は、第一導体パターン9の平面形状に応じて、各々、任意の角部に適用できる。
【0082】
また、本実施形態では受電用として電磁波インターフェース8を説明したが、送電用の電磁波入力ポート6として用い、小型化を図ることも可能である。
【0083】
以上のように本実施形態3に係る電磁波伝搬装置100は、第一導体パターン9、第二導体パターン10間の容量および両者と面状メッシュ導体4との容量を利用し共振周波数を下げるとともに、二組のスルービア、ショートビアを第一導体パターン9の角部に設けることにより、任意かつ可変な方向性を持ち、小型かつ広帯域な電磁波インターフェース8を実現できる。
【0084】
また、本実施形態3の電磁波伝搬装置100に用いる電磁波インターフェース8は誘電体面積占有率によって受電量を調整できるので、面状メッシュ導体4の形状を誘電体面積占有率の変動が小さくなるよう設定すれば、受電量の位置依存性を小さく抑えることができる。
【0085】
また、本実施形態3によれば、電磁波インターフェース8と受電回路16から構成される受電装置23を汎用のプリント基板上に一体化して実装できるので、小型化であるとともに安価である。
【0086】
また、本実施形態3は給電装置として説明したが、送電局7、受電回路16をそれぞれ通信基地局、受信装置に置き換えることで、電磁波を電力として送るのではなく、機器間の通信信号、制御信号として送ることも可能である。もちろん、両者を同時もしくは時分割に送ることも組み合わせの構成で実現できることは言うまでもない。また、基地局200と端末300は、各々、電磁波の送受信機能を備え、双方向に情報の送受信を行うものであっても良い。
【実施例4】
【0087】
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
図11Aは、本発明の実施の形態4に係る電磁波伝搬装置100の構成を示した断面図である。図11Bは、図11A中の面状伝搬媒体5と受電装置23が接触する面A−A’を面状伝搬媒体5側から見た図である。電磁波伝搬装置100は、送電局7から給電対象となる機器22に電力を供給する装置であり、面状伝搬媒体5、受電装置23、電磁波入力ポート6を備える。受電装置23は、誘電体基板11に設けられた電磁波インターフェース8と受電回路16から成る。電磁波インターフェース8は、第一導体パターン9、第二導体パターン10、第三導体パターン21、ショートビア12、スルービア13により構成される。ショートビア12、スルービア13はドリルやレーザ等で誘電体基板11に穴をあけ、内部を金属メッキすることで形成される。
【0088】
電磁波インターフェース8は、三つの結合モードを励起する第一導体パターン9、第二導体パターン10、第三導体パターン21間の容量を利用し共振周波数を下げることで小型化を可能とする。導体4層構成の誘電体基板11において、面状伝搬媒体5に接する導体層から順番に第一導体パターン9、第二導体パターン10、第三導体パターン21が形成され、面状伝搬媒体5と反対側の層に回路実装用導体15を形成される。電磁波インターフェース8により面状伝搬媒体5から受け取った電力が、スルービア13により回路実装用導体15上に設けられた受電回路16に送られ、受電回路16で整流され、さらに所望の電圧に変換され、機器22に供給される。
【0089】
図11Bにおいて、平面形状が何れも矩形の第一導体パターン9、第二導体パターン10、第三導体パターン21は、第一導体パターン9の角部に設けられたショートビア12にて短絡される。ショートビア12近傍で第一導体パターン9の対角線上のスルービア13により受電回路16と接続される。本構造ではショートビア12を用い片側の端面を短絡とし、第一導体パターン9の対角線上に給電点となるスルービア13を設けることで、低い周波数での共振を可能とする。第二導体パターン10は第一導体パターン9に対して、また第三導体パターン21は第二導体パターン10に対してグランドとして働くため、安定動作には第一導体パターン9、第二導体パターン10、第三導体パターン21の順にサイズを大きくする必要がある。すなわち、誘電体の鉛直方向より見たときに、第一導体パターンの外形が第二導体パターンの外形に含まれており、第二導体パターンの外形が第三導体パターンの外形に含まれている。また、第二導体パターン10、第三導体パターン21も面状伝搬媒体5と結合するため、その寸法も共振条件により決定されるが、第一導体パターン9や面状メッシュ導体4との容量により共振周波数を下げられるため、さらなる小型化が可能となる。また、各導体パターン上で共振のための電流経路の長さを分布的に存在させることで広帯域な動作が可能となる。または、複数の電流経路を離散的に存在させる、もしくは各導体パターンを異なる周波数で共振させることで、複数の動作周波数を持たせてもよい。なお、上記対角線上のスルービア13の位置によって電磁波インターフェース8の入力インピーダンスは、ショートビア12近傍からその対角に移動するに従って、0Ωから数百Ωに単調増加する。よって、受電回路との整合や、動作共振周波数を考慮し、スルービア13の位置を決定する必要がある。
【0090】
本実施形態では、電磁波インターフェース8の導体パターンを三つとして説明したが、四つ以上であれば、より広帯域な、もしくは、より複数の動作周波数を持った電磁波インターフェース8が実現できる。
【0091】
また、本実施形態では、電磁波インターフェース8において、第一導体パターン9、第二導体パターン10、第三導体パターン21をショートビア12で短絡させたが、どの導体パターン同士を短絡させるかによって、動作周波数、動作帯域や受電量を調整することが可能である。
【0092】
また、本実施形態では受電用として電磁波インターフェース8を説明したが、送電用の電磁波入力ポート6として用い、小型化を図ることも可能である。
【0093】
以上のように、本実施形態4に係る電磁波伝搬装置100は、三つの結合モードを励起する第一導体パターン9、第二導体パターン10、第三導体パターン21間の容量および両者と面状メッシュ導体4との容量を利用し共振周波数を下げ、さらに両者をショートビア12により短絡し、第一導体パターン9の対角線上に給電点となるスルービア13を設けることにより、電磁波インターフェース8を小型化し、広帯域に動作させることが可能となる。
【0094】
また、本実施形態4の電磁波伝搬装置100に用いる電磁波インターフェース8は誘電体面積占有率によって受電量を調整できるので、面状メッシュ導体4の形状を誘電体面積占有率の変動が小さくなるよう設定すれば、受電量の位置依存性を小さく抑えることができる。
【0095】
また、本実施形態4によれば、電磁波インターフェース8と受電回路16から構成される受電装置23を汎用のプリント基板上に一体化して実装できるので、小型化であるとともに安価である。
【0096】
また、本実施形態4は給電装置として説明したが、送電局7、受電回路16をそれぞれ通信基地局、受信装置に置き換えることで、電磁波を電力として送るのではなく、機器間の通信信号、制御信号として送ることも可能である。もちろん、両者を同時もしくは時分割に送ることも組み合わせの構成で実現できることは言うまでもない。また、基地局200と端末300は、各々、電磁波の送受信機能を備え、双方向に情報の送受信を行うものであっても良い。
【0097】
以上に説明した実施形態1〜4において、ショートビア、スルービアについては、規定された厳密な位置でなければ、効果を発揮しないものではなく、λgに対し十分小さな位置シフト量であれば、それに準じた効果が得られる。例えば、ショートビア、スルービアの位置は、矩形の第一導体パターンの対角線から±10度の範囲内であっても良い。
【符号の説明】
【0098】
1…面状導体、2…面状誘電体、3…面状誘電体スペーサ、4…面状メッシュ導体、5…面状伝搬媒体、6…電磁波入力ポート、7…送電局、8…電磁波インターフェース、9…第一導体パターン、10…第二導体パターン、11…誘電体基板、12…ショートビア、13スルービア、15…回路実装用導体、16…受電回路、17…受電量の誘電体面積占有率特性、18…切り欠き、19…シールドビア、20…シールド導体、21…第三導体パターン、22…機器、23…受電装置、24…反射量、25…通過量、26…共振モード、51…発振器、52…分配器、53…電源電圧変換器、54…移相器、55…可変利得増幅器、56…パワー増幅器、57…制御部、58…電力検出部、60…直並列整流器、61…電圧/電流検出部、62…レギュレータ、63…制御部、100…電磁波伝搬装置、200…基地局、300…端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と端末との間で、電力もしくは情報としての電磁波の伝搬を行う電磁波伝搬装置であって、
前記電磁波伝搬装置は、
面状導体、第一面状誘電体、面状メッシュ導体、及び第二面状誘電体を順に重ねて構成された面状伝搬媒体と、
前記基地局と前記面状伝搬媒体とを接続する第一のインターフェースとして機能する少なくとも一つの電磁波入力ポートと、
前記第二面状誘電体上に配置され、前記端末と前記面状伝搬媒体とを接続する第二のインターフェースとして機能する電磁波インターフェースとを備え、
前記電磁波インターフェースは、平面状の誘電体板と、該誘電体板の一部を間に挟んで平行に設けられた複数の平面状の導体パターンとを備え、
前記複数の導体パターンは、前記面状伝搬媒体側に配置された第一導体パターンを含み、
前記第一導体パターンは、少なくとも一つの角部を有し、
前記第一導体パターンと前記端末との間に少なくとも一つの接続手段を有し、
前記第一導体パターンの前記角部に、前記複数の導体パターン間を電気的に短絡する、少なくとも一つの短絡手段を設けた
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一導体パターンと前記端末との接続手段として少なくとも一つのスルービアを設け、
前記複数の導体パターン間の短絡手段として、少なくとも一つのショートビアを前記第一導体パターンの前記角部に設けた
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記複数の導体パターンは、該第一導体パターンよりも前記端末側に配置された第二導体パターンを含み、
前記誘電体の鉛直方向より見たときに、前記第一導体パターンの外形が前記第二導体パターンの外形に含まれている
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第一導体パターン及び前記第二導体パターンの平面形状が、共に矩形である
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記ショートビアを設けた前記第一導体パターンの角部を含む対角線上に、前記スルービアを配置した
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記電磁波インターフェースは、前記電体板の一部を挟んで、前記第一導体パターンよりも前記端末側に配置された第三導体パターンと、前記第一導体パターンと該第三導体パターンの間に配置された第二導体パターンとを備え、
前記誘電体の鉛直方向より見たときに、前記第一導体パターンの外形が前記第二導体パターンの外形に含まれており、前記第二導体パターンの外形が前記第三導体パターンの外形に含まれており、
前記第一導体パターン、前記第二導体パターン及び前記第三導体パターン間の前記短絡手段として、少なくとも一つのショートビアを前記第一導体パターンの前記角部に設けた
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項7】
請求項3において、
前記第一導体パターンまたは前記第二導体パターンの少なくともどちらかに、少なくとも一つの任意形状の切り欠きを入れた
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項8】
請求項2において、
前記端末が前記電磁波インターフェースに接続された受電回路を有し、
前記第一導体パターンは、少なくとも二つの前記角部を有する多角形であり、
前記第一導体パターンの対角線上に位置しない異なる前記角部にそれぞれ設けた複数のスルービアでの各受電電力を、前記端末において、前記各受電電力に任意の位相差をつけて合成する
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記端末が前記電磁波インターフェースに接続された受電回路を有し、
前記電磁波インターフェースの前記面状伝搬媒体と反対側の最上層として、回路実装用導体が形成され、
前記第一導体パターンと前記回路実装用導体とが前記スルービアを介して接続され、
前記電磁波インターフェースにより前記面状伝搬媒体から受け取った電力が、前記スルービアにより回路実装用導体上に配置された前記受電回路に送られる
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記誘電体板の端面もしくは内部に、電磁波をシールドするシールド導体もしくは電波吸収体を配置した
ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
【請求項11】
平面状の誘電体板と、該誘電体板の一部を挟んで平行に設けられた複数の平面状の導体パターンとを備え、電力もしくは情報として電磁波を端末に入出力する電磁波インターフェースであって、
前記複数の導体パターンは、前記面状伝搬媒体側に配置された第一導体パターンと、該第一導体パターンよりも前記端末側に配置された第二導体パターンとを含み、
前記第一導体パターンは、少なくとも一つの角部を有し、
前記第一導体パターンと前記端末との間に設けられた少なくとも一つの接続と、
前記第一導体パターンの前記角部に設けられ、前記複数の導体パターン間を電気的に短絡する、少なくとも一つの短絡手段とを備えた
ことを特徴とする電磁波インターフェース。
【請求項12】
請求項11において、
前記第一導体パターン及び前記第二導体パターンの平面形状が、共に矩形であり、
前記誘電体の鉛直方向より見たときに、前記第一導体パターンの外形が前記第二導体パターンの外形に含まれている
ことを特徴とする電磁波インターフェース。
【請求項13】
請求項11において、
前記電磁波インターフェースは、前記誘電体板の一部を挟んで、前記電体板の一部を挟んで、前記第二導体パターンよりも前記端末側に配置された第三導体パターンを備え、
前記誘電体の鉛直方向より見たときに、前記第一導体パターンの外形が前記第二導体パターンの外形に含まれており、前記第二導体パターンの外形が前記第三導体パターンの外形に含まれており、
前記第一導体パターン、前記第二導体パターン及び前記第三導体パターン間の前記短絡手段として、少なくとも一つのショートビアを前記第一導体パターンの前記角部に設けた
ことを特徴とする電磁波インターフェース。
【請求項14】
請求項11において、
前記第一導体パターンと前記端末との接続手段として少なくとも一つのスルービアを設け、
前記複数の導体パターン間の短絡手段として、少なくとも一つのショートビアを前記第一導体パターンの前記角部に設けた
前記ショートビアを設けた前記第一導体パターンの角部を含む対角線上に、前記スルービアを配置した
ことを特徴とする電磁波インターフェース。
【請求項15】
請求項11において、
前記第一導体パターンは、少なくとも二つの前記角部を有する多角形であり、
前記第一導体パターンの対角線上に位置しない異なる前記角部にそれぞれ設けた複数のスルービアでの各受電電力を、前記端末において、前記各受電電力に任意の位相差をつけて合成する
ことを特徴とする電磁波インターフェース。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2013−21541(P2013−21541A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153876(P2011−153876)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】