電算室の空調システム
【課題】 本発明の目的は、空調機の冷却効率を向上させることが可能な電算室の空調システムを提供することにある。
【解決手段】 本発明の電算室の空調システムは、電子機器と、電子機器からの排気を冷却する空調機と、排気の気流を空調機へと導く第1のガイドとを備える。第1のガイドは、空調機側が高くなるような勾配を有し、空調機および電子機器よりも高い位置に配置されていることを特徴とする。
【解決手段】 本発明の電算室の空調システムは、電子機器と、電子機器からの排気を冷却する空調機と、排気の気流を空調機へと導く第1のガイドとを備える。第1のガイドは、空調機側が高くなるような勾配を有し、空調機および電子機器よりも高い位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電算室の空調システムに関し、特に、空調機の冷却効率を向上させることが可能な電算室の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、電算室における吸気および排気を分離することで空調機の冷却効率を向上させる技術が知られている。図12に関連技術における電算室1200の断面図を示す。
【0003】
電算室1200には、空調機12−1と4台のラック12−2〜5とフロアタイル12−6とが設置されている。ラック12−2〜5の中には、図示しないが、サーバが格納されている。空調機12−1はサーバからの暖かい排気(暖気)を冷却する機能を備える。矢印は気流を示す。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0004】
4台のラック12−2〜5は、排気面同士もしくは吸気面同士が向かい合わせになるように設置されている。具体的には、ラック12−2の排気面とラック12−3の排気面とが向かい合わせになっている。ラック12−3の吸気面とラック12−4の吸気面とが向かい合わせになっている。ラック12−4の排気面とラック12−5の排気面とが向かい合わせになっている。
【0005】
よって、空調機12−1とラック12−2との間、ラック12−3とラック12−4との間、および、ラック12−5の右側には冷気が集まる。一方、ラック12−2とラック12−3との間、ラック12−4とラック12−5との間には暖気が集まる。そして、暖気は上昇して天井伝いに空調機12−1の吸気口へ送られ、空調機12−1で冷却される。そして、床下伝いにフロアタイル12−6まで送られる。
【0006】
フロアタイル12−6は、ラック12−2〜5の吸気面が向かい合わせになっているエリアの床に設置される。具体的には、空調機12−1およびラック12−2の間、ラック12−3およびラック12−4の間、および、ラック12−5の右側の床に設置される。フロアタイル12−6からは、空調機12−1で冷却された冷気が排出される。
【0007】
よって、本関連技術では、ホットアイルとコールドアイルが交互に形成され、フロアタイル12−6から供給される冷気はラックから排気された暖気と混ざることなくラック内のサーバへ供給される。なお、ホットアイルとは暖気の通り道のことであり、コールドアイルとは冷気の通り道のことである。
【0008】
しかしながら、ラックの発熱密度の上昇により、ラックからの暖かい排気(暖気)が空調機へ送られる途中で、冷気と混合してしまう場合がある。この場合、空調機よる冷却効率が落ちてしまうという問題がある。
【0009】
これに対し、特許文献1は、床に対して平行にダクトを天井に設置し、ラックから吹き上げられる排熱をダクトを介して空調機まで送る技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−51475
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ダクトが床に対して平行に設置されている場合には、ラックからの排気(暖気)が空調機の吸気口にスムーズに戻ることができないという問題がある。特に、空調機から離れたラックであり、かつ、サーバの発熱量が多い場合には、ラックからの暖かい排気(暖気)がラックの前面に回りこみ、床下からの冷気と混合することで、熱たまりが発生してしまう場合がある。すなわち、ダクトからの排熱を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができず、空調機の冷却効率が低下してしまう。
【0012】
本発明の目的は、空調機の冷却効率を向上させることが可能な電算室の空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の電算室の空調システムは、電子機器と、電子機器からの排気を冷却する空調機と、排気の気流を空調機へと導く第1のガイドとを備え、第1のガイドは、空調機側が高くなるような勾配を有し、空調機および電子機器よりも高い位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、サーバからの排気(暖気)を効率的に空調機へ送り込むことが可能となり、その結果、空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態における電算室100の断面図である。
【図2】電算室100における気流を示す図である。
【図3】電算室のシュミレーションモデルの斜視図である。
【図4】第1の実施形態の変形例における電算室400の断面図である。
【図5】電算室400における気流を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における電算室600の断面図である。
【図7】電算室600における気流を示す図である。
【図8】第2の実施形態の変形例における電算室800の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における電算室900の断面図である。
【図10】電算室900における気流を示す図である。
【図11】第3の実施形態の変形例における電算室1100の断面図である。
【図12】関連技術における電算室1200の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における電算室100の断面図である。
【0018】
電算室100には、2台の空調機1−0、1−1と8台のラック1−2〜9とフロアタイル1−10と6枚の勾配を有する吊り天井1−11〜16が設置されている。ラック1−2〜9の中には、図示しないが、サーバが格納されている。空調機1−1はサーバからの暖かい排気(暖気)を冷却する機能を備え、電算室の両端に設置されている。
【0019】
8台のラック1−2〜9は、排気面同士もしくは吸気面同士が向かい合わせになるように設置されている。具体的には、ラック1−2の排気面とラック1−3の排気面とが向かい合わせになっている。ラック1−3の吸気面とラック1−4の吸気面とが向かい合わせになっている。ラック1−4の排気面とラック1−5の排気面とが向かい合わせになっている。ラック1−5の吸気面とラック1−6の吸気面とが向かい合わせになっている。ラック1−6の排気面とラック1−7の排気面とが向かい合わせになっている。ラック1−7の吸気面とラック1−8の吸気面とが向かい合わせになっている。ラック1−8の排気面とラック1−9の排気面とが向かい合わせになっている。なお、図1に示されたように、ラック1−2〜9の間には、排気および吸気のための空間が設けられている。
【0020】
フロアタイル1−10は、ラックの吸気面が向かい合わせになっているエリア、ラック1−2の吸気面のあるエリア(空調機1−1とラック1−2との間)、および、ラック1−9の吸気面のあるエリア(空調機1−0とラック1−9との間)の床に設置されている。フロアタイル1−10は空調機1−0、1−1で冷やされた冷気を排出する。空調機1−0、1−1で冷やされた冷気は床下伝いにフロアタイル1−10に送られる。
【0021】
ラックの排気面同士が向かい合わせになるエリアは暖気が集まるエリアである。なぜなら、ラック内のサーバの排気には排熱が含まれるからである。一方、吸気面同士が向かい合わせになるエリアは冷気が集まるエリアである。なぜなら、空調機1−0、1−1で冷却された冷気がフロアタイル1−10から排出され、ラックは吸気面からその冷気を吸気するからである。
【0022】
図2に、気流の流れを示す。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0023】
ラック1−2〜5内のサーバからの暖かい排気(暖気)は上昇し、吊り天井1−11〜13に導かれながら天井伝いに空調機1−1の吸気口へ送られ、空調機1−1で冷却される。また、ラック1−6〜9内のサーバからの暖かい排気(暖気)は上昇し、吊り天井1−14〜16に導かれながら天井伝いに空調機1−0の吸気口へ送られ、空調機1−0で冷却される。そして、電算機1−0、1−1で冷却された冷気は、床伝いにフロアタイル1−10まで送られる。
【0024】
吊り天井1−11〜16は、図1および図2に示されるように、天井に対して勾配をつけて設置される。勾配は、距離的に空調機1−0に近い吊り天井1−14〜16については、空調機1−0側が高くなるようにする。また、距離的に空調機1−1に近い吊り天井1−11〜13については、空調機1−1側が高くなるようにする。なお、吊り天井1−11〜16の高さの最高値と天井との間には空間があるように吊り天井1−11〜16を設置する。なぜなら、図2に示されたように、暖気がその空間を通って空調機1−0、1−1に送られるからである。
【0025】
なお、吊り天井1―11〜16は、空調機1−0、1−1に近づくほど勾配を小さくし、吊り天井1−11〜16と天井との間の空間を大きくするような構成にしても良い。なぜなら、空調機1−0、1−1に近づくほど、暖気の量が増えるためである。具体的には、吊り天井1−11の勾配は吊り天井1−12の勾配よりも小さく、天井との間の空間もより大きくなっている。そして、吊り天井1−12の勾配は吊り天井1−13の勾配よりも小さく、天井との間の空間もより大きくなっている。
【0026】
ラック1−2〜9内のサーバから排出された暖気は、吊り天井の勾配に沿って斜めに上昇し、空調機1−0、1−1の吸気口に導かれる。よって、フロアタイル1−10からの冷気とラック1−2〜9内のサーバからの暖気とが混合しにくくなり、熱たまりの発生を防ぐことができる。
【0027】
なお、本実施形態の吊り天井の枚数は6枚としているが、これに限定されるものではない。また、吊り天井は部屋の両端に達するようにしても良いし、熱たまりのある一部にのみ設置するようにしても良い。また吊り天井の角度は必要に応じて変更することができる。
【0028】
また、本実施形態では、吊り天井を用いているが、これに限定されるものではない。吊り天井はサーバからの暖かい排気(暖気)を空調機まで効率的に送り込むガイドの一例であり、同様の機能を有するものであれば何でも良い。例えば、吊り天井の代わりにシート等を用いても良い。また、天井の形状が空調機の側が高くなるような勾配をもつ構成でも良い。
【0029】
また、本実施形態では、空調機1−0、1−1で冷却された冷気の排出口としてフロアタイル1−10を使用しているが、これに限定されるものではない。空調機1−0〜1で冷却された冷気がラックの吸気口で吸い込まれる構成であれば何でも良い。
【0030】
図3に、電算室のシュミレーションモデルの斜視図を示す。
【0031】
電算室は、空調機1と3つのラック2と吊り天井3とフロアタイル4とを備える。左側のラック2と真ん中のラック2との間がコールドアイル、真ん中のラック2と右側のラック2との間がホットアイルとなっている。
【0032】
吊り天井3は、複数枚設置され、電算室の中央から隅にある空調機1に向かって高くなるような勾配を有する。
【0033】
ホットアイルを形成している暖気は、吊り天井3に沿って上昇し、空調機へ送られる。そして、空調機1が暖気を冷却する。
【0034】
このように、本発明の本実施形態では、電算室の天井に空調機側が高くなるような勾配を有する吊り天井を備えるため、ラックからの暖かい排気(暖気)が吊り天井に沿って対流を起こし、その暖気を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができる。よって、空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。また、本実施形態では、複数枚の板で気流を挟むことにより、ガイドとしての性能を落とすことなく、ダクトに比べて手軽に吊り天井を設置することができる。さらに、吊り天井は、天井から板を吊るすといったシンプルな構成のため、サーバなどの電子機器の移動に対応させて容易に位置変更できるという効果も有する。
【0035】
(第1の実施形態の変形例)
次に第1の実施形態の変形例について説明する。
【0036】
図4は、本変形例の電算室400の断面図を示す図である。
【0037】
電算室400は、空調機4−1とサーバが格納されたラック4−2と吊り天井4−3とを備える。吊り天井4−2は空調機4−1の方が高くなるような勾配を有している。そして、吊り天井4−2は、空調機4−1とラック4−2との間の領域の上空を含むように、電算機4−1およびラック4−2よりも高い位置に配置されている。なお、実線の矢印は暖気の気流を示し、点線の矢印は冷気の気流を示す。
【0038】
図5は、本変形例における電算室400の気流を示す図である。サーバからの暖かい排気(暖気)は上昇し、吊り天井に導かれて、空調機4−1に送られる。そして、空調機4−1が暖気を冷却する。
【0039】
本変形例においても、第1の実施形態と同様、ラックからの暖かい排気(暖気)が吊り天井に沿って対流を起こし、その暖気を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができるため、空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0041】
図6に本実施形態における電算室600の断面図を示す。
【0042】
電算室600は、空調機1−1とサーバが格納された8台のラック1−2〜9とダクト6−1とフロアタイル1−10とから構成される。空調機1−1とラック1−2〜9とフロアタイル1−10は第1の実施形態と同じであるので詳細な説明は省略する。
【0043】
ダクト6−1は、排気グリル6−2を備えている。ダクト6−1は、ラック1−2〜9からの排気(暖気)を空調機1−1の吸気口に効率的に戻すために、空調機1−1側が高くなるような勾配を有する。
【0044】
図7は、本実施形態における気流の状態を示す。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0045】
本実施形態では、ダクト6−1に勾配をつけたので、排気グリル6−2からダクト6−1に入った暖気はダクト6−1に沿って上昇し、空調機1−1に送られる。そして、空調機1−1で冷却された冷気は、フロアタイル1−10を介してラックの吸気口の近くに排出される。
【0046】
このように、本発明の本実施形態では、空調機側が高くなるような勾配を有するダクトを備えるため、ラックからの暖かい排気(暖気)がダクトに沿って対流を起こし、その暖気を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができる。さらに、本実施形態では、一度ダクト内に入った暖気はダクト外の気流とは遮断されるため、ダクト内に入った暖気と床下からの冷気との混合を防ぐことができる。その結果、本実施形態では、第1の実施形態と比べてさらに空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。
【0047】
(第2の実施形態の変形例)
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。
【0048】
図8は、本変形例の電算室800を示す断面図である。
【0049】
電算室800は、空調機8−1とサーバが格納されたラック8−2とダクト8−3とを備える。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0050】
ダクト8−3は、第2の実施形態と同様、空調機8−1側が高くなるような勾配を有する。サーバ8−2からの排気(暖気)は、図8に示されたように、上昇してダクト8−3の中に入り、そして、ダクト8−3に沿って上昇し、空調機8−1に送られる。
【0051】
本変形例は、第2の実施形態と同様の効果を有する。すなわち、空調機側が高くなるような勾配を有するダクトを備えるため、ラックからの暖かい排気(暖気)がダクトに沿って対流を起こし、その暖気を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができる。さらに、本変形例では、一度ダクト内に入った暖気はダクト外の気流とは遮断されるため、ダクト内に入った暖気と床下からの冷気との混合を防ぐことができる。その結果、本変形例では、第1の実施形態と比べてさらに空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。
【0052】
なお、第2の実施形態およびその変形例では、暖気を空調機へ効率的に送るための導管の一例としてダクトを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、同様の機能を有するものであれば何でも良い。
【0053】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について説明する。
【0054】
図9に、本実施形態における電算室900の断面図を示す。
【0055】
電算室900は、空調機1−1とサーバが格納されたラック1−2〜9と4枚の吊り天井9−1〜4とフロアタイル1−10とを備える。空調機1−1とラック1−2〜9とフロアタイル1−10は第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0056】
吊り天井9−1〜4は、図9のように、空調機1−1側が高くなるような勾配を有する。また、吊り天井9−1〜4は、空調機1−1に近い吊り天井ほど勾配が小さくなるように配置されている。また、吊り天井9−1〜4は、空調機1−1に近くなるほど、吊り天井の高さの最高点と天井との間の空間が大きくなるように配置されている。
【0057】
本実施形態では、分離板9−5を介して、ラック1−2〜9の存在するエリア(以下、第1のエリアという)と吊り天井9−1〜4および空調機の存在するエリア(以下、第2のエリア)とに分離される。分離板9−5は、ホットアイルの位置に排気グリル9−2を備える。分離板9−5で第1のエリアと第2のエリアとが分離されているため、一度第2のエリアに入った暖気が空調機1−1で冷却されることなく第1のエリアに戻ることはない。よって、第2のエリアに入ったサーバからの排気(暖気)とフロアタイルから排出される冷気との混合を確実に防ぐことができる。
【0058】
図10に本実施形態における気流の状態を示す。
【0059】
サーバからの排気(暖気)は排気グリル9−2を介して第2のエリアに入り、吊り天井に沿って上昇し、空調機1−1の吸気口に送られる。そして、空調機1−1で冷却された冷気がフロアタイル1−10から排出される。
【0060】
なお、本実施形態では、第1のエリアと第2のエリアを分離するのは分離板11−3としているが、これに限定されるものではなく、第1のエリアと第2のエリアを分離する機能を有するものであれば何でも良い。
【0061】
本実施形態では、空調機1−1側が高くなるような勾配を有する吊り天井9−1〜4を備えることによって、サーバからの排気(暖気)の対流を起こし空調機1−1の吸気口へスムーズに暖気を戻すという顕著な効果を有する。さらに、本実施形態では、ラック1−2〜9の存在するエリア(第1のエリア)と吊り天井9−1〜4および空調機の存在するエリア(第2のエリア)とを分離しているため、第2のエリアに入ったサーバからの排気(暖気)と冷気との混合を確実に防ぐことができる。よって、本実施形態では、第1の実施形態と比べてさらに空調機の冷却効率を向上させることができる。
【0062】
(第3の実施形態の変形例)
次に、第3の実施形態の変形例について説明する。
【0063】
図11は、第3の実施形態の変形例における電算室1100の断面図を示す。第1の実施形態の変形例の電算室400の構成に、分離板11−4が追加されている。分離板11−4が追加された以外は第1の実施形態の変形例と同様であるため、詳細な説明は省略する。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0064】
本変形例では、分離板11−4が、ラック11−2が存在するエリア(第1のエリア)と空調機11−1および吊り天井11−3が存在するエリア(第2のエリア)とを分離している。よって、第2のエリアに入ったサーバからの排気(暖気)とフロアタイルから排出される冷気との混合を確実に防ぐことができる。
【0065】
本変形例は、第3の実施形態と同様の効果を有する。すなわち、空調機11−1側が高くなるような勾配を有する吊り天井11−3を備えることによって、サーバからの排気(暖気)の対流を起こし空調機11−1の吸気口へスムーズに暖気を戻すという顕著な効果を有する。さらに、本実施形態では、ラック11−2の存在するエリア(第1のエリア)と吊り天井11−3および空調機11−1の存在するエリア(第2のエリア)とを分離しているため、第2のエリアに入ったサーバからの排気(暖気)と冷気との混合を確実に防ぐことができる。よって、本実施形態では、第1の実施形態と比べてさらに空調機の冷却効率を向上させることができる。
【0066】
なお、上述した実施形態では、ラック内のサーバから暖気が排出されているが、これに限定されるものではなく、ラックを有さない電子機器から暖気が排出されている場合も含まれる。
【0067】
また、上述した実施形態では、サーバが格納されたラックと空調機とが平行に配置されているが、ラックと空調機との配置はこれに限定されるものではない。図3のように、ラック同士が平行に配置されたラック群と空調機とが垂直になるような構成でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、電算室の空調システムに関し、特に、空調機の冷却効率を向上させることが可能な電算室の空調システムに関する。
【符号の説明】
【0069】
100 電算室
1−0 空調機
1−1 空調機
1−2〜9 ラック
1−10 フロアタイル
1−11〜16 吊り天井
1 空調機
2 ラック
3 吊り天井
4 フロアタイル
400 電算室
4−1 空調機
4−2 ラック
4−3 吊り天井
600 電算室
6−1 ダクト
6−2 排気グリル
800 電算室
8−1 空調機
8−2 ラック
8−3 ダクト
900 電算室
9−1〜4 吊り天井
9−2 排気グリル
9−5 分離版
1100 電算室
11−1 空調機
11−2 ラック
11−3 吊り天井
11−4 分離板
1200 電算室
12−1 空調機
12−2〜5 ラック
12−6 フロアタイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、電算室の空調システムに関し、特に、空調機の冷却効率を向上させることが可能な電算室の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、電算室における吸気および排気を分離することで空調機の冷却効率を向上させる技術が知られている。図12に関連技術における電算室1200の断面図を示す。
【0003】
電算室1200には、空調機12−1と4台のラック12−2〜5とフロアタイル12−6とが設置されている。ラック12−2〜5の中には、図示しないが、サーバが格納されている。空調機12−1はサーバからの暖かい排気(暖気)を冷却する機能を備える。矢印は気流を示す。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0004】
4台のラック12−2〜5は、排気面同士もしくは吸気面同士が向かい合わせになるように設置されている。具体的には、ラック12−2の排気面とラック12−3の排気面とが向かい合わせになっている。ラック12−3の吸気面とラック12−4の吸気面とが向かい合わせになっている。ラック12−4の排気面とラック12−5の排気面とが向かい合わせになっている。
【0005】
よって、空調機12−1とラック12−2との間、ラック12−3とラック12−4との間、および、ラック12−5の右側には冷気が集まる。一方、ラック12−2とラック12−3との間、ラック12−4とラック12−5との間には暖気が集まる。そして、暖気は上昇して天井伝いに空調機12−1の吸気口へ送られ、空調機12−1で冷却される。そして、床下伝いにフロアタイル12−6まで送られる。
【0006】
フロアタイル12−6は、ラック12−2〜5の吸気面が向かい合わせになっているエリアの床に設置される。具体的には、空調機12−1およびラック12−2の間、ラック12−3およびラック12−4の間、および、ラック12−5の右側の床に設置される。フロアタイル12−6からは、空調機12−1で冷却された冷気が排出される。
【0007】
よって、本関連技術では、ホットアイルとコールドアイルが交互に形成され、フロアタイル12−6から供給される冷気はラックから排気された暖気と混ざることなくラック内のサーバへ供給される。なお、ホットアイルとは暖気の通り道のことであり、コールドアイルとは冷気の通り道のことである。
【0008】
しかしながら、ラックの発熱密度の上昇により、ラックからの暖かい排気(暖気)が空調機へ送られる途中で、冷気と混合してしまう場合がある。この場合、空調機よる冷却効率が落ちてしまうという問題がある。
【0009】
これに対し、特許文献1は、床に対して平行にダクトを天井に設置し、ラックから吹き上げられる排熱をダクトを介して空調機まで送る技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−51475
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ダクトが床に対して平行に設置されている場合には、ラックからの排気(暖気)が空調機の吸気口にスムーズに戻ることができないという問題がある。特に、空調機から離れたラックであり、かつ、サーバの発熱量が多い場合には、ラックからの暖かい排気(暖気)がラックの前面に回りこみ、床下からの冷気と混合することで、熱たまりが発生してしまう場合がある。すなわち、ダクトからの排熱を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができず、空調機の冷却効率が低下してしまう。
【0012】
本発明の目的は、空調機の冷却効率を向上させることが可能な電算室の空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の電算室の空調システムは、電子機器と、電子機器からの排気を冷却する空調機と、排気の気流を空調機へと導く第1のガイドとを備え、第1のガイドは、空調機側が高くなるような勾配を有し、空調機および電子機器よりも高い位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、サーバからの排気(暖気)を効率的に空調機へ送り込むことが可能となり、その結果、空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態における電算室100の断面図である。
【図2】電算室100における気流を示す図である。
【図3】電算室のシュミレーションモデルの斜視図である。
【図4】第1の実施形態の変形例における電算室400の断面図である。
【図5】電算室400における気流を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における電算室600の断面図である。
【図7】電算室600における気流を示す図である。
【図8】第2の実施形態の変形例における電算室800の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における電算室900の断面図である。
【図10】電算室900における気流を示す図である。
【図11】第3の実施形態の変形例における電算室1100の断面図である。
【図12】関連技術における電算室1200の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における電算室100の断面図である。
【0018】
電算室100には、2台の空調機1−0、1−1と8台のラック1−2〜9とフロアタイル1−10と6枚の勾配を有する吊り天井1−11〜16が設置されている。ラック1−2〜9の中には、図示しないが、サーバが格納されている。空調機1−1はサーバからの暖かい排気(暖気)を冷却する機能を備え、電算室の両端に設置されている。
【0019】
8台のラック1−2〜9は、排気面同士もしくは吸気面同士が向かい合わせになるように設置されている。具体的には、ラック1−2の排気面とラック1−3の排気面とが向かい合わせになっている。ラック1−3の吸気面とラック1−4の吸気面とが向かい合わせになっている。ラック1−4の排気面とラック1−5の排気面とが向かい合わせになっている。ラック1−5の吸気面とラック1−6の吸気面とが向かい合わせになっている。ラック1−6の排気面とラック1−7の排気面とが向かい合わせになっている。ラック1−7の吸気面とラック1−8の吸気面とが向かい合わせになっている。ラック1−8の排気面とラック1−9の排気面とが向かい合わせになっている。なお、図1に示されたように、ラック1−2〜9の間には、排気および吸気のための空間が設けられている。
【0020】
フロアタイル1−10は、ラックの吸気面が向かい合わせになっているエリア、ラック1−2の吸気面のあるエリア(空調機1−1とラック1−2との間)、および、ラック1−9の吸気面のあるエリア(空調機1−0とラック1−9との間)の床に設置されている。フロアタイル1−10は空調機1−0、1−1で冷やされた冷気を排出する。空調機1−0、1−1で冷やされた冷気は床下伝いにフロアタイル1−10に送られる。
【0021】
ラックの排気面同士が向かい合わせになるエリアは暖気が集まるエリアである。なぜなら、ラック内のサーバの排気には排熱が含まれるからである。一方、吸気面同士が向かい合わせになるエリアは冷気が集まるエリアである。なぜなら、空調機1−0、1−1で冷却された冷気がフロアタイル1−10から排出され、ラックは吸気面からその冷気を吸気するからである。
【0022】
図2に、気流の流れを示す。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0023】
ラック1−2〜5内のサーバからの暖かい排気(暖気)は上昇し、吊り天井1−11〜13に導かれながら天井伝いに空調機1−1の吸気口へ送られ、空調機1−1で冷却される。また、ラック1−6〜9内のサーバからの暖かい排気(暖気)は上昇し、吊り天井1−14〜16に導かれながら天井伝いに空調機1−0の吸気口へ送られ、空調機1−0で冷却される。そして、電算機1−0、1−1で冷却された冷気は、床伝いにフロアタイル1−10まで送られる。
【0024】
吊り天井1−11〜16は、図1および図2に示されるように、天井に対して勾配をつけて設置される。勾配は、距離的に空調機1−0に近い吊り天井1−14〜16については、空調機1−0側が高くなるようにする。また、距離的に空調機1−1に近い吊り天井1−11〜13については、空調機1−1側が高くなるようにする。なお、吊り天井1−11〜16の高さの最高値と天井との間には空間があるように吊り天井1−11〜16を設置する。なぜなら、図2に示されたように、暖気がその空間を通って空調機1−0、1−1に送られるからである。
【0025】
なお、吊り天井1―11〜16は、空調機1−0、1−1に近づくほど勾配を小さくし、吊り天井1−11〜16と天井との間の空間を大きくするような構成にしても良い。なぜなら、空調機1−0、1−1に近づくほど、暖気の量が増えるためである。具体的には、吊り天井1−11の勾配は吊り天井1−12の勾配よりも小さく、天井との間の空間もより大きくなっている。そして、吊り天井1−12の勾配は吊り天井1−13の勾配よりも小さく、天井との間の空間もより大きくなっている。
【0026】
ラック1−2〜9内のサーバから排出された暖気は、吊り天井の勾配に沿って斜めに上昇し、空調機1−0、1−1の吸気口に導かれる。よって、フロアタイル1−10からの冷気とラック1−2〜9内のサーバからの暖気とが混合しにくくなり、熱たまりの発生を防ぐことができる。
【0027】
なお、本実施形態の吊り天井の枚数は6枚としているが、これに限定されるものではない。また、吊り天井は部屋の両端に達するようにしても良いし、熱たまりのある一部にのみ設置するようにしても良い。また吊り天井の角度は必要に応じて変更することができる。
【0028】
また、本実施形態では、吊り天井を用いているが、これに限定されるものではない。吊り天井はサーバからの暖かい排気(暖気)を空調機まで効率的に送り込むガイドの一例であり、同様の機能を有するものであれば何でも良い。例えば、吊り天井の代わりにシート等を用いても良い。また、天井の形状が空調機の側が高くなるような勾配をもつ構成でも良い。
【0029】
また、本実施形態では、空調機1−0、1−1で冷却された冷気の排出口としてフロアタイル1−10を使用しているが、これに限定されるものではない。空調機1−0〜1で冷却された冷気がラックの吸気口で吸い込まれる構成であれば何でも良い。
【0030】
図3に、電算室のシュミレーションモデルの斜視図を示す。
【0031】
電算室は、空調機1と3つのラック2と吊り天井3とフロアタイル4とを備える。左側のラック2と真ん中のラック2との間がコールドアイル、真ん中のラック2と右側のラック2との間がホットアイルとなっている。
【0032】
吊り天井3は、複数枚設置され、電算室の中央から隅にある空調機1に向かって高くなるような勾配を有する。
【0033】
ホットアイルを形成している暖気は、吊り天井3に沿って上昇し、空調機へ送られる。そして、空調機1が暖気を冷却する。
【0034】
このように、本発明の本実施形態では、電算室の天井に空調機側が高くなるような勾配を有する吊り天井を備えるため、ラックからの暖かい排気(暖気)が吊り天井に沿って対流を起こし、その暖気を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができる。よって、空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。また、本実施形態では、複数枚の板で気流を挟むことにより、ガイドとしての性能を落とすことなく、ダクトに比べて手軽に吊り天井を設置することができる。さらに、吊り天井は、天井から板を吊るすといったシンプルな構成のため、サーバなどの電子機器の移動に対応させて容易に位置変更できるという効果も有する。
【0035】
(第1の実施形態の変形例)
次に第1の実施形態の変形例について説明する。
【0036】
図4は、本変形例の電算室400の断面図を示す図である。
【0037】
電算室400は、空調機4−1とサーバが格納されたラック4−2と吊り天井4−3とを備える。吊り天井4−2は空調機4−1の方が高くなるような勾配を有している。そして、吊り天井4−2は、空調機4−1とラック4−2との間の領域の上空を含むように、電算機4−1およびラック4−2よりも高い位置に配置されている。なお、実線の矢印は暖気の気流を示し、点線の矢印は冷気の気流を示す。
【0038】
図5は、本変形例における電算室400の気流を示す図である。サーバからの暖かい排気(暖気)は上昇し、吊り天井に導かれて、空調機4−1に送られる。そして、空調機4−1が暖気を冷却する。
【0039】
本変形例においても、第1の実施形態と同様、ラックからの暖かい排気(暖気)が吊り天井に沿って対流を起こし、その暖気を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができるため、空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0041】
図6に本実施形態における電算室600の断面図を示す。
【0042】
電算室600は、空調機1−1とサーバが格納された8台のラック1−2〜9とダクト6−1とフロアタイル1−10とから構成される。空調機1−1とラック1−2〜9とフロアタイル1−10は第1の実施形態と同じであるので詳細な説明は省略する。
【0043】
ダクト6−1は、排気グリル6−2を備えている。ダクト6−1は、ラック1−2〜9からの排気(暖気)を空調機1−1の吸気口に効率的に戻すために、空調機1−1側が高くなるような勾配を有する。
【0044】
図7は、本実施形態における気流の状態を示す。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0045】
本実施形態では、ダクト6−1に勾配をつけたので、排気グリル6−2からダクト6−1に入った暖気はダクト6−1に沿って上昇し、空調機1−1に送られる。そして、空調機1−1で冷却された冷気は、フロアタイル1−10を介してラックの吸気口の近くに排出される。
【0046】
このように、本発明の本実施形態では、空調機側が高くなるような勾配を有するダクトを備えるため、ラックからの暖かい排気(暖気)がダクトに沿って対流を起こし、その暖気を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができる。さらに、本実施形態では、一度ダクト内に入った暖気はダクト外の気流とは遮断されるため、ダクト内に入った暖気と床下からの冷気との混合を防ぐことができる。その結果、本実施形態では、第1の実施形態と比べてさらに空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。
【0047】
(第2の実施形態の変形例)
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。
【0048】
図8は、本変形例の電算室800を示す断面図である。
【0049】
電算室800は、空調機8−1とサーバが格納されたラック8−2とダクト8−3とを備える。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0050】
ダクト8−3は、第2の実施形態と同様、空調機8−1側が高くなるような勾配を有する。サーバ8−2からの排気(暖気)は、図8に示されたように、上昇してダクト8−3の中に入り、そして、ダクト8−3に沿って上昇し、空調機8−1に送られる。
【0051】
本変形例は、第2の実施形態と同様の効果を有する。すなわち、空調機側が高くなるような勾配を有するダクトを備えるため、ラックからの暖かい排気(暖気)がダクトに沿って対流を起こし、その暖気を空調機の吸気口にスムーズに戻すことができる。さらに、本変形例では、一度ダクト内に入った暖気はダクト外の気流とは遮断されるため、ダクト内に入った暖気と床下からの冷気との混合を防ぐことができる。その結果、本変形例では、第1の実施形態と比べてさらに空調機の冷却効率を向上させることができるという顕著な効果を有する。
【0052】
なお、第2の実施形態およびその変形例では、暖気を空調機へ効率的に送るための導管の一例としてダクトを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、同様の機能を有するものであれば何でも良い。
【0053】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について説明する。
【0054】
図9に、本実施形態における電算室900の断面図を示す。
【0055】
電算室900は、空調機1−1とサーバが格納されたラック1−2〜9と4枚の吊り天井9−1〜4とフロアタイル1−10とを備える。空調機1−1とラック1−2〜9とフロアタイル1−10は第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0056】
吊り天井9−1〜4は、図9のように、空調機1−1側が高くなるような勾配を有する。また、吊り天井9−1〜4は、空調機1−1に近い吊り天井ほど勾配が小さくなるように配置されている。また、吊り天井9−1〜4は、空調機1−1に近くなるほど、吊り天井の高さの最高点と天井との間の空間が大きくなるように配置されている。
【0057】
本実施形態では、分離板9−5を介して、ラック1−2〜9の存在するエリア(以下、第1のエリアという)と吊り天井9−1〜4および空調機の存在するエリア(以下、第2のエリア)とに分離される。分離板9−5は、ホットアイルの位置に排気グリル9−2を備える。分離板9−5で第1のエリアと第2のエリアとが分離されているため、一度第2のエリアに入った暖気が空調機1−1で冷却されることなく第1のエリアに戻ることはない。よって、第2のエリアに入ったサーバからの排気(暖気)とフロアタイルから排出される冷気との混合を確実に防ぐことができる。
【0058】
図10に本実施形態における気流の状態を示す。
【0059】
サーバからの排気(暖気)は排気グリル9−2を介して第2のエリアに入り、吊り天井に沿って上昇し、空調機1−1の吸気口に送られる。そして、空調機1−1で冷却された冷気がフロアタイル1−10から排出される。
【0060】
なお、本実施形態では、第1のエリアと第2のエリアを分離するのは分離板11−3としているが、これに限定されるものではなく、第1のエリアと第2のエリアを分離する機能を有するものであれば何でも良い。
【0061】
本実施形態では、空調機1−1側が高くなるような勾配を有する吊り天井9−1〜4を備えることによって、サーバからの排気(暖気)の対流を起こし空調機1−1の吸気口へスムーズに暖気を戻すという顕著な効果を有する。さらに、本実施形態では、ラック1−2〜9の存在するエリア(第1のエリア)と吊り天井9−1〜4および空調機の存在するエリア(第2のエリア)とを分離しているため、第2のエリアに入ったサーバからの排気(暖気)と冷気との混合を確実に防ぐことができる。よって、本実施形態では、第1の実施形態と比べてさらに空調機の冷却効率を向上させることができる。
【0062】
(第3の実施形態の変形例)
次に、第3の実施形態の変形例について説明する。
【0063】
図11は、第3の実施形態の変形例における電算室1100の断面図を示す。第1の実施形態の変形例の電算室400の構成に、分離板11−4が追加されている。分離板11−4が追加された以外は第1の実施形態の変形例と同様であるため、詳細な説明は省略する。実線の矢印は暖気の流れを示し、点線の矢印は冷気の流れを示す。
【0064】
本変形例では、分離板11−4が、ラック11−2が存在するエリア(第1のエリア)と空調機11−1および吊り天井11−3が存在するエリア(第2のエリア)とを分離している。よって、第2のエリアに入ったサーバからの排気(暖気)とフロアタイルから排出される冷気との混合を確実に防ぐことができる。
【0065】
本変形例は、第3の実施形態と同様の効果を有する。すなわち、空調機11−1側が高くなるような勾配を有する吊り天井11−3を備えることによって、サーバからの排気(暖気)の対流を起こし空調機11−1の吸気口へスムーズに暖気を戻すという顕著な効果を有する。さらに、本実施形態では、ラック11−2の存在するエリア(第1のエリア)と吊り天井11−3および空調機11−1の存在するエリア(第2のエリア)とを分離しているため、第2のエリアに入ったサーバからの排気(暖気)と冷気との混合を確実に防ぐことができる。よって、本実施形態では、第1の実施形態と比べてさらに空調機の冷却効率を向上させることができる。
【0066】
なお、上述した実施形態では、ラック内のサーバから暖気が排出されているが、これに限定されるものではなく、ラックを有さない電子機器から暖気が排出されている場合も含まれる。
【0067】
また、上述した実施形態では、サーバが格納されたラックと空調機とが平行に配置されているが、ラックと空調機との配置はこれに限定されるものではない。図3のように、ラック同士が平行に配置されたラック群と空調機とが垂直になるような構成でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、電算室の空調システムに関し、特に、空調機の冷却効率を向上させることが可能な電算室の空調システムに関する。
【符号の説明】
【0069】
100 電算室
1−0 空調機
1−1 空調機
1−2〜9 ラック
1−10 フロアタイル
1−11〜16 吊り天井
1 空調機
2 ラック
3 吊り天井
4 フロアタイル
400 電算室
4−1 空調機
4−2 ラック
4−3 吊り天井
600 電算室
6−1 ダクト
6−2 排気グリル
800 電算室
8−1 空調機
8−2 ラック
8−3 ダクト
900 電算室
9−1〜4 吊り天井
9−2 排気グリル
9−5 分離版
1100 電算室
11−1 空調機
11−2 ラック
11−3 吊り天井
11−4 分離板
1200 電算室
12−1 空調機
12−2〜5 ラック
12−6 フロアタイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と、
前記電子機器からの排気を冷却する空調機と、
前記排気の気流を前記空調機へと導く第1のガイドとを備え、
前記第1のガイドは、前記空調機側が高くなるような勾配を有し、前記空調機および前記電子機器よりも高い位置に配置されていることを特徴とする電算室の空調システム。
【請求項2】
前記第1のガイドは、前記空調機および前記電子機器の間の領域の上空を含む位置に配置されることを特徴とする請求項1記載の電算室の空調システム。
【請求項3】
前記排気の気流を前記空調機へと導く第2のガイドを備え、
前記第2のガイドは、前記空調機側が高くなるような勾配を有し、かつ、前記空調機および前記電子機器よりも高い位置に配置され、
前記第1および第2のガイドは、前記排気の気流を挟むように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電算室の空調システム。
【請求項4】
前記第1のガイドは、前記第2のガイドよりも前記空調機側に配置され、
前記第1のガイドの勾配は、前記第2のガイドの勾配よりも小さいことを特徴とする請求項3記載の電算室の空調システム。
【請求項5】
前記第1のガイドの空調機側の端の高さは、前記第2のガイドの空調機側の端の高さよりも低いことを特徴とする請求項4に記載の電算室の空調システム。
【請求項6】
前記第1のガイドは、天井から吊られた板であることを特徴とする請求項1に記載の電算室の空調システム。
【請求項7】
前記電子機器を含む第1のエリアと、前記空調機および前記第1のガイドを含む第2のエリアとは分離されていることを特徴とする請求項1記載の電算室の空調システム。
【請求項8】
前記ガイドは、前記空調機の吸気口に接続された導管であることを特徴とする請求項1記載の電算室の空調システム。
【請求項9】
複数の前記電子機器を備え、
前記複数の電子機器は、前記電子機器の排気口もしくは吸気口が向かい合うように配置されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電算室の空調システム。
【請求項10】
前記電子機器はサーバであり、前記サーバはラック内に格納されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の電算室の空調システム。
【請求項1】
電子機器と、
前記電子機器からの排気を冷却する空調機と、
前記排気の気流を前記空調機へと導く第1のガイドとを備え、
前記第1のガイドは、前記空調機側が高くなるような勾配を有し、前記空調機および前記電子機器よりも高い位置に配置されていることを特徴とする電算室の空調システム。
【請求項2】
前記第1のガイドは、前記空調機および前記電子機器の間の領域の上空を含む位置に配置されることを特徴とする請求項1記載の電算室の空調システム。
【請求項3】
前記排気の気流を前記空調機へと導く第2のガイドを備え、
前記第2のガイドは、前記空調機側が高くなるような勾配を有し、かつ、前記空調機および前記電子機器よりも高い位置に配置され、
前記第1および第2のガイドは、前記排気の気流を挟むように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電算室の空調システム。
【請求項4】
前記第1のガイドは、前記第2のガイドよりも前記空調機側に配置され、
前記第1のガイドの勾配は、前記第2のガイドの勾配よりも小さいことを特徴とする請求項3記載の電算室の空調システム。
【請求項5】
前記第1のガイドの空調機側の端の高さは、前記第2のガイドの空調機側の端の高さよりも低いことを特徴とする請求項4に記載の電算室の空調システム。
【請求項6】
前記第1のガイドは、天井から吊られた板であることを特徴とする請求項1に記載の電算室の空調システム。
【請求項7】
前記電子機器を含む第1のエリアと、前記空調機および前記第1のガイドを含む第2のエリアとは分離されていることを特徴とする請求項1記載の電算室の空調システム。
【請求項8】
前記ガイドは、前記空調機の吸気口に接続された導管であることを特徴とする請求項1記載の電算室の空調システム。
【請求項9】
複数の前記電子機器を備え、
前記複数の電子機器は、前記電子機器の排気口もしくは吸気口が向かい合うように配置されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電算室の空調システム。
【請求項10】
前記電子機器はサーバであり、前記サーバはラック内に格納されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の電算室の空調システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−76500(P2013−76500A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216134(P2011−216134)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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