説明

電線ジョイント部形成装置、及び、電線ジョイント部形成方法

【課題】自動化が可能で生産性に優れた電線ジョイント部形成装置を提供する。
【解決手段】電線ジョイント部形成装置10は、製造情報を取得するバーコード読取装置11と、前記製造情報に基づいて選択されて供給された複数の電線の導体部を互いに電気接続して接続部を形成する接続部形成ユニット13と、前記製造情報に基づいて選択された長尺状の絶縁性チューブ4を所定量送り出して所定の長さに切断するチューブ送り出し切断ユニット20と、切断された絶縁性チューブ4の一方の開口部を溶着して閉じかつ絶縁性チューブ4の他方の開口部と複数の電線の絶縁外皮とを溶着して電線ジョイント部を形成する溶着ユニット30と、複数の電線を移動させて接続部を絶縁性チューブ4の他方の開口部から当該絶縁性チューブ4内の所定の位置まで挿入する搬送ユニット15と、電線ジョイント部が形成された複数の電線を払い出す払い出しユニット16と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電線の端末の導体部が互いに電気接続された接続部が絶縁性チューブで被覆されてなる電線ジョイント部を形成する電線ジョイント部形成装置、及び、電線ジョイント部の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばワイヤハーネスの配索においては、複数の電線の絶縁外皮を剥ぎ取り、露出させた導体部を互いに電気接続して接続部を形成することが行われている。そして、このような接続部の箇所の絶縁性を確保するために絶縁材からなる絶縁性チューブが使用されている。
【0003】
この種の従来の絶縁性チューブとしては、図24ないし図26に示すものが特許文献1に開示されている。図24は従来の絶縁性チューブを示す平面図である。図25は図24に示された絶縁性チューブに複数の電線の接続部が挿入される様子を示す平面図である。図26は図24に示された絶縁性チューブに複数の電線の接続部が挿入され、これら絶縁性チューブと複数の電線とが粘着テープで固定された状態を示す平面図である。
【0004】
図24に示された絶縁性チューブ100は、一端部103が溶着処理によって密封され、他端部105が開口した円筒状のチューブ本体102と、チューブ本体102の他端部105から延びた舌片部104と、を有している。
【0005】
図25に示された複数の電線101は、周知の被覆電線であり、それぞれ、端末の絶縁外皮が剥ぎ取られることで導体部が露出しており、この導体部が互いに電気接続されて接続部110が形成されている。
【0006】
上記絶縁性チューブ100を用いて上記複数の電線101の接続部110を被覆し、上記「電線ジョイント部106」を形成するには、図25に示すように、複数の電線101の接続部110を、チューブ本体102の他端部105からチューブ本体102内の所定の位置まで挿入し、図26に示すように、舌片部104を複数の電線101と一体に粘着テープ111で拘束する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−86169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の絶縁性チューブ100を用いた電線ジョイント部106の形成方法には、以下に示す問題があった。即ち、舌片部104を複数の電線101と一体に粘着テープ111で拘束する作業は、機械による自動化が難しく、手作業で行われていた。このため、生産性が低いという問題があった。
【0009】
また、複数の電線101の接続部110をチューブ本体102内の所定の位置まで挿入する作業は手作業で行われていたが、この作業は、作業者が接続部110のチューブ本体102内への挿入量を目視確認しながらの作業であるために、注意力が必要な作業であり、生産性が低いという問題があった。
【0010】
また、上述した生産性を向上させる方法として、舌片部104を複数の電線101と一体に粘着テープ111で拘束する代わりに、舌片部104と複数の電線101の絶縁外皮とを機械によって溶着する、または、チューブ本体102の他端部105と複数の電線101の絶縁外皮とを機械によって溶着することが考えられるが、このように機械によって溶着された絶縁性チューブ100が複数の電線101から外れてしまった場合、再度これらを溶着することは困難であるという問題があった。また、出荷した製品に溶着が不十分な不良品が混じってしまう恐れがあるという問題があった。このため、絶縁性チューブ100と複数の電線101とを機械によって溶着するにあたっては、絶縁性チューブ100と複数の電線101との十分な固着力が保証されていることが必要であった。
【0011】
したがって、本発明は、自動化が可能で生産性に優れた電線ジョイント部形成装置、及び、自動化が可能で生産性に優れた電線ジョイント部の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、複数の電線の端末の導体部が互いに電気接続された接続部が絶縁性チューブで被覆されてなる電線ジョイント部を形成する電線ジョイント部形成装置であって、前記電線及び前記絶縁性チューブの品番が記された製造情報を取得する製造情報取得手段と、前記製造情報に基づいて選択されて供給された複数の電線を固定し、これら電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成する接続部形成手段と、前記製造情報に基づいて選択されて供給された長尺状の絶縁性チューブを所定量送り出して所定の長さに切断するチューブ送り出し切断手段と、切断された前記絶縁性チューブの一方の開口部を溶着して閉じる第1溶着手段と、前記複数の電線を移動させて前記接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部から当該絶縁性チューブ内の所定の位置まで挿入する挿入手段と、前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着して前記電線ジョイント部を形成する第2溶着手段と、前記電線ジョイント部が形成された複数の電線を払い出す払い出し手段と、を有していることを特徴とする電線ジョイント部形成装置である。
【0013】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記製造情報に前記電線ジョイント部を形成する製造個数が記されており、前記接続部形成手段と前記チューブ送り出し切断手段と前記第1溶着手段と前記挿入手段と前記第2溶着手段と前記払い出し手段とを前記製造個数に基づいて繰り返し稼働させる制御手段を有していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載された発明において、前記第1溶着手段によって前記一方の開口部が溶着された状態の前記絶縁性チューブの他方の開口部と相対する位置に配置され、かつ、前記他方の開口部から離れた側に位置付けられた一端部から前記他方の開口部と相対する他端部に向かうにしたがって内径が徐々に小さくなる筒状に形成され、そして、前記接続部形成手段によって形成された前記接続部が前記筒状の内側を前記一端部側から前記他端部側に通されることで当該接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部に向かって案内する挿入ガイドを有していることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に記載された発明は、請求項1ないし請求項3のうち1項に記載された発明において、前記第2溶着手段によって溶着された前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所に所定時間エアを吹き付けるエア噴射手段と、前記エア噴射手段によるエアの吹き付けが終了した後に前記複数の電線と前記絶縁性チューブとをそれぞれ把持する一対のチャックと、前記複数の電線と前記絶縁性チューブとを把持した状態の前記一対のチャックのうち少なくとも一方にこれら一対のチャックが離れる方向の所定の荷重を加える荷重付与部と、を有する引張手段と、を有していることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載された発明は、請求項1ないし請求項4のうち1項に記載された発明において、前記接続部形成手段が、互いの間に前記電線の直径に応じた所定の間隔をあけて水平方向に相対するとともに互いの間に複数の電線を位置付けてこれら複数の電線を鉛直方向に沿って縦一列に整列させる一対の整列ガイドと、前記一対の整列ガイドによって縦一列に整列した複数の電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成する接続機と、を有しており、前記第2溶着手段が、前記絶縁性チューブの他方の開口部を互いの間に挟んで該開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着する一対の溶着金具を有しており、前記挿入手段が、前記一対の溶着金具同士が前記絶縁性チューブを挟む方向と直交する方向に沿って前記複数の電線を一列に整列させ、当該複数の電線の前記接続部を前記絶縁性チューブ内に挿入することを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に記載された発明は、請求項1ないし請求項5のうち1項に記載された発明において、前記接続部に生じた歪みを、当該接続部が前記絶縁性チューブ内に挿入される前に、真っ直ぐの状態に補正する先端補正手段を有していることを特徴とするものである。
【0018】
請求項7に記載された発明は、複数の電線の端末の導体部が互いに電気接続された接続部が絶縁性チューブで被覆されてなる電線ジョイント部を形成する電線ジョイント部形成方法であって、前記電線及び前記絶縁性チューブの品番が記された製造情報を取得する製造情報取得工程と、前記製造情報に基づいて選択されて供給された複数の電線を固定し、これら電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成する接続部形成工程と、前記製造情報の品番の長尺状の絶縁性チューブをチューブ送り出し切断手段にセットするチューブ段取り工程と、前記チューブ送り出し切断手段を用いて前記絶縁性チューブを所定量送り出して所定の長さに切断するチューブ送り出し切断工程と、切断された前記絶縁性チューブの一方の開口部を溶着して閉じる第1溶着工程と、前記複数の電線を移動させて前記接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部から当該絶縁性チューブ内の所定の位置まで挿入する挿入工程と、前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着して前記電線ジョイント部を形成する第2溶着工程と、前記電線ジョイント部が形成された複数の電線を払い出す払い出し工程と、を順次有していることを特徴とする電線ジョイント部形成方法である。
【0019】
請求項8に記載された発明は、請求項7に記載された発明において、前記第1溶着工程において前記一方の開口部が溶着された状態の前記絶縁性チューブの他方の開口部と相対する位置に配置され、かつ、前記他方の開口部から離れた側に位置付けられた一端部から前記他方の開口部と相対する他端部に向かうにしたがって内径が徐々に小さくなる筒状に形成され、そして、前記接続部形成工程によって形成された前記接続部が前記筒状の内側を前記一端部側から前記他端部側に通されることで当該接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部に向かって案内する挿入ガイドを前記挿入工程において用いることを特徴とするものである。
【0020】
請求項9に記載された発明は、請求項7または請求項8に記載された発明において、前記第2溶着工程において溶着された前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所に所定時間エアを吹き付けるエア噴射工程と、前記エア噴射工程を経た後に前記複数の電線と前記絶縁性チューブとをそれぞれ把持して、前記複数の電線と前記絶縁性チューブとを所定の荷重で引っ張る引張工程と、を有していることを特徴とするものである。
【0021】
請求項10に記載された発明は、請求項7ないし請求項9のうち1項に記載された発明において、前記接続部形成工程において、互いの間に前記電線の直径に応じた所定の間隔をあけて水平方向に相対するとともに互いの間に複数の電線を位置付けてこれら複数の電線を鉛直方向に沿って縦一列に整列させる一対の整列ガイドを用い、該一対の整列ガイドによって縦一列に整列した複数の電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成し、前記第2溶着工程において、前記絶縁性チューブの他方の開口部を互いの間に挟んで該開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着する一対の溶着金具を用い、前記挿入工程において、前記一対の溶着金具同士が前記絶縁性チューブを挟む方向と直交する方向に沿って前記複数の電線を一列に整列させ、当該複数の電線の前記接続部を前記絶縁性チューブ内に挿入することを特徴とするものである。
【0022】
請求項11に記載された発明は、請求項7ないし請求項10のうち1項に記載された発明において、前記接続部に生じた歪みを、前記挿入工程の前に、真っ直ぐの状態に補正する先端補正工程を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載された発明によれば、前記電線及び前記絶縁性チューブの品番が記された製造情報を取得する製造情報取得手段と、前記製造情報に基づいて選択されて供給された複数の電線を固定し、これら電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成する接続部形成手段と、前記製造情報に基づいて選択されて供給された長尺状の絶縁性チューブを所定量送り出して所定の長さに切断するチューブ送り出し切断手段と、切断された前記絶縁性チューブの一方の開口部を溶着して閉じる第1溶着手段と、前記複数の電線を移動させて前記接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部から当該絶縁性チューブ内の所定の位置まで挿入する挿入手段と、前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着して前記電線ジョイント部を形成する第2溶着手段と、前記電線ジョイント部が形成された複数の電線を払い出す払い出し手段と、を有しているので、従来手作業で行われていた電線ジョイント部を形成する作業を自動化することができ、生産性を向上させることができる。
【0024】
請求項2に記載された発明によれば、前記製造情報に前記電線ジョイント部を形成する製造個数が記されており、前記接続部形成手段と前記チューブ送り出し切断手段と前記第1溶着手段と前記挿入手段と前記第2溶着手段と前記払い出し手段とを前記製造個数に基づいて繰り返し稼働させる制御手段を有しているので、さらに生産性を向上させることができる。
【0025】
請求項3に記載された発明によれば、前記第1溶着手段によって前記一方の開口部が溶着された状態の前記絶縁性チューブの他方の開口部と相対する位置に配置され、かつ、前記他方の開口部から離れた側に位置付けられた一端部から前記他方の開口部と相対する他端部に向かうにしたがって内径が徐々に小さくなる筒状に形成され、そして、前記接続部形成手段によって形成された前記接続部が前記筒状の内側を前記一端部側から前記他端部側に通されることで当該接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部に向かって案内する挿入ガイドを有しているので、前記接続部を前記絶縁性チューブ内に確実に挿入することができ、さらに生産性を向上させることができる。また、前記接続部が前記絶縁性チューブの他方の開口部、即ち前記絶縁性チューブの他方の端部、に当たって前記絶縁性チューブが傷付くことを防止できる。
【0026】
請求項4に記載された発明によれば、前記第2溶着手段によって溶着された前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所に所定時間エアを吹き付けるエア噴射手段と、前記エア噴射手段によるエアの吹き付けが終了した後に前記複数の電線と前記絶縁性チューブとをそれぞれ把持する一対のチャックと、前記複数の電線と前記絶縁性チューブとを把持した状態の前記一対のチャックのうち少なくとも一方にこれら一対のチャックが離れる方向の所定の荷重を加える荷重付与部と、を有する引張手段と、を有しているので、前記電線ジョイント部を形成するための設備とつながった簡素な設備により、前記絶縁性チューブと前記複数の電線との固着力が十分であるか否かの検査を電線ジョイント部形成作業と連続して行うことができる。
【0027】
請求項5に記載された発明によれば、前記接続部形成手段が、互いの間に前記電線の直径に応じた所定の間隔をあけて水平方向に相対するとともに互いの間に複数の電線を位置付けてこれら複数の電線を鉛直方向に沿って縦一列に整列させる一対の整列ガイドと、前記一対の整列ガイドによって縦一列に整列した複数の電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成する接続機と、を有しているので、容易に複数の電線を縦一列に整列させることができ、かつ、前記接続部の品質を向上させることができるとともに、前記接続部の品質を安定化することができる。また、前記挿入手段が、前記一対の溶着金具同士が前記絶縁性チューブを挟む方向と直交する方向に沿って前記複数の電線を一列に整列させ、当該複数の電線の前記接続部を前記絶縁性チューブ内に挿入するので、前記一対の溶着金具によって溶着される絶縁性チューブの他方の開口部と複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所の面積を一定にすることができ、前記溶着箇所の品質を向上させることができるとともに、前記溶着箇所の品質を安定化することができる。
【0028】
請求項6に記載された発明によれば、前記接続部に生じた歪みを、当該接続部が前記絶縁性チューブ内に挿入される前に、真っ直ぐの状態に補正する先端補正手段を有しているので、真っ直ぐの状態に補正された前記接続部を確実に絶縁性チューブ内に挿入することができ、加工能率を向上させることができる。
【0029】
請求項7に記載された発明によれば、前記電線及び前記絶縁性チューブの品番が記された製造情報を取得する製造情報取得工程と、前記製造情報に基づいて選択されて供給された複数の電線を固定し、これら電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成する接続部形成工程と、前記製造情報の品番の長尺状の絶縁性チューブをチューブ送り出し切断手段にセットするチューブ段取り工程と、前記チューブ送り出し切断手段を用いて前記絶縁性チューブを所定量送り出して所定の長さに切断するチューブ送り出し切断工程と、切断された前記絶縁性チューブの一方の開口部を溶着して閉じる第1溶着工程と、前記複数の電線を移動させて前記接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部から当該絶縁性チューブ内の所定の位置まで挿入する挿入工程と、前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着して前記電線ジョイント部を形成する第2溶着工程と、前記電線ジョイント部が形成された複数の電線を払い出す払い出し工程と、を順次有しているので、従来手作業で行われていた電線ジョイント部を形成する作業を機械により自動化することができ、生産性を向上させることができる。
【0030】
請求項8に記載された発明によれば、前記第1溶着工程において前記一方の開口部が溶着された状態の前記絶縁性チューブの他方の開口部と相対する位置に配置され、かつ、前記他方の開口部から離れた側に位置付けられた一端部から前記他方の開口部と相対する他端部に向かうにしたがって内径が徐々に小さくなる筒状に形成され、そして、前記接続部形成工程によって形成された前記接続部が前記筒状の内側を前記一端部側から前記他端部側に通されることで当該接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部に向かって案内する挿入ガイドを前記挿入工程において用いるので、前記接続部を前記絶縁性チューブ内に確実に挿入することができ、さらに生産性を向上させることができる。また、前記接続部が前記絶縁性チューブの他方の開口部、即ち前記絶縁性チューブの他方の端部、に当たって前記絶縁性チューブが傷付くことを防止できる。
【0031】
請求項9に記載された発明によれば、前記第2溶着工程において溶着された前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所に所定時間エアを吹き付けるエア噴射工程と、前記エア噴射工程を経た後に前記複数の電線と前記絶縁性チューブとをそれぞれ把持して、前記複数の電線と前記絶縁性チューブとを所定の荷重で引っ張る引張工程と、を有しているので、前記絶縁性チューブと前記複数の電線との固着力が十分であるか否かの検査を電線ジョイント部形成作業と連続して行うことができる。
【0032】
請求項10に記載された発明によれば、前記接続部形成工程において、互いの間に前記電線の直径に応じた所定の間隔をあけて水平方向に相対するとともに互いの間に複数の電線を位置付けてこれら複数の電線を鉛直方向に沿って縦一列に整列させる一対の整列ガイドを用いるので、容易に複数の電線を縦一列に整列させることができる。また、前記一対の整列ガイドによって縦一列に整列した複数の電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成するので、前記接続部の品質を向上させることができるとともに、前記接続部の品質を安定化することができる。また、前記挿入工程において、前記一対の溶着金具同士が前記絶縁性チューブを挟む方向と直交する方向に沿って前記複数の電線を一列に整列させ、当該複数の電線の前記接続部を前記絶縁性チューブ内に挿入するので、第2溶着工程において溶着される絶縁性チューブの他方の開口部と複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所の面積を一定にすることができ、前記溶着箇所の品質を向上させることができるとともに、前記溶着箇所の品質を安定化することができる。
【0033】
請求項11に記載された発明によれば、前記接続部に生じた歪みを、前記挿入工程の前に、真っ直ぐの状態に補正する先端補正工程を有しているので、真っ直ぐの状態に補正された前記接続部を確実に絶縁性チューブ内に挿入することができ、加工能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電線ジョイント部形成装置の概略構成図である。
【図2】図1に示された電線ジョイント部形成装置により形成された電線ジョイント部の平面図である。
【図3】図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成する搬送ユニットの斜視図である。
【図4】図3に示された搬送ユニットの電線固定アームが複数の電線を固定した状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成するチューブ送り出し切断ユニットの概略構成図である。
【図6】図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成する溶着ユニットの斜視図であり、ホーン及びアンビルが絶縁性チューブの一方の開口部を溶着する様子を示す図である。
【図7】図6に示された溶着ユニットのホーン及びアンビルが絶縁性チューブの他方の開口部と複数の電線の絶縁外皮とを溶着する様子を示す図である。
【図8】図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成する挿入ガイドの斜視図である。
【図9】図8に示された挿入ガイドの内側を通されて複数の電線の接続部が絶縁性チューブ内の所定の位置まで挿入された状態を示す斜視図である。
【図10】図9に示された挿入ガイドを構成する上型と下型とが上下に開いた状態を示す斜視図である。
【図11】図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成するエア噴射ノズルが絶縁性チューブの他方の開口部と複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所にエアを吹き付けている様子を示す平面図である。
【図12】図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成する引張機構が複数の電線と絶縁性チューブとを所定の荷重で引っ張っている様子を示す平面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る電線ジョイント部形成装置の概略構成図である。
【図14】図13に示された電線ジョイント部形成装置により形成された電線ジョイント部の平面図である。
【図15】図14中のD−D線に沿った断面図である。
【図16】図13に示された電線ジョイント部形成装置を構成する接続部形成ユニットの概略構成図である。
【図17】図13に示された電線ジョイント部形成装置を構成する先端補正ユニットの概略構成図である。
【図18】図17に示された先端補正ユニットへ接続部が形成された複数の電線が搬送されてきた状態を示す図である。
【図19】図18に示された先端補正ユニットの先端補正チャック及び根元補正チャックが閉じて接続部が形成された複数の電線の歪みを補正している様子を示す図である。
【図20】図19に示された先端補正ユニットの先端補正チャック及び根元補正チャックが開いた状態を示す図である。
【図21】図20に示された先端補正ユニットから歪みが補正された複数の電線が払い出された状態を示す図である。
【図22】図13に示された電線ジョイント部形成装置を構成する搬送ユニットの電線固定アームの動作を説明する説明図である。
【図23】図21に示された先端補正ユニットによって歪みが補正された複数の電線が図22に示された搬送ユニットによって90度回転されて、挿入ガイドの内側を通される様子を示す図である。
【図24】従来の絶縁性チューブを示す平面図である。
【図25】図24に示された絶縁性チューブに複数の電線の接続部が挿入される様子を示す平面図である。
【図26】図24に示された絶縁性チューブに複数の電線の接続部が挿入され、これら絶縁性チューブと複数の電線とが粘着テープで固定された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る電線ジョイント部形成装置、及び、電線ジョイント部の形成方法を、図1ないし図12に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る電線ジョイント部形成装置の概略構成図である。図2は図1に示された電線ジョイント部形成装置により形成された電線ジョイント部の平面図である。図3は図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成する搬送ユニットの斜視図である。図4は図3に示された搬送ユニットの電線固定アームが複数の電線を固定した状態を示す斜視図である。図5は図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成するチューブ送り出し切断ユニットの概略構成図である。図6は図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成する溶着ユニットの斜視図であり、ホーン及びアンビルが絶縁性チューブの一方の開口部を溶着する様子を示す図である。図7は図6に示された溶着ユニットのホーン及びアンビルが絶縁性チューブの他方の開口部と複数の電線の絶縁外皮とを溶着する様子を示す図である。図8は図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成する挿入ガイドの斜視図である。図9は図8に示された挿入ガイドの内側を通されて複数の電線の接続部が絶縁性チューブ内の所定の位置まで挿入された状態を示す斜視図である。図10は図9に示された挿入ガイドを構成する上型と下型とが上下に開いた状態を示す斜視図である。図11は図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成するエア噴射ノズルが絶縁性チューブの他方の開口部と複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所にエアを吹き付けている様子を示す平面図である。図12は図1に示された電線ジョイント部形成装置を構成する引張機構が複数の電線と絶縁性チューブとを所定の荷重で引っ張っている様子を示す平面図である。
【0036】
本発明の電線ジョイント部形成装置10は、複数の電線2の端末の導体部が互いに電気接続された接続部3が絶縁性チューブ4で被覆されてなる電線ジョイント部1(図2を参照。)を形成する装置である。
【0037】
また、前記電線2は、導電性の導体部とこの導体部を覆った絶縁外皮とを有する周知の被覆電線である。各電線2は、端末の絶縁外皮が剥ぎ取られることで導体部が露出しており、この導体部が後述する電線ジョイント部形成装置10によって互いに電気接続されて接続部3が形成されている。
【0038】
また、前記絶縁性チューブ4は、塩化ビニル、ポリプロピレン、エラストマー等の絶縁性材料で長尺状の円筒状に形成されたものが、後述する電線ジョイント部形成装置10によって、所定の長さに切断され、切断された絶縁性チューブ4の一方の開口部5が溶着されて閉じられ、他方の開口部6、即ち絶縁性チューブ4の一方の開口部5から離れた側の端部、と複数の電線2の絶縁外皮とが溶着されて接続部3を被覆している。また、図2中の符号7、8は、溶着箇所を模式的に示している。また、この絶縁性チューブ4は、接続部3を被覆することで、接続部3の絶縁性を確保している。
【0039】
上記電線ジョイント部形成装置10は、図1に示すように、バーコード読取装置(製造情報取得手段)11と、接続部形成ユニット(接続部形成手段)13と、チューブ送り出し切断ユニット(チューブ送り出し切断手段)20と、溶着ユニット(第1溶着手段、第2溶着手段)30と、搬送ユニット(挿入手段)15と、挿入ガイド40と、冷却ユニット56と、固着力検査ユニット50と、払い出しユニット(払い出し手段)16と、これらバーコード読取装置11、接続部形成ユニット13、チューブ送り出し切断ユニット20、溶着ユニット30、搬送ユニット15、挿入ガイド40、冷却ユニット56、固着力検査ユニット50、払い出しユニット16、と接続されて本電線ジョイント部形成装置10全体の制御を司る制御部(制御手段)12と、を有している。
【0040】
上記バーコード読取装置11は、バーコードを読み取ることで電線2及び絶縁性チューブ4の品番(即ちサイズ)、及び、電線ジョイント部1を形成する製造個数(即ち処理回数)が記された製造情報を取得する(製造情報取得工程)。また、この製造情報は、制御部12に送られる。また、本実施形態では、製造情報取得手段としてバーコード読取装置11を有する構成であるが、本発明では、製造情報取得手段として、周知のキーボードやタッチパネル等を用いることができる。
【0041】
上記接続部形成ユニット13は、電線ジョイント部形成装置10外の図示しない電線供給ユニットにより供給された複数の電線2を束状の状態で固定する固定部と、これら電線2の導体部を互いに電気接続して接続部3を形成する(接続部形成工程)接続機と、を有している。また、本実施形態の接続部形成ユニット13は、前記接続機として、熱圧着機を用いているが、本発明では、この他にも、超音波溶着機、端子圧着機、端子圧接機、半田ジャブ付け機等、電線2の導体部を互いに電気接続することが可能な種々の接続機を用いることができる。また、前記電線供給ユニットは、バーコード読取装置11が取得した前記製造情報に基づいて、所定の品番かつ所定の本数の電線2を接続部形成ユニット13に供給する。また、接続部形成ユニット13に供給される電線2は、予め端末の絶縁外皮が剥ぎ取られている。
【0042】
上記チューブ送り出し切断ユニット20は、図5に示すように、前記製造情報に基づいて選択されて供給された所定の品番の長尺状の絶縁性チューブ4を、この絶縁性チューブ4の軸方向と平行な一方向Aに沿って送り出す一対の搬送ローラ21と、一対の搬送ローラ21から送り出された絶縁性チューブ4を上から押さえ、その状態で絶縁性チューブ4の軸方向と平行な一方向Aに沿って所定量分だけ平行移動することで絶縁性チューブ4を送り出すシリンダ23と、一対の搬送ローラ21及びシリンダ23の下流に配置され、送り出された絶縁性チューブ4を所定の長さlに切断する一対の切断刃22と、切断された絶縁性チューブ4を溶着ユニット30側に送り出す複数対の搬送ローラ等を有している。また、前記製造情報に基づいた所定の品番の長尺状の絶縁性チューブ4を一対の搬送ローラ21間に差し込んでチューブ送り出し切断ユニット20にセットする「チューブ段取り工程」は、本実施形態では作業員が行うが、機械により自動化しても良い。
【0043】
上記溶着ユニット30は、図1に示すように、絶縁性チューブ4の搬送方向である一方向Aに沿ったチューブ送り出し切断ユニット20の下流に配置されているとともに、接続部形成ユニット13の矢印B方向に沿った下流位置に配置されている。この溶着ユニット30は、図6及び図7に示すように、所定の長さlに切断された絶縁性チューブ4の軸方向に沿った中央部を押さえて溶着金具としてのアンビル35に固定する押さえ部材31と、固定された絶縁性チューブ4の軸方向に沿った両端部を溶着金具としてのホーン34と前記アンビル35とで挟んで前記両端部に溶着処理を施す超音波溶着機36と、を有している。また、超音波溶着機36は、ホーン34が、図6に示す、押さえ部材31よりもチューブ送り出し切断ユニット20寄りの位置と、図7に示す、押さえ部材31よりもチューブ送り出し切断ユニット20から離れた位置とに亘って矢印Cに沿って移動自在に設けられている。そして、この超音波溶着機36は、図6に示す位置では、絶縁性チューブ4の一方の開口部5を溶着して閉じ(第1溶着工程)、図7に示す位置では、絶縁性チューブ4の他方の開口部6と複数の電線2の絶縁外皮とを溶着して電線ジョイント部1を形成する(第2溶着工程)。また、本実施形態の溶着ユニット30は、超音波溶着機36を有した構成であるが、本発明では、この他にも、絶縁性チューブ4の両端部に溶着処理を施すことが可能な種々の溶着機を用いることができる。
【0044】
本発明では、このように制御部12によって制御された溶着ユニット30、即ち第2溶着手段、によって自動で絶縁性チューブ4の他方の開口部6と複数の電線2の絶縁外皮とが溶着されるので、従来のように作業者が手作業で前記舌片部(104)を前記複数の電線(101)と一体に粘着テープ(111)で拘束する場合と比較して生産性が向上される。
【0045】
上記搬送ユニット15は、図1中の矢印B方向と、この矢印B方向と直交する方向とに移動自在に設けられた移動台17と、図3及び図4に示すように、移動台17の上面から立設し、矢印B方向に移動自在に設けられた複数対の電線固定アーム18と、を有している。この複数対の電線固定アーム18は、互いの間に複数の電線2を挟持することで複数の電線2を固定する。この搬送ユニット15は、矢印B方向に沿って、接続部形成ユニット13から溶着ユニット30へ、溶着ユニット30から冷却ユニット56へ、冷却ユニット56から固着力検査ユニット50へ、固着力検査ユニット50から払い出しユニット16へ、複数の電線2を順次移動させる。即ち搬送する。また、本発明では、この他にも、固着力検査ユニット50の所にチャックを設け、搬送ユニット15で冷却ユニット56まで電線2を搬送し、そこで(冷却ユニット56と固着力検査ユニット50との間で)搬送ユニット15から前記チャックに電線2の受け渡しを行っても良い。そうすることにより、製造時間を短縮することができる。
【0046】
また、この搬送ユニット15が、複数の電線2を矢印B方向に沿って接続部形成ユニット13から溶着ユニット30へ移動させ、そして、この溶着ユニット30において矢印B方向と直交する方向、即ち一方向Aと逆の方向、に移動させることで、接続部3が、一方の開口部5が溶着されて閉じられた状態の絶縁性チューブ4の他方の開口部6から当該絶縁性チューブ4内の所定の位置まで、一方向Aと逆の方向に沿って挿入される(挿入工程)。
【0047】
本発明では、このように制御部12によって制御された搬送ユニット15、即ち挿入手段、によって自動で接続部3が絶縁性チューブ4内の所定の位置まで定量挿入されるので、従来のように作業者が前記接続部(110)の前記チューブ本体(102)内への挿入量を目視確認しながら前記接続部(110)を前記チューブ本体(102)内の所定の位置まで挿入する場合と比較して生産性が向上される。
【0048】
上記挿入ガイド40は、図1に示すように、一方向Aに沿った溶着ユニット30の下流に配置されている。また、挿入ガイド40は、溶着ユニット30によって一方の開口部5が溶着された状態の絶縁性チューブ4の他方の開口部6と相対する位置に配置されている。この挿入ガイド40は、図8ないし図10に示すように、ブロック状の中心に円錐状の穴43が形成された形状に形成されている。即ち、挿入ガイド40は、絶縁性チューブ4の他方の開口部6から離れた側に位置付けられた一端部から他方の開口部6と相対する他端部に向かうにしたがって内径が徐々に小さくなる筒状に形成されている。また、前記穴43の他方の開口部6と相対する他端部43bの内径は、他方の開口部6の内径よりも小さく形成されている。また、挿入ガイド40は、この穴43が絶縁性チューブ4と同軸上に配置される位置に配置されている。このような挿入ガイド40は、複数の電線2の接続部3が穴43内を一端部側から他端部側に通されることで接続部3を絶縁性チューブ4の他方の開口部6に向かって案内する。
【0049】
また、この挿入ガイド40は、穴43の中心軸を互いの間に位置付ける、上型41と下型42との2つの部材で構成されている。これら上型41及び下型42は、一方向Aと直交する図10中の矢印G1,G2に沿って移動自在に設けられており、接続部3が絶縁性チューブ4内に挿入されるまでは互いに当接した位置に位置付けられ(図8及び図9を参照。)、そして、接続部3が絶縁性チューブ4内に挿入された後に互いに離れる方向に移動する(図10を参照。)。このように、上型41及び下型42が互いに離れることで、絶縁性チューブ4が取り付けられた複数の電線2が一方向Aに沿って搬送されることが可能となる。
【0050】
本発明では、このように挿入ガイド40を有しているので、搬送ユニット15によって自動で接続部3を絶縁性チューブ4内に確実に挿入することができ、さらに生産性を向上させることができる。また、接続部3が絶縁性チューブ4の他方の開口部6、即ち絶縁性チューブ4の他方の端部、に当たって絶縁性チューブ4が傷付くことを防止できる。
【0051】
上記冷却ユニット56は、溶着ユニット30の矢印B方向に沿った下流位置に配置されている。この冷却ユニット56は、図11及び図12に示すように、溶着ユニット30によって溶着された絶縁性チューブ4の他方の開口部6と複数の電線2の絶縁外皮との溶着箇所8に所定時間エアを吹き付けて、この溶着箇所8を冷却する(エア噴射工程)エア噴射ノズル(エア噴射手段)51を有している。
【0052】
また、本発明では、冷却ユニット56が、エアを吹き付けることで溶着箇所8を冷却するエア噴射ノズル51を有しているので、溶着箇所8の固着、即ち溶融した前記絶縁外皮及び絶縁性チューブ4の硬化、に要する時間を短縮することができ、さらに生産性を向上させることができる。また、本発明においてこのエア噴射ノズル51、即ちエア噴射手段、は必須の構成ではなく、エア噴射ノズル51を設けない代わりに溶着箇所8の固着時間、即ち溶融した前記絶縁外皮及び絶縁性チューブ4の硬化時間、を長く設定するようにしても良い。
【0053】
上記固着力検査ユニット50は、冷却ユニット56の矢印B方向に沿った下流位置に配置されている。この固着力検査ユニット50は、図11及び図12に示すように、エア噴射ノズル51によるエアの吹き付けが終了した後に複数の電線2と絶縁性チューブ4とをそれぞれ把持する一対のチャック52,53と、複数の電線2と絶縁性チューブ4とを把持した状態の一対のチャック52,53のうち一方のチャック53にこれら一対のチャック52,53が離れる方向の所定の荷重を加える荷重付与部54と、で構成された引張機構(引張手段)55を有している。このような引張機構55を有する固着力検査ユニット50は、複数の電線2と絶縁性チューブ4とを所定の荷重で引っ張る(引張工程)ことによって、絶縁性チューブ4と複数の電線2との固着力が十分であるか否かの検査を行う。そして、引張機構55によって引っ張られた後に複数の電線2と絶縁性チューブ4とが外れなかった製品は、良品とされ、十分な固着力が保証される。
【0054】
本発明では、このように電線ジョイント部1を形成するための設備とつながった簡素な設備である固着力検査ユニット50を有しているので、絶縁性チューブ4と複数の電線2との固着力が十分であるか否かの検査を電線ジョイント部形成作業と連続して行うことができる。また、電線ジョイント部形成装置10を簡素な構成の設備とすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、引張機構55が、一対のチャック52,53のうち一方のチャック53のみにこれら一対のチャック52,53が離れる方向の所定の荷重を加える構成、即ち一方のチャック53のみを移動させる構成、とされているが、本発明では、一対のチャック52,53のうち少なくとも一方にこれら一対のチャック52,53が離れる方向の所定の荷重を加える構成であれば良い。即ち、他方のチャック52のみに前記荷重を与える構成であっても良く、双方のチャック52,53に前記荷重を与える構成であっても良い。
【0056】
上記払い出しユニット16は、固着力検査ユニット50の矢印B方向に沿った下流位置に配置されている。即ち、前述した接続部形成ユニット13、溶着ユニット30、冷却ユニット56、固着力検査ユニット50、払い出しユニット16、は、矢印B方向に沿って直線上に並ぶ位置に配置されている。この払い出しユニット16は、図示しない複数の搬送ローラを有して構成されており、搬送ユニット15によって固着力検査ユニット50から搬送されてきた電線ジョイント部1が形成された複数の電線2を、良品として、電線ジョイント部形成装置10外の次工程に払い出す(払い出し工程)。また、払い出しユニット16は、固着力検査ユニット50の前述した検査によって複数の電線2と絶縁性チューブ4とが外れた不良品を、電線ジョイント部形成装置10外の不良品回収部に払い出す。
【0057】
本発明では、このように、チューブ送り出し切断ユニット20による絶縁性チューブ4の搬送方向Aに沿って、チューブ送り出し切断ユニット20、溶着ユニット30、挿入ガイド40、が直線上に並ぶ位置に配置され、そして、矢印B方向に沿って、接続部形成ユニット13、溶着ユニット30、冷却ユニット56、固着力検査ユニット50、払い出しユニット16、が直線上に並ぶ位置に配置されているので、これら装置間における絶縁性チューブ4及び電線2の搬送構造が単純化され、そのために、電線ジョイント部形成装置10を省スペースで簡素な構成とすることができる。また、電線ジョイント部1を形成する加工タクトを短くすることができる。
【0058】
上記制御部12は、周知のRAM、ROM、CPUなどを有するコンピュータである。この制御部12は、バーコード読取装置11が取得した前記製造情報の製造個数(即ち処理回数)に基づいて、接続部形成ユニット13、チューブ送り出し切断ユニット20、溶着ユニット30、搬送ユニット15、挿入ガイド40、冷却ユニット56、固着力検査ユニット50、払い出しユニット16、を繰り返し稼働させる。
【0059】
続いて、前述した構成の電線ジョイント部形成装置10を用いた電線ジョイント部1の形成方法を説明する。まず、バーコード読取装置11によって、電線2及び絶縁性チューブ4の品番が記された製造情報を取得する(製造情報取得工程)。この製造情報に基づいて制御部12から各装置に所定の動作を行う命令が送られる。このことにより、前記電線供給ユニットが、所定の品番かつ所定の本数の電線2を接続部形成ユニット13に供給する。接続部形成ユニット13は、供給された複数の電線2を固定し、これら電線2の導体部を互いに電気接続して接続部3を形成する(接続部形成工程)。
【0060】
また、作業者が、前記製造情報に基づいて、所定の品番の長尺状の絶縁性チューブ4を一対の搬送ローラ21間に差し込んでチューブ送り出し切断ユニット20にセットする(チューブ段取り工程)。絶縁性チューブ4がセットされたチューブ送り出し切断ユニット20は、絶縁性チューブ4を所定量送り出して所定の長さに切断する(チューブ送り出し切断工程)。そして、切断された絶縁性チューブ4を溶着ユニット30に送り出す。
【0061】
溶着ユニット30は、チューブ送り出し切断ユニット20から送られてきた絶縁性チューブ4の軸方向に沿った中央部を押さえ部材31で押さえて固定し、超音波溶着機36によって絶縁性チューブ4の一方の開口部5を溶着して閉じる(第1溶着工程)。
【0062】
そして、搬送ユニット15が、接続部3が形成された複数の電線2を接続部形成ユニット13から溶着ユニット30に移動させる。この際、挿入ガイド40の上型41及び下型42は互いに当接した位置にあり、穴43の他端部43bが、溶着ユニット30の固定部33によって固定された絶縁性チューブ4の他方の開口部6と相対する位置に位置付けられている。さらに、搬送ユニット15は、一方向Aと逆方向に沿って複数の電線2を規定量移動させることで、挿入ガイド40の穴43内を通して接続部3を他方の開口部6から絶縁性チューブ4内の所定の位置まで挿入する(挿入工程)。
【0063】
接続部3が絶縁性チューブ4内に挿入されると、挿入ガイド40の上型41及び下型42は、互いに離れる方向に移動する。そして、溶着ユニット30の超音波溶着機36が、絶縁性チューブ4の他方の開口部6、即ち絶縁性チューブ4の他端部、と複数の電線2の絶縁外皮とを溶着して電線ジョイント部1を形成する(第2溶着工程)。
【0064】
そして、搬送ユニット15が、電線ジョイント部1が形成された複数の電線2を溶着ユニット30から冷却ユニット56に移動させる。これに続いて、エア噴射ノズル51が電線ジョイント部1の溶着箇所8に所定時間エアを吹き付けて、この溶着箇所8を冷却する(エア噴射工程)。
【0065】
エア噴射ノズル51によるエアの吹き付けが終了すると、搬送ユニット15が、電線ジョイント部1が形成された複数の電線2を冷却ユニット56から固着力検査ユニット50に移動させる。これに続いて、引張機構55の一対のチャック52,53が複数の電線2と絶縁性チューブ4の一端部とをそれぞれ把持して、荷重付与部54に作用されてこれら複数の電線2と絶縁性チューブ4とを所定の荷重で引っ張る(引張工程)。こうして絶縁性チューブ4と複数の電線2との固着力が十分であるか否かの検査が終了した後、搬送ユニット15が、電線ジョイント部1が形成された複数の電線2、または、複数の電線2及び該電線2から外れた絶縁性チューブ4を、固着力検査ユニット50から払い出しユニット16に移動させる。
【0066】
払い出しユニット16は、電線ジョイント部1が形成された複数の電線2を、良品として、電線ジョイント部形成装置10外の次工程に払い出す(払い出し工程)。また、複数の電線2及び該電線2から外れた絶縁性チューブ4を、不良品として、電線ジョイント部形成装置10外の不良品回収部に払い出す。
【0067】
こうして電線ジョイント部1が形成された複数の電線2が電線ジョイント部形成装置10外に払い出されると、超音波溶着機36のホーン34が、図6に示す、押さえ部材31よりもチューブ送り出し切断ユニット20寄りの位置に移動する。また、挿入ガイド40の上型41及び下型42が互いに当接する位置に移動する。
【0068】
そして、前述した一連の処理が前記製造情報の製造個数(即ち処理回数)に応じて繰り返された後、電線ジョイント部形成装置10の稼働が停止する。こうして、前記製造情報の製造個数(即ち処理回数)に基づいた数の電線ジョイント部1が形成される。
【0069】
このように、本発明では、簡素な構成の生産性に優れた電線ジョイント部形成装置10によって、絶縁性チューブ4と複数の電線2との十分な固着力が保証された電線ジョイント部1が形成される。
【0070】
また、上述した第1の実施形態では、電線ジョイント部形成装置10が、冷却ユニット56と固着力検査ユニット50と挿入ガイド40とを有する構成とされていたが、本発明の電線ジョイント部形成装置は、必ずしも冷却ユニット56と固着力検査ユニット50と挿入ガイド40とを有していなくても良い。
【0071】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る電線ジョイント部形成装置、及び、電線ジョイント部の形成方法を、図13ないし図23に基いて説明する。図13は本発明の第2の実施形態に係る電線ジョイント部形成装置の概略構成図である。図14は図13に示された電線ジョイント部形成装置により形成された電線ジョイント部の平面図である。図15は図14中のD−D線に沿った断面図である。図16は図13に示された電線ジョイント部形成装置を構成する接続部形成ユニットの概略構成図である。図17は図13に示された電線ジョイント部形成装置を構成する先端補正ユニットの概略構成図である。図18は図17に示された先端補正ユニットへ接続部が形成された複数の電線が搬送されてきた状態を示す図である。図19は図18に示された先端補正ユニットの先端補正チャック及び根元補正チャックが閉じて接続部が形成された複数の電線の歪みを補正している様子を示す図である。図20は図19に示された先端補正ユニットの先端補正チャック及び根元補正チャックが開いた状態を示す図である。図21は図20に示された先端補正ユニットから歪みが補正された複数の電線が払い出された状態を示す図である。図22は図13に示された電線ジョイント部形成装置を構成する搬送ユニットの電線固定アームの動作を説明する説明図である。図23は図21に示された先端補正ユニットによって歪みが補正された複数の電線が図22に示された搬送ユニットによって90度回転されて、挿入ガイドの内側を通される様子を示す図である。また、図13ないし図23において、前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
本発明の電線ジョイント部形成装置10’は、複数の電線2の端末の導体部が互いに電気接続された接続部3が絶縁性チューブ4で被覆されてなる電線ジョイント部1’(図14及び図15を参照。)を形成する装置である。また、本実施形態の電線ジョイント部1’は、3本の電線2で構成されているが、これに限らず、本発明では、前記「電線ジョイント部」が2本の電線2で構成されていても良く、4本以上の電線2で構成されていても良い。
【0073】
上記電線ジョイント部形成装置10’は、図13に示すように、バーコード読取装置(製造情報取得手段)11と、接続部形成ユニット(接続部形成手段)13’と、先端補正ユニット(先端補正手段)14と、チューブ送り出し切断ユニット(チューブ送り出し切断手段)20と、溶着ユニット(第1溶着手段、第2溶着手段)30と、搬送ユニット(挿入手段)15’と、挿入ガイド40と、冷却ユニット56と、固着力検査ユニット50と、払い出しユニット(払い出し手段)16と、これらバーコード読取装置11、接続部形成ユニット13’、先端補正ユニット14、チューブ送り出し切断ユニット20、溶着ユニット30、搬送ユニット15’、挿入ガイド40、冷却ユニット56、固着力検査ユニット50、払い出しユニット16、と接続されて本電線ジョイント部形成装置10全体の制御を司る制御部(制御手段)12と、を有している。
【0074】
上記接続部形成ユニット13’は、図16に示すように、電線ジョイント部形成装置10’外の図示しない電線供給ユニットにより供給された複数の電線2を互いの間に位置付けてこれら複数の電線2を鉛直方向と平行な矢印Yに沿って縦一列に整列させて固定する一対の整列ガイド61と、前記一対の整列ガイド61によって縦一列に整列した複数の電線2の導体部を互いに電気接続して接続部3を形成する(接続部形成工程)接続機と、を有している。
【0075】
上記一対の整列ガイド61は、水平方向、即ち矢印B方向、に相対する位置に配置されている。また、一対の整列ガイド61は、水平方向、即ち矢印B方向、に互いに接離自在に設けられており、図16に示すように、電線2の直径よりわずかに大きい間隔、即ち電線2の直径に応じた所定の間隔、をあける位置と、前記所定の間隔よりも大きい間隔をあける位置と、に亘って接離自在に設けられている。また、「接離」とは、互いに近付いたり離れたりすることを言う。そして、これら一対の整列ガイド61が電線2の直径よりわずかに大きい間隔、即ち電線2の直径に応じた所定の間隔、をあける位置に位置付けられることにより、当該一対の整列ガイド61間に位置付けられた複数の電線2が鉛直方向と平行な矢印Yに沿って縦一列に整列される。また、これら一対の整列ガイド61により縦一列に整列された複数の電線2は、各電線2の自重によって互いに隙間をあけることなく整列される。
【0076】
このように、本発明では、上述した構成の一対の整列ガイド61を用いるので、容易に複数の電線2を鉛直方向と平行な矢印Yに沿って縦一列に整列させることができる。
【0077】
また、上記接続機は、超音波接続機であり、図16に示すように、水平方向、即ち矢印B方向、に相対する位置に配置された一対の溶着金具60を有している。これら一対の溶着金具60は、互いの間に、一対の整列ガイド61によって縦一列に整列した複数の電線2の導体部を挟んで該導体部を互いに電気接続して接続部3を形成する。
【0078】
このように、本発明では、一対の整列ガイド61によって縦一列に整列した複数の電線2の導体部を一対の溶着金具60間に挟んで該導体部を互いに電気接続して接続部3を形成するので、接続部3の品質、即ち各導体部同士の電気接続信頼性、を向上させることができるとともに、接続部3の品質を安定化することができる。
【0079】
上記構成の接続部形成ユニット13’によって接続部3が形成された複数の電線2は、搬送ユニット15’によって接続部形成ユニット13’の矢印B方向に沿った下流位置に配置された先端補正ユニット14に搬送される。
【0080】
上記先端補正ユニット14は、複数の電線2の接続部3に生じた歪みを真っ直ぐの状態に補正する装置であり、図17ないし図21に示すように、先端補正機70と、ガイド板74と、根元補正機75と、を有している。
【0081】
上記先端補正機70は、鉛直方向と平行な矢印Yに沿って互いに相対する位置に配置されるとともに矢印Y方向に互いに接離自在に設けられた一対の先端補正チャック72,73と、これら一対の先端補正チャック72,73を支持する支持部71と、を有している。一対の先端補正チャック72,73は、互いに離れた位置から互いに近付いて互いの間に接続部3の先端を挟むことで、接続部3の上下方向の歪みを補正する。
【0082】
上記ガイド板74は、上述した一方の先端補正チャック72の接続部形成ユニット13’寄りの端部に取り付けられている。このガイド板74は、接続部形成ユニット13’側から先端補正ユニット14側に向かうにしたがって他方の先端補正チャック73に近付く方向に傾斜した板状に形成されており、搬送ユニット15’によって接続部形成ユニット13’側から先端補正ユニット14側に移動される電線2の接続部3を、一対の先端補正チャック72,73間に案内する。また、本発明では、このガイド板74と同様のガイド板が他方の先端補正チャック73側に設けられていても良い。
【0083】
上記根元補正機75は、図17に示す互いに離れた位置と、図19に示す水平方向と平行な矢印B方向に沿って互いの間に接続部3の根元を挟む位置と、に亘って回動自在に設けられた一対の根元補正チャック76と、これら一対の根元補正チャック76を支持する支持部と、を有している。一対の根元補正チャック76は、互いに離れた位置から互いに近付いて互いの間に接続部3の根元を挟むことで、接続部3の左右方向の歪みを補正する。
【0084】
このような先端補正ユニット14は、図17に示すように、電線2の接続部3が当該先端補正ユニット14に搬送されてくる前においては、一対の先端補正チャック72,73及び一対の根元補正チャック76が互いに離れた位置に位置付けられており、図18に示すように、電線2の接続部3が一対の先端補正チャック72,73間に位置付けられると、図19に示すように、一対の先端補正チャック72,73及び一対の根元補正チャック76が互いに近付いて、それぞれ互いの間に接続部3の先端及び接続部3の根元を挟んで接続部3の全方向の歪みを真っ直ぐに補正する(先端補正工程)。そして、接続部3の歪みを補正した後、図20に示すように、一対の先端補正チャック72,73及び一対の根元補正チャック76が互いに離れた位置に移動し、図21に示すように、接続部3の歪みが補正された複数の電線2が、搬送ユニット15’によって先端補正ユニット14の矢印B方向に沿った下流位置に配置された溶着ユニット30に搬送される。
【0085】
このように、本発明では、複数の電線2の接続部3に生じた歪みを、当該接続部3が絶縁性チューブ4内に挿入される前に、真っ直ぐの状態に補正する先端補正ユニット14を有しているので、真っ直ぐの状態に補正された接続部3を確実に絶縁性チューブ4内に挿入することができ、電線ジョイント部形成装置10’の加工能率を向上させることができる。なお、接続部3の歪みは、必ずしも生じるものではない。
【0086】
上記搬送ユニット15’は、前述した移動台17(図3を参照。)と、移動台17に取り付けられた複数対の電線固定アーム18’と、を有している。この複数対の電線固定アーム18’は、互いの間に複数の電線2を挟持することで複数の電線2を固定する。また、この複数対の電線固定アーム18’は、図22に示すように、複数の電線2を鉛直方向と平行な矢印Y(図21を参照。)に沿って縦一列に整列させた状態で保持する向きと、複数の電線2を水平方向と平行な矢印B(図23を参照。)に沿って横一列に整列させた状態で保持する向きと、に亘って変位自在に設けられている。
【0087】
そして、上記構成の搬送ユニット15’は、複数の電線2を矢印B方向に沿って先端補正ユニット14から溶着ユニット30へ移動させると、図23に示すように、複数対の電線固定アーム18’が、複数の電線2を鉛直方向と平行な矢印Yに沿って縦一列に整列させた状態で保持する向きから、複数の電線2を水平方向と平行な矢印Bに沿って横一列に整列させた状態で保持する向きへと90度回転して、複数の電線2の接続部3を挿入ガイド40を介して絶縁性チューブ4内に挿入する(挿入工程)。
【0088】
また、溶着ユニット30によって一方の開口部5が溶着されて閉じられた絶縁性チューブ4は、中央部を押さえ部材31で押さえられることで、他方の開口部6が、水平方向即ち矢印B方向に横長の楕円形状に変形している。そして、上述した搬送ユニット15’は、この楕円形状に変形した絶縁性チューブ4の他方の開口部6に、矢印Bに沿って横一列に整列させた複数の電線2の接続部3を挿入する。即ち、搬送ユニット15’は、複数の電線2の接続部3を絶縁性チューブ4内に確実に挿入するために、上述したように複数対の電線固定アーム18’を回転させて、前記開口部6の横長の楕円形の形状に合わせて複数の電線2の並び方向を横一列にする。
【0089】
そして、溶着ユニット30の溶着金具としてのホーン34と溶着金具としてのアンビル35とが絶縁性チューブ4を挟む矢印Y方向と直交する矢印B方向に沿って横一列に整列された電線2の接続部3が絶縁性チューブ4内に挿入された後、ホーン34とアンビル35とが互いの間に絶縁性チューブ4の他方の開口部6を挟んで該開口部6と複数の電線2の絶縁外皮とを溶着する。こうして、図14及び図15に示す電線ジョイント部1’が形成される。また、図14及び図15に示す電線ジョイント部1’は、全ての電線2の絶縁外皮が絶縁性チューブ4に確実に溶着されており、この溶着箇所8の面積も大きく取られていることから、絶縁性チューブ4と全ての電線2とが十分な固着力で固着即ち溶着されている。
【0090】
このように、本発明では、搬送ユニット15’の複数対の電線固定アーム18’が、ホーン34及びアンビル35が絶縁性チューブ4を挟む矢印Y方向と直交する矢印B方向に沿って複数の電線2を一列に整列させ、当該複数の電線2の接続部3を絶縁性チューブ4内に挿入するので、ホーン34及びアンビル35によって溶着される絶縁性チューブ4の他方の開口部6と複数の電線2の絶縁外皮との溶着箇所8の面積を一定にすることができ、前記溶着箇所8の品質を向上させることができるとともに、前記溶着箇所8の品質を安定化することができる。
【0091】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0092】
1,1’ 電線ジョイント部
2 電線
3 接続部
4 絶縁性チューブ
5 一方の開口部
6 他方の開口部
8 溶着箇所
10,10’ 電線ジョイント部形成装置
11 バーコード読取装置(製造情報取得手段)
12 制御部(制御手段)
13,13’ 接続部形成ユニット(接続部形成手段)
14 先端補正ユニット(先端補正手段)
15,15’ 搬送ユニット(挿入手段)
16 払い出しユニット(払い出し手段)
20 チューブ送り出し切断ユニット(チューブ送り出し切断手段)
30 溶着ユニット(第1溶着手段、第2溶着手段)
34 ホーン(溶着金具)
35 アンビル(溶着金具)
40 挿入ガイド
51 エア噴射ノズル(エア噴射手段)
52,53 チャック
54 荷重付与部
55 引張機構(引張手段)
61 整列ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線の端末の導体部が互いに電気接続された接続部が絶縁性チューブで被覆されてなる電線ジョイント部を形成する電線ジョイント部形成装置であって、
前記電線及び前記絶縁性チューブの品番が記された製造情報を取得する製造情報取得手段と、
前記製造情報に基づいて選択されて供給された複数の電線を固定し、これら電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成する接続部形成手段と、
前記製造情報に基づいて選択されて供給された長尺状の絶縁性チューブを所定量送り出して所定の長さに切断するチューブ送り出し切断手段と、
切断された前記絶縁性チューブの一方の開口部を溶着して閉じる第1溶着手段と、
前記複数の電線を移動させて前記接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部から当該絶縁性チューブ内の所定の位置まで挿入する挿入手段と、
前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着して前記電線ジョイント部を形成する第2溶着手段と、
前記電線ジョイント部が形成された複数の電線を払い出す払い出し手段と、
を有していることを特徴とする電線ジョイント部形成装置。
【請求項2】
前記製造情報に前記電線ジョイント部を形成する製造個数が記されており、
前記接続部形成手段と前記チューブ送り出し切断手段と前記第1溶着手段と前記挿入手段と前記第2溶着手段と前記払い出し手段とを前記製造個数に基づいて繰り返し稼働させる制御手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の電線ジョイント部形成装置。
【請求項3】
前記第1溶着手段によって前記一方の開口部が溶着された状態の前記絶縁性チューブの他方の開口部と相対する位置に配置され、かつ、前記他方の開口部から離れた側に位置付けられた一端部から前記他方の開口部と相対する他端部に向かうにしたがって内径が徐々に小さくなる筒状に形成され、そして、前記接続部形成手段によって形成された前記接続部が前記筒状の内側を前記一端部側から前記他端部側に通されることで当該接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部に向かって案内する挿入ガイドを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電線ジョイント部形成装置。
【請求項4】
前記第2溶着手段によって溶着された前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所に所定時間エアを吹き付けるエア噴射手段と、
前記エア噴射手段によるエアの吹き付けが終了した後に前記複数の電線と前記絶縁性チューブとをそれぞれ把持する一対のチャックと、前記複数の電線と前記絶縁性チューブとを把持した状態の前記一対のチャックのうち少なくとも一方にこれら一対のチャックが離れる方向の所定の荷重を加える荷重付与部と、を有する引張手段と、を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち1項に記載の電線ジョイント部形成装置。
【請求項5】
前記接続部形成手段が、互いの間に前記電線の直径に応じた所定の間隔をあけて水平方向に相対するとともに互いの間に複数の電線を位置付けてこれら複数の電線を鉛直方向に沿って縦一列に整列させる一対の整列ガイドと、前記一対の整列ガイドによって縦一列に整列した複数の電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成する接続機と、を有しており、
前記第2溶着手段が、前記絶縁性チューブの他方の開口部を互いの間に挟んで該開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着する一対の溶着金具を有しており、
前記挿入手段が、前記一対の溶着金具同士が前記絶縁性チューブを挟む方向と直交する方向に沿って前記複数の電線を一列に整列させ、当該複数の電線の前記接続部を前記絶縁性チューブ内に挿入することを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち1項に記載の電線ジョイント部形成装置。
【請求項6】
前記接続部に生じた歪みを、当該接続部が前記絶縁性チューブ内に挿入される前に、真っ直ぐの状態に補正する先端補正手段を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のうち1項に記載の電線ジョイント部形成装置。
【請求項7】
複数の電線の端末の導体部が互いに電気接続された接続部が絶縁性チューブで被覆されてなる電線ジョイント部を形成する電線ジョイント部形成方法であって、
前記電線及び前記絶縁性チューブの品番が記された製造情報を取得する製造情報取得工程と、
前記製造情報に基づいて選択されて供給された複数の電線を固定し、これら電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成する接続部形成工程と、
前記製造情報の品番の長尺状の絶縁性チューブをチューブ送り出し切断手段にセットするチューブ段取り工程と、
前記チューブ送り出し切断手段を用いて前記絶縁性チューブを所定量送り出して所定の長さに切断するチューブ送り出し切断工程と、
切断された前記絶縁性チューブの一方の開口部を溶着して閉じる第1溶着工程と、
前記複数の電線を移動させて前記接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部から当該絶縁性チューブ内の所定の位置まで挿入する挿入工程と、
前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着して前記電線ジョイント部を形成する第2溶着工程と、
前記電線ジョイント部が形成された複数の電線を払い出す払い出し工程と、
を順次有していることを特徴とする電線ジョイント部形成方法。
【請求項8】
前記第1溶着工程において前記一方の開口部が溶着された状態の前記絶縁性チューブの他方の開口部と相対する位置に配置され、かつ、前記他方の開口部から離れた側に位置付けられた一端部から前記他方の開口部と相対する他端部に向かうにしたがって内径が徐々に小さくなる筒状に形成され、そして、前記接続部形成工程によって形成された前記接続部が前記筒状の内側を前記一端部側から前記他端部側に通されることで当該接続部を前記絶縁性チューブの他方の開口部に向かって案内する挿入ガイドを前記挿入工程において用いることを特徴とする請求項7に記載の電線ジョイント部形成方法。
【請求項9】
前記第2溶着工程において溶着された前記絶縁性チューブの他方の開口部と前記複数の電線の絶縁外皮との溶着箇所に所定時間エアを吹き付けるエア噴射工程と、
前記エア噴射工程を経た後に前記複数の電線と前記絶縁性チューブとをそれぞれ把持して、前記複数の電線と前記絶縁性チューブとを所定の荷重で引っ張る引張工程と、を有していることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電線ジョイント部形成方法。
【請求項10】
前記接続部形成工程において、互いの間に前記電線の直径に応じた所定の間隔をあけて水平方向に相対するとともに互いの間に複数の電線を位置付けてこれら複数の電線を鉛直方向に沿って縦一列に整列させる一対の整列ガイドを用い、該一対の整列ガイドによって縦一列に整列した複数の電線の前記導体部を互いに電気接続して前記接続部を形成し、
前記第2溶着工程において、前記絶縁性チューブの他方の開口部を互いの間に挟んで該開口部と前記複数の電線の絶縁外皮とを溶着する一対の溶着金具を用い、
前記挿入工程において、前記一対の溶着金具同士が前記絶縁性チューブを挟む方向と直交する方向に沿って前記複数の電線を一列に整列させ、当該複数の電線の前記接続部を前記絶縁性チューブ内に挿入することを特徴とする請求項7ないし請求項9のうち1項に記載の電線ジョイント部形成方法。
【請求項11】
前記接続部に生じた歪みを、前記挿入工程の前に、真っ直ぐの状態に補正する先端補正工程を有していることを特徴とする請求項7ないし請求項10のうち1項に記載の電線ジョイント部形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−170978(P2010−170978A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124257(P2009−124257)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】