説明

電線用の絶縁物及び絶縁電線の製造方法

【課題】工業規格の電気的要求事項及び燃焼性要求事項を同時に満たす零ハロゲンの電線すなわちケーブルの絶縁物及びその製造方法の提供。
【解決手段】零ハロゲン電線すなわちケーブル用の絶縁物は、少なくとも内層10及び外層15を具備する。外層15は、コーティングされていない水酸化マグネシウムを有する。絶縁物は、共押出し成形、又は層の順次押出し成形により、電線すなわちケーブルに付加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線又はケーブルの絶縁物及びその製造方法に関し、特に複数層を有する「無ハロゲン」絶縁物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業において、これらの状況での使用に認定されるために、電線すなわちケーブル絶縁部が耐久性に関する厳しい要求を満たすことが不可欠である。この一例は、ワイヤハーネスに使用する自動車配線がかなりの長時間、高温曝露下で安定であること(例えば、ある自動車用配線絶縁物は125℃で3000時間の間、無傷であることが要求される「クラス3」要求事項を満たさなければならない)が求められる自動車産業である。加えて、自動車配線用の絶縁物は、自動車の環境で広く見られる(エンジンオイル及びフロントガラスウォッシャ液等の)侵攻性液体への曝露に対して抵抗性を有することが要求される。さらに、自動車産業で使用する電線及びケーブル絶縁物は、その絶縁物は自動車産業で効率的に使用される場合、一組の接着剤及び非接着性テープ、チューブ、コネクタ、シール部材及び別のケーブル外被材料との接触に適しなければならない。これは、これら部品の使用を回避するワイヤハーネスを生産することは経済的に実行可能ではないからである。
【0003】
現在、クラス3配線に対して2つの原則絶縁物の市販システムがある。これらの市販システムはポリプロピレン又は架橋したポリエチレンポリマを混入した単一の壁絶縁物であり、第1は低ハロゲンであり、第2は零ハロゲンである。
【特許文献1】国際出願公開第02/73631号明細書
【特許文献2】特開2001−236829号公報
【特許文献3】米国特許第5707732号明細書
【特許文献4】特開2004−196877号公報
【特許文献5】欧州特許出願公開第1043733号明細書
【特許文献6】国際出願公開第99/5688号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低ハロゲン製品は、3酸化2アンチモンと組み合わされた、難燃性成分として臭素を約12重量%含むことが多い。しかし、この組合せは気相難燃性で極めて効果的であるが、或るハロゲン化合物の燃焼生成物の環境に関し可能な効果にわたる問題がある。従って、ハロゲン含有化合物を含むことなく、高性能の絶縁物を生産することが、電線及びケーブル産業における目的である。
【0005】
零ハロゲン単一壁ポリプロピレン絶縁物の一例は本出願人による特許文献1に見ることができる。特許文献1は、全配合の少なくともポリプロピレンのモノマー又はコポリマを30重量%、硫化亜鉛を少なくとも2重量%、及び/又は酸化亜鉛を少なくとも5重量%含む単一層のケーブルすなわち電線の絶縁物について説明する。
【0006】
零ハロゲン製品は代表的には、高レベルの水酸化無機物のフィラ(水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウムを55〜60重量%であることが多い)を有する。フィラは、可燃性ポリマの希釈、及び高い熱吸収となる加熱又は燃焼中の水和物の水の損失により難燃性を与える。従って、公知の零ハロゲン製品は、ハロゲン化絶縁材料の使用に関連する環境問題を克服する。しかし、今日の前は、絶縁材料からハロゲンを排除すると、機械的特性、特に絶縁物の耐摩耗性及び破断までの伸びが劣った絶縁物を生成する。
【0007】
零ハロゲン化合物はまた、ハロゲン化製品よりも耐薬品性及び環境抵抗性が低いことに歴史的に苦しんできており、電気的要求事項及び燃焼性要求事項の観点で工業規格を同時に満たすことが困難である。これは、水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウム等のフィラの量を低減することにより規格の電気的要求事項を満たすことは容易であるが、フィラ量を低減すると燃焼性規格を満たすことが困難であるからである。
【0008】
従って、上述の欠点を伴うことなく、零ハロゲンの電線すなわちケーブルの絶縁物に対するニーズが当業界にはある。特に、自動車ワイヤハーネスでは、自動車産業が使用できる零ハロゲンを開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面によれば、少なくとも内層及び外層を具備する零ハロゲン電線すなわちケーブル用絶縁物が提供される。外層は、コーティングされていない水酸化マグネシウムを有する。
【0010】
本発明は、長期間の高温での曝露、及びエンジン室内で見られる液体(例えば、エンジンオイル又はフロントガラスウォッシャ液)等の侵攻性液体への曝露に耐えることができる低コストのケーブルすなわち電線の絶縁物を提供する。さらに、本発明の絶縁物でコーティングされた電線及びケーブルは、一組の接着剤及び非接着性テープ、チューブ、コネクタ、シール部材及び別のケーブル外被材料と組み合わせて使用することができる。特に、外層内のコーティングされていない水酸化マグネシウムの存在は高い難燃性の層を提供するが、高価なコーティングされた水酸化マグネシウムを購入又は準備する必要がないので製造が安価である。
【0011】
本明細書の文脈の中での「零ハロゲン」という用語は、ハロゲンが1重量%未満であるいかなる絶縁体を含むことが意図されている。特に、好適にはハロゲンは0.5重量%未満であり、より好適には0.1重量%未満であり、最も好適なのは微量不純物のみである。代表的な実施形態において、ハロゲンを含まない化合物には零ハロゲン絶縁物が追加されるので、存在するいかなるハロゲンも純粋に絶縁物を形成するのに使用される材料内の不純物の結果として典型的には現れる。
【0012】
「コーティングされていない」という用語は、水酸化マグネシウム粉末に関係するものと見做すべきである。水酸化マグネシウム粉末は、二次化学物質で粉末の外表面をコーティングするのに処理されない。
【0013】
いくつかの実施形態において、絶縁物の内層は無機フィラを0〜20重量%の範囲で有し、外層はコーティングされていない水酸化マグネシウムを55重量%以上有する。この層構成の組合せは、外層に強い難燃性があり、内層に難燃性がないか若干ある絶縁物を提供する。これにより、内層が電気的性能の要求事項を満たし、外層が絶縁物の難燃性の要求事項を満たすことができる。
【0014】
多くの実施形態において、絶縁物は2層のみを有する。しかし、内層及び外層の間に1以上の中間層があってもよい。3層以上の場合、好適には3層、4層又は5層であり、より好適には3層である。
【0015】
好適な実施形態において、内層及び外層の一方又は両方はポリプロピレンコポリマからなる。内層及び外層の双方がポリプロピレンからなることが望ましいことが多い。ポリプロピレンはポリプロピレンホモポリマ又はコポリマでもよいが、代表的にはポリプロピレンはポリプロピレンコポリマである。コポリマは、より良好な柔軟性及び伸び抵抗性を与えるので好ましい。さらに、コポリマは代表的には、ホモポリマより良好な低温特性及びクラック抵抗性を示す。
【0016】
内層がポリプロピレンからなる場合、ポリプロピレンは好適には20〜50重量%の範囲にあり、より好適には25〜35重量%の範囲にある。内層は好適には、高密度ポリエチレンを30〜60重量%、熱可塑性エラストマを5〜15重量%、抗酸化物質パッケージを1〜6重量%、及び重要でない成分を5重量%までのうちから選択された1以上の成分をさらに有してもよい。例えば、絶縁物の内層は、ポリエチレンコポリマを30重量%、高密度ポリエチレンを52重量%、熱可塑性エラストマを9重量%、抗酸化物質パッケージを4重量%、及び重要でない成分を5重量%有する。
【0017】
特に有利な実施形態において、内層は、ポリエチレンを20〜50重量%、高密度ポリエチレンを30〜60重量%、熱可塑性エラストマを5〜15重量%、抗酸化物質パッケージを1〜6重量%、及び重要でない成分を5重量%までをさらに有する。
【0018】
エラストマは絶縁物の柔軟性を改善することにより、使用中に電線を曲げる結果の損傷を低減する。エラストマは、例えばEPDMベースのエラストマであってもよいが、当業者であれば多くの異なるエラストマが本発明に使用できることを理解するであろう。
【0019】
本発明における使用に適する重要でない成分のタイプは当業者には周知であり、例えば(硫化亜鉛)銅安定剤、架橋促進剤、顔料及び加工補助剤が含まれる。安定剤は、エンジンハーネス部品との互換性を増大し、自動車環境で使用される侵攻性液体に対して利用可能な保護を改良する。
【0020】
内層は、公知の電線すなわちケーブル絶縁物の内層に典型的な厚さであってもよく、保護される電線すなわちケーブルのゲージに依存する。しかし、内層は、厚さが0.1〜0.25mmの範囲にあるのが好適である。0.75mm2ゲージの一次電線が使用される場合、内層は好適には約0.15mmの厚さを有するが、この厚さは他のゲージの電線及びケーブルの保護にも適当である。
【0021】
或る実施形態では、外層の難燃性の品質は、2以上のフィラ互換性エラストマ(例えば、フィラ粒子を濡らすことができるエラストマ、これによりフィラ及びエラストマ間の混合を容易にする)の外層構成内に含まれることを通して達成される。好適には、外層は、2つのエラストマ、すなわちコーティングされる電線又はケーブルのゲージに依存して二次エラストマに対する一次エラストマの約4:1から約2:1までの範囲、好適には約3:1の重量比で現れることが多い一次エラストマ及び二次エラストマを具備する。代表的には、一次エラストマは、絶縁物の最も大きな比で現れるエラストマである。これらエラストマ及びフィラの組合せは、良好な機械的性能、摩耗抵抗および低温の振舞いを有する外層を提供する。
【0022】
当業者であれば理解するように、多くの異なるエラストマが使用可能である。しかし、一次及び二次エラストマの各々が、エチレンプロピレンエラストマ、変性ポリエチレン樹脂、ポリプロピレンコポリマ及びエチレン・プロピレン合金から選択されるのが好適である。いくつかの実施形態において、一次エラストマはエチレンプロピレンエラストマであり、二次エラストマは変性ポリエチレン樹脂である。エチレンプロピレンエラストマは冷風性能を改善し、ポリエチレン樹脂は層の摩耗特性及び機械的強度を改良する。別の実施形態において、一次エラストマはポリプロピレンコポリマであり、二次エラストマはエチレン・プロピレン合金である。
【0023】
外層は、コーティングされていない水酸化マグネシウム難燃剤に加えて、0〜50重量%のポリプロピレン、好適には0〜20重量%のポリプロピレン、より好適には5〜16重量%のポリプロピレンを具備してもよい。
【0024】
外層は、一次エラストマを6〜12重量%、二次エラストマを3〜8重量%、コーティングされていない水酸化マグネシウムを55〜70重量%、抗酸化物質パッケージを1〜6重量%、及び重要でない成分を6重量%までから選択された1以上の成分をさらに有してもよい。例えば、外層は、ポリプロピレンコポリマを16重量%、一次エラストマを9重量%、二次エラストマを5重量%、抗酸化物質パッケージを4重量%、及び重要でない成分を6重量%までから選択された1以上の成分を有してもよい。外層に混入された重要でない成分は、上述したように内層に含まれるのに適当な成分と同様である。
【0025】
特に利点のある実施形態において、外層は、ポリプロピレンを20〜50重量%、一次エラストマを6〜12重量%、二次エラストマを3〜8重量%、コーティングされていない水酸化マグネシウムを55〜70重量%、抗酸化物質パッケージを1〜6重量%、及び重要でない成分を6重量%までを有してもよい。
【0026】
或いは、外層は、(ポリプロピレンに加えて)エチレン・プロピレン合金を15〜30重量%、コーティングされていない水酸化マグネシウムを55〜70重量%、抗酸化物質パッケージを1〜6重量%、及び重要でない成分を6重量%までから選択された1以上の成分を有してもよい。例えば、外層は、ポリプロピレンコポリマを5重量%、エチレン・プロピレン合金を24重量%、コーティングされていない水酸化マグネシウムを61重量%、抗酸化物質パッケージを4重量%、及び重要でない成分を6重量%までから選択された1以上の成分を有してもよい。
【0027】
外層は、ポリプロピレンコポリマを0〜10重量%、エチレン・プロピレン合金を15〜30重量%、コーティングされていない水酸化マグネシウムを55〜70重量%、抗酸化物質パッケージを1〜6重量%、及び重要でない成分を6重量%までを有することが望ましいことが多い。
【0028】
コーティングされていない水酸化マグネシウム(外層に現れるか、内層又は外層に任意に現れる)は、3〜40μmの範囲、好適には10〜20μmの範囲の粒子寸法(d90)を有するのが好適である。最も好適な粒子寸法は約15μmであり、少なくとも摩耗抵抗及び高温での安定性の観点で低品質の絶縁物となると予想される無機難燃性のために、特に粗い粒子寸法である。絶縁物を含む公知の水酸化マグネシウムは代表的には、3μmより小さい粒子寸法の水酸化マグネシウムを有する。しかし、驚いたことに、本発明の絶縁物に比較的粗い粒状物質を混入すると、異例な特性を有する絶縁物を提供することが判明した。
【0029】
内層と同様に、外層は、電線すなわちケーブルの絶縁物に典型的に使用される厚さの範囲であってもよく、覆われる電線又はケーブルの厚さに依存する。しかし、上述したように、外層の厚さは0.1〜0.25mmの範囲であることが好ましい。0.75mm2ゲージの一次電線が使用される場合、外層は好ましくは約0.15mmの厚さを有するが、この厚さはまた、他のゲージの電線及びケーブルと共に使用するのに適当である。
【0030】
絶縁物の合計組合せ厚さは、コーティングされる電線のゲージに依存して0.1〜0.5mmの範囲内、好適には0.2〜0.35mmの範囲内にあり、内層及び外層が層の厚さにより2.5:1から1:2.5の比、好適には2:1から1:2の範囲にあってもよい。
【0031】
本発明の第2の側面において、絶縁電線すなわちケーブルの製造方法が提供される。ここで、絶縁物は、少なくとも内層及び外層からなる零ハロゲン絶縁物であり、外層はコーティングされていない水酸化マグネシウムを有する。製造方法は、電線すなわちケーブルに絶縁物を直接共に押出し成形する工程を有する。
【0032】
本発明の第2の側面において、絶縁電線すなわちケーブルの製造方法が提供される。ここで、絶縁物は、少なくとも内層及び外層からなる零ハロゲン絶縁物であり、外層はコーティングされていない水酸化マグネシウムを有する。製造方法は、内層、外層及び任意の付加的な介在層を電線すなわちケーブルに順次押出し成形する工程を有する。
【0033】
安定した二重又は多重層の絶縁物が形成されるので、絶縁物の製造中に、絶縁物の層が強力な結合を形成することが好ましい。この結合は、化学的相互作用、機械的相互作用、又は化学的及び機械的相互作用の組合せであってもよい。例えば、結合は、層間の接合面での低レベルの機械的混合又は相互拡散により、共押出し成形中に生ずる。或いは、結合は、層間の共有結合又は分子間結合により生ずる。層間の強力な結合の形成は、外層が内層の利点のある多くの機械的特性を採用すると、絶縁物の伸び及び摩耗抵抗を改善するものと考えられる。
【0034】
本発明で提供された数多くの値が、他の明記されていない限り、「約」の用語により変更されるものと解釈されるものと理解されたい。さらに、重量%の観点で与えられる値は、全体としての絶縁物の重量%として特に述べない限り、所与の層内の特定成分の重量%を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図1を参照して本発明の一実施形態を、限定目的ではない例として詳細に説明する。図1は、本発明の絶縁物でコーティングされた電線の概略的断面図である。
【0036】
図1の絶縁物は単一電線5を覆うが、複数の電線すなわちケーブルの用途にも等しく適する。以下に概説する特定例の一方に従って構成された内層10及び外層15がある。
【0037】
<実施例1>
内層及び外層を有する絶縁物は、0.75mm2ゲージの電線に共押出し成形された。内層及び外層はそれぞれ、0.15mmの厚さに現れた。
【0038】
内層は、ポリエチレンコポリマを30重量%、高密度ポリエチレンを52重量%、熱可塑性エラストマを9重量%、抗酸化物質パッケージを4重量%、及び、架橋促進剤、銅安定剤、顔料及び加工補助剤からなる通常の重要でない成分を5重量%までを有する。
【0039】
外層は、ポリプロピレンコポリマを16重量%、一次エラストマを9重量%、二次エラストマを5重量%、平均粒子寸法が15μmのコーティングされていない水酸化マグネシウムを60重量%、抗酸化物質パッケージを4重量%、及び、架橋促進剤、銅安定剤、顔料及び加工補助剤からなる通常の重要でない成分を6重量%までを有する。
【0040】
絶縁された電線は、125℃で3000時間の間、無傷であることが要求される「クラス3」要求事項を満たす自動車用配線としての使用に適する。
【0041】
<実施例2>
内層及び外層を有する絶縁物は、0.75mm2ゲージの電線に順次押出し成形された。内層及び外層はそれぞれ、0.2mmの厚さに現れた。
【0042】
内層の構成は実施例1の構成に対応し、外層は、ポリプロピレンコポリマを5重量%、約0.8のMFIを有する合金(エチレン・プロピレン合金)を24重量%、平均粒子寸法が15μmのコーティングされていない水酸化マグネシウムを61重量%、抗酸化物質パッケージを4重量%、及び、架橋促進剤、銅安定剤、顔料及び加工補助剤からなる通常の重要でない成分を6重量%までを有する。
【0043】
絶縁された電線は、125℃で3000時間の間、無傷であることが要求される「クラス3」要求事項を満たす自動車用配線としての使用に適する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の絶縁物でコーティングされた電線の概略的断面図である。
【符号の説明】
【0045】
5 電線
10 内層
15 外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも内層及び外層を具備し、
該外層は、コーティングされていない水酸化マグネシウムを有することを特徴とする零ハロゲン電線用の絶縁物。
【請求項2】
前記層の各々におけるハロゲンのレベル1重量%未満であることを特徴とする請求項1記載の絶縁物。
【請求項3】
前記内層は無機フィラを20重量%以下有することを特徴とする請求項1又は2記載の絶縁物。
【請求項4】
前記外層はコーティングされていない水酸化マグネシウムを55重量%以上有することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項5】
2層のみを有することを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項6】
前記内層及び前記外層の一方又は両方がポリプロピレンコポリマからなることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項7】
前記内層は、ポリプロピレンが20〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項6記載の絶縁物。
【請求項8】
前記内層は、高密度ポリエチレンを30〜60重量%、熱可塑性エラストマを5〜15重量%、抗酸化物質パッケージを1〜6重量%、及び重要でない成分を5重量%までのうちから選択された1以上の成分をさらに有することを特徴とする請求項7記載の絶縁物。
【請求項9】
前記内層は、ポリエチレンコポリマを30重量%、高密度ポリエチレンを52重量%、熱可塑性エラストマを9重量%、抗酸化物質パッケージを4重量%、及び重要でない成分を5重量%までのうちから選択された1以上の成分を有することを特徴とする請求項8記載の絶縁物。
【請求項10】
前記内層の厚さが0.1〜0.25mmの範囲にあることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項11】
前記外層は0〜50重量%のポリプロピレンを有することを特徴とする請求項6記載の絶縁物。
【請求項12】
前記外層は、2以上のフィラ互換性のあるエラストマからなることを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項13】
前記外層は、二次エラストマに対する一次エラストマの約4:1から約2:1までの範囲の重量比で現れる一次エラストマ及び二次エラストマを有することを特徴とする請求項12記載の絶縁物。
【請求項14】
前記一次及び二次エラストマの各々が、エチレンプロピレンエラストマ、変性ポリエチレン樹脂、ポリプロピレンコポリマ及びエチレン・プロピレン合金から選択されることを特徴とする請求項12又は13記載の絶縁物。
【請求項15】
前記一次エラストマはエチレンプロピレンエラストマであり、
前記二次エラストマは変性ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項14記載の絶縁物。
【請求項16】
前記一次エラストマはプロピレンコポリマであり、
前記二次エラストマはエチレン・ポリエチレン合金であることを特徴とする請求項14記載の絶縁物。
【請求項17】
前記外層は、一次エラストマを6〜12重量%、二次エラストマを3〜8重量%、コーティングされていない水酸化マグネシウムを55〜70重量%、抗酸化物質パッケージを1〜6重量%、及び重要でない成分を6重量%までから選択された1以上の成分をさらに有することを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項18】
前記外層は、ポリプロピレンコポリマを16重量%、一次エラストマを9重量%、二次エラストマを5重量%、抗酸化物質パッケージを4重量%、及び重要でない成分を6重量%までから選択された1以上の成分を有することを特徴とする請求項6ないし17のうちいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項19】
前記外層は、ポリプロピレンコポリマを0〜10重量%、エチレン・プロピレン合金を15〜30重量%、コーティングされていない水酸化マグネシウムを55〜70重量%、抗酸化物質パッケージを1〜6重量%、及び重要でない成分を6重量%までから選択された1以上の成分を有することを特徴とする請求項6ないし17のうちいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項20】
前記外層は、ポリプロピレンコポリマを5重量%、エチレン・プロピレン合金を24重量%、コーティングされていない水酸化マグネシウムを61重量%、抗酸化物質パッケージを4重量%、及び重要でない成分を6重量%までから選択された1以上の成分を有することを特徴とする請求項19記載の絶縁物。
【請求項21】
前記コーティングされていない水酸化マグネシウムは、3〜40μmの範囲の粒子寸法を有することを特徴とする請求項1ないし20のうちいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項22】
前記内層に対する前記外層の厚さの相対比が2:1から1:2の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし21のうちいずれか1項記載の絶縁物。
【請求項23】
絶縁物が少なくとも内層及び外層からなる零ハロゲン絶縁物であり、前記外層はコーティングされていない水酸化マグネシウムを有する絶縁電線の製造方法において、
前記電線に前記絶縁物を直接共に押出し成形する工程を具備することを特徴とする絶縁電線の製造方法。
【請求項24】
絶縁物が少なくとも内層及び外層からなる零ハロゲン絶縁物であり、前記外層はコーティングされていない水酸化マグネシウムを有する絶縁電線の製造方法において、
前記内層、前記外層及び任意の付加的な介在層を前記電線に順次押出し成形する工程を具備することを特徴とする絶縁電線の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−53233(P2008−53233A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216289(P2007−216289)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(502165089)タイコ エレクトロニクス ユーケー リミテッド (15)
【Fターム(参考)】