説明

電話システムおよび電話装置

【課題】ダイレクトインダイヤル番号のダイヤルにかかる手間を解消する電話システムおよび電話装置を提供する。
【解決手段】外線と内線とを収容する主装置210と、内線に接続される内線端末240からなり、主装置は、内線端末のダイレクトインダイヤル番号を通知するダイレクトインダイヤル番号通知手段を具備し、外線に接続された電話機3から、着信後予め設定された特定のコマンドを受信したとき、ダイレクトインダイヤル番号通知手段は、内線端末を含むダイレクトインダイヤル番号リストを電話機3へ送信する電話システム2により、達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話システムおよび電話装置に係り、ダイレクトインダイヤルの通知機能を有する電話システムおよび電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイレクトインダイヤルは、発呼者がPB(Push Button)信号で内線番号をダイヤルすることによって、外線から特定の内線電話機を呼び出す機能である。従って、ダイレクトインダイヤルを用いた発信を行う際には、相手先の電話番号のダイヤルに続けて、さらに内線番号(ダイレクトインダイヤル番号)をダイヤルするため、ダイヤル桁数が多くダイヤルに手間がかかる。
【0003】
これを解決する手段として、特許文献1には局線番号とダイレクトインダイヤル番号をペアで短縮ダイヤルに登録することで1回のダイヤルでダイレクトインダイヤルを使用可能とする方法が記載されている。しかし、特許文献1に記載の技術では、短縮ダイヤルを事前に登録する必要がある。また、ダイレクトインダイヤルでは、内線端末を呼び出すためのダイレクトインダイヤル(DID)番号を予め知っておく必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開昭60−100863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ダイレクトインダイヤル番号を短縮ダイヤルに登録しなくても、ダイヤルの手間を解消する電話システムおよび電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題は、外線と内線とを収容する主装置と、内線に接続される内線端末から成り、主装置は、内線端末のダイレクトインダイヤル番号を通知するダイレクトインダイヤル番号通知手段を具備し、外線から、着信後予め設定された特定のコマンドを受信したとき、ダイレクトインダイヤル番号通知手段は、内線端末のダイレクトインダイヤル番号リストを外線へ送信する電話システムにより、達成できる。
【0007】
また、通信相手からのダイレクトインダイヤル番号リストを受信するダイレクトインダイヤル番号リスト受信手段と、受信したダイレクトインダイヤル番号リストを表示するダイレクトインダイヤル番号リスト表示手段とを具備し、ダイレクトインダイヤル番号リストをダイレクトインダイヤル番号リスト表示手段が表示しているとき、選択されたダイレクトインダイヤル番号を送信する電話装置により、達成できる。
【発明の効果】
【0008】
ダイレクトインダイヤル番号のダイヤルにかかる手間を低減した電話システムおよび電話装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図1から図5を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。ここで、図1は電話システムの構成図である。図2は内線電話システムの機能ブロック図である。図3は電話機の機能ブロック図である。図4は内線電話機と主装置とネットワークと電話機との間のシーケンス図である。図5は主装置のフローチャートである。
【0010】
図1において、電話ネットワーク10は内線電話システム2、ネットワーク1、電話機3とから構成される。さらに、内線電話システム2は主装置210とn台の内線電話機240から構成される。ネットワーク1は公衆ネットワーク網、または専用ネットワーク網である。電話機3は電話システム2へ発信し、電話機3がダイレクトインダイヤル番号リストを受信後、内線電話機240を選択して呼び出す。以後、ダイレクトインダイヤルをDIDと略す。
ここでは、公衆ネットワーク網として一般的なアナログ網に接続される場合を説明する。
【0011】
図2において、内線電話システム2は、主装置210とn台の内線電話機240とから構成されるが、図示の簡便のため1台の内線電話機240のみ図示している。内線電話機240は、表示部241、操作部242、スピーカ243、マイク244、主装置接続部246、制御部245から構成される。表示部241は、液晶表示部であり、発呼電話番号等を表示する。操作部242は、電話番号等のKEY入力部である。スピーカ243およびマイク244は、音声の出力と入力を行う。主装置接続部246は、主装置210との入出力を行う。制御部245は、内線電話機240の各部を制御する。
【0012】
主装置210は、内線電話機接続部211、表示制御部212、音声制御部213、メモリ部214、外線接続部215、モデム信号制御部217、電源218、制御部216から構成される。内線電話機接続部211は、内線電話機240との入出力を行う。表示制御部212は、内線電話機240の表示データ制御を行う。音声制御部213は、内線電話機240の音声データの制御を行う。音声制御部213は、また外線からの接続に対して応答メッセージの送出を行う。メモリ部214は、各内線電話240のDID番号、DID番号リスト送信許可先データベース(DB)等のデータを記憶する。外線接続部215は、外線との入出力を行う。モデム信号制御部217は、受信したモデム信号の解析を行う。電源218は、内線電話システム2の各部に電源供給を行う。制御部216は、主装置210の各部、内線電話機240の制御部245を制御する。
【0013】
なお、図示しないDID番号リスト送信許可先DBは、複数の発呼電話番号とDID番号リストの複数の組である。すなわち、DID番号リスト送信許可先DBは、予め登録された系列会社からの着信には、全てのDID番号を通知し、予め登録された顧客等からの着信には、特定部門のみ通知し、送信許可先に該当しない発呼電話番号には、予め登録されたオペレータ等の特定担当者のDID番号を通知するよう構成する。
【0014】
図3において、電話機3は、表示部301、スピーカ302、マイク303、操作部304、表示制御部305、音声制御部306、メモリ部308、外線接続部309、モデム信号制御部310、電源311、制御部307から構成される。表示部301は、液晶表示部であり、発呼番号や電話番号リスト等を表示する。スピーカ302およびマイク303は、音声の出入力を行う。操作部304は、電話番号等のKEY入力部である。表示制御部305は、表示データの制御を行う。音声制御部306は、音声データの処理を行う。メモリ部308は、相手毎の電話番号、受信したDID番号と外線電話番号等のデータを保存する。外線接続部309は、外線との入出力を行う。モデム信号制御部310は、受信したモデム信号の解析を行う。電源311は、電話機3の各部への電源供給を行う。制御部307は、電話機3の各部を制御する。
【0015】
図4において、電話機3のユーザの操作により、電話機3は、オフフック信号をネットワーク1に送出する(S401)。電話機3は、主装置210の局番号をダイヤルする(S402)。ネットワーク1は、主装置210への信号線の極性を反転する(S403)。ネットワーク1は、電話機3にRBT(Ring Back Tone)を送信し(S404)、さらに情報受信端末起動信号(CAR)を主装置210に送信する(S405)。主装置210は、外線をループ閉成することで一次応答する(S406)。
【0016】
ネットワーク1は、発番号情報を主装置210に送信する(S407)。主装置210は、モデム信号制御部217でモデム信号を受信し、制御部216で解析することで発呼番号(発番号)情報を取得する。発番号情報の受信完了で受信完了信号としてループ断によりネットワーク1に通知する(S408)。
【0017】
ここで、主装置210の制御部216は、DID番号リスト送信許可先DBに記録された外線番号と、取得した相手発番号を比較する(S409)。ここでは、一致しているとする。
【0018】
ネットワーク1は、主装置210に呼出信号(IR)を送信する(S410)。IRを受信した主装置210は、再びループ閉成することで二次応答する(S411)。二次応答を受信したネットワーク1は、発呼電話機3の信号線を極性反転し(S412)、主装置210の信号線を極性復極する(S413)。この結果、電話機3と主装置210とは、接続状態となる。
【0019】
電話機3が、ステップ409で送信を許可したとき、かつステップ402で予め設定された特定のダイヤル番号を発信したとき、またはDID番号リスト受信要求を送信したとき、主装置210は発番号に対応するDID番号リストを送信する。ここでは、後者とする。
【0020】
電話機3は、DID番号リスト受信要求を主装置210に送信する(S415)。DID番号リスト受信要求を受信した主装置210は、電話機3にDID番号リストを送信する(S416)。電話機3は、受信したDID番号リストを表示部301に表示し(S417)、ユーザの選択により、DID番号を主装置210に送信する(S419)。主装置210は、受信したDID番号を制御部216で解析し、内線電話機240を呼び出す(S420)。内線電話機240は、オフフックすることによって、応答を主装置210に送信する(S421)。主装置210は、内線電話機240の応答を検出し、電話機3は応答信号を送出する(S422)この応答信号を電話機3が受信することで、電話機3と内線電話機240は、通話状態となる。
【0021】
図5において、主装置210は、ネットワーク1から発番号情報を受信する(S407)と、受信完了信号をネットワーク1に返信する(S408)。主装置210は、ステップ407で受信した発番号がDID番号リスト送信許可先DBに登録されているか検索する(S4091)。ステップ4092は、その判定ステップであり、登録されているなら(YES)、DIDリスト送信可否ステイタスに送信許可を設定する(S4093)。ステップ4092がNOなら、DIDリスト送信可否ステイタスに送信禁止を設定する(S4094)。ステップ4091からステップ4093またはステップ4094が、DID番号リスト送信可否判定処理である(S409)。
【0022】
ステップ4093またはステップ4094から、ステップ410に遷移し、主装置210は、ネットワーク1からのIRを受信する。IRを受信した主装置210は、ネットワーク1に、二次応答を送信する(S411)。主装置210は、ネットワーク1による極性復極を検出する(S413)と、DIDリスト受信要求を待つ(S415)。一定時間内にDIDリスト受信要求があれば(YES)、DIDリスト送信可否ステイタスを判定するステップ424に遷移する。一方、ステップ415で、一定時間内にDIDリスト受信要求がなければ(NO)、ステップ419に遷移する。ステップ424で、送信許可ならば電話機3にDID番号リストを送信し(S416)、ステップ419に遷移する。一方、ステップ424で、送信禁止ならば電話機3にオペレータのDID番号を送信し(S425)、ステップ419に遷移する。
【0023】
ステップ419では、主装置210は、電話機3からのDID番号を受信し、当該内線を呼び出す(S420)。主装置210は、内線電話240からの応答信号を受信して(S421)、電話機3に応答信号を送信する(S422)。
なお、応答を待つステップでは、適宜タイムアウトしてよい。
【0024】
本実施例に拠れば、DID番号のダイヤルにかかる手間を低減した電話システムおよび電話装置を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】電話ネットワークの構成図である。
【図2】内線電話システムの機能ブロック図である。
【図3】電話機の機能ブロック図である。
【図4】内線電話機、主装置、ネットワークおよび電話機のシーケンス図である。
【図5】主装置におけるダイレクトインダイヤル番号リスト送信に係るフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
1…ネットワーク、2…内線電話システム、3…電話機、10…電話ネットワーク、210…主装置、240…内線電話機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外線と内線とを収容する主装置と、前記内線に接続される内線端末から成る電話システムにおいて、
前記主装置は、前記内線端末のダイレクトインダイヤル番号を通知するダイレクトインダイヤル番号通知手段を具備し、
前記外線から、着信後予め設定された特定のコマンドを受信したとき、前記ダイレクトインダイヤル番号通知手段は、前記内線端末のダイレクトインダイヤル番号リストを前記外線へ送信することを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話システムであって、
前記主装置は、前記外線から着信した相手電話番号を取得する相手電話番号取得手段と、ダイレクトインダイヤル番号の送信可否を判定する送信可否判定手段とをさらに具備し、
前記送信可否判定手段が、前記相手電話番号取得手段が取得した前記相手電話番号が、ダイレクトインダイヤル番号送信可と登録されていると判定したとき、前記ダイレクトインダイヤル番号通知手段は、前記内線端末を含むダイレクトインダイヤル番号リストを前記外線へ送信することを特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電話システムであって、
前記主装置は、前記外線から着信した相手電話番号を取得する相手電話番号取得手段と、ダイレクトインダイヤル番号の送信可否を判定する送信可否判定手段とをさらに具備し、
前記送信可否判定手段が、前記相手電話番号取得手段が取得した前記電話機の電話番号が、ダイレクトインダイヤル番号送信可と登録されていないと判定したとき、前記ダイレクトインダイヤル番号通知手段は、予め登録された特定のダイレクトインダイヤル番号を前記電話機へ送信することを特徴とする電話システム。
【請求項4】
通信相手からのダイレクトインダイヤル番号リストを受信するダイレクトインダイヤル番号リスト受信手段と、受信した前記ダイレクトインダイヤル番号リストを表示するダイレクトインダイヤル番号リスト表示手段とを具備し、
前記ダイレクトインダイヤル番号リストを前記ダイレクトインダイヤル番号リスト表示手段が表示しているとき、選択されたダイレクトインダイヤル番号を送信することを特徴とする電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−60826(P2008−60826A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234234(P2006−234234)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】