電話システム
【課題】スケジュールの設定を行ったパソコンから離れている場合にも、予め指定した電話にスケジュールの通知を行う。
【解決手段】IP交換網10に、IP電話付きパソコンであるクライアント端末20とモバイル端末30等を複数収容した電話システムにおいて、各クライアント端末20に、その使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理部と、前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視部と、前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ部とを設け、その登録された行動予定の時刻に使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、メッセージを音声で伝えるように構成する。
【解決手段】IP交換網10に、IP電話付きパソコンであるクライアント端末20とモバイル端末30等を複数収容した電話システムにおいて、各クライアント端末20に、その使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理部と、前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視部と、前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ部とを設け、その登録された行動予定の時刻に使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、メッセージを音声で伝えるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナル・コンピュータ(以下、「パソコン」という)をIP(Internet Protocol)電話として使用する電話システム、特にその電話によるスケジュールの通知機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パソコンにIP電話のソフトウエアを組み込み、送受話器(ハンドセット)やヘッドセット等を装着して電話機として使用するソフトフォンと、そのソフトフォンの使用者のスケジュール管理機能とを連携したプレゼンス機能付きIP電話機を用いた電話システムが、企業向けに積極的に取り入られている。プレゼンスとは、例えばパソコンの前にその使用者が「存在」するという状況を意味する言葉であるが、スケジュール管理機能と連携させることにより、「在席中」、「会議中」、「外出中」、「休暇中」等の使用者の状況を、プレゼンス情報として相手側へ伝えることが可能になる。
【0003】
こうしたプレゼンス情報に基づき、在席中であれば直接相手に電話をかけ、会議中であればメッセージを送り、外出中であれば携帯電話をかけるといった対応が可能になり、電話の不必要なかけ直しがなくなり、伝言メモを書く時間が省けるなど、効率的に業務を進めることができる。
【0004】
下記特許文献1には、IP交換網に接続される複数のIP電話機能付きパソコン(以下、「クライアント端末」という)に対して呼制御サービスを行うSIP(Session Initiation Protocol)サーバに、個々のクライアント端末のプレゼンス情報を保持して提供する機能を付加し、個々のクライアント端末は、状態が変化したときにSIPサーバ内のプレゼンス情報を更新するように構成した電話システムが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−184755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記電話システムでは、他者にはプレゼンス情報によって自分の具体的なスケジュールを通知することができるが、そのスケジュールの設定を行った本人自身がその時刻にパソコンから離席している場合、自分のスケジュールを把握することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、スケジュールの設定を行ったパソコンから離れている場合にも、予め指定した電話にスケジュールの通知を行うことができる電話システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内の第1の発明は、電話機能付きコンピュータを含む複数の電話機を交換機能付き通信網によって相互に接続する電話システムにおいて、前記電話機能付きコンピュータは、その使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理手段と、前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視手段と、前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ手段とを備え、前記登録された行動予定の時刻に前記使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に前記連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、前記メッセージを音声で伝えるように構成したことを特徴としている。
【0009】
第2の発明は、電話機能付きコンピュータを含む複数の電話機を交換機能付き通信網によって相互に接続する電話システムにおいて、前記電話機能付きコンピュータの使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理手段と、前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視手段と、前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ手段とを有するアプリケーションサーバを設け、前記登録された行動予定の時刻に前記使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に前記連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、前記メッセージを音声で伝えるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、電話機能付きコンピュータの使用者の行動予定を登録しておき、その予定時刻に使用者が不在であれば、予め登録してある連絡先の電話機に音声でメッセージが伝えられる。これにより、スケジュールの設定を行ったパソコンから離れている場合にも、予め指定した電話にスケジュールの通知を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、次の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。但し、図面は、もっぱら解説のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1を示す電話システムの概略の構成図である。
この電話システムは、IP交換網10と、これに接続される複数のクライアント端末20及びモバイル端末30と、このIP交換網10に接続される複数のクライアント端末20やモバイル端末30に対する呼制御サービス等を行うSIPサーバ40で構成されている。
【0013】
IP交換網10は、インターネットをベースとした電話交換網であり、クライアント端末20は、後述するように、汎用のパソコンにIP電話機能とスケジュール管理機能を組み込んだものである。また、モバイル端末30は、PHS(Personal Handyphone System)や携帯電話を代表とする通常の携帯端末である。
【0014】
SIPサーバ40は、VoIP(Voice over Internet Protocol)を応用したインターネット電話で用いられる通話制御プロトコルであるSIPを用いて呼制御とプレゼンス情報サービスを実現するサーバで、呼制御部41、プレゼンス部42及びSIPデータベース43で構成されている。なお、VoIPは、インターネットやイントラネット等を使って音声データを送受信する技術であり、SIPは、電話やインスタントメッセンジャーのような1対1、或いは複数の参加者間のひとまとまりの通信を開始、変更及び完了するアプリケーション層のシグナリングプロトコルである。
【0015】
呼制御部41は、電話の発信及び着信の制御を行うもので、プレゼンス部42は、各クライアント端末20のプレゼンス情報を管理し、要請に応じて他のクライアント端末20にその情報を提供するものである。また、SIPデータベース43は、各クライアント端末20のログイン情報、登録者、プレゼンス情報等を格納するための記憶部である。
【0016】
図2は、図1中のクライアント端末20のシステム構成図である。
クライアント端末20は、前述のように、通常のパソコンとしての機能を実現するハードウエアとソフトウエアに加えて、IP電話機として使用するためのハードウエアとソフトウエアを組み込んだものである。この図2では、IP電話機能とスケジュール管理機能に関する部分のみを示している。
【0017】
このクライアント端末20は、ソフトフォンモジュールとスケジュール管理モジュールを備えている。ソフトフォンモジュールは、呼制御部21、プレゼンス部22及びモジュール間インタフェース23を有し、スケジュール管理モジュールはモジュール間インタフェース24、スケジュール管理部25、状態管理部26及びテキストスピーチ部27を有している。
【0018】
呼制御部21は、IP交換網10を介して他のクライアント端末20やモバイル端末30、及びSIPサーバ40との間で電話の発着信、音声のやり取り、通話の切断等の一般的な電話の制御を行うものである。
【0019】
プレゼンス部22は、そのクライアント端末20自体のログイン状態や使用者の離籍状態を監視し、変化を検出したときにSIPサーバ40に対してその状態を通知する機能を有している。また、プレゼンス部22は、SIPサーバ40から他のクライアント端末20のプレゼンス情報を取得する機能も有している。
【0020】
モジュール間インタフェース23,24は、プロセス間通信を用いてソフトフォンモジュールとスケジュール管理モジュールの間での通信を行うもので、イベントを送受信することにより、相互に相手のモジュールを呼び出す機能や、呼び出したモジュールからの戻り値を受け取る機能を有している。
【0021】
スケジュール管理部25は、パソコンの使用者の行動予定を登録しておくためのカレンダーを有し、このカレンダーに登録された予定時刻にアラーム表示を行う等の一般的なパソコンにも搭載される機能である。このスケジュール管理部25は、例えば、「3月1日9時から11時まで会議、場所は第1会議室」、「3月2日13時から16時まで外出、連絡先電話090−xxxxxxxx」、「3月3日休暇」等のスケジュールと可能な場合の連絡先の電話番号を保持・管理する機能を有している。
【0022】
状態管理部26は、パソコンのスクリーンセーバやスクリーンロックの起動を監視したり、マウスやキーボードからの入力操作が一定時間以上途絶えたりすることを監視して、パソコンの使用者が離席していることを判断するものである。更に、状態管理部26は、例えばTCP/IP等のネットワークプロトコルを利用して他のクライアント端末に接続し、そのクライアント端末の状態情報を取得する機能も有している。
【0023】
テキストスピーチ部27は、テキスト文書で記述されているデータをアナログの音声信号に変換することにより、その文章を音声で読み上げるものである。例えば、テキストスピーチ部27は、スケジュール管理部25に登録された「3月1日9時から11時まで会議、場所は第1会議室」の内容を音声で出力する機能を有している。なお、出力される音声信号は、IP電話機のハードウエアである送受話器からの音声信号と同様の経路で、接続相手の電話機に送信されるようになっている。
【0024】
図3は、図2中のスケジュール管理モジュールの動作を示すフローチャートである。以下、この図3を用いて、本実施例の特徴である電話によるスケジュールの通知動作を説明する。
【0025】
クライアント端末20のスケジュール管理モジュールが動作状態になると、図3のステップS1において、スケジュール管理部25に登録されているスケジュールの開始または終了の予定時刻まで待機する。これは、一定周期でスケジュール管理部25の登録内容と現在時刻を比較する方法でも良いし、予めタイマーをセットして割り込み信号の発生を待つようにしても良い。予定時刻になると、ステップS2へ進む。
【0026】
ステップS2において、状態管理部26によってパソコンの使用者が在席しているか離席しているかが判定される。在席していると判定されれば、ステップS7へ進み、離席していると判定されれば、ステップS3へ進む。
【0027】
ステップS3において、モジュール間インタフェース24は、スケジュール管理部25に登録されているスケジュールに対する連絡先を取得し、ソフトフォンモジュール側のモジュール間インタフェース23に対して、連絡先の電話番号を含む発信イベントを送信する。これにより、ソフトフォンモジュールの呼制御部21は、SIPサーバ40を経由して連絡先電話番号に対する発信を行う。その後、ステップS4へ進み、連絡先の電話機からの応答を監視する。
【0028】
ステップS4において、通話の確立が確認された場合はステップS6へ進む。連絡先の電話機が応答しなかったり、着信が拒否されたりして通話が確立されない場合は、ステップS5へ進む。
【0029】
ステップS5において、予め設定してある一定時間を置いて、モジュール間インタフェース24は、規定回数の再発信を行う。もしも、規定回数の再発信によっても通話が確立されなければ、ステップS7へ進む。
【0030】
ステップS6では、通話の確立を受けて、テキストスピーチ部27が起動され、スケジュール管理部25に登録されているスケジュール内容とその時刻のデータが、アナログの音声信号に変換される。生成された音声信号は、IP電話機の送受話器からの音声信号と同様の経路で、接続相手の電話機に送信される。これにより、連絡先として指定されたモバイル端末等の電話機に、スケジュール内容と時刻が音声で出力される。その後、ステップS7へ進む。
【0031】
ステップS7において、音声での通知の成否にかかわらずプレゼンス情報を更新し、ステップS8へ進む。
【0032】
ステップS8において、スケジュール管理部25に次のスケジュールが登録されているか否かが判定され、登録されていればステップS1へ戻り、ステップS1〜S7の処理が繰り返される。次のスケジュールが登録されていなければ、スケジュール管理モジュールの動作は終了する。
【0033】
図4は、図1の電話システムの動作シーケンスを示す図である。以下、この図4を用いて、実施例1の電話システムにおけるスケジュールの通知シーケンスを説明する。
【0034】
スケジュール管理モジュールのスケジュール管理部25は、登録されたスケジュールの時刻になると、モジュール間インタフェース24に呼び出し要求を行う。これにより、モジュール間インタフェース24は、ソフトフォンモジュールのモジュール間インタフェース23に対してイベントを送信する。
【0035】
モジュール間インタフェース23は、モジュール間インタフェース24から受け取ったイベントに基づいて、呼制御部21に対して発呼要求を行う。呼制御部21は、SIPサーバ40に対して発信要求を送信し、SIPサーバ40は、連絡先に指定されているモバイル端末30に発信要求を送信する。
【0036】
発信要求に従ってモバイル端末30が応答すると、このモバイル端末30からSIPサーバ40に応答信号が送信され、更にSIPサーバ40から発信元のクライアント端末20の呼制御部21に応答信号が送信される。
【0037】
応答信号に従って呼制御部21は、モジュール間インタフェース23に応答通知を出力する。これにより、モジュール間インタフェース23は、スケジュール管理モジュールのモジュール間インタフェース24に対してイベントを送信する。
【0038】
モジュール間インタフェース24は、モジュール間インタフェース23から受け取ったイベントに基づいて、テキストスピーチ部27に対して音声通知要求を行う。テキストスピーチ部27は、スケジュール管理部25からスケジュール内容を取得し、その内容を音声信号に変換して電話用の音声経路に出力する。これにより、スケジュール内容が音声の状態で連絡先のモバイル端末30に伝えられる。
【0039】
モバイル端末30が通話を切断すると、切断信号がSIP40を介して発信元のクライアント端末20に伝えられ、テキストスピーチ部27の動作は停止させられる。
【0040】
以上のように、この実施例1の電話システムは、IP電話機能つきのパソコンに、使用者が在席しているか不在かを管理する状態管理部26を設けると共に、スケジュールの内容を音声に変換して電話によって送信するテキストスピーチ部27を設けている。これにより、スケジュールを登録しておけば、離席時においても、携帯電話等によって自分自身にスケジュール内容等を知らせることができるという利点がある。
【実施例2】
【0041】
実施例1では、各クライアント端末20が、それぞれのスケジュール管理モジュールを備え、スケジュール管理部25に使用者のスケジュールを登録しておき、離席時には連絡先の電話機に音声でスケジュールを伝えるようにしていた。このため、スケジュール管理を行っていないパソコンには適用することができず、更に、スケジュール管理部25の他にテキストスピーチ部27も必要になるなど、適用範囲が限定されるという制約があった。
【0042】
実施例2の電話システムは、スケジュール管理とテキストスピーチの機能をアプリケーションサーバとして独立させることにより、単純なソフトフォン機能しか持たないパソコンでも利用できるようにしたものである。
【0043】
図5は、本発明の実施例2を示す電話システムの概略の構成図であり、図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0044】
この電話システムは、インターネット通信網50と、これに接続される複数のクライアント端末60及びモバイル端末30と、SIPサーバ40と、アプリケーションサーバ70で構成されている。
【0045】
インターネット通信網50は、TCP/IPプロトコルを用いる一般的なパケット通信網である。クライアント端末60は、汎用のパソコンにIP電話機能を組み込んだもので、IP電話機能としては、例えば図2中のソフトフォンモジュールに相当するものであれば十分である。
【0046】
アプリケーションサーバ70は、スケジュール管理部71、ダイアラサービス部72、テキストスピーチ部73、及び状態管理部74を有している。
【0047】
スケジュール管理部71は、各クライアント端末60の使用者の予定を集中して管理するためのカレンダーを有し、このカレンダーに登録された予定時刻に該当するクライアント端末等に通知を行うものである。スケジュール管理部71は、実施例1におけるクライアント端末20のスケジュール管理部25と同様の情報を管理するようになっている。
【0048】
ダイアラサービス部72は、インターネット通信網50を介してSIPサーバ40やクライアント端末60等との間の接続を制御するものである。
【0049】
テキストスピーチ部73は、実施例1におけるクライアント端末20のテキストスピーチ部27と同様に、テキスト文書で記述されているデータをアナログの音声信号に変換することにより、その文章を音声で読み上げるものである。
【0050】
状態管理部74は、インターネット通信網50を介して各クライアント端末のプレゼンス情報を取得して管理するものである。その他のモバイル端末30とSIPサーバ40は、実施例1で説明したとおりである。
【0051】
図6は、図5の電話システムの動作シーケンスを示す図である。以下、この図6を用いて、実施例2の電話システムにおけるスケジュールの通知シーケンスを説明する。
【0052】
アプリケーションサーバ70のスケジュール管理部71は、登録されている予定時刻まで待機し、予定時刻になるとSIPサーバ40のプレゼンス部42(または、状態管理部74)に対して、該当するクライアント端末60のプレゼンスを確認する。
【0053】
プレゼンス部42(または、状態管理部74)からの応答によって、該当するクライアント端末60の使用者の在席が確認されると、スケジュール管理部71は、次の予定時刻までの待機状態に移る。該当するクライアント端末60の使用者の在席が確認できない場合は、スケジュール管理部71に予め設定されている連絡先のモバイル端末30等の電話番号を取得し、ダイアラサービス部72を呼び出す。
【0054】
呼び出されたダイアラサービス部72は、SIPサーバ40の呼制御部41に対して、連絡先の電話番号に対する発呼要求を行う。これにより、呼制御部41から連絡先のモバイル端末30等に対する発信が行われる。連絡先の電話機が応答しなかったり、着信が拒否されたりして通話が確立されない場合は、呼制御部41からダイアラサービス部72へ、その旨の通知が行われる。この場合、ダイアラサービス部72は予め設定してある一定時間を置いて規定回数だけ再発信を行うことになる。なお、規定回数の再発信によっても通話が確立されなければ、発呼要求は取り下げられる。
【0055】
連絡先のモバイル端末30等から応答があると、呼制御部41を介してダイアラサービス部72にその旨の通知が行われ、ダイアラサービス部72は、テキストスピーチ部73に対して、スケジュール管理部71に登録されているスケジュール内容とその時刻のデータを音声に変換して通知するように、音声通知要求を出力する。
【0056】
これにより、該当するクライアント端末60の使用者のスケジュール内容とその時刻が、アナログの音声信号に変換される。生成された音声信号は、IP電話の音声信号と同様の経路で、接続相手のモバイル端末30等の電話機に送信される。従って、連絡先として指定されたモバイル端末等の電話機に、スケジュール内容と時刻が音声で出力される。
【0057】
モバイル端末30が通話を切断すると、切断信号がSIPサーバ40を介してアプリケーションサーバ70に伝えられ、テキストスピーチ部73の動作は停止させられる。
【0058】
以上のように、この実施例2の電話システムは、複数のクライアント端末60のプレゼンス情報を一括して管理すると共に、クライアント端末60の使用者が不在の時には、指定された連絡先の電話機に音声でスケジュールを伝えるためのアプリケーションサーバ70を有している。これにより、スケジュール管理機能やテキストスピーチ機能を持たないクライアント端末60の使用者でも、アプリケーションサーバ70に自分のスケジュールを登録しておけば、離席時においても、携帯電話等によって自分自身にスケジュール内容等を知ることができるという利点がある。
【0059】
なお、本発明は、上記実施例に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次のようなものがある。
(a) スケジュール管理部25,71は、登録されている予定時刻にプレゼンスの確認を行っているが、予定時刻よりも一定時間前の時刻を任意に設定して、プレゼンスの確認を行うようにしても良い。
(b) スケジュール管理部71は、該当するクライアント端末60の使用者の在席が確認されたときには、そのクライアント端末60にスケジュールの通知を出さないようにしているが、通知を希望するか否かを登録しておき、希望に応じて通知を行うようにしても良い。
(c) テキストスピーチ部27,73では、テキストデータを音声信号に変換しているが、予め録音した音声信号をデータに基づいて選択して出力するようにしても良い。
(d) 使用者が不在時にスケジュールを通知する連絡先の電話機は、モバイル端末30に限定するものではない。他のクライアント端末20,60に通知するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1を示す電話システムの概略の構成図である。
【図2】図1中のクライアント端末20のシステム構成図である。
【図3】図2中のスケジュール管理モジュールの動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の電話システムの動作シーケンスを示す図である。
【図5】本発明の実施例2を示す電話システムの概略の構成図である。
【図6】図5の電話システムの動作シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0061】
10 IP交換網
20,60 クライアント端末
21,41 呼制御部
22,42 プレゼンス部
23,24 モジュール間インタフェース
25,71 スケジュール管理部
26,74 状態管理部
27,73 テキストスピーチ部
30 モバイル端末
40 SIPサーバ
43 SIPデータベース
50 インターネット通信網
70 アプリケーションサーバ
72 ダイアラサービス部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナル・コンピュータ(以下、「パソコン」という)をIP(Internet Protocol)電話として使用する電話システム、特にその電話によるスケジュールの通知機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パソコンにIP電話のソフトウエアを組み込み、送受話器(ハンドセット)やヘッドセット等を装着して電話機として使用するソフトフォンと、そのソフトフォンの使用者のスケジュール管理機能とを連携したプレゼンス機能付きIP電話機を用いた電話システムが、企業向けに積極的に取り入られている。プレゼンスとは、例えばパソコンの前にその使用者が「存在」するという状況を意味する言葉であるが、スケジュール管理機能と連携させることにより、「在席中」、「会議中」、「外出中」、「休暇中」等の使用者の状況を、プレゼンス情報として相手側へ伝えることが可能になる。
【0003】
こうしたプレゼンス情報に基づき、在席中であれば直接相手に電話をかけ、会議中であればメッセージを送り、外出中であれば携帯電話をかけるといった対応が可能になり、電話の不必要なかけ直しがなくなり、伝言メモを書く時間が省けるなど、効率的に業務を進めることができる。
【0004】
下記特許文献1には、IP交換網に接続される複数のIP電話機能付きパソコン(以下、「クライアント端末」という)に対して呼制御サービスを行うSIP(Session Initiation Protocol)サーバに、個々のクライアント端末のプレゼンス情報を保持して提供する機能を付加し、個々のクライアント端末は、状態が変化したときにSIPサーバ内のプレゼンス情報を更新するように構成した電話システムが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−184755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記電話システムでは、他者にはプレゼンス情報によって自分の具体的なスケジュールを通知することができるが、そのスケジュールの設定を行った本人自身がその時刻にパソコンから離席している場合、自分のスケジュールを把握することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、スケジュールの設定を行ったパソコンから離れている場合にも、予め指定した電話にスケジュールの通知を行うことができる電話システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内の第1の発明は、電話機能付きコンピュータを含む複数の電話機を交換機能付き通信網によって相互に接続する電話システムにおいて、前記電話機能付きコンピュータは、その使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理手段と、前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視手段と、前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ手段とを備え、前記登録された行動予定の時刻に前記使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に前記連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、前記メッセージを音声で伝えるように構成したことを特徴としている。
【0009】
第2の発明は、電話機能付きコンピュータを含む複数の電話機を交換機能付き通信網によって相互に接続する電話システムにおいて、前記電話機能付きコンピュータの使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理手段と、前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視手段と、前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ手段とを有するアプリケーションサーバを設け、前記登録された行動予定の時刻に前記使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に前記連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、前記メッセージを音声で伝えるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、電話機能付きコンピュータの使用者の行動予定を登録しておき、その予定時刻に使用者が不在であれば、予め登録してある連絡先の電話機に音声でメッセージが伝えられる。これにより、スケジュールの設定を行ったパソコンから離れている場合にも、予め指定した電話にスケジュールの通知を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、次の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。但し、図面は、もっぱら解説のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1を示す電話システムの概略の構成図である。
この電話システムは、IP交換網10と、これに接続される複数のクライアント端末20及びモバイル端末30と、このIP交換網10に接続される複数のクライアント端末20やモバイル端末30に対する呼制御サービス等を行うSIPサーバ40で構成されている。
【0013】
IP交換網10は、インターネットをベースとした電話交換網であり、クライアント端末20は、後述するように、汎用のパソコンにIP電話機能とスケジュール管理機能を組み込んだものである。また、モバイル端末30は、PHS(Personal Handyphone System)や携帯電話を代表とする通常の携帯端末である。
【0014】
SIPサーバ40は、VoIP(Voice over Internet Protocol)を応用したインターネット電話で用いられる通話制御プロトコルであるSIPを用いて呼制御とプレゼンス情報サービスを実現するサーバで、呼制御部41、プレゼンス部42及びSIPデータベース43で構成されている。なお、VoIPは、インターネットやイントラネット等を使って音声データを送受信する技術であり、SIPは、電話やインスタントメッセンジャーのような1対1、或いは複数の参加者間のひとまとまりの通信を開始、変更及び完了するアプリケーション層のシグナリングプロトコルである。
【0015】
呼制御部41は、電話の発信及び着信の制御を行うもので、プレゼンス部42は、各クライアント端末20のプレゼンス情報を管理し、要請に応じて他のクライアント端末20にその情報を提供するものである。また、SIPデータベース43は、各クライアント端末20のログイン情報、登録者、プレゼンス情報等を格納するための記憶部である。
【0016】
図2は、図1中のクライアント端末20のシステム構成図である。
クライアント端末20は、前述のように、通常のパソコンとしての機能を実現するハードウエアとソフトウエアに加えて、IP電話機として使用するためのハードウエアとソフトウエアを組み込んだものである。この図2では、IP電話機能とスケジュール管理機能に関する部分のみを示している。
【0017】
このクライアント端末20は、ソフトフォンモジュールとスケジュール管理モジュールを備えている。ソフトフォンモジュールは、呼制御部21、プレゼンス部22及びモジュール間インタフェース23を有し、スケジュール管理モジュールはモジュール間インタフェース24、スケジュール管理部25、状態管理部26及びテキストスピーチ部27を有している。
【0018】
呼制御部21は、IP交換網10を介して他のクライアント端末20やモバイル端末30、及びSIPサーバ40との間で電話の発着信、音声のやり取り、通話の切断等の一般的な電話の制御を行うものである。
【0019】
プレゼンス部22は、そのクライアント端末20自体のログイン状態や使用者の離籍状態を監視し、変化を検出したときにSIPサーバ40に対してその状態を通知する機能を有している。また、プレゼンス部22は、SIPサーバ40から他のクライアント端末20のプレゼンス情報を取得する機能も有している。
【0020】
モジュール間インタフェース23,24は、プロセス間通信を用いてソフトフォンモジュールとスケジュール管理モジュールの間での通信を行うもので、イベントを送受信することにより、相互に相手のモジュールを呼び出す機能や、呼び出したモジュールからの戻り値を受け取る機能を有している。
【0021】
スケジュール管理部25は、パソコンの使用者の行動予定を登録しておくためのカレンダーを有し、このカレンダーに登録された予定時刻にアラーム表示を行う等の一般的なパソコンにも搭載される機能である。このスケジュール管理部25は、例えば、「3月1日9時から11時まで会議、場所は第1会議室」、「3月2日13時から16時まで外出、連絡先電話090−xxxxxxxx」、「3月3日休暇」等のスケジュールと可能な場合の連絡先の電話番号を保持・管理する機能を有している。
【0022】
状態管理部26は、パソコンのスクリーンセーバやスクリーンロックの起動を監視したり、マウスやキーボードからの入力操作が一定時間以上途絶えたりすることを監視して、パソコンの使用者が離席していることを判断するものである。更に、状態管理部26は、例えばTCP/IP等のネットワークプロトコルを利用して他のクライアント端末に接続し、そのクライアント端末の状態情報を取得する機能も有している。
【0023】
テキストスピーチ部27は、テキスト文書で記述されているデータをアナログの音声信号に変換することにより、その文章を音声で読み上げるものである。例えば、テキストスピーチ部27は、スケジュール管理部25に登録された「3月1日9時から11時まで会議、場所は第1会議室」の内容を音声で出力する機能を有している。なお、出力される音声信号は、IP電話機のハードウエアである送受話器からの音声信号と同様の経路で、接続相手の電話機に送信されるようになっている。
【0024】
図3は、図2中のスケジュール管理モジュールの動作を示すフローチャートである。以下、この図3を用いて、本実施例の特徴である電話によるスケジュールの通知動作を説明する。
【0025】
クライアント端末20のスケジュール管理モジュールが動作状態になると、図3のステップS1において、スケジュール管理部25に登録されているスケジュールの開始または終了の予定時刻まで待機する。これは、一定周期でスケジュール管理部25の登録内容と現在時刻を比較する方法でも良いし、予めタイマーをセットして割り込み信号の発生を待つようにしても良い。予定時刻になると、ステップS2へ進む。
【0026】
ステップS2において、状態管理部26によってパソコンの使用者が在席しているか離席しているかが判定される。在席していると判定されれば、ステップS7へ進み、離席していると判定されれば、ステップS3へ進む。
【0027】
ステップS3において、モジュール間インタフェース24は、スケジュール管理部25に登録されているスケジュールに対する連絡先を取得し、ソフトフォンモジュール側のモジュール間インタフェース23に対して、連絡先の電話番号を含む発信イベントを送信する。これにより、ソフトフォンモジュールの呼制御部21は、SIPサーバ40を経由して連絡先電話番号に対する発信を行う。その後、ステップS4へ進み、連絡先の電話機からの応答を監視する。
【0028】
ステップS4において、通話の確立が確認された場合はステップS6へ進む。連絡先の電話機が応答しなかったり、着信が拒否されたりして通話が確立されない場合は、ステップS5へ進む。
【0029】
ステップS5において、予め設定してある一定時間を置いて、モジュール間インタフェース24は、規定回数の再発信を行う。もしも、規定回数の再発信によっても通話が確立されなければ、ステップS7へ進む。
【0030】
ステップS6では、通話の確立を受けて、テキストスピーチ部27が起動され、スケジュール管理部25に登録されているスケジュール内容とその時刻のデータが、アナログの音声信号に変換される。生成された音声信号は、IP電話機の送受話器からの音声信号と同様の経路で、接続相手の電話機に送信される。これにより、連絡先として指定されたモバイル端末等の電話機に、スケジュール内容と時刻が音声で出力される。その後、ステップS7へ進む。
【0031】
ステップS7において、音声での通知の成否にかかわらずプレゼンス情報を更新し、ステップS8へ進む。
【0032】
ステップS8において、スケジュール管理部25に次のスケジュールが登録されているか否かが判定され、登録されていればステップS1へ戻り、ステップS1〜S7の処理が繰り返される。次のスケジュールが登録されていなければ、スケジュール管理モジュールの動作は終了する。
【0033】
図4は、図1の電話システムの動作シーケンスを示す図である。以下、この図4を用いて、実施例1の電話システムにおけるスケジュールの通知シーケンスを説明する。
【0034】
スケジュール管理モジュールのスケジュール管理部25は、登録されたスケジュールの時刻になると、モジュール間インタフェース24に呼び出し要求を行う。これにより、モジュール間インタフェース24は、ソフトフォンモジュールのモジュール間インタフェース23に対してイベントを送信する。
【0035】
モジュール間インタフェース23は、モジュール間インタフェース24から受け取ったイベントに基づいて、呼制御部21に対して発呼要求を行う。呼制御部21は、SIPサーバ40に対して発信要求を送信し、SIPサーバ40は、連絡先に指定されているモバイル端末30に発信要求を送信する。
【0036】
発信要求に従ってモバイル端末30が応答すると、このモバイル端末30からSIPサーバ40に応答信号が送信され、更にSIPサーバ40から発信元のクライアント端末20の呼制御部21に応答信号が送信される。
【0037】
応答信号に従って呼制御部21は、モジュール間インタフェース23に応答通知を出力する。これにより、モジュール間インタフェース23は、スケジュール管理モジュールのモジュール間インタフェース24に対してイベントを送信する。
【0038】
モジュール間インタフェース24は、モジュール間インタフェース23から受け取ったイベントに基づいて、テキストスピーチ部27に対して音声通知要求を行う。テキストスピーチ部27は、スケジュール管理部25からスケジュール内容を取得し、その内容を音声信号に変換して電話用の音声経路に出力する。これにより、スケジュール内容が音声の状態で連絡先のモバイル端末30に伝えられる。
【0039】
モバイル端末30が通話を切断すると、切断信号がSIP40を介して発信元のクライアント端末20に伝えられ、テキストスピーチ部27の動作は停止させられる。
【0040】
以上のように、この実施例1の電話システムは、IP電話機能つきのパソコンに、使用者が在席しているか不在かを管理する状態管理部26を設けると共に、スケジュールの内容を音声に変換して電話によって送信するテキストスピーチ部27を設けている。これにより、スケジュールを登録しておけば、離席時においても、携帯電話等によって自分自身にスケジュール内容等を知らせることができるという利点がある。
【実施例2】
【0041】
実施例1では、各クライアント端末20が、それぞれのスケジュール管理モジュールを備え、スケジュール管理部25に使用者のスケジュールを登録しておき、離席時には連絡先の電話機に音声でスケジュールを伝えるようにしていた。このため、スケジュール管理を行っていないパソコンには適用することができず、更に、スケジュール管理部25の他にテキストスピーチ部27も必要になるなど、適用範囲が限定されるという制約があった。
【0042】
実施例2の電話システムは、スケジュール管理とテキストスピーチの機能をアプリケーションサーバとして独立させることにより、単純なソフトフォン機能しか持たないパソコンでも利用できるようにしたものである。
【0043】
図5は、本発明の実施例2を示す電話システムの概略の構成図であり、図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0044】
この電話システムは、インターネット通信網50と、これに接続される複数のクライアント端末60及びモバイル端末30と、SIPサーバ40と、アプリケーションサーバ70で構成されている。
【0045】
インターネット通信網50は、TCP/IPプロトコルを用いる一般的なパケット通信網である。クライアント端末60は、汎用のパソコンにIP電話機能を組み込んだもので、IP電話機能としては、例えば図2中のソフトフォンモジュールに相当するものであれば十分である。
【0046】
アプリケーションサーバ70は、スケジュール管理部71、ダイアラサービス部72、テキストスピーチ部73、及び状態管理部74を有している。
【0047】
スケジュール管理部71は、各クライアント端末60の使用者の予定を集中して管理するためのカレンダーを有し、このカレンダーに登録された予定時刻に該当するクライアント端末等に通知を行うものである。スケジュール管理部71は、実施例1におけるクライアント端末20のスケジュール管理部25と同様の情報を管理するようになっている。
【0048】
ダイアラサービス部72は、インターネット通信網50を介してSIPサーバ40やクライアント端末60等との間の接続を制御するものである。
【0049】
テキストスピーチ部73は、実施例1におけるクライアント端末20のテキストスピーチ部27と同様に、テキスト文書で記述されているデータをアナログの音声信号に変換することにより、その文章を音声で読み上げるものである。
【0050】
状態管理部74は、インターネット通信網50を介して各クライアント端末のプレゼンス情報を取得して管理するものである。その他のモバイル端末30とSIPサーバ40は、実施例1で説明したとおりである。
【0051】
図6は、図5の電話システムの動作シーケンスを示す図である。以下、この図6を用いて、実施例2の電話システムにおけるスケジュールの通知シーケンスを説明する。
【0052】
アプリケーションサーバ70のスケジュール管理部71は、登録されている予定時刻まで待機し、予定時刻になるとSIPサーバ40のプレゼンス部42(または、状態管理部74)に対して、該当するクライアント端末60のプレゼンスを確認する。
【0053】
プレゼンス部42(または、状態管理部74)からの応答によって、該当するクライアント端末60の使用者の在席が確認されると、スケジュール管理部71は、次の予定時刻までの待機状態に移る。該当するクライアント端末60の使用者の在席が確認できない場合は、スケジュール管理部71に予め設定されている連絡先のモバイル端末30等の電話番号を取得し、ダイアラサービス部72を呼び出す。
【0054】
呼び出されたダイアラサービス部72は、SIPサーバ40の呼制御部41に対して、連絡先の電話番号に対する発呼要求を行う。これにより、呼制御部41から連絡先のモバイル端末30等に対する発信が行われる。連絡先の電話機が応答しなかったり、着信が拒否されたりして通話が確立されない場合は、呼制御部41からダイアラサービス部72へ、その旨の通知が行われる。この場合、ダイアラサービス部72は予め設定してある一定時間を置いて規定回数だけ再発信を行うことになる。なお、規定回数の再発信によっても通話が確立されなければ、発呼要求は取り下げられる。
【0055】
連絡先のモバイル端末30等から応答があると、呼制御部41を介してダイアラサービス部72にその旨の通知が行われ、ダイアラサービス部72は、テキストスピーチ部73に対して、スケジュール管理部71に登録されているスケジュール内容とその時刻のデータを音声に変換して通知するように、音声通知要求を出力する。
【0056】
これにより、該当するクライアント端末60の使用者のスケジュール内容とその時刻が、アナログの音声信号に変換される。生成された音声信号は、IP電話の音声信号と同様の経路で、接続相手のモバイル端末30等の電話機に送信される。従って、連絡先として指定されたモバイル端末等の電話機に、スケジュール内容と時刻が音声で出力される。
【0057】
モバイル端末30が通話を切断すると、切断信号がSIPサーバ40を介してアプリケーションサーバ70に伝えられ、テキストスピーチ部73の動作は停止させられる。
【0058】
以上のように、この実施例2の電話システムは、複数のクライアント端末60のプレゼンス情報を一括して管理すると共に、クライアント端末60の使用者が不在の時には、指定された連絡先の電話機に音声でスケジュールを伝えるためのアプリケーションサーバ70を有している。これにより、スケジュール管理機能やテキストスピーチ機能を持たないクライアント端末60の使用者でも、アプリケーションサーバ70に自分のスケジュールを登録しておけば、離席時においても、携帯電話等によって自分自身にスケジュール内容等を知ることができるという利点がある。
【0059】
なお、本発明は、上記実施例に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次のようなものがある。
(a) スケジュール管理部25,71は、登録されている予定時刻にプレゼンスの確認を行っているが、予定時刻よりも一定時間前の時刻を任意に設定して、プレゼンスの確認を行うようにしても良い。
(b) スケジュール管理部71は、該当するクライアント端末60の使用者の在席が確認されたときには、そのクライアント端末60にスケジュールの通知を出さないようにしているが、通知を希望するか否かを登録しておき、希望に応じて通知を行うようにしても良い。
(c) テキストスピーチ部27,73では、テキストデータを音声信号に変換しているが、予め録音した音声信号をデータに基づいて選択して出力するようにしても良い。
(d) 使用者が不在時にスケジュールを通知する連絡先の電話機は、モバイル端末30に限定するものではない。他のクライアント端末20,60に通知するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1を示す電話システムの概略の構成図である。
【図2】図1中のクライアント端末20のシステム構成図である。
【図3】図2中のスケジュール管理モジュールの動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の電話システムの動作シーケンスを示す図である。
【図5】本発明の実施例2を示す電話システムの概略の構成図である。
【図6】図5の電話システムの動作シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0061】
10 IP交換網
20,60 クライアント端末
21,41 呼制御部
22,42 プレゼンス部
23,24 モジュール間インタフェース
25,71 スケジュール管理部
26,74 状態管理部
27,73 テキストスピーチ部
30 モバイル端末
40 SIPサーバ
43 SIPデータベース
50 インターネット通信網
70 アプリケーションサーバ
72 ダイアラサービス部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機能付きコンピュータを含む複数の電話機を交換機能付き通信網によって相互に接続する電話システムであって、
前記電話機能付きコンピュータは、
その使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理手段と、
前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視手段と、
前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ手段とを備え、
前記登録された行動予定の時刻に前記使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に前記連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、前記メッセージを音声で伝えるように構成したことを特徴とする電話システム。
【請求項2】
電話機能付きコンピュータを含む複数の電話機を交換機能付き通信網によって相互に接続する電話システムにおいて、
前記電話機能付きコンピュータの使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理手段と、前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視手段と、前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ手段とを有するアプリケーションサーバを設け、
前記登録された行動予定の時刻に前記使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に前記連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、前記メッセージを音声で伝えるように構成したことを特徴とする電話システム。
【請求項1】
電話機能付きコンピュータを含む複数の電話機を交換機能付き通信網によって相互に接続する電話システムであって、
前記電話機能付きコンピュータは、
その使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理手段と、
前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視手段と、
前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ手段とを備え、
前記登録された行動予定の時刻に前記使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に前記連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、前記メッセージを音声で伝えるように構成したことを特徴とする電話システム。
【請求項2】
電話機能付きコンピュータを含む複数の電話機を交換機能付き通信網によって相互に接続する電話システムにおいて、
前記電話機能付きコンピュータの使用者の行動予定と不在時の連絡先の電話番号を予め登録して管理するスケジュール管理手段と、前記使用者による入力操作の状況を監視することによって該使用者が在席しているか不在であるかを判定する状態監視手段と、前記使用者に伝えるべきメッセージを音声信号として出力するスピーチ手段とを有するアプリケーションサーバを設け、
前記登録された行動予定の時刻に前記使用者が在席しているか否かを判定し、不在の場合に前記連絡先の電話番号の電話機を呼び出して、前記メッセージを音声で伝えるように構成したことを特徴とする電話システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2009−218855(P2009−218855A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60448(P2008−60448)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(595125421)沖通信システム株式会社 (131)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(595125421)沖通信システム株式会社 (131)
【Fターム(参考)】
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