説明

電話機

【課題】 被呼先がどこであっても、常に音量の安定したコールプログレストーンが発呼者の耳に届くようにした電話機を提供する。
【解決手段】 構内IP電話システム30の中のVoIP電話機33aは、インターネット網10や公衆回線網20を通じて外部のVoIP電話機13や加入者電話機21a、21b、21cに接続される。VoIP電話機33aより発呼すると、被呼側の電話機の状態に応じて送信側交換機又は着信側交換機よりビジートーン又はリングバックトーンが送出される。これらのコールプログレストーンを受け取ったVoIP電話機33aでは、
制御回路34が音量を調整したうえでスピーカ36を鳴動させ、一定音量の報知音を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機より発呼を行うと、被呼者側の電話機の状態を知らせるコールプログレストーン(call progress tone)が発呼者の耳に届く。コールプログレストーンは被呼者が話し中であることを知らせるビジートーン(busy tone)であったり、回線交換作業が終了し、被呼者を呼び出し中であることを知らせるリングバックトーン(ringing back tone)であったりする。ビジートーンは発信側交換機が送出し、リングバックトーンは着信側交換機が送出する。
【0003】
コールプログレストーンは、従来のPSTN 電話では、着信側の交換機が発生した各トーンを通話路経由で電話機のスピーカから再生する仕組みとなっている。これに対して、例えばSIP 電話機などでは、接続先や電話機の仕様によって動作が統一されていないために、PSTN 電話と同様に網側(ネットワーク側)から受信したトーンを音声として再生する場合と、電話機が自らの音源を使用してローカルで生成したトーンを鳴動する場合の、2 種類の方式が混在している。
【0004】
後者の例として、特許文献1には、交換機から直接リングバックトーンを送出するのでなく、電話機がコール設定要求に対する応答メッセージにリングバックトーンを挿入してコール設定を要求した電話機に伝送し、電話機自身にリングバックトーンを発生させるようにした電話システムが記載されている。
【特許文献1】特開2004−135329号公報(第9頁−第10頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電話機において、受話内容の出力経路(音声に変換する部分)はハンドセットであったり、本体スピーカであったり、ヘッドセットであったりする。それらの音量は使用者が設定できることとされているが、最小音量が設定されたとしても音が聞き取れるように、また最大音量が設定されたとしても音割れや音の歪みが発生したり、使用者が耳を傷めたりしないように配慮して設計がなされる。
【0006】
しかしながら、交換機やサーバ等の外部装置が生成し送出したコールプログレストーンを回線経由で音声として受信し、鳴動を行う場合、コールプログレストーンの音源が網側の外部装置にある場合と自電話機内部にある場合が混在しており、接続先によって入力レベルが異なるため、音量にばらつきが生じる。特許文献1に記載された電話機のようにリングバックトーンをデータとして受信し、音を再生する機能を有するものであっても、接続先によっては外部から音声として受信したリングバックトーンを鳴動させざるを得ないが、どちらの鳴動方式であるかによって音量が随分異なってくる。このように同種類のトーンでありながら被呼先によって音量が異なるというのは聞きやすいものではないうえ、発呼者が混乱する原因にもなる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、被呼先がどこであっても、常に音量の安定したコールプログレストーンが発呼者の耳に届くようにした電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために本発明の電話機は、外部よりコールプログレストーンが到来したとき、制御回路を介して常に所定音量レベルの報知音が使用者の耳に届くようにしたことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、コールプログレストーンは常に制御回路により所定音量の報知音に調整されるから、発呼者がトーンの音量のばらつきにとまどうことのない、使いやすい電話機とすることができる。
【0010】
(2)また本発明は、上記構成の電話機において、前記報知音は、前記コールプログレストーンを音量調整したものであることを特徴としている。
【0011】
この構成によると、外部からのコールプログレストーンを音色はそのままで、音量だけ聞きやすいものにして発呼者に聞かせることができる。
【0012】
(3)また本発明は、上記構成の電話機において、前記報知音は、前記コールプログレストーンの到来を受けて内部で生成したものであることを特徴としている。
【0013】
この構成によると、音質の良い内部生成のコールプログレストーンを発呼者に聞かせることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、被呼先がどこであっても発呼者に聞こえるコールプログレストーンは常に音量が一定したものになり、コールプログレストーンの音量のばらつきで発呼者が混乱するようなことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図に基づき説明する。図1は電話システムの概略構成図である。
【0016】
図1にはVoIP(voice over Internet protocol)サービスが利用可能な電話システム1が示されている。通信事業者が展開しているのは企業向けのIP電話サービスであるIPセントレックス(IP centrex)である。通信網としてはインターネット網10と公衆回線網20が存在する。
【0017】
インターネット網10には通信業者の保有するセントレックスサーバ11がルータ12を介して接続されている。インターネット網10にはこの他、構内IP電話システム30がルータ31を介して接続され、また構内IP電話システム30に属さないVoIP電話機13がルータ14を介して接続されている。
【0018】
公衆回線網20には加入者電話機(通常の電話機)が接続されている。加入者電話機としては、構内IP電話システム30と同一市外局番地域にある加入者電話機21aと、異なる市外局番地域にある加入者電話機21b、21cが例示されている。これらの加入者電話機とインターネット網10との間にはルータ15a、15b、15cとセントレックスゲートウェイ16a、16b、16cを経由する通信経路が形成されている。
【0019】
セントレックスサーバ11は交換機の機能を果たすものであり、IPパケットで送信される発呼要求の信号を受信すると、被呼側の電話機、すなわちインターネット網10に接続されたVoIP電話機や、公衆回線網20に接続された加入者電話機に対し発呼信号を送信する。被呼側が加入者電話機である場合、セントレックスサーバ11は最適な経路となるセントレックスゲートウェイを選択する。
【0020】
構内IP電話システム30においては、ルータ31にLANゲートウェイ32とVoIP電話機33a、33b、33c、・・・が接続されている。LANゲートウェイ32は、構内IP電話システム30と同一市外局番である地域の電話局に、インターネット網10を介することなく直接接続されている。従って構内IP電話システム30の中のVoIP電話機の通話先が同一市外局番地域内の加入者電話機であれば、その地域内の公衆回線網を通じて直接音声データとIPパケットの交換が行われることになる。
【0021】
VoIP電話機33aは、全体制御を司る制御回路34に、マイクロフォンや各種キーにより構成される入力部35と、受信内容や各種トーンを現実の音とするスピーカ36と、通話や設定などに係る視覚表示を行う表示部37と、制御回路34の動作に必要な情報を記憶するメモリ38を付属させた構造である。他のVoIP電話機も同じ構造で、端末を特定する番号が異なるのみである。
電話システム1は次のように動作する。VoIP電話機33aより発呼要求の信号がIPパケットで送信されると、それを受信したセントレックスサーバ11は、被呼先に応じて最適な通信経路を選択し、被呼先が例えば加入者電話機であれば、その加入者電話機に発呼信号を送信する。被呼者が話し中であればセントレックスサーバ11よりVoIP電話機33aに話し中であることを通知する信号が送信される。被呼側の電話機への接続が完了し、呼び出し中という局面では着信側交換機よりVoIP電話機33aに呼び出し中であることを通知する信号が送信される。
【0022】
このような状態通知の信号を受け取ったVoIP電話機33aは、VoIP電話機33aの内部で生成したコールプログレストーンを報知音として鳴動する。このとき、制御回路34はそれに対応する報知音のデータをメモリ38から読み出す。そのデータに基づきスピーカ36を鳴動させ、一定音量の報知音を発生させる。
【0023】
また、電話システム1は次のように動作する場合もある。被呼者が話し中であればセントレックスサーバ11よりVoIP電話機33aにビジートーンが送出される。被呼側の電話機への接続が完了し、呼び出し中という局面では着信側交換機よりVoIP電話機33aにリングバックトーンが送出される。
【0024】
ビジートーンやリングバックトーンなどのコールプログレストーンを受け取ったVoIP電話機33aは、音量データをメモリ38から読み出し、制御回路34でコールプログレストーンの音量を調整したうえでスピーカ36を鳴動させ、一定音量の報知音を発生させる。これにより、発呼者の耳には常に所定音量レベルの報知音が届くことになり、トーンの音量のばらつきにとまどうことはない。
【0025】
音量調整したコールプログレストーンをそのまま鳴動させるのでなく、VoIP電話機33aの内部で生成した音を報知音として鳴動させることもできる。すなわちコールプログレストーンの到来を受け、制御回路34はそれに対応する報知音のデータをメモリ38から読み出す。そのデータに基づきスピーカ36を鳴動させ、一定音量の報知音を発生させる。一般的に、外部から到来したコールプログレストーンの音質よりも内部で生成したトーンの方が音質が良いので、発呼者の耳には音質の良いコールプログレストーンが届くことになる。
【0026】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、電話機一般に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】電話システムの概略構成図
【符号の説明】
【0029】
1 電話システム
10 インターネット網
20 公衆回線網
21a、21b、21c 加入者電話機
30 構内IP電話システム
33a、33b、33c VoIP電話機
34 制御回路
36 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部よりコールプログレストーンが到来したとき、制御回路を介して常に所定音量レベルの報知音が使用者の耳に届くようにしたことを特徴とする電話機。
【請求項2】
前記報知音は、前記コールプログレストーンを音量調整したものであることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項3】
前記報知音は、前記コールプログレストーンの到来を受けて内部で生成したものであることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項4】
外部より到来する外部コールプログレストーンが到来しないがコールプログレストーンを出力する必要があるときに出力される内部コールプログレストーンを記憶する第1の記憶手段と、前記内部コールプログレストーンが出力される音量レベルを記憶する第2の記憶手段を備えた電話機において、
前記外部コールプログレストーンが到来したとき、外部コールプログレストーンを前記第2の記憶手段に記憶される音量レベルで出力する制御回路を備えたことを特徴とする電話機。
【請求項5】
外部より到来する外部コールプログレストーンが到来しないがコールプログレストーンを出力する必要があるときに出力される内部コールプログレストーンを記憶する第1の記憶手段と、前記内部コールプログレストーンが出力される音量レベルを記憶する第2の記憶手段を有する電話機において、
外部コールプログレストーンが到来したとき、外部コールプログレストーンでなく、前記内部コールプログレストーンを出力する制御回路を備えたことを特徴とする電話機。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−74107(P2007−74107A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256422(P2005−256422)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】