説明

電話管理サーバ、電話管理サーバの制御方法および制御プログラム

【課題】、設定の手間を軽減しつつ、公私別にキャリアからの請求管理を行う。
【解決手段】電話管理サーバ11の公私按分DBは、公用電話と私用電話を区別して経費を按分するための公私按分パターンを複数記憶し、公私按分パターンを通信ネットワーク12およびユーザ端末14〜17を介してユーザに対し提示する。これにより、電話管理サーバ11は、提示した公私按分パターンを通信ネットワーク11およびユーザ端末14〜17を介してユーザに選択させ、選択された公私按分パターンに基づいて電話回線に対応する請求金額に対する公私按分計算を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話管理サーバ、電話管理サーバの制御方法および制御プログラムに係り、特に公用電話と私用電話とを区別して、キャリアからの請求管理を行う電話管理サーバ、電話管理サーバの制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業において、電話機はその事業活動を行うにおいて欠くことのできないものである。近年、特に携帯電話機、PHS、自動車電話機等の移動通信の普及と需要増加が目覚ましくなっている。このような企業の事業活動に必須な電話機において、従来の室内固定設置型の電話機に加え、室外においても利用可能な携帯電話機やPHS等の利用頻度が特に著しく増加している。このようなことから、企業全体が利用する各電話機(電話回線)に対する電話会社からの請求金額の総額が増大しており、これらの通信経費をいかに削減するかということが企業にとって重要な問題となっている。
ところで、各電話会社(キャリア)は、各電話回線毎に個別に電話料金を請求しているが、企業規模が大きくなると電話回線数も多くなり、電話回線単位では処理が煩雑になってしまう。
そこで、従来においては、電話回線ごとではなく、会社単位、支社あるいは営業所単位で分割して一括請求するようにされていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−140453号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、いずれの請求方法によっても、私用電話や私用のインターネット利用などについては把握することは困難であり、企業にとっては、通信経費が必要以上にかさむこととなりうる。
特に携帯電話では、携帯して使用することが前提であるため、管理が難しくなると言う問題点が生じる。
この対策として、従来においては、電話回線の請求管理者が各回線の通話記録を調べて、各利用者に公私の区分けをさせた後、集計、按分するようにしていたが、これらの作業は、電話回線数の増加に伴い、煩雑になるとともに、毎月の定例業務となることから過大な労力が必要となるという問題点があった。
【0004】
これを解決すべく、特許文献1記載の技術が提案されているが、この電話料金の振分請求処理システムにおいては、社員などの個人を識別するとともに、通信先などを識別することにより公私按分を行うためには、各電話回線ごとに識別用データの設定を行う必要があり、数百台、数千台の電話機を有する企業などにおいては、設定の手間だけでも膨大になってしまうという問題点があった。
そこで本発明の目的は、設定の手間を軽減しつつ、公私別にキャリアからの請求管理を行うことが可能な電話管理サーバ、電話管理サーバの制御方法および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、通信ネットワークを介してユーザ端末が接続され、多数の電話回線を利用する組織において前記電話回線に対する電話管理業務を行うための電話管理サーバにおいて、公用電話と私用電話を区別して経費を按分するための公私按分パターンを複数記憶する公私按分パターン記憶部と、前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに対し提示する按分パターン提示部と、
前記提示された前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに選択させる按分パターン選択部と、選択された前記公私按分パターンに基づいて前記電話回線に対応する請求金額に対する公私按分計算を行う計算処理部と、を備えたことを特徴としている。
【0006】
上記構成によれば、公私按分パターン記憶部は、公用電話と私用電話を区別して経費を按分するための公私按分パターンを複数記憶する。
按分パターン提示部は、公私按分パターンを通信ネットワークおよびユーザ端末を介してユーザに対し提示する。
これにより、按分パターン選択部は、提示した公私按分パターンを通信ネットワークおよびユーザ端末を介してユーザに選択させ、計算処理部は、選択された公私按分パターンに基づいて電話回線に対応する請求金額に対する公私按分計算を行う。
【0007】
この場合において、前記ユーザ端末および前記通信ネットワークを介してアクセスしたユーザをログイン情報に基づいて識別するユーザ識別部と、識別したユーザに対応する電話回線の請求情報および通話情報を提示する情報提示部と、を備えたことを特徴としている。
また、情報提示部は、前記ユーザに対応する前記請求情報および前記通話情報の提示開始日時あるいは提示終了日時を設定可能とされているようにしてもよい。
さらに、前記公私按分パターン記憶部は、役職単位、部署単位あるいは会社単位で前記公私按分パターンを複数記憶しているようにしてもよい。
さらにまた、前記按分パターン選択部は、前記公私按分パターン記憶部に記憶されている前記公私按分パターンの一覧を前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザに所望の前記按分パターンを選択させるようにしてもよい。
【0008】
また、前記計算処理部は、前記電話回線ごと、かつ、通話ごとに公用電話あるいは私用電話の区分設定である公私区分設定を記憶する公私区分設定記憶部を備えているようにしてもよい。
さらに、前記計算処理部は、前記公私区分設定に基づいて組織全体の集計を行うようにしてもよい。
【0009】
さらにまた、前記計算処理部は、前記ユーザ端末および前記通信ネットワークを介した前記ユーザの指示により前記電話回線単位で前記公私按分計算の再計算を行う再計算部を備えるようにしてもよい。
また、前記再計算部は、前記再計算を行うこと、あるいは、前記再計算を行わない旨の前記ユーザによる指示を受け付ける期間についての受付開始日時あるいは受付終了日時が設定可能とされているようにしてもよい。
さらに、前記ユーザの指示による前記再計算あるいは前記再計算を行わない旨の前記ユーザによる指示のうち、いずれかが前記再計算を受け付ける期間中になされたか否かを前記電話回線ごとに記憶する再計算ステータス記憶部と、前記再計算ステータス記憶部の記憶状態に基づいて前記再計算および前記再計算を行わない旨の前記ユーザによる指示のいずれもが前記期間中になされていない前記電話回線を判別する未処理回線判別部と、を備えるようにしてもよい。
【0010】
さらにまた、前記未処理回線判別部の判別結果に基づいて、前記再計算および前記再計算を行わない旨の前記ユーザによる指示のいずれもが前記期間中になされていない前記電話回線に対応するユーザに対し、前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介して前記再計算あるいは前記再計算を行わない旨の指示を行うべく当該ユーザに促す処理督促部を備えるようにしてもよい。
また、前記計算処理部は、前記未処理回線判別部の判別結果に基づいて、すべての電話回線について、前記再計算あるいは前記再計算を行う必要がない旨の前記ユーザによる指示のうち、いずれか一方がなされた後に、組織全体の集計計算を行う全集計計算部を備えるようにしてもよい。
【0011】
また、公用電話と私用電話を区別して経費を按分するための公私按分パターンを複数記憶する公私按分パターン記憶部を備え、通信ネットワークを介してユーザ端末が接続され、多数の電話回線を利用する組織において前記電話回線に対する電話管理業務を行うための電話管理サーバを制御するための制御方法において、前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに対し提示する按分パターン提示過程と、前記提示した前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに選択させる按分パターン選択過程と、選択された前記公私按分パターンに基づいて前記電話回線に対応する請求金額に対する公私按分計算を行う計算処理過程と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
また、公用電話と私用電話を区別して経費を按分するための公私按分パターンを複数記憶する公私按分パターン記憶部を備え、通信ネットワークを介してユーザ端末が接続され、多数の電話回線を利用する組織において前記電話回線に対する電話管理業務を行うための電話管理サーバをコンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、
前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに対し提示させ、前記提示した前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに選択させ、選択された前記公私按分パターンに基づいて前記電話回線に対応する請求金額に対する公私按分計算を行わせることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、提示した公私按分パターンを通信ネットワークおよびユーザ端末を介してユーザに選択させ、計算処理部は、選択された公私按分パターンに基づいて電話回線に対応する請求金額に対する公私按分計算を行うので、公私按分を行わせる際の電話管理者などのユーザの設定の手間を軽減し、効率的に公私按分処理を行わせることができ、ユーザの労力を軽減しつつ、組織において、電話の一括管理する際の事務的なインバウンド業務の低減がはかれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
まず、本発明の実施形態の電話管理システムを利用した電話管理のための構成について説明する。
図1は、実施形態の電話管理システムの概要構成ブロック図である。
電話管理システム10は、電話管理システム10を統括する電話管理サーバ11と、電話管理サーバ11にインターネットなどの通信ネットワーク12を介して接続された企業13A、13Bの電話管理端末(ユーザ端末)14、ユーザ端末15〜17と、を備えて構成されている。
【0015】
この場合において、電話管理サーバ11は、MPU、RAM、ROM、通信インタフェース、ハードディスクなどの外部記憶装置を有するコンピュータとして構成されており、あらかじめインストールされた制御プログラムに基づいて各種制御、演算を行うようにされている。
また、通信ネットワーク12には、キャリア(電話会社)に属するサーバ18A〜18Cが接続されているものとし、電話管理サーバ11には、これらのサーバ18A〜18Cから請求情報データ(一括請求データおよび通話/通信明細データ)が送られるものとする。
さらに、各企業13A、13Bは、各キャリアとの間で多数の電話回線(固定設置型電話機、携帯電話機、PHS等で利用されている電話回線)を契約しているものとする。
【0016】
図2は、電話管理サーバの機能構成ブロック図である。
電話管理サーバ11は、通信ネットワーク12を介して、電話管理端末14あるいはユーザ端末15〜17から入力されるログイン情報が正規のものであるかをユーザ情報DB(Database)21を参照して判別し、ログイン情報が正規のものである場合にアクセスを許可するログイン情報管理処理部22と、請求情報DB23および公私按分DB24を用いて請求情報の処理を行う請求情報処理部25と、請求情報DB23および公私按分DB24を用いて後述する公私按分処理を行う公私按分処理部26と、を備えている。
【0017】
図3は、請求情報検索画面の説明図である。
請求情報検索画面30は、大別すると、対象年月選択領域31と、キャリア(電話会社)選択領域32と、表示形式選択領域33と、部署名表示領域34と、請求概要情報示領域35と、請求詳細情報表示領域36と、請求金額の計算(あるいは再計算)を行わせるための計算ボタン37と、を備えている。
対象年月選択領域31は、検索対象の請求情報(請求概要情報および請求詳細情報)における検索対象年月を選択するための領域であり、年月(図3では、2003年7月から2005年6月までが表示されており、いずれかの年月を画面上でクリックすることにより、検索対象年月が選択されることとなる。
キャリア(電話会社)選択領域32は、各企業13A、13Bが契約しているキャリアをすべてあるいは個別に選択するための領域であり、いわゆるプルダウンメニュー形式で全キャリアあるいはいずれかのキャリアを選択することができる。
【0018】
表示形式選択領域33は、検索対象の請求情報の表示形式を選択するための領域であり、図3に示す例では、プルダウンメニュー形式PDMで「部署単位(公私按分なし)」、「電話(回線)単位(公私按分なし)」、「部署単位(公私按分あり)」、「電話(回線)単位(公私按分あり)」のうちいずれか一つを選択可能となっている。
部署名表示領域34は、当該端末のユーザ名(企業、部署、個人など)が表示される領域である。
請求概要情報示領域35は、部署名表示領域34に表示されたユーザ名に対応するユーザに属する電話回線数を表示する請求台数合計表示領域35Aと、公私按分を行った場合に当該ユーザにおける公用電話料金合計を表示する公用電話料金表示領域35Bと、公私按分を行った場合に当該ユーザにおける私用電話料金合計を表示する私用電話料金表示領域35Bと、請求合計金額を表示する請求合計料金表示領域35Cと、を備えている。
【0019】
請求詳細情報表示領域36は、1頁として表示する請求情報の件数を設定するための表示件数設定領域36Aと、請求詳細情報のうち通話元の部署(ユーザ)を特定するための部署IDを表示する部署ID表示領域36Bと、部署IDに対応する部署名を表示する部署名表示領域36Cと、部署IDに対応する部署の電話番号を表示する電話番号表示領域36Dと、実際に電話をかけたユーザ名を表示する使用者表示領域36Eと、キャリア種別を表示するキャリア表示領域36Fと、各電話回線(部署ID)毎に公用電話料金を表示する公用料金表示領域36Gと、各電話回線(部署ID)毎に私用電話料金を表示する私用料金表示領域36Hと、各電話回線(部署ID)毎に公用電話料金と私用電話料金の合計を表示する合計表示領域36Iと、当該請求詳細情報表示領域35における表示形式を電話回線毎とした場合に、公私按分計算の指示および実行が各部署IDに対応するユーザによりなされたか否かを表す計算フラグ表示領域36Jと、を備えている。
【0020】
次に公私電話マスターDBへのデータの登録について説明する。
公私電話マスターDBは、公私の区別をした発信先の電話番号が登録されるデータベースであり、公私電話マスター登録画面を表示させることにより登録を行う。
また、公私電話マスターDBに登録されていない電話番号については、自動的に未登録として表示されることとなる。
【0021】
図4は、公私電話マスター(DB)画面の説明図である。
公私電話マスター画面40は、大別すると、ユーザの電話番号を表示する電話番号表示領域41と、入力した電話番号を新規に登録するための新規登録ボタン42と、通話先の電話番号が表示される通話先電話番号表示領域43と、通話先の名称などを任意の情報を表示可能な備考表示領域44と、すでに登録した電話番号を編集するための編集ボタンが各電話番号毎に表示された編集ボタン表示領域45と、すでに登録した電話番号を削除するための削除ボタンが各電話番号毎に表示された削除ボタン表示領域46と、公用電話/私用電話の区分をユーザが選択して登録するための公私区分選択表示領域47と、を備えている。
さらに必要に応じて、一の電話回線に対し複数の電話番号を割り当てたり、通話毎に用途別にあらかじめ定めた番号を付加することにより、請求先指定などのキャリアにより提供されている様々な用途別の電話番号を表示するように構成することも可能である。
つぎに動作を説明する。
新規に電話番号を登録する場合には、新規登録ボタン42をクリックする。
これにより、画面には、公私電話マスター(DB)登録画面が表示される。
【0022】
図5は、公私電話マスター(DB)登録画面の説明図である。
公私電話マスター(DB)登録画面50は、大別すると、ユーザの電話番号を表示する電話番号表示領域51と、通話先電話番号表示領域47に表示されるべき通話先の電話番号を入力するための通話先電話番号入力領域52と、備考表示領域48に表示されるべき通話先の名称などの任意の文字情報を入力するための備考入力領域53と、通話先電話番号の公用電話/私用電話の区分を設定するための区分設定領域54と、入力された情報を公私電話マスター(DB)に登録するための登録ボタン55と、当該公私電話マスター(DB)登録画面50を閉じるための閉じるボタン56と、を備えている。
【0023】
図6は、公私按分内訳登録メイン画面の説明図である。
公私按分内訳登録メイン画面60は、契約しているキャリアの名称を表示するキャリア名表示領域61と、後述する公私按分パターンを選択するための公私按分パターン選択領域62と、新規登録ボタン63Aまたは変更ボタン63Bが表示され、登録操作を選択するための登録操作選択領域63と、を備えている。
【0024】
図6において、新規登録ボタン63Aまたは変更ボタン63Bをクリックすることにより、公私按分パターンの設定画面(公私按分登録メイン画面:会社単位あるいは電話回線単位のいずれかを選択可)が表示される。
会社単位の公私按分パターン設定画面を選択した場合には、公私按分を行うか否かを選択するためのラジオボタンと、このラジオボタン71により公私按分を行うことが選択された場合に、ユーザが使用できるパターンを選択可能に表示する使用パターン表示選択部と、公私按分の適用/不適用および基本使用パターンを選択可能に表示する基本設定設定部と、を備えている。
この場合において、会社単位の公私按分パターンとしては、たとえば、以下のようなものが表示される。
1.全額会社負担
2.基本料のみ会社負担
3.通信料のみ個人負担
4.通話料と通信料のみ個人負担
5.基本料のみ個人負担
【0025】
また、基本設定としては、以下のようなものが表示される。
1.公私按分する/公私按分しない(いずれか一方を選択)
2.公私按分する場合には、公私按分パターン
【0026】
また、電話回線単位の公私按分パターン設定画面を選択した場合には、公私按分パターンとして、例えば、以下のようなものが表示される。
1.未設定(会社単位の基本設定を使用)
2.公私按分しない
3.公私按分する
【0027】
さらに、公私按分パターン設定画面においては、公私按分内訳登録サブ画面を表示させることができる。
この公私按分内訳登録サブ画面は、大別すると、対応するキャリア名が表示されるキャリア名表示領域と、公私按分に用いる公私按分パターン名が表示されるパターン名表示領域と、基本用途を公用電話あるいは私用電話のいずれであるかを設定する基本用途設定領域と、公私按分計算の方法および設定値を選択あるいは入力するための設定入力領域と、を備えている。
【0028】
まず、設定入力領域は、公私按分計算の方法として定額控除方式あるいは内訳項目別比率設定方式のいずれかを選択するためのラジオボタンと、公私按分計算の方法として定額控除方式を選択した場合に、基本用途の電話(公用電話あるいは私用電話)についての控除額である定額料金を設定するための定額料金設定領域と、公私按分計算の方法として内訳項目別比率設定方式を選択した場合に、内訳コード毎に公用電話あるいは私用電話の負担条件を設定するための負担条件設定領域と、を備えている。
上述した負担条件設定領域は、通話記録を参照して、通話料の請求料金全体に対する比率を用いて公用電話あるいは私用電話の負担割合を算出する通話記録判定を使用するか否かを設定するための通話記録判定選択領域と、未登録の内訳コードがあった場合に公用電話の負担比率をどの程度に設定するかを入力するための未登録コード公用電話負担比率設定領域と、内訳コード毎に公用電話あるいは私用電話の負担割合を設定するための内訳コード別負担割合設定領域と、を備えている。
【0029】
この内訳コード別負担割合設定領域は、内訳コードを入力し、表示するための内訳コード入力表示部と、内訳コードに対応する内訳の名称を入力し、表示するための内訳名称入力表示部と、公用電話あるいは私用電話のうちいずれが負担するかを設定するためのラジオボタンが配置された公私負担先入力部と、公用電話の基本的な負担割合を入力するための公用電話負担割合入力部と、この公用電話負担割合入力部に入力されている負担割合をすべての内訳コードに割り当てし反映させるための全反映ボタンと、各内訳コードについて負担割合を入力する負担割合入力部と、設定をキャンセルするためのキャンセルボタンと、設定を登録するための登録ボタンと、を備えている。
【0030】
図7は、個人別請求−通話記録判別画面の説明図である。
個人別請求−通話記録判別画面120は、大別すると、請求金額表示領域121と、個別通話表示領域122と、を備えている。
請求金額表示領域121は、公用および私用の請求金額の合計額を表示する合計請求額表示領域125と、公用の請求額を表示する公用請求額表示領域126と、私用の請求額を表示する私用請求額表示領域127と、を備えている。
【0031】
個別通話表示領域122は、大別すると、通話日時を表示するための通話日時表示領域131と、通話先電話番号を表示するための通話先電話番号表示領域132と、通話先所在地を表示するための通話先所在地表示領域133と、通話先名称などの任意の情報を表示する備考表示領域134と、通話時間を表示するための通話時間表示領域135と、通話料を表示するための料金表示領域136と、公私区分をユーザが選択するためのラジオボタンが表示された公私区分選択表示領域137と、通話の用途を表示するための用途表示領域138と、ユーザが公私按分の計算を行わせるべく指示を与えるための計算ボタン140と、を備えている。
ここで、ユーザにより、私用電話と区分が設定された通話履歴については、当該ユーザ以外の当該電話管理システムの他のユーザに対する公開が電話管理サーバ1により禁止され、プライバシーの確保ならびにセキュリティーの向上が図れるようになっている。
【0032】
次に実施形態の動作について説明する。
図8は、実施形態の処理手順フローチャートである。
まず、電話管理サーバ11側の管理担当者あるいは組織としての各企業13A、13Bの電話管理者(ユーザ端末14)は、図4乃至図10で説明したような各画面において、各種設定および記憶を行わせる(ステップS11)。
さらに必要に応じて、各ユーザ端末15〜17で選択可能な公私按分パターンの種類やその他の初期設定を電話管理サーバ11側の管理担当者あるいは組織としての各企業13A、13Bの電話管理者(ユーザ端末14)が行う(ステップS12)。
この状態で、各ユーザがユーザ端末14〜17において、公私按分パターンの選択および公私区分の設定を行う(ステップS14)。
この状態で、電話管理サーバ11は、ユーザ端末14〜17および通信ネットワーク12を介して、図10に示した計算ボタン140がクリックされ、各電話回線ごとにユーザにより計算指示がなされたか否かを判別する(ステップS15)。
【0033】
ステップS15の判別において、ユーザによる計算指示がなされていない場合には(ステップS15;No)、電話管理サーバ11は待機状態となる。
ステップS15の判別において、ユーザにより計算指示がなされた場合には(ステップS;Yes)、電話管理サーバ11は、電話管理サーバ11側の管理担当者あるいは組織としての各企業13A、13Bの電話管理者(ユーザ端末14)により設定された計算可能時期(期間)あるいは再計算可能時期(期間)であるか否かを判別する(ステップS16)。
ここで、計算可能時期あるいは再計算可能時期であるとは、例えば、いわゆる締め日前であるか否かを判別しており、締め日前であれば各ユーザは何度でも計算を行わせることができるようになっている。これは、新たな通話先が加わった場合に設定を行ったり、各ユーザが私用電話の通話料金をいつでも確認できるようにするためである。
この場合において、計算可能時期あるいは再計算可能時期の開始日時および終了日時については、電話管理サーバ11側の監視担当者あるいは組織としての各企業13A、13Bの電話管理者によりあらかじめ設定できるようにされている。
【0034】
ステップS16の判別において、計算可能時期あるいは再計算可能時期である場合には(ステップS16;Yes)、電話管理サーバ11において、公私按分計算処理および組織単位(あるいは部署単位など所望の構成単位)で集計処理が行われる(ステップS17)。なお、本実施形態においては、以下の条件がすべて満たされた場合にのみ公私按分計算がなされる。
1.会社が公私按分の設定を行っている。
2.電話回線に公私按分を行う旨の設定がなされている。
3.月中按分されていない。すなわち、同一月で公私按分がなされていない。
ここで、公私按分計算の方法について、説明する。
この計算に先立って、基本用途は、公私按分内訳登録サブ画面において公用電話あるいは私用電話のいずれかに設定されている。
まず、定額控除の場合の公私按分計算の方法について説明する。ここで、基本用途における上限額が控除額としてあらかじめ公私按分内訳登録サブ画面において設定されているはずである。
【0035】
以下の説明においては、基本用途を公用電話とし、控除額が3,000円の場合について説明する。
例えば、キャリアからの請求金額が9,800円の場合、基本用途である公用電話についての請求金額は、キャリアからの請求金額が控除額3,000円を超えているので、控除金額と同一の3,000円となる。
一方、基本用途以外の用途である私用電話については、
9,800−3,000=6,800円
となる。
また、請求金額が控除額未満である場合には、基本用途以外の用途である私用電話については、負担なしと言うことになる。
【0036】
次に通話記録判定を使用しない内訳別比率設定の場合の公私按分計算の方法の概要について説明する。
通話記録判定を使用しない内訳別比率設定の場合の公私按分計算においては、あらかじめ公私按分内訳登録サブ画面において設定された請求の内訳コード単位の比率設定に基づいて計算を行っており、比率設定がなされていない(=未登録の)内訳コードについては、あらかじめ未登録コード公用電話負担比率設定領域において設定された未登録設定比率を用いている。
【0037】
この場合において、1円未満の端数が発生した場合には、あらかじめ設定された条件に基づいて、公用電話あるいは私用電話のいずれかに組み込むようにすればよい。
【0038】
次に通話記録判定を使用する内訳別比率設定の場合の公私按分計算の方法について説明する。
この場合においては、通話記録から通話料の比率を判定し、その比率に基づいて計算を行う。すなわち、内訳種目テーブルの科目が「通話料」となっている内訳コードを有するものの全体に対する比率を用いて計算を行う。したがって、内訳コードで通話料の比率が設定されていても当該比率は計算には用いられない。
通話料については、以上のように計算するが、基本料、その他の料金については、通話記録判定を使用しない内訳別比率設定の場合の公私按分計算の方法と同様である。
そして、公私按分計算が終了すると、公私按分計算結果が図3に示した請求情報検索画面30としてユーザに提示され、処理が終了する。
【0039】
一方、ステップS16の判別において、計算可能時期あるいは再計算可能時期ではない場合には(ステップS16;No)、電話管理サーバ11において、前回の公私按分計算処理の公私按分計算結果が図3に示した請求情報検索画面30としてユーザに提示され、処理が終了する。
図9は、電話管理サーバ側の後処理の処理手順フローチャートである。
まず、電話管理サーバ11は、再計算可能時期(期間)が経過するまでは、ユーザによる各電話回線ごとの再計算の指示あるいは再計算を行わない旨の指示を行わせ(ステップS20)、再計算可能時期(期間)が経過した場合には、すべてのユーザ、かつ、すべての電話回線毎に再計算の指示あるいは再計算を行わない旨の指示がなされたか否かを判別する(ステップS21)。
より詳細には、電話管理サーバ11の図示しないデータベースは、再計算ステータス記憶部として機能しており、ユーザの指示による再計算あるいは再計算を行わない旨のユーザによる指示のうち、いずれかが再計算可能時期(再計算を受け付ける期間)中になされたか否かを電話回線ごとに記憶している。
そして、電話管理サーバ11は、未処理回線判別部として機能し、再計算および再計算を行わない旨のユーザによる指示のいずれもが再計算可能時期中になされていない電話回線を判別する。
この判別において、再計算および再計算を行わない旨のユーザによる指示のいずれもが再計算可能時期中になされていない電話回線が存在する場合には(ステップS21;No)、電話管理サーバ11は、処理督促部として機能し、再計算および再計算を行わない旨のユーザによる指示のいずれもが再計算可能時期中になされていない電話回線に対応するユーザに対し、通信ネットワーク12およびユーザ端末15〜17を介して再計算あるいは再計算を行わない旨の指示を行うべく促すこととなる(ステップS22)。
電話回線の判別において、再計算および再計算を行わない旨のユーザによる指示のいずれもが再計算可能時期中になされていない電話回線が存在しない、すなわち、すべての電話回線についてユーザによる確認済みである場合には(ステップS21;Yes)、電話管理サーバ11は、全集計計算部として機能し、各組織毎に、組織全体の集計計算を行い(ステップS23)、組織全体の公私按分計算結果を表示あるいは再表示する(ステップS24)。
この場合において、組織全体についても、計算可能時期あるいは再計算可能時期の開始日時および終了日時については、電話管理サーバ11側の監視担当者によりあらかじめ設定できるようにされている。
以上の説明のように、本実施形態によれば、あらかじめ公私按分パターンが複数設定されており、ユーザは、いずれかを選択することにより所望の公私按分を行うことができ、設定の手間を大幅に簡略化でき、効率的に公私按分処理を行わせることができ、ユーザの労力を軽減しつつ、組織において、電話の一括管理する際の事務的なインバウンド業務の低減がはかれる。
【0040】
以上の説明においては、企業を主体として電話管理システムを適応した場合について説明したが、適応対象は企業のみならず、多数の電話回線を利用している組織であれば、どのような形態のものでも適用が可能である。
以上の説明においては、公私按分パターン記憶部として機能する公私按分DBは、ユーザ単位で公私按分パターンを複数持っている場合について説明したが、役職単位、部署単位あるいは会社単位で前記公私按分パターンを複数持たせるように構成することも可能である。
【0041】
以上の説明においては、ユーザに対応する電話回線の請求情報および通話情報の提示開始日時あるいは提示終了日時は設定していなかったが、これらを設定できるようにすることも可能である。これにより、不必要に経理情報が公開され続けるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態の電話管理システムの概要構成ブロック図である。
【図2】電話管理サーバの機能構成ブロック図である。
【図3】請求情報検索画面の説明図である。
【図4】公私電話マスター(DB)画面の説明図である。
【図5】公私電話マスター(DB)登録画面の説明図である。
【図6】公私按分内訳登録メイン画面の説明図である。
【図7】個人別請求−通話記録判別画面の説明図である。
【図8】実施形態の処理手順フローチャートである。
【図9】電話管理サーバ側の後処理の処理手順フローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10 電話管理システム
11 電話管理サーバ(按分パターン提示部)
12 通信ネットワーク
13A、13B 企業
14 電話管理端末(ユーザ端末)
15〜17 ユーザ端末
21 ユーザ情報DB(Database)
22 ログイン情報管理処理部
23 請求情報DB
24 公私按分DB(公私按分パターン記憶部)
25 請求情報処理部
26 公私按分処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介してユーザ端末が接続され、多数の電話回線を利用する組織において前記電話回線に対する電話管理業務を行うための電話管理サーバにおいて、
公用電話と私用電話を区別して経費を按分するための公私按分パターンを複数記憶する公私按分パターン記憶部と、
前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに対し提示する按分パターン提示部と、
前記提示した前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに選択させる按分パターン選択部と、
選択された前記公私按分パターンに基づいて前記電話回線に対応する請求金額に対する公私按分計算を行う計算処理部と、
を備えたことを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項2】
請求項1記載の電話管理サーバにおいて、
前記ユーザ端末および前記通信ネットワークを介してアクセスしたユーザをログイン情報に基づいて識別するユーザ識別部と、
識別したユーザに対応する電話回線の請求情報および通話情報を提示する情報提示部と、
を備えたことを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項3】
請求項2記載の電話管理サーバにおいて、
情報提示部は、前記ユーザに対応する前記請求情報および前記通話情報の提示開始日時あるいは提示終了日時を設定可能とされていることを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電話管理サーバにおいて、
前記公私按分パターン記憶部は、役職単位、部署単位あるいは会社単位で前記公私按分パターンを複数記憶していることを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電話管理サーバにおいて、
前記按分パターン選択部は、前記公私按分パターン記憶部に記憶されている前記公私按分パターンの一覧を前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザに所望の前記按分パターンを選択させることを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電話管理サーバにおいて、
前記計算処理部は、前記電話回線ごと、かつ、通話ごとに公用電話あるいは私用電話の区分設定である公私区分設定を記憶する公私区分設定記憶部を備えていることを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項7】
請求項6記載の電話管理サーバにおいて、
前記計算処理部は、前記公私区分設定に基づいて組織全体の集計を行うことを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の電話管理サーバにおいて、
前記計算処理部は、前記ユーザ端末および前記通信ネットワークを介した前記ユーザの指示により前記電話回線単位で前記公私按分計算の再計算を行う再計算部を備えたことを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項9】
請求項8記載の電話管理サーバにおいて、
前記再計算部は、前記再計算を行うこと、あるいは、前記再計算を行わない旨の前記ユーザによる指示を受け付ける期間についての受付開始日時あるいは受付終了日時が設定可能とされていることを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項10】
請求項9記載の電話管理サーバにおいて、
前記ユーザの指示による前記再計算あるいは前記再計算を行わない旨の前記ユーザによる指示のうち、いずれかが前記再計算を受け付ける期間中になされたか否かを前記電話回線ごとに記憶する再計算ステータス記憶部と、
前記再計算ステータス記憶部の記憶状態に基づいて前記再計算および前記再計算を行わない旨の前記ユーザによる指示のいずれもが前記期間中になされていない前記電話回線を判別する未処理回線判別部と、
を備えたことを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項11】
請求項10記載の電話管理サーバにおいて、
前記未処理回線判別部の判別結果に基づいて、前記再計算および前記再計算を行わない旨の前記ユーザによる指示のいずれもが前記期間中になされていない前記電話回線に対応するユーザに対し、前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介して前記再計算あるいは前記再計算を行わない旨の指示を行うべく当該ユーザに促す処理督促部を備えたことを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項12】
請求項10または請求項11記載の電話管理サーバにおいて、
前記計算処理部は、前記未処理回線判別部の判別結果に基づいて、すべての電話回線について、前記再計算あるいは前記再計算を行う必要がない旨の前記ユーザによる指示のうち、いずれか一方がなされた後に、組織全体の集計計算を行う全集計計算部を備えたことを特徴とする電話管理サーバ。
【請求項13】
公用電話と私用電話を区別して経費を按分するための公私按分パターンを複数記憶する公私按分パターン記憶部を備え、通信ネットワークを介してユーザ端末が接続され、多数の電話回線を利用する組織において前記電話回線に対する電話管理業務を行うための電話管理サーバを制御するための制御方法において、
前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに対し提示する按分パターン提示過程と、
前記提示した前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに選択させる按分パターン選択過程と、
選択された前記公私按分パターンに基づいて前記電話回線に対応する請求金額に対する公私按分計算を行う計算処理過程と、
を備えたことを特徴とする電話管理サーバの制御方法。
【請求項14】
公用電話と私用電話を区別して経費を按分するための公私按分パターンを複数記憶する公私按分パターン記憶部を備え、通信ネットワークを介してユーザ端末が接続され、多数の電話回線を利用する組織において前記電話回線に対する電話管理業務を行うための電話管理サーバをコンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、
前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに対し提示させ、
前記提示した前記公私按分パターンを前記通信ネットワークおよび前記ユーザ端末を介してユーザに選択させ、
選択された前記公私按分パターンに基づいて前記電話回線に対応する請求金額に対する公私按分計算を行わせる、
ことを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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