説明

電話装置

【課題】 時刻に応じて、優先度の高い回線での着信を優先的に受け付ける。
【解決手段】 同時に複数の回線での着信があると(S100ステップ)、同一グループでの着信であるか否か判定し(S160ステップ)、同一グループでの着信であれば、グループ内の優先順位情報に基づいて、着信優先すべき回線を決定する(S190ステップ)、一方、同一グループでの着信でなければ、現在時刻において着信を優先すべきグループを選択し、選択したグループからの着信に対して優先的に応答する(S180〜190ステップ)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の電話回線を有し各電話回線のそれぞれに対応した電話番号が予め決定された電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、発信者識別情報を利用して取得した発信者情報と、予め個々の発信者の優先順位が登録された優先順位情報に従って、最も優先順位の高い発信者への着信応答を実現する技術が知られている(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−264297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、着信を優先すべき相手先は時間帯によって変化する場合がある。例えば、平日の昼間は仕事の取引先からの着信を優先し、休日の昼間は友人からの着信を優先する場合である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、時間帯に応じて優先して着信を受け付けるべき回線を設定可能な電話装置を提供するものであり、請求項1記載の電話装置は、複数の回線における着信が同時にあると、現在時刻において優先すべき回線での着信を優先的に受け付けることを特徴とする。
請求項2記載の電話装置は、回線の電話番号と該電話番号からの着信を優先的に受け付ける時間帯とを対応付けて複数格納可能な格納手段と、発呼側からの着信を検出する機能と回線の接続機能とを有する網制御手段と、前記網制御手段が複数の回線において同時に着信を検出すると、現在時刻に対応する時間帯が設定された回線に対する着信を受け付けるよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項3記載の電話装置は、複数の回線の電話番号からなるグループと該グループの電話番号での着信を優先的に受け付ける時間帯とを対応付けて複数格納可能な格納手段と、発呼側からの着信を検出する機能と回線の接続機能とを有する網制御手段と、前記網制御手段が複数の回線での着信を同時に検出すると、現在時刻に対応する時間帯が設定された回線に対応する着信に対して受け付けるよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項4記載の電話装置は、請求項3記載の電話装置であり、前記グループ内の複数の電話番号には着信を受け付ける優先順位を示す、優先順位情報が対応付けて格納されており、着信時に同一のグループの回線での着信が同時にあると、前記優先順位情報に基づいて、優先順位の高い回線の着信を優先的に受け付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、時刻に応じて優先度の高い回線での着信を優先的に受け付ける為、ユーザにとってその時に最も必要な着信を受け付けることが可能であり、非常に使い勝手が良い電話装置を提供することができる。
【0006】
請求項1記載の発明は、現在時刻において優先すべき回線での着信を優先的に受け付ける為、ユーザにとってその時に最も必要な着信を受け付けることが可能である。
【0007】
請求項2記載の発明についても又、現在時刻において優先すべき回線での着信を優先的に受け付ける為、ユーザにとってその時に最も必要な着信を受け付けることが可能である。
【0008】
請求項3記載の発明は、優先すべき回線の時刻をグループ毎に設定可能である為、回線毎に一々時刻の設定を行わなくても良い。
【0009】
請求項4記載の発明は、更に、同一のグループ内の回線での着信があると、同一グループ内の回線の内、優先順位の高い回線での着信を優先的に受け付けることが可能である為、ユーザにとって非常に使い勝手の良いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を適用してなる実施例装置である電話装置について説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の電話装置は、ボタン式のIP(Internet Protocol、以下、単に「IP」と略する。)電話装置10であり、複数本の電話回線を有し各電話回線に対応した電話番号を設定することができるものである。また、このIP電話装置10は、外線設定、すなわちルータ12及びインターネット網を介して他のIP電話装置14と通信(通話)することができるようになっており、また、公衆回線網を利用した電話装置13とも通信(通話)することができるようになっている。さらに、このIP電話装置10は、内線設定、すなわち、所定のグループで共有されたグループ共有回線により他のボタン式のIP電話装置16、18とも通信(通話)することができるようになっている。
【0012】
また、IP電話装置10は、所定の数字などを入力する入力部10Aと、所定の情報を表示する表示部10Bと、所定の情報などを記憶するメモリ(記憶手段)10Cと、メモリ10Cの記憶内容に基づいて所定の判断処理を行う制御回路(制御手段)10Dと、を有している。
【0013】
また、IP電話装置10は、ルータ12及びインターネット網を介して他のIP電話装置と通信する場合や公衆回線網を利用した電話装置と通信する場合の他に、所定のグループで共有されたグループ共有回線により他のIP電話装置16、18と通信する場合にも、サーバ11を介して通信状態が実現される。
【0014】
ここで、本実施形態のIP電話装置10では、合計で4本の電話回線が設定されており、各電話回線に対応した4つの電話番号が設定されている。
【0015】
メモリ10Cには、図2の格納形態図に示すデータが格納されている。尚、制御回路10Dが実行するシステムプログラム等は図示を省略している。
図2において、複数のグループである、グループA、グループBが格納されている。又、夫々のグループには、優先時刻が設定されており、例えばグループAの優先時刻は9:00〜18:00であり、この時間帯にグループAとグループBの回線で同時に着信があれば、グループAの回線での着信を優先的に受け付ける。一方、グループBの優先時刻は18:00〜8:00であり、この時間帯にグループAとグループBの回線で同時に着信があれば、グループBの回線での着信を優先的に受け付ける。
【0016】
又、夫々のグループには回線のデータ(例えば電話番号等)が複数格納されており、グループAには回線1及び回線2のデータが、グループBには回線3及び回線4のデータが格納されている。又、夫々の回線のデータには優先順位情報が対応付けて格納されており、例えばグループAにおける回線1と回線2における着信が同時に発生すると、前記優先順位情報に基づいて、優先順位の高い回線1における着信を優先的に受け付ける。尚、これらのデータ(情報)はユーザが入力部10Aを操作することにより設定可能である。
【0017】
フック検出回路10Eは、図示しないハンドセットが持ち上げられた(オフフック)されたか、或いは所定の位置に戻された(オンフック)かを検出する回路である。
【0018】
スピーカ10Fは、着信音を鳴動させる為のスピーカである。
次に、本実施例装置の動作について、制御回路10Dの制御に基づいて以下に説明する。
【0019】
図3に示すように、IP電話装置10の複数本の電話回線に略同時に着信が生じた場合(S100)には、制御回路10Dによりメモリ10Cに記憶されたデータに基づいて所定の電話回線が優先して選択される。
【0020】
具体的には、S100ステップにおいて、制御回路10Dは、複数の回線において同時着信があると判定すると、S110ステップに処理を進める。
続くS110ステップにおいて、制御回路10Dは、前記S100ステップで着信ありと判定した回線の情報(例えば電話番号)が、メモリ10Cに格納されていると判定すると、S160ステップへ処理を進め、そうでなければ、S120ステップへ処理を進める。
【0021】
S120ステップでは、制御回路10Dは、スピーカ10Fから着信音を鳴動させ、着信があることを報知させる。
【0022】
続くS130ステップでは、制御回路10Dは、フック検出部10Eが、ハンドセットのオフフックを検出したと判定すると、S140ステップへ処理を進める。
【0023】
S140ステップでは、制御回路10Dは、網制御部10Gを制御することにより、相手側と回線を接続し、通話が開始される。
【0024】
続くS150ステップでは、制御回路10Dは、フック検出部10Eがハンドセットのオンフックを検出したと判定すると、通話処理を終了する。尚、S150ステップにおいて、ユーザがハンドセットをオンフックせずとも、通話相手が通話処理を終了すると、言うまでもなく通話が終了する。
【0025】
S160ステップでは、S100ステップで着信のあった複数の回線が同一のグループであると判定すると、S190ステップへ処理を進め、そうでなければ、S180ステップへ処理を進める。
【0026】
S170ステップでは、制御回路10Dは、メモリ10Cに格納されている優先順位情報に基づいて、優先順位の高い回線での着信を受付、S200ステップへ処理を進める。例えば、グループAの回線1と回線2における着信が同時に発生すると、優先順位情報において優先順位の高い、回線1での着信を優先的に受けつける。
【0027】
S200ステップでは、制御回路10Dは、スピーカ10Fを制御することにより、着信音を鳴動させ、S210ステップへ処理を進める。
【0028】
S210ステップでは、制御回路10Dは、フック検出部10Eがハンドセットのオフフックを検出したと判定すると、S140ステップへ処理を進める。
【0029】
このように、S160ステップ〜S210ステップにおいて、同時着信があった際にその回線が同じグループの回線であれば、回線の電話番号に対応付けて格納されている優先順位情報に基づいて、優先順位の高い回線での着信を優先的に受け付ける。
【0030】
一方、S180ステップでは、制御回路10Dは、内部でカウントしているタイマのカウントに基づいて現在時刻を判定し、S190ステップへ処理を進める。
【0031】
S190ステップでは、制御回路10Dは、上記S180ステップで判定した現在時刻に対応するグループの回線での着信を優先するよう、網制御部10Gを制御し、優先順位の高いグループの回線での着信を受け付け、S200ステップへ処理を進める。
【0032】
S200ステップでは、制御回路10Dは、スピーカ10Fを制御することにより着信音を鳴動させ、S210ステップへ処理を進める。
【0033】
S210ステップでは、制御回路10Dは、フック検出部10Eがハンドセットのオフフックを検出したと判定すると、S140ステップへ処理を進める。
【0034】
このように、S180〜S210ステップでは、制御回路10Dは、着信があると現在時刻が何時であるかを判定し、現在時刻において着信を優先すべき回線がどれであるかを判定し、優先度の高い回線での着信を優先的に報知する。一方、優先度の低い回線での着信は受け付けない。
【0035】
尚、本実施例では、グループ毎に優先的に着信を受け付ける回線の時間帯を設定可能としたが、時間帯だけでなく曜日も設定可能としても良い。例えば、グループA、B、Cと格納している場合に、グループAでは、月曜日から金曜日の朝9時〜夜6時まで着信があれば優先的に受け付けるようにし、グループBでは、月曜日から金曜日の夜6時〜朝9時まで着信があれば優先的に受け付けるようにし、グループCでは、土曜日と日曜日の着信を優先的に受け付けるように設定する構成としても良い。このような構成とすることにより、より確実に、その時におけるユーザにとって最も着信を受け付けたい相手側からの着信(回線)を優先的に受け付けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明を適用してなる実施例装置のブロック図である。
【図2】本実施例装置のメモリ10Cの格納形態図である。
【図3】本実施例装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0037】
10 IP電話装置
10C メモリ
10D 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回線における着信が同時にあると、現在時刻において優先すべき回線での着信を優先的に受け付けることを特徴とする電話装置。
【請求項2】
回線の電話番号と該電話番号からの着信を優先的に受け付ける時間帯とを対応付けて複数格納可能な格納手段と、発呼側からの着信を検出する機能と回線の接続機能とを有する網制御手段と、
前記網制御手段が複数の回線において同時に着信を検出すると、現在時刻に対応する時間帯が設定された回線に対する着信を受け付けるよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする電話装置。
【請求項3】
複数の回線の電話番号からなるグループと該グループの電話番号での着信を優先的に受け付ける時間帯とを対応付けて複数格納可能な格納手段と、発呼側からの着信を検出する機能と回線の接続機能とを有する網制御手段と、
前記網制御手段が複数の回線での着信を同時に検出すると、現在時刻に対応する時間帯が設定された回線に対応する着信に対して受け付けるよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする電話装置。
【請求項4】
請求項3記載の電話装置であり、前記グループ内の複数の電話番号には着信を受け付ける優先順位を示す、優先順位情報が対応付けて格納されており、
着信時に同一のグループの回線での着信が同時にあると、前記優先順位情報に基づいて、優先順位の高い回線の着信を優先的に受け付けることを特徴とする電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−336231(P2007−336231A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165442(P2006−165442)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】