説明

電話装置

【課題】 相手先と通話可能な状態になって初めて拡声受話からハンドセットの通話へ切り替わる電話装置を提供する。
【解決手段】 拡声受話オンの状態となると(S1ステップ)、回線を接続して発呼操作を行い(S2〜S3ステップ)、続いてリングバックトーンの検出を開始し、リングバックトーンの検出を停止すると(S5ステップ)、回線を拡声受話用のスピーカから送受話器に切り替える(S7ステップ)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡声受話状態でダイヤル発信可能な電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のコードレス電話装置や留守番電話装置には、通常拡声受話機能が搭載されている。この拡声受話機能は、回線を接続した状態で回線からの音声やトーン信号をスピーカから大音量で出力する機能であり、ユーザが一々ハンドセットを持たずとも回線からの音を聞くことができる。
【0003】
又、この拡声受話機能を有する電話装置に関する技術も数多く提案されており、例えば特許文献1には、オフフック操作があると拡声受話モードにし、ダイヤル発信から着呼側が応答するまでの間通常の通話モード(子機のスピーカを耳にあてて使うモード)にする技術が記載されている。
【特許文献1】特開平10−276260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、ダイヤル発信を開始してから通常の通話モードに切り替わる為、ダイヤル発信してから相手先が応答するまで、その間ユーザはハンドセットを持っている必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決する為のものであり、拡声受話状態になってから相手先が応答するまでの間拡声受話状態を維持し、相手先が応答すると通常のハンドセットでの通話に切り替わるものである。
【0006】
請求項1記載の電話装置は、拡声受話機能を有する電話装置であり、拡声受話状態でダイヤル発信した後に、回線の極性が反転すると、拡声受話をオフする状態となると共に送受話器を用いて相手先と通話可能な状態になることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の電話装置は、拡声受話機能を有する電話装置であり、拡声受話状態でダイヤル発信した後に、回線からリングバックトーンを検出すると、拡声受話をオフする状態となると共に送受話器を用いて相手先と通話可能な状態になることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の電話装置は、拡声受話機能を有する電話装置であり、拡声受話機能により発呼側からの音声とリングバックトーンを出力可能なスピーカと、送受話器と、回線の極性反転を検出する極性反転検出手段と、ダイヤル発信手段と、拡声受話機能をオンとした状態でダイヤル発信手段を用いて回線へダイヤル発信した後に、前記極性反転検出手段が回線の極性反転を検出したと判定すると、前記拡声受話手段をオフとすると共に前記送受話器と回線とを接続するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の電話装置は、拡声受話機能を有する電話装置であり、拡声受話機能により発呼側からの音声とリングバックトーンを出力可能なスピーカと、送受話器と、回線からのリングバックトーンを検出するリングバックトーン検出手段と、ダイヤル発信手段と、拡声受話機能をオンとした状態でダイヤル発信手段を用いて回線へダイヤル発信した後に、前記リングバックトーン検出手段が回線から前記リングバックトーンを検出したと判定すると、前記拡声受話手段をオフとすると共に前記送受話器と回線とを接続するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、拡声受話状態になってから相手先が応答するまでの間拡声受話状態を維持し、相手先が応答すると通常のハンドセットでの通話に切り替わる為、ユーザが真にハンドセットを使用せざるを得ない状態の時のみにハンドセットでの通話に切り替わることができ、ユーザがハンドセットを持つ状態を可能な限り少なくすることが可能である。
【0011】
尚、ハンドセットを使用せざるを得ない状態とは、ユーザと相手先との間の会話を他人に聞かれないようにする為にハンドセットを使用する状態であり、通話時以外のRBT(Ring Back Tone)の鳴動中やダイヤル信号の押下中の音等は他人に聞かれても構わない為にハンドセットを使用せざるを得ない状態とは言えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明を適用してなる実施例装置(電話装置)のブロック図である。
【0013】
図1において、制御部100は電話装置内部の各回路の制御を司る。又、制御部100は、着信時に発呼側の電話番号を一時的に格納するバッファメモリ(図示せず)と所定時間の計時を行うタイマ(図示せず)とを有している。
ダイオードブリッジ110は回線Lと接続されており、回線Lの極性が反転しても装置内部の回路の電位を一定に保つ。リンガー検出部120は、回線Lに接続され、回線Lから一定周期で送られてくる周波数16ヘルツの着信信号を検出すると上記着信を示す信号を制御部100に送出する。
【0014】
網制御部130は、上記制御部100の制御の下で回線の閉結動作を行い、回線の極性反転を検出する機能も有している。ビープ音発生部140は、制御部100の制御の下で例えば2キロヘルツのビープ音を網制御部130を介して回線Lへ送出する。
【0015】
スピーカ150は、アンプ160とミュート回路170を介して制御部100と接続されており、上記リンガー検出部120により回線Lからの着信信号が検出された際に着信音を送出し、又、拡声受話を行う際には、回線Lからの音声やRBT(Ring Back Tone)をスピーカ150から出力する。
【0016】
ミュート回路170は、制御部100の制御の下で、スピーチネットワーク部180から入力した音声信号や着信音等をスピーカから送出させないようにする。スピーチネットワーク部180は、音声信号の通過するラインの接続切換を行う。
【0017】
送受話部190のスピーカ191は、アンプ192を介して上記スピーチネットワーク部180と接続されており、回線Lから入力した発呼側の音声信号を送出する。送受話部190のマイク193は、アンプ194を介して上記スピーチネットワーク部180と接続されており、ユーザの発した音声信号をスピーチネットワーク部180へ送出する。
フック検出部200は、制御部100と接続されており、上記送受話部190のオンフック、オフフックを検出する。
発呼側番号検出部210は、スピーチネットワーク部180と制御部100とに接続されており、着信時に回線Lからの発呼側電話番号を検出する。
入力部220は、テンキーや、拡声受話(ハンズフリー)をオン/オフする為のキー等を有しており、入力部220で入力された信号は制御部100に送出される。
【0018】
電話帳メモリ230は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の書き換え自由な不揮発性メモリからなり、電話番号と発呼側の名称とを対にして複数件格納可能である。
【0019】
用件メッセージ格納部240は、例えばEEPROMからなり、電話装置が留守録音を開始した際に回線Lから入力した発呼側の用件メッセージを格納する領域と、上記用件メッセージに対応する発呼側の電話番号を格納する領域とを有しており、上記発呼側番号検出部210が着信時に発呼側の電話番号を検出した場合には、上記用件メッセージと発呼側の電話番号とを対にして格納可能であり、これらの情報を複数件格納可能である。又、着信時に前記発呼側番号検出部210が電話番号を検出しなかった場合には、用件メッセージのみ用件メッセージ格納部240に格納される。尚、用件メッセージに対応して着信した日付、日時等を格納しても良い。
【0020】
表示部250は、上記入力部220から入力された電話番号や、上記電話帳メモリ230に格納されている電話番号及び名称等を表示することが可能である。又、上記用件メッセージ格納部240に格納されている発呼側からの用件メッセージを再生(スピーカ150から送出)している際に、上記用件メッセージ格納部240に上記発呼側のメッセージと対となって格納されている発呼側の電話番号を表示する。
【0021】
拒否番号格納部260は、例えばEEPROM等からなり、着信を拒否する相手先の電話番号が格納される。
【0022】
応答メッセージ格納部270は、例えばEEPROM等からなり、用件メッセージを格納する前に発呼側へ送出する応答メッセージ(例えば、"ただ今でかけております、発信音の後にメッセージを入れてください")を格納している。
【0023】
次に、本発明を適用してなる実施例装置の動作について以下に説明する。
【0024】
S1ステップにおいて、制御部100は、入力部220からハンズフリーをオンするよう指示する操作があると判定すると、S2ステップへ処理を進める。
【0025】
S2ステップにおいて、制御部100は、網制御部130を制御することにより回線を接続する。尚、このときハンズフリーがオンの状態であるので、スピーカ150から「ツー」という音が送出される。
【0026】
S3ステップでは、制御部100は、入力部220から発呼操作(例えば、テンキーを使用して電話番号を入力する)があると判定すると、S5ステップへ処理を進め、そうでなければ、S4ステップへ処理を進める。
【0027】
S4ステップでは、制御部100は、入力部220からハンズフリーをオフするよう指示する操作があると判定すると、S11ステップへ処理を進め、そうでなければ、S3ステップへ処理を戻す。
【0028】
S5ステップでは、制御部100は、網制御部130が回線LからRBT(Ring Back Tone)の停止を検出したと判定すると、S7ステップへ処理を進め、そうでなければ、S6ステップへ処理を進める。尚、具体的には、RBTの送出が所定時間
S6ステップでは、制御部100は、入力部220からハンズフリーをオフするよう指示する操作があると判定すると、S11ステップへ処理を進め、そうでなければ、S5ステップへ処理を戻す。
【0029】
S7ステップでは、制御部100は、スピーチネットワーク部180を制御することにより、回線Lから入力された信号(例えば音声、RBT等)をスピーカ191から出力するよう音声の経路を切り替え、処理を終了する。
【0030】
S8ステップでは、制御部100は、網制御部130から、回線Lの極性が反転したことを示す信号を検出すると相手先が応答したと判定し、S9ステップへ処理を進める。
【0031】
S9ステップでは、制御部100は、網制御部130とスピーチネットワーク部180とを制御することにより、回線Lからの音声信号をスピーカ191から出力すると共にマイク193からの音声を回線Lへ出力させ、通話処理を行なう。
【0032】
S10ステップでは、制御部100は、フック検出部200からハンドセット100がオンフックされたことを示す信号を検出すると、S11ステップへ処理を進める。
【0033】
S11ステップでは、制御部100は、網制御部130を制御することにより回線Lを断とし、処理を終了する。
本発明は、拡声受話状態になってから相手先が応答するまでの間拡声受話状態を維持し、相手先が応答すると通常のハンドセットでの通話に切り替わる為、ユーザが真にハンドセットを使用せざるを得ない状態の時のみにハンドセットでの通話に切り替わることができ、ユーザがハンドセットを持つ状態を可能な限り少なくすることが可能である。
【0034】
尚、本実施例では、呼出信号を検出しなくなると、送受話器を用いた通話が可能な状態にすることが可能であるが、呼出信号を検出しなくなるのではなく、回線の極性反転を検出すると送受話器を用いて通話が可能な状態にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】は、本発明を適用してなる実施例装置のブロック図である。
【図2】は、本発明を適用してなる実施例装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0036】
100 制御部
210 発呼側番号検出部
240 用件メッセージ格納部
270 応答メッセージ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡声受話機能を有する電話装置であり、
拡声受話状態でダイヤル発信した後に、回線の極性が反転すると、拡声受話をオフする状態となると共に送受話器を用いて相手先と通話可能な状態になることを特徴とする電話装置。
【請求項2】
拡声受話機能を有する電話装置であり、
拡声受話状態でダイヤル発信した後に、回線からリングバックトーンを検出すると、拡声受話をオフする状態となると共に送受話器を用いて相手先と通話可能な状態になることを特徴とする電話装置。
【請求項3】
拡声受話機能を有する電話装置であり、
拡声受話機能により発呼側からの音声とリングバックトーンを出力可能なスピーカと、送受話器と、回線の極性反転を検出する極性反転検出手段と、ダイヤル発信手段と、
拡声受話機能をオンとした状態でダイヤル発信手段を用いて回線へダイヤル発信した後に、前記極性反転検出手段が回線の極性反転を検出したと判定すると、前記拡声受話手段をオフとすると共に前記送受話器と回線とを接続するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする電話装置。
【請求項4】
拡声受話機能を有する電話装置であり、
拡声受話機能により発呼側からの音声とリングバックトーンを出力可能なスピーカと、送受話器と、回線からのリングバックトーンを検出するリングバックトーン検出手段と、ダイヤル発信手段と、
拡声受話機能をオンとした状態でダイヤル発信手段を用いて回線へダイヤル発信した後に、前記リングバックトーン検出手段が回線から前記リングバックトーンを検出したと判定すると、前記拡声受話手段をオフとすると共に前記送受話器と回線とを接続するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする電話装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−79219(P2008−79219A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258850(P2006−258850)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】