説明

霧化用表面処理およびコーティング

【課題】噴霧液膜の一様性を高めるとともに、さらなる流体力学的不安定性をもたらすことで霧化を促進するように構成される表面を有する噴霧器を提供する。
【解決手段】事前液膜形成領域54、66と、事前液膜形成領域の端部に配置されるとともに液膜内を流体力学的に不安定化するように構成されるリップ部29であって、交互配置された湿潤性の表面および非湿潤性の表面からなり、非湿潤性の表面は、液体に対して、90度より大きい有効接触角を有し、湿潤性の表面は、液体に対して、90度より小さい接触角を有するリップ部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体による表面の選択的な湿潤を促進させるように加工された表面を有する製品に関する。特に、本発明は、噴霧器の事前液膜形成領域表面の湿潤性を高めるとともに、選択的な領域を流体力学的に不安定化することにより霧化を促進する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
霧化とは、一般に、しばしば噴霧液にノズルを通過させることにより、該噴霧液を噴霧状または霧状(すなわち液滴の集合体)に転換することを指す。噴霧器は、霧化のための装置である。噴霧装置の一般的な例には、ガスタービン、気化器、エアブラシ、霧吹き器、スプレー容器等が含まれる。例えば、内燃機関においては、燃料の微粒霧化が、効率的な燃焼の手段となる。
【0003】
現行の空気噴射噴霧器は、ノズル開口からの液体を1個以上の事前液膜形成領域上に広げて液膜にする。これらの噴霧器は、圧力、空気流、静電気、超音波およびその他の同様の方法を用いて、噴霧液膜内を不安定化し、液滴を形成することができる。事前液膜形成領域内の噴霧液膜は、ノズル開口の両側において該領域に侵入する高速の空気に曝される。この空気流によって、液膜内を流体力学的に不安定化するとともに、該液膜を粉砕して液滴にすることができる。噴霧器から生じる液滴の平均粒径は、事前液膜形成領域における液膜の一様性と厚さとにかなり依存する。平均粒径が液膜厚さの平方根に対応して変化する場合もある。従って、液膜が薄いほど微細な霧状(すなわち粒径)になる。現行の噴霧器では、確実に液体を事前液膜形成領域において所望の薄膜状に拡散させるための手段を有していない。このため、事前液膜形成領域の表面上に乾燥点が生じ、液膜が一様でなくなり、その結果として、液滴の粒径が、より大きく粗くなってしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,405,523B1号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0031639A1号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0145631A1号
【特許文献4】欧州特許第1750018A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、噴霧液膜の一様性を高めるとともに、さらなる流体力学的不安定性をもたらすことで霧化を促進することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に、液体の霧化を促進するように構成される表面を有する噴霧器を開示する。ひとつの実施形態において、この噴霧器は、霧化された液体の平均粒径を小さくするように構成される表面からなる事前液膜形成領域を含み、この表面は、霧化される液体に対して約30度より小さい有効接触角を有する。
【0007】
また他の実施形態において、噴霧器は、事前液膜形成領域と、この事前液膜形成領域の端部に設けられるとともに、液膜内を流体力学的に不安定化するように構成されるリップ部とを含み、このリップ部は、交互配置された湿潤性の表面および非湿潤性の表面からなり、非湿潤性の表面は、液体に対して90度より大きい接触角を有し、湿潤性の表面は、液体に対して90度より小さい接触角を有する。
【0008】
さらに他の実施形態において、噴霧器は、液膜を噴霧状に変換するように構成されるとともに、液体を加圧流路内へと噴射するノズルと、このノズルより下流にあって、液滴の平均粒径を小さくするように構成されており、液体に対して約30度より小さい有効接触角を有する表面からなる事前液膜形成領域と、この事前液膜形成領域より下流に設けられるとともに、液膜内を流体力学的に不安化するように構成されており、交互配置された湿潤性の表面および非湿潤性の表面からなるリップ部であって、非湿潤性の表面は液体に対して90度より大きい接触角を有し、湿潤性の表面は液体に対して90度より小さい接触角を有するリップ部とを含む。
【0009】
上述およびその他の特徴を、添付図面と詳細な説明とによって例証する。
【0010】
次に、同様の要素に同様の参照符号が付けられている図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】燃焼器に用いられる現行の事前液膜形成噴霧器の断面略図である。
【図2】本発明の例示的実施形態による、製品の表面におけるコーティング層を示す断面略図である。
【図3】本発明の例示的実施形態による、製品の表面におけるテクスチャーを示す断面略図である。
【図4】ウェンゼルの液滴状態(Wenzel drop state)とカシーの液滴状態(Cassie drop state)との間における相違を示す断面略図である。
【図5】機構が凸部である場合のさまざまなアスペクト比における相対間隔と有効接触角との関係を示すグラフである。
【図6】混成テクスチャー領域に適する部分が強調表示された図1の噴霧器の図である。
【図7】本発明の例示的実施形態による、異なる混成パッチ構成における図である。
【図8】有効接触角をb/a比の関数として示すグラフである。
【図9】本発明の例示的実施形態による、親水性のウェンゼル状態の表面機構の図である。
【図10】ロールオフの評価と接触角の測定とのための、異なるb/a比を有するシリコン柱状部の表面機構上における油滴の写真である。
【図11】親水性/超親水性の表面における有効接触角を相対間隔(b/a比)の関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面全体を参照し、特に図1を参照すると、これらの例は、本明細書に開示の製品の特定の実施形態を説明するためのものであり、これらの例をこの実施形態に制限することを意図しているものではないことが理解されよう。図1は、ガスタービン燃焼器の例示的な噴霧器の断面略図である。本明細書では、燃焼器における表面処理およびコーティングの使用を取り上げる。しかし、本明細書に開示の表面処理をあらゆる噴霧装置に有利に使用して噴霧器の性能を向上させることができることを理解するべきである。流体の霧化を必要とするシステムの例には、農業、食品加工、塗装、洗浄等が含まれるが、これらに制限されるわけではない。本明細書に説明するように、親水性または超親水性の表面処理により、その結果として、このような表面処理が施されていない現行の噴霧器と比較すると、より微小な粒径の液滴を創出すること、すなわち液滴の平均粒径を小さくすることができるより一様な、より薄い噴霧液膜を得ることができる。加えて、疎水性‐親水性混成領域により、噴霧器のさまざまな事前液膜形成領域のリップ部等の選択的な部分を流体力学的に不安定化することで、液膜を効率的な粉砕し、霧化を促すことができる。
【0013】
タービン等における燃焼関連の用途に関して、霧化の促進は、燃焼性能に有意な影響を及ぼす可能性がある。一般に、空気噴射噴霧器の性能の尺度は、空気‐液体比と、所定の平均粒径の噴霧を生じるために必要となる空気側の圧力降下とである。一般に、この圧力降下は、燃焼器全体の圧力降下の大部分であり、空気−液体質量流量比は、微小な粒径の噴霧においては1.0以上である。産業用ガスタービンまたは航空エンジンにおいて、燃焼器の圧力降下は、システム燃料効率にとって不利(すなわち寄生損)となる。このため、所要の品質の噴霧に必要となる噴霧器の圧力降下または空気−液体比を小さくできることは、システムレベルの燃料効率の向上を意味する。噴霧器の噴霧生成面上において親油性および疎油性または親水性および疎水性のコーティングを使用して霧化される液体の液滴の平均粒径を小さくすることにより、その結果として、有利な点として、コーティングを有さない噴霧器と比べて、所定の圧力降下または空気−液体比での噴霧品質を高めることができる。さらに、主として圧力スワール噴霧により噴霧を生じる噴霧器の液体湿潤部分(すなわち事前液膜形成リップ部)にも、所定の平均粒径において液体供給圧力を低下させることができる疎水性または疎油性の表面は有利である。この圧力低下は、燃料を噴霧器に供給するために必要なポンプの仕事量の節減を意味する。
【0014】
さらに、本開示において表面が疎水性または疎油性であることによって、製造時に必要な許容差および精度の基準が低下するという利点を伴うことができる。この表面処理により、事前液膜形成領域において、液膜の厚さと液膜の分布とをより一様にできるようになるので、工具きず、完全な同心性の欠如、噴口が真円でない状態および通常的に縞状の噴霧むらや燃料膜の厚さの非一様性に繋がるその他の徴候を生じるその他の欠陥等の製造欠陥にかかわらず、より一様な噴霧が可能になる。しかも、本明細書に開示の表面処理を用いて、噴霧の空間的分布を燃焼器の形状により適するように調整することもできる。例えば、現行のノズルは、具体的な種類によって、中実または中空のいずれかの軸対称な円錐状の噴霧を生じる。このように一様な分布で環状燃焼器内に噴射すると、耐久性の観点から望ましい量を上回る量の燃料が内壁および外壁近傍に供給されかねない。事前液膜形成部に分布する本開示の表面処理を用いて、液体噴霧を再分布させることができ、質量流束を調整して、下流の燃焼器の容積内において液体燃料をより均一に分配することができる。環状燃焼器において、このことは、円錐ではなしに、楕円の長軸が環状の容積に合わせて周方向に配向された楕円錐を用いることによって可能となる。
【0015】
図1に、燃焼器のガスタービン燃料噴射器10の例示的実施形態を示す。このガスタービン燃料噴射器10は、噴霧器12からなってよい。噴霧器12は、外壁14と、パイロット外側スワラ16と、パイロット内側スワラ18と、パイロット燃料噴射器20とを含んでよい。噴霧器12は、対称軸49を有するとともに、一般に環状の断面形状を有する円筒状とされる。
【0016】
パイロット燃料噴射器20は、対称軸49に沿うとともに、噴霧器12内において、噴霧器と実質的に同軸となるように配置される。燃料噴射器20は、燃料をパイロット内に噴射するとともに、吸入側22と、排出側24と、これらの両者間に延在する本体26とを含む。排出側24は、燃料流(図示せず)を燃料噴射器20から外方に導く先細状の排出ノズル28を含む。
【0017】
パイロット内側スワラ18は、環状をなすとともに、パイロット燃料噴射器20のまわりにおいて周方向に配置される。パイロット内側スワラ18は、吸入側30と出口側32とを含む。内側パイロット空気流(図示せず)は、パイロット内側スワラ吸入側30に流入するとともに、加速された後にパイロット内側スワラ出口側32を介して流出する。
【0018】
基線空気噴射パイロットスプリッタ40は、パイロット内側スワラ18より下流に配置される。基線空気噴射パイロットスプリッタ40は、上流部分42と、上流部分42から延在する下流部分44とを含む。上流部分42は、前縁部46を含むとともに、前縁部46から空気噴射パイロットスプリッタ下流部分44まで一定である直径48を有する。上流部分42は、さらにまた、実質的に平行をなすとともに、パイロット内側スワラ18に隣接して配置される内面50を含む。本明細書において用いられる場合、「上流」および「下流」という用語は、燃焼器における内部構成要素の位置を、システムを介した流体(すなわち燃料)の流れとの関係で表すことを意図している。
【0019】
基線空気噴射パイロットスプリッタ下流部分44は、上流部分42からスプリッタ40の後縁部52まで延在する。下流部分44は、噴霧器の対称軸49の方へと先細状をなして、下流部分44の中間点54において、下流部分44が上流部分の直径48より小さい直径56を有するようになっている。下流部分44は、下流部分中間点54から外方に末広状をなして、後縁部の直径58が下流部分中間点の直径56より大であるが、上流部分の直径48よりは小となるようになっている。
【0020】
パイロット外側スワラ16は、基線空気噴射パイロットスプリッタ40から実質的に垂直に延在するとともに、輪郭壁60に取り付けられる。輪郭壁60は、噴霧器外壁14に取り付けられる。パイロット外側スワラ16は、環状をなすとともに、基線空気噴射パイロットスプリッタ40のまわりにおいて周方向に配置される。輪郭壁60は、輪郭壁60の先細状部分64と輪郭壁60の末広状部分66との間に配置される頂点62を含む。スプリッタ下流部分44は、輪郭壁の末広状部分66の方へと末広状をなす。輪郭壁60は、さらにまた、輪郭壁の末広状部分66から延在する後縁部70を含む。後縁部70は、噴霧器の対称軸49に対して実質的に垂直をなすとともに、燃焼部80に隣接する。
【0021】
動作時において、パイロット燃料回路90は、パイロット燃料噴射器20を介して燃焼器10に燃料を噴射する。同時に、空気流がパイロットスワラ吸入部30に流入するとともに、パイロットスワラ出口側32から外方に加速される。パイロット空気流は、噴霧器の対称軸49に対して実質的に平行に流れるとともに、空気スプリッタ40に衝突し、この空気スプリッタは、パイロット空気流を渦巻き運動で、燃料を排出するパイロット燃料噴射器20の方へと導く。パイロット空気流は、パイロット燃料噴射器20の噴霧パターン(図示せず)を崩壊させるのではなしに、逆に燃料を安定させるとともに霧化する。
【0022】
噴霧液、この場合は燃料がパイロット燃料噴射器20から流出するときに、燃料の一部分は、噴霧器12の表面上において膜状に広がる。平坦面、例えばパイロットスプリッタまたはノズルのリップ部の内面は、燃料を薄膜状に集めることができ、時には「事前液膜形成」面として知られる。このような一般的な用語が本明細書において用いられる。この表面の平坦な面は、排出ノズル28からの燃料をこれらの平坦面上に引き寄せる低圧の再循環領域を創出する。この「事前液膜形成」によって、燃料の薄層を形成する。最初に事前液膜形成面上において燃料を広げて薄膜層にすることによって、燃料の霧化を促進する。しかし、現行の噴霧器の事前液膜形成面は、該面全体にわたる液膜の一様な分散を促進すること、または噴霧液が該面に沿って(すなわちノズルから離れる方向に)流れるときに噴霧液を薄層化することはできない。これにより、液膜厚さが一様でなくなることから、噴霧において縞状のむらまたは隙間ができたり、噴霧液膜の厚さが増大することから、液滴粒径が粗くなり霧化が非効率的になったりする可能性がある。親水性または超親水性表面処理を用いて事前液膜形成面の湿潤性を高めることにより、これらの面上において、より薄い、燃料液膜をより一様に形成させることができ、平均粒径の微小化により、より良好な霧化が可能となる。加えて、親水−疎水混成面を用いて事前液膜形成面のリップ部を処理することにより、流体力学的な不安定性を得ることができ、液膜の粉砕とより微小な液滴の形成とが容易になる。
【0023】
図1のガスタービン液体燃料噴射器10は、噴霧液膜を形成させる事前液膜形成面を示す一例として用いられている。例示的実施形態において、液膜は、最初に排出ノズル28の内面27とノズルリップ部29との上に形成される。さらなる燃料を燃焼部80内に噴射すると、燃料は、下流に移動するとともに、一般にスプリッタ下流部分44の中間点54から液膜を形成し始めて、後縁部70のリップ部71まで延在することがある。同様に、燃料が噴射器20を介して引き続き供給されると、該燃料は、さらに外方に輪郭壁60の末広状部分66上まで広がって、壁のリップ部67の方へと進む。排出ノズル28の内面27、パイロットスプリッタ40の後縁部70までの中間点54および輪郭壁上の外向きの末広状部分66等の平坦な表面部分における親水性表面処理は、燃料の液滴の平均粒径を小さくすることにより、燃料膜の厚さと液膜の厚さとを、より一様にすることができる。さらに、戦略的部分において親水性と疎水性と(すなわち混成)の表面処理を組み合わせることにより、表面を流体力学的に不安定化し、噴霧器の性能を有意に高めることができる。このような混成表面処理のための戦略的部分の例には、ノズルリップ部29と、パイロットスプリッタ40の後縁部リップ部71と、輪郭壁リップ部67とが含まれてもよい。その結果、このような処理によって、より微細かつより一様な噴霧が可能となる。
【0024】
固体表面と該表面上に配置される任意の液体の液滴との間に生じる相互作用の性質から、固体面の「液体湿潤性」または「湿潤性」がわかる。その液体に対して高い湿潤性を有する表面では、液滴は該面の相対的に幅広い部分にわたって広がる(従って、表面が「濡れる」)傾向にある。極端な場合は、液体は、表面全体に広がって液膜を形成する。その一方で、表面が液体に対して低い湿潤性を有する場合は、液体は、形の整った玉状の液滴として維持される傾向にある(「非湿潤性」の表面)。極端な場合は、液体は、表面上において、ごく軽いかく乱で表面から容易に転げ落ちる球状の液滴を形成する。
【0025】
液体が固体面を濡らすことができる程度は、その液体と固体とが互いにどのように相互作用するかを判断する上で有意な役割を果たす。例として、いわゆる「親水性」および「超親水性」の材料は、水の存在下において相対的に高い湿潤性を有し、その結果として固体面全体にわたって水の高度な「展延」をもたらす。親水性および超親水性の表面は、湿潤面の例である。高度な湿潤は、相対的に大面積の液体−固体間接触をもたらすとともに、例えば噴霧器において一様な超薄層の噴霧液膜を形成させるためには2つの面間にかなりの大きさの相互作用があることが有利である用途において望ましい。表面の液体湿潤性の尺度として一般に受け入れられているもののひとつは、表面と、該表面と液滴との間の接触点における基準液の液滴の面に対する接線との間において形成される静的接触角の値である。低い値の接触角は、表面上における基準液の湿潤性が高いことを示す。基準液は、対象となるいかなる液体であってもよい。多くの用途では、基準液は水である。基準液が、例えば油、石油、ガソリン、有機溶剤等といったような、少なくとも1個の二酸化炭素を含む液体である用途もある。湿潤性は、ひとつには基準液の表面張力によるため、所定の表面が、異なる液体に対して異なる湿潤性を有する(従って異なる接触角を形成する)こともある。
【0026】
「親水性」という用語は、一般に、水に対して約90度未満の呼び接触角を生じる面を表すために用いられる。「超親水性」は、一般に、水に対して約10度未満の呼び接触角を生じる面を表すために用いられる。同様に、「疎水性」という用語は、一般に、水に対して約90度より大きい呼び接触角を生じる面を表すために用いられる。「超疎水性」は、一般に、水に対して約150度より大きい呼び接触角を生じる面を表すために用いられる。従って、疎水性および超疎水性の表面は、非湿潤面の例である。
【0027】
ひとつの例示的実施形態において、噴霧器は、噴霧される液体の液滴の平均粒径を小さくするように構成される表面を含む事前液膜形成領域からなることができ、この表面は、噴霧される液体に対して約30度より小さい有効接触角を有する。また他の例示的実施形態において、噴霧器は、事前液膜形成領域の下流に配置されるとともに、液膜内を流体力学的に不安定化するように構成されるリップ部を有することができ、このリップ部は、交互配置された湿潤性の表面および非湿潤性の表面からなり、非湿潤性の表面は、液体に対して90度より大きい接触角を有し、湿潤性の表面は、液体に対して90度より小さい接触角を有する。さらにまた他の例示的実施形態において、噴霧器は、第1の実施形態において説明された事前液膜形成領域面と、第2の実施形態において説明されたリップ部湿潤/非湿潤混成面との両方を一緒に含んでもよい。
【0028】
次に、図2を参照すると、ひとつの例示的実施形態において、噴霧器の基材100は、表面110を有することができる。この表面110は、事前液膜形成が望ましいスワラ、輪郭壁または排出ノズルの内面等の上述のいかなる面であってもよい。表面110は、該表面の表面エネルギーを改変する表面エネルギー改変コーティング層112を含んでもよい。ある一定の場合には、表面エネルギー改変コーティング層112は、噴霧器基材100の表面110上に配置されるコーティングからなることがある。表面110は、金属、合金、プラスチック、セラミックまたはこれらの何らかの組合せの少なくとも1つからなってもよい。表面110は、薄膜、薄板または張出し台の形状を取ることができる。コーティング層112は、表面110の一体的な一部分であってもよく、またはコーティング層112は、当該技術分野において周知の何らかの個数の技術により表面110上に配置または溶着される層からなってもよい。
【0029】
表面エネルギー改変コーティング層112は、セラミック等の親水層、複合材料およびこれらのさまざまな組合せからなる一群から選択される少なくとも1個の材料からなってよい。適切な親水性セラミックの例は、無機酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物およびこれらの組合せを含むが、これらに制限されるわけではない。このようなセラミック材料は、チタン、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、亜鉛、イットリウム安定化ジルコニア、マグネシウムアルミネートスピネルおよび酸化亜鉛、窒化アルミニウムおよびガリウム、炭化ケイ素およびタングステン、炭化コバルトクロム、これらの組合せおよびその他の同様のセラミックスを含む。表面材料は、所望の接触角と使用される製造技術と製品の最終用途とに基づいて選択されてよい。コーティング層材料と、これらを施すための化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PDV)等の方法とは、当該技術分野において周知であり、苛酷な環境では特に有用となる可能性がある。
【0030】
表面110は、約90度までの呼び接触角を生じることができるだけの十分な呼び湿潤性を有するコーティング層112からなってよい。理解を深めるために、「呼び接触角」114は、基準液116の液滴が平坦な平滑面(表面粗さ1nm未満)上に配置された場合に測定される静的接触角を意味する。この呼び接触角114は、実質的に表面を構成する材料の「呼び湿潤性」の大きさである。
【0031】
また別の実施形態において、表面110は、図3に示すように、複数の表面機構120からなってよい。機構120の大きさと形状と配向とは、表面110の湿潤性に強い影響を及ぼし、本明細書に開示の例示的実施形態においては、これらのパラメータは、表面110が水に対して呼び接触角より小さい有効接触角を生じることができるだけの十分な有効湿潤性(すなわちテクスチャー加工された表面の湿潤性)を有するように選択される。複数の表面機構120は、親水性コーティングを有する表面を超親水性の湿潤性を有する表面に変化させるのに効果的であることがある。
【0032】
上述のように、機構120の大きさと形状と配向とは、表面110が超親水性の湿潤性を呈するように選択されてよい。この選択は、液体と固体面との相互作用の基礎をなす物理的現象に基づく。液滴は、一般に、テクスチャー加工された表面上において、多数の平衡状態のいずれかひとつの状態にある。図4(a)に示す「カシー」状態では、液滴200は、表面機構、この場合には、テクスチャー加工された表面210の柱状部212上に載って、これらの柱状部間において空気溜りを閉じ込める。図4(b)に示す「ウェンゼル」状態では、液滴200は、表面210全体を濡らして、尖端部212間における空間を液体によって満たす。その他の平衡状態は、一般に、液滴が表面粗さ機構間における空間を単に部分的に満たす、純粋なカシーと純粋なウェンゼルとの特性間における中間状態と想定されてよい。本明細書において用いられる場合、「非ウェンゼル」という用語は、純粋なウェンゼル状態の特性を呈さないあらゆる状態を指し、従って「非ウェンゼル」という用語には、純粋なカシー状態の特性と、純粋なウェンゼルの特性を呈さないあらゆる中間状態とが含まれる。
【0033】
表面上において液滴が取る特定の状態は、固体/液体/蒸気システムの全体としてのエネルギーに依存し、このエネルギーは、さらには固体の表面粗さ機構の大きさ、形状および配向等の幾何学的特徴の関数である。例えば、カシー状態がウェンゼル状態より低いエネルギーをもたらす場合には、衝突する液滴は、略常にカシー状態の特性を呈することになる。しかし、ウェンゼル状態がより低いエネルギーをもたらす場合でも、2つの状態間におけるエネルギー障壁の存在により、依然として非ウェンゼル状態の特性が維持されることもあり、「準安定」な非ウェンゼル状態から、可能な限り低いエネルギーのウェンゼル状態へ遷移させるためにエネルギー入力が必要となる。表面形状とエネルギーとの間における関係を理解することにより、固体面上において液体が呈する接触角と濡れ状態の特性の種類とを含む所望の湿潤特性が得られるように表面を設計することが可能になる。
【0034】
テクスチャー加工された表面上における有効接触角シータ(θ*)と呼び接触角(θ)との関係は、ウェンゼルの液滴(w)に関しては式(1)、カシーの液滴(c)に関しては式(2)によって表される:
(1) cos(θ*)=rcos(θ)
(2) cos(θ*)=fSLcos(θ)−fLA
ここで、「r」は、テクスチャー・パラメータであって、表面の接触面積を突出面積で割った値として定義される。正方形の柱状部が正方形に配列される場合は、rは、以下の式によって与えられる:
(3) r=1+4(h/a)/(1+b/a)
ここで、「a」は、柱状部の幅であり、「b」は、柱状部間における縁部間隙であり、「h」は、柱状部の高さである。fSLおよびfLAの式は、下式により与えられる:
(4) fSL=1/(1+b/a)
(5) fLA=1−1/(1+b/a)
上記の式からわかるように、テクスチャー加工された面上における有効接触角は、テクスチャー機構の大きさ、間隔およびアスペクト比等のパラメータに強く依存する。表面をテクスチャー加工してウェンゼル状態の液滴を生じることは、超親水性の表面を形成させる上で非常に重要である。図5は、ウェンゼルの液滴の場合の有効接触角θ*とテクスチャー・パラメータrとの間における関係を示すグラフである。この図には、面の表面積(投影表面積に対する実表面積の比rにより測定される)と水により形成される有効接触角との間における関係を、50度、60度および70度の呼び接触角を有する表面に関してグラフ表示する。パラメータrは、b/aおよびh/a等のパラメータを含む表面の形状の関数であり、特定の関数の性質は、表面の構成に依存することは明らかである。このグラフから、ウェンゼルの液滴の場合には、親水性の表面(すなわち90度より小さい呼び接触角を有する表面)をテクスチャー加工して表面機構を設けると、有効接触角が有意に減少(約0度にまで)することがわかる。表面機構のテクスチャーがより密に(粗く)なると、rの値が増大し、有利な点として、有効接触角が小さくなる。従って、製品が既存の親水面(ほとんどの金属面のような)を有するか、または表面が親水性表面被覆により被覆されている場合は、ウェンゼル状態に至ることにより所望の低値または0度の有効接触角をもたらすテクスチャー・パラメータ(r)を選ぶことによって、表面を適切にテクスチャー加工することができる。
【0035】
次に、再び図3を参照すると、表面機構120の大きさは、多くの方法で特徴付けられる。一部の実施形態では、図3に示すように、複数の機構120の少なくとも一部が噴霧器の基材100から突出する。さらに、一部の実施形態では、複数の機構の少なくとも一部は、噴霧器の基材100に設けられる複数の空洞部(図示せず)である。表面機構120は、凸状機構120の高さ、または空洞部の場合は該空洞部が噴霧器の基材100内へと延在する深さを表す高さ寸法(h)121を含む。表面機構120は、さらに、幅寸法(a)124を含む。幅寸法の正確な性質は、機構の形状に依存するが、該機構が製品の表面上に配置される液滴と自然に接触する点における該機構の幅であると定義される。表面機構120の幅、間隔および高さパラメータは、表面110上において観察される湿潤特性に有意な影響を及ぼす可能性がある。
【0036】
表面機構120として用いるのに適する多種多様な形状の機構がある。一部の実施形態では、少なくとも一部の表面機構120は、立方体、直方柱、円錐、円柱、角錐、角錐台および半球またはその他の球の一部分によって構成される一群から選択される形状を有する。機構が台状等の凸部であるか、または溝または孔部等の凹部であるかにかかわりなく、これらの形状が適する。一例として、特定の実施形態において、少なくとも一部の機構は、数十ナノメートル以下に抑制される横方向の寸法と抑制されない長さ方向の寸法とを有する構造であるナノワイヤからなる。さまざまな材料でナノワイヤを作製する方法は、当該技術分野においてよく知られており、例えば基材上への化学蒸着法を含む。ナノワイヤを、製品100上において直接増長しても、別途の基材上で増長し(例えば超音波処理を用いることにより)基材から取り外して溶剤中に導入し、この溶剤を製品表面上に配置するとともに乾燥させることによって製品100上に移動してもよい。
【0037】
機構の配向は、本発明の実施形態に従って表面の湿潤性を調整する上で、設計上のまた他の問題となる。機構の配向におけるひとつの重要な特徴は、機構の間隔である。図3を参照すると、一部の実施形態では、機構120は、間隔寸法(b)126を特徴とする離間関係に配置される。間隔寸法126は、2個の最も近い隣接する機構の縁部間における距離として定義される。
【0038】
一部の実施形態において、複数の全ての機構120は、無作為でない分布状態に配置される。機構120は、h、aおよび/またはbに関して実質的に同じそれぞれの値を有する(「順序配列」)場合もあるが、このことが一般的な要件となるわけではない。例えば、複数の機構120は、例えばランダム分布の大きさ、形状および/または配向を呈するナノワイヤ等の機構の集合体であってもよい。さらに、ある一定の実施形態では、複数の機構は、h、a、bまたはこれらの何らかの組合せにおける多峰性分布(例えば二峰性または三峰性分布)を特徴とする。このような分布は、有利な点として、ある粒径範囲の液滴が見られる環境において、湿潤性の向上をもたらすことができる。このため、h、aおよびbが湿潤性に及ぼす効果の推定は、これらのパラメータの分布の性質を考慮に入れることによって最も良好に行なうことができる。確率分布を表す変数を用いて分析を行なうモンテカルロシミュレーション等の技術は、当該技術分野においてよく知られている。本明細書に開示のように製品に用いられる機構120を設計する上で、このような技術を適用することができる。
【0039】
噴霧器の用途によって、製品表面110を、鉄、チタン、銅、ジルコニウム、アルミニウムおよびニッケルによって構成される一群から選択される元素からなる金属等の金属によって構成される材料としてもよい。ある一定の実施形態では、材料を、本質的に完全に金属質とする。また、材料が、酸化チタン、二酸化ケイ素および酸化ジルコニウムに代表される酸化物等のセラミックからなる実施形態もある。例えばある一定の高分子材料等のその他の中度から高度の親水性材料が本発明の実施形態において用いられてもよい。
【0040】
上述の表面機構パラメータの特定の範囲と組合せとが、表面110の有効湿潤性を高めて基準液の液滴で約10度より小さい有効接触角を生じることができる状態を得ることができ、有効接触角を0度近くまで小さくすることができる場合もある。このような低接触角を噴霧器の事前液膜形成領域の表面上に得ることにより、超薄層の噴霧液膜を形成でき、このことと事前液膜形成領域を流体力学的に不安定化するための現行技術とが相まって、結果的に液滴の平均粒径を微小化し、霧化を促進することができる。
【0041】
ある例示的実施形態において、表面110は、中間の機構寸法aと中間の機構間隔bとを有する複数の表面機構120からなってよい。比b/aは、機構の間隔を示し、これらの機構の間隔が密になるほど、表面110の接触面積が増大(すなわちテクスチャー・パラメータ(r)が増加)して、液体の接触面積が大きくなる。しかし、ひとつには製造方法における制約により、機構をどの程度密な間隔に配置することができるかに関して実際的な下限がある状況もある。さらに、ある一定の用途では、表面機構120を互いにあまりにも密な間隔で配置すると、液滴が機構間において浮遊して、機構120間の部分を濡らさない状況を引き起こすこともある。このような状態は、有効湿潤面積を減少させる。(a)は変化するが、間隔(b)が一定である場合は、機構の幅は変化するが、機構の間隔は変化しない。しかし、これは、(b)がどのように定義されるか、機構の縁部から縁部までなのか、機構の中心から中心までなのかに依存すことがある。
【0042】
表面機構120のアスペクト比(h/a)も表面110の有効湿潤特性を判断する上でひとつの役割を果たす。一般に、表面積が増加するとアスペクト比も増加するため、少なくとも約1、一部の実施形態では少なくとも約4といったような高いアスペクト比が望ましい。例えばガスタービンの場合に見られるような一部の高温噴霧用途においては、高いアスペクト比(少なくとも約4のh/a)の機構を望ましい大きさおよび間隔にして、約0.5〜約6の範囲内のb/aを得ることができる。このパラメータ値の組合せにより、噴霧器の表面上における超薄層の一様な液膜の被覆を最大限に高める表面が得られる。
【0043】
上述のように、噴霧器の事前液膜形成領域において湿潤性(例えば親水性またはさらには超親水性)の表面を有することよりもさらに、湿潤/非湿潤(例えば親水−疎水または「混成」)領域を組み合わせたものを噴霧器内において戦略的な位置に設けると、さらなる利点を得ることができる。図6に、図1の燃焼器および噴霧器を示す。混成パッチの例示的な位置を、丸印と矢印により指し示している。この実施形態において、混成パッチは、ノズルリップ部29とパイロットスプリッタ40の後縁部リップ部71と輪郭壁リップ部67とに配置されてよい。便宜的に、これらの位置は、一般に、噴霧リップ部と呼ばれる。図7に、異なる混成パッチ構成の例を示す。混成構成を用いることによって、噴霧器用の設計技法(高速空気等)よりもさらに、液膜全体内を流体力学的に不安定化できることがわかった。表面にもたらされる不安定性と、空気流による不安定性とが相まって、噴霧品質を高めるよう作用する。ある例示的実施形態では、交互配置された疎水性(または超疎水性)のテクスチャーと親水性(または超親水性)のテクスチャーとを用いて、表面を不安定化できる。例えば、図7に示すように、混成パッチ450は、垂直方向または水平方向に配向される、交互配置された帯状の親水性テクスチャー452と疎水性テクスチャー454とを有してもよい。また他の実施形態では、混成パッチ460は、親水性テクスチャーの領域462と交差する格子状パターンの疎水性の領域464を形成してもよい。例えば、フォトリソグラフィーに用いられる技術と同様のマスキング技術を用いて、交互配置されたパッチ状の親和性−疎外性の表面を得ることができる。このような方法は、当業者にはよく知られており、薬品を用いて表面上に所望の湿潤性または非湿潤性パターンがエッチングされる一方で、表面の残りの部分は、抵抗性を有するマスクによって保護される。この同じ方法を用いて、混成パッチを2段階で創出するだけではなしに、コーティング処理が望まれない表面部分をマスクすることができる。混成面を創出するまた他の方法は、マイクロコンタクトプリントを用いる方法である。
【0044】
帯状の疎水性テクスチャー454、464は、帯状の親水性部分452、462と比べて低湿潤性の部分である。疎水性材料は、液体に対して相対的に低い湿潤性を有して、表面110と最小限の接触面積を有する液滴の形成を促進する。超疎水性材料は、水に対してさらに一層低い湿潤性を有し、その結果として、表面が、該表面に衝突するいかなる水もはじくように見える場合もある。噴霧器リップ部は、液膜の上の空気流により液膜が粉砕されて液滴になり始める場所であるため、親水性領域に隣接して設けられる疎水性領域の性質により、噴霧器リップ部の噴霧液膜の表面が不安定化する。このように、この領域を混成面とすることで、全体的な流体力学的不安定性が促進されるので、望ましい霧化と液滴の粒径の微細化に繋がる。事前液膜形成リップ部の縁部は、流体力学的不安定性の創出と、液体シートが帯状および液滴状に分解される直前の該液体シートの薄膜化とに適する。
【0045】
疎水面の領域は、ちょうど上述の親水面のような複数の機構からなるテクスチャーを有してよい。しかし、これらの表面機構は、表面を形成する材料の本来の呼び湿潤性より低い有効湿潤性を有する表面を得るのにより適した形状とパラメータとを有する。このように設計、作製される表面によって、水と油とに対して所定の湿潤性を有しており、燃焼器10の噴霧器リップ部の表面を不安定化させる。ひとつの実施形態において、水に対する呼び接触角を、約100度より大、具体的には約120度より大、特に約150度より大とする。
【0046】
例示的実施形態において、疎水面454、464は、水と油とに関して大きい接触角(低湿潤性)と、さらにまた容易な液滴ロールオフ性とを有する表面テクスチャーからなる。b/aおよびh/aを適正に選択することに加えて、適用環境に基づいて材料を適正に選択することにより、表面に衝突する液体の液滴が疎水性および耐油性とあわせて容易なロールオフ性を呈するような表面を設計することができる。従って、表面機構は、比b/aが約4より小さく、比h/aが約10より小さくなるような高さ寸法(h)と、幅寸法(a)と、間隔寸法(b)とを有する。ある例示的実施形態において、パラメータaを、約25マイクロメートルより小、具体的には約10マイクロメートルより小、特に約2マイクロメートルより小とする。一部の実施形態では、b/aを、約0.3〜約10、特に約0.5〜約2の範囲内としてもよく、h/aを、約0.5〜約5、特に約0.5〜約1の範囲内としてよい。
【0047】
親水性の面110と混成構成のパッチ450、460との両方の表面機構を数多くの方法で作製し、噴霧器基材100に設けることができる。一部の実施形態では、これらの表面機構を表面110上に直接作製することができる。また、表面機構を別途に作製し、その後に基材100上に配置する実施形態もある。基材100上への表面機構の配設は、これらの機構を個別に取り付けることによって行われてもよく、またはこれらの機構を、後に基材100に取り付けられるシート、箔またはその他の適切な媒体上に配設してもよい。いずれの場合の取付けも、溶接、ろう付け、機械的取付けまたはエポキシまたはその他の接着剤による接着、溶射等であるが、これらに制限されない何らかの適切な方法によってなされてよい。
【0048】
表面機構の配置は、材料を製品の表面上に配置すること、表面から材料を除去することまたは配置と除去との組合せによって行われてよい。当該技術分野において、表面に対する材料の付加または除去を行うための数多くの方法が周知である。例えば、適切な媒体/工具と表面材料とが選択されれば、研削、グリットブラスチング、ショットピーニング等といったような機械的操作による表面の単純な粗面化が適切であることもある。このような操作は、一般に、表面上において無作為に配向された機構の分布をもたらす一方で、機構の大きさは、材料除去作業に用いられる媒体および/または工具の大きさに大きく依存する。湿潤性の向上を促すための表面の一般的な粗面化を用いて、表面機構を創出することができる。しかし、本発明のある一定の実施形態では、表面機構の相対間隔およびアスペクト比等の特定のパラメータを制御して、湿潤性の向上または低下をもたらすことが必要となる。パラメータの範囲およびそれらの組合せの多くは、例えばグリットブラスチング等の従来的に説明されてきた粗面化工程を用いて実現することが非常に困難または不可能である。
【0049】
リソグラフィー法は、金属面を含むエッチング可能な表面上に表面機構を創出するために一般に用いられる。これらの方法により順序配列の機構を設けることができ、これらの技術によって得ることができる機構の大きさの下限は、適用される特定のリソグラフィー工程の解像度によって制限される。しかし、リソグラフィーおよびその他のエッチング法は、「アンダーカット」、すなわち横方向にも縦方向にもエッチングされる傾向にあるため、一般に、一部の金属面上における高アスペクト比の機構の形成にはあまり適さない。
【0050】
電気めっき法も、表面に機構を付け加えるために一般に用いられる。導電性の表面をあるパターンの配列でマスクして、機構が配置される部分を露出させることができ、これらの露出された領域において、めっきにより機構を形成させることができる。この方法によって、エッチング技術によって一般に得られるアスペクト比より高いアスペクト比を有する機構を創出できる。特定の実施形態において、マスキングは、十分に制御された孔径を有する陽極酸化アルミニウム(AAO)テンプレートを用いて可能である。材料は、孔部を介して基材上に電気めっきされて、AAOテンプレートが、その後、選択的に除去され、この加工処理は、当該技術分野において、一般にナノロッド等の高アスペクト比の機構を作製するために適用される。金属および金属酸化物のナノロッドは、周知の加工処理を用いて生成されてよく、これらの材料をさらに加工処理(例えば浸炭により)して、炭化物等のさまざまなセラミック材料を形成させることができる。以下にさらに詳細に説明するが、コーティングまたはその他の表面改変技術をこれらの機構に適用して、さらに一層良好な湿潤性を得ることができる。
【0051】
レーザマイクロマシニング(例えばシリコンおよびステンレス鋼に一般に用いられる)およびエッチング技術(例えばシリコンに一般に用いられるエッチング技術)等のマイクロマシニング技術も適切な方法である。このような技術を用いて、空洞部(レーザ穴あけの場合のような)だけでなく凸状の機構を形成させることができる。複数の表面機構が、空洞部を含む場合は、一部の実施形態では、製品は、例えば陽極酸化金属等の多孔性材料からなってもよい。陽極酸化アルミニウムは、一部の実施形態で使用するのに適することもある多孔性材料の具体例である。陽極酸化アルミニウムは、一般に、円筒状の孔部を含み、直径およびアスペクト比等の孔部パラメータは、当業者にはよく知られているプロセス制御を用いて金属層を多孔性金属酸化物層に変換する陽極酸化処理により、厳密に制御可能である。
【0052】
ろう付け技術を用いて、表面機構を製品に取り付けることができる。この方法においては、ろう付け材料とテクスチャー形成材料とからなってよいコーティング用混合材を製品基材の表面上に配置することができる。次に、ろう付け材料を加熱して、テクスチャー形成材料を製品の表面に接合することができる。また他の方法では、溶射またはコールドスプレー法により表面機構を付加することができる。例えば、粒子(ナノサイズまたはミクロサイズ)と結合剤との混合物を製品基材表面上に付着させて親水性または疎水性の表面を得ることができる。この混合物を粒子が融解しない状態で付着させて、表面の適正なテクスチャーを確保することができる。
【0053】
要するに、当該技術分野において周知の何種類の溶着工程または材料除去工程を用いて表面に機構を設けてもよい。上述のように、表面機構を、基材100上に直接形成しても、後に基材100に取り付けられる基板上に形成してもよい。
【0054】
この形成方法の性質は、機構が製品上に設けられる程度を決定する。所望の厚さより厚い一様でない薄膜層は、燃焼器の非効率と燃料消費量および費用の増加とを引き起こす。本明細書に開示のように液体の霧化を促進するように構成される表面を有する噴霧器は、噴霧の一様性と液滴の粒径とを向上させるとともに、燃焼器の効率を高めることができる。上述の実施形態は、このような表面を含んで、既存の噴霧装置およびタービン構成要素を超える明らかな利点を提供する。加えて、これらの霧化面は、燃料気化器の性能を高めることができる。これらの装置は、後に不活性ガスまたは蒸気と混合され、燃料を気体燃料噴射用に設計される予混合機内で燃焼させる燃料蒸気を生成する。燃料気化器は、二次噴霧燃焼機能を創出することなしに、既存の乾式低公害燃焼器において液体燃料を消費する重要な手段になることができる。本明細書に開示の表面処理およびコーティングによる霧化の改善によって、燃料気化器に必要な熱入力を減少させ、気化器の効率を高めることができる。
【0055】
以下の例は、本発明の実施形態によって得られる特徴および利点を例証するためのものであって、本発明を制限することを意図するものではない。
【実施例1】
【0056】
リソグラフィー法により、シリコン基材に約3マイクロメートルの幅(a)とさまざまな柱間隔(b/a比)およびアスペクト比(h/a)とを有する直方柱の柱状機構を設けた。次に、これらの基材を液体フルオロシラン(FS)のバイアルと一緒にチャンバ内に配置し、チャンバを脱気して、液体を蒸発させるとともに、シリコン基材上に気相から凝縮させて、基材上に親水性の液膜を創出した。ウェンゼル状態の有効接触角をb/a比の関数として記録した。図8に、b/a比の変動傾向と有効接触角の減少との関係をグラフに示す。50、60および70度の呼び接触角(CA)を有する3つの表面をそれぞれテクスチャー加工して直方柱状表面機構を設けた。図8に示すように、有効接触角は、各柱状部間における相対間隔が減少すると減少(約0度にまで)する。さらに、湿潤面積を拡大させることがエネルギー的に好ましいため、アスペクト比を増加させることにより、その結果として、同じ間隔で接触角を減少させることができる。角形台部を有するシリコンウェーハに関する評価から、ある一定の範囲のb/aの場合に、接触角は0度にまで減少することがわかる。これらの結果は、下表1に示されており、表面機構パラメータ(高さ、幅および間隔)が約0度の有効接触角を生じしめている。
【0057】
【表1】

図9に、さらに、ウェンゼル状態の液滴を形成させるとともに、上の表に示された低い有効接触角を生じるように構成される柱状表面機構の例を示す。一番上の例に、ピラミッド状の上面を有する柱状機構を示す。真ん中の例には、隆起したピラミッド状の上面を有する柱状機構が示されており、これらの機構は、一番上の例より大きい高さ寸法を有し、ピラミッド状の形状が機構全体にわたっているわけではない。最後に、一番下の例に、半球状の上面を有する柱状機構を示す。
【0058】
図10は、異なるb/a比を有するシリコン柱状部上における液滴の写真である。図10には、異なる表面機構パラメータにおける油の呼び接触角が列挙されている。使用された油は、エクソンモービル社(Exxon Mobil)から市販されている内燃機関用潤滑油Teresstic GT 32(登録商標)であった。表面は一般に疎油性の性質を有する。液滴を表面から転がり落ちさせるために必要となる、水平からの傾斜角を測定することにより、ロールオフの容易さを評価した。略垂直の傾斜を必要とする液滴は、表面に強くピン止めされる一方で、容易なロールオフ性を呈する液滴は、非常に小さい傾斜角で表面から転がり落ちる。領域5および6は、油滴が柱状部から転がり落ちた唯一の領域であった。油滴は、2および4マイクロリットルの体積を有した。比較のために、同様の体積の水滴を用いて同じ機構を試験した。水を基準液として用いた場合は、液滴は領域5〜10から転がり落ちた。FSを用いて被覆された平滑なシリコンウェーハにおけるロールオフのデータに基づいてピン止めパラメータを計算すると、0.029ニュートン毎メートル(N/m)であった。このパラメータは、ゴニオメータを用いて試験され、ρVgsinθ=μlの式に基づいて計算された。ここで、ρは液体の密度、Vは液滴の体積、gは重力、θは接触角、μはピン止めパラメータ、lは接触線長さである。水の場合は、ピン止めパラメータは、0.013N/m程度である。このデータから、疎水性の面と比較して疎油性の面には異なる表面機構設計が必要となることがわかる。
【実施例2】
【0059】
図11は、有効接触角(度)と表面機構の相対間隔(間隔寸法(b)を幅寸法(a)で割った値)との関係を示すグラフである。このグラフは、噴霧器の事前液膜形成および/またはリップ領域に用いることができるさまざまな親水/超親水面を示している。表面機構は、表面から突出する柱状部であり、約3マイクロメートルの幅寸法(a)を有した。この図に示すように、柱状機構の相対間隔を約4から約10に増加させると、表面の有効接触角は、約25度から約40度に増加した。機構の相対間隔をより密にする(例えばb/aを約4未満にする)と、表面の有効接触角は約0度、すなわち完全な湿潤状態となった。
【0060】
本明細書に開示の範囲は、包含的かつ組合せ可能である(例えば、「最大約25wt%または特に約5wt%〜約20wt%」の範囲には、終端の値と「約5wt%〜約25wt%」等の範囲の全ての中間値とが含まれる)。「組合せ」には、配合物、混合物、合金、反応生成物等が含まれる。さらに、「第1」、「第2」等の用語は、本明細書においては、いかなる順序、数量または重要性も示さず、むしろひとつの要素をまた別の要素から区別するために用いられ、「1個」および「ひとつ」という用語は、本明細書では、数量の制限を示すものではなく、むしろ言及されているものが少なくとも1個はあることを示す。数量と関連して用いられる「約」という修飾語は、記載の値を含むとともに、文脈によって規定される意味を有する(例えば、特定の数量の測定に付随する誤差の程度を含む)。本明細書において用いられる「1個以上」という修飾語は、この修飾語が付けられた用語が単数の場合および複数の場合のいずれをも含み、従って、そのものが1個以上であることを示す(例えば、1個以上の冷却材には、1個または複数個の冷却材が含まれる)。本明細書全体を通じた「ひとつの実施形態」、「また他の実施形態」、「ある実施形態」等の表現は、その実施形態に関連して説明する特定の要素(例えば機構、構造および/または特性)が、本明細書に記載の少なくともひとつの実施形態に含まれるとともに、その他の実施形態に含まれる場合または含まれない場合があることを意味する。加えて、記載された要素は、さまざまな実施形態において、あらゆる適切な態様で組み合わせられてもよいことを理解されたい。
【0061】
以上、本発明を好適な実施形態に関して説明してきたが、明らかなように、本発明の精神から逸脱することなく、これらに様々な改変を加えたり、これらの構成要素を等価物と代替したりすることができる。本発明の本質から逸脱することなく、本発明の教示内容をある特定の条件または材料に適合させることができる。従って本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示した特定の実施形態にとどまらず、添付の特許請求の範囲の範疇にあるあらゆる実施形態を包含するものとする。
【符号の説明】
【0062】
10 ガスタービン燃料噴射器
12 噴霧器
14 外壁
16 パイロット外側スワラ
18 内側スワラ
20 パイロット燃料噴射器
22 吸入側
24 排出側
26 本体
27 排出ノズル内面
28 排出ノズル
29 ノズルリップ部
30 スワラ吸入側
32 スワラ出口側
40 空気噴射パイロットスワラ
42 上流部分
44 下流部分
46 前縁部
48 上流部分直径
49 対称軸
50 内面
52 後縁部
54 中間点
56 直径
58 後縁部直径
60 輪郭壁
62 頂点
64 先細状部分
66 末広状部分
67 輪郭壁リップ部
70 後縁部
71 リップ部
80 燃焼部
90 パイロット燃料回路
100 基材
110 表面
112 表面エネルギー改変コーティング層
114 呼び接触角
116 基準液
120 表面機構
121 高さ寸法h
124 幅寸法a
126 間隔寸法b
200 液滴
210 表面
212 表面機構
220 幅寸法a
240 間隔寸法b
450 混成表面パッチ
452 親水性表面テクスチャー
454 疎水性表面テクスチャー
460 混成表面パッチ
462 親水性テクスチャー領域
464 疎水性テクスチャー領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧される液体の液滴の平均粒径を小さくするように構成される表面(110)からなる事前液膜形成領域(27、54、66)を含み、前記表面は、前記噴霧される液体に対して、30度より小さい有効接触角を有する噴霧器(12)。
【請求項2】
事前液膜形成領域(27、54、66)と、
前記事前液膜形成領域の端部に配置されるとともに、液膜内を流体力学的に不安定化するように構成されるリップ部(29、71、67)であって、交互配置された湿潤性の表面(110、210、452、462)および非湿潤性の表面(110、210、454、464)からなり、前記非湿潤性の表面は、前記液体に対して、90度より大きい有効接触角を有し、前記湿潤性の表面は、前記液体に対して、90度より小さい接触角を有するリップ部(29、71、67)と
を含む噴霧器(12)。
【請求項3】
前記表面は、表面エネルギー改変コーティング層(112)を含む、請求項1〜2のいずれかに記載の噴霧器(12)。
【請求項4】
前記表面エネルギー改変コーティング層(12)は、セラミック材料、親水性高分子材料または前記材料の少なくとも一方を含む組合せからなり、前記セラミック材料は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、イットリウム安定化ジルコニア、マグネシウムアルミネートスピネル、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化ケイ素、炭化タングステン、コバルトクロムまたは前記のものの少なくともひとつを含む組合せからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の噴霧器(12)。
【請求項5】
前記表面は、テクスチャー加工パターンを含み、前記テクスチャー加工パターンは、高さ寸法(h)と幅寸法(a)と間隔寸法(b)とを有する複数の表面機構(120、212)からなり、aに対するbの比(b/a)は、8以下であり、前記複数の表面機構は、前記噴霧される液体に対して、30度より小さい有効接触角を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の噴霧器(12)。
【請求項6】
前記湿潤性(452、462)および非湿潤性の表面(454、464)の所定の一方または両方は、テクスチャー加工パターンを含み、前記テクスチャー加工パターンは、高さ寸法(h)と幅寸法(a)と間隔寸法(b)とを有する複数の表面機構(120、212)からなり、aに対するbの比(b/a)は、8以下であり、前記複数の機構は、複数の柱状部と複数の孔部との所定の一方または両方からなり、前記複数の柱状部は、前記表面の上に突出し、前記複数の孔部は、前記表面に設けられ、前記幅寸法(a)は、100マイクロメートルより小さく、アスペクト比(h/a)は、0.25より大きい、請求項2に記載の噴霧器(12)。
【請求項7】
前記湿潤性の表面(110、210)は、前記表面エネルギー改変コーティング層(112)を含み、前記層は、セラミック材料、親水性高分子材料または前記材料の少なくとも一方を含む組合せからなり、前記セラミック材料は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、イットリウム安定化ジルコニア、マグネシウムアルミネートスピネル、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化ケイ素、炭化タングステン、コバルトクロムまたは前記のものの少なくともひとつを含む組合せからなる、請求項2に記載の噴霧器(12)。
【請求項8】
前記非湿潤性の表面(110、112)は、前記表面エネルギー改変層(112)からなり、前記層は、セラミックと高分子材料とフッ化材料と金属間化合物と複合材料とによって構成される一群から選択される少なくともひとつの材料からなり、前記セラミックは、ダイヤモンドライクカーボン、フッ化ダイヤモンドライクカーボン、酸化タンタル、炭化チタン、窒化チタン、窒化クロム、窒化ホウ素、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化窒化チタン、無電解ニッケル、窒化ジルコニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタンまたは前記のものの少なくともひとつを含む組合せからなり、前記金属間化合物は、ニッケルアルミナイド、チタンアルミナイドまたは前記のものの少なくとも1個を含む組合せからなり、前記高分子材料は、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロアクリレート、フルオロウレタン、フルオロシリコーン、フルオロシラン、変性カーボネート、シリコーンまたは前記のものの少なくともひとつを含む組合せからなる、請求項2に記載の噴霧器(12)。
【請求項9】
前記湿潤性の表面(452、462)は、テクスチャー加工パターンからなり、前記テクスチャー加工パターンは、高さ寸法(h)と幅寸法(a)と間隔寸法(b)とを有する複数の表面機構(120、212)からなり、aに対するbの比(b/a)は、8以下であり、前記複数の表面機構は、前記液体に対して、30度より小さい有効接触角を有する、請求項2に記載の噴霧器(12)。
【請求項10】
前記非湿潤性の表面(454、464)は、テクスチャー加工パターンからなり、前記テクスチャー加工パターンは、高さ寸法(h)と幅寸法(a)と間隔寸法(b)とを有する複数の表面機構(120、212)からなり、aに対するbの比(b/a)は、8以下であり、前記複数の表面機構は、前記噴霧される液体に対して、120度より大きい有効接触角を有する、請求項2に記載の噴霧器(12)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−274065(P2009−274065A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115099(P2009−115099)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】