説明

露光用照明装置

【課題】 個々のランプの状態を把握できる複数のランプを有する露光用照明装置を提供する。
【解決手段】
各ランプ1毎に電源モジュール2が設けられ、該複数の電源モジュール2を制御装置3により制御して、各ランプ1の点灯を行わせる。電源モジュール2は点灯回路20を有し、点灯回路20に点灯検出器21が付属して、各ランプ1の点灯不点灯の信号を制御装置3に送り、表示装置4に表示させる。点灯回路20には電圧検出装置22が接続し、各ランプ1のランプ点灯時の電圧を検出し、電圧判定装置23はランプが定格仕様電圧で点灯しているか否かを判別する。電圧判定装置23における上限と下限の基準電圧は、上下限基準電圧設定装置5により任意に設定でき、ランプ1の特性や露光の条件などに応じてランプ電圧の適否基準を変更できる。電圧判定装置23による判定結果は制御装置3に送られ、表示装置4に表示され、告知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、露光用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路やプリント配線基板を製作するに際して、フォトレジストを施した基板に露光装置により回路パターンなどを焼き付けることが行われる。
露光装置の露光用照明には、一般に紫外線が用いられ、そのための照明ランプとして、一般的に高圧水銀ランプが用いられている。
このような露光用照明装置として、多数のランプを使用した特開2004−361746号に示すようなマルチランプシステムが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−361746号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記マルチランプシステムの場合、高出力が得られる利点があるが、構成する複数のランプの個々が定格仕様電圧で点灯しているかを検出する機能はなく、また全てのランプが所定の照度で点灯している事を目視で把握することは困難である。
また、ランプの寿命判定にはランプの積算点灯時間が用いられ、ランプの明るさに関係なく積算点灯時間が寿命と設定される時間を過ぎれば寿命を迎えたとしており、ランプの使用効率が悪いなどの問題がある。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は複数のランプを有する露光用照明装置であって、ランプの点灯回路と、各ランプが点灯したことを個々に検出する点灯検出手段と、各ランプ点灯時の点灯電圧を個々に検出する電圧検出手段と、該検出したランプの点灯電圧が所定の電圧範囲にあることを判定する電圧判定手段と、前記点灯検出手段による検出結果と電圧判定手段の判定結果とを告知する手段と、を備えたことを特徴とする。
以上のように各ランプの点灯及び電圧を検出することにより、不点灯のランプや電圧不適当のランプを認識することができ、不適合ランプの数や位置などの把握も可能になる。
また前記点灯検出手段による検出結果と電圧判定手段の判定結果とから不適合ランプ数を算出し、該不適合ランプ数が所定数以上の時に、露光不可と判断する手段、を更に備えることにより露光可及び不可の自動的な判断も可能になる。
また、前記電圧判定手段の判定結果に基づいて、ランプの寿命を判別することも可能である。
前記複数のランプは、同一の仕様でなく、異なる仕様のランプを含んでも良い。この場合、各ランプ毎にその仕様に適合する前記ランプの点灯回路と、点灯検出手段と、電圧検出手段と、電圧判定手段とを備えることにより対応可能である。
前記複数のランプは使用条件により全てのランプを使用しても良いし、一部のランプを使用しても良い。この場合、複数ランプの各ランプについて任意に使用または不使用を選定する手段を備えることにより対応可能である。
また、前記複数のランプの各ランプの積算点灯時間を平均化するように、前記複数のランプの各ランプについて使用、不使用を選定する手段、を更に備え、この手段によりランプの交換周期を延長する、ことも可能である。この場合、複数の点灯パターンを予め設定しておき、ランプ点灯時にパターンを切り替えるように構成するのが望ましい。
この構成により、各ランプの積算点灯時間を平均化できランプの使用可能期間(交換周期)を延長することが可能となる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の露光用照明装置によれば、不点灯ランプを検出でき、また個々のランプの点灯電圧が検出できる。そのため、照明装置の照度が基準以上か否かの判別が可能になり、露光の適否や露光開始のタイミングを知ることができる。
また、個々のランプの電圧から点灯中のランプの劣化を判定でき、初期照度より著しく暗くなる前に、ランプ交換の時期を知ることができる。更に、仕様の異なるランプを混在させることが可能になる等の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の露光用照明装置は、複数のランプ1と複数の電源モジュール2を有しており、各ランプ1毎に電源モジュール2が設けられている。この電源モジュール2を制御装置3により制御して、各ランプ1の点灯を行わせるように構成されている。
【0008】
電源モジュール2には、制御装置3に制御される点灯回路20が設けられており、この点灯回路20に点灯検出器21が付属して、各ランプ1の点灯不点灯の信号を制御装置3に送るようになっている。この点灯不点灯の検出結果は表示装置4に表示され、使用者に告知される。
点灯回路20にはまた電圧検出装置22が接続し、各ランプ1の点灯電圧を検出するように構成されている。
【0009】
制御装置3は各ランプの点灯回路2に信号を出し、全てのランプ1を点灯しても良いし、或いはあらかじめ任意に選出されたランプ1を点灯しても良い。これについては後述する。
【0010】
図3にランプ1の電圧特性を示す。前記したように露光照明装置に用いられるランプ1には一般的に高圧水銀ランプが用いられ、このランプは電源オンから電圧が安定するまで所定の時間を要する。この電圧が安定する領域を露光動作適正動作領域とし、各ランプ1の電圧がこの領域に達した時が露光適正時期である。
また、該ランプは積算点灯時間が長くなると、徐々に安定時の電圧が高くなり、同時に照度が低下する。従って、ランプ1の電圧により、該ランプ1の寿命の到来を事前に知ることが可能になり、早目にランプ交換を行える。
【0011】
電圧検出装置22は、各ランプ1のランプ点灯時の電圧を検出し、電圧判定装置23は更に該点灯電圧からランプが定格仕様電圧で点灯しているか否かを判別する。
電圧判定装置23には図3に示す定格仕様電圧の上限と下限の基準電圧が設定され、ランプ点灯した後、定格仕様電圧下限を越えると露光可能と判断するように構成されている。また一定時間経過後、定格仕様電圧範囲からはずれるランプが存在する場合、該ランプが定格仕様電圧にない旨の信号を出力する。
この電圧判定装置23における上限と下限の基準電圧は、上下限基準電圧設定装置5により使用者が任意に設定できるようになっており、ランプ1の特性や露光の条件などに応じてランプ電圧の適否基準を変更できるようになっている。
【0012】
電圧判定装置23による判定結果は制御装置3に送られ、表示装置4に表示され、告知されるように構成されている。
即ち、各ランプ1が前記上限と下限の間の適正電圧範囲内に入ったこと、及び所定時間後も該適正電圧範囲内にないランプ1を表示するように構成されている。
【0013】
上記表示装置4の表示により、使用者は、不点灯のランプ1の数、及び適正電圧にないランプ1の数を把握することができ、露光動作を継続するか、もしくは露光中止にするかを、判断することが可能になる。
【0014】
この実施形態では、更に制御装置3は点灯検出器21からの不点灯ランプ数と電圧判定装置23からの非適正電圧範囲のランプ数が所定数以上か否か判別し、露光可か露光不可かを判断する構成を備えている。この構成により、自動的に露光の適否を判断することが可能になる。
【0015】
図2により動作を説明する。
使用者などからランプ点灯操作がなされると、制御装置3は点灯回路20にランプ点灯指令を出力し(ステップS1)、同時にランプ番号Nに1を置く(ステップS2)。そして、電圧安定時間が経過後(ステップS3)、点灯検出器21からの信号により、ランプ不点灯の場合には(ステップS4)、表示装置4にその旨の表示を行わせる(ステップS5)。ランプが点灯している場合には(ステップS4)、電圧判定装置23からの信号により電圧が上限を超える場合には(ステップS6)、ランプ1の寿命が近いことを表示装置4に表示する(ステップS7)。上限値以下であり、下限値以下の場合(ステップS8)、低電圧である旨を表示装置4に表示する(ステップS9)。
【0016】
ステップS5、7、9の場合は、いずれもランプ不良と判断し、制御装置3は不良数をカウントする(ステップS10)。
そして、上記ステップS4からS10までを各ランプについて実行し(ステップS11,12)、不良数Dが基準値以内か判断する(ステップS13)。基準値以内であれば露光可と判断し、表示装置4に表示する(ステップS14)。基準値以上であれば露光不可と判断し、その旨の表示を行う(ステップS15)。
使用者は表示装置4の表示に基づいて種々の判断を行うことができる。
【0017】
なお、前記したように制御装置3は全てのランプ1を点灯することも、或いは任意のランプ1を点灯することも可能である。
例えば、図4の例では、7×6個のランプ1の中、外周部分のランプ1’を点灯せずに、残りの中央部分のランプ1のみを点灯させている。このように選択的に点灯させることにより、全体の照度の調整や、照明の位置の調整などが可能になる。
【0018】
この実施形態では、更に図1に示すように点灯パターン選定装置6を備えている。点灯パターン選定装置6は予め決められた点灯パターンを記憶しておき、該パターンを選択し、選択したパターンに従ってランプ1を点灯するものである。
図5と図6に実施例を示す。図5と図6では市松模様にランプ1を点灯不点灯としてあり、図5と図6では互い違いに点灯させるようになっている。このように点灯パターンを切り替えることにより、各ランプの積算点灯時間を平均化できランプの使用可能期間(交換周期)を延長することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施形態の動作を示すフローチャート図。
【図3】ランプの電圧の変化と露光動作適正範囲を示すグラフ。
【図4】ランプを選択的に点灯不点灯としたパターンの一例を示す説明図。
【図5】予め決められた点灯パターンの一例を示す説明図。
【図6】予め決められた点灯パターンの他の例を示す説明図。
【符号の説明】
【0020】
1:ランプ、2:電源モジュール、3:制御装置、4:表示装置、5:上下限基準電圧設定装置、6:点灯パターン選定装置、20:点灯回路、21:点灯検出器、22:電圧検出装置、23:電圧判定装置、24:外部出力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のランプを有する露光用照明装置であって、
ランプの点灯回路と、
各ランプが点灯したことを個々に検出する点灯検出手段と、
各ランプ点灯時の点灯電圧を個々に検出する電圧検出手段と、
該検出したランプの点灯電圧が所定の電圧範囲にあることを判定する電圧判定手段と、
前記点灯検出手段による検出結果と電圧判定手段の判定結果とを告知する手段と、
を備えたことを特徴とする露光用照明装置。
【請求項2】
前記点灯検出手段による検出結果と電圧判定手段の判定結果とから不適合ランプ数を算出し、該不適合ランプ数が所定数以上の時に、露光不可と判断する手段、
を更に備えた請求項1の露光用照明装置。
【請求項3】
前記電圧判定手段の判定結果に基づいて、ランプの寿命を判別する手段、
を更に備えた請求項1の露光用照明装置。
【請求項4】
前記複数のランプが仕様の異なるランプを含み、
各ランプ毎にその仕様に適合する前記ランプの点灯回路と、点灯検出手段と、電圧検出手段と、電圧判定手段とを備えた、
請求項1又は2又は3の露光用照明装置。
【請求項5】
前記複数のランプの各ランプについて使用、不使用を任意に選定する手段、
を更に備えた請求項1の露光用照明装置。
【請求項6】
前記複数のランプの各ランプの積算点灯時間を平均化するように、前記複数のランプの各ランプについて使用、不使用を選定する手段、を更に備え、
該手段によりランプの交換周期を延長する、
請求項1の露光用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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