説明

露光装置、露光方法、及び表示用パネル基板の製造方法

【課題】複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器を用い、多重露光を行って基板にパターンを描画する際、描画データの量を増やすことなく描画品質を向上させて、高速かつ高精細にパターンの描画を行う。
【解決手段】光ビーム照射装置(20)の空間的光変調器(25)の1つのミラーで反射された光が基板へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基板へ照射される領域が、光ビームによる基板の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行って、基板にパターンを描画する。基板に描画するパターンの図形の座標データから、描画の要否を判定するサンプリング点を解像度の大きさの露光領域(2a)毎に周期的に変動させて、描画データを生成し、生成した描画データを、光ビーム照射装置の駆動回路(27)へ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、フォトレジストが塗布された基板へ光ビームを照射し、光ビームにより基板を走査して、基板にパターンを描画する露光装置、露光方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器を用いて基板へ照射する光ビームを変調し、空間的光変調器の1つのミラーで反射された光が基板へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基板へ照射される領域が、光ビームによる基板の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行う露光装置、露光方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、従来、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがあった。
【0003】
近年、フォトレジストが塗布された基板へ光ビームを照射し、光ビームにより基板を走査して、基板にパターンを描画する露光装置が開発されている。光ビームにより基板を走査して、基板にパターンを直接描画するため、高価なマスクが不要となる。また、描画データ及び走査のプログラムを変更することにより、様々な種類の表示用パネル基板に対応することができる。
【0004】
光ビームにより基板にパターンを描画する際、光ビームの変調には、DMD(Digital Micromirror Device)が用いられる。DMDは、光ビームを反射する複数の微小なミラーを直交する二方向に配列して構成され、各ミラーの角度を変更することにより、基板へ照射する光ビームを変調する。DMDの駆動回路は、描画データに基づいて、各ミラーを駆動するための駆動信号をDMDへ出力する。
【0005】
現在市販されているDMDには、DMD1個当たり数十万〜数百万個のミラーが設けられている。各ミラーの寸法は10〜15μm角程度であり、隣接するミラー間には1μm程度の隙間がある。DMDを光ビームによる基板の走査方向と平行に配置すると、各ミラーの配列方向(直交する二方向)が基板の走査方向と平行及び垂直になるので、隣接するミラー間の隙間と基板とが相対的に平行に移動し、この隙間に対応する箇所ではパターンの描画ができない。そのため、DMDは、特許文献1に記載の様に、光ビームによる基板の走査方向に対して傾けて使用される。そして、特許文献2に記載の様に、1つのミラーで反射された光が基板へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基板へ照射される領域が、光ビームによる基板の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行うことにより、DMDのミラーのサイズより小さい分解能でパターンの描画を行うことができる。
【0006】
光ビームによる基板の走査は、基板を支持するチャックと、DMDにより変調された光ビームを基板へ照射するヘッド部を有する光ビーム照射装置とを、相対的に移動して行われる。特許文献3には、光ビーム照射装置のヘッド部の位置ずれによる描画品質の低下を防止するため、ヘッド部の位置ずれを検出し、検出結果に基づき、DMDの駆動回路へ供給する描画データの座標を補正し、補正した座標の描画データを、DMDの駆動回路へ供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−353927号公報
【特許文献2】特開2004−12899号公報
【特許文献3】特開2010−102084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
描画データは、描画するパターンのCADデータから作られた座標データを元に生成されてメモリに記憶され、チャックと光ビーム照射装置との相対的な移動によりDMDの各ミラーで反射された光が基板へ照射される領域が移動するのに伴い、メモリから読み出されてDMDの駆動回路へ供給される。特許文献2に記載の様に多重露光でパターンの描画を高精細に行う場合、描画データの解像度はDMDのミラーのサイズより小さく、描画データはDMDのミラー数の数倍〜数十倍の膨大な量となる。
【0009】
パターンの描画をさらに高精細に行うためには、描画データの解像度をさらに上げる必要があるが、描画データの解像度を上げると、描画データの量がさらに増大し、描画データをDMDの駆動回路へ高速化に供給することが困難となって、光ビームによる基板の走査速度を速くすることができないという問題がある。
【0010】
本発明の課題は、複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器を用い、多重露光を行って基板にパターンを描画する際、描画データの量を増やすことなく描画品質を向上させて、高速かつ高精細にパターンの描画を行うことである。また、本発明の課題は、高品質な表示用パネル基板を高いスループットで製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の露光装置は、フォトレジストが塗布された基板を支持するチャックと、複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器、描画データに基づいて空間的光変調器を駆動する駆動回路、及び空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を有する光ビーム照射装置と、チャックと光ビーム照射装置とを相対的に移動する移動手段とを備え、移動手段によりチャックと光ビーム照射装置とを相対的に移動して、光ビーム照射装置からの光ビームにより基板を走査し、光ビーム照射装置の空間的光変調器の1つのミラーで反射された光が基板へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基板へ照射される領域が、光ビームによる基板の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行って、基板にパターンを描画する露光装置であって、基板に描画するパターンの図形の座標データを記憶するメモリと、メモリに記憶された座標データから、描画の要否を判定するサンプリング点を解像度の大きさの露光領域毎に周期的に変動させて、描画データを生成する描画データ生成手段とを有し、描画データ生成手段が生成した描画データを、光ビーム照射装置の駆動回路へ供給する描画制御手段を備えたものである。
【0012】
また、本発明の露光方法は、フォトレジストが塗布された基板をチャックで支持し、チャックと、複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器、描画データに基づいて空間的光変調器を駆動する駆動回路、及び空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を有する光ビーム照射装置とを、相対的に移動して、光ビーム照射装置からの光ビームにより基板を走査し、光ビーム照射装置の空間的光変調器の1つのミラーで反射された光が基板へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基板へ照射される領域が、光ビームによる基板の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行って、基板にパターンを描画する露光方法であって、基板に描画するパターンの図形の座標データから、描画の要否を判定するサンプリング点を解像度の大きさの露光領域毎に周期的に変動させて、描画データを生成し、生成した描画データを、光ビーム照射装置の駆動回路へ供給するものである。
【0013】
基板に描画するパターンの図形の座標データから、描画データを生成する際、従来は、解像度の大きさの露光領域の中心点をサンプリング点として、描画の要否を判定していた。そのため、例えば、パターンの図形の線で構成された部分(描画するパターンのエッジ(縁)の部分)がX方向又はY方向へ伸びる直線の場合、その直線が通る露光領域では、描画の有無が全て同じになっていた。本発明では、基板に描画するパターンの図形の座標データから、描画の要否を判定するサンプリング点を解像度の大きさの露光領域毎に周期的に変動させて、描画データを生成するので、例えば、パターンの図形の線で構成された部分(描画するパターンのエッジ(縁)の部分)がX方向又はY方向へ伸びる直線であっても、その直線が通る露光領域では、描画の有無が周期的に変化する。
【0014】
複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器を用い、多重露光を行って基板にパターンを描画する際、サンプリング点を周期的に変動させた描画データにより変調された光ビームは、1つのミラーで反射された光が基板へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基板へ照射される領域が、光ビームによる基板の走査に伴って部分的に重なることにより、露光量が平均化されて、解像度の間隔より小さい間隔でパターンの描画が可能となる。従って、描画データの量を増やすことなく描画品質が向上して、高速かつ高精細にパターンの描画が行われる。
【0015】
さらに、本発明の露光装置は、描画データ生成手段が、解像度の大きさの露光領域を複数の区画に分割した各区画内の1点を、互いに異なる順番でサンプリング点として決定する複数のサンプリング点決定回路と、メモリに記憶された座標データについて、各サンプリング点決定回路が決定したサンプリング点で描画の要否を判定する複数のサンプリング回路と、各サンプリング回路の判定結果に応じて、描画データのパターンを生成する複数のパターン生成回路と、複数のパターン生成回路により生成された描画データのパターンの1つを順番に選択する選択回路とを有するものである。
【0016】
また、本発明の露光方法は、複数のサンプリング点決定回路により、解像度の大きさの露光領域を複数の区画に分割した各区画内の1点を、互いに異なる順番でサンプリング点として決定し、複数のサンプリング回路により、基板に描画するパターンの図形の座標データについて、各サンプリング点決定回路が決定したサンプリング点で描画の要否を判定し、複数のパターン生成回路により、各サンプリング回路の判定結果に応じて、描画データのパターンを生成し、選択回路により、複数のパターン生成回路により生成した描画データのパターンの1つを順番に選択して、描画データを生成するものである。
【0017】
複数のサンプリング点決定回路、複数のサンプリング回路、複数のパターン生成回路、及び選択回路を用いた簡単な構成により、サンプリング点を解像度の大きさの露光領域毎に周期的に変動させた描画データを容易に生成することができる。
【0018】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかの露光装置又は露光方法を用いて基板の露光を行うものである。上記の露光装置又は露光方法を用いることにより、描画データの量を増やすことなく描画品質が向上して、高速かつ高精細にパターンの描画が行われるので、高品質な表示用パネル基板が高いスループットで製造される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の露光装置及び露光方法によれば、基板に描画するパターンの図形の座標データから、描画の要否を判定するサンプリング点を解像度の大きさの露光領域毎に周期的に変動させて、描画データを生成し、生成した描画データを、光ビーム照射装置の駆動回路へ供給することにより、複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器を用い、多重露光を行って基板にパターンを描画する際、描画データの量を増やすことなく描画品質を向上させて、高速かつ高精細に描画を行うことができる。
【0020】
さらに、本発明の露光装置及び露光方法によれば、複数のサンプリング点決定回路、複数のサンプリング回路、複数のパターン生成回路、及び選択回路を用いた簡単な構成で、サンプリング点を解像度の大きさの露光領域毎に周期的に変動させた描画データを容易に生成することができる。
【0021】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、描画データの量を増やすことなく描画品質を向上させて、高速かつ高精細に描画を行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を高いスループットで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態による露光装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態による露光装置の正面図である。
【図4】光ビーム照射装置の概略構成を示す図である。
【図5】DMDのミラー部の一例を示す図である。
【図6】レーザー測長系の動作を説明する図である。
【図7】本発明の一実施の形態による描画制御部の概略構成を示す図である。
【図8】描画データ生成回路の一例のブロック図である。
【図9】本発明を用いない場合の描画データの一例を示す図である。
【図10】サンプリング点決定回路の動作を説明する図である。
【図11】選択回路の動作を説明する図である。
【図12】サンプリング点を図9の場合に対応させて示した図である。
【図13】本発明を用いた場合の描画データの一例を示す図である。
【図14】光ビームによる基板の走査を説明する図である。
【図15】光ビームによる基板の走査を説明する図である。
【図16】光ビームによる基板の走査を説明する図である。
【図17】光ビームによる基板の走査を説明する図である。
【図18】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図19】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態による露光装置の概略構成を示す図である。また、図2は本発明の一実施の形態による露光装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態による露光装置の正面図である。露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック10、ゲート11、光ビーム照射装置20、リニアスケール31,33、エンコーダ32,34、レーザー測長系、レーザー測長系制御装置40、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70を含んで構成されている。なお、図2及び図3では、レーザー測長系のレーザー光源41、レーザー測長系制御装置40、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70が省略されている。露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0024】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0025】
図1及び図2において、チャック10は、基板1の受け渡しを行う受け渡し位置にある。受け渡し位置において、図示しない基板搬送ロボットにより基板1がチャック10へ搬入され、また図示しない基板搬送ロボットにより基板1がチャック10から搬出される。チャック10は、基板1の裏面を真空吸着して支持する。基板1の表面には、フォトレジストが塗布されている。
【0026】
基板1の露光を行う露光位置の上空に、ベース3をまたいでゲート11が設けられている。ゲート11には、複数の光ビーム照射装置20が搭載されている。なお、本実施の形態は、8つの光ビーム照射装置20を用いた露光装置の例を示しているが、光ビーム照射装置の数はこれに限らず、本発明は1つ又は2つ以上の光ビーム照射装置を用いた露光装置に適用される。
【0027】
図4は、光ビーム照射装置の概略構成を示す図である。光ビーム照射装置20は、光ファイバー22、レンズ23、ミラー24、DMD(Digital Micromirror Device)25、投影レンズ26、及びDMD駆動回路27を含んで構成されている。光ファイバー22は、レーザー光源ユニット21から発生された紫外光の光ビームを、光ビーム照射装置20内へ導入する。光ファイバー22から射出された光ビームは、レンズ23及びミラー24を介して、DMD25へ照射される。DMD25は、光ビームを反射する複数の微小なミラーを直交する二方向に配列して構成された空間的光変調器であり、各ミラーの角度を変更して光ビームを変調する。DMD25により変調された光ビームは、照射光学系の投影レンズ26を含むヘッド部20aから照射される。DMD駆動回路27は、主制御装置70から供給された描画データに基づいて、DMD25の各ミラーの角度を変更する。
【0028】
図2及び図3において、チャック10は、θステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8には、ボールねじ及びモータや、リニアモータ等の図示しない駆動機構が設けられており、各駆動機構は、図1のステージ駆動回路60により駆動される。
【0029】
θステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1は、直交する二辺がX方向及びY方向へ向く様に回転される。Xステージ5のX方向への移動により、チャック10は、受け渡し位置と露光位置との間を移動される。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動により、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームが、基板1をX方向へ走査する。また、Yステージ7のY方向への移動により、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームによる基板1の走査領域が、Y方向へ移動される。図1において、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、θステージ8のθ方向へ回転、Xステージ5のX方向への移動、及びYステージ7のY方向への移動を行う。
【0030】
図5は、DMDのミラー部の一例を示す図である。光ビーム照射装置20のDMD25は、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査方向(X方向)に対して、所定の角度θだけ傾いて配置されている。DMD25を、走査方向に対して傾けて配置すると、直交する二方向に配列された複数のミラー25aのいずれかが、隣接するミラー25a間の隙間に対応する箇所をカバーするので、パターンの描画を隙間無く行うことができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、Xステージ5によりチャック10をX方向へ移動することによって、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査を行っているが、光ビーム照射装置20を移動することにより、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査を行ってもよい。また、本実施の形態では、Yステージ7によりチャック10をY方向へ移動することによって、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査領域を変更しているが、光ビーム照射装置20を移動することにより、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査領域を変更してもよい。
【0032】
図1及び図2において、ベース3には、X方向へ伸びるリニアスケール31が設置されている。リニアスケール31には、Xステージ5のX方向への移動量を検出するための目盛が付けられている。また、Xステージ5には、Y方向へ伸びるリニアスケール33が設置されている。リニアスケール33には、Yステージ7のY方向への移動量を検出するための目盛が付けられている。
【0033】
図1及び図3において、Xステージ5の一側面には、リニアスケール31に対向して、エンコーダ32が取り付けられている。エンコーダ32は、リニアスケール31の目盛を検出して、パルス信号を主制御装置70へ出力する。また、図1及び図2において、Yステージ7の一側面には、リニアスケール33に対向して、エンコーダ34が取り付けられている。エンコーダ34は、リニアスケール33の目盛を検出して、パルス信号を主制御装置70へ出力する。主制御装置70は、エンコーダ32のパルス信号をカウントして、Xステージ5のX方向への移動量を検出し、エンコーダ34のパルス信号をカウントして、Yステージ7のY方向への移動量を検出する。
【0034】
図6は、レーザー測長系の動作を説明する図である。なお、図6においては、図1に示したゲート11及び光ビーム照射装置20が省略されている。レーザー測長系は、公知のレーザー干渉式の測長系であって、レーザー光源41、レーザー干渉計42,44、及びバーミラー43,45を含んで構成されている。バーミラー43は、チャック10のY方向へ伸びる一側面に取り付けられている。また、バーミラー45は、チャック10のX方向へ伸びる一側面に取り付けられている。
【0035】
レーザー干渉計42は、レーザー光源41からのレーザー光をバーミラー43へ照射し、バーミラー43により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源41からのレーザー光とバーミラー43により反射されたレーザー光との干渉を測定する。この測定は、Y方向の2箇所で行う。レーザー測長系制御装置40は、主制御装置70の制御により、レーザー干渉計42の測定結果から、チャック10のX方向の位置及び回転を検出する。
【0036】
一方、レーザー干渉計44は、レーザー光源41からのレーザー光をバーミラー45へ照射し、バーミラー45により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源41からのレーザー光とバーミラー45により反射されたレーザー光との干渉を測定する。レーザー測長系制御装置40は、主制御装置70の制御により、レーザー干渉計44の測定結果から、チャック10のY方向の位置を検出する。
【0037】
図4において、主制御装置70は、光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ描画データを供給する描画制御部を有する。図7は、本発明の一実施の形態による描画制御部の概略構成を示す図である。描画制御部71は、メモリ72、バンド幅設定部73、中心点座標決定部74、座標決定部75、描画図形座標メモリ82、及び描画データ生成部84を含んで構成されている。
【0038】
描画図形座標メモリ82には、描画するパターンのCADデータから作られた座標データが記憶されている。描画データ生成部84は、座標補正回路85及び描画データ生成回路86を含んで構成されている。座標補正回路85は、描画図形座標メモリ82に記憶された座標データを、DMD25の傾きに対応して補正して、描画データ生成回路86へ出力する。描画データ生成回路86は、後述する様に、座標補正回路85により補正された座標データから、描画データを生成する。メモリ72は、描画データ生成回路86が生成した描画データを、そのXY座標をアドレスとして記憶する。
【0039】
バンド幅設定部73は、メモリ72から読み出す描画データのY座標の範囲を決定することにより、光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射される光ビームのY方向のバンド幅を設定する。
【0040】
レーザー測長系制御装置40は、露光位置における基板1の露光を開始する前のチャック10のXY方向の位置を検出する。中心点座標決定部74は、レーザー測長系制御装置40が検出したチャック10のXY方向の位置から、基板1の露光を開始する前のチャック10の中心点のXY座標を決定する。図1において、光ビーム照射装置20からの光ビームにより基板1の走査を行う際、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、Xステージ5によりチャック10をX方向へ移動させる。基板1の走査領域を移動する際、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、Yステージ7によりチャック10をY方向へ移動させる。図7において、中心点座標決定部74は、エンコーダ32,34からのパルス信号をカウントして、Xステージ5のX方向への移動量及びYステージ7のY方向への移動量を検出し、チャック10の中心点のXY座標を決定する。
【0041】
座標決定部75は、中心点座標決定部74が決定したチャック10の中心点のXY座標に基づき、各光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ供給する描画データのXY座標を決定する。メモリ72は、座標決定部75が決定したXY座標をアドレスとして入力し、入力したXY座標のアドレスに記憶された描画データを、各光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ出力する。
【0042】
以下、本発明の一実施の形態による露光方法について説明する。図8は、描画データ生成回路の一例のブロック図である。本例の描画データ生成回路86は、X座標カウンタ87、Y座標カウンタ88、サンプリング点決定回路90a,90b、サンプリング回路97a,97b、パターン生成回路98a,98b、及び選択回路99を含んで構成されている。
【0043】
サンプリング点決定回路90a,90bは、図7の座標補正回路85により補正された座標データについて描画の要否を判定するサンプリング点を決定する。図9は、本発明を用いない場合の描画データの一例を示す図である。本例は、描画データの解像度が0.5の場合を示し、実線で示す複数の小さい四角は、解像度の大きさの露光領域2aを表している。図9では、パターンの図形2に対して、描画データにより変調された光ビームが照射される露光領域2aが、灰色で示されている。
【0044】
基板1に描画するパターンの図形2の座標データから、描画データを生成する際、従来は、解像度の大きさの露光領域2aの中心点(図9に示す破線の交点)をサンプリング点として、描画の要否を判定していた。そのため、図9に示す様に、パターンの図形2の線で構成された部分(描画するパターンのエッジ(縁)の部分)がX方向又はY方向へ伸びる直線の場合、その直線が通る露光領域2aでは、描画の有無が全て同じになっていた。
【0045】
本実施の形態では、サンプリング点決定回路90a,90bが、解像度の大きさの露光領域2aを4つの区画に分割した各区画の中心点を、互いに異なる順番でサンプリング点として決定する。図8において、サンプリング点決定回路90aは、サンプリング点移動回路91a、Xオフセットレジスタ94a、Yオフセットレジスタ95a、及び演算器96aを含んで構成されている。また、サンプリング点決定回路90bは、サンプリング点移動回路91b、Xオフセットレジスタ94b、Yオフセットレジスタ95b、及び演算器96bを含んで構成されている。
【0046】
以下、描画データの解像度が、図9と同じ0.5の場合について説明する。X座標カウンタ87は、解像度の大きさの各露光領域2aについて、描画の有無を判定する露光領域2aがX方向へ移行される毎に、解像度の値「0.5」を出力し、移行情報をサンプリング点移動回路91a,91bへ出力する。また、Y座標カウンタ88は、解像度の大きさの各露光領域2aについて、描画の有無を判定する露光領域2aがY方向へ移行される毎に、解像度の値「0.5」を出力し、移行情報を選択回路99へ出力する。
【0047】
サンプリング点移動回路91aは、レジスタ92a及び選択回路93aを含んで構成されている。また、サンプリング点移動回路91bは、レジスタ92b及び選択回路93bを含んで構成されている。レジスタ92a,92bは、解像度の大きさの各露光領域2a内において、サンプリング点を決定するためのデータを記憶している。レジスタ92aとレジスタ92bには、互いに異なる順番でデータが記憶されている。
【0048】
図10は、サンプリング点決定回路の動作を説明する図である。図10(a),(b),(c),(d)では、解像度の大きさの露光領域2aを4つの区画に分割した各区画の中心点が、実線又は破線の十字の交点として示されている。各露光領域2aの左上の角のXY座標を仮に(0,0)としたとき、図10(a)に実線の十字の交点として示した中心点の座標は、(0.375,0.375)、図10(b)に実線の十字の交点として示した中心点の座標は、(0.375,0.125)、図10(c)に実線の十字の交点として示した中心点の座標は、(0.125,0.375)、図10(d)に実線の十字の交点として示した中心点の座標は、(0.125,0.125)となる。
【0049】
図8において、サンプリング点移動回路91aのレジスタ92aには、図10(a),(b),(c),(d)に実線の十字の交点として示した中心点の座標が、図10(a),(b),(c),(d)の順序で記憶されている。また、サンプリング点移動回路91bのレジスタ92bには、図10(a),(b),(c),(d)に実線の十字の交点として示した中心点の座標が、図10(c),(d),(a),(b)の順序で記憶されている。
【0050】
選択回路93a,93bは、X座標カウンタ87から移行情報を入力する度に、レジスタ92a,92bに記憶されたデータの1つを順番に選択して出力する。Xオフセットレジスタ94a,94bは、選択回路93a,93bが出力したデータのX座標成分を記憶し、Yオフセットレジスタ95a,95bは、選択回路93a,93bが出力したデータのY座標成分を記憶する。
【0051】
サンプリング点決定回路90aの演算器96aは、X座標カウンタ87から入力した値を積算し、積算値にXオフセットレジスタ94aに記憶されたX座標成分を加算し、またY座標カウンタ88から入力した値を積算し、積算値にYオフセットレジスタ95aに記憶されたY座標成分を加算して、サンプリング点のXY座標を決定する。同様に、サンプリング点決定回路90bの演算器96bは、X座標カウンタ87から入力した値を積算し、積算値にXオフセットレジスタ94bに記憶されたX座標成分を加算し、またY座標カウンタ88から入力した値を積算し、積算値にYオフセットレジスタ95bに記憶されたY座標成分を加算して、サンプリング点のXY座標を決定する。
【0052】
図10(a),(b),(c),(d)では、解像度の大きさの露光領域2aを4つの区画に分割した各区画の中心点のうち、サンプリング点として決定する中心点が実線の十字の交点として示され、他の中心点が破線の十字の交点として示されている。本実施の形態では、サンプリング点決定回路90aにより、図10(a),(b),(c),(d)の順序で各区画の中心点がサンプリング点として決定され、サンプリング点決定回路90bにより、図10(c),(d),(a),(b)の順序で各区画の中心点がサンプリング点として決定される。
【0053】
なお、本発明においてサンプリング点を変動させる順序は、これらに限らず、サンプリング点移動回路91a,91bのレジスタ92a,92bに記憶するデータの順序を変えることにより、任意の順序でサンプリング点を変動させることができる。
【0054】
図8において、サンプリング回路97aは、図7の座標補正回路85により補正された座標データについて、サンプリング点決定回路90aが決定したサンプリング点で描画の要否を判定し、パターン生成回路98aは、サンプリング回路97aの判定結果に応じて、描画データのパターンを生成する。同様に、サンプリング回路97bは、図7の座標補正回路85により補正された座標データについて、サンプリング点決定回路90bが決定したサンプリング点で描画の要否を判定し、パターン生成回路98bは、サンプリング回路97bの判定結果に応じて、描画データのパターンを生成する。
【0055】
選択回路99は、Y座標カウンタ88から移行情報を入力する度に、パターン生成回路98a,98bにより生成された描画データのパターンのいずれかを交互に選択し、描画データとして図7のメモリ72へ出力する。図11は、選択回路の動作を説明する図である。図11では、解像度の大きさの露光領域2aを4つの区画に分割した各区画の中心点のうち、サンプリング点決定回路90a,90bによりサンプリング点として決定された中心点が実線の十字の交点として示されている。選択回路99は、図11のY0,Y2,Y4,Y6の列の各露光領域2aでは、サンプリング点決定回路90aが決定したサンプリング点で描画の要否を判定した描画データを選択し、図11のY1,Y3,Y5,Y7の列の各露光領域2aでは、サンプリング点決定回路90bが決定したサンプリング点で描画の要否を判定した描画データを選択する。
【0056】
図12は、サンプリング点を図9の場合に対応させて示した図である。また、 図13は、本発明を用いた場合の描画データの一例を示す図である。図13では、図9と同様に、パターンの図形2に対して、描画データにより変調された光ビームが照射される露光領域2aが、灰色で示されている。本実施の形態では、基板1に描画するパターンの図形2の座標データから、描画の要否を判定するサンプリング点を解像度の大きさの露光領域2a毎に周期的に変動させて、描画データを生成するので、例えば、パターンの図形2の線で構成された部分(描画するパターンのエッジ(縁)の部分)がX方向又はY方向へ伸びる直線であっても、その直線が通る露光領域2aでは、描画の有無が周期的に変化する。
【0057】
複数のミラー25aを直交する二方向に配列したDMD25を用い、多重露光を行って基板1にパターンを描画する際、サンプリング点を周期的に変動させた描画データにより変調された光ビームは、1つのミラー25aで反射された光が基板1へ照射される領域と、他のミラー25aで反射された光が基板1へ照射される領域が、光ビームによる基板1の走査に伴って部分的に重なることにより、露光量が平均化されて、解像度の間隔より小さい間隔でパターンの描画が可能となる。従って、描画データの量を増やすことなく描画品質が向上して、高速かつ高精細にパターンの描画が行われる。
【0058】
なお、以上説明した実施の形態では、解像度の大きさの露光領域2aを4つの区画に分割した各区画の中心点をサンプリング点としていたが、本発明はこれに限らず、サンプリング点移動回路内のオフセット値を入れ替えることにより、分割数を容易に変更することができ、露光領域2aを複数の区画に分割した各区画内の1点をサンプリング点とすればよい。
【0059】
図14〜図17は、光ビームによる基板の走査を説明する図である。図14〜図17は、8つの光ビーム照射装置20からの8本の光ビームにより、基板1のX方向の走査を4回行って、基板1全体を走査する例を示している。図14〜図17においては、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aが破線で示されている。各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームは、Y方向にバンド幅Wを有し、Xステージ5のX方向への移動によって、基板1を矢印で示す方向へ走査する。
【0060】
図14は、1回目の走査を示し、X方向への1回目の走査により、図14に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。1回目の走査が終了すると、Yステージ7のY方向への移動により、基板1がY方向へバンド幅Wと同じ距離だけ移動される。図15は、2回目の走査を示し、X方向への2回目の走査により、図15に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。2回目の走査が終了すると、Yステージ7のY方向への移動により、基板1がY方向へバンド幅Wと同じ距離だけ移動される。図16は、3回目の走査を示し、X方向への3回目の走査により、図16に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。3回目の走査が終了すると、Yステージ7のY方向への移動により、基板1がY方向へバンド幅Wと同じ距離だけ移動される。図17は、4回目の走査を示し、X方向への4回目の走査により、図17に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われ、基板1全体の走査が終了する。
【0061】
複数の光ビーム照射装置20からの複数の光ビームにより基板1の走査を並行して行うことにより、基板1全体の走査に掛かる時間を短くすることができ、タクトタイムを短縮することができる。
【0062】
なお、図14〜図17では、基板1のX方向の走査を4回行って、基板1全体を走査する例を示したが、走査の回数はこれに限らず、基板1のX方向の走査を3回以下又は5回以上行って、基板1全体を走査してもよい。
【0063】
以上説明した実施の形態によれば、基板1に描画するパターンの図形の座標データから、描画の要否を判定するサンプリング点を解像度の大きさの露光領域2a毎に周期的に変動させて、描画データを生成し、生成した描画データを、光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ供給することにより、複数のミラー25aを直交する二方向に配列したDMD25を用い、多重露光を行って基板1にパターンを描画する際、描画データの量を増やすことなく描画品質を向上させて、高速かつ高精細に描画を行うことができる。
【0064】
さらに、複数のサンプリング点決定回路90a,90b、複数のサンプリング回路97a,97b、複数のパターン生成回路98a,98b、及び選択回路99を用いた簡単な構成で、サンプリング点を解像度の大きさの露光領域2a毎に周期的に変動させた描画データを容易に生成することができる。
【0065】
本発明の露光装置又は露光方法を用いて基板の露光を行うことにより、描画データの量を増やすことなく描画品質を向上させて、高速かつ高精細に描画を行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を高いスループットで製造することができる。
【0066】
例えば、図18は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等によりフォトレジストを塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、露光装置を用いて、フォトレジスト膜にパターンを形成する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0067】
また、図19は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法や顔料分散法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
【0068】
図18に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図19に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の露光処理において、本発明の露光装置又は露光方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 基板
2 パターンの図形
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
10 チャック
11 ゲート
20 光ビーム照射装置
20a ヘッド部
21 レーザー光源ユニット
22 光ファイバー
23 レンズ
24 ミラー
25 DMD(Digital Micromirror Device)
26 投影レンズ
27 DMD駆動回路
31,33 リニアスケール
32,34 エンコーダ
40 レーザー測長系制御装置
41 レーザー光源
42,44 レーザー干渉計
43,45 バーミラー
60 ステージ駆動回路
70 主制御装置
71 描画制御部
72 メモリ
73 バンド幅設定部
74 中心点座標決定部
75 座標決定部
82 描画図形座標メモリ
84 描画データ生成部
85 座標補正回路
86 描画データ生成回路
87 X座標カウンタ
88 Y座標カウンタ
90a,90b サンプリング点決定回路
91a,91b サンプリング点移動回路
92a,92b レジスタ
93a,93b,99 選択回路
94a,94b Xオフセットレジスタ
95a,95b Yオフセットレジスタ
96a,96b 演算器
97a,97b サンプリング回路
98a,98b パターン生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジストが塗布された基板を支持するチャックと、
複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器、描画データに基づいて空間的光変調器を駆動する駆動回路、及び空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を有する光ビーム照射装置と、
前記チャックと前記光ビーム照射装置とを相対的に移動する移動手段とを備え、
前記移動手段により前記チャックと前記光ビーム照射装置とを相対的に移動して、前記光ビーム照射装置からの光ビームにより基板を走査し、前記光ビーム照射装置の空間的光変調器の1つのミラーで反射された光が基板へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基板へ照射される領域が、光ビームによる基板の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行って、基板にパターンを描画する露光装置であって、
基板に描画するパターンの図形の座標データを記憶するメモリと、前記メモリに記憶された座標データから、描画の要否を判定するサンプリング点を解像度の大きさの露光領域毎に周期的に変動させて、描画データを生成する描画データ生成手段とを有し、前記描画データ生成手段が生成した描画データを、前記光ビーム照射装置の駆動回路へ供給する描画制御手段を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記描画データ生成手段は、
解像度の大きさの露光領域を複数の区画に分割した各区画内の1点を、互いに異なる順番でサンプリング点として決定する複数のサンプリング点決定回路と、
前記メモリに記憶された座標データについて、各サンプリング点決定回路が決定したサンプリング点で描画の要否を判定する複数のサンプリング回路と、
各サンプリング回路の判定結果に応じて、描画データのパターンを生成する複数のパターン生成回路と、
前記複数のパターン生成回路により生成された描画データのパターンの1つを順番に選択する選択回路とを有することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
フォトレジストが塗布された基板をチャックで支持し、
チャックと、複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器、描画データに基づいて空間的光変調器を駆動する駆動回路、及び空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を有する光ビーム照射装置とを、相対的に移動して、光ビーム照射装置からの光ビームにより基板を走査し、
光ビーム照射装置の空間的光変調器の1つのミラーで反射された光が基板へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基板へ照射される領域が、光ビームによる基板の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行って、基板にパターンを描画する露光方法であって、
基板に描画するパターンの図形の座標データから、描画の要否を判定するサンプリング点を解像度の大きさの露光領域毎に周期的に変動させて、描画データを生成し、生成した描画データを、光ビーム照射装置の駆動回路へ供給することを特徴とする露光方法。
【請求項4】
複数のサンプリング点決定回路により、解像度の大きさの露光領域を複数の区画に分割した各区画内の1点を、互いに異なる順番でサンプリング点として決定し、
複数のサンプリング回路により、基板に描画するパターンの図形の座標データについて、各サンプリング点決定回路が決定したサンプリング点で描画の要否を判定し、
複数のパターン生成回路により、各サンプリング回路の判定結果に応じて、描画データのパターンを生成し、
選択回路により、複数のパターン生成回路により生成した描画データのパターンの1つを順番に選択して、描画データを生成することを特徴とする請求項3に記載の露光方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の露光方法を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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