説明

露光装置および露光方法

【課題】導入する大気中のCOS等のS含有有機物をより効果的に除去し、装置内環境中のSO濃度を低減させることが可能な露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置100は、大気中の気体を清浄するとともに温湿調整する空調部1と、この空調部1で処理された気体が配管2を介して供給され、この供給された気体の雰囲気中で該基板に紫外線を照射する露光部3と、を備える。
空調部1は、大気を装置内に送風する送風機1aと、この送風機1aの下流側に配置され送風された気体が入力される酸化装置1bと、この酸化装置1bの下流側に配置され、酸化装置1bで処理された気体が入力されるフィルタ1cと、このフィルタ1cの下流側に配置されフィルタ1cを通過した気体が入力され、配管2に処理した気体を出力する温湿調整装置1dと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に紫外線を照射するための露光装置および露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
KrF、ArFレーザを使用する露光装置では、使用するにつれて、ミラーやレンズなどの光学部品に曇りが生し、またマスク上に異物が発生し得る。これらのミラーやレンズなどの光学部品の曇りや、マスク上の異物は、装置設置環境中のSi含有有機不純物やSO、アンモニアなどが原因であると考えられている。
【0003】
特に、硫酸アンモニウム生成による曇りや異物を防止するためには、装置設置環境中のSO、アンモニアの制御が必要であることが知られている。露光装置では曇りや異物発生を防止するために、装置内のSO濃度を数十pptレベル以下に管理することが必要である。
【0004】
通常、装置空調にケミカルフィルタを設置して、光学部品付近の環境中SOやアンモニアなどの不純物濃度を下げる対策を行っている。
【0005】
従来の装置空調にはケミカルフィルタや水シャワーを含む除去ユニットが設けられている。該ケミカルフィルタとしては、酸性物質除去用、塩基性物質除去用、有機物除去用などのフィルタがある。
【0006】
一方、大気中のSO以外に分子量の小さいS含有有機物も硫酸アンモニウム生成に寄与することがわかってきた。
【0007】
例えば、大気中に含まれる硫黄化合物の中で存在比率の大きい硫化カルボニル(COS)は、紫外線などで酸化されるとSOに変化することが知られている。
【0008】
すなわち、この硫化カルボニルは、露光装置内に導入されると装置内でSOに変化して硫酸アンモニウム生成の原因となる。
【0009】
ところが、硫化カルボニル(COS)は、通常、有機物除去用活性炭フィルタでは十分に除去できない。このため、従来の露光装置の空調では、硫化カルボニル(COS)が除去されず、露光装置内に導入されて曇りや異物発生の原因となっていた。
【0010】
同様に、大気中に存在するS含有有機物であるHS、CS、CHSH、CHSCH、CHSSCHなども水シャワーやケミカルフィルタでは除去されにくい。これらのS含有有機物が露光装置内の紫外光によりSOを生成する原因となっていた。
【0011】
ここで、従来技術には、例えば、硫化カルボニル(COS)を含むガスから硫化カルボニル(COS)を選択的に除去するために、該ガスを低温プラズマに接触させて、硫化カルボニル(COS)をSOに酸化させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0012】
しかし、上記従来技術は、露光装置へ適用するための具体的な構成を開示するものではない。
【特許文献1】特表2000−510036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、導入する大気中のCOS等のS含有有機物をより効果的に除去し、装置内環境中のSO濃度を低減させることが可能な露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る露光装置は、
基板に紫外線を照射するための露光装置であって、
SOまたはCOSを含む気体の成分を酸化する酸化装置、この酸化装置で処理された気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタ、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、および有機物除去用活性炭フィルタを含むフィルタ、および、このフィルタを通過した気体の温度および湿度を所定値に調整する温湿調整装置、を有する空調部と、
前記空調部で処理された気体が供給され、この供給された気体の雰囲気中で前記基板に紫外線を照射する露光部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様に係る露光装置は、
基板に紫外線を照射するための露光装置であって、
SOまたはCOSを含む気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタ、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、および有機物除去用活性炭フィルタを含む第1のフィルタ、この第1のフィルタを通過した気体中の成分を酸化する酸化装置、この酸化装置により処理された気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタおよび有機物除去用活性炭フィルタを含む第2のフィルタ、および、この第2のフィルタを通過した気体の温度および湿度を所定値に調整する温湿調整装置、を有する空調部と、
前記空調部で処理された気体が供給され、この供給された気体の雰囲気中で前記基板に紫外線を照射する露光部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明のさらに他の態様に係る露光装置は、
基板に紫外線を照射するための露光装置であって、
SOまたはCOSを含む気体をフィルタリングする塩基性物質除去用ケミカルフィルタを含む第1のフィルタ、この第1のフィルタを通過した気体中の成分を酸化する酸化装置、この酸化装置により処理された気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタおよび有機物除去用活性炭フィルタを含む第2のフィルタ、および、この第2のフィルタを通過した気体の温度および湿度を所定値に調整する温湿調整装置、を有する空調部と、
前記空調部で処理された気体が供給され、この供給された気体の雰囲気中で前記基板に紫外線を照射する露光部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る露光方法は、
基板に紫外線を照射するための露光方法であって、
SOまたはCOSを含む気体の成分を酸化装置により酸化し、
前記酸化装置で処理された気体を酸性物質除去用ケミカルフィルタ、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、および有機物除去用活性炭フィルタを含むフィルタによりフィルタリングし、
前記フィルタを通過した気体の温度および湿度を温湿調整装置により所定値に調整し、
前記温湿調整装置により温度および湿度が調整された気体が供給され、この供給された気体の雰囲気中で前記基板に紫外線を照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係る露光装置および露光方法によれば、導入する大気中のCOS等のS含有有機物をより効果的に除去し、装置内環境中のSO濃度を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一態様に係る露光装置および露光方法は、硫化カルボニルなどのS含有有機物を有効に除去する機構を提供する。
【0020】
以下、本発明を適用した各実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0021】
本実施例1では、露光装置の空調部内のフィルタ前に酸化装置を配置した構成について説明する。
【0022】
図1は、本発明の一態様である実施例1に係る露光装置の要部構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示す露光装置100は、例えば、基板(例えば、半導体ウェーハ)に紫外線を照射し、該基板上に成膜されたレジストを感光させるのに用いられる。
【0024】
図1に示すように、この露光装置100は、大気中の気体を清浄するとともに温湿調整する空調部1と、この空調部1で処理された気体が配管2を介して供給され、この供給された気体の雰囲気中で該基板に紫外線を照射する露光部3と、を備える。
【0025】
空調部1は、大気を装置内に送風する送風機1aと、この送風機1aの下流側に配置され送風された気体が入力される酸化装置1bと、この酸化装置1bの下流側に配置され、酸化装置1bで処理された気体が入力されるフィルタ1cと、このフィルタ1cの下流側に配置されフィルタ1cを通過した気体が入力され、配管2に処理した気体を出力する温湿調整装置1dと、を有する。
【0026】
なお、送風機1aは酸化装置1b、フィルタ1cの下流側に配置されていてもよいが、好ましくは図1のように清浄度を向上するため酸化装置1b、フィルタ1cの上流側に設けられる。
【0027】
また、酸化装置1bは、大気中の硫黄酸化物(SO)または硫化カルボニル(COS)を含む気体の成分を酸化するようになっている。すなわち、酸化装置1bは、硫化カルボニル(COS)を酸化し、硫黄酸化物(SO)を生成する。
【0028】
また、フィルタ1cは、酸化装置1bで処理された気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタ、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、および有機物除去用活性炭フィルタを含む。このフィルタ1cの酸性物質除去用ケミカルフィルタにより、硫黄酸化物(SO)が除去される。
【0029】
さらに、大気中のアンモニアなどの塩基性不純物や有機物なども、このフィルタ1cの塩基性物質除去用ケミカルフィルタおよび有機物除去用活性炭フィルタで除去される。
【0030】
また、酸化装置1bで発生または添加したオゾンは、このフィルタ1cの有機物除去用活性炭フィルタで除去される。
【0031】
なお、このフィルタ1cには、水シャワーを用いてもよい。
【0032】
また、温湿調整装置1dは、フィルタ1cを通過した気体の温度および湿度を所定値に調整するようになっている。
【0033】
ここで、酸化装置1bにより、硫化カルボニル(COS)を酸化して硫黄酸化物(SO)を生成する具体例について検討する。
【0034】
式(1)に示すように、硫化カルボニル(COS)は、紫外線を照射することにより光解離され、硫黄が分離されることが知られている(例えば、参考文献1:岡田一俊、南部伸孝、青柳睦、“OCS分子の全自由度波束ダイナミックス計算”2001年分子構造総合討論会 要旨集、P758、を参照。)。
COS+hν→CO+S・・・(1)
【0035】
なお、硫化カルボニル(COS)に照射する紫外線の波長が、200nm〜250nmの範囲で式(1)に示される反応が起きる(同参考文献1参照。)。
【0036】
また、式(2)に示すように、硫化カルボニル(COS)は、励起した酸素と反応し、一酸化硫黄が生成されることが知られている(例えば、参考文献2:Paul J. Crutzen、“THE POSSIBLE IMPORTANCE OF CSO FOR THE SULFATE LAYER OF THE STRATOSPHERE”、Geophysical Research Letters FebruaryVol.3, No.2, pp.73-76.1976、を参照。)。
COS+O→CO+SO・・・(2)
【0037】
なお、酸素は、175nm〜205nmの範囲の波長の紫外線を照射することにより励起することが知られている(例えば、参考文献3:K.YOSHINO, D.E.FREEMAN,J.R.ESMOND and W.H.PARKINSON, “HIGH RESOLUTION ABSORPTION CROSS SECTION MEASURMENTS AND BAND OSCILLATOR STRENGTHS OF THE (1, 0)-(12, 0) SCHUMANN-RUNGE BANDS OF O2“ , Planet.Space Sci., Vol.31, pp. 339-353.1983、を参照。)。
【0038】
また、式(3)に示すように、硫黄は、酸素と反応し、一酸化硫黄が生成される(上記参考文献2参照。)。
S+O→SO+O・・・(3)
【0039】
さらに、式(4)に示すように、一酸化硫黄は、酸素と反応し、二酸化硫黄が生成される(同参考文献2参照。)。
SO+O→SO+O・・・(4)
【0040】
さらに、式(5)に示すように、一酸化硫黄は、オゾンと反応し、二酸化硫黄が生成される(同参考文献2参照。)。
SO+O→SO+O・・・(5)
【0041】
また、式(6)に示すように、オゾンは、分解されると、励起した酸素を生成する。
→O+O・・・(6)
【0042】
以上の式(1)、(3)〜(4)により、硫化カルボニル(COS)を含む気体に紫外線(波長が200nm〜250nmの範囲)を照射することにより酸化し、二酸化硫黄(SO)を生成することができると考えられる。
【0043】
すなわち、この原理を利用して、酸化装置1bを、硫化カルボニル(COS)を含む気体に200nmから250nmの範囲の波長を有する紫外線を照射して、該気体中の成分である硫化カルボニル(COS)を酸化するように構成してもよい。
【0044】
また、式(2)〜(4)により、硫化カルボニル(COS)、酸素を含む気体に紫外線(波長が175nm〜205nmの範囲)を照射することにより酸素を励起して硫化カルボニル(COS)を酸化し、二酸化硫黄(SO)を生成することができると考えられる。
【0045】
すなわち、この原理を利用して、酸化装置1bを、硫化カルボニル(COS)、酸素を含む気体に175nmから205nmの範囲の波長を有する紫外線を照射して気体中の該酸素を励起しこの励起した酸素と反応させて、該気体中の成分である硫化カルボニル(COS)を酸化するように構成してもよい。
【0046】
このように、酸化装置1bは、硫化カルボニル(COS)、酸素を含む気体に175nmから250nmの範囲の少なくとも一部と重複する波長を有する紫外線を照射して、該気体中の成分を酸化する。
【0047】
また、式(2)〜(6)により、硫化カルボニル(COS)、酸素を含む気体中にオゾンを添加することにより硫化カルボニル(COS)を酸化し、二酸化硫黄(SO)を生成することができると考えられる。
【0048】
すなわち、この原理を利用して、酸化装置1bを、硫化カルボニル(COS)を含む気体中にオゾンを添加しこのオゾンと反応させて、該気体中の成分である硫化カルボニル(COS)を酸化するように構成してもよい。
【0049】
なお、酸化装置1bに用いる紫外線の波長には、露光部3に用いる紫外線の波長と同じものを選択するようにしてもよい。これにより、露光部における硫酸アンモニウムの生成をより効果的に抑制することができると考えられる。
【0050】
また、酸化装置1bは、硫化カルボニル(COS)の酸化を促進させるため、気体中に酸素、水蒸気を添加するようにしてもよい。
【0051】
ここで、HS、CS、CHSH、CHSCH、CHSSCHなどの大気中に存在するS含有有機物は、酸化されると硫化カルボニル(COS)を生成することが知られている(例えば、参考文献4:陽 捷行、“6.温室効果ガス等の発生”、No21、環境保全型農業技術、農林水産研究文献解題、AGROPEDIA/農学情報システム、[online]、平成7年3月、[平成18年1月11日検索]、インターネット〈URL:http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/menu_ja.html〉、を参照。)
【0052】
しかし、酸化装置1bにより上記S含有有機物が酸化されれば、大気中に含まれる硫化カルボニル(COS)と同様に、硫黄酸化物(SO)としてフィルタ1cにより除去され得る。
【0053】
上述のように、露光装置100は、大気中に存在する硫化カルボニル(COS)、SO等に由来するSOをより効果的に除去することができる。
【0054】
したがって、露光部内のSO濃度を数十ppt以下に制御することができ、硫酸アンモニウム起因の光学系曇りやマスク上異物を抑制することができる。
【0055】
これにより、デバイス製造の歩留まり向上に寄与するとともに、装置メンテナンスの必要性を低減して装置稼働率を向上させることができる。
【0056】
以上のように、本実施例に係る露光装置によれば、導入する大気中のCOS等のS含有有機物をより効果的に除去し、装置内環境中のSO濃度を低減させることができる。
【実施例2】
【0057】
実施例1では、露光装置がフィルタを1つ備える構成について述べた。
【0058】
本実施例では、露光装置がフィルタを2つに分けて備える構成について述べる。
【0059】
図2は、本発明の一態様である実施例2に係る露光装置の要部構成を示すブロック図である。
【0060】
なお、図2において、実施例1と同じ符号は、実施例1と同様の構成を示している。
【0061】
図2に示す露光装置200は、実施例1と同様に、例えば、基板(例えば、半導体ウェーハ)に紫外線を照射し、該基板上に成膜されたレジストを感光させるのに用いられる。
【0062】
図2に示すように、この露光装置200は、大気中の気体を清浄するとともに温湿調整する空調部201と、この空調部201で処理された気体が配管2を介して供給され、この供給された気体の雰囲気中で該基板に紫外線を照射する露光部3と、を備える。
【0063】
空調部201は、大気を装置内に送風する送風機201aと、この送風機201aの下流側に配置され送風された気体が入力される第1のフィルタ201bと、この第1のフィルタ201bの下流側に配置され第1のフィルタ201bを通過した気体が入力される酸化装置201cと、この酸化装置201cの下流側に配置され、酸化装置201cで処理された気体が入力される第2のフィルタ201dと、この第2のフィルタ201dの下流側に配置され第2のフィルタ201dを通過した気体が入力され、配管2に処理した気体を出力する温湿調整装置201eと、を有する。
【0064】
なお、送風機201aは、実施例1の送風機1aと同様の構成・機能を有する。また、酸化装置201cは、実施例1の酸化装置1bと同様の構成・機能を有する。また、温湿調整装置201eは、実施例1の温湿調整装置1dと同様の構成・機能を有する。
【0065】
また、送風機201aは酸化装置201c、第1、第2のフィルタ201b、201dの下流側に配置されていてもよいが、好ましくは図2のように清浄度を向上するため酸化装置201c、第1、第2のフィルタ201b、201dの上流側に設けられる。
【0066】
ここで、第1のフィルタ201bは、SOまたはCOSを含む気体をフィルタリングする塩基性物質除去用ケミカルフィルタを含む。この第1のフィルタ201bの塩基性物質除去用ケミカルフィルタにより、大気中のアンモニアなどの塩基性不純物が除去される。
【0067】
また、第2のフィルタ201dは、酸化装置201cにより処理された気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタおよび有機物除去用活性炭フィルタを含む。この第2のフィルタ201dの酸性物質除去用ケミカルフィルタにより、大気中に含まれていた硫黄酸化物(SO)、および酸化装置201cで硫化カルボニル(COS)、S含有有機物を酸化して生成された硫黄酸化物(SO)が除去される。
【0068】
また、酸化装置201cで発生または添加したオゾンは、この第2のフィルタ201dの有機物除去用活性炭フィルタで除去される。
【0069】
上記構成の露光装置200では、大気中のアンモニアなどの塩基性物質を除去した後に酸化装置201cに大気を導入することになる。
【0070】
硫化カルボニルは第1のフィルタ201bでは除去されずに通過し、酸化装置201cで酸化される。
【0071】
この露光装置200の構成では、アンモニアなどの塩基性物質を先に除去するため、例えば、酸化装置201cで大気中のアンモニアが酸化されてNOxが生成するのを抑制する。これにより、酸化装置201c下流のNOx濃度を低く抑えることができる。したがって、第2のフィルタ201dの酸性物質除去用ケミカルフィルタの寿命を延ばすことができる。
【0072】
一方、露光装置200において、第1のフィルタ201bは、SOまたはCOSを含む気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタ、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、および有機物除去用活性炭フィルタを含むようにしてもよい。
【0073】
この場合、第1のフィルタ201bの酸性物質除去用ケミカルフィルタにより、大気中に含まれていた硫黄酸化物(SO)が除去される。
【0074】
さらに、大気中のアンモニアなどの塩基性不純物や有機物なども、この第1のフィルタ201bの塩基性物質除去用ケミカルフィルタおよび有機物除去用活性炭フィルタで除去される。
【0075】
そして、第2のフィルタ201dの酸性物質除去用ケミカルフィルタにより、酸化装置201cで硫化カルボニル(COS)、S含有有機物を酸化して生成された硫黄酸化物(SO)が除去される。また、酸化装置201cで発生または添加したオゾンは、この第2のフィルタ201dの有機物除去用活性炭フィルタで除去される。
【0076】
この場合、第1のフィルタ201bで除去可能な不純物を除去してから酸化装置201cに大気を導入するため、酸化装置201dにおける酸化対象物質濃度を減らし、効率よく酸化を行うことができる。
【0077】
以上のように、本実施例に係る露光装置によれば、実施例1と同様に、導入する大気中のCOS等のS含有有機物をより効果的に除去し、装置内環境中のSO濃度を低減させることができる。
【0078】
本発明は、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
【0079】
(付記1)基板に紫外線を照射するための露光方法であって、SOまたはCOSを含む気体の成分を酸化装置により酸化し、前記酸化装置で処理された気体を酸性物質除去用ケミカルフィルタ、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、および有機物除去用活性炭フィルタを含むフィルタによりフィルタリングし、前記フィルタを通過した気体の温度および湿度を温湿調整装置により所定値に調整し、前記温湿調整装置により温度および湿度が調整された気体が供給され、この供給された気体の雰囲気中で前記基板に紫外線を照射することを特徴とする露光方法。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一態様である実施例1に係る露光装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一態様である実施例2に係る露光装置の要部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0081】
1、201 空調部
1a、201a 送風機
1b、201c 酸化装置
1c フィルタ
1d、201e 温湿調整装置
2 配管
3 露光部
100、200 露光装置
201b 第1のフィルタ
201d 第2のフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に紫外線を照射するための露光装置であって、
SOまたはCOSを含む気体の成分を酸化する酸化装置、この酸化装置で処理された気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタ、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、および有機物除去用活性炭フィルタを含むフィルタ、および、このフィルタを通過した気体の温度および湿度を所定値に調整する温湿調整装置、を有する空調部と、
前記空調部で処理された気体が供給され、この供給された気体の雰囲気中で前記基板に紫外線を照射する露光部と、を備える
ことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
基板に紫外線を照射するための露光装置であって、
SOまたはCOSを含む気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタ、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、および有機物除去用活性炭フィルタを含む第1のフィルタ、この第1のフィルタを通過した気体中の成分を酸化する酸化装置、この酸化装置により処理された気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタおよび有機物除去用活性炭フィルタを含む第2のフィルタ、および、この第2のフィルタを通過した気体の温度および湿度を所定値に調整する温湿調整装置、を有する空調部と、
前記空調部で処理された気体が供給され、この供給された気体の雰囲気中で前記基板に紫外線を照射する露光部と、を備える
ことを特徴とする露光装置。
【請求項3】
基板に紫外線を照射するための露光装置であって、
SOまたはCOSを含む気体をフィルタリングする塩基性物質除去用ケミカルフィルタを含む第1のフィルタ、この第1のフィルタを通過した気体中の成分を酸化する酸化装置、この酸化装置により処理された気体をフィルタリングする酸性物質除去用ケミカルフィルタおよび有機物除去用活性炭フィルタを含む第2のフィルタ、および、この第2のフィルタを通過した気体の温度および湿度を所定値に調整する温湿調整装置、を有する空調部と、
前記空調部で処理された気体が供給され、この供給された気体の雰囲気中で前記基板に紫外線を照射する露光部と、を備える
ことを特徴とする露光装置。
【請求項4】
前記酸化装置は、前記気体に紫外線を照射して前記気体中の酸素を励起しこの励起した酸素と反応させて、前記気体中の成分を酸化する
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の露光装置。
【請求項5】
前記酸化装置は、前記気体中にオゾンを添加しこのオゾンと反応させて、前記気体中の成分を酸化する
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の露光装置。
【請求項6】
基板に紫外線を照射するための露光方法であって、
SOまたはCOSを含む気体の成分を酸化装置により酸化し、
前記酸化装置で処理された気体を酸性物質除去用ケミカルフィルタ、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、および有機物除去用活性炭フィルタを含むフィルタによりフィルタリングし、
前記フィルタを通過した気体の温度および湿度を温湿調整装置により所定値に調整し、
前記温湿調整装置により温度および湿度が調整された気体が供給され、この供給された気体の雰囲気中で前記基板に紫外線を照射する
ことを特徴とする露光方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−182031(P2008−182031A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13966(P2007−13966)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(302052301)東芝ナノアナリシス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】