説明

露光装置

【課題】簡単な構成で基板の裏面からアライメントを適切に行う露光装置を提供すること。
【解決手段】露光装置は、二次元方向に移動可能な基板ステージと、基板ステージ上に配設され、貫通孔362,363を有する基板載置部360上に露光基板を載置する基板載置ユニット350と、基板載置部360の貫通孔362,363に設けられる視標マーク378,398と、基板載置ユニット350に設けられるアライメント検出系370,390と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハの両面にパターンを形成する縮小投影型の露光装置において、ウェハの裏面に付された位置合わせマークを顕微鏡で検出してアライメントを行う(裏面アライメント)技術が知られている(特許文献1参照)。ウェハステージの裏面(ウェハが露光する面と反対の面)側に配置された顕微鏡は、ウェハステージに設けられている貫通孔を介して、ウェハステージにウェハが載置されていない状態で該ウェハステージの上方に配設されたマスクに付されているマスクマークを検出し、その位置を記憶する。そして、ウェハがウェハステージに載置されると、上記顕微鏡は上記貫通孔を介してウェハの裏面の位置合わせマークを検出する。該位置合わせマークの位置と上記記憶したマスクマークの位置とを比較することにより、載置したウェハをX方向、Y方向についてアライメントする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−115812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、ウェハ裏面の位置合わせマークを基準位置にアライメントするためには、アライメント・ユニット駆動装置を用いてアライメント・ユニットをウェハステージに対して相対移動させる必要がある。このような相対移動機構を備えると、装置が複雑化するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による露光装置は、二次元方向に移動可能な基板ステージと、基板ステージ上に配設され、貫通孔を有する基板載置部上に露光基板を載置する基板載置ユニットと、基板載置部の貫通孔に設けられる視標マークと、基板載置ユニットに設けられるアライメント検出系と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による露光装置では、簡単な構成で基板裏面からのアライメントを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による基板載置ユニットを搭載した露光装置の概要を説明する図である。
【図2】ベースライン計測の原理を説明する要部構成図である。
【図3】基板載置ユニットを説明する図である。
【図4】裏面アライメント用顕微鏡の要部構成図である。
【図5】変形例2による基板載置ユニットを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による基板載置ユニット350を搭載した露光装置の概要を説明する図である。図1において、紙面に垂直方向をX軸、右方向をY軸、上方向をZ軸とする。露光装置は、露光光(照明光)を供給するための光源11として、所定波長(たとえば波長405nm)のレーザ光源を備えている。
【0009】
光源11から射出された略平行光束は、ビーム整形光学系12を介して所定の光束に整形された後、干渉性低減部13に入射する。干渉性低減部13は、被照射面であるマスク100上(ひいてはウェハ200上)での干渉パターンの発生を低減させる。干渉性低減部13の詳細については、たとえば特開昭59−226317号公報に開示されている。
【0010】
干渉性低減部13からの光束は、第1フライアイレンズ14を介して振動ミラー15で偏向された後、リレー光学系16を介して第2フライアイレンズ17を重畳的に照明する。ここで、振動ミラー15は、X軸周りに回動する折り曲げミラーであって、被照射面での干渉パターンの発生を低減させる。第2フライアイレンズ17の後側焦点面には、多数の光源からなる二次光源が形成される。該二次光源からの光束は、その近傍に配置された開口絞り18によって制限された後、コンデンサー光学系19を介してマスク100を重畳的に照明する。このような照明光学系を有することにより、光源11による光束に照明むらが生じているとしても、被照射面(マスク100、ウェハ200)において照明むらを抑えた均一性の高い照明光が得られる。
【0011】
マスク100に形成されているパターンを透過した光束は、投影光学系50を介して、感光性基板であるウェハ200上にマスクパターンの像を形成する。マスク100は、マスクホルダ(不図示)を介してマスクステージ150に載置されている。なお、マスクステージ150は、主制御系(不図示)からの指令に基づき、マスクステージ制御部(不図示)によって駆動制御される。このとき、マスクステージ150の移動は、マスク干渉計(不図示)とマスクステージ150に設けられた移動鏡(不図示)とにより計測される。
【0012】
一方、ウェハ200は、ウェハステージ300上に位置する基板載置ユニット350の上面に真空チャックされている。本実施形態では、基板載置ユニット350がウェハホルダに相当する。基板載置ユニット350の詳細については後述する。ウェハステージ300は、主制御系(不図示)からの指令に基づき、ウェハステージ制御部(不図示)によって駆動される。このとき、ウェハステージ300の移動は、ウェハ干渉計301とウェハステージ300に設けられた移動鏡302とにより計測する。なお、計測用の干渉計はX、Y、Z各軸に対して設けられている。ウェハステージ300は、X方向の移動機能、Y方向の移動機能、Z方向の移動機能、Z軸周り(角度θ)の回転機能、X軸周りのチルト機能、およびY軸周りのチルト機能を有し、ウェハ干渉計301とウェハステージ制御部とによりnmオーダで位置制御可能に構成されている。上記構成は、定盤400上に設けられている。
【0013】
露光装置には、ウェハ200の表面上に形成されているアライメントマーク、または後述する裏面アライメント用の基準マークを検出するためのウェハアライメント用顕微鏡ユニット40を備える。顕微鏡ユニット40は、視標マーク41(図2)が形成されている視標板42(図2)を有し、該視標板42上に上記アライメントマーク(または裏面アライメント用の基準マーク)の光学像を結像する。結像レンズと撮像素子とを含む撮像装置45は、上記アライメントマーク(または裏面アライメント用の基準マーク)の像とともに上記視標マーク41を撮像する。撮像装置45からの出力信号は、信号処理系(不図示)によって信号処理され、上記アライメントマーク(または裏面アライメント用の基準マーク)の位置情報が取得される。該アライメントマーク(または裏面アライメント用の基準マーク)の位置情報は、ベースライン計測(またはウェハ200のXY平面に沿ったアライメント)の際に必要である。
【0014】
<ベースライン計測>
ベースライン計測について説明する。図2は、ベースライン計測の原理を説明する要部構成図である。上述した照明光学系を構成するコンデンサー光学系19を介して均一照明されるマスク100は、マスクステージ150に保持されている。ベースライン計測に際し、マスクステージ150は、マスク100の中心100Cが投影光学系50の光軸Axと合致するように位置決めされる。
【0015】
一方、ウェハ200を保持するためのウェハステージ300(図1)上の基板載置ユニット350には、ウェハ200が載置される。なお、図2においてはウェハ200の一部のみ図示されている。ウェハ200の表面には、アライメントマーク、すなわち基準マーク211が形成されている。ウェハステージ300は、基準マーク211が投影光学系50の投影視野内の所定位置にくるように位置決めされる。この状態で、マスク100の上方に設けられたTTL(through the lens)方式のマスクアライメント用顕微鏡ユニット140(図1において不図示)によって、マスク100に形成されたアライメントマーク、すなわちマスクマーク111とウェハ200の基準マーク211とが同じ視野に検出される。
【0016】
マスクマーク111とマスク100の中心100Cとの距離Dmは、設計上あらかじめ定まった値である。したがって、投影光学系50の像面側(ウェハ200側)におけるマスクマーク111の投影点と中心100Cの投影点との距離Dwは、次式(1)で表される。
Dw=Dm/A (1)
ただし、Aはウェハ200側からマスク100側を見たときの投影光学系50の倍率である。投影倍率が1/5倍の縮小投影光学系の場合は、A=5である。
【0017】
次に、ウェハステージ300は、ウェハ200の基準マーク211がウェハアライメント用顕微鏡ユニット40の視野内の所定位置にくるように位置決めされる。ウェハアライメント用顕微鏡ユニット40は、投影光学系50に並置されている。顕微鏡ユニット40の光軸Ax40は、投影像面(投影光学系50の像面)側において投影光学系50の光軸Axと平行である。撮像装置45は、ミラー43によって折り曲げられた光束による像を撮像する。視標板42は、基準マーク211を位置検出する際の基準となる視標マーク41が形成されたガラス板である。顕微鏡ユニット40は、基準マーク211の像を視標板42に結像する。
【0018】
ベースライン量BLは、図2に示すように、マスクアライメント用顕微鏡ユニット140を用いてマスクマーク111と基準マーク211とがアライメント(光学的位置合わせ)されたときのウェハステージ300の位置P1と、ウェハアライメント用顕微鏡ユニット40を用いて視標マーク41と基準マーク211とがアライメントされたときのウェハステージ300の位置P2とを上記ウェハ干渉計301でそれぞれ計測し、次式(2)のように2つの位置の差(P1−P2)を計算することにより求められる。
BL=P1−P2 (2)
【0019】
以上説明したように求めたベースライン量BLは、ウェハ200の基準マーク211を顕微鏡ユニット40を用いて位置検出し、該検出位置に基づいてウェハステージ300を投影光学系50の投影視野内の所定位置に位置決めする(すなわちウェハ200をXY平面に沿ってアライメントする)ときの基準量となるものである。つまり、ウェハステージ制御部(不図示)は、顕微鏡ユニット40を用いて検出した位置と上記ベースライン量BLとに基づいて演算した位置へウェハ200を移動させる。
【0020】
<基板載置ユニット>
ウェハ200の裏面(図2において下側)に形成されている裏面基準マークを検出しながらウェハ200の位置決めをする場合は、ウェハ200の裏面についての基準量が必要となる。本実施形態では、ウェハ200の裏面に形成された裏面基準マークを検出するために裏面アライメント用顕微鏡を備える。
【0021】
図3は、本実施の形態による基板載置ユニット350を説明する図である。基板載置ユニット350は、ウェハステージ300(図1)に対して着脱可能に構成される。図3において、ウェハ吸着部360は、不図示の真空吸着機構によってウェハを吸着させる部材である。このウェハ吸着部360上にウェハ200(図1)が載置される。ウェハ吸着部360には3つの穴が設けられている。中央の穴361は、ウェハ200を交換する場合にウェハ200を押し上げるセンターアップ用の穴である。
【0022】
穴362は、ウェハ200の裏面に形成される裏面基準マークを裏面アライメント用顕微鏡370で検出するための貫通孔である。穴363は、裏面アライメント用顕微鏡370と同様の裏面アライメント用顕微鏡390を用いて、ウェハ200の裏面に形成される裏面基準マークを検出するための貫通孔である。穴362および穴363の直径は、たとえば6mmである。このため、裏面アライメント用顕微鏡370(390)は、ウェハ吸着部360上に載置されたウェハ200の裏面のうち、穴362(穴363)を介してそれぞれφ6mmの円内を検出する。なお、ウェハ200をウェハ吸着部360上に載置する際、不図示のウェハローダの位置合わせ機構(たとえば位置合わせピン)に当接させることによってプリセットするので(プリセット精度はたとえば±0.1mm)、ウェハ200の裏面に形成された裏面基準マークが上記貫通孔を介して裏面アライメント用顕微鏡370(390)の視野内(たとえば0.5mm角)に位置する。
【0023】
図4は、裏面アライメント用顕微鏡370の要部構成図である。光源371は、たとえばLEDによって構成され、照明光を供給する。光源371からの照明光は、不図示の照明開口絞りを介して制限された後、ミラー372で折り曲げられて照明リレーレンズ373に入射する。照明リレーレンズ373を介した光は、ハーフプリズム374を反射した後、対物レンズ375に入射する。対物レンズ375を介した光は、ミラー376で上方に折り曲げられ、視標板377を介してウェハ200の裏側を照明する。
【0024】
視標板377は、ウェハ吸着部360の貫通穴362内に設けられたガラス板であり、この視標板377には裏面視標マーク378が形成されている。裏面視標マーク378は、ウェハ200の裏面に形成された裏面基準マーク221を位置検出する際の基準として使用される。ウェハ200の裏面と視標板377との間隔は、たとえば20μm〜50μmであり、裏面基準マーク221にフォーカス調整した対物レンズ375の焦点深度内に視標板377(裏面視標マーク378)を含むように構成される。
【0025】
照明された裏面基準マーク221からの反射光は、ミラー376で反射され、対物レンズ375を介してハーフプリズム374に入射する。ハーフプリズム374を透過した光は、リレーレンズ379を介して撮像素子380に入射する。上述したように、対物レンズ375の焦点深度内に視標板377を含めているので、撮像素子380の撮像面には、裏面基準マーク221の像が視標板377に形成されている裏面視標マーク378の像とともに結ばれる。
【0026】
撮像素子380からの出力信号は、信号処理系(不図示)によって信号処理され、上記裏面基準マーク221の位置情報が取得される。該裏面基準マーク221の位置情報は、裏面ベースライン計測(またはウェハ200のXY平面に沿った裏面アライメント)の際に必要である。
【0027】
<裏面ベースライン計測>
裏面アライメント用顕微鏡370(390)を用いた裏面ベースライン計測について説明する。裏面ベースライン計測の開始時は、ウェハステージ300上の基板載置ユニット350からウェハ200を取り外しておく。これにより、図3に例示するように、ウェハ吸着部360の穴362を介して裏面アライメント用顕微鏡370の裏面視標マーク378が検出可能である。裏面アライメント用顕微鏡390の裏面視標マーク398についても、穴363を介して検出可能である。
【0028】
ウェハステージ300は、裏面視標マーク378がウェハアライメント用顕微鏡ユニット40の視野内の所定位置にくるように位置決めされる。裏面ベースライン量BL2は、マスクアライメント用顕微鏡ユニット140を用いてマスクマーク111と裏面視標マーク378とがアライメント(光学的位置合わせ)されたときのウェハステージ300の位置P3と、ウェハアライメント用顕微鏡ユニット40を用いて視標マーク41と裏面視標マーク378とがアライメントされたときのウェハステージ300の位置P4とを上記ウェハ干渉計301でそれぞれ計測し、次式(3)のように2つの位置の差(P3−P4)を計算することにより求められる。
BL2=P3−P4 (3)
【0029】
裏面アライメント用顕微鏡390を用いた裏面ベースライン計測についても同様である。すなわち、ウェハアライメント用顕微鏡ユニット40を用いて上記視標マーク41と裏面視標マーク398とがアライメントされたときのウェハステージ300の位置をP4’とする。裏面ベースライン量BL2は、次式(4)のように2つの位置の差(P3−P4’)を計算することにより求められる。
BL2=P3−P4’ (4)
【0030】
次に、基板載置ユニット350にウェハ200を載置し、ウェハ吸着部360にウェハ200を吸着させる。そして、不図示のウェハ吸着部微動機構を駆動し、裏面アライメント用顕微鏡370を用いて上記裏面視標マーク378とウェハ200の裏面基準マーク221とをアライメントさせる。裏面アライメント用顕微鏡390を用いる場合は、上記裏面視標マーク398とウェハ200の裏面基準マーク221とをアライメントさせる。
【0031】
以上説明したように求めた裏面ベースライン量BL2は、ウェハ200の裏面基準マーク221を裏面アライメント用顕微鏡370(390)を用いて位置検出し、該検出位置に基づいてウェハステージ300を投影光学系50の投影視野内の所定位置に位置決めする(すなわちウェハ200をXY平面に沿ってアライメントする)ときの基準量となるものである。つまり、ウェハステージ制御部(不図示)は、裏面アライメント用顕微鏡370(390)を用いて検出した位置と上記裏ベースライン量BL2とに基づいて演算した位置へウェハ200を移動させる。
【0032】
裏面アライメント用顕微鏡370(390)による撮像面の二次元座標をあらかじめ校正しておくと、該校正した座標と上述した裏面ベースライン量BL2とに基づいてウェハ200の裏面基準マーク221の位置を演算することができる。この場合には、上述した吸着部微動機構によるアライメントを省略し、裏面視標マーク378(または398)とウェハ200の裏面基準マーク221との位置ずれを見込んでウェハステージ300を移動できるので、スループットの向上に有効である。
【0033】
なお、裏面ベースライン計測の際にウェハステージ300をZ軸周り(角度θ)に回転させて、裏面視標マーク378および裏面視標マーク398のX方向整列を行うとよい。
【0034】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)露光装置は、二次元方向に移動可能なウェハステージ300と、ウェハステージ300上に配設され、貫通孔362,363を有するウェハ吸着部360上にウェハ200を載置する基板載置ユニット350と、ウェハ吸着部360の貫通孔に設けられる裏面視標マーク378,398と、基板載置ユニット350に設けられる裏面アライメント用顕微鏡370,390とを備える。裏面アライメント用顕微鏡370,390とウェハ吸着部360とを相対移動させなくてよいので、簡単な構成でウェハ200の裏面からアライメントを適切に行うことができる。
【0035】
(2)上記(1)の露光装置において、裏面アライメント用顕微鏡370,390は、ウェハ200の露光面と反対側の面に形成されている裏面基準マーク221を貫通孔362,363を介して検出するので、ウェハ200をウェハ吸着部360上に載置したままで裏面基準マーク221を検出できる。
【0036】
(3)上記(1)または(2)の露光装置において、裏面視標マーク378,398は、裏面アライメント用顕微鏡370,390が裏面基準マーク221に合焦している状態で裏面アライメント用顕微鏡370,390の焦点深度内に位置するので、裏面視標マーク378,398を検出する場合と、裏面基準マーク221を検出する場合とで裏面アライメント用顕微鏡370,390をフォーカス調節し直す必要がない。これは、スループットの向上に有効である。
【0037】
(4)上記露光装置において、基板載置ユニット350および裏面アライメント用顕微鏡370,390は、ウェハステージ300に対して着脱可能に構成されているので、後から裏面アライメント用顕微鏡370、390を追加搭載する要求にも対処できる。
【0038】
(変形例1)
上述した説明では、視標板377に裏面視標マーク378を形成する例を説明した。視標板377に裏面視標マーク378を形成する代わりに、視標板377上に裏面視標マークの像を投影するように構成してもよい。たとえば図4に例示するように、裏面視標マーク382を形成したガラス板381を配することにより、裏面視標マーク382の像を投影する。
【0039】
(変形例2)
図5は、変形例2による基板載置ユニット350Bを説明する図である。基板載置ユニット350Bは、ウェハステージ300(図1)に対して着脱可能に構成される。上述した基板載置ユニット350と比べて、裏面アライメント用顕微鏡370と裏面アライメント用顕微鏡390との間隔がマイクロメータ420および430によって調節可能に構成される点が異なる。
【0040】
図5において、ウェハ吸着部360は、不図示の真空吸着機構によってウェハを吸着させる部材である。中央の穴361は、ウェハ200を交換する場合にウェハ200を押し上げるセンターアップ用の穴である。
【0041】
穴362Bは、ウェハ200の裏面に形成される裏面基準マークを裏面アライメント用顕微鏡370で検出するための貫通孔である。マイクロメータ420による裏面アライメント用顕微鏡370の移動範囲に合わせて長穴とする。穴363Bは、裏面アライメント用顕微鏡370と同様の裏面アライメント用顕微鏡390を用いて、ウェハ200の裏面に形成される裏面基準マークを検出するための貫通孔である。マイクロメータ430による裏面アライメント用顕微鏡390の移動範囲に合わせて長穴とする。
【0042】
裏面アライメント用顕微鏡370および裏面アライメント用顕微鏡390は、それぞれガイドレール400に沿って移動する。裏面アライメント用顕微鏡370および裏面アライメント用顕微鏡390は、マイクロメータ420および430によって位置調整された後、不図示の真空吸着機構を有する真空吸着部410によって基板載置ユニット350Bに固定される。
【0043】
変形例2によれば、ウェハの裏面に形成される裏面基準マークのピッチが異なるウェハを使用する場合にも対応できるので、実デバイス設計の自由度を高めることができる。
【0044】
(変形例3)
上述した基板載置ユニット350を用いて露光装置の定期検査を行うこともできる。検査用のガラスウェハとして、あらかじめ裏面に裏面基準マークを形成した厚さ約1mmのガラスウェハを用意する。該ガラスウェハの表面には、レジストの付着性を高めるために上記裏面基準マークが観察できる程度の範囲(窓と呼ぶ)を残してクロム蒸着を施しておく。
【0045】
表面アライメントの精度管理用レチクル(マスク)をマスクステージ150に載置した上で、基板載置ユニット350上に上記ガラスウェハを載置し、ウェハ吸着部360によって該ガラスウェハを吸着させる。ウェハステージ制御部(不図示)は、顕微鏡ユニット40を用いて検出した位置と上記ベースライン量BLとに基づいて演算した位置へウェハ200を移動して表面アライメントを行う。この表面アライメントを行うとき、顕微鏡ユニット40は、ガラスウェハの表面から上記「窓」を通して裏面基準マークを検出する。該表面アライメント後、ガラスウェハを一次露光する。ガラスウェハを基板載置ユニット350から取り外して現像処理を施すと、該ガラスウェハには上記表面アライメントの精度管理用レチクルによる第1パターンが形成されている。
【0046】
裏面アライメントの精度管理用レチクル(マスク)をマスクをマスクステージ150に載置した上で、基板載置ユニット350上に現像後のガラスウェハを再度載置し、ウェハ吸着部360によって該ガラスウェハを吸着させる。ウェハステージ制御部(不図示)は、裏面アライメント用顕微鏡370(390)を用いて検出した位置と上記裏面ベースライン量BL2とに基づいて演算した位置へウェハ200を移動して裏面アライメントを行う。この裏面アライメントを行うとき、裏面アライメント用顕微鏡370(390)は、裏面基準マークをガラスウェハの裏面から検出する。該裏面アライメント後、ガラスウェハを二次露光する。ガラスウェハを基板載置ユニット350から取り外して現像処理を施すと、該ガラスウェハには上記裏面アライメントの精度管理用レチクルによる第2パターンが形成されている。
【0047】
上記第1パターンは、実デバイス製造における表面パターンに相当し、上記第2パターンは、実デバイス製造における裏面パターンに相当する。変形例3によれば、上述したようにガラスウェハの片面(表面)のみに形成したレジスト像に基づいて、実デバイス製造における表裏パターンの位置ずれ量を評価できる。
【0048】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
19…コンデンサー光学系
40…ウェハアライメント用顕微鏡ユニット
50…投影光学系
100…マスク
111…マスクマーク
140…マスクアライメント用顕微鏡ユニット
150…マスクステージ
200…ウェハ
211…基準マーク
221…裏面基準マーク
300…ウェハステージ
350…基板載置ユニット
360…ウェハ吸着部
370、390…裏面アライメント用顕微鏡
377…視標板
378、398…裏面視標マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元方向に移動可能な基板ステージと、
前記基板ステージ上に配設され、貫通孔を有する基板載置部上に露光基板を載置する基板載置ユニットと、
前記基板載置部の貫通孔に設けられる視標マークと、
前記基板載置ユニットに設けられるアライメント検出系と、
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光装置において、
前記アライメント検出系は、
前記基板の露光面と反対側の面に形成されている基準マークを前記貫通孔を介して検出することを特徴とする露光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の露光装置において、
前記視標マークは、前記アライメント検出系が前記基準マークに合焦している状態で該アライメント検出系の焦点深度内に位置することを特徴とする露光装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記基板載置ユニットおよび前記アライメント検出系は、前記基板ステージに対して着脱可能に構成されていることを特徴とする露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−84713(P2012−84713A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230261(P2010−230261)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】