説明

青果物の品質判定装置及び品質判定方法

【課題】青果物Aの熟度を非破壊にて判定するにおいて、クロロフィル絶対量Cと熟度との間に相関関係が成立することに着目し、熟度の判定精度を向上させる。
【解決手段】本願発明に係る青果物Aの品質判定装置1は、投光部3から光を青果物Aに照射し、その透過光を受光部4で検出することによって、クロロフィル吸収帯に相当する特定波長の吸光度を少なくとも求めるように構成される。特定波長の吸光度の2次微分値dR/dλと青果物Aのクロロフィル絶対量Cとの関係を予め回帰分析して得られた関係式Y又はマップを記憶する記憶手段11と、判定対象である対象青果物Aに対する特定波長の吸光度の2次微分値dR/dλを前記関係式Y又は前記マップに当てはめて、前記対象青果物Aのクロロフィル絶対量Cを推定し、前記推定されたクロロフィル絶対量Cから、前記対象青果物Aの熟度を判定する判定手段6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば梨、桃、柑橘類、リンゴ、メロンといった青果物を非破壊で検査する青果物の品質判定装置及び品質判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、梨、桃といった青果物の内部品質の判定項目としては、糖度計測や、熟度(未熟・適熟・過熟)判定が挙げられる。糖度については、青果物に光を照射し、青果物を透過した透過光を分析することによって、非破壊で計測する技術が知られている(例えば特許文献1等参照)。一方、熟度については、硬度計を用いて、青果物の表皮を破壊する際の硬度から判別することが多かった。
【0003】
硬度計を用いて熟度を判別した青果物は商品価値がなくなり出荷不可能となるから、熟度に関してもできるだけ非破壊で判定するのが望ましい。この点、青果物に光を照射して、青果物を透過した透過光から吸光度を求め、クロロフィル(葉緑素)吸収帯である特定波長の吸光度に基づき、青果物の熟度を非破壊にて判定する技術がある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−300680号公報
【特許文献2】特開平11−332378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の技術は、透過光を分光分析して得られる特定波長の吸光度と、青果物中のクロロフィルの量との間に相関関係があり、更に、クロロフィルの量と熟度との間にも相関関係が成立することを前提としている。すなわち、吸光度が小さくなるほどクロロフィルの量が少なくなることと、クロロフィルの量が少なくなるほど青果物が熟した状態になることとを利用したものである。しかし、特許文献2の技術において、吸光度とクロロフィルの量との関係、及び、クロロフィルの量と熟度との関係は、あくまで相対的(定性的)なものでしかなく、例えば吸光度からクロロフィル絶対量(青果物に含まれるクロロフィル自体の量)が直接求まるわけではない。このため、吸光度と熟度との相関関係として見た場合、当該相関関係は、青果物の品種や栽培条件といった諸条件に影響を受け易く、熟度の判定精度が低いという問題があった。
【0006】
そこで、本願発明は、上記の問題を解消した青果物の品質判定装置及び品質判定方法を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、投光部から光を青果物に照射し、その透過光又は反射光を受光部で検出することによって、クロロフィル吸収帯に相当する特定波長の吸光度を少なくとも求めるように構成されている青果物の品質判定装置であって、特定波長の吸光度の2次微分値と青果物のクロロフィル絶対量との関係を予め回帰分析して得られた関係式又はマップを記憶する記憶手段と、判定対象である対象青果物に対する特定波長の吸光度の2次微分値を前記関係式又は前記マップに当てはめて、前記対象青果物のクロロフィル絶対量を推定し、前記推定されたクロロフィル絶対量から、前記対象青果物の熟度を判定する判定手段と、を備えているというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した青果物の品質判定装置において、前記関係式又は前記マップを得るための青果物のクロロフィル絶対量は、前記青果物のサンプルの表皮から葉緑素計を用いて計測することによって求められるというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した青果物の品質判定装置において、前記投光部から光を対象青果物に照射し、その透過光又は反射光を受光部で検出することによって、前記対象青果物の糖度をも計測可能に構成されているというものである。
【0010】
請求項4の発明は青果物の品質判定方法に係るものであり、投光部から光を対象青果物に照射し、その透過光又は反射光を受光部で検出する検出工程と、前記透過光又は前記反射光を分光分析して、前記対象青果物における前記特定波長の吸光度の2次微分値を求める2次微分値演算工程と、前記2次微分値を前記関係式又は前記マップに当てはめて、前記対象青果物のクロロフィル絶対量を推定する推定工程と、前記推定されたクロロフィル絶対量から前記対象青果物の熟度を判定する判定工程と、を備えているというものである。
【発明の効果】
【0011】
本願の請求項に記載された発明によると、投光部から光を青果物に照射し、その透過光又は反射光を受光部で検出することによって、クロロフィル吸収帯に相当する特定波長の吸光度を少なくとも求めるように構成されている青果物の品質判定装置であって、特定波長の吸光度の2次微分値と青果物のクロロフィル絶対量との関係を予め回帰分析して得られた関係式又はマップを記憶する記憶手段と、判定対象である対象青果物に対する特定波長の吸光度の2次微分値を前記関係式又は前記マップに当てはめて、前記対象青果物のクロロフィル絶対量を推定し、前記推定されたクロロフィル絶対量から、前記対象青果物の熟度を判定する判定手段と、を備えているので、前記推定されたクロロフィル絶対量から、前記対象青果物の熟度を、非破壊にて定量的に判定できることになる。このため、前記対象青果物の品種や栽培条件といった諸条件に影響を受ける可能性が少なく、前記熟度の判定精度を格段に向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】青果物の品質判定装置を示す概略平面図である。
【図2】判定手段であるコントローラの機能ブロック図である。
【図3】サンプルにおける吸光度の2次微分値のグラフである。
【図4】特定波長の吸光度の2次微分値と、青果物のクロロフィル絶対量との関係を示すグラフである。
【図5】特定波長の吸光度の2次微分値と、青果物のクロロフィル絶対量との関係を回帰分析して得られる関係式のグラフである。
【図6】葉緑素計を示す概略図である。
【図7】熟度判定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
まず始めに、図1及び図2を参照しながら、青果物Aの品質判定装置1の構造について説明する。図1に示すように、青果物Aの品質判定装置1は、青果物Aを適宜ピッチの間隔で一列状に並べて搬送する搬送コンベヤライン2と、当該搬送コンベヤライン2を挟んだ上下箇所で相対向するように配置された投光部3及び受光部4と、搬送コンベヤライン2における投光部3との対峙箇所に青果物Aが存在するか否かを検出する位置検出センサ5と、搬送コンベヤライン2の駆動を制御したり、投光部3、受光部4及び位置検出センサ5からの制御データに基づいて各種判定処理を実行したりする判定手段としてのコントローラ6とを備えている。
【0015】
実施形態の品質判定装置1は、青果物Aの内部品質の一例である熟度(未熟か適熟か過熟か)を光学的に判定するものである。すなわち、搬送コンベヤライン2の駆動にて投光部3の近傍に青果物Aが到来したことを位置検出センサ5が感知したときに、投光部3から搬送コンベヤライン2上の青果物Aに向けて光を照射し、当該青果物Aを透過した透過光を受光部4で検出し、受光部4の構成要素である分光器7にて得られた結果(スペクトル情報)をコントローラ6に伝送し、コントローラ6にて熟度判定制御を実行するように構成されている。また、受光部4による透過光の検出結果からは、青果物Aの糖度をも計測可能になっている。糖度計測の詳細は例えば特開2005−46794号公報等に開示されている。
【0016】
投光部3は青果物Aの熟度や糖度等を測定するための光(赤外光やレーザー光等)を青果物Aに照射するものであり、具体的にはハロゲンランプ又はLED等で構成される。受光部4には、青果物Aを透過した透過光から特定波長の光を分光してスペクトル情報を計測する分光器7が設けられている。位置検出センサ5は光(赤外線)、超音波又は静電容量型等の近接センサである。
【0017】
投光部3、受光部4及び位置検出センサ5は略箱状の筐体8にて覆われている。筐体8は、品質判定装置1の他の部材を固定する構造体であると共に、投光部3及び受光部4に外部の光が影響するのを防止する構造になっている。具体的には、筐体8のうち相対向する側面に、入口開口部8aと出口開口部8bとがそれぞれ形成されており、これら開口部8a,8bを搬送コンベヤライン2が貫通している。搬送コンベヤライン2にて搬送される青果物Aは、入口開口部8aから筐体8内に進入し、出口開口部8bから筐体8外に排出される。なお、各開口部8a,8bの上縁部には複数の上下スリットを有するゴム製又は樹脂製の遮光シート(図示省略)が設けられており、外部からの光が筐体8内部に差し込むのを極力阻止している。
【0018】
図2に示すように、コントローラ6は、判定処理等のための各種演算を実行するCPU9のほか、各種データを予め固定的に記憶させたROM10、制御プログラムや各種データを書換可能に記憶する記憶手段としてのEEPROM11、制御プログラムや各種データを一時的に記憶するRAM12、計時用のタイマ、及び入出力インターフェイス等を備えている(図2参照)。コントローラ7の入出力インターフェイスには、投光部3、受光部4(分光器7)及び位置検出センサ5のほか、搬送コンベヤライン2を駆動させるためのコンベヤ駆動回路13、品質判定装置1全体の電源を入り切り操作するメインスイッチやキーボード等を有する入力器14、並びに液晶モニタ等の表示器15等がそれぞれ接続されている。
【0019】
ところで、前述の通り、透過光を分光分析して得られる特定波長の吸光度と、青果物A中のクロロフィル(葉緑素)の量との間、並びに、青果物A中のクロロフィルの量と熟度との間には、定性的な相関関係が成立することは知られている。この場合、分光器7の検出結果に基づいて(分光分析して)得られる吸光度が小さくなるほど、青果物A中のクロロフィルの量が少なくなり、クロロフィルの量が少なくなるほど青果物Aは熟した状態と言える。
【0020】
上記の点を踏まえて本願発明者たちは、非破壊での青果物A(実施形態では梨)の熟度の判定精度をより高める目的で、複数個の青果物Aのサンプルに関する吸光度を実験的に測定して、これら吸光度の2次微分値dR/dλを算出した。当該実験結果を図3に示している。図3では、横軸に波長(nm)を、縦軸に吸光度の2次微分値(−)を採っている。この場合、クロロフィル吸収帯に相当する特定波長(670〜680nm付近)において下向きに凸のピークが形成されている。そして、当該ピークにおける下向き凸の程度は、日数が経過するほど小さくなる(未熟から適熟・過熟と進むに連れてゼロに近づく)ことが分かった。これは、サンプル中のクロロフィルの量が減少しているものと考えられる。
【0021】
次いで、本願発明者たちは、複数個の青果物Aのサンプルに関する吸光度を実験的に測定して、これら吸光度の2次微分値dR/dλを求めると共に、各サンプルのクロロフィル絶対量Cを機器分析にて実験的に測定した。当該実験結果を基に、吸光度の2次微分値dR/dλとクロロフィル絶対量Cとの関係を回帰分析したものを、図4(a)(b)に示している。図4(a)(b)では、横軸にクロロフィル絶対量(mg/100g)を、縦軸に吸光度の2次微分値(−)を採っている。図4(a)と図4(b)との違いは露出時間の違いである。図4(a)(b)から分かるように、これらの回帰分析では、例えばR=−0.70程度の相関係数が得られており、特定波長の吸光度の2次微分値dR/dλとクロロフィル絶対量Cとの間には、比較的良好な相関関係が存在することが分かった。
【0022】
以上のことから、本願発明者たちは、クロロフィル吸収帯に相当する特定波長(670〜680nm付近)の吸光度の2次微分値dR/dλと、青果物Aのクロロフィル絶対量Cとの関係を予め回帰分析して得られる関係式Y(図5(a)(b)参照)を予め求めておき、判定対象の青果物A(以下、対象青果物Aという)において、分光器7の検出結果を基にした吸光度の2次微分値dR/dλ(実測値)を関係式Yに当てはめることによって、対象青果物Aのクロロフィル絶対量Cを推定し、当該推定されたクロロフィル絶対量Cから、対象青果物Aの熟度(未熟か適熟か過熟か)を定量的に判定できるという知見を得たのである。
【0023】
コントローラ6の記憶手段であるEEPROM11には、図5(a)(b)に示すような関係式Yが予め記憶されている。前述の通り、関係式Yは、実験等によって、クロロフィル吸収帯である特定波長(670〜680nm付近)の吸光度の2次微分値dR/dλと、青果物Aのクロロフィル絶対量Cとの関係を予め回帰分析して求めている。この場合、複数個の青果物Aのサンプルに関する吸光度を実験的に測定して、これら吸光度の2次微分値dR/dλを求めると共に、図6に示すような葉緑素計20を用いて、各サンプルのクロロフィル絶対量C(SPAD値と言ってもよい)をその表皮から計測することによって、関係式Yが求められている。サンプル数は例えば30〜40個程度あれば足りる。葉緑素計20は、2波長光学濃度差測定方式を採用した従来公知のものである。このため、各サンプルのクロロフィル絶対量Cを現場(例えば品質判定装置1が載置された作業場)で手軽に計測でき、サンプル測定による関係式Y(回帰式)の取得が簡単にできることになる。なお、葉緑素計20を用いてのクロロフィル絶対量C(SPAD値)の測定は、表皮の各部分でバラツキがあるため、実施形態ではサンプル(青果物A)1つ当り複数箇所の測定を行い、その平均値をクロロフィル絶対量C(SPAD値)として求めている。
【0024】
図5(a)(b)に示す関係式Yは最小二乗法にて直線回帰したものであり、負の傾きを呈している。特定波長の吸光度の2次微分値dR/dλがゼロに近づくほど、クロロフィル絶対量C(SPAD値)が小さくなっている。そして、図5(a)(b)の回帰分析では、例えばR=−0.70程度の相関係数が得られており、特定波長の吸光度の2次微分値dR/dλとクロロフィル絶対量Cとの間には、比較的良好な相関関係が存在している。つまり、関係式Yから、クロロフィル絶対量Cの推定、ひいては、対象青果物Aの熟度(未熟か適熟か過熟か)の定量的な判定が可能であることが分かる。
【0025】
なお、図5(a)(b)に示す関係式Yは最小二乗法にて直線回帰するに限らず、曲線近似してもよい。図5(a)と図5(b)との違いは、図4(a)(b)と同様に、露出時間の違いである。特定波長の吸光度の2次微分値dR/dλとクロロフィル絶対量Cとの関係は、関係式Yに限らず、マップにて設定しても良いことは言うまでもない。関係式Yやマップは、青果物Aの品種ごとに取得する必要があるのはもちろんだが、同種の青果物Aであっても、例えば生産者(栽培条件)ごとに取得しておくのが望ましい。各生産者の圃場の相違が関係式Y及びマップに及ぼす影響(誤差)をなくすためである。
【0026】
次に、図7を参照しながら、前述の品質判定装置1を用いて、青果物Aの熟度を判定する手順(熟度判定制御)の一例について説明する。図7のフローチャートに示す通り、青果物Aの熟度判定手順は、検出工程(ステップS1)→2次微分値演算工程(ステップS2)→推定工程(ステップS3)→判定工程(ステップS4)という順序で行われる。
【0027】
まず、ステップS1の検出工程では、搬送コンベヤライン2の駆動にて投光部3の近傍に青果物Aが到来したことを位置検出センサ5が感知すると、投光部3から搬送コンベヤライン2上の対象青果物Aに向けて光を照射する。そして、当該青果物Aを透過した透過光を受光部4で検出し、受光部4の構成要素である分光器7にて得られた結果(スペクトル情報)をコントローラ6に伝送する。分光器7の検出結果はコントローラ6のRAM12に記憶される。
【0028】
次いで、ステップS2の2次微分値演算工程では、分光器7の検出結果に基づき吸光度を求め、当該吸光度を2次微分して、対象青果物Aにおける特定波長(670〜680nm付近)の吸光度の2次微分値dR/dλを算出する。それから、ステップS3の推定工程において、EEPROM11に予め記憶させた関係式Yを読み出し、ステップS2で求めた特定波長の吸光度の2次微分値dR/dλを関係式Yに当てはめて、対象青果物Aのクロロフィル絶対量Cを推定する。その後、ステップS3にて推定されたクロロフィル絶対量Cの大小に基づき、対象青果物Aの熟度(未熟か適熟か過熟か)を判定するのである。熟度判定を終えた青果物Aは、そのまま搬送コンベヤライン2に載って筐体8外に搬送され、次工程に送られる。
【0029】
上記の記載並びに図1及び図2から明らかなように、投光部3から光を青果物Aに照射し、その透過光を受光部4で検出することによって、クロロフィル吸収帯に相当する特定波長の吸光度を少なくとも求めるように構成されている青果物Aの品質判定装置1であって、特定波長の吸光度の2次微分値dR/dλと青果物Aのクロロフィル絶対量Cとの関係を予め回帰分析して得られた関係式Y又はマップを記憶する記憶手段11と、判定対象である対象青果物Aに対する特定波長の吸光度の2次微分値dR/dλを前記関係式Y又は前記マップに当てはめて、前記対象青果物Aのクロロフィル絶対量Cを推定し、前記推定されたクロロフィル絶対量Cから、前記対象青果物Aの熟度を判定する判定手段6と、を備えているので、前記推定されたクロロフィル絶対量Cから、前記対象青果物Aの熟度を、非破壊にて定量的に判定できることになる。このため、前記対象青果物Aの品種や栽培条件といった諸条件に影響を受ける可能性が少なく、前記熟度の判定精度を格段に向上できるという効果を奏する。
【0030】
特に、前記関係式Y又は前記マップを得るための青果物Aのクロロフィル絶対量Cは、前記青果物Aのサンプルの表皮から葉緑素計20を用いて計測することによって求められるから、前記サンプルの前記クロロフィル絶対量Cを現場(例えば品質判定装置1が載置された作業場)で手軽に計測することが可能になる。このため、サンプル測定による前記関係式Y又は前記マップの取得を簡単に行えるという効果を奏する。
【0031】
更に、前記青果物Aの品質判定装置1は、前記投光部3から光を対象青果物Aに照射し、その透過光を受光部4で検出することによって、前記対象青果物4の糖度をも計測可能に構成されるので、例えば従来から存在する糖度判定用の品質判定装置1に、熟度判定の機能をそのまま適用する(盛り込む)ことも可能になる。このため、熟度判定と糖度判定との両方を行える品質判定装置1を安価に製造できるという効果を奏する。熟度判定の機能の後付けも簡単に行えるのである。
【0032】
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば前述の実施形態では、投光部3から青果物Aに光を照射し、青果物Aを透過した透過光を受光部4で検出する構成を採用しているが、これに限らず、青果物Aを反射した反射光を受光部4で検出する構成を採用してもよい。この場合、反射光を受光可能な位置に受光部4を配置することになる。反射光を検出する構成であっても、前述の実施形態と同様の作用効果が得られるのは言うまでもない。また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限られるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
A 青果物
1 品質判定装置
2 搬送コンベヤライン
3 投光部
4 受光部
6 コントローラ(判定手段)
7 分光器
9 CPU
10 ROM
11 EEPROM(記憶手段)
20 葉緑素計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光部から光を青果物に照射し、その透過光又は反射光を受光部で検出することによって、クロロフィル吸収帯に相当する特定波長の吸光度を少なくとも求めるように構成されている青果物の品質判定装置であって、
特定波長の吸光度の2次微分値と青果物のクロロフィル絶対量との関係を予め回帰分析して得られた関係式又はマップを記憶する記憶手段と、
判定対象である対象青果物に対する特定波長の吸光度の2次微分値を前記関係式又は前記マップに当てはめて、前記対象青果物のクロロフィル絶対量を推定し、前記推定されたクロロフィル絶対量から、前記対象青果物の熟度を判定する判定手段と、
を備えている、
青果物の品質判定装置。
【請求項2】
前記関係式又は前記マップを得るための青果物のクロロフィル絶対量は、前記青果物のサンプルの表皮から葉緑素計を用いて計測することによって求められる、
請求項1に記載した青果物の品質判定装置。
【請求項3】
前記投光部から光を対象青果物に照射し、その透過光又は反射光を受光部で検出することによって、前記対象青果物の糖度をも計測可能に構成されている、
請求項1又は2に記載した青果物の品質判定装置。
【請求項4】
投光部から光を対象青果物に照射し、その透過光又は反射光を受光部で検出する検出工程と、
前記透過光又は前記反射光を分光分析して、前記対象青果物における前記特定波長の吸光度の2次微分値を求める2次微分値演算工程と、
前記2次微分値を前記関係式又は前記マップに当てはめて、前記対象青果物のクロロフィル絶対量を推定する推定工程と、
前記推定されたクロロフィル絶対量から前記対象青果物の熟度を判定する判定工程と、
を備えている、
青果物の品質判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−78206(P2012−78206A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223712(P2010−223712)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】