説明

静電容量型センサを用いた三次元インターフェース構造

【課題】少ない部品点数と簡単な構造で優れたシール性能を得ることが出来る新規な構造の外部操作の検出構造体を提供すること。
【解決手段】センサ筐体12の開口窓22の形成部位を、弾性材で形成されているシート状のインターフェース部材16で覆蓋し、インターフェース部材16に開口窓22の周縁部の表面に重ね合わせられる表側シール突部48と開口窓22の周縁部の裏面に重ね合わせられる裏側シール突部50を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオーディオやナビゲーションシステム等の各種装置の操作パネルに適用することができる外部操作の検出構造体に係り、特に水等の内部侵入を防止するためのシール構造を備えた外部操作の検出構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のオーディオやナビゲーションシステム、エアコンディショナーなどの装置では、作動をON/OFFしたりボリュームや温度などを調節するための外部操作の入力装置(インターフェース)が装備されている。特に近年では、かかる入力装置として、回転式や機械接点式の操作スイッチに代えて、手指による外部操作の検出センサを用いたタッチパネルの利用が検討されている。
【0003】
かかるタッチパネルの如き外部操作の検出構造体では、一般に、センサ筐体に操作用の開口窓を設けて、この開口窓の形成部位に外部操作の検出センサが配設されている。そして、開口窓は、検出センサの表面を覆うシート状のインターフェース部材で覆蓋されており、このインターフェース部材を介して手指による外部操作が検出されるようになっている。
【0004】
ところで、このようなタッチパネルでは、センサ筐体に開口窓が設けられていることから、開口窓を通じてセンサ筐体内部に水や埃などが侵入するおそれがある。センサ筐体内部に水や埃などが侵入すると、開口窓の形成部位に配設された検出センサ等における不具合の原因となることがある。
【0005】
そこで、従来構造のタッチパネルでは、特許第3347009号公報(特許文献1),特許第3818046号公報(特許文献2)に示されているように、センサ筐体の開口窓の周縁を全周に亘ってシール部材で封止したシール構造が採用されている。
【0006】
ところが、かかるシール構造は、別体のシール部材を準備してセンサ筐体とタッチパネルとの間に装着する必要があることから、部品点数が多くなって組付作業が面倒であった。しかも、別体のシール部材は、センサ筐体やタッチパネルに対して、ボルトによる締付構造や接着剤による接着構造などで装着されることから、ボルトの締付けや接着剤の塗布が不十分であるなどの理由で目的とするシール性能が得られなくなるおそれがあり、管理が難しく、十分な信頼性も得難いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3347009号公報
【特許文献2】特許第3818046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、少ない部品点数と簡単な構造で優れたシール性能を得ることが出来る新規な構造の外部操作の検出構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために為された本発明の第一の態様は、センサ筐体の開口窓の形成部位に外部操作の検出センサが配設されていると共に、該検出センサの表面を覆って該開口窓を覆蓋するシート状のインターフェース部材が配設された外部操作の検出構造体において、前記インターフェース部材が弾性材で形成されていると共に、該インターフェース部材の外周部分において裏面に突出して前記センサ筐体の前記開口窓に入り込んで前記検出センサと該センサ筐体との間に配される外周壁部が形成されている一方、該外周壁部の表面側端部から外周側に広がって該インターフェース部材における該開口窓の周縁部の表面に重ね合わされる表側シール突部と、該外周壁部の裏面側端部から外周側に広がって該インターフェース部材における該開口窓の周縁部の裏面に重ね合わされる裏側シール突部とが形成されていることを特徴とする。
【0010】
本態様に従う構造を有する外部操作の検出構造体では、センサ表面を覆って入力操作面を形成するインターフェース部材がシート状の弾性材で形成されて、このインターフェース部材の外周部分にシール部分が一体形成されることとなる。それ故、別体部品としてのシール部材が不要となり、部品点数および部品組付工程数の減少が図られると共に、組付作業も容易となって組付ミスに起因するシール不良も軽減される。
【0011】
また、インターフェース部材に一体形成されるシール部分は、開口窓に入り込む外周壁部と、センサ筐体の開口窓の周縁部の表面に重ね合わされる表側シール突部と、センサ筐体の開口窓の周縁部の裏面に重ね合わされる裏側シール突部とを、含んで構成されている。このシール部分は、センサ筐体の開口窓の周縁部を表裏から挟むようにして取り付けられて、シール部分の弾性により、表側シール突部および裏側シール突部がセンサ筐体の開口窓の周縁部に対して密接状態で重ね合わされる。それ故、たとえ締付ボルトや接着材による固着力が十分でなかったり、またはそのような固着力がなくても、センサ筐体の開口窓における防水性や防塵性を十分に安定して高い信頼性をもって実現することが可能となる。
【0012】
更にまた、シール部分を構成する外周壁部は、検出センサの外周面とインターフェース部材の開口窓の内周面との間に介在せしめられる。そして、この外周壁部が、検出センサがインターフェース部材に対して直接に干渉することを防止して、外周壁部の弾性により、検出センサに対して保護作用や必要に応じて位置決め作用も発揮し得ることとなる。
【0013】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る外部操作の検出構造体において、前記センサ筐体が固定されて取り付けられるベース部材と該センサ筐体の前記開口窓の周縁部との間で、前記裏側シール突部が挟圧されているものである。
【0014】
本態様においては、相互に固定されるセンサ筐体とベース部材との対向面間で、それらセンサ筐体とベース部材との固定力を利用して裏側シール突部が挟圧されることにより、特別な部品点数や組立工程の増加を伴うことなく、より高度なシール性能が実現され得る。それ故、仮に表側シール突部や外周壁部とセンサ筐体との重ね合わせ面間を通じて水などが侵入した場合でも、裏側シール突部によって開口窓内部までの侵入が効果的に防止されるのである。なお、センサ筐体とベース部材の固定手段は、ボルトやねじ、リベット、接着剤、溶着等の周知のものが採用可能である。また、ベース部材は、硬質材であることが好ましく、例えば検出センサの電気回路を構成する電気部品が実装された電子基板によって構成されていても良い。
【0015】
本発明の第三の態様は、前記第一または第二の態様に係る外部操作の検出構造体において、前記裏側シール突部の先端部分に厚肉の位置決め部が一体形成されており、前記センサ筐体と前記基板との間で該位置決め部が係止状態で抜け止め保持されているものである。
【0016】
本態様においては、厚肉の位置決め部の係止作用により、センサ筐体とベース部材との間における挟持部分からの裏側シール突部の抜け出しに対する抵抗力が発揮され得る。それ故、仮にインターフェース部材への予期しない方向や大きさの外部入力が作用したような場合でも、裏側シール突部に対する挟圧状態が安定して保持されて、目的とするシール性能が効果的に維持され得る。
【0017】
本発明の第四の態様は、前記第一〜三の何れかの態様に係る外部操作の検出構造体において、前記表側シール突部の表面が、外周端部に向かって次第に薄くなって前記センサ筐体の表面に近づく傾斜面とされているものである。
【0018】
本態様では、表側シール突部の外周端部におけるセンサ筐体からの突出量を小さく抑えることが可能となる。それ故、表側シール突部とセンサ筐体との重ね合わせ面積を確保して目的とするシール性能を維持しつつ、表側シール突部の外周端部に対する手指の引っ掛かりに起因する表側シール突部の捲れ上がりと、それに伴うシール性能の低下が効果的に防止されるのである。
【0019】
本発明の第五の態様は、前記第一〜四の何れかの態様に係る外部操作の検出構造体において、前記インターフェース部材の中央部分には外部操作用の操作領域が設けられている一方、該操作領域よりも外周側で且つ前記外周壁の形成部位よりも内周側に位置して該インターフェース部材の表面に開口して延びる歪絶縁用の凹溝が形成されているものである。
【0020】
本態様では、インターフェース部材において、操作領域と外周のシール部分との間に凹溝が形成されて薄肉とされていることにより、操作領域からシール部分への応力や歪みの伝達が抑えられるようになっている。それ故、インターフェース部材の操作領域に対する外部入力で発生した歪みや応力が、インターフェース部材の弾性により、外周部分に形成された上述のシール部分に及ぼされてシール性能が一時的に低下してしまうおそれも軽減乃至は回避され得る。
【0021】
本発明の第六の態様は、前記第一〜五の何れかの態様に係る外部操作の検出構造体において、前記検出センサが、外力作用に伴う変形に伴う静電容量の変化に基づいて外力を検出する静電容量型センサとされており、前記インターフェース部材の裏面側で前記外周壁部で周囲を囲まれた内部領域に収容配置されているものである。
【0022】
本態様では、指先と導電膜との間での静電容量の変化を捉えて外部操作を検出する公知の静電容量型の検出センサに代えて、操作外力による変形に基づく静電容量の変化を捉えて外部操作を検出する静電容量型の検出センサを採用したことにより、例えばゴム膜などの弾性材からなるインターフェース部材を用いた外部操作の検出構造体が優れた操作入力の検出精度をもって一層容易に実現可能となる。なお、操作外力による変形に基づく静電容量の変化を捉えて外部操作を検出する静電容量型の検出センサとしては、例えば特開2010−43880号公報や特開2010−43881号公報に記載のものが好適に採用され得る。
【0023】
本発明の第七の態様は、前記第一〜六の何れかの態様に係る外部操作の検出構造体において、前記検出センサへの通電用の電気回路が、前記センサ筐体の前記開口窓の形成部位に配設されているものである。
【0024】
本態様では、センサ筐体の開口窓の形成部位における検出センサの背後(裏側)のスペースを利用して、例えば回路基板などで構成される電気回路を配設することが可能となる。即ち、本発明によって前述の如き優れたシール機能が実現可能となったことにより、開口窓の形成部位においても、電気回路において大きな問題となる水等の侵入に伴うリスクを回避して、電気回路の配設スペースの設定自由度が大きく確保され得るのである。
【発明の効果】
【0025】
本発明に従う構造とされた外部操作の検出構造体においては、弾性材で形成されて入力操作面を構成するインターフェース部材に一体形成されたシール部材により、センサ筐体の開口窓の周縁部を表裏両側から挟むように重ね合わされるシール部分が実現されるのであり、それによって、優れたシール性能を安定して且つ簡単な構造で得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における実施形態としての外部操作の検出構造体の横断面図であって、図4のI−I断面に相当する図である。
【図2】図1に示された検出構造体の縦断面図であって、図4のII−II断面に相当する図である。
【図3】図1における要部拡大説明図である。
【図4】図1に示された検出構造体を表裏反転させた状態で示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0028】
先ず、図1〜4には、本発明の一実施形態としての外部操作の検出構造体10が示されている。この検出構造体10は、例えば自動車のエアコンディショナーやオーディオ装置などの制御対象物たる車載装置に対して制御信号を入力するためのものである。
【0029】
より詳細には、本実施形態の検出構造体10は、センサ筐体12を備えており、このセンサ筐体12に対して、外部操作を検出する検出センサ14が組み付けられている。また、検出センサ14の表側(図4中の下側)は、インターフェース部材16で覆われている一方、検出センサ14の裏側(図4中の上側)には、受圧部材18と基板20が配設されている。そして、これらインターフェース部材16や受圧部材18および基板20が、検出センサ14に重ね合わされるようにして、検出センサ14と共にセンサ筐体12に組み付けられることによって、検出構造体10が構成されている。
【0030】
センサ筐体12は、中央に開口窓22を有する枠体形状とされており、特に本実施形態では矩形の開口窓22を有する矩形枠体形状とされている。また、開口窓22の外周枠部分は、所定厚さで周方向に延びており、センサ筐体12の厚さ方向(図1中の上下方向)に延びる内周面24の表裏両端からそれぞれ略直角に外周側に向かって広がるセンサ筐体表面26およびセンサ筐体裏面28を備えている。
【0031】
なお、かかるセンサ筐体裏面28には、内周面24側の端縁部において裏側に突出する係止突起30が、開口窓22の周方向に延びて一体形成されている。また、センサ筐体12の裏側には、開口窓22の内周縁部よりも外周側に位置して、ビスやボルト31等を固定するための固定部32が、厚肉のブロック形状をもって複数個(本実施形態では4個)一体形成されている。
【0032】
そして、このセンサ筐体12は、例えば自動車のセンターパネルやコンソールパネル、或いはステアリングスイッチパネルなどの支持部材(図示せず)の表面に対して嵌め込みや係止,ボルト等の適当な固定手段によって装着されることとなる。なお、センサ筐体12は、そのような支持部材と一体形成されていても良い。また、かかるセンサ筐体12は、金属や合成樹脂等の硬質材で形成されることが望ましい。
【0033】
このようなセンサ筐体12に組み付けられている検出センサ14は、制御対象物たる車載装置に応じた操作部が前面に設けられものであり、例えばエアコンディショナーであれば、オン/オフ操作部の他、温度調節操作部や風量操作部などを設けることができ、オーディオ装置であれば、オン/オフ操作部の他、音量調節操作部や高音/低音調節操作部、左右音量バランス操作部などを設けることができる。
【0034】
また、かかる検出センサ14は、その操作部の構造として、外部からの手指による操作入力を検知し得る公知の各種構造が採用可能であり、例えば従来のマトリクススイッチ方式の他、スイッチ抵抗膜方式や表面弾性波方式、電磁誘導方式、静電容量方式なども採用可能である。好適には、外部からの積極的な押圧力によって操作入力を検出する構造が採用され、特に特開2010−43880号公報や特開2010−43881号公報に記載の如き、弾性変形可能な誘電層の表裏に一対の電極を弾性変形可能な導電膜で形成した構造の静電容量型センサが好適に採用される。本実施形態の検出センサ14は、外力作用によりインターフェース部材16が弾性変形し、それに伴う静電容量の変化に基づいて外力を検出する静電容量型センサとされている。
【0035】
このような静電容量型センサでは、一対の電極を含む全体が弾性変形可能とされていることから、操作力が圧縮力として作用する場合等に変形にも対応することが可能である。また、インターフェース部材16等の他部材を介して操作力が及ぼされる等の理由で操作する指先等と検出センサ14の検出面との距離が離れている場合でも、押圧力が及ぼされる限り有効な検出結果を得ることができる。
【0036】
そして、本実施形態の検出センサ14は、かかる静電容量型センサ等により表面上の適切な部位に操作力の検出部位(センサ部位)が設定されており、全体としてシート形状をもって形成されている。特に本実施形態では、センサ筐体12の開口窓22よりも一回り小さな外周形状(平面矩形状)のシート状とされた検出センサ14が採用されている。
【0037】
また、検出センサ14の裏面には、受圧部材18が重ね合わされており、受圧部材18によって薄肉シート形状の検出センサ14が平面形状に保持されている。この受圧部材18は、弾性変形可能な材料であってより好ましくは圧縮変形可能な材料で形成される。このような受圧部材18を採用することにより、手指による外部操作力の作用時に、検出センサ14に対して厚さ方向の圧縮変形を生ぜしめるのに十分な反力を及ぼすことを可能としつつ、ある程度の弾性変形を許容することで操作感の向上が図られ得る。具体的には、検出センサ14の厚さ方向の圧縮変形よりも硬い圧縮変形特性を有する弾性発泡材料などによって形成された受圧部材18が好適であり、より好ましくは受圧部材18の材質としてウレタンフォーム等が採用される。
【0038】
このように受圧部材18の表面に検出センサ14を重ね合わせて支持せしめた積層体34は、センサ筐体12の開口窓22内に配設されて組み付けられている。かかる組付状態下、積層体34を構成する検出センサ14の表面にはインターフェース部材16が重ね合わされて組み付けられていると共に、積層体34を構成する受圧部材18の裏面には基板20が重ね合わされて組み付けられている。
【0039】
インターフェース部材16は、全体として略平板形状を有しており、センサ筐体12の開口窓22を全体に亘って覆い得る大きさの矩形シート状とされている。インターフェース部材16の裏面36は、略平坦面とされており、外部操作力の検出部位が設けられた検出センサ14の表面に対して密接状態で重ね合わされている。これにより、検出センサ14の検出部位への操作力の入力が、インターフェース部材16を介して行われるようになっている。
【0040】
すなわち、インターフェース部材16は、検出センサ14における検出部位の設定領域に重ね合わされる中央部分が、外部操作用の操作領域38とされている。この操作領域38の表面40は、操作者が指先で押圧することで操作力を及ぼす入力面とされる。また、かかる表面40は、検出センサ14における検出部位への入力がし易いように、例えば検出部位の位置を触覚で確認できるように任意の形状とすることができる。
【0041】
具体的には、検出センサ14の検出部位が複数箇所に点在している場合には、それら各検出部位に対応する部分に凹所を形成することにより、触覚での検出部位の確認を容易としつつ、押圧力の検出センサへの伝達効率を向上させることも可能である。或いは、図1〜3に示されているように、操作領域38の表面40を全体に亘って湾曲凹形状として、中央を最も凹ませることにより、操作領域38の中央を触覚で確認可能とすることも可能である。
【0042】
また、インターフェース部材16の表面の特定領域に限定的に操作領域38が設定されている場合には、例えば図1〜3に示されているように、操作領域38の外周縁部に沿って延びる突条42や突起又は凹凸などを形成しても良い。これにより、操作領域の外縁を触覚で容易に確認することが可能となる。
【0043】
ところで、インターフエース部材16は、ゴムやエラストマーなどの弾性材で形成されており、外力で変形可能で且つ弾性による復元機能を備えている。具体的には、耐久性や操作感などを考慮して、シリコーンゴムなどが好適に採用される。
【0044】
さらに、インターフェース部材16には、その外周縁部にシール部分44が一体形成されている。かかるシール部分44は、インターフェース部材16の外周部分に沿って形成されて裏面36に突出する周壁構造の外周壁部46を有している。外周壁部46は、センサ筐体12の開口窓22に入り込んで、検出センサ14とセンサ筐体12との間に配設されている。また、この外周壁部46の表側端部と裏側端部には、それぞれ外周側に広がって延び出す表側シール突部48と裏側シール突部50とが、一体形成されている。これら表側シール突部48と裏側シール突部50は、外周壁部46の両端から互いに対向位置して略平行に広がっており、外周壁部46を底壁とし且つ表裏のシール突部48,50を両側壁として、外周面に開口して周方向の全周に亘って連続して延びる周溝52が形成されている。
【0045】
また、本実施形態では、裏側シール突部50の突出先端部分において略球頭形の断面形状をもって厚肉とされている。これにより、裏側シール突部50には、外周端縁部を周方向に延びる係止頭部54が一体形成されている。
【0046】
なお、本実施形態のインターフェース部材16には、中央部分の操作領域38と外周縁部のシール部分44との間を所定幅で周方向に広がる接続領域56が設けられている。この接続領域56には、操作領域38よりも外周側で、且つ、外周壁部46の形成部位よりも内周側の位置に、インターフェース部材16の表面に開口して周方向に延びる凹溝58が形成されており、かかる凹溝58の形成部位においてインターフェース部材16が薄肉で変形容易とされている。更に、本実施形態では、接続領域56の裏面に開口して周方向に延びる裏側凹溝60も形成されている。これら表裏の凹溝58,60が形成されていることで、操作領域38とシール部分44との間での変形や応力の伝達の軽減が図られている。
【0047】
そして、インターフェース部材16は、そのシール部分44がセンサ筐体12の開口窓22の開口周縁部に対して嵌着され、必要に応じて接着等されることによって組み付けられている。即ち、かかる組付状態下では、センサ筐体12の開口窓22の開口周縁部が、インターフェース部材16のシール部分44の周溝52に対して嵌め入れられている。そして、シール部分44の外周壁部46は、センサ筐体12の開口窓22の内周面に重ね合わされており、好適には密接状態で重ね合わされている。また、シール部分44の表側シール突部48は、センサ筐体12の開口窓22の開口周縁部における表面に対して密接状態で重ね合わされている。一方、シール部分44の裏側シール突部50は、センサ筐体12の開口窓22の開口周縁部における裏面に対して密接状態で重ね合わされている。
【0048】
なお、センサ筐体12の開口窓22の開口周縁部の表裏面は、何れも、略平坦面とされて、表裏のシール突部48,50が略全体に亘って密着されるようになっていることが望ましい。また、センサ筐体12の開口窓22の開口周縁部における表裏面間の厚さ寸法に比して、インターフェース部材16のシール部分44における表裏のシール突部48,50の対向面間距離が僅かに小さくされることにより、シール部分44の弾性に基づいて、表裏のシール突部48,50が開口窓22の開口周縁部の表裏両面に対して押し付けられて密接状態に保持されるようにすることが望ましい。更にまた、シール部分44における表裏のシール突部48,50の対向面間距離を、外周側(突出先端側)に行くに従って次第に小さくなるように傾斜させることにより、これらシール突部48,50における開口窓22の開口周縁部の表裏両面に対する密接力がより安定して発揮されるようにしても良い。
【0049】
また、本実施形態では、インターフェース部材16の裏面36に対して、適当なパターンで複数本の区画溝62が形成されている。本実施形態では、かかる区画溝62として、縦横各2本の格子状の直線溝形態をもって形成されている。これらの区画溝62は、操作領域38を更に複数の領域に区画するパターンとなっており、一つの領域に対する外部からの手指による押圧操作時に、他の領域にまで応力や歪みが伝達するのを軽減し得るようにされている。
【0050】
而して、受圧部材18の表面に検出センサ14を重ね合わせて支持せしめた前述の積層体34は、インターフェース部材16が表面側に重ね合わされることにより、インターフェース部材16のシール部分44の外周壁部46で囲まれた領域に収納された状態で配設されている。一方、かかる積層体34の裏面に組み付けられる基板20は、硬質部材であり、本実施形態では平板形状とされている。この基板20は、積層体34を構成する受圧部材18よりも大きな平面形状とされており、受圧部材18の裏面の全面に亘って重ね合わされていると共に、受圧部材18から更に外周に延び出した基板固定部64を備えている。
【0051】
特に本実施形態では、かかる基板20として、検出センサ14への給電用及び検出用の電気回路が構成する回路基板が採用されている。即ち、基板20の表面には複数の電気部品が実装されていると共に、必要な通電路が形成されて、電気回路が構成されている。
【0052】
そして、この基板固定部64が、センサ筐体12の開口窓22の外周縁部にまで張り出しており、センサ筐体12に設けられた固定部32にも重ね合わされている。これにより、固定部32に取り付けられるビスやボルト31、溶着ピン、接着などの固定手段を利用して、基板20が、センサ筐体12の裏面に対して固着されている。
【0053】
このように基板20がセンサ筐体12に組み付けられることにより、センサ筐体12の開口窓22は、その表側の開口がインターフェース部材16で覆蓋されていると共に、その裏側の開口が基板20で覆蓋されている。そして、これらインターフェース部材16と基板20との対向面間には、裏面を受圧部材18で支持せしめた検出センサ14が配設されて、センサ筐体12の開口窓22内に組み付けられている。
【0054】
かかる組付状態下、受圧部材18と検出センサ14からなる積層体34は、インターフェース部材16と基板20とに対して、それぞれ密接状態で重ね合わされている。ここにおいて、センサ筐体12に組み付けられたインターフェース部材16と基板20との対向面間距離に比して、積層体34の厚さ寸法が僅かに大きくなるように、受圧部材18の厚さ寸法が設定されていることが望ましく、それによって、検出センサ14の検出面がインターフェース部材16の裏面36に密着した重ね合わせ状態に保持されるようになっている。これにより、インターフェース部材16の操作領域38の表面に対する指先などによる操作の外部入力が、インターフェース部材16から検出センサ14に対して効率的に及ぼされることとなる。
【0055】
また、インターフェース部材16の外周部分には、シール部分44を構成する外周壁部46が裏面36に突出形成されており、この外周壁部46で囲まれたインターフェース部材16の内部領域66に収容された状態で、検出センサ14と受圧部材18が配設されている。特に本実施形態では、検出センサ14と受圧部材18が略同じ平面形状とされており、それらの外周面とセンサ筐体12の開口窓22の内周面との間にシール部分44の外周壁部46が介在されている。これにより、センサ筐体12の開口窓22内において、検出センサ14のセンサ筐体12への直接の干渉が防止されており、弾性を有するインターフェース部材16の外周壁部46により、検出センサ14の面方向で緩衝的に位置決め保持されている。
【0056】
しかも、かかる検出センサ14は、その厚さ方向でも、それぞれ弾性を有するインターフェース部材16と受圧部材18との間で両者に密接状態で挟まれて弾性的に位置決め支持されてされており、保護状態での配設が実現されている。
【0057】
さらに、インターフェース部材16の外周部分にはシール部分44が一体形成されており、このシール部分44によってセンサ筐体12の開口窓22の内周縁部が掴まれるようにして覆われている(図3参照)ことから、検出センサ14が配設されたインターフェース部材16の内部領域66への水等の外部からの侵入が極めて効果的に防止される。即ち、シール部分44とセンサ筐体12の開口窓22との隙間から、仮に、水が侵入した場合でも、かかるシール部分44が外方に向かって開口する周溝52を備えていることから、侵入した水が、シール部分44よりも内周側に設けられた検出センサ14の配設領域(内部領域66)にまで回り込むことが効果的に防止され得る。
【0058】
しかも、シール部分44の外周壁部46がインターフェース部材16の裏側に突出形成されており、外周壁部46で囲まれた検出センサ14の配設領域(内部領域66)内で、検出センサ14が受圧部材18で持ち上げられて上方(インターフェース部材16の裏面36への近接方向)に位置せしめられている。それ故、万一、シール部分44とセンサ筐体12の開口窓22との隙間から侵入した水が内周側にまで入ってきた場合でも、検出センサ14への接触が効果的に防止され得る。
【0059】
また、本実施形態では、シール部分44の裏側シール突部50が、センサ筐体12の開口窓22の内周縁部とベース部材である基板20との間で厚さ方向に挟まれて圧縮された状態で組み付けられている。それ故、この裏側シール突部50の挟圧位置において、一層優れたシール性能が発揮され得る。
【0060】
更にまた、図3に示されているように、裏側シール突部50には、センサ筐体12の開口窓22のセンサ筐体裏面28に形成された係止突起30が押し付けられている。そして、裏側シール突部50の係止頭部54が、かかる係止突起30を外周側に乗り越えて位置せしめられている。これにより、センサ筐体12と基板20の間で、裏側シール突部50をセンサ筐体12の内周側に引き抜く方向の変位に対して、裏側シール突部50の挟圧位置よりも外周側に位置せしめられた係止頭部54のセンサ筐体12に対する係止作用によって抵抗力が発揮されて、シール性能の安定保持が図られている。
【0061】
さらに、センサ筐体12の開口窓22のセンサ筐体表面26に表側シール突部48が重ね合わされている。本実施形態では、表側シール突部48の表面は厚さ(図1中の上下方向)が外周側に向かって次第に薄くなっており、センサ筐体の表面に近づく傾斜面とされている。それによりインターフェース部材16の外周端縁部への手指等の引っ掛かり等を抑制しているが、インターフェース部材16への外部入力などによってインターフェース部材16が弾性変形して、開口窓22の内周面とシール部分44の外周壁部46との間に隙間が発生した場合でも、かかる隙間の外部への開放が表側シール突部48で覆われた状態に維持されることとなる。それ故、そのような隙間を通じての水などの異物の侵入防止が安定して図られ得る。
【0062】
特に本実施形態では、インターフェース部材16に形成された表裏の凹溝58,60により、インターフェース部材16の操作領域38に及ぼされる操作外力に起因するシール部分44の変形が抑えられていることから、シール部分44におけるシール性能が一層安定して発揮され得る。
【0063】
上述の如き構造とされた本実施形態の検出構造体10は、インターフェース部材16に一体形成された特定構造のシール部分44により、センサ筐体12の開口窓22への水等の侵入、特に検出センサ14が配設された内部領域66への水等の侵入を効果的に防止することが可能となる。それ故、少ない部品点数と簡単な構造により、組付工程時における作業ミスを可及的に回避せしめつつ、目的とするシール性能を高度に且つ安定して高い信頼性のもとに実現することが可能となる。
【0064】
また、このように高度なシール性能が実現されることから、センサ筐体12において開口窓22の形成部分の奥方に、電気回路(基板20)の配設スペースを設定することが可能となり、電気回路を含む装置のコンパクト化と省スペース化も実現可能となる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、本発明はかかる実施形態の記載によって限定解釈されるものでない。例えば、インターフェース部材16の操作領域38の形状や位置などは適宜に変更可能であり、例えば一つのインターフェース部材において複数の操作領域を形成することも可能であるし、インターフェース部材16の形状自体も平面形状を略円形とするなど任意に設計可能である。
【0066】
また、インターフェース部材16における応力や歪みの伝達を軽減する歪絶縁用の表裏の凹溝58,60は、必要に応じて採用されて、任意の形状で形成され得るものであり、形成する場合には複数の凹溝を形成しても良い。
【0067】
更にまた、本実施形態の受圧部18は、インターフェース部材16を介して入力される外部操作力により検出センサ14に弾性変形を及ぼして静電容量変化による電気的検出を可能とするものであれば良く、例えば硬質の樹脂プレートなどを採用することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
10:検出構造体、12:センサ筐体、14:検出センサ、16:インターフェース部材、20:基板、22:開口窓、38:操作領域、46:外周壁部、48:表側シール突部、50:裏側シール突部、54:係止頭部、58:凹溝、66:内部領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ筐体の開口窓の形成部位に外部操作の検出センサが配設されていると共に、該検出センサの表面を覆って該開口窓を覆蓋するシート状のインターフェース部材が配設された外部操作の検出構造体において、
前記インターフェース部材が弾性材で形成されていると共に、該インターフェース部材の外周部分において裏面に突出して前記センサ筐体の前記開口窓に入り込んで前記検出センサと該センサ筐体との間に配される外周壁部が形成されている一方、該外周壁部の表面側端部から外周側に広がって該インターフェース部材における該開口窓の周縁部の表面に重ね合わされる表側シール突部と、該外周壁部の裏面側端部から外周側に広がって該インターフェース部材における該開口窓の周縁部の裏面に重ね合わされる裏側シール突部とが形成されていることを特徴とする外部操作の検出構造体。
【請求項2】
前記センサ筐体が固定されて取り付けられるベース部材と該センサ筐体の前記開口窓の周縁部との間で、前記裏側シール突部が挟圧されている請求項1に記載の外部操作の検出構造体。
【請求項3】
前記裏側シール突部の先端部分に厚肉の係止頭部が一体形成されており、前記センサ筐体と基板との間で該係止頭部が係止状態で抜け止め保持されている請求項1又は2に記載の外部操作の検出構造体。
【請求項4】
前記表側シール突部の表面が、外周端部に向かって次第に薄くなって前記センサ筐体の表面に近づく傾斜面とされている請求項1〜3の何れか1項に記載の外部操作の検出構造体。
【請求項5】
前記インターフェース部材の中央部分には外部操作用の操作領域が設けられている一方、該操作領域よりも外周側で且つ前記外周壁部の形成部位よりも内周側に位置して該インターフェース部材の表面に開口して延びる歪絶縁用の凹溝が形成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の外部操作の検出構造体。
【請求項6】
前記検出センサが、外力作用による変形に伴う静電容量の変化に基づいて外力を検出する静電容量型センサとされており、前記インターフェース部材の裏面側で前記外周壁部で周囲を囲まれた内部領域に収容配置されている請求項1〜5の何れか1項に記載の外部操作の検出構造体。
【請求項7】
前記検出センサへの通電用の電気回路が、前記センサ筐体の前記開口窓の形成部位に配設されている請求項1〜6の何れか1項に記載の外部操作の検出構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−16032(P2013−16032A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148418(P2011−148418)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】