静電容量型タッチセンサ
【課題】タッチスイッチに大量の水が付着する水場環境下において、人の指が触れた場合にのみスイッチ操作を有効にするという機能を持った静電容量型タッチセンサを提供する。
【解決手段】タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6はこの順に配置され、タッチスイッチSW1,SW3,SW5,SW7は、タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6の列の次にこの順に配置されている。スイッチ選択回路5は、4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)を差動ペアとして順次選択する。電荷増幅器7はスイッチ選択回路5により選択された4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)について、静電容量の差に比例する出力電圧Vout(1)〜Vout(4)を順次出力する。
【解決手段】タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6はこの順に配置され、タッチスイッチSW1,SW3,SW5,SW7は、タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6の列の次にこの順に配置されている。スイッチ選択回路5は、4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)を差動ペアとして順次選択する。電荷増幅器7はスイッチ選択回路5により選択された4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)について、静電容量の差に比例する出力電圧Vout(1)〜Vout(4)を順次出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型タッチセンサに関し、特に、ウォータープルーフ機能を備えた、差動方式の静電容量型タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、静電容量型タッチセンサは、携帯電話等の携帯電子機器、テレビジョン、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器のON/OFF、チャネル選択等の機能操作スイッチとして広く用いられている。
【0003】
静電容量型タッチセンサにおいては、タッチスイッチを人の指先が触れることで静電容量の変化が起こり、この静電容量の変化を電気信号に変換し、その電気信号に基づいて、タッチスイッチが操作されたことを検出している。
【0004】
この場合、特許文献1に記載されているように、タッチスイッチに印加される電気的ノイズをキャンセルするために、差動方式の静電容量型タッチセンサを採用することが有効である。この静電容量型タッチセンサは、1対のタッチスイッチが差動ペアを形成して、静電容量の変化を電気信号に変換する電荷増幅器に差動入力されており、1対のタッチスイッチ間の静電容量の差を検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−182290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
静電容量型タッチセンサにおいて、タッチスイッチの表面に水が付着した場合にも、タッチスイッチには人の指が触れた場合と同じように静電容量の変化が起こる。タッチスイッチに付着する水が少量であれば、静電容量の変化は比較的小さいので、人の指と水との区別をつけることができる。
【0007】
しかしながら、静電容量型タッチセンサが組み込まれた電子機器の使用環境によっては、タッチスイッチに大量の水が付着し、人の指と拮抗する静電容量の変化が生ずるため、両者の区別をすることができなくなる。例えば、浴室のような水場環境下に設置されるテレビジョンにおいては、シャワーからの噴射水がテレビジョンのタッチスイッチに大量に付着することがある。シャワーからの噴出水はシャワー本体が接地されていることから、噴射水も接地された状態になっており、電気的には接地された人の指と変わらない特性を持っている。
【0008】
特に、差動方式の静電容量型タッチセンサにおいては、水の付着の影響を受けやすく、単純にタッチセンサを羅列したのみでは、大量の水付着が差動ペア相殺により、スイッチ操作の誤検出を起こすという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の静電容量型タッチセンサは、絶縁基板と、前記絶縁基板上に一列に配置され、それぞれ、中央電極と、この中央電極を囲んで配置された環状電極とを有し、前記中央電極と前記環状電極の間に静電容量が形成される2n個(nは2以上の自然数)のタッチスイッチと、前記2n個のタッチスイッチの中、偶数番号2m(mは、0〜n−1の自然数であり、0を偶数に含める)のタッチスイッチと奇数番号(2m+1)のタッチスイッチとのペアで構成される1対のタッチスイッチを順次選択するスイッチ選択回路と、前記スイッチ選択回路により選択された1対のタッチスイッチの静電容量の差に比例する出力電圧を、n対のタッチスイッチに対応して順次出力する差動方式の電荷増幅器と、を備え、前記電荷増幅器から順次出力されるn対のタッチスイッチに対応する出力電圧に基づいて、タッチスイッチのスイッチ操作を検出する静電容量型タッチセンサであって、前記偶数番号2mが付与されたn個のタッチスイッチは、偶数番号順に配置され、奇数番号(2m+1)が付与されたn個のタッチスイッチは、偶数番号が付与されたタッチスイッチの列の次に、奇数番号順に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の静電容量型タッチセンサによれば、差動方式における差動ペアのノイズキャンセル機能を利用し、タッチスイッチに大量の水が付着する水場環境下において、水付着と人の指の接触との区別を明確にし、人の指が触れた場合にのみスイッチ操作を有効にするという、タッチセンサのウォータープルーフ機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサの全体の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサの動作タイミング図である。
【図3】タッチスイッチの電界の様子を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図9】本発明の静電容量型タッチセンサのタッチスイッチの一般化された配置を示す図である。
【図10】本発明の静電容量型タッチセンサにおける電荷増幅器の出力電圧の時間変化を示す図である。
【図11】比較例における静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図12】比較例における静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図13】電荷増幅器の回路図である。
【図14】電荷増幅器の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者は、タッチスイッチに大量の水が付着する水場環境下において、水付着と人の指との区別するための手法を鋭意検討した。人の指は1個のタッチスイッチのみに接触するのに対して、シャワーや水道蛇口からの噴出水は複数のタッチスイッチに付着することが多く、1個のタッチスイッチに付着しても、そのタッチスイッチから隣接する他のタッチスイッチに広がるという特性を持っている。
【0013】
そこで、本発明者は、このような人の指と水との特性の違いに着目し、タッチスイッチの配置に工夫を施すことにより、人の指が触れた場合にのみ感応するウォータープルーフ機能を持った静電容量型タッチセンサを実現するに至った。
【0014】
さらに、シャワー等からの水が付着している時間は、人の指がタッチスイッチにタッチしている時間に比して短いことから、静電容量型タッチセンサの出力である電荷増幅器の出力電圧の時間積分値を算出し、その時間積分値に基づいて、ウォータープルーフ機能を補完している。
【0015】
<<第1の実施形態>>
[静電容量型タッチセンサ100の全体構成]
図1は、本発明の第1の実施形態における静電容量型タッチセンサ100の全体の構成図である。静電容量型タッチセンサ100は、タッチパネル部20と信号処理部30から構成されている。タッチパネル部20は、PCB基板等の絶縁基板1上に一列に配置された8個のタッチスイッチSW0〜SW7、クロック供給線4を含んで構成されている。また、信号処理部30は、スイッチ選択回路5、第1のクロック発生器6、電荷増幅器7、AD変換器8、インターフェース回路9、マイクロコンピュータ10(CPUの一例)を含んで構成されている。信号処理部30は、1個のICに内蔵することができる。
【0016】
この場合、信号処理部30は、スイッチ選択回路5、第1のクロック発生器、電荷増幅器7、AD変換器8、インターフェース回路9を含む1個のICで形成し、マイクロコンピュータ10は別のICで形成することもできる。
【0017】
タッチパネル部20において、タッチスイッチSW0〜SW7は、それぞれ中央電極2−0〜2−7と、この中央電極2−0〜2−7を囲んで配置された環状電極3とを有しており、各中央電極2−0〜2−7と、環状電極3の間に静電容量C0〜C7が形成される。環状電極3はクロック供給線4により互いに連結されており、信号処理部30の出力端子P8、クロック供給線4を介して、第1のクロック発生器6からのクロックCdrvが供給されるようになっている。
【0018】
偶数番号0,2,4,6が付与された4個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6はこの偶数番号順に左から右に並んで配置され、奇数番号1,3,5,7が付与された4個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5,SW7は、偶数番号が付与された4個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6の列の次に、奇数番号順に左から右に並んで配置されている。
【0019】
信号処理部30において、タッチスイッチSW0〜SW7の中央電極2−0〜2−7は、それぞれ、スイッチ選択回路5の入力端子P0〜P7に接続されている。そして、スイッチ選択回路5は、偶数番号0,2,4,6が付与された4個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6と、奇数番号1,3,5,7が付与された4個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5,SW7とで構成される4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)を差動ペアとして、順次選択する。スイッチ選択回路5は、マルチプレクサで構成することができる。
【0020】
まず、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)が選択されると、タッチスイッチSW0の中央電極2−0は、次段の電荷増幅器7の反転入力端子(−)に入力され、タッチスイッチSW1の中央電極2−1は、電荷増幅器7の非反転入力端子(+)に入力される。次に、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW2,SW3)が選択されると、タッチスイッチSW2の中央電極2−2は、電荷増幅器7の反転入力端子(−)に入力され、タッチスイッチSW3の中央電極2−3は、電荷増幅器7の非反転入力端子(+)に入力される。差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW4,SW5)、(SW6,SW7)についても同様である。
【0021】
電荷増幅器7は、図2に示すように、スイッチ選択回路5により選択された4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)について、静電容量の差に比例する出力電圧Vout(1)〜Vout(4)を順次出力する。
【0022】
まず、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)が選択されると、差動方式の電荷増幅器7は、タッチスイッチSW1の中央電極2−1と環状電極3との間に形成される静電容量C1と、タッチスイッチSW0の中央電極2−0と環状電極3との間に形成される静電容量C0の容量値の差ΔCに比例した出力電圧Vout(1)を出力する。次に、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW2,SW3)が選択されると、電荷増幅器7は、タッチスイッチSW3の中央電極2−3と環状電極3との間に形成される静電容量C3と、タッチスイッチSW2の中央電極2−2と環状電極3との間に形成される静電容量C2の容量値の差ΔCに比例した出力電圧Vout(2)を出力する。差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW4,SW5)、(SW6,SW7)についても同様であり、電荷増幅器7は、それぞれに対応して、Vout(3)、Vout(4)を出力する。電荷増幅器7の具体的な構成については、後述する。
【0023】
AD変換器8は、電荷増幅器7から順次出力される出力電圧Vout(1)〜Vout(4)をデジタル信号に変換する。この場合、AD変換器8は、電荷増幅器7の回路方式に合わせて、デルタシグマ型AD変換器で構成されることが好ましい。デルタシグマ型のAD変換器8のデジタル信号はビットストリームデータの形式で出力される。
【0024】
インターフェース回路9は、AD変換器8からのデジタル信号をマイクロコンピュータ10に転送するためのインターフェースを行う。インターフェース回路9は、例えば、I2Cバスインターフェース回路であり、AD変換器8からのデジタル信号をシリアルデータとして、クロックに同期させてマイクロコンピュータ10に転送する。マイクロコンピュータ10は、受信したデジタル信号に基づいて、どのタッチスイッチSW0〜SW7が人に指によってスイッチ操作されたかを判断する。
【0025】
[静電容量型タッチセンサ100の通常の動作]
図3は、タッチスイッチ(SW0,SW1)の電界の様子を示す断面図である。絶縁基板1の表面に配置されたタッチスイッチ(SW0,SW1)は、誘電体からなる保護膜11で覆われている。図示のように、人の指がタッチスイッチSW1に触れると、タッチスイッチSW1,SW0の静電容量の容量値の差ΔCが生じる。ΔCは負の値である。(ΔC<0)これは、人の指は接地された導電体とみなされ、タッチスイッチSW1の中央電極2−1と環状電極3との間の電界が人の指により局所的に遮蔽されるためである。
【0026】
電荷増幅器7は、この容量値の差ΔCに比例する出力電圧Vout(1)を出力する。この時、出力電圧Vout(1)の極性は負である。人の指がタッチスイッチSW0に触れた場合には、容量値の差は、逆極性の−ΔCとなるので、出力電圧Vout(1)の極性は正になる。図3の場合、マイクロコンピュータ10は、人の指によりタッチスイッチSW1が押されたと判断する。タッチスイッチ(SW0,SW1)が人の指に触れられていない場合には、タッチスイッチSW1,SW0の静電容量の容量値の差ΔCは生じない。(ΔC=0)この時は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は0Vになる。また、タッチスイッチ(SW0,SW1)の両方が人の指に触れられている場合には、両方について静電容量の同じ変化が生じるため、タッチスイッチSW1,SW0の静電容量の容量値の差ΔCは生じない。(ΔC=0)この時、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は0Vになる。
【0027】
すなわち、マイクロコンピュータ10は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)が負の時は、タッチスイッチSW1が押され、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)が正の時は、タッチスイッチSW0が押され、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)が0Vの時は、スイッチ操作を行われていないと判断する。差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)についても同様である。
【0028】
このように、マイクロコンピュータ10は、受信した電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)〜Vout(4)のデジタル信号に基づいて、どのタッチスイッチSW0〜SW7が人に指によってスイッチ操作されたかを判断する。
【0029】
通常、電荷増幅器7の出力電圧Voutには、オフセット等の多少の誤差があるので、タッチスイッチSW1,SW0の静電容量の容量値の差ΔCが無くても、出力電圧Vout(1)は正確に0Vにはならないことが多い。そこで、0Vより少し高い第1の閾値を設け、出力電圧Vout(1)の絶対値と第1の閾値と比較することで、スイッチ操作を判断することが好ましい。
【0030】
[静電容量型タッチセンサ100のウォータープルーフ機能]
次に、静電容量型タッチセンサ100のウォータープルーフ機能を図4〜図6に基づいて説明する。なお、図4〜図6において、タッチスイッチSW0〜SW7の図示は簡略している。前述のように、4対のタッチスイッチ(SW0,SW1),(SW2,SW3)、(SW4,SW5)、(SW6,SW7)は差動ペアを形成している。シャワーや水道蛇口からの噴出水は複数のタッチスイッチに付着することが多く、1個のタッチスイッチに付着しても、そのタッチスイッチから隣接するタッチスイッチに広がるという特性を持っている。図4〜図6に示す水の付着パターン(斜線が付された四角で示す)はこの特性を反映している。
【0031】
図4に示すように、(a)1個のタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着したタッチスイッチのみが感応する。前述のように、シャワーからの噴出水はシャワー本体が接地されていることから、噴射水も接地された状態になっており、電気的には接地された人の指と変わらない特性を持っているからである。例えば、タッチスイッチSW0にのみ、水が付着した場合、タッチスイッチSW0に人の指が触れた場合と同じように、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)を出力する。
【0032】
(b)2個の隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した2個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)を出力する。
【0033】
(c)3個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した3個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)を出力する。
【0034】
次に、図5に示すように、(d)4個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した4個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)、正の出力電圧Vout(4)を出力する。このように、(a)〜(d)の場合は、差動ペアの一方のタッチスイッチだけに水が付着するので、差動ペアによる相殺は起こらない。
【0035】
(e)5個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、1対の差動ペアが含まれるので、3個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6,SW1に水が付着した場合、
差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)については、静電容量の変化は互いに相殺されるため、出力電圧Vout(1)は0Vになる。そのため、3個のタッチスイッチSW2,SW4,SW6のみが感応することになる。つまり、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)、正の出力電圧Vout(4)を出力する。
【0036】
次に、図6に示すように、(f)6個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、2個の差動ペアが含まれるので、2個のタッチスイッチのみが感応する。
【0037】
(g)7つの互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、3個の差動ペアが含まれるので、1個のタッチスイッチのみが感応する。
【0038】
(h)8個の全てのタッチチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、4個の差動ペアが含まれるので、感応するタッチスイッチは無い。つまり、この場合は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)〜Vout(4)は全て0Vになる。
【0039】
水付着パターン(a)〜(h)に基づき、水付着の判断基準を説明する。(b)〜(f)については、2個以上のタッチスイッチが感応している。したがって、2個以上のタッチスイッチが感応した場合、つまり、出力電圧Vout(1)〜Vout(4)の中、2個以上が正か負の値の場合には、タッチスイッチに水が付着しているのであり、人の指が意図的にスイッチ操作したものではないと判断することができる。(h)の場合は、感応するタッチスイッチは無いので問題とはならない。
【0040】
しかしながら、(a)及び(g)の場合は、1個のタッチスイッチのみが感応するので、人の指によるスイッチ操作と水付着とを区別することができない。そこで、この場合には、シャワー等からの水が付着している時間は、人の指がタッチスイッチに触れている時間に比して短いことに着目し、ウォータープルーフ機能を補完している。すなわち、図10(a)に示すように、人の指がタッチスイッチSW0に触れた場合には電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は比較的長い時間出ているが、シャワー等からの水が付着した場合には、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は比較的短い時間しか出ない。
【0041】
そこで、スイッチSW0のみが感応した場合には、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)の時間積分値を算出し、この時間積分値が第2の閾値より大きい場合には、タッチスイッチSW0についてスイッチ操作が行われたと判断し、前記時間積分値が第2の閾値より小さい場合には、スイッチ操作が行われていないと判断することができる。
【0042】
<<第2の実施形態>>
第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100は、8個のタッチスイッチを持っているが、本実施形態の静電容量型タッチセンサは、図7に示すように、6個のタッチスイッチを持っている。図1の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と対比すると、本実施形態では、偶数番号0,2,4が付与された3個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4は偶数番号順に配置され、奇数番号1,3,5が付与された3個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5は、偶数番号が付与された3個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4の列の次に、奇数番号順に配置されている。
【0043】
これに応じて、スイッチ選択回路5は、3対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)を差動ペアとして、順次選択するように変更される。その他の構成は、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同様である。
【0044】
図7に示すように、(a)1個のタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着したタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0にのみ、水が付着した場合、タッチスイッチSW0に人の指が触れた場合と同じように、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)を出力する。
【0045】
(b)2個の隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した2個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)を出力する。
【0046】
(c)3個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した3個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)を出力する。
【0047】
(d)4個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、1対の差動ペアが含まれるので、2個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW1に水が付着した場合、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)については、静電容量の変化は互いに相殺されるため、出力電圧Vout(1)は0Vになる。そのため、2個のタッチスイッチSW2,SW4のみが感応することになる。つまり、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)を出力する。
【0048】
(e)5個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、2個の差動ペアが含まれるので、1個のタッチスイッチのみが感応する。
【0049】
本実施形態においては、(b)、(c)、(d)の場合については、2個以上のタッチスイッチが感応している。したがって、2個以上のタッチスイッチが感応した場合、つまり、出力電圧Vout(1)〜Vout(3)の中、2個以上が正か負の値の場合には、タッチスイッチに水が付着しているのであり、人の指が意図的にスイッチ操作したものではないと判断することができる。
【0050】
(f)6個の全てのタッチチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、3個の差動ペアが含まれるので、感応するタッチスイッチは無い。つまり、この場合は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)〜Vout(3)は全て0Vになる。
【0051】
(a)及び(e)の場合は、1個のタッチスイッチのみが感応するので、人の指によるスイッチ操作と水付着とを区別することができない。そこで、第1の実施形態と同様に、時間積分を用いてスイッチ操作が行われたかどうかを判断する。例えば、スイッチSW0のみが感応した場合には、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)の時間積分値を算出し、この時間積分値が第2の閾値より大きい場合には、タッチスイッチSW0についてスイッチ操作が行われたと判断し、前記時間積分値が第2の閾値より小さい場合には、スイッチ操作が行われていないと判断することができる。
【0052】
<<第3の実施形態>>
本実施形態の静電容量型タッチセンサは、図8に示すように、4個のタッチスイッチを持っている。図1の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と対比すると、本実施形態では、偶数番号0,2が付与された2個のタッチスイッチSW0,SW2は偶数番号順に配置され、奇数番号1,3が付与された2個のタッチスイッチSW1,SW3は、偶数番号が付与された2個のタッチスイッチSW0,SW2列の次に、奇数番号順に配置されている。これに応じて、スイッチ選択回路5は、2対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3)を差動ペアとして、順次選択するように変更される。その他の構成は、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同様である。
【0053】
図8に示すように、(a)1個のタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着したタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0にのみ、水が付着した場合、タッチスイッチSW0に人の指が触れた場合と同じように、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)を出力する。
【0054】
(b)2個の隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した2個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)を出力する。
【0055】
(c)3個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、1対の差動ペアが含まれるので、1個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW1に水が付着した場合、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)については、静電容量の変化は互いに相殺されるため、出力電圧Vout(1)は0Vになる。そのため、1個のタッチスイッチSW2のみが感応することになる。つまり、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(2)を出力する。
【0056】
(d)4個の全てのタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は2個の差動ペアが含まれるので、感応するタッチスイッチは無い。つまり、この場合は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1),Vout(2)は共に0Vになる。
【0057】
したがって、2個以上のタッチスイッチが感応した場合、つまり、出力電圧Vout(1)、Vout(2)の中、2個が正か負の値の場合には、タッチスイッチに水が付着しているのであり、人の指が意図的にスイッチ操作したものではないと判断することができる。
【0058】
(a)及び(c)の場合は、1個のタッチスイッチのみが感応するので、人の指によるスイッチ操作と水付着とを区別することができない。そこで、第1の実施形態と同様に、時間積分を用いてスイッチ操作が行われたかどうかを判断する。例えば、スイッチSW0のみが感応した場合には、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)の時間積分値を算出し、この時間積分値が第2の閾値より大きい場合には、タッチスイッチSW0についてスイッチ操作が行われたと判断し、前記時間積分値が第2の閾値より小さい場合には、スイッチ操作が行われていないと判断することができる。
【0059】
このように、第1乃至第3の本実施形態の静電容量型タッチセンサ100によれば、差動方式における差動ペアのノイズキャンセル機能を利用し、タッチスイッチに大量の水が付着する水場環境下において、水付着と人の指の接触との区別を明確にし、人の指が触れた場合にのみスイッチ操作を有効にするという、ウォータープルーフ機能を実現することができる。
【0060】
<<静電容量型タッチセンサ100の一般化した構成>>
次に、第1乃至第3の実施形態に基づいて一般化された静電容量型タッチセンサ100の構成を図9に基づいて説明する。図示のように、2n個(nは2以上の自然数)のタッチスイッチSW0〜SW2n−1が一列に絶縁基板1上に配置されている。偶数番号0,2,4・・・2m(mは、0〜n−1の自然数であり、0を偶数に含める)が付与されたn個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4・・・SW2mは偶数番号順に配置されている。奇数番号1,3,5・・・2m+1が付与されたn個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5・・・SW2m+1は、偶数番号が付与されたn個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4・・・SW2mの列の次に、奇数番号順に配置されている。
【0061】
このようなタッチスイッチSW0〜SW2n−1の配置に対応して、スイッチ選択回路5は、n対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)・・・(SW2m,SW2m+1)を差動ペアとして、順次選択するように変更される。その他の構成は、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同様である。
【0062】
この一般化された静電容量型タッチセンサ100においては、水が付着したタッチスイッチの数をX、差動ペアにより相殺された後のタッチスイッチの数をYとすると次の式が成り立つことが分かる。図5−(e)の場合、X=5、Y=3、n=4となる。
【0063】
0<X≦nの場合、Y=X、 n<X≦2nの場合、Y=−X+2n
すなわち、水が付着したタッチスイッチの数Xが2以上、2n−2以下の場合は、
水付着により感応するタッチスイッチの数Yは、必ず2以上になる。Xは1又は2n−1の場合は、水付着により感応するタッチスイッチの数Yは1になる。
【0064】
したがって、一般化された静電容量型タッチセンサ100においても、2個以上のタッチスイッチが感応した場合、つまり、出力電圧Vout(1)〜Vout(n)の中、2個が正か負の値の場合には、タッチスイッチに水が付着しているのであり、人の指が意図的にスイッチ操作したものではないと判断することができる。
【0065】
そして、1個のタッチスイッチのみが感応した場合(Xは1又は2n−1の場合)には、第1乃至第3の実施形態と同様に、時間積分を用いてスイッチ操作が行われたかどうかを判断する。なお、本発明はnが2以上の自然数の時に成り立つが、nが3以上の自然数の時に効果が大きい。2個以上のタッチスイッチが感応する場合が多くなるからである。
【0066】
また、タッチスイッチの配置において、奇数番号が付与されたn個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5・・・SW2m+1は、偶数番号が付与されたn個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4・・・SW2mの列の次に、奇数番号順に配置されているが、これと逆の構成でも全く同じ効果が得られる。
【0067】
すなわち、偶数番号が付与されたn個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4・・・SW2mは、奇数番号1,3,5・・・2m+1が付与されたn個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5・・・SW2m+1の列の次に、偶数番号順に配置されていてもよい。例えば、図1において、タッチスイッチSW0〜SW7は左から右に、SW0、SW2、SW4、SW6、SW1、SW3、SW5、SW7という順番に配置されているが、SW1、SW3、SW5、SW7、SW0、SW2、SW4、SW6という順番に配置されてもよい。
【0068】
さらに、絶縁基板1上においてタッチスイッチが配列される方向は任意である。例えば、図1においては、タッチスイッチSW0〜SW7は横方向に配置されているが、縦方向に配置されてもよい。
【0069】
<<比較例>>
次に、比較例と対比することにより、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100の効果を検討する。図11に示すように、比較例において、スイッチ選択回路は、4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)を差動ペアとして、順次選択する点は、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同じである。しかしながら、8個のタッチスイッチSW0〜SW7は、SW0,SW2,SW1,SW3,SW4,SW6,SW5,SW7という順番に配列されている点が異なる。
【0070】
図11に示すように、(a)1個のタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着したタッチスイッチのみが感応する。これは、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同じである。
【0071】
(b)2個の隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した2個のタッチスイッチのみが感応する。これも、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同じである。
【0072】
(c)3個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、ケースバイケースであり、例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW1に水が付着した場合は、1対の差動ペア(SW0,SW1)が含まれるので、1個のタッチスイッチSW2のみが感応する。しかし、タッチスイッチSW1,SW3,SW4に水が付着した場合は、差動ペアは含まれないので、3個のタッチスイッチSW1,SW3,SW4が感応する。全体で見ると、1個のタッチスイッチが感応するケースが4個あり、3個のタッチスイッチが感応するケースが2個ある。
【0073】
(d)図12に示すように、4個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合も、ケースバイケースであり、例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW1,SW3に水が付着した場合は、2対の差動ペア(SW0,SW1)、(SW2,SW3)が含まれるので、感応するタッチスイッチは無い。タッチスイッチSW2,SW1,SW3,SW4に水が付着した場合は、1対の差動ペア(SW2,SW3)が含まれるので、2個のタッチスイッチSW1,SW4が感応する。
全体で見ると、0個のタッチスイッチが感応するケースが2個あり、2個のタッチスイッチが感応するケースが2個あり、4個のタッチスイッチが感応するケースが1個ある。
【0074】
(e)5個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合も、ケースバイケースであり、1個のタッチスイッチが感応するケースが2個あり、3個のタッチスイッチが感応するケースが2個ある。
【0075】
(f)6個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、3つのケースについて、いずれも2個の差動ペアが含まれるので、2個のタッチスイッチが感応する。
【0076】
以上のように、比較例の(c),(d),(e)の場合について、感応するタッチスイッチの個数は、0〜4の範囲でバラツキを見せるので、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100のように、「2個以上のタッチスイッチが感応した場合には、タッチスイッチに水が付着している」という判断基準を設けることができないことが分かる。
【0077】
<<電荷増幅器7の具体的な構成>>
以下、電荷増幅器7の具体的な構成を図13及び図14に基づいて説明する。電荷増幅器7は、第1のクロック発生器6、第2のクロック発生器12、基準容量CX0,基準容量CX1、差動増幅器13、スイッチSW5,SW6、第1及び第2のフィードバック容量Cf1,Cf2を含んで構成される。第1のクロック発生器6は、電荷増幅器7の一部を構成している。
【0078】
図13は、スイッチ選択回路5により、差動ペアを形成する1対のタッチスイッチ(SW0,SW1)が選択された場合を示している。この場合、端子P0と、端子P8にクロック供給線4を介して接続された環状電極3の間に、タッチスイッチSW0の静電容量C0が形成されている。端子P0は、スイッチ選択回路5により、差動増幅器13の反転入力端子(−)に接続される。また、端子P1と環状電極3の間に、タッチスイッチSW1の静電容量C1が形成されている。端子P1は、スイッチ選択回路5により、差動増幅器13の非反転入力端子(+)に接続される。前述のように、静電容量C0,C1は、それぞれタッチスイッチSW0,SW1の中央電極2−0,2−1と、環状電極3の間に形成される。
【0079】
第1のクロック発生器6は、交互にスイッチングするスイッチSW1,SW2で形成される。第1のクロック発生器6は、スイッチSW1がオンし、スイッチSW2がオフすると、接地電圧(0V)を出力し、スイッチSW1がオフし、スイッチSW2がオンすると、基準電圧Vref(プラス電圧)を出力する。つまり、第1のクロック発生器6は、基準電圧Vref(Hレベル)と0V(Lレベル)を交互に繰り返すクロックCdrvを出力する。
【0080】
また、静電容量C0に直列に基準容量CX0が接続され、静電容量C1に直列に静電容量CX1が接続される。基準容量CX0,CX1の共通接続点には、第2のクロック発生器12が接続される。第2のクロック発生器12は、交互にスイッチングするスイッチSW3,SW4で形成される。第2のクロック発生器12は、スイッチSW3がオンし、スイッチSW4がオフすると、接地電圧(0V)を出力し、スイッチSW3がオフし、スイッチSW4がオンすると、基準電圧Vref(プラス電圧)を出力する。そして、第1及び第2のクロック発生器6,12は、互いに逆相のクロックCdrv,*Cdrvを出力するように構成されている。
【0081】
差動増幅器13は非反転入力端子(+)、反転入力端子(−)、非反転出力端子(+)、反転出力端子(−)を有する完全差動型の差動増幅器であり、非反転入力端子(+)に静電容量C1と基準容量CX1の接続点ノードN2から引き出された配線が接続され、その反転入力端子(−)に静電容量C0と基準容量CX0の接続点ノードN1から引き出された配線が接続される。
【0082】
差動増幅器13の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)の間に第1のフィードバック容量Cf1が接続され、差動増幅器13の非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)第2のフィードバック容量Cf2が接続される。第1及び第2のフィードバック容量Cf1,Cf2は等しい容量値CfAを有している。
【0083】
スイッチSW5は、差動増幅器13の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)の間に接続され、スイッチSW6は、差動増幅器13の非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)の間に接続される。スイッチSW5,SW6は同時にスイッチングする。つまり、スイッチSW5,SW6がオンすると、差動増幅器13の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)とが短絡されると共に、差動増幅器13の非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)とが短絡される。
【0084】
差動増幅器13の反転出力端子(−)からの出力電圧をVomとし、差動増幅器26の非反転出力端子(+)からの出力電圧をVopとし、両者の差電圧をVout(=Vop−Vom)とする。
【0085】
次に、上記構成の電荷増幅器7の動作を図14に基づき説明する。電荷増幅器20は電荷蓄積モードと第電荷転送モードという2つの動作モードを有しており、この2つの動作モードが交互に多数回繰り返される。
【0086】
先ず、図14(a)の電荷蓄積モードの時、第1のクロック発生器6のスイッチSW1がオフし、スイッチSW2がオンすることにより、静電容量C0,C1に基準電圧Vrefが印加される。また、第2のクロック発生器12のスイッチSW4がオフし、スイッチSW3がオンすることにより、基準容量CX0,CX1に接地電圧(0V)が印加される。
【0087】
また、スイッチSW5及びSW6がオンする。これにより、差動増幅器13の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)とが短絡され、非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)とが短絡される。この結果、ノードN1、ノードN2、反転出力端子(−)及び非反転出力端子(+)の電圧はそれぞれ1/2Vrefになる。この場合、差動増幅器13のコモンモード電圧(中心電圧)は、基準電圧の1/2である1/2Vrefに設定されているものとする。
【0088】
次に、図14(b)の電荷転送モードの時、第1のクロック発生器6のスイッチSW1がオンし、スイッチSW2がオフすることにより、静電容量C0,C1に接地電圧(0V)が印加される。また、第2のクロック発生器12のスイッチSW4がオンし、スイッチSW3がオフすることにより、基準容量CX0,CX1に基準電圧Vrefが印加される。また、SW5及びSW6がオフする。その後、図14(a)の電荷蓄積モードに戻り、その後、再び図14(b)の電荷転送モードに移る。
【0089】
基準容量CX0,CX1の容量値CX0A,CX1Aは等しいとする。つまり、CX0A=CX1A=Cである。また、静電容量C0,C1の容量をそれぞれC0A、C1Aとする。初期状態人の指先がタッチスイッチSW0,SW1から遠く離れている状態の容量値C0A,C1AをCとする。そして、人間の指先がタッチスイッチSW1に触れた場合の静電容量C0と静電容量C1の容量差をΔCとする。つまり、C1A−C0A=ΔCである。そうすると、C1A=C+ΔC、C0A=Cが成り立つ。
【0090】
ノードN2について電荷保存則を適用すると、以下の通りである。
【0091】
電荷蓄積モードにおいて、以下の数式(1)が成り立つ。
ノードN2の電荷量=(C+ΔC)・(−1/2Vref)+C・(1/2Vref)
・・・(1)
ここで、(C+ΔC)・(−1/2Vref)は静電容量C1の電荷量であり、C・(1/2Vref)は基準容量CX1の電荷量である。
【0092】
電荷転送モードにおいて、以下の数式(2)が成り立つ。
ノードN1の電荷量=(C+ΔC)・(1/2Vref)+C・(−1/2Vref)
+CfA・(Vom−1/2Vref) ・・・(2)
ここで、(C+ΔC)・(1/2Vref)は静電容量C1の電荷量、C・(−1/2Vref)は基準容量CX1の電荷量、CfA・(Vom−1/2Vref)は、第1のフィードバック容量Cf1の電荷量である。
【0093】
電荷蓄積モードと電荷転送モードにおいて、ノードN2の電荷量は等しいから、数式(1)=数式(2)である。
【0094】
この方程式をVomについて解くと次式が得られる。
Vom=1/2Vref・(1−2・ΔC/CfA) ・・・(3)
同様にして、ノードN1について電荷保存則を適用すると以下の通りである。
【0095】
電荷蓄積モードにおいて、以下の数式(4)が成り立つ。
ノードN1の電荷量=C・(−1/2Vref)+C・(1/2Vref)=0 ・・・(4)
電荷転送モードにおいて、以下の数式(5)が成り立つ。
ノードN1の電荷量=C・(1/2Vref)+C・(−1/2Vref)+CfA・(Vop−1/2Vref)・・・(5)
電荷蓄積モードと電荷転送モードにおいて、ノードN1の電荷量は等しいから、数式(4)=数式(5)である。
【0096】
この方程式をVopについて解くと次式が得られる。
Vop=1/2Vref ・・・(6)
数式(3)、(6)から、
Vout=Vop−Vom=Vref・ΔC/CfA ・・・(7)
したがって、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は、静電容量C1,C0の容量差ΔCに比例して変化することがわかる。
【0097】
以上においては、選択回路5により、タッチスイッチ(SW0,SW1)が選択された場合を説明したが、他の対のタッチスイッチ(SW2、SW3)等が選択された場合も同様である。
【符号の説明】
【0098】
1 絶縁基板
2−0〜2−7 中央電極
3 環状電極
4 クロック供給線
5 スイッチ選択回路
6 第1のクロック発生器
7 電荷増幅器
8 AD変換器
9 インターフェース回路
10 マイクロコンピュータ
11 保護膜
12 第2のクロック発生器
13 差動増幅器
SW0〜SW7 タッチスイッチ
P0〜P8 端子
20 タッチパネル部
30 信号処理部
100 静電容量型タッチセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型タッチセンサに関し、特に、ウォータープルーフ機能を備えた、差動方式の静電容量型タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、静電容量型タッチセンサは、携帯電話等の携帯電子機器、テレビジョン、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器のON/OFF、チャネル選択等の機能操作スイッチとして広く用いられている。
【0003】
静電容量型タッチセンサにおいては、タッチスイッチを人の指先が触れることで静電容量の変化が起こり、この静電容量の変化を電気信号に変換し、その電気信号に基づいて、タッチスイッチが操作されたことを検出している。
【0004】
この場合、特許文献1に記載されているように、タッチスイッチに印加される電気的ノイズをキャンセルするために、差動方式の静電容量型タッチセンサを採用することが有効である。この静電容量型タッチセンサは、1対のタッチスイッチが差動ペアを形成して、静電容量の変化を電気信号に変換する電荷増幅器に差動入力されており、1対のタッチスイッチ間の静電容量の差を検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−182290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
静電容量型タッチセンサにおいて、タッチスイッチの表面に水が付着した場合にも、タッチスイッチには人の指が触れた場合と同じように静電容量の変化が起こる。タッチスイッチに付着する水が少量であれば、静電容量の変化は比較的小さいので、人の指と水との区別をつけることができる。
【0007】
しかしながら、静電容量型タッチセンサが組み込まれた電子機器の使用環境によっては、タッチスイッチに大量の水が付着し、人の指と拮抗する静電容量の変化が生ずるため、両者の区別をすることができなくなる。例えば、浴室のような水場環境下に設置されるテレビジョンにおいては、シャワーからの噴射水がテレビジョンのタッチスイッチに大量に付着することがある。シャワーからの噴出水はシャワー本体が接地されていることから、噴射水も接地された状態になっており、電気的には接地された人の指と変わらない特性を持っている。
【0008】
特に、差動方式の静電容量型タッチセンサにおいては、水の付着の影響を受けやすく、単純にタッチセンサを羅列したのみでは、大量の水付着が差動ペア相殺により、スイッチ操作の誤検出を起こすという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の静電容量型タッチセンサは、絶縁基板と、前記絶縁基板上に一列に配置され、それぞれ、中央電極と、この中央電極を囲んで配置された環状電極とを有し、前記中央電極と前記環状電極の間に静電容量が形成される2n個(nは2以上の自然数)のタッチスイッチと、前記2n個のタッチスイッチの中、偶数番号2m(mは、0〜n−1の自然数であり、0を偶数に含める)のタッチスイッチと奇数番号(2m+1)のタッチスイッチとのペアで構成される1対のタッチスイッチを順次選択するスイッチ選択回路と、前記スイッチ選択回路により選択された1対のタッチスイッチの静電容量の差に比例する出力電圧を、n対のタッチスイッチに対応して順次出力する差動方式の電荷増幅器と、を備え、前記電荷増幅器から順次出力されるn対のタッチスイッチに対応する出力電圧に基づいて、タッチスイッチのスイッチ操作を検出する静電容量型タッチセンサであって、前記偶数番号2mが付与されたn個のタッチスイッチは、偶数番号順に配置され、奇数番号(2m+1)が付与されたn個のタッチスイッチは、偶数番号が付与されたタッチスイッチの列の次に、奇数番号順に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の静電容量型タッチセンサによれば、差動方式における差動ペアのノイズキャンセル機能を利用し、タッチスイッチに大量の水が付着する水場環境下において、水付着と人の指の接触との区別を明確にし、人の指が触れた場合にのみスイッチ操作を有効にするという、タッチセンサのウォータープルーフ機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサの全体の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサの動作タイミング図である。
【図3】タッチスイッチの電界の様子を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図9】本発明の静電容量型タッチセンサのタッチスイッチの一般化された配置を示す図である。
【図10】本発明の静電容量型タッチセンサにおける電荷増幅器の出力電圧の時間変化を示す図である。
【図11】比較例における静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図12】比較例における静電容量型タッチセンサに水が付着した場合のセンサ出力の状態を示す図である。
【図13】電荷増幅器の回路図である。
【図14】電荷増幅器の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者は、タッチスイッチに大量の水が付着する水場環境下において、水付着と人の指との区別するための手法を鋭意検討した。人の指は1個のタッチスイッチのみに接触するのに対して、シャワーや水道蛇口からの噴出水は複数のタッチスイッチに付着することが多く、1個のタッチスイッチに付着しても、そのタッチスイッチから隣接する他のタッチスイッチに広がるという特性を持っている。
【0013】
そこで、本発明者は、このような人の指と水との特性の違いに着目し、タッチスイッチの配置に工夫を施すことにより、人の指が触れた場合にのみ感応するウォータープルーフ機能を持った静電容量型タッチセンサを実現するに至った。
【0014】
さらに、シャワー等からの水が付着している時間は、人の指がタッチスイッチにタッチしている時間に比して短いことから、静電容量型タッチセンサの出力である電荷増幅器の出力電圧の時間積分値を算出し、その時間積分値に基づいて、ウォータープルーフ機能を補完している。
【0015】
<<第1の実施形態>>
[静電容量型タッチセンサ100の全体構成]
図1は、本発明の第1の実施形態における静電容量型タッチセンサ100の全体の構成図である。静電容量型タッチセンサ100は、タッチパネル部20と信号処理部30から構成されている。タッチパネル部20は、PCB基板等の絶縁基板1上に一列に配置された8個のタッチスイッチSW0〜SW7、クロック供給線4を含んで構成されている。また、信号処理部30は、スイッチ選択回路5、第1のクロック発生器6、電荷増幅器7、AD変換器8、インターフェース回路9、マイクロコンピュータ10(CPUの一例)を含んで構成されている。信号処理部30は、1個のICに内蔵することができる。
【0016】
この場合、信号処理部30は、スイッチ選択回路5、第1のクロック発生器、電荷増幅器7、AD変換器8、インターフェース回路9を含む1個のICで形成し、マイクロコンピュータ10は別のICで形成することもできる。
【0017】
タッチパネル部20において、タッチスイッチSW0〜SW7は、それぞれ中央電極2−0〜2−7と、この中央電極2−0〜2−7を囲んで配置された環状電極3とを有しており、各中央電極2−0〜2−7と、環状電極3の間に静電容量C0〜C7が形成される。環状電極3はクロック供給線4により互いに連結されており、信号処理部30の出力端子P8、クロック供給線4を介して、第1のクロック発生器6からのクロックCdrvが供給されるようになっている。
【0018】
偶数番号0,2,4,6が付与された4個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6はこの偶数番号順に左から右に並んで配置され、奇数番号1,3,5,7が付与された4個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5,SW7は、偶数番号が付与された4個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6の列の次に、奇数番号順に左から右に並んで配置されている。
【0019】
信号処理部30において、タッチスイッチSW0〜SW7の中央電極2−0〜2−7は、それぞれ、スイッチ選択回路5の入力端子P0〜P7に接続されている。そして、スイッチ選択回路5は、偶数番号0,2,4,6が付与された4個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6と、奇数番号1,3,5,7が付与された4個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5,SW7とで構成される4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)を差動ペアとして、順次選択する。スイッチ選択回路5は、マルチプレクサで構成することができる。
【0020】
まず、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)が選択されると、タッチスイッチSW0の中央電極2−0は、次段の電荷増幅器7の反転入力端子(−)に入力され、タッチスイッチSW1の中央電極2−1は、電荷増幅器7の非反転入力端子(+)に入力される。次に、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW2,SW3)が選択されると、タッチスイッチSW2の中央電極2−2は、電荷増幅器7の反転入力端子(−)に入力され、タッチスイッチSW3の中央電極2−3は、電荷増幅器7の非反転入力端子(+)に入力される。差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW4,SW5)、(SW6,SW7)についても同様である。
【0021】
電荷増幅器7は、図2に示すように、スイッチ選択回路5により選択された4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)について、静電容量の差に比例する出力電圧Vout(1)〜Vout(4)を順次出力する。
【0022】
まず、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)が選択されると、差動方式の電荷増幅器7は、タッチスイッチSW1の中央電極2−1と環状電極3との間に形成される静電容量C1と、タッチスイッチSW0の中央電極2−0と環状電極3との間に形成される静電容量C0の容量値の差ΔCに比例した出力電圧Vout(1)を出力する。次に、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW2,SW3)が選択されると、電荷増幅器7は、タッチスイッチSW3の中央電極2−3と環状電極3との間に形成される静電容量C3と、タッチスイッチSW2の中央電極2−2と環状電極3との間に形成される静電容量C2の容量値の差ΔCに比例した出力電圧Vout(2)を出力する。差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW4,SW5)、(SW6,SW7)についても同様であり、電荷増幅器7は、それぞれに対応して、Vout(3)、Vout(4)を出力する。電荷増幅器7の具体的な構成については、後述する。
【0023】
AD変換器8は、電荷増幅器7から順次出力される出力電圧Vout(1)〜Vout(4)をデジタル信号に変換する。この場合、AD変換器8は、電荷増幅器7の回路方式に合わせて、デルタシグマ型AD変換器で構成されることが好ましい。デルタシグマ型のAD変換器8のデジタル信号はビットストリームデータの形式で出力される。
【0024】
インターフェース回路9は、AD変換器8からのデジタル信号をマイクロコンピュータ10に転送するためのインターフェースを行う。インターフェース回路9は、例えば、I2Cバスインターフェース回路であり、AD変換器8からのデジタル信号をシリアルデータとして、クロックに同期させてマイクロコンピュータ10に転送する。マイクロコンピュータ10は、受信したデジタル信号に基づいて、どのタッチスイッチSW0〜SW7が人に指によってスイッチ操作されたかを判断する。
【0025】
[静電容量型タッチセンサ100の通常の動作]
図3は、タッチスイッチ(SW0,SW1)の電界の様子を示す断面図である。絶縁基板1の表面に配置されたタッチスイッチ(SW0,SW1)は、誘電体からなる保護膜11で覆われている。図示のように、人の指がタッチスイッチSW1に触れると、タッチスイッチSW1,SW0の静電容量の容量値の差ΔCが生じる。ΔCは負の値である。(ΔC<0)これは、人の指は接地された導電体とみなされ、タッチスイッチSW1の中央電極2−1と環状電極3との間の電界が人の指により局所的に遮蔽されるためである。
【0026】
電荷増幅器7は、この容量値の差ΔCに比例する出力電圧Vout(1)を出力する。この時、出力電圧Vout(1)の極性は負である。人の指がタッチスイッチSW0に触れた場合には、容量値の差は、逆極性の−ΔCとなるので、出力電圧Vout(1)の極性は正になる。図3の場合、マイクロコンピュータ10は、人の指によりタッチスイッチSW1が押されたと判断する。タッチスイッチ(SW0,SW1)が人の指に触れられていない場合には、タッチスイッチSW1,SW0の静電容量の容量値の差ΔCは生じない。(ΔC=0)この時は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は0Vになる。また、タッチスイッチ(SW0,SW1)の両方が人の指に触れられている場合には、両方について静電容量の同じ変化が生じるため、タッチスイッチSW1,SW0の静電容量の容量値の差ΔCは生じない。(ΔC=0)この時、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は0Vになる。
【0027】
すなわち、マイクロコンピュータ10は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)が負の時は、タッチスイッチSW1が押され、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)が正の時は、タッチスイッチSW0が押され、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)が0Vの時は、スイッチ操作を行われていないと判断する。差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)についても同様である。
【0028】
このように、マイクロコンピュータ10は、受信した電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)〜Vout(4)のデジタル信号に基づいて、どのタッチスイッチSW0〜SW7が人に指によってスイッチ操作されたかを判断する。
【0029】
通常、電荷増幅器7の出力電圧Voutには、オフセット等の多少の誤差があるので、タッチスイッチSW1,SW0の静電容量の容量値の差ΔCが無くても、出力電圧Vout(1)は正確に0Vにはならないことが多い。そこで、0Vより少し高い第1の閾値を設け、出力電圧Vout(1)の絶対値と第1の閾値と比較することで、スイッチ操作を判断することが好ましい。
【0030】
[静電容量型タッチセンサ100のウォータープルーフ機能]
次に、静電容量型タッチセンサ100のウォータープルーフ機能を図4〜図6に基づいて説明する。なお、図4〜図6において、タッチスイッチSW0〜SW7の図示は簡略している。前述のように、4対のタッチスイッチ(SW0,SW1),(SW2,SW3)、(SW4,SW5)、(SW6,SW7)は差動ペアを形成している。シャワーや水道蛇口からの噴出水は複数のタッチスイッチに付着することが多く、1個のタッチスイッチに付着しても、そのタッチスイッチから隣接するタッチスイッチに広がるという特性を持っている。図4〜図6に示す水の付着パターン(斜線が付された四角で示す)はこの特性を反映している。
【0031】
図4に示すように、(a)1個のタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着したタッチスイッチのみが感応する。前述のように、シャワーからの噴出水はシャワー本体が接地されていることから、噴射水も接地された状態になっており、電気的には接地された人の指と変わらない特性を持っているからである。例えば、タッチスイッチSW0にのみ、水が付着した場合、タッチスイッチSW0に人の指が触れた場合と同じように、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)を出力する。
【0032】
(b)2個の隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した2個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)を出力する。
【0033】
(c)3個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した3個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)を出力する。
【0034】
次に、図5に示すように、(d)4個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した4個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)、正の出力電圧Vout(4)を出力する。このように、(a)〜(d)の場合は、差動ペアの一方のタッチスイッチだけに水が付着するので、差動ペアによる相殺は起こらない。
【0035】
(e)5個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、1対の差動ペアが含まれるので、3個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW6,SW1に水が付着した場合、
差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)については、静電容量の変化は互いに相殺されるため、出力電圧Vout(1)は0Vになる。そのため、3個のタッチスイッチSW2,SW4,SW6のみが感応することになる。つまり、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)、正の出力電圧Vout(4)を出力する。
【0036】
次に、図6に示すように、(f)6個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、2個の差動ペアが含まれるので、2個のタッチスイッチのみが感応する。
【0037】
(g)7つの互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、3個の差動ペアが含まれるので、1個のタッチスイッチのみが感応する。
【0038】
(h)8個の全てのタッチチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、4個の差動ペアが含まれるので、感応するタッチスイッチは無い。つまり、この場合は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)〜Vout(4)は全て0Vになる。
【0039】
水付着パターン(a)〜(h)に基づき、水付着の判断基準を説明する。(b)〜(f)については、2個以上のタッチスイッチが感応している。したがって、2個以上のタッチスイッチが感応した場合、つまり、出力電圧Vout(1)〜Vout(4)の中、2個以上が正か負の値の場合には、タッチスイッチに水が付着しているのであり、人の指が意図的にスイッチ操作したものではないと判断することができる。(h)の場合は、感応するタッチスイッチは無いので問題とはならない。
【0040】
しかしながら、(a)及び(g)の場合は、1個のタッチスイッチのみが感応するので、人の指によるスイッチ操作と水付着とを区別することができない。そこで、この場合には、シャワー等からの水が付着している時間は、人の指がタッチスイッチに触れている時間に比して短いことに着目し、ウォータープルーフ機能を補完している。すなわち、図10(a)に示すように、人の指がタッチスイッチSW0に触れた場合には電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は比較的長い時間出ているが、シャワー等からの水が付着した場合には、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は比較的短い時間しか出ない。
【0041】
そこで、スイッチSW0のみが感応した場合には、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)の時間積分値を算出し、この時間積分値が第2の閾値より大きい場合には、タッチスイッチSW0についてスイッチ操作が行われたと判断し、前記時間積分値が第2の閾値より小さい場合には、スイッチ操作が行われていないと判断することができる。
【0042】
<<第2の実施形態>>
第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100は、8個のタッチスイッチを持っているが、本実施形態の静電容量型タッチセンサは、図7に示すように、6個のタッチスイッチを持っている。図1の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と対比すると、本実施形態では、偶数番号0,2,4が付与された3個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4は偶数番号順に配置され、奇数番号1,3,5が付与された3個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5は、偶数番号が付与された3個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4の列の次に、奇数番号順に配置されている。
【0043】
これに応じて、スイッチ選択回路5は、3対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)を差動ペアとして、順次選択するように変更される。その他の構成は、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同様である。
【0044】
図7に示すように、(a)1個のタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着したタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0にのみ、水が付着した場合、タッチスイッチSW0に人の指が触れた場合と同じように、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)を出力する。
【0045】
(b)2個の隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した2個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)を出力する。
【0046】
(c)3個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した3個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)を出力する。
【0047】
(d)4個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、1対の差動ペアが含まれるので、2個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW4,SW1に水が付着した場合、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)については、静電容量の変化は互いに相殺されるため、出力電圧Vout(1)は0Vになる。そのため、2個のタッチスイッチSW2,SW4のみが感応することになる。つまり、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(2)、正の出力電圧Vout(3)を出力する。
【0048】
(e)5個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、2個の差動ペアが含まれるので、1個のタッチスイッチのみが感応する。
【0049】
本実施形態においては、(b)、(c)、(d)の場合については、2個以上のタッチスイッチが感応している。したがって、2個以上のタッチスイッチが感応した場合、つまり、出力電圧Vout(1)〜Vout(3)の中、2個以上が正か負の値の場合には、タッチスイッチに水が付着しているのであり、人の指が意図的にスイッチ操作したものではないと判断することができる。
【0050】
(f)6個の全てのタッチチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、3個の差動ペアが含まれるので、感応するタッチスイッチは無い。つまり、この場合は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)〜Vout(3)は全て0Vになる。
【0051】
(a)及び(e)の場合は、1個のタッチスイッチのみが感応するので、人の指によるスイッチ操作と水付着とを区別することができない。そこで、第1の実施形態と同様に、時間積分を用いてスイッチ操作が行われたかどうかを判断する。例えば、スイッチSW0のみが感応した場合には、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)の時間積分値を算出し、この時間積分値が第2の閾値より大きい場合には、タッチスイッチSW0についてスイッチ操作が行われたと判断し、前記時間積分値が第2の閾値より小さい場合には、スイッチ操作が行われていないと判断することができる。
【0052】
<<第3の実施形態>>
本実施形態の静電容量型タッチセンサは、図8に示すように、4個のタッチスイッチを持っている。図1の第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と対比すると、本実施形態では、偶数番号0,2が付与された2個のタッチスイッチSW0,SW2は偶数番号順に配置され、奇数番号1,3が付与された2個のタッチスイッチSW1,SW3は、偶数番号が付与された2個のタッチスイッチSW0,SW2列の次に、奇数番号順に配置されている。これに応じて、スイッチ選択回路5は、2対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3)を差動ペアとして、順次選択するように変更される。その他の構成は、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同様である。
【0053】
図8に示すように、(a)1個のタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着したタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0にのみ、水が付着した場合、タッチスイッチSW0に人の指が触れた場合と同じように、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)を出力する。
【0054】
(b)2個の隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した2個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2に水が付着した場合、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(1)、正の出力電圧Vout(2)を出力する。
【0055】
(c)3個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、1対の差動ペアが含まれるので、1個のタッチスイッチのみが感応する。例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW1に水が付着した場合、差動ペアを形成するタッチスイッチ(SW0,SW1)については、静電容量の変化は互いに相殺されるため、出力電圧Vout(1)は0Vになる。そのため、1個のタッチスイッチSW2のみが感応することになる。つまり、電荷増幅器7は、正の出力電圧Vout(2)を出力する。
【0056】
(d)4個の全てのタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は2個の差動ペアが含まれるので、感応するタッチスイッチは無い。つまり、この場合は、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1),Vout(2)は共に0Vになる。
【0057】
したがって、2個以上のタッチスイッチが感応した場合、つまり、出力電圧Vout(1)、Vout(2)の中、2個が正か負の値の場合には、タッチスイッチに水が付着しているのであり、人の指が意図的にスイッチ操作したものではないと判断することができる。
【0058】
(a)及び(c)の場合は、1個のタッチスイッチのみが感応するので、人の指によるスイッチ操作と水付着とを区別することができない。そこで、第1の実施形態と同様に、時間積分を用いてスイッチ操作が行われたかどうかを判断する。例えば、スイッチSW0のみが感応した場合には、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)の時間積分値を算出し、この時間積分値が第2の閾値より大きい場合には、タッチスイッチSW0についてスイッチ操作が行われたと判断し、前記時間積分値が第2の閾値より小さい場合には、スイッチ操作が行われていないと判断することができる。
【0059】
このように、第1乃至第3の本実施形態の静電容量型タッチセンサ100によれば、差動方式における差動ペアのノイズキャンセル機能を利用し、タッチスイッチに大量の水が付着する水場環境下において、水付着と人の指の接触との区別を明確にし、人の指が触れた場合にのみスイッチ操作を有効にするという、ウォータープルーフ機能を実現することができる。
【0060】
<<静電容量型タッチセンサ100の一般化した構成>>
次に、第1乃至第3の実施形態に基づいて一般化された静電容量型タッチセンサ100の構成を図9に基づいて説明する。図示のように、2n個(nは2以上の自然数)のタッチスイッチSW0〜SW2n−1が一列に絶縁基板1上に配置されている。偶数番号0,2,4・・・2m(mは、0〜n−1の自然数であり、0を偶数に含める)が付与されたn個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4・・・SW2mは偶数番号順に配置されている。奇数番号1,3,5・・・2m+1が付与されたn個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5・・・SW2m+1は、偶数番号が付与されたn個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4・・・SW2mの列の次に、奇数番号順に配置されている。
【0061】
このようなタッチスイッチSW0〜SW2n−1の配置に対応して、スイッチ選択回路5は、n対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)・・・(SW2m,SW2m+1)を差動ペアとして、順次選択するように変更される。その他の構成は、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同様である。
【0062】
この一般化された静電容量型タッチセンサ100においては、水が付着したタッチスイッチの数をX、差動ペアにより相殺された後のタッチスイッチの数をYとすると次の式が成り立つことが分かる。図5−(e)の場合、X=5、Y=3、n=4となる。
【0063】
0<X≦nの場合、Y=X、 n<X≦2nの場合、Y=−X+2n
すなわち、水が付着したタッチスイッチの数Xが2以上、2n−2以下の場合は、
水付着により感応するタッチスイッチの数Yは、必ず2以上になる。Xは1又は2n−1の場合は、水付着により感応するタッチスイッチの数Yは1になる。
【0064】
したがって、一般化された静電容量型タッチセンサ100においても、2個以上のタッチスイッチが感応した場合、つまり、出力電圧Vout(1)〜Vout(n)の中、2個が正か負の値の場合には、タッチスイッチに水が付着しているのであり、人の指が意図的にスイッチ操作したものではないと判断することができる。
【0065】
そして、1個のタッチスイッチのみが感応した場合(Xは1又は2n−1の場合)には、第1乃至第3の実施形態と同様に、時間積分を用いてスイッチ操作が行われたかどうかを判断する。なお、本発明はnが2以上の自然数の時に成り立つが、nが3以上の自然数の時に効果が大きい。2個以上のタッチスイッチが感応する場合が多くなるからである。
【0066】
また、タッチスイッチの配置において、奇数番号が付与されたn個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5・・・SW2m+1は、偶数番号が付与されたn個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4・・・SW2mの列の次に、奇数番号順に配置されているが、これと逆の構成でも全く同じ効果が得られる。
【0067】
すなわち、偶数番号が付与されたn個のタッチスイッチSW0,SW2,SW4・・・SW2mは、奇数番号1,3,5・・・2m+1が付与されたn個のタッチスイッチSW1,SW3,SW5・・・SW2m+1の列の次に、偶数番号順に配置されていてもよい。例えば、図1において、タッチスイッチSW0〜SW7は左から右に、SW0、SW2、SW4、SW6、SW1、SW3、SW5、SW7という順番に配置されているが、SW1、SW3、SW5、SW7、SW0、SW2、SW4、SW6という順番に配置されてもよい。
【0068】
さらに、絶縁基板1上においてタッチスイッチが配列される方向は任意である。例えば、図1においては、タッチスイッチSW0〜SW7は横方向に配置されているが、縦方向に配置されてもよい。
【0069】
<<比較例>>
次に、比較例と対比することにより、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100の効果を検討する。図11に示すように、比較例において、スイッチ選択回路は、4対のタッチスイッチ(SW0,SW1)、(SW2,SW3),(SW4,SW5)、(SW6,SW7)を差動ペアとして、順次選択する点は、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同じである。しかしながら、8個のタッチスイッチSW0〜SW7は、SW0,SW2,SW1,SW3,SW4,SW6,SW5,SW7という順番に配列されている点が異なる。
【0070】
図11に示すように、(a)1個のタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着したタッチスイッチのみが感応する。これは、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同じである。
【0071】
(b)2個の隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、水が付着した2個のタッチスイッチのみが感応する。これも、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100と同じである。
【0072】
(c)3個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、ケースバイケースであり、例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW1に水が付着した場合は、1対の差動ペア(SW0,SW1)が含まれるので、1個のタッチスイッチSW2のみが感応する。しかし、タッチスイッチSW1,SW3,SW4に水が付着した場合は、差動ペアは含まれないので、3個のタッチスイッチSW1,SW3,SW4が感応する。全体で見ると、1個のタッチスイッチが感応するケースが4個あり、3個のタッチスイッチが感応するケースが2個ある。
【0073】
(d)図12に示すように、4個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合も、ケースバイケースであり、例えば、タッチスイッチSW0,SW2,SW1,SW3に水が付着した場合は、2対の差動ペア(SW0,SW1)、(SW2,SW3)が含まれるので、感応するタッチスイッチは無い。タッチスイッチSW2,SW1,SW3,SW4に水が付着した場合は、1対の差動ペア(SW2,SW3)が含まれるので、2個のタッチスイッチSW1,SW4が感応する。
全体で見ると、0個のタッチスイッチが感応するケースが2個あり、2個のタッチスイッチが感応するケースが2個あり、4個のタッチスイッチが感応するケースが1個ある。
【0074】
(e)5個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合も、ケースバイケースであり、1個のタッチスイッチが感応するケースが2個あり、3個のタッチスイッチが感応するケースが2個ある。
【0075】
(f)6個の互いに隣接するタッチスイッチにシャワー等からの噴出水が付着した場合は、3つのケースについて、いずれも2個の差動ペアが含まれるので、2個のタッチスイッチが感応する。
【0076】
以上のように、比較例の(c),(d),(e)の場合について、感応するタッチスイッチの個数は、0〜4の範囲でバラツキを見せるので、第1の実施形態の静電容量型タッチセンサ100のように、「2個以上のタッチスイッチが感応した場合には、タッチスイッチに水が付着している」という判断基準を設けることができないことが分かる。
【0077】
<<電荷増幅器7の具体的な構成>>
以下、電荷増幅器7の具体的な構成を図13及び図14に基づいて説明する。電荷増幅器7は、第1のクロック発生器6、第2のクロック発生器12、基準容量CX0,基準容量CX1、差動増幅器13、スイッチSW5,SW6、第1及び第2のフィードバック容量Cf1,Cf2を含んで構成される。第1のクロック発生器6は、電荷増幅器7の一部を構成している。
【0078】
図13は、スイッチ選択回路5により、差動ペアを形成する1対のタッチスイッチ(SW0,SW1)が選択された場合を示している。この場合、端子P0と、端子P8にクロック供給線4を介して接続された環状電極3の間に、タッチスイッチSW0の静電容量C0が形成されている。端子P0は、スイッチ選択回路5により、差動増幅器13の反転入力端子(−)に接続される。また、端子P1と環状電極3の間に、タッチスイッチSW1の静電容量C1が形成されている。端子P1は、スイッチ選択回路5により、差動増幅器13の非反転入力端子(+)に接続される。前述のように、静電容量C0,C1は、それぞれタッチスイッチSW0,SW1の中央電極2−0,2−1と、環状電極3の間に形成される。
【0079】
第1のクロック発生器6は、交互にスイッチングするスイッチSW1,SW2で形成される。第1のクロック発生器6は、スイッチSW1がオンし、スイッチSW2がオフすると、接地電圧(0V)を出力し、スイッチSW1がオフし、スイッチSW2がオンすると、基準電圧Vref(プラス電圧)を出力する。つまり、第1のクロック発生器6は、基準電圧Vref(Hレベル)と0V(Lレベル)を交互に繰り返すクロックCdrvを出力する。
【0080】
また、静電容量C0に直列に基準容量CX0が接続され、静電容量C1に直列に静電容量CX1が接続される。基準容量CX0,CX1の共通接続点には、第2のクロック発生器12が接続される。第2のクロック発生器12は、交互にスイッチングするスイッチSW3,SW4で形成される。第2のクロック発生器12は、スイッチSW3がオンし、スイッチSW4がオフすると、接地電圧(0V)を出力し、スイッチSW3がオフし、スイッチSW4がオンすると、基準電圧Vref(プラス電圧)を出力する。そして、第1及び第2のクロック発生器6,12は、互いに逆相のクロックCdrv,*Cdrvを出力するように構成されている。
【0081】
差動増幅器13は非反転入力端子(+)、反転入力端子(−)、非反転出力端子(+)、反転出力端子(−)を有する完全差動型の差動増幅器であり、非反転入力端子(+)に静電容量C1と基準容量CX1の接続点ノードN2から引き出された配線が接続され、その反転入力端子(−)に静電容量C0と基準容量CX0の接続点ノードN1から引き出された配線が接続される。
【0082】
差動増幅器13の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)の間に第1のフィードバック容量Cf1が接続され、差動増幅器13の非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)第2のフィードバック容量Cf2が接続される。第1及び第2のフィードバック容量Cf1,Cf2は等しい容量値CfAを有している。
【0083】
スイッチSW5は、差動増幅器13の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)の間に接続され、スイッチSW6は、差動増幅器13の非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)の間に接続される。スイッチSW5,SW6は同時にスイッチングする。つまり、スイッチSW5,SW6がオンすると、差動増幅器13の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)とが短絡されると共に、差動増幅器13の非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)とが短絡される。
【0084】
差動増幅器13の反転出力端子(−)からの出力電圧をVomとし、差動増幅器26の非反転出力端子(+)からの出力電圧をVopとし、両者の差電圧をVout(=Vop−Vom)とする。
【0085】
次に、上記構成の電荷増幅器7の動作を図14に基づき説明する。電荷増幅器20は電荷蓄積モードと第電荷転送モードという2つの動作モードを有しており、この2つの動作モードが交互に多数回繰り返される。
【0086】
先ず、図14(a)の電荷蓄積モードの時、第1のクロック発生器6のスイッチSW1がオフし、スイッチSW2がオンすることにより、静電容量C0,C1に基準電圧Vrefが印加される。また、第2のクロック発生器12のスイッチSW4がオフし、スイッチSW3がオンすることにより、基準容量CX0,CX1に接地電圧(0V)が印加される。
【0087】
また、スイッチSW5及びSW6がオンする。これにより、差動増幅器13の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)とが短絡され、非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)とが短絡される。この結果、ノードN1、ノードN2、反転出力端子(−)及び非反転出力端子(+)の電圧はそれぞれ1/2Vrefになる。この場合、差動増幅器13のコモンモード電圧(中心電圧)は、基準電圧の1/2である1/2Vrefに設定されているものとする。
【0088】
次に、図14(b)の電荷転送モードの時、第1のクロック発生器6のスイッチSW1がオンし、スイッチSW2がオフすることにより、静電容量C0,C1に接地電圧(0V)が印加される。また、第2のクロック発生器12のスイッチSW4がオンし、スイッチSW3がオフすることにより、基準容量CX0,CX1に基準電圧Vrefが印加される。また、SW5及びSW6がオフする。その後、図14(a)の電荷蓄積モードに戻り、その後、再び図14(b)の電荷転送モードに移る。
【0089】
基準容量CX0,CX1の容量値CX0A,CX1Aは等しいとする。つまり、CX0A=CX1A=Cである。また、静電容量C0,C1の容量をそれぞれC0A、C1Aとする。初期状態人の指先がタッチスイッチSW0,SW1から遠く離れている状態の容量値C0A,C1AをCとする。そして、人間の指先がタッチスイッチSW1に触れた場合の静電容量C0と静電容量C1の容量差をΔCとする。つまり、C1A−C0A=ΔCである。そうすると、C1A=C+ΔC、C0A=Cが成り立つ。
【0090】
ノードN2について電荷保存則を適用すると、以下の通りである。
【0091】
電荷蓄積モードにおいて、以下の数式(1)が成り立つ。
ノードN2の電荷量=(C+ΔC)・(−1/2Vref)+C・(1/2Vref)
・・・(1)
ここで、(C+ΔC)・(−1/2Vref)は静電容量C1の電荷量であり、C・(1/2Vref)は基準容量CX1の電荷量である。
【0092】
電荷転送モードにおいて、以下の数式(2)が成り立つ。
ノードN1の電荷量=(C+ΔC)・(1/2Vref)+C・(−1/2Vref)
+CfA・(Vom−1/2Vref) ・・・(2)
ここで、(C+ΔC)・(1/2Vref)は静電容量C1の電荷量、C・(−1/2Vref)は基準容量CX1の電荷量、CfA・(Vom−1/2Vref)は、第1のフィードバック容量Cf1の電荷量である。
【0093】
電荷蓄積モードと電荷転送モードにおいて、ノードN2の電荷量は等しいから、数式(1)=数式(2)である。
【0094】
この方程式をVomについて解くと次式が得られる。
Vom=1/2Vref・(1−2・ΔC/CfA) ・・・(3)
同様にして、ノードN1について電荷保存則を適用すると以下の通りである。
【0095】
電荷蓄積モードにおいて、以下の数式(4)が成り立つ。
ノードN1の電荷量=C・(−1/2Vref)+C・(1/2Vref)=0 ・・・(4)
電荷転送モードにおいて、以下の数式(5)が成り立つ。
ノードN1の電荷量=C・(1/2Vref)+C・(−1/2Vref)+CfA・(Vop−1/2Vref)・・・(5)
電荷蓄積モードと電荷転送モードにおいて、ノードN1の電荷量は等しいから、数式(4)=数式(5)である。
【0096】
この方程式をVopについて解くと次式が得られる。
Vop=1/2Vref ・・・(6)
数式(3)、(6)から、
Vout=Vop−Vom=Vref・ΔC/CfA ・・・(7)
したがって、電荷増幅器7の出力電圧Vout(1)は、静電容量C1,C0の容量差ΔCに比例して変化することがわかる。
【0097】
以上においては、選択回路5により、タッチスイッチ(SW0,SW1)が選択された場合を説明したが、他の対のタッチスイッチ(SW2、SW3)等が選択された場合も同様である。
【符号の説明】
【0098】
1 絶縁基板
2−0〜2−7 中央電極
3 環状電極
4 クロック供給線
5 スイッチ選択回路
6 第1のクロック発生器
7 電荷増幅器
8 AD変換器
9 インターフェース回路
10 マイクロコンピュータ
11 保護膜
12 第2のクロック発生器
13 差動増幅器
SW0〜SW7 タッチスイッチ
P0〜P8 端子
20 タッチパネル部
30 信号処理部
100 静電容量型タッチセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に一列に配置され、それぞれ、中央電極と、この中央電極を囲んで配置された環状電極とを有し、前記中央電極と前記環状電極の間に静電容量が形成される2n個(nは、2以上の自然数)のタッチスイッチと、
前記2n個のタッチスイッチの中、偶数番号2m(mは、0〜n−1の自然数であり、0を偶数に含める)のタッチスイッチと奇数番号(2m+1)のタッチスイッチとのペアで構成される1対のタッチスイッチを順次選択するスイッチ選択回路と、
前記スイッチ選択回路により選択された1対のタッチスイッチの静電容量の差に比例する出力電圧を、n対のタッチスイッチに対応して順次出力する差動方式の電荷増幅器と、を備え、前記電荷増幅器から順次出力されるn対のタッチスイッチに対応する出力電圧に基づいて、タッチスイッチのスイッチ操作を検出する静電容量型タッチセンサであって、
前記偶数番号2mが付与されたn個のタッチスイッチは、偶数番号順に配置され、奇数番号(2m+1)が付与されたn個のタッチスイッチは、偶数番号が付与されたタッチスイッチの列の次に、奇数番号順に配置されていることを特徴とする静電容量型タッチセンサ。
【請求項2】
前記電荷増幅器から順次出力される前記n対のタッチスイッチに対応した出力電圧を第1の閾値と比較し、2対以上のタッチスイッチに対応する出力電圧が前記第1の閾値より大きい場合には、タッチスイッチのスイッチ操作は行われていないと判断するCPUを備えることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項3】
前記CPUは、1対のタッチスイッチに対応する出力電圧のみが前記第1の閾値以上である場合には、この出力電圧の時間積分値を算出し、この時間積分値と第2の閾値とを比較し、前記時間積分値が第2の閾値より大きい場合には、当該1対のタッチスイッチについてスイッチ操作が行われたと判断し、前記時間積分値が第2の閾値より小さい場合には、当該1対のタッチスイッチについてスイッチ操作が行われていないと判断することを特徴とする請求項2に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項4】
前記CPUは、前記時間積分値が第2の閾値より大きい場合に、前記出力電圧の極性に応じて、前記1対のタッチスイッチの中、いずれかのタッチスイッチについてスイッチ操作が行われたかを判断することを特徴とする請求項3に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項5】
前記電荷増幅器は、前記環状電極に印加される第1のクロック信号を発生する第1のクロック発生器と、
前記第1のクロックと逆相の第2のクロックを発生する第2のクロック発生器と、
前記スイッチ選択回路によって選択された1対のタッチスイッチの中、一方のタッチスイッチの中央電極が非反転入力端子に接続され、他方のタッチスイッチの中央電極が反転入力端子に接続された差動増幅器と、
前記一方のタッチスイッチの中央電極と前記環状電極との間に形成される第1の静電容量と直列に接続された第1の基準容量と、
前記他方のタッチスイッチの中央電極と前記環状電極との間に形成される第2の静電容量と直列に接続された第2の基準容量と、
前記第1及び第2の基準容量に印加される、第1のクロックと逆相の第2のクロックを発生する第2のクロック発生器と、
前記差動増幅器の反転出力端子と非反転入力端子の間に接続された第1のフィードバック容量と、
前記差動増幅器の非反転出力端子と反転入力端子の間に接続された第2のフィードバック容量と、
前記差動増幅器の反転出力端子と非反転入力端子の間に接続された第1のスイッチと、
前記差動増幅器の非反転出力端子と反転入力端子の間に接続された第2のスイッチと、を備え、前記第1のクロックが第1のレベルの時に、前記第1及び第2のスイッチをオンし、前記第1のクロックが第2のレベルの時に、前記第1及び第2のスイッチをオフすることにより、前記差動増幅器から、前記第1の静電容量と第2の静電容量の容量値の差に比例する出力電圧を出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に一列に配置され、それぞれ、中央電極と、この中央電極を囲んで配置された環状電極とを有し、前記中央電極と前記環状電極の間に静電容量が形成される2n個(nは、2以上の自然数)のタッチスイッチと、
前記2n個のタッチスイッチの中、偶数番号2m(mは、0〜n−1の自然数であり、0を偶数に含める)のタッチスイッチと奇数番号(2m+1)のタッチスイッチとのペアで構成される1対のタッチスイッチを順次選択するスイッチ選択回路と、
前記スイッチ選択回路により選択された1対のタッチスイッチの静電容量の差に比例する出力電圧を、n対のタッチスイッチに対応して順次出力する差動方式の電荷増幅器と、を備え、前記電荷増幅器から順次出力されるn対のタッチスイッチに対応する出力電圧に基づいて、タッチスイッチのスイッチ操作を検出する静電容量型タッチセンサであって、
前記偶数番号2mが付与されたn個のタッチスイッチは、偶数番号順に配置され、奇数番号(2m+1)が付与されたn個のタッチスイッチは、偶数番号が付与されたタッチスイッチの列の次に、奇数番号順に配置されていることを特徴とする静電容量型タッチセンサ。
【請求項2】
前記電荷増幅器から順次出力される前記n対のタッチスイッチに対応した出力電圧を第1の閾値と比較し、2対以上のタッチスイッチに対応する出力電圧が前記第1の閾値より大きい場合には、タッチスイッチのスイッチ操作は行われていないと判断するCPUを備えることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項3】
前記CPUは、1対のタッチスイッチに対応する出力電圧のみが前記第1の閾値以上である場合には、この出力電圧の時間積分値を算出し、この時間積分値と第2の閾値とを比較し、前記時間積分値が第2の閾値より大きい場合には、当該1対のタッチスイッチについてスイッチ操作が行われたと判断し、前記時間積分値が第2の閾値より小さい場合には、当該1対のタッチスイッチについてスイッチ操作が行われていないと判断することを特徴とする請求項2に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項4】
前記CPUは、前記時間積分値が第2の閾値より大きい場合に、前記出力電圧の極性に応じて、前記1対のタッチスイッチの中、いずれかのタッチスイッチについてスイッチ操作が行われたかを判断することを特徴とする請求項3に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項5】
前記電荷増幅器は、前記環状電極に印加される第1のクロック信号を発生する第1のクロック発生器と、
前記第1のクロックと逆相の第2のクロックを発生する第2のクロック発生器と、
前記スイッチ選択回路によって選択された1対のタッチスイッチの中、一方のタッチスイッチの中央電極が非反転入力端子に接続され、他方のタッチスイッチの中央電極が反転入力端子に接続された差動増幅器と、
前記一方のタッチスイッチの中央電極と前記環状電極との間に形成される第1の静電容量と直列に接続された第1の基準容量と、
前記他方のタッチスイッチの中央電極と前記環状電極との間に形成される第2の静電容量と直列に接続された第2の基準容量と、
前記第1及び第2の基準容量に印加される、第1のクロックと逆相の第2のクロックを発生する第2のクロック発生器と、
前記差動増幅器の反転出力端子と非反転入力端子の間に接続された第1のフィードバック容量と、
前記差動増幅器の非反転出力端子と反転入力端子の間に接続された第2のフィードバック容量と、
前記差動増幅器の反転出力端子と非反転入力端子の間に接続された第1のスイッチと、
前記差動増幅器の非反転出力端子と反転入力端子の間に接続された第2のスイッチと、を備え、前記第1のクロックが第1のレベルの時に、前記第1及び第2のスイッチをオンし、前記第1のクロックが第2のレベルの時に、前記第1及び第2のスイッチをオフすることにより、前記差動増幅器から、前記第1の静電容量と第2の静電容量の容量値の差に比例する出力電圧を出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−243072(P2012−243072A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112287(P2011−112287)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)
【Fターム(参考)】
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