説明

静電容量方式タッチパネルおよび静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法

【課題】タッチパネルの外観性および光学的性能を向上させる静電容量方式タッチパネルを提供すること。
【解決手段】静電容量方式タッチパネル10は、透明基板1と、少なくとも1つの金属ジャンパ(第2軸方向ワイヤ(wire)222)と、マスク層6と、を備える。マスク層6の反射率は金属ジャンパ(第2軸方向ワイヤ(wire)222)の反射率よりも小さい。マスク層6を金属ジャンパ(第2軸方向ワイヤ(wire)222)および透明基板1の間に設置して、金属ジャンパ(第2軸方向ワイヤ(wire)222)によって反射される光を遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチパネル技術に関し、特に、タッチパネルの外観性および光学的性能を向上させる静電容量方式タッチパネルおよび静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチ技術の絶え間ない発展に伴い、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ゲームコンソールの入力インタフェース、コンピュータのタッチスクリーンなど、種々の電子デバイスにおいて、タッチパネルが広く利用されるようになった。実際の応用において、タッチパネルは通常、ディスプレイパネルに統合される。
【0003】
ユーザは指、タッチペンまたは他の物体を使用して、ディスプレイパネル上に表示される画像および文字をクリックし、対応する入力および操作をタイミングよく処理することができる。
【0004】
異なる動作原理によれば、タッチパネルは、静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネル、音響方式タッチパネル、赤外線感知方式タッチパネル、電磁気感知方式タッチパネルなどに分類することができる。
【0005】
それらの間で、高い検知精度、低いコストおよび単純な構造のために、静電容量方式タッチパネルがより広く利用されている。静電容量方式タッチパネルの動作原理は、人体の誘導容量を利用する。この人体の誘導容量は、人体がタッチパネルにタッチした時に、電荷が取り上げられて誘導電流信号を形成し、コントローラに伝送されるものである。コントローラは、受信した誘導電流信号に基づいて、タッチポイントの配置を計算する。
【0006】
静電容量方式タッチパネルは通常、透明基板、検知回路層、および保護層を備える。検知回路層を、透明基板および保護層の間に設ける。検知回路層は、透明基板の表面上に配置される複数の電極を備える。電極は、単一の平行軸、2つの相互に垂直な軸、放射状のパターンおよびらせん状のパターンなど、様々な方法によって配置することができる。電極は、タッチを検知するある電極パターンを形成して、検知信号を生成することができる。
【0007】
図1、図2、および図3を参照して説明する。静電容量方式タッチパネル10は、透明基板1、検知回路層2、保護層4、およびブラックマトリクス(black matrix)5を備えている。
【0008】
透明基板1の上側表面11がタッチに利用され、検知回路層2を下側表面12の表面上に配置し、検知回路層2の表面を保護層4によって覆う。検知回路層2は、複数の第1軸方向電極21および第2軸方向電極22を備える。第1軸方向電極21および第2軸方向電極22を、X軸上およびY軸上にそれぞれ配置する。
【0009】
各第1軸方向電極21は、複数の第1の電極211および第1軸方向ワイヤ(wire)212を備えている。第1軸方向ワイヤ(wire)212は、2つの隣接する第1の電極211を接続する。各第2軸方向電極22は、複数の第2の電極221および第2軸方向ワイヤ(wire)222を備えている。第2軸方向ワイヤ(wire)222は、2つの隣接する第2の電極221を接続する。
【0010】
第1軸方向ワイヤ(wire)212の下側表面には絶縁シート31を有し、これによって、第1軸方向ワイヤ(wire)212および第2軸方向ワイヤ(wire)222を絶縁する。信号を伝送する金属回路23を、検知回路層2の周囲に設ける。ブラックマトリクス(black matrix)5を透明基板1の下側表面12の周囲に積層して、金属回路23を覆う。酸化インヂウム・スズ(ITO)や酸化アンチモン・スズ(ATO)などの透明導電材料を、実際の製品に利用する。スパッタリング法、エッチングまたはプリンティング法による処理を行った後に、第1の電極211、第1軸方向ワイヤ(wire)212、および第2の電極221を、透明基板1の下側表面12上に同期して形成する。
【0011】
絶縁シート31を、第1軸方向ワイヤ(wire)212の下側表面上に設ける。第2軸方向ワイヤ(wire)222を、絶縁シート31を横切って設ける。第2軸方向ワイヤ(wire)222は、2つの隣接する第2の電極221を接続する。(アルミニウム、銀、クロムなどの)金属材料の電気的導電性および低コスト性のために、金属材料を用いて作る金属ワイヤ(金属ジャンパ)を、第2軸方向ワイヤ(wire)222として通常選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】中国特許出願公開第101464761号明細書
【特許文献2】中国実用新案第200820128988号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、金属ジャンパはある程度の幅を有し、かつ、周囲の透明導電材料および透明基板とは異なり金属材料の反射率は比較的に高いものである。このため、人体の目によって明らかな違いに気付くことができ、金属ジャンパが見えてしまうために、製品の外観性の欠如をもたらす。
【0014】
タッチパネルの外観性を向上させ、金属ジャンパが見えてしまうことの問題を解決するために、従来技術において採用される方法としては、主に、金属ジャンパの外観サイズを減少させて線の幅を極小化させることである。しかしながら、実際の製造では、この方法は実現が困難であり、歩留まりを減少させやすくし、タッチパネル上の金属ジャンパが見えてしまうという問題を完全に除去することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上述した問題を考慮してなされたものであり、上述した金属ジャンパが見えてしまうという問題を解決し、従来技術の欠点を克服するため、本発明の一つの目的は、視認性が低い金属ジャンパを有し、かつ、良好な光学的特性および視覚効果を有する静電容量方式タッチパネルを提供することである。
【0016】
静電容量方式タッチパネルは、透明基板と、少なくとも1つの金属ジャンパを備える。金属ジャンパおよび透明基板の間にマスク層を設ける。マスク層は、金属ジャンパによって反射された光を遮蔽する。ここで、マスク層の反射率は金属ジャンパの反射率よりも低い。
【0017】
透明基板は、タッチに利用可能な第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面と、を有する。静電容量方式タッチパネルはまた、タッチを検知して検知信号を生成する検知回路層を備える。透明基板の第2の表面上に検知回路層を配置する。検知回路層は、複数の第1の電極および複数の第2の電極を少なくとも備える。隣接する第1の電極は、第1軸方向ワイヤ(wire)を経て電気的に接続される。隣接する第2の電極の間に金属ジャンパを設ける。金属ジャンパは、隣接する第2の電極を電気的に接続する。金属ジャンパおよび第1の電極は、電気的に絶縁される。
【0018】
透明基板の第2の表面上にマスク層を配置する。マスク層は、少なくとも1つのマスク片(piece)を備える。マスク片(piece)の配置及びサイズは、金属ジャンパの配置及びサイズに対応する。マスク層はまた、絶縁シートとして利用することができる。金属ジャンパ上に絶縁シートを配置する。絶縁シートの幅は金属ジャンパの幅よりも小さいが、金属ジャンパの長さより小さくはない。マスク層は灰色、茶色または黒色の非導電材料を用いて作られる。この非導電材料は、黒色のフォトレジスト材料、茶色のフォトレジスト材料、灰色のフォトレジスト材料、窒化物、酸化物または窒化物および酸化物の混合物などを備える。
【0019】
本発明の他の一つの目的は、静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性を減少させる方法を提供することであり、これにより、高い歩留まりおよび低コスト性を保証しつつ、静電容量方式タッチパネルの良好な外観性についての光学的特性を向上させることができる。
【0020】
本発明において採用される技術的構想は、静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性を減少させる方法に関する。静電容量方式タッチパネルは透明基板を備える。透明基板は、タッチに利用可能な第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面と、を有する。方法は、以下のステップを備える。少なくとも1つの金属ジャンパを透明基板の第2の表面上に配置するステップ。金属ジャンパに対応するマスク層を、透明基板および金属ジャンパの間に塗布するステップ。ここで、マスク層の反射率は金属ジャンパの反射率よりも低い。
【0021】
透明基板の第2の表面上に金属ジャンパを配置するに先立って、方法はまた、以下のステップを備える。透明基板の第2の表面上に検知回路層を配置するステップ。ここで、検知回路層は少なくとも2つの電極を備え、金属ジャンパは2つの電極の間に接続される。
【0022】
マスク層は灰色、茶色または黒色の非導電材料を用いて作られる。この非導電材料は、黒色のフォトレジスト材料、茶色のフォトレジスト材料、灰色のフォトレジスト材料、窒化物、酸化物または窒化物および酸化物の混合物などを備える。
【0023】
本明細書に開示する例においては、透明基板および金属ジャンパの間にマスク層を追加する。マスク層は、黒色または優黒質の非導電材料を用いて作られ、金属ジャンパの光反射を減少させると共に金属ジャンパの視認性を減少させることができ、これにより人体の目によって簡単に気付かれないようにし、この結果、静電容量方式タッチパネルに良好な視覚効果をもたらす。
【0024】
本発明において提供される静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性を減少させる方法に関しては、コストを増加させずに、かつ、付加的な処理を加えることなしに、製品の光学的特性および外観性効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タッチパネルの外観性および光学的性能を向上させる静電容量方式タッチパネルおよび静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】既存の静電容量方式タッチパネルの部分的な構造図の断面斜視図である。
【図2】図1に示された透明電極層の部分拡大図である。
【図3】図1に示された、既存の静電容量方式タッチパネルのA−Aに従って示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る静電容量方式タッチパネルの部分的な構造図の断面斜視図である。
【図5】図4に示された透明電極層の部分拡大図である。
【図6A】図4に示された、B−Bに従って示す電極層の構造の概略断面図である。
【図6B】図4に示された、B−Bに従って示す電極層の他の構造の概略断面図である。
【図7A】実施の形態2に従う、電極層の構造の部分断面図である。
【図7B】図4に示されたB−Bに従って示す、実施の形態2の概略断面図である。
【図8】図4に示されたB−Bに従って示す、実施の形態3の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に図を参照して説明する特定の実施の形態は例示されるものであり、本発明はこれに限定されない。
【0028】
実施の形態1.
図4、5、6Aを参照して説明する。静電容量方式タッチパネル10は、透明基板1、検知回路層2、保護層4、ブラックマトリクス(black matrix)5、およびマスク6を備えている。
【0029】
検知回路層2を、透明基板1および保護層4の間に設置し、かつ、透明基板1の下側表面12上に配置する。上側表面11は、タッチに利用される。検知回路層2は、複数の第1軸方向電極21および第2軸方向電極22を備える。第1軸方向電極21および第2軸方向電極22を、X軸上およびY軸上にそれぞれ配置する。
【0030】
各第1軸方向電極21は、複数の第1の電極211および第1軸方向ワイヤ(wire)212を備えている。第1軸方向ワイヤ(wire)212は、2つの隣接する第1の電極211を接続する。各第2軸方向電極22は、複数の第2の電極221および第2軸方向ワイヤ(wire)222を備えている。第2軸方向ワイヤ(wire)222は、2つの隣接する第2の電極221を接続する。
【0031】
金属ジャンパは、通常、第2軸方向ワイヤ(wire)222のために利用される。第1軸方向ワイヤ(wire)212および第2軸方向ワイヤ(wire)222は、絶縁シート31によって絶縁される。
【0032】
透明基板1の下側表面12上にマスク層6を積層して、マスク層6を複数のマスク片(piece)6aに分割する。本実施の形態では、各マスク片(piece)6aの配置およびサイズは、第2軸方向ワイヤ(wire)222(金属ジャンパ)の配置およびサイズに対応する。各マスク片(piece)6aの反射率は、金属ジャンパの反射率よりも低い。これによって、金属ジャンパの光反射を減少させ、かつ、金属ジャンパの視認性を減少させる。
【0033】
信号を伝送する金属回路23を、検知回路層2の周囲に設置する。ブラックマトリクス(black matrix)5を、透明基板1の下側表面12の周囲に積層して金属回路23を覆う。これによって、透明基板1の表面上に金属回路23を露出させず、タッチパネルの外観性を美化する。
【0034】
通常、酸化インヂウム・スズ(ITO)や酸化アンチモン・スズ(ATO)などの透明導電材料を使用し、スパッタリング法、エッチングまたはプリンティング法による処理がなされた後に、第1の電極211、第1軸方向ワイヤ(wire)212、および第2の電極221を、透明基板1の下側表面12上に同期して形成する。
【0035】
そして、第1軸方向ワイヤ(wire)212の下側表面上に絶縁シート31を設置する。第2軸方向ワイヤ(wire)222として動作する金属ジャンパを、絶縁シート31を横切って設置する。ここで、金属ジャンパは、2つの隣接する第2電極221を接続する。
【0036】
本実施の形態においては、絶縁シート31を、同一の軸上の2つの隣接する第2の電極221の間に配置する。絶縁シート31の(Y軸方向における)幅は、第1軸方向ワイヤ(wire)212の(Y軸方向における)幅よりも大きいが、絶縁シート31の(Y軸方向における)長さは、第2軸方向ワイヤ(wire)222の(Y軸方向における)長さよりも小さい。
【0037】
既存の静電容量方式タッチパネルでは、透明基板1上に金属ジャンパを直接積層すると、タッチパネルは簡単に壊れやすく、かつ、歩留まりが低くなるおそれがある。従って、タッチパネル製品の歩留まりを向上させるためには、絶縁シート31の(Y軸方向における)幅は、2つの隣接する第2の電極221の間の距離よりも小さくしないほうが好ましい。
【0038】
実際上は、許容度および他の要素のために、2つの隣接する第2の電極221の間の距離以上のモード(mode)を通常採用する。それによって、金属ジャンパおよび透明基板1の間に絶縁層を配置して、直接の接触を回避することができる。
【0039】
本実施の形態では、金属ジャンパおよび透明基板1の間にマスク層6を設置して、透明基板1上に金属ジャンパを直接積層することを回避する。このようにすると、絶縁シート31の幅において限定がなく、つまり、絶縁シート31の幅を、2つの隣接する第2の電極221の間の距離よりも大きくすることができるのみならず、また、その距離より小さいかまたは等しくすることができる。
【0040】
図6Bは、実施の形態1に従う静電容量方式タッチパネル1の他の概略断面図である。これは、上述した構造に類似するが、絶縁シート31の幅において相違し、その幅は、2つの隣接する第2電極221の間の距離よりも小さい。絶縁シート31は、第1軸方向ワイヤ212上の表面を覆う。第2軸方向ワイヤ(wire)222として動作する金属ジャンパは、絶縁シート31の表面を覆い、2つの隣接する第2の電極221を接続する。
【0041】
本実施の形態では、透明基板1は、ガラス、PMMA、PVC、PPおよびPETなどの非導電材料を用いて作られる。絶縁シート31は、二酸化ケイ素などの絶縁材料を用いて作られる。
【0042】
ブラックマトリクス(black matrix)5およびマスク層6は、灰色、茶色または黒色の非導電材料を用いて作られる。この非導電材料は、黒色のフォトレジスト材料、茶色のフォトレジスト材料、灰色のフォトレジスト材料、窒化物、酸化物または窒化物および酸化物の混合物などである。
【0043】
マスク層6は、それぞれ分離して設置される複数のマスク片(piece)6aにより構成される。マスク片(piece)6aは10−4mm程度の、極めて短くかつ幅が狭いものである。このため、人間が容易に見つけることができない。従って、マスク片(piece)を追加することで、金属ジャンパによる光反射を効果的に遮蔽し、タッチパネルの良好な外観性を生み出すことができる。
【0044】
図6Bを参照すると、ブラックマトリクス(black matrix)5および透明基板1の間に、電磁ノイズを遮蔽する電磁ノイズ遮蔽保護層7を設置することもできる。金属ジャンパを接続構造として設置する透明タッチパネルに対して、金属ジャンパ上にマスク層6を追加して、金属ジャンパによって反射される光を減少させることができ、これによって、金属ジャンパの視認性を減少させる。従って、透明タッチパネルの外観性の効果が向上される。検知回路層2に対して多層の検知回路層の構造を採用し、実際の使用要求に応じて設置することができる。
【0045】
従って、上述した静電容量方式タッチパネルの製造は、以下の処理ステップを備える。透明基板1の第2の表面(下側表面12)上にマスク層6を塗布する。ここで、マスク層6は、透明基板1の第2の表面(下側表面12)上に一定の間隔で設置された複数のマスク片(piece)6aを備える。
【0046】
透明基板1の第2の表面12上に透明導電層を塗布し、電極パターンを持つ検知回路層2を形成する。ここで、検知回路層2は、複数の第1の電極211、第2の電極221、および第1軸方向ワイヤ(wire)212を備える。第1軸方向ワイヤ(wire)212は、2つの隣接する第1の電極211を接続する。
【0047】
そして、(絶縁シートに)対応する金属ジャンパ(第2軸方向ワイヤ(wire)222)および金属回路23を設置できるようにした後に、透明絶縁材料を利用して、第1軸方向ワイヤ(wire)212上に絶縁シート31を配置する。ここで、絶縁シート31を横切って金属ジャンパ(第2軸方向ワイヤ(wire)222)を配置する。また、金属ジャンパ(第2軸方向ワイヤ(wire)222)を、同一軸上の2つの隣接する第2の電極221を接続するように構成する。
【0048】
本実施の形態では、金属ジャンパの配置は、マスク片(piece)6aの配置にそれぞれ対応する。最後に、信号を伝送する検知回路層2の周囲に金属回路23を配置し、二酸化ケイ素、有機ポリマーまたは他の材料を利用した保護層4を、検知回路層2上に配置する。
【0049】
さらに、マスク層6を塗布する時に、透明基板1の第2の表面(下側表面12)の周囲にブラックマトリクス(black matrix)5を同期して塗布することができ、ブラックマトリクス(black matrix)5は、金属回路23に対応する。
【0050】
マスク層6をブラックマトリクス(black matrix)5に同期して作り、これによって、コストを増加させることなしに外観性を向上できる。電磁ノイズ遮蔽保護層7を追加する場合には、通常、金属材料で電磁ノイズ遮蔽保護層7を作り、マスク層6およびブラックマトリクス(black matrix)5を設置するに先立って、透明基板1の端部上に電磁ノイズ遮蔽保護層7を配置することが好ましい。
【0051】
実施の形態2.
図7Aおよび7Bを参照して説明する。静電容量方式タッチパネル10は、実施の形態1の構造と類似し、透明基板1、検知回路層2、保護層4、ブラックマトリクス(black matrix)5、およびマスク層6を備えている。
【0052】
検知回路層2の第1の電極211、第1軸方向ワイヤ(wire)212、および第2の電極221を、透明基板1の第2の表面(下側表面12)上に配置する。第2軸方向ワイヤ(wire)222は金属ジャンパである。ここで、第1軸方向ワイヤ(wire)212および金属ジャンパは、絶縁シート31によって絶縁される。
【0053】
絶縁シート31は、黒色または優黒質の絶縁材料を用いて作られる。絶縁シート31は、マスク層として動作する。絶縁シート31を金属ジャンパの上側に配置する。絶縁シート31の(Y軸方向における)幅は、第1軸方向ワイヤ(wire)212の(Y軸方向における)幅よりも大きく、絶縁シート31の(Y軸方向における)長さは、第2軸方向ワイヤ(wire)222の(Y軸方向における)長さよりも小さい。
【0054】
絶縁シート31の(X軸方向における)長さは、第2軸方向ワイヤ(wire)222の(X軸方向における)長さよりも大きくはなく、これにより、金属ジャンパは、第1軸方向ワイヤ(wire)212から絶縁され、2つの隣接する第2の電極221を接続する。このようにすると、絶縁シート31は、金属ジャンパの光反射を減少させることができ、金属ジャンパの視認性を減少させることができる。
【0055】
静電容量方式タッチパネルの製造は、以下の処理ステップを備える。透明基板1の第2の表面(下側表面12)上に透明導電層を塗布する。
【0056】
エッチング処理を経て、電極パターンを持つ検知回路層2を形成する。ここで、電極パターンは、複数の第1の電極211、第2の電極221、および第1軸方向ワイヤ(wire)212を備える。第1軸方向ワイヤ(wire)212は、2つの隣接する第1の電極211を接続する
【0057】
優黒質または黒色の絶縁材料を利用することで、第1軸方向ワイヤ(wire)212上に絶縁シート31を配置することができる。ここで、絶縁シート31は、マスク片(piece)として動作する。そして、金属ジャンパ222および金属回路23を設置する。
【0058】
金属ジャンパ(第2軸方向ワイヤ(wire)222)を絶縁シート31を横切って設置する。金属ジャンパは、2つの隣接する第2の電極221を接続する。信号を伝送する検知回路層2の周囲に金属回路23を配置する。優黒質または黒色の絶縁材料は、黒色フェノール樹脂などの有機絶縁材料とすることができる。
【0059】
さらに、透明導電層を塗布するに先立ち、透明基板1の第2の表面(下側表面12)の周囲にブラックマトリクス(black matrix)5を塗布することができ、そのブラックマトリクス(black matrix)5を塗布する配置は、金属回路23の配置に対応する配置である。ブラックマトリクス(black matrix)5は、金属回路23を覆う。これにより、金属回路23を透明基板1の表面上に露出させず、タッチパネルの外観性を美化する。
【0060】
実施の形態3.
図8を参照して説明する。静電容量方式タッチパネル10について、実施の形態1の構造と類似し、絶縁に関する設定において相違する。静電容量方式タッチパネル10は、透明基板1、検知回路層2、保護層4、ブラックマトリクス(black matrix)5、マスク層6、および絶縁層3を備えている。絶縁層3は、平面かつ連続構造であり、複数の貫通孔32を有している。
【0061】
第1軸方向電極21および第2軸方向電極22を、絶縁層3の第1の表面33上に配置する。第1軸方向電極21は、複数の第1の電極211、および2つの隣接する第1の電極211を接続する第1軸方向ワイヤ(wire)212を有する。第2軸方向電極22は、複数の第2の電極221を有する。
【0062】
第2の電極221を、対応する2つの隣接する第1軸方向電極21の間に配置する。また、第2の電極221は、第1の電極211をある一定の間隔で交差する。各第2軸方向電極22はまた、複数の第2軸方向ワイヤ(wire)222を有する。第2軸方向ワイヤ(wire)222は、金属ジャンパである。第2軸方向ワイヤ(wire)222を、第1の表面33に対向する、絶縁層3の第2の表面34上に配置する。
【0063】
各金属ジャンパの両端部は、対応する貫通孔32をそれぞれ通過し、2つの隣接する第2の電極221を接続する。金属ジャンパの配置およびサイズは、マスク層6の配置およびサイズに対応する。
【0064】
静電容量方式タッチパネルの製造は、以下の処理ステップを備える。透明基板1の第2の表面(下側表面12)上にマスク層6を塗布する。ここで、マスク層6は、透明基板1の第2の表面(下側表面12)上に一定間隔で設置される複数のマスク片(piece)6aを備える。透明基板1の第2の表面(下側表面12)上に透明導電層を塗布する。
【0065】
電極パターンを持つ検知回路層2を形成する。ここで、検知回路層2は、複数の第1の電極211、第2の電極221、および第1軸方向ワイヤ(wire)212を備える。第1軸方向ワイヤ(wire)212は、2つの隣接する第1の電極211を接続する。
【0066】
透明絶縁材料を利用することで検知回路層2上に平面かつ連続構造の絶縁層3を配置し、第2の電極221上に複数の貫通孔32を形成する。第2軸方向ワイヤ(wire)222(金属ジャンパ)および金属回路23を設置する。
【0067】
本実施の形態では、金属ジャンパの両端部が、対応する貫通孔をそれぞれ通過し、2つの隣接する第2の電極221を接続する。信号を伝送する検知回路層2の周囲に金属回路23を配置する。
【0068】
マスク層6を塗布する時に、透明基板1の第2の表面(下側表面12)の周囲にブラックマトリクス(black matrix)5を同期して塗布することができる。ブラックマトリクス(black matrix)5は、透明基板1の第2の表面12の周囲を覆い、その配置は、金属回路23の配置に対応する。
【0069】
特定の実施の形態を示して説明したが、本発明の精神および範囲を離れることなくして、これに対する種々の変更および取り換えを行ってもよい。従って、本発明は説明として説明されたものであり、限定されるものでないことが理解される。
<付記1>
静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法であって、
前記静電容量方式タッチパネルは透明基板を備え、
前記透明基板は、タッチに利用される第1の表面および前記第1の表面に対向する第2の表面を備え、
前記方法は、
少なくとも1つの金属ジャンパを前記透明基板の第2の表面上に配置するステップと、
マスク層を塗布するステップと、を備え、
前記マスク層の反射率は前記金属ジャンパの反射率よりも小さく、
前記マスク層を、前記金属ジャンパに対応させ、かつ、前記透明基板および前記金属ジャンパの間に配置する、
静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
<付記2>
前記透明基板の前記第2の表面上に検知回路層を配置するステップをさらに備え、
前記検知回路層は、少なくとも2つの電極、および前記2つの電極を接続する金属ジャンパを備える、
付記1に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
<付記3>
前記方法は、
前記透明基板の第2の表面上に前記マスク層を形成するステップと、
前記透明基板の前記第2の表面上に検知回路層を形成するステップと、
前記第1軸方向ワイヤ(wire)上に絶縁層を配置するステップと、
前記絶縁層を横切って前記金属ジャンパを配置し、同一の軸上における2つの隣接する前記第2の電極を接続するステップと、をさらに備え、
前記マスク層は、前記透明基板の第2の表面上に一定間隔で配置される複数のマスク片(piece)を備え、
前記検知回路層は、複数の第1の電極、第2の電極、および2つの隣接する前記第1の電極を接続する第1軸方向ワイヤを備える、
付記2に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
<付記4>
前記マスク層は、灰色、茶色または黒色の非導電のマスク材料を用いて作られる、
付記3に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
<付記5>
前記マスク材料は、
黒色のフォトレジスト材料、茶色のフォトレジスト材料、灰色のフォトレジスト材料、窒化物、酸化物または窒化物および酸化物の混合物を備える、
付記4に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
【符号の説明】
【0070】
1 透明基板
10 タッチパネル
11 上側表面
12 下側表面
2 検知回路層
21 第1軸方向電極
211 第1の電極
212 第1軸方向ワイヤ(wire)
22 第2軸方向電極
221 第2の電極
222 第2軸方向ワイヤ(wire)
23 金属回路
3 絶縁層
4 保護層
5 ブラックマトリクス(black matrix)
6 マスク層
6a マスク片(piece)
7 電磁ノイズ遮蔽保護層
31 絶縁シート
32 貫通孔
33 第1の表面
34 第2の表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
少なくとも1つの金属ジャンパと、
マスク層と、を備え、
前記マスク層の反射率は前記金属ジャンパの反射率よりも小さく、
前記マスク層を前記金属ジャンパおよび前記透明基板の間に設置して、前記金属ジャンパによって反射される光を遮蔽する、
静電容量方式タッチパネル。
【請求項2】
タッチを検知し検知信号を生成する検知回路層をさらに備え、
前記透明基板は、タッチに利用可能な第1の表面および前記第1の表面に対向する第2の表面を有し、
前記検知回路層を、前記透明基板の前記第2の表面上に配置し、
前記検知回路層は、複数の第1の電極および複数の第2の電極を少なくとも備え、
隣接する前記第1の電極は第1軸方向ワイヤ(wire)を経て電気的に接続され、
隣接する前記第2の電極の間に金属ジャンパを設置して、隣接する前記第2の電極を電気的に接続すると共に、前記金属ジャンパおよび前記第1の電極を電気的に絶縁する、
請求項1に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項3】
前記マスク層を、前記透明基板の前記第2の表面上に配置し、
前記マスク層は、少なくとも1のマスク片を備え、前記マスク片を前記金属ジャンパに対応して配置する、
請求項2に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項4】
前記第1の電極および前記第2の電極を互いに絶縁して、相互に直交する2の方向においてそれぞれ設置する、
請求項2または3に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項5】
前記第1の電極および前記第2の電極を同一の層上に配置する、
請求項2〜4いずれか1項に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項6】
絶縁層を、前記第1軸方向ワイヤ(wire)および前記金属ジャンパの間に設置する、
請求項2〜5いずれか1項に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項7】
前記絶縁層は、複数の絶縁シートを備える、
請求項6に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項8】
前記絶縁シートは、優黒質または黒色の絶縁材料を用いて作られる、
請求項7に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項9】
前記絶縁シートを、前記マスク層として利用する、
請求項7または8に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項10】
前記絶縁層は複数の貫通孔を有し、
各前記金属ジャンパの両端部は、対応する前記貫通孔をそれぞれ通過し、2つの隣接する前記第2の電極を接続する、
請求項6に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項11】
ブラックマトリクス(black matrix)をさらに備え、
前記ブラックマトリクス(black matrix)を、前記透明基板の前記第2の表面の周囲に積層する、
請求項2〜10いずれか1項に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項12】
前記ブラックマトリクス(black matrix)は、灰色、茶色または黒色の非導電のマスク材料を用いて作られる、
請求項11に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項13】
電磁ノイズを遮蔽する電磁ノイズ遮蔽保護層をさらに備え、
前記ブラックマトリクス(black matrix)および透明基板の間に前記電磁ノイズ遮蔽保護層を設置する、
請求項11または12に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項14】
保護層をさらに備え、
前記検知回路層の表面上に前記保護層を配置する、
請求項2〜13いずれか1項に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項15】
前記マスク層は、灰色、茶色または黒色の非導電のマスク材料を用いて作られる、
請求項3〜6いずれか1項に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項16】
前記マスク材料は、
黒色のフォトレジスト材料、茶色のフォトレジスト材料、灰色のフォトレジスト材料、窒化物、酸化物または窒化物および酸化物の混合物を備える、
請求項15に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項17】
静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法であって、
前記静電容量方式タッチパネルは透明基板を備え、
前記透明基板は、タッチに利用される第1の表面および前記第1の表面に対向する第2の表面を備え、
前記方法は、
少なくとも1つの金属ジャンパを前記透明基板の第2の表面上に配置するステップと、
マスク層を塗布するステップと、を備え、
前記マスク層の反射率は前記金属ジャンパの反射率よりも小さく、
前記マスク層を、前記金属ジャンパに対応させ、かつ、前記透明基板および前記金属ジャンパの間に配置する、
静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
【請求項18】
前記透明基板の前記第2の表面上に検知回路層を配置するステップをさらに備え、
前記検知回路層は、少なくとも2つの電極、および前記2つの電極を接続する金属ジャンパを備える、
請求項17に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
【請求項19】
前記方法は、
前記透明基板の第2の表面上に前記マスク層を形成するステップと、
前記透明基板の前記第2の表面上に検知回路層を形成するステップと、
前記第1軸方向ワイヤ(wire)上に絶縁層を配置するステップと、
前記絶縁層を横切って前記金属ジャンパを配置し、同一の軸上における2つの隣接する前記第2の電極を接続するステップと、をさらに備え、
前記マスク層は、前記透明基板の第2の表面上に一定間隔で配置される複数のマスク片(piece)を備え、
前記検知回路層は、複数の第1の電極、第2の電極、および2つの隣接する前記第1の電極を接続する第1軸方向ワイヤを備える、
請求項18に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
【請求項20】
前記絶縁層は、複数の絶縁シートを備え、
前記第1軸方向ワイヤおよび前記金属ジャンパの交差上に前記絶縁シートを設置する、
請求項19に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
【請求項21】
前記絶縁層は、平面かつ連続構造であり、前記第2の電極上に形成される複数の貫通孔を有する、
請求項19に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
【請求項22】
前記絶縁層上に前記金属ジャンパを配置する時に、前記金属ジャンパの両端部は、対応する前記貫通孔をそれぞれ通過し、2つの隣接する前記第2の電極を接続する、
請求項21に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
【請求項23】
前記方法は、
前記透明基板の前記第2の表面上に検知回路層を形成するステップと、
前記第1軸方向ワイヤ(wire)上に絶縁シートを配置するステップと、
前記絶縁シートを横切って金属ジャンパを配置し、同一の軸上における2つの隣接する前記第2の電極を接続するステップと、をさらに備え、
前記検知回路層は、複数の第1の電極、第2の電極および第1軸方向ワイヤ(wire)を備え、
前記第1軸方向ワイヤ(wire)は、2つの隣接する前記第1の電極を接続し、
前記絶縁シートはマスク片(piece)として利用される、
請求項18に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。
【請求項24】
前記絶縁シートは、優黒質または黒色の絶縁材料を用いて作られる、
請求項23に記載の静電容量方式タッチパネルにおける金属ジャンパの視認性の減少方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−41573(P2013−41573A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128527(P2012−128527)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(509205375)宸鴻科技(廈門)有限公司 (17)
【Fターム(参考)】