説明

静電気帯電試験装置

【課題】静電気帯電試験装置において、試験試料に帯電する帯電量を可変することが可能であるようにすることを課題とする。
【解決手段】コロナ帯電装置20は、ベース組立体100と、このベース組立体100の上側にZ方向に移動可能に設けてある筐体組立体110と、この筐体組立体110の内部に張ってあるコロナワイヤ130と、筐体組立体110を昇降させる筐体組立体移動機構150と、コロナワイヤ130を筐体組立体110の内部で昇降させるコロナワイヤ移動機構170とを有する。コロナワイヤ130は筐体組立体110と共にターンテーブル14に接近され、或いは、単独でターンテーブル14に接近され、試験試料に帯電する帯電量が可変される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電気帯電試験装置に係り、特に、試験試料の帯電特性及び減衰特性を測定する静電気帯電試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電電子写真方式の複写機においては感光ドラムの帯電特性及び減衰特性は製品の品質上重要である。感光ドラムを構成する感光体の帯電特性及び減衰特性を測定するために静電気帯電試験装置が使用される。
【0003】
静電気帯電試験装置は、感光体である試験試料が載るターンテーブル、このターンテーブルに対向して配置されたコロナ帯電装置と、同じくターンテーブルに対向して配置された電位測定装置とを備えた構成である。
【0004】
従来の静電気帯電試験装置は、コロナ帯電装置のコロナ放電を発生するコロナワイヤのターンテーブルに対する高さ位置が固定である構成であった。
【特許文献1】特開2003−194776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、試験試料に帯電する帯電量を可変させることは出来なかった。このため、試験試料の評価を十分に詳細に行っているとはいえない状態であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決した静電気帯電試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、試験試料が取り付けられるターンテーブルに対向してコロナ帯電装置を配置してなる構成であり、試験試料が取り付けられた前記ターンテーブルを回転させ、且つ、前記コロナ帯電装置を駆動させて前記試験試料を帯電させて、前記試験試料の特性を測定する静電気帯電試験装置において、
前記コロナ帯電装置は、ベースと、前記ベース上に配置してあり、前記ターンテーブルに対向する側に開口を有する筐体と、前記筐体の内部に張られたコロナワイヤと、前記筐体を前記ベースに対して移動させる筐体移動機構とを有する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内部にコロナワイヤが張られた筐体が、ベース上に配置してあり、筐体移動機構によってベースに対して移動される構成であるため、試験試料に帯電する帯電量を可変させることが出来、従来に比較して試験試料の評価を詳細に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0010】
[静電気帯電試験装置1の概要]
図1は本発明の1実施例になる静電気帯電試験装置1の概略構成図である。図2(A)、(B)は図1中、ターンテーブル、コロナ帯電装置、電位測定装置の部分を示す図である。
【0011】
静電気帯電試験装置1は、本体2の内部に、ターンテーブル装置11と、コロナ帯電装置20と、電位測定装置30と、露光装置40とを有する構成である。本体2のうち内部の取付け台60より上側の室3は暗い暗室である。ターンテーブル14及びコロナ帯電装置20はこの暗室3の内部に配置してある。
【0012】
ターンテーブル装置10は、モータ12によってベルト駆動されて回転する回転軸13と、その回転軸13の上端に固定された絶縁性のターンテーブル14とを有する。回転軸13の上端側は、固定の取付け台60に、軸受19によって支持されている。このターンテーブル14には、貫通した開口窓14aが形成してあり、ターンテーブル14の上面に、この開口窓14aを覆うホルダ15が上方に開き可能に設けてある。試験試料10は、上方に開かれたホルダ15の裏面に取り付けられ、ホルダ15を閉じることによって、開口窓14a内にセットされる。
【0013】
コロナ帯電装置20は、コロナ放電を利用した帯電装置であり、取付け台60上に配置してあり、ターンテーブル14の下面に対向している。コロナ帯電装置20は、コロナ放電を起こして、イオンを発生し、発生したイオンを試験試料10に暴露して、試験試料10に電荷を与え、これを帯電させる。
【0014】
取付け台60は、回転軸13に関してコロナ帯電装置20とは反対側の箇所に開口窓61を有する。取付け台60上には開口窓61を囲むようにブラケット62が取り付けてあり、このブラケット62の内側が電位測定部63であり、且つ、露光部64である。
【0015】
電位測定装置30は、ブラケット62の内側に配置された、測定プローブとしてのネサガラス電極31と、ネサガラス電極31に接続してある電位計32とよりなる。電位測定装置30は、試験試料10と非接触状態で試験試料10の電位を測定する。
【0016】
露光装置40は、ハロゲンランプ41と、筒状の導光部42と、反射鏡43とを有し、ハロゲンランプ41の光が、反射鏡43で反射されて、導光部42を通って、露光部64に到る。
【0017】
ここで、上記静電気帯電試験装置1による試験試料の帯電特性及び減衰特性の測定の一つの例について説明する。
【0018】
ターンテーブル14は、図2(A)に示す位置に停止している。先ず、ホルダ15を開いて試験試料10を開口窓14a内にセットし、次いで、コロナ帯電装置20を動作させてコロナ放電を起こさせ、続いて、モータ12を駆動させ、ターンテーブル14を矢印C方向に回動させる。試験試料10は暗室内状態で移動する。試験試料10がコロナ帯電装置20の真上を通過する過程で、試験試料10が帯電される(図3の線70参照)。
【0019】
続いて、試験試料10が電位測定部62の真上に到った状態で、モータ12を停止させ、ターンテーブル14を停止させ、試験試料10を電位測定部62の真上に維持させる。
【0020】
この状態で電位測定装置30を動作させ、暗室内状態の試験試料10の電位を測定する(図3の線71参照)。これによって、試験試料10の暗減衰特性が測定される。なお、コロナ帯電装置20の動作は停止させる。
【0021】
所定時間経過後に、露光装置40を動作させる。即ち、ハロゲンランプ41が点灯され、ハロゲンランプ41よりの光が露光部63に導かれて、試験試料10を照射する。これによって、試験試料10の光減衰特性(図3の線72参照)が測定される。
[コロナ帯電装置20の構成]
次に、コロナ帯電装置20について説明する。
【0022】
図4(A)はコロナ帯電装置20の平面図、同図(B)は正面図、同図(C)は右側面図、同図(D)は底面図である。図5は、コロナ帯電装置20の調整態様を示す図である。図6は図4(A)中、線VI-VI線に沿うコロナ帯電装置20の断面図である。図7はコロナ帯電装置20を分解して示す図である。X1−X2はコロナ帯電装置20の長手方向、Y1−Y2はコロナ帯電装置20の幅方向、Z1−Z2はコロナ帯電装置20の高さ方向である。コロナ帯電装置20は、Y1−Y2方向に延在する中心線CLYに関して左右対称であり、且つ、X1−X2方向に延在する中心線CLXに関して左右対称である構成である。X2側の部品は添字を付さない符号で示し、X1側の部品は添字X1を付した符号で示す。構成の説明は、X2側について行い、X1側の構成については適宜省略する。
【0023】
図5(A)は通常の状態(調整前の状態)である。図5(B)は筐体組立体110が最大に上昇された状態、図5(C)はコロナワイヤ130が最大に上昇された状態、図5(D)は筐体組立体110が最大に上昇され、且つコロナワイヤ130も最大に上昇された状態を示す。
【0024】
コロナ帯電装置20は、大略、ベース組立体100と、このベース組立体100の上側にZ方向に移動可能に設けてある筐体組立体110と、この筐体組立体110の内部に、コロナワイヤ(チャージワイヤ)130が張ってあり、このコロナワイヤ130がZ方向に移動可能に支持してある構成である。コロナ帯電装置20は、筐体組立体110を昇降させる筐体組立体移動機構150と、コロナワイヤを昇降させるコロナワイヤ移動機構170とを有する。
【0025】
ベース組立体100は、スライドレール101上にベース部材102、102X1が間をあけて配置されてねじ103によってねじ止めしてある構成である。
【0026】
ベース部材102は、L字形状であり、水平の本体部102aと、本体部102aのX2の端の垂直腕部102bとを有する。
【0027】
筐体組立体110は、金属板製を曲げてU字形状としてある筐体本体111と、絶縁性の本体部材112、112X1と、底板部材115とを有する。筐体本体111は、底板部111aと、側板部111b,111cとを有する。本体部材112、112X1は、例えばテフロン(登録商標)製であり、底板部111a上に、X方向上、間をあけて配置されてねじ113によってねじ止めしてある。底板部材115は、筐体本体111の中央の下面にねじ116によってねじ止めしてある。上面のうちX2側とX1側とが、共に絶縁性の蓋板119、119X1によって塞がれている。よって、筐体組立体110は、Y1側とY2側の側面が筐体本体111の側板部111b,111cによって塞がれており、且つ、上面のうちX2側とX1側とが、蓋板119、119X1によって塞がれており、上面のうちコロナワイヤ130が張ってある中央部が開口120となっている構成である。
【0028】
コロナワイヤ130は、タングステン或いはステンレス製の細い線であり、筐体組立体110の内部の略中心を、コロナワイヤ支持ブロック171、171X1の間に張ってあり、コイルばね部材131、131X1によって張力を付与されている。なお、コロナワイヤ130は、コロナワイヤ支持ブロック171、171X1の上面の中央のV溝部172に嵌合して位置決めされており、コロナワイヤ130は開口120の中央をX方向に横切っている。コイルばね部材131、131X1はコロナワイヤ130の両端に接続してある。コイルばね部材131の自由端は、本体部材112にねじ133で固定してある電極部材132に掛止してあり、コイルばね部材131X1の自由端は、本体部材112にねじ133X1で固定してある電極部材132X1に掛止してあり、コイルばね部材131、131X1は共に斜めの向きにあり、コロナワイヤ支持ブロック171、171X1に対してはZ2方向の力を付与している。端子部材133は電極部材132と嵌合して本体部材112に固定してある。
[筐体組立体移動機構150の構成]
次に、筐体組立体移動機構150について、図7、図8及び図9(A)等を参照して説明する。
【0029】
図8は図7中、縦長の四角Aで囲んだ部分を拡大して示す斜視図である。図9(A)はこの長円Aで囲んだ部分の部品を組み立ててなる筐体組立体移動機構150を拡大して示す。
【0030】
特に図8に示すように、ベース部材102の垂直腕部102bの内側には、Z方向に延在するガイド溝151が形成してある。垂直腕部102bの下端部には、貫通穴152及びボルト頭部収容凹部153が形成してある。凹部153はスライドレール101の一部によって覆われている。垂直腕部102bの上端部には、ねじ穴154がガイド溝151にまで貫通して形成してある。
【0031】
155は絶縁性のガイド駒部材であり、本体部材112のX2側の凹部に嵌合した状態で、ねじ156によって筐体本体111の底板部111aに固定してあり、本体部材112よりX2側に突き出ており、ガイド溝151内に移動可能に嵌合している。ガイド駒部材155には、Z2側よりZ1方向に途中までねじ穴157が形成してある。ここで、ねじ穴157とはめねじ部が形成してある所謂めくら穴をいう。
【0032】
158はボルトであり、その頭部158aには六角穴158bを有し、Z2側から貫通穴152を貫通してガイド溝151に突き出ており、ねじ穴157に螺合している。頭部158aは凹部153内に収まってここに拘束されている。スライドレール101には、凹部153を塞いでいる部分に、六角棒スパナを差し込むための穴101aが形成してある。
【0033】
160は止めねじであり、Z1側からねじ穴154内にねじ込んである。
【0034】
上記の筐体組立体移動機構150と同じ構成の筐体組立体移動機構150X1がベース組立体100及び筐体組立体110のX1側にも設けてある。
[コロナワイヤ移動機構170の構成]
次に、コロナワイヤ移動機構170について、図7、図10及び図11(A)等を参照して説明する。
【0035】
図9は図6中、縦長の四角Bで囲んだ部分を拡大して示す斜視図である。図10(A)はこの長円Bで囲んだ部分の部品を組み立ててなるコロナワイヤ移動機構170を拡大して示す。
【0036】
特に図9に示すように、171は絶縁性のコロナワイヤ支持ブロックであり、上面の中央にV溝部172を有し、両側に突起部173、174を有し、且つ、Z2側よりZ1方向に途中までねじ穴175が形成してある。
【0037】
本体部材112のX1側には、Y1側とY2側に、柱部176,177が形成してある。柱部176,177の対向する面には、ガイド溝176a,177aが形成してある。
【0038】
底板部材115には、柱部176,177の間の位置に、貫通穴178及びボルト頭部収容凹部179が形成してある。凹部179はスライドレール101の一部によって覆われている。
【0039】
180はボルトであり、その頭部180aには六角穴180bを有し、Z2側から貫通穴178を貫通してガイド溝151に突き出ており、ねじ穴175に螺合している。頭部180aは凹部179内に収まってここに拘束されている。スライドレール101には、凹部153を塞いでいる部分に、六角棒スパナを差し込むための穴101bが形成してある。
【0040】
上記のコロナワイヤ移動機構170と同じコロナワイヤ移動機構150X1が本体部材112X1のX2側にも形成してある。
【0041】
上記の構成のコロナ帯電装置20は、図4(C)及び図5に示すように、取付け台60上に固定してあるガイドレール65にスライドレール101を嵌合案内させて、取付け台60上に取り付けてある。
【0042】
通常は、コロナ帯電装置20は、図4、図5(A)及び図6に示すように、筐体組立体110は下降した高さ位置にあり、コロナワイヤ支持ブロック171、171X1は共に下降した高さ位置にある。これによって、特に、図5(A)に示すように、コロナワイヤ130は、基準の高さH0に対して初期の高さH1に位置しており、ターンテーブル14の下面よりZ2方向に基準の距離S1(9mm)離れた位置に位置している。また、コロナワイヤ130は、筐体組立体110の底面及び左右の側面に対して基準の距離U1,V1離れた位置に張ってある。U1,V1は共に10mmである。基準の高さH0は、取付け台60の上面である。また、筐体組立体110とターンテーブル14との間には、寸法T(約4mm)の空間が存在している。
[試験試料の帯電量を増加させる場合の操作及び動作]
次に、試験試料に帯電する帯電量を増加させる場合の操作及び動作について説明する。
【0043】
筐体組立体移動機構150、150X1を調整操作することによって、或いは、コロナワイヤ移動機構170、170X1を調整操作することによって、更には、筐体組立体移動機構150、150X1とコロナワイヤ移動機構170、170X1との両方を調整操作することによって、コロナワイヤ130のターンテーブル14に近づけることが可能である。
【0044】
[コロナワイヤ130の筐体組立体110内における位置は変えないで、コロナワイヤ130をターンテーブル14に近づける場合]
コロナ帯電装置20を図2(A)中、矢印D方向に引き抜いて静電気帯電試験装置1より取り外し、この状態で、筐体組立体移動機構150を操作する。即ち、図12に示すように、ねじ回し200を使用して止めねじ160を緩める方向に回してZ1方向に後退させ、続いて、六角棒スパナ201を使用し、これを穴101aに差し込んで頭部158aの六角穴158bに嵌合させ、六角棒スパナを回してボルト158を緩める方向に回転させる。頭部158aが凹部153内に拘束されているため、ガイド駒部材155がガイド溝151内でZ1方向に移動され、筐体組立体110がZ1方向に上動される。筐体組立体110の移動量は、ゲージ等を使用して測定される。最後に、止めねじ160を締める方向に回し、止めねじ160の先端をガイド駒部材155の上面に押し付けることによって調整が完了する。X1側の筐体組立体移動機構150X1も同様に操作する。その後、コロナ帯電装置20を差し込んで静電気帯電試験装置1に取り付ける。
【0045】
図5(B)、図9(B)及び図13(A),(B)は、最大に調整されたコロナ帯電装置20が静電気帯電試験装置1に取り付けられた状態を示す。
【0046】
筐体組立体110が初期の位置よりZ1方向に最大に(例えば3.5mm)移動されており、コロナワイヤ130は、筐体組立体110内における位置を変えないで、初期の高さH1よりZ1方向に移動して、H2となり、コロナワイヤ130とターンテーブル14との間の距離がS2と短くなって、コロナワイヤ130がターンテーブル14に近づいた状態となる。これによって、試験試料に帯電する帯電量を増加させることが出来る。
【0047】
[筐体組立体110の高さ位置は変えないで、コロナワイヤ130をターンテーブル14に近づける場合]
コロナ帯電装置20を引き抜いて静電気帯電試験装置1より取り外し、この状態で、コロナワイヤ移動機構170を操作する。即ち、図14に示すように、六角棒スパナ202を使用し、これを穴101bに差し込んで頭部180aの六角穴180bに嵌合させ、六角棒スパナを回してボルト180を緩める方向に回転させる。頭部180aが凹部179内に拘束されているため、コロナワイヤ支持ブロック171が、両側に突起部173、174を夫々ガイド溝176a,177aに案内されつつ、Z1方向に移動され、コロナワイヤ130が迫り上げられる。X2側のコロナワイヤ移動機構170X1も同様に操作する。その後、コロナ帯電装置20を差し込んで静電気帯電試験装置1に取り付ける。
【0048】
図5(C)、図11(B)及び図15(A),(B)は、最大に調整されたコロナ帯電装置20が静電気帯電試験装置1に取り付けられた状態を示す。
【0049】
筐体組立体110は移動されないで、コロナワイヤ130だけが筐体組立体110の内部でZ1方向に最大に移動されて、初期の高さH1よりZ1方向に移動して、H3となり、コロナワイヤ130とターンテーブル14との間の距離がS3と短くなって、コロナワイヤ130がターンテーブル14に近づいた状態となる。これによって、試験試料に帯電する帯電量を増加させることが出来る。
【0050】
なお、コロナワイヤ130の筐体組立体110の内部での上昇は、コイルばね部材131、131X1が伸びることによって可能となっている。また、コロナワイヤ130は上昇した後にも、コイルばね部材131、131X1のばね力によって、正常に張られている。また、コロナワイヤ支持ブロック171、171X1がコイルばね部材131、131X1のばね力によってZ2方向に付勢されているため、コロナワイヤ支持ブロック171、171X1を柱部176,177に固定するためのねじは不要である。
【0051】
[筐体組立体110を上昇させ、且つ、コロナワイヤ130を上昇させて、コロナワイヤ130をターンテーブル14に近づける場合]
コロナ帯電装置20を引き抜いて静電気帯電試験装置1より取り外し、この状態で、筐体組立体移動機構150を操作すると共に、コロナワイヤ移動機構170を操作する。
【0052】
図5(D)は、最大に調整されたコロナ帯電装置20が静電気帯電試験装置1に取り付けられた状態を示す。
【0053】
筐体組立体110が初期の位置よりZ1方向に最大に移動されており、且つ、コロナワイヤ130が筐体組立体110の内部で最大に上昇されており、コロナワイヤ130は高さ位置H4となって、コロナワイヤ130とターンテーブル14との間の距離がS4と極く短くなって、コロナワイヤ130がターンテーブル14に相当に近づいた状態となる。これによって、試験試料に帯電する帯電量を相当に増加させることが出来る。
【0054】
なお、コロナ帯電装置20は、筐体組立体110が初期の高さ位置より上昇に加えて下降が可能であり、且つ、コロナワイヤ130が初期の高さ位置より上昇に加えて下降も可能である構成と出来る。
【0055】
特許請求の範囲の記載の「ベース」は実施例の「ベース組立体100」が対応し、特許請求の範囲の記載の「筐体」は実施例の「筐体組立体110」が対応する。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の1実施例になる静電気帯電試験装置の概略構成図である。
【図2】図1中、ターンテーブル、コロナ帯電装置、電位測定装置の部分を示す図である。
【図3】試験試料の帯電特性及び減衰特性の測定の一つの例を示す図である。
【図4】コロナ帯電装置の正投象図である。
【図5】コロナ帯電装置の調整態様を示す図である。
【図6】図4(A)中、線VI-VI線に沿うコロナ帯電装置の断面図である。
【図7】コロナ帯電装置を分解して示す図である。
【図8】図7中、長円Aで囲んだ部分を拡大して示す斜視図である。
【図9】筐体組立体移動機構を拡大して示す図であり、(A)は初期状態、(B)は調整した後の状態を示す。
【図10】図7中、長円Bで囲んだ部分を拡大して示す斜視図である。
【図11】コロナワイヤ移動機構を拡大して示す図であり、(A)は初期状態、(B)は調整した後の状態を示す。
【図12】筐体組立体移動機構の調整を示す図である。
【図13】筐体組立体移動機構が最大に調整された状態のコロナ帯電装置を示す図である。
【図14】コロナワイヤ移動機構の調整を示す図である。
【図15】コロナワイヤ移動機構が最大に調整された状態のコロナ帯電装置を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 静電気帯電試験装置
2 本体
3 暗室
10 試験試料
11 ターンテーブル装置
12 モータ
14 ターンテーブル
14a 開口窓
20 コロナ帯電装置
30 電位測定装置
31 ネサガラス電極
32 電位計
40 露光装置
41 ハロゲンランプ
42 導光部
60 取付け台
63 電位測定部
64 露光部
65 ガイドレール
100 ベース組立体
101 スライドレール
102,102X1 ベース部材
102a 本体部
102b 垂直腕部
110 筐体組立体
111 筐体本体
111a 底板部
111b,111c 側板部
112,112X1 本体部材
115 底板部材
119,119X1 蓋板
130 コロナワイヤ
131,131X1 コイルばね部材
150 筐体組立体移動機構
151 ガイド溝
153 ボルト頭部収容凹部
155 ガイド駒部材
157 ねじ穴
158 ボルト
158a 頭部
158b 六角穴
160 止めねじ
170 コロナワイヤ移動機構
171、171X1 コロナワイヤ支持ブロック
175 ねじ穴
176,177 柱部
176a,177a ガイド溝
179 ボルト頭部収容凹部
180 ボルト
180a 頭部
180b 六角穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験試料が取り付けられるターンテーブルに対向してコロナ帯電装置を配置してなる構成であり、試験試料が取り付けられた前記ターンテーブルを回転させ、且つ、前記コロナ帯電装置を駆動させて前記試験試料を帯電させて、前記試験試料の特性を測定する静電気帯電試験装置において、
前記コロナ帯電装置は、ベースと、前記ベース上に配置してあり、前記ターンテーブルに対向する側に開口を有する筐体と、前記筐体の内部に張られたコロナワイヤと、前記筐体を前記ベースに対して移動させる筐体移動機構とを有する構成としたことを特徴とする静電気帯電試験装置。
【請求項2】
試験試料が取り付けられるターンテーブルに対向してコロナ帯電装置を配置してなる構成であり、試験試料が取り付けられた前記ターンテーブルを回転させ、且つ、前記コロナ帯電装置を駆動させて前記試験試料を帯電させて、前記試験試料の特性を測定する静電気帯電試験装置において、
前記コロナ帯電装置は、前記ターンテーブルに対向する側に開口を有する導電性の筐体と、前記筐体の内部に張られたコロナワイヤと、前記コロナワイヤを前記筐体の内部で移動させるコロナワイヤ移動機構とを有する構成としたことを特徴とする静電気帯電試験装置。
【請求項3】
試験試料が取り付けられるターンテーブルに対向してコロナ帯電装置を配置してなる構成であり、試験試料が取り付けられた前記ターンテーブルを回転させ、且つ、前記コロナ帯電装置を駆動させて前記試験試料を帯電させて、前記試験試料の特性を測定する静電気帯電試験装置において、
前記コロナ帯電装置は、ベースと、前記ベース上に配置してあり、前記ターンテーブルに対向する側に開口を有する筐体と、前記筐体の内部に張られたコロナワイヤと、前記筐体を前記ベースに対して移動させる筐体移動機構と、前記コロナワイヤを前記筐体の内部で移動させるコロナワイヤ移動機構とを有する構成としたことを特徴とする静電気帯電試験装置。
【請求項4】
ベースと、前記ベース上に配置してあり、上側に開口を有する筐体と、前記筐体の内部に張られたコロナワイヤと、前記筐体を前記ベースに対して移動させる筐体移動機構とを有する構成としたことを特徴とするコロナ帯電装置。
【請求項5】
上側に開口を有する筐体と、前記筐体の内部に張られたコロナワイヤと、前記コロナワイヤを前記筐体の内部で移動させるコロナワイヤ移動機構とを有する構成としたことを特徴とするコロナ帯電装置。
【請求項6】
ベースと、前記ベース上に配置してあり、上側に開口を有する筐体と、前記筐体の内部に張られたコロナワイヤと、前記筐体を前記ベースに対して移動させる筐体移動機構と、前記コロナワイヤを前記筐体の内部で移動させるコロナワイヤ移動機構とを有する構成としたことを特徴とするコロナ帯電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−39563(P2008−39563A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213413(P2006−213413)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(592128191)株式会社川口電機製作所 (18)
【Fターム(参考)】