説明

静電荷像現像トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、画像形成装置、及び、画像構造体

【課題】被記録媒体の反りを抑制することができる静電荷像現像トナーを提供すること。
【解決手段】分子中に疎水性基と親水性基を有し、熱分解温度が78〜190℃である化合物を含む粒子を外添したことを特徴とする静電荷像現像トナー、前記静電荷像現像トナーを備えた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、前記静電荷像現像トナーを使用する画像形成方法、及び、前記静電荷像現像トナーによるトナー像を被記録媒体上に有する画像構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、画像形成装置、及び、画像構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては帯電、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。
従来のトナーとしては、特許文献1及び2に記載されたトナーが知られている。
特許文献1には、結着樹脂として結晶性樹脂及び少なくとも1種類の非結晶性樹脂を含み、正弦波振動法による動的粘弾性測定において、測定周波数を0.1〜100rad/secの範囲、測定歪を0.02〜4.5%の範囲として、温度60℃及び80℃で測定された周波数分散特性から求められる緩和スペクトルにおける緩和弾性率Hの極小値が10〜900Pa/cm2の範囲にあって、かつ、該極小値に対応する緩和時間λが1〜10000secの範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナーが記載されている。
特許文献2には、少なくとも着色剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻とにより構成される熱圧力定着用カプセルトナーにおいて、該芯材中に酸無水物基を1個以上有する共重合体を含有することを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−145725号公報
【特許文献2】特開平5−197185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、被記録媒体の反りを抑制することができる静電荷像現像トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、以下の<1>又は<10>〜<15>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<9>及び<16>とともに以下に示す。
<1>分子中に疎水性基と親水性基を有し、熱分解温度が78〜190℃である化合物を含む粒子を外添したことを特徴とする静電荷像現像トナー、
<2>前記化合物が界面活性剤である、上記<1>に記載の静電荷像現像トナー、
<3>前記界面活性剤がフッ素系界面活性剤である、上記<2>に記載の静電荷像現像トナー、
<4>前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤である、上記<3>に記載の静電荷像現像トナー、
<5>前記ノニオン系界面活性剤がアルコール系である、上記<4>に記載の静電荷像現像トナー、
<6>前記粒子の体積平均粒径が5nm〜3μmである、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー、
<7>前記粒子の、トナーの全重量に対する含有量が、0.5〜10重量%である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー、
<8>前記粒子における前記化合物の含有量が、前記粒子の全重量に対し、0.1〜10重量%である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー、
<9>有色着色剤を含まない、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー、
<10>上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーと、キャリアとを含む静電荷像現像剤、
<11>上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーが少なくとも収容されているトナーカートリッジ、
<12>現像剤保持体を備え、上記<10>に記載の静電荷像現像剤が少なくとも収容されているプロセスカートリッジ、
<13>像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被記録媒体の表面に転写する転写工程、及び、前記被記録媒体の表面に転写された前記トナー像を前記被記録媒体に定着する定着工程を含む画像形成方法、
<14>像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成させる潜像形成手段と、前記静電潜像を上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を被記録媒体の表面に転写させる転写手段と、前記被記録媒体の表面に転写された前記トナー像を前記被記録媒体に定着する定着手段とを有する画像形成装置、
<15>上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーによるトナー像を被記録媒体上に有する画像構造体、
<16>被記録媒体の周縁部の少なくとも一部に前記トナー像を有する上記<15>に記載の画像構造体。
【発明の効果】
【0006】
上記<1>、<2>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、被記録媒体の反りを抑制することができる静電荷像現像トナーを提供することができる。
上記<3>〜<8>に記載の発明によれば、上記<1>に記載の発明に比べて、被記録媒体の反りをより抑制することができる静電荷像現像トナーを提供することができる。
上記<9>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、画像に影響を与えずに被記録媒体の反りを抑制することができる静電荷像現像トナーを提供することができる。
上記<10>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、被記録媒体の反りを抑制することができる静電荷像現像剤を提供することができる。
上記<11>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、被記録媒体の反りを抑制することができるトナーカートリッジを提供することができる。
上記<12>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、被記録媒体の反りを抑制することができるプロセスカートリッジを提供することができる。
上記<13>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、被記録媒体の反りを抑制することができる画像形成方法を提供することができる。
上記<14>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、被記録媒体の反りを抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
上記<15>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、被記録媒体の反りが抑制された画像構造体を提供することができる。
上記<16>に記載の発明によれば、上記<15>に記載の発明に比べて、被記録媒体の反りがより抑制された画像構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の画像形成方法において被記録媒体上に形成される本実施形態の静電荷像現像トナーの定着トナー像の形成例を8つ例示した概略模式図である。
【図2】本実施形態の画像形成方法において被記録媒体上に形成される本実施形態の静電荷像現像トナーの定着トナー像の他の形成例を8つ例示した概略模式図である。
【図3】本実施形態の画像形成方法において被記録媒体上に形成される本実施形態の静電荷像現像トナーの定着トナー像のさらに他の形成例を8つ例示した概略模式図である。
【図4】本実施形態の画像形成方法において被記録媒体上に形成される本実施形態の静電荷像現像トナーの定着トナー像のさらに他の形成例を8つ例示した概略模式図である。
【図5】本実施形態の画像形成方法において被記録媒体上に形成される本実施形態の静電荷像現像トナーの定着トナー像のさらに他の形成例を8つ例示した概略模式図である。
【図6】本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図7】本実施形態の反り評価の概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本実施形態について説明する。
【0009】
(静電荷像現像トナー)
本実施形態の静電荷像現像トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、分子中に疎水性基と親水性基を有し、熱分解温度が78〜190℃である化合物を含む粒子を外添したことを特徴とする。
本実施形態の静電荷像現像トナーは、後述する有色着色剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
なお、本実施形態における「有色着色剤」とは、透明又は白色以外の色である着色剤のことをいう。
また、本実施形態の静電荷像現像トナーの色は、トナーの各種成分の影響を受けるが、透明又は白色であることが好ましい。すなわち、本実施形態の静電荷像現像トナーは、透明又は白色トナーであることが好ましく、無色透明又は白色トナーであることがより好ましい。
また、前記「透明」とは、光吸収や光散乱による着色を目的とした有色着色剤(着色顔料、着色染料、黒色カーボン粒子、黒色磁性粉など)を含まない、又は、肉眼において光吸収や光散乱による着色が認められない程度に有色着色剤が微量含まれていることを意味する。よって、本実施形態における前記透明トナーは、その中に含まれる各種成分の種類・量等によっては、透明度が若干低くなっていることがあるが、無色透明のトナーであることが好ましい。
また、本実施形態の静電荷像現像トナーは、被記録媒体の反りを抑制するための静電荷像現像トナーであることが好ましい。
【0010】
<分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物を含む粒子>
本実施形態のトナーは、分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物を含む粒子(以下、「特定外添剤」ともいう。)が外添されているトナーである。
本実施形態の特定外添剤に含まれる分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物の熱分解温度は、78〜190℃であり、トナー像を熱定着する定着工程の際に熱分解されるように、トナーの定着温度の範囲内にあることが好ましい。具体的には、90〜170℃であることが好ましい。また、本実施形態で用いた、熱分解温度78〜190℃の、分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物を含む粒子においては、高分子化合物と異なり、熱分解温度と沸点に大差が無いため、熱分解温度の代わりに沸点を用いてよい。なお、本実施形態における熱分解温度とは、「TGA−60AH」((株)島津製作所製)を使用し、試料10mgを窒素雰囲気下、一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、熱重量変化が始まる温度を指すものである。
【0011】
電子写真方式では被記録媒体上に形成されたトナー像を熱定着する際に、被記録媒体中の水分は減少する。そのため、被記録媒体の表面及びその近傍におけるヒドロキシ基等の極性基と水素結合を形成していた水が解離し、前記極性基は新たな水素結合を形成すると考えられる。熱定着時には、被記録媒体の表裏面で受ける熱量に差が生じるため、被記録媒体の表裏面で形成される水素結合の量に差が生じ、被記録媒体の反り(カール)が発生すると考えられる。
本実施形態のトナーは、疎水性基と親水性基を有する化合物を含む粒子が外添されている。かかるトナーでは、疎水性基と親水性基を有する化合物が定着時に熱分解されて除去されることにより、粒子の表面が露出する。この結果、前記粒子の表面及びその近傍におけるヒドロキシ基等の極性基と、被記録媒体の表面及びその近傍における前記極性基とが水素結合を形成し、被記録媒体の表面及びその近傍における前記極性基同士による水素結合の形成が抑制され、被記録媒体の反りが抑制されると考えられる。後述するように、特に、特定外添剤の粒子表面がヒドロキシ基等の極性基を多く含む親水性である場合には、被記録媒体の表面及びその近傍における前記極性基同士による水素結合の形成が確実に抑制され、被記録媒体の反りが確実に抑制されると考えられる。
【0012】
特定外添剤に含まれる分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物としては、例えば、アニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤の各種界面活性剤が挙げられる。
【0013】
アニオン界面活性剤としては、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、及びリン酸エステル型のいずれのタイプのものでも使用され得る。例えば、脂肪酸塩、ロジン酸塩、ナフテン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルケニルコハク酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、硫酸第一アルキル塩、硫酸第二アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、硫酸アルキルフェニルポリオキシエチレン塩、硫酸モノアシルグリセリン塩、アシルアミノ硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸アルキルエステル、α−オレフィンスルホン酸塩、第二アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、アシルイセチオン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、石油スルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、リン酸アルキル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸アルキルフェニルポリオキシエチレン塩、ペルフルオロアルキルカルボン酸塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩、ペルフルオロアルキルリン酸エステルが挙げられる。
【0014】
両性イオン界面活性剤とは、分子構造内にカチオン基とアニオン基と両者を併せもっている界面活性剤であって、分子構造内では電荷の分離があるが、分子全体としては電荷を持たない物質を意味する。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、N−アルキルニトリロトリ酢酸、N−アルキルジメチルベタイン、α−トリメチルアンモニオ脂肪酸、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸塩、N−アルキル−β−イミノビプロピオン酸塩、N−アルキルオキシメチル−N,N−ジエチルベタイン、N−アルキル−N,N−ジアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキルイミダゾリンの誘導体、N−アルキルスルホベタイン、N−アルキルヒドロキシスルホベタイン、N−アルキルタウリン塩、レシチン、ペルフルオロアルキルスルホンアミドアルキルベタインが挙げられる。
【0015】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アシルアミン塩、第4級アンモニウム塩、イミダゾリン、イミダゾリウム塩、及びアミン誘導体のいずれのタイプのものでも使用され得る。具体的には、例えば、第1級アミン塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、N−アルキルポリアルキレンポリアミン塩、脂肪酸ポリエチレンポリアミド、アミド、アミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アシルアミノエチルメチルジエチルアンモニウム塩、アシルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、アシルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アシルアミノエチルピリジニウム塩、ジアシルアミノエチルアンモニウム塩、ジアシロキシエチルメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルオキシメチルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−アシルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリウム塩、アルキルポリオキシエチレンアミン、N−アルキルアミノプロピルアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミン、N−アシルポリエチレンポリアミン、脂肪酸トリエタノールアミンエステルが挙げられる。
【0016】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、多価アルコールと脂肪酸がエステル結合したエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、エチレンオキシドが付加された脂肪酸、エチレンオキシドが付加された多価アルコール脂肪酸エステル、疎水基と親水基がアミド結合で結合した脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシドが挙げられる。
【0017】
なお、アニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤としては、上記列挙したものに限定されるものではなく、上記のほか、公知のアニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤を使用することができる。
【0018】
分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物の熱分解温度は、化合物種やその構造により調整される。上述したアニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤の中でも、熱分解温度が78〜190℃であるには、アルキル基の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素系界面活性剤が好ましい。かかるフッ素系界面活性剤の中でも、アルコール系界面活性剤がより好ましい。
また、フッ素原子は、水素原子と比較してファンデルワールス半径が大きい。このため、フッ素系界面活性剤は、定着工程において熱分解されるまで、特定外添剤の粒子の表面及びその近傍におけるヒドロキシ基等の極性基による親水性の発現を十分に阻害する。これにより、定着工程前においては特定外添剤の凝集が抑制された状態で、特定外添剤は被記録媒体上に配置される。その後、定着工程においてフッ素系界面活性剤が熱分解されて除去されると、特定外添剤の粒子表面及びその近傍における前記極性基により、被記録媒体の表面及びその近傍における極性基同士による水素結合の形成が抑制される。特定外添剤は被記録媒体上に凝集が抑制された状態で配置されているため、前記極性基同士による水素結合の形成が抑制される結果、被記録媒体の反りが十分に抑制される。
【0019】
分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物は、前記特定外添剤の表面に含有されていても、内部に含有されていても、表面及び内部に含有されていてもよいが、特定外添剤の粒子表面の親水性の発現を阻害する観点から、少なくとも表面に含有されていることが好ましい。
特定外添剤の粒子表面において、分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物は、親水性基を特定外添剤の粒子側に向け、疎水性基を外側に向けて配向する。このため、定着工程前においては、特定外添剤同士の凝集が抑制され、良好な分散性が実現される。
他方、定着工程において、分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物が熱分解されて除去されることで、特定外添剤の粒子表面が露出し、前述したように、被記録媒体の表面及びその近傍における極性基同士による水素結合の形成が抑制され、被記録媒体の反りが抑制される。
【0020】
特定外添剤の粒子(基材)としては、表面が親水性であれば、有機物であっても、無機物であってもよいが、無機物であることが好ましい。
無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸化物(チタニア、メタチタン酸等)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等を例示できる。
有機物としては、有機樹脂が例示でき、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を例示できる。
これらのうち、特定外添剤の粒子としては、シリカが好ましい。シリカは、チタニアやアルミナなどの無機物や有機物に比べ、トナー表面から遊離しやすく、特定外添剤が被記録媒体へ入り込みやすい。したがって、被記録媒体の反りがより抑制される。
なお、シリカとしては、乾式製法により得られたシリカよりも、ゾルゲル法等の湿式製法により得られたシリカの方が、表面の親水性がより高いため好ましい。
特定外添剤の体積平均粒径は、5nm〜3μmが好ましく、5〜200nmがより好ましく、10〜50nmが更に好ましい。体積平均粒径が5nm以上であると、特定外添剤はトナー表面から離れやすく、トナー表面の凹部には入り込みにくい。そのため、紙の凹部に入り込みやすくなる。体積平均粒径が3μm以下であると、特定外添剤はトナー表面から離れにくく、定着工程で十分な実外添量が得られる。
【0021】
特定外添剤の粒子と界面活性剤との組み合わせは、特定の組み合わせに限定されるものではなく、あらゆる組み合わせを用いることができるが、シリカ粒子とフッ素系かつアルコール系界面活性剤との組み合わせが好ましい。
【0022】
本実施形態のトナーにおける特定外添剤の含有量は、トナーの全重量に対し、0.5〜10重量%であることが好ましく、1〜5重量%であることがより好ましい。含有量が0.5重量%以上であると、被記録媒体の極性基に対して特定外添剤の数が適度である。含有量が10重量%以下であると、特定外添剤の凝集が起こりにくく、定着工程において、被記録媒体の極性基と結合する特定外添剤表面の極性基の数が適度である。
また、特定外添剤における分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物の含有量は、特定外添剤の全重量に対し、0.1〜10重量%であることが好ましく、1〜5重量%であることがより好ましい。含有量が0.1重量%以上であると、特定外添剤表面の極性基の露出が抑制され、特定外添剤同士の凝集が抑制される。したがって、特定外添剤が被記録媒体に入り込みやすく、被記録媒体の反りが十分に抑制される。含有量が10重量%以下であると、特定外添剤における分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物による、特定外添剤同士の凝集が抑制される。したがって、特定外添剤が被記録媒体に入り込みやすく、被記録媒体の反りが十分に抑制される。
【0023】
分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物を含む粒子である特定外添剤の製造方法としては、特に制限はなく、種々の方法を用いることができる。
例えば、分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物をアルコール等の有機溶媒あるいは水溶液に溶解又は分散させたものを用いて特定外添剤を製造することができる。具体的には、前記化合物を有機溶媒/水溶液に溶解又は分散させて、流動床、スプレードライ等を用いてシリカ等の粒子に噴霧し、乾燥及び/又は粉砕する乾式処理により特定外添剤を製造することができる。また、シリカ等の粒子を有機溶媒/水溶液に分散させて撹拌しながら、予め有機溶媒/水溶液に溶解又は分散させた前記化合物を滴下、混合し、脱溶媒後に、乾燥及び/又は粉砕する湿式処理により特定外添剤を製造することもできる。
ここで用いる溶媒としては、水のほか、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶媒あるいは前記溶媒の混合物を用いることができる。
【0024】
<結着樹脂>
本実施形態の静電荷像現像トナーは、結着樹脂を含むことが好ましい。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
【0025】
<着色剤>
本実施形態の静電荷像現像トナーは、着色剤を含有していてもよく、公知の着色剤を用いることができるが、有色着色剤を含まなくてもよい。見た目(高画質)に不具合が生じない程度に有色着色剤を含む場合にも本実施形態の効果は得られる。
有色着色剤以外の着色剤としては、体質顔料、及び、白色着色剤が例示できる。
体質顔料としては、外添剤や充填剤としても使用されるシリカ、アルミナ、チタニア、及び、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
白色着色剤としては、公知の白色着色剤であれば特に限定はないが、酸化チタン、亜鉛華、アンチモン白、硫化亜鉛、及び、酸化ケイ素等が挙げられる。
【0026】
また、有色着色剤としては、例えば、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、ランプブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、ウルトラマリンブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系等の各種染料が例示できる。
また、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を例示することができる。
着色剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0027】
<その他のトナー成分>
本実施形態の静電荷像現像トナーは、その用途と必要に応じて、公知の添加剤を、1種又は複数を組み合わせて配合することができる。
添加剤としては、例えば、帯電制御剤、離型剤、滑剤等が挙げられる。
【0028】
帯電制御剤の例としては、公知のものが使用でき、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有する樹脂等の帯電制御剤が用いられる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが望ましい。なお、本実施形態の静電荷像現像トナーは、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
【0029】
離型剤の例としては、公知のものが使用でき、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類やエステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及び、それらの変性物が使用できる。
これらのワックス類は、水中にイオン性の界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化し、1μm以下の粒子の分散液を作成することができる。
【0030】
また、前記特定外添剤に加え、必要に応じて、通常のトナーと同様に、従来公知の外添剤を組み合わせて利用してもよい。これら外添剤としては、例えば、帯電特性、粉体特性、転写特性、クリーニング特性を改善する目的で、無機粒子、帯電制御剤、潤滑剤、研磨剤、クリーニング助剤等の公知の無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方からなる外添剤が挙げられ、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂粒子をトナーの表面へ添加して用いることもできる。
【0031】
本実施形態の静電荷像現像トナーの累積体積平均粒径D50(中心径)は、2〜10μmであることが好ましく、2〜8μmであることがより好ましく、3〜5μmであることが更に好ましい。上記範囲であると、被記録媒体へトナーが入り込みやすく、そのため特定外添剤も被記録媒体へ入り込みやすい。したがって、被記録媒体の反りがより抑制される。
【0032】
トナーや前記特定外添剤等の粒子の平均粒径測定には、コールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)を用いることができる。この場合、粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定した。測定した粒子の粒径は、特に断りのない限り、体積平均粒径で表す。
粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、(株)堀場製作所製)を用いて測定することができる。
累積体積平均粒径D50は、例えばコールターカウンターTA−II(ベックマン−コールター社製)、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を累積体積平均粒径D50と定義する。
外添剤の平均粒径は、個数平均粒径を用い、測定方法は次の通りである。粒子をエタノールにより希釈し、それを透過型電子顕微鏡(TEM:JEM−1010型、日本電子データム(株)製)用カーボングリッド上で乾燥しTEM観察(50,000倍)を行い、その画像をプリントして1次粒子をサンプルとして任意に100サンプルを抽出し、その画像面積に相当する円形粒子の粒径(長径と短径の平均値:円と近似して求めた)を粒子の個数平均粒径とする。
トナーに外添された状態の粒子は、その状態を走査型電子顕微鏡(SEM:S−4700型、(株)日立製作所製)で観察(50,000倍)を100視野行い、各外添剤(複合外添されている場合には、電子顕微鏡S4100に取り付けたエネルギー分散型X線分析装置EMAX model6923H((株)堀場製作所製)を用いて加速電圧20kVでマッピングし、粒子種を判別した外添剤の画像面積に相当する円形粒子の粒径(長径と短径の平均値:円と近似して求めた)を1,000箇所測定し、その平均値を外添剤の個数平均粒径とする。
【0033】
本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法は、特に制限はなく、公知の方法により製造すればよい。
例えば、結着樹脂と着色剤と、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が使用される。また上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。
【0034】
特定外添剤をトナーへ外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には例えば、トナーの乾燥後、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて乾式で表面に付着する方法、前記特定外添剤を液体に分散させた後、スラリー状態のトナーに添加し乾燥させ表面に付着する方法、又は、湿式方法として、乾燥トナーにスラリーをスプレーしながら乾燥する方法が挙げられる。
【0035】
<静電荷像現像剤>
本実施形態の静電荷像現像トナーは、静電荷像現像剤として使用することもできる。
本実施形態の静電荷像現像剤は、この静電荷像現像トナーを含有することのほかは特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
また、本実施形態の静電荷像現像剤は、被記録媒体の反り抑制用の静電荷像現像剤として好ましく用いられる。
【0036】
キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子;磁性体粒子を芯材としてその表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などの樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる樹脂被覆キャリア;結着樹脂中に磁性体粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア等が好ましく挙げられる。中でも、樹脂被覆キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため特に好ましい。
なお、静電荷像現像剤における、トナーと、キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。好ましい混合比としては、キャリア100重量部に対して、トナー2重量部以上10重量部以下である。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
【0037】
<画像形成方法>
本実施形態の画像形成方法は、像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を本実施態様の静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被記録媒体の表面に転写する転写工程、及び、前記被記録媒体の表面に転写された前記トナー像を前記被記録媒体に定着する定着工程を含むことが好ましい。
また、前記定着工程は、前記被記録媒体の表面に転写された前記トナー像を前記被記録媒体に定着し、特定外添剤における分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物を熱により分解して除去する定着工程であることが好ましい。
前記定着工程における定着温度としては、特定外添剤における分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物の熱分解温度以上に設定すればよいが、80〜190℃であることが好ましい。
【0038】
前記現像工程は、本実施形態の静電荷像現像トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を使用した現像工程である。例えば、カラー画像を形成する場合、本実施形態の画像形成方法は、マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの本実施形態以外の静電荷像現像トナーにより静電潜像を現像する工程を含んでいてもよく、前記現像工程は、これら着色トナーにより現像を行う工程の前に行っても、後に行ってもよく、また、ある色のトナーの現像と他の色のトナーの現像との間に行ってもよい。
また、前記現像工程は、必要に応じ、2回以上行ってもよい。
前記現像工程は、本実施形態の静電荷像現像トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を使用する以外については、特に制限はなく、公知の現像方法により現像を行えばよい。
【0039】
また、本実施形態の静電荷像現像剤(静電荷像現像トナー)は、通常の静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができる。
前記潜像形成工程、及び、転写工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
【0040】
前記潜像形成工程は、潜像保持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記転写工程は、前記トナー像を被記録媒体上に転写する工程である。
また、本実施形態の画像形成方法は、前記転写工程の前に、前記トナー像を、転写ドラムや転写ベルト等の被転写体の表面に転写する中間転写工程を含んでいてもよい。
また、本実施形態の画像形成方法は、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング工程を含んでいてもよい。
【0041】
本実施態様に用いられる被記録媒体としては、特に制限はないが、セルロースを含む被記録媒体が好ましく、主原料(50重量%以上)がパルプ等のセルロースである被記録媒体がより好ましい。セルロースはグルコース分子の重合体であり、ヒドロキシ基を多く有する。セルロースを含む被記録媒体であると、定着により被記録媒体の、例えばセルロースのヒドロキシ基と前記分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物が熱分解して露出した粒子の表面及びその近傍におけるヒドロキシ基等の極性基とが水素結合を形成することにより、被記録媒体の反りがより効果的に抑制される。
被記録媒体としては、例えば、普通紙、厚紙、ラフ紙、普通紙、及び、表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、並びに、印刷用のアート紙等を使用することができる。
【0042】
本実施態様の画像形成方法において、本実施形態の静電荷像現像トナーにより被記録媒体上に形成される定着トナー像は、特に制限はなく、どのような形状で形成されていてもよい。例えば、被記録媒体の全面に形成しても、被記録媒体の一部に任意の形状で形成してもよく、被記録媒体の片面だけでなく、両面に形成してもよい。
例えば、図1〜図5にそれぞれ8例ずつ、本実施形態の画像形成方法において被記録媒体上に形成される本実施形態の静電荷像現像トナーの定着トナー像の形成例を示す。
図1の(A)に示すように、被記録媒体10の進行方向と同じ向きに、被記録媒体10の端部において本実施形態の静電荷像現像トナーの定着トナー像12を、直線状に形成してもよく、図1の(B)に示すように、被記録媒体10の端部において本実施形態の静電荷像現像トナーの定着トナー像12を、点線状に形成してもよい。また、本実施形態の静電荷像現像トナーの定着トナー像12は、直線状や点線状だけでなく、点状であっても、円形であっても、星形であっても、これらを組み合わせた形状であってもよく、任意の形状に形成すればよい。
本実施形態の静電荷像現像トナーにより被記録媒体上に形成される定着トナー像は、被記録媒体の全面に形成するか、又は、図1の(A)〜(H)、図2の(A)〜(H)、図3の(A)〜(H)、図4の(A)〜(H)若しくは図5の(A)〜(H)のいずれかの形状で形成されることが好ましい。
【0043】
本実施態様の画像形成方法において、本実施形態の静電荷像現像トナーにより被記録媒体上に形成される定着後のトナー像の重さ(画像部における単位面積あたりのトナー量)は、0.2〜1.0mg/cm2であることが好ましい。上記範囲であると、本実施形態の静電荷像現像トナーによる被記録媒体の反り抑制効果が十分に得られる。
【0044】
<画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成させる潜像形成手段と、前記静電潜像を本実施形態の静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を被記録媒体の表面に転写させる転写手段と、前記被記録媒体の表面に転写された前記トナー像を前記被記録媒体に定着する定着手段とを有することが好ましい。
前記定着手段は、前記被記録媒体の表面に転写された前記トナー像を前記被記録媒体に定着し、特定外添剤における分子中に疎水性基と親水性基を有する化合物を熱により分解して除去する定着手段であることが好ましい。
前記定着工程が設定可能な定着温度としては、80〜190℃であることが好ましい。
【0045】
前記像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いることができる。前記潜像形成手段、及び、前記転写手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
また、前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。
【0046】
(画像構造体)
本実施形態の画像構造体は、本実施形態の静電荷像現像トナーにより形成されたトナー像を被記録媒体上に有する画像構造体(印刷物)であり、本実施形態の画像形成方法、及び/又は、本実施形態の画像形成装置により製造された画像構造体(印刷物)であることが好ましい。
また、本実施形態の画像構造体は、前記トナー像を、被記録媒体の進行方向と同じ向き、かつ直線状に、被記録媒体上に有することが好ましい。
本実施形態の静電荷像現像トナー、被記録媒体、及び、トナー像の形状は、前述したものが好ましく挙げられる。
本実施形態の画像構造体におけるトナー像の重さは、0.2〜1.0mg/cm2であることが好ましい。上記範囲であると、本実施形態の静電荷像現像トナー以外の有色トナーを使用して形成した画像への影響(画像の乱れなど)が抑制でき、また、被記録媒体の反り抑制効果が十分に得られる。
本実施形態の画像構造体は、本実施形態の静電荷像現像トナーにより被記録媒体上に形成されたトナー像を、他の画像が形成されていない部分に有することが好ましい。また、本実施形態の画像構造体は、本実施形態の静電荷像現像トナーにより被記録媒体上に形成されたトナー像を、被記録媒体の周縁部の少なくとも一部に有することが好ましく、具体的には、被記録媒体の縁から3cm以下の範囲の少なくとも一部に有することがより好ましく、被記録媒体の縁から0.5〜3cmの範囲の少なくとも一部に有することが更に好ましい。上記態様であると、他の画像への影響が小さく、かつ、十分な被記録媒体の反り抑制効果が得られる。
【0047】
(プロセスカートリッジ、及び、トナーカートリッジ)
本実施形態のプロセスカートリッジは、少なくとも現像剤保持体を備え、本実施形態の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジである。
図6は、本実施形態の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。
プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図6において符号300は被記録媒体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
【0048】
図6で示すプロセスカートリッジ200では、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態のプロセスカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
【0049】
次に、本実施形態のトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態のトナーカートリッジは、少なくとも本実施形態の静電荷像現像トナーが収容されたトナーカートリッジであればよく、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための本実施形態の静電荷像現像トナーを収容するトナーカートリッジであることが好ましい。なお、本実施形態のトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば、現像剤が収められてもよい。
【0050】
したがって、トナーカートリッジの着脱が可能な構成を有する画像形成装置においては、本実施形態の静電荷像現像トナーを収めたトナーカートリッジを利用することにより、本実施形態の静電荷像現像トナーが容易に現像装置に供給される。
【実施例】
【0051】
以下、本実施形態の実施例について詳細に説明するが、これらの実施例に本実施形態が限定されるものではない。また、実施例中「部」とあるのは、特に断りがない限り重量部を表す。
【0052】
(特定外添剤Aの作製)

窒素雰囲気下、反応容器にエタノール160部、テトラエトキシシラン11部、水6部を入れ、80rpmで撹拌しているところに20重量%アンモニア水15部を45分かけて滴下した。35℃で6時間撹拌した後、液量が半分になるまでエバポレーターで濃縮留去した。ここに水を400部加え0.3M硝酸でpH4に調整したものを、遠心沈降機によって生成物を沈殿させた。上澄み液をデカンテーションで除去した後、凍結乾燥機で60時間凍結乾燥させ、シリカを白色粉末(無機粒子(基材粒子))として得た。次に得られた白色粉末100部をアセトン70部に分散させ、その中に2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(CF3CHFCF2CH2OH、TCI製、H0649、沸点113℃)3部を添加し、超音波をかけ30分間室温で撹拌した。エバポレーターを用いて、溶剤のアセトンを除き、3時間減圧乾燥した。次にピンミルによって本処理品を解砕し、105μmメッシュの篩を用いて篩分して、特定外添剤Aを得た。
【0053】
(特定外添剤Bの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(CF3CHFCF2CH2OH、TCI製、H0649、沸点113℃)の代わりに、ペンタデカフルオロオクタン酸メチル(CF3(CF26COOCH3、TCI製、P1453、沸点158℃)を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Bを得た。
【0054】
(特定外添剤Cの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(CF3CHFCF2CH2OH、TCI製、H0649、沸点113℃)の代わりに、ヘプタフルオロ酪酸(CF3(CF22COOH、TCI製、H0024、沸点120℃)を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Cを得た。
【0055】
(特定外添剤Dの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(CF3CHFCF2CH2OH、TCI製、H0649、沸点113℃)の代わりに、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール(CF3CF2CH2OH、TCI製、P0845、沸点81℃)を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Dを得た。
【0056】
(特定外添剤Eの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(CF3CHFCF2CH2OH、TCI製、H0649、沸点113℃)の代わりに、ペンタデカフルオロオクタン酸(CF3(CF26COOH・xH2O、TCI製、A5717、沸点189℃)を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Eを得た。
【0057】
(特定外添剤Fの作製)
白色粉末として、気相法SiO2(OX50、日本アエロジル(株)製)を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Fを得た。
【0058】
(特定外添剤Gの作製)
テトラエトキシシランの代わりにテトラn−ブトキシチタネート19部を用い、20重量%アンモニア水を0部にし、水を45分かけて滴下した以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Gを得た。
【0059】
(特定外添剤Hの作製)
35℃で1時間撹拌した以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Hを得た。
【0060】
(特定外添剤Iの作製)
35℃で12時間撹拌した以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Iを得た。
【0061】
(特定外添剤Jの作製)
3μmのゾルゲル製法SiO2を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Jを得た。
【0062】
(特定外添剤Kの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノールを0.1部用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Kを得た。
【0063】
(特定外添剤Lの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノールを10部用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Lを得た。
【0064】
(特定外添剤Mの作製)
4nmのゾルゲル製法SiO2を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Mを得た。
【0065】
(特定外添剤Nの作製)
3.5μmのゾルゲル製法SiO2を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Mを得た。
【0066】
(特定外添剤Oの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(CF3CHFCF2CH2OH、TCI製、H0649、沸点113℃)の代わりに、フルオロプロピオン酸エチル(CF3CF2COOCH2CH3、TCI製、P1123、沸点76℃)を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Oを得た。
【0067】
(特定外添剤Pの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(CF3CHFCF2CH2OH、TCI製、H0649、沸点113℃)の代わりに、ドデカフルオロヘプタン酸(H(CF26COOH、ダイキン化成工業(株)製、C−206、沸点195℃)を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Pを得た。
【0068】
(特定外添剤Qの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(CF3CHFCF2CH2OH、TCI製、H0649、沸点113℃)の代わりに、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Qを得た。
【0069】
(特定外添剤Rの作製)
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノールを11部用いた以外は、特定外添剤Aと同様にして、特定外添剤Rを得た。
【0070】
(実施例1〜18:特定外添剤が外添されたトナー)
以下に示す方法により、実施例1〜18のトナーをそれぞれ製造した。
【0071】
<樹脂粒子分散液Aの調製>
・スチレン 540重量部
・n−ブチルアクリレート 60重量部
・アクリル酸 12重量部
・ドデカンチオール(DDT) 12重量部
上記の組成で、樹脂粒子分散液の構成成分を混合溶解したものを、アニオン性の界面活性剤であるネオゲンR(登録商標)(第一工業製薬(株)製:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)13重量部をイオン交換水555重量部に溶解したものにフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム9重量部を溶解したイオン交換水42.8重量部を投入し、窒素置換を行った。そののちフラスコを撹拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続し、樹脂粒子分散液Aを得た。得られた樹脂粒子分散液Aにおける樹脂粒子は、Tgが57℃、数平均分子量が11,000であった。
【0072】
<離型剤粒子分散液の調製>
・パラフィンワックス(日本精鑞(株)製、HNP0190、融点85℃)
63.0重量部
・カチオン性界面活性剤(花王(株)製、サニゾールB50) 1.58重量部
・イオン交換水 150重量部
上記成分をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で95℃に加熱しながら十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーに移して分散処理を行い、離型剤粒子の体積平均粒子径(D50)が550nmの離型剤粒子分散液を得た。
【0073】
<凝集粒子Aの調製>
作製した樹脂粒子分散液A及び離型剤粒子分散液を用いて、以下の組成で樹脂粒子を製造した。
・樹脂粒子分散液A 520重量部
・樹脂粒子分散液A(追加用) 200重量部
・離型剤粒子分散液 215重量部
・ポリ塩化アルミニウム10重量%水溶液(浅田化学工業(株)) 4.2重量部
・0.02M硝酸 38重量部
上記樹脂粒子の構成成分のうち、樹脂粒子分散液A(追加用)以外の成分を丸型ステンレス製フラスコ中に入れてホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら55℃まで加熱した。55℃で15分間保持した後、樹脂粒子分散液A(追加用)を緩やかに200重量部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を55℃へ上げてその温度で20分保持して凝集粒子を得た。
その後、ここに1N水酸化ナトリウムを52重量部追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら96℃まで加熱し、pHを4に調整した後、7時間保持して凝集粒子を融合させた。この融合粒子をpH6.5のイオン交換水で十分洗浄した後、凍結乾燥を行い、平均粒径4.6μmの凝集粒子Aを得た。
【0074】
<凝集粒子Bの調製>
55℃で30分間保持した後、樹脂粒子分散液A(追加用)を緩やかに200重量部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を55℃へ上げてその温度で50分保持した以外は、凝集粒子Aと同様にして、平均粒径7.0μmの凝集粒子Bを得た。
【0075】
<凝集粒子Cの調製>
(樹脂分散液(1A)の調製)
・スチレン 370部
・n−ブチルアクリレート 30部
・アクリル酸 8部
・ドデカンチオール 24部
・四臭化炭素 4部
以上の成分を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10部をイオン交換水550部に溶解したものにフラスコ中で乳化分散させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果体積平均粒径157nmであり、T=が59℃、重量平均分子量Mw=12,000の樹脂粒子が分散された樹脂分散液(1A)が得られた。
【0076】
(樹脂分散液(2A)の調製)
・スチレン 280部
・n−ブチルアクリレート 120部
・アクリル酸 7部
以上の成分を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)12部をイオン交換水550部に溶解したものにフラスコ中で乳化分散させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム3部を溶解したイオン交換水50部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果体積平均粒径105nmであり、Tg=53℃、重量平均分子量Mw=550,000の樹脂粒子が分散された樹脂分散液(2A)が得られた。
【0077】
(着色剤分散液の調製)
・カーボンブラック 50部
(モーガルL:キャボット製)
・ノニオン性界面活性剤 5部
(ノニポール400:三洋化成(株)製)
・イオン交換水 200部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散し、平均粒径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散液を調製した。
【0078】
(離型剤分散液の調製)
・パラフィンワックス 51部
(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点85℃)
・カチオン性界面活性剤 6部
(サニゾールB50:花王(株)製)
以上の成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
【0079】
(トナーの調製)
・樹脂分散液(1A) 120部
・樹脂分散液(2A) 80部
・着色剤分散液 200部
・離型剤分散液 40部
・カチオン性界面活性剤 1.5部
(サニゾールB50:花王(株)製)
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら50℃まで加熱した。50℃で10分間保持した後、光学顕微鏡で確認したところ、平均粒径が4.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。さらに上記分散液に、樹脂含有粒子分散液として樹脂分散液(1A)を緩やかに60部追加した。そして30分間保持した。光学顕微鏡にて観察したところ、平均粒径が4.8μmである粒子が形成されていることが確認された。
上記粒子分散液にアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)3部を追加した後、前記ステンレス鋼鉄フラスコ中を密閉し、磁力シールを用いて撹拌しながら105℃まで加熱し、4時間保持した。
次に、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることにより、体積平均粒径D50vが5.0μmのトナー粒子(凝集粒子C)を得た。
【0080】
<静電荷像現像トナーの調製>
作製した凝集粒子A、B又はCと、表1に記載の特定外添剤とをヘンシェルミキサーで混合して、凝集粒子に特定外添剤を外添し、実施例1〜24の静電荷像現像トナーをそれぞれ得た。なお、得られたトナーにおける、トナーの全重量に対する特定外添剤の含有量はそれぞれ、表1に記載した通りである。
また、同様に、作製した凝集粒子Aと、表1に記載の特定外添剤とをヘンシェルミキサーで混合して、樹脂粒子に特定外添剤を外添し、比較例1、2の静電荷像現像トナーをそれぞれ得た。
【0081】
<静電荷像現像剤の調製>
・フェライト粒子(平均粒径:50μm):100部
・トルエン:14部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比(モル比):90/10:Mw=80,000):2部
・カーボンブラック(R330:キャボット社製):0.2部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した。その後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを得た。
次に、キャリア100部と各トナー5部とをV−ブレンダーを用い40rpmで20分間撹拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより各静電荷像現像剤を得た。
【0082】
[評価]
評価には、クリーニングブレードを備えたタンデム方式の画像形成装置改造機(富士ゼロックス(株)製DocuPrint405/505の改造機)を用い、イエロー/マゼンタ/シアン位置は、DocuPrint405/505用イエロー/マゼンタ/シアン現像剤、ブラック位置に実施例1〜24、又は、比較例1、2の現像剤を収容した。
評価に際しては、低温低湿環境(5℃、15%RH)下にて36時間シーズニング(慣らし運転)を行い、その後さらに高温高湿環境(35℃、85%RH)下にて35時間シーズニングを行った後、非コートのフルカラー専用紙に、文字画像(イエロー、マゼンタ、シアン各々画像密度1%)、実施例1〜24、比較例1、2のトナーを、トナー像の重さ0.6(mg/cm2)になるように100%ソリッド画像を定着して、出力画像(画像構造体)をそれぞれ作成した。
【0083】
<被記録媒体の反り評価>
23℃、50%RHの環境において、図7に示すように、出力画像(画像構造体)を、印字面を上に平置きに放置し、印字後100時間放置した後に発生する反りの発生量(図7で示すh(mm))を測定し、評価を行った。評価基準は以下の通りであり、◎、○、及び、△が許容レベルである。結果を表1に示す。
◎:反りの発生量が30mm未満である。
○:反りの発生量が30mm以上55mm未満である。
△:反りの発生量が55mm以上75mm未満である。
×:反りの発生量が75mm以上である。
【0084】
実施例1〜24、及び、比較例1、2の評価結果を、以下の表1にまとめて示す。なお、表1における「トナー像形成形態(図1)」は、図1の(A)、(B)又は(D)について、いずれも用紙端部の左上又は右上から1cm×1cmの位置から用紙下部に向かい作成したものである。
【0085】
【表1】

【符号の説明】
【0086】
10:被記録媒体
12:定着トナー像
20:画像構造体
22:平板
107:感光体(像保持体)
108:帯電ローラ(帯電装置、帯電手段)
111:現像装置(現像手段)
112:転写装置
113:感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
115:定着装置(ロール状定着手段)
116:取り付けレール
117:除電露光のための開口部
118:露光のための開口部
200:プロセスカートリッジ
300:記録紙(被記録媒体)
h:反りの発生量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子中に疎水性基と親水性基を有し、熱分解温度が78〜190℃である化合物を含む粒子を外添したことを特徴とする
静電荷像現像トナー。
【請求項2】
前記化合物が界面活性剤である、請求項1に記載の静電荷像現像トナー。
【請求項3】
前記界面活性剤がフッ素系界面活性剤である、請求項2に記載の静電荷像現像トナー。
【請求項4】
前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤である、請求項3に記載の静電荷像現像トナー。
【請求項5】
前記ノニオン系界面活性剤がアルコール系である、請求項4に記載の静電荷像現像トナー。
【請求項6】
前記粒子の体積平均粒径が5nm〜3μmである、請求項1〜5のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー。
【請求項7】
前記粒子の、トナーの全重量に対する含有量が、0.5〜10重量%である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー。
【請求項8】
前記粒子における前記化合物の含有量が、前記粒子の全重量に対し、0.1〜10重量%である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー。
【請求項9】
有色着色剤を含まない、請求項1〜8のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーと、キャリアとを含む静電荷像現像剤。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーが少なくとも収容されているトナーカートリッジ。
【請求項12】
現像剤保持体を備え、請求項10に記載の静電荷像現像剤が少なくとも収容されているプロセスカートリッジ。
【請求項13】
像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像を請求項1〜9のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を形成する現像工程、
前記トナー像を被記録媒体の表面に転写する転写工程、及び、
前記被記録媒体の表面に転写された前記トナー像を前記被記録媒体に定着する定着工程を含む
画像形成方法。
【請求項14】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記像保持体の表面に静電潜像を形成させる潜像形成手段と、
前記静電潜像を請求項1〜9のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を被記録媒体の表面に転写させる転写手段と、
前記被記録媒体の表面に転写された前記トナー像を前記被記録媒体に定着する定着手段とを有する
画像形成装置。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナーによるトナー像を被記録媒体上に有する画像構造体。
【請求項16】
被記録媒体の周縁部の少なくとも一部に前記トナー像を有する請求項15に記載の画像構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−164235(P2011−164235A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24951(P2010−24951)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】