説明

静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、静電荷像現像用キャリアの製造方法および画像形成方法

【課題】高品質が画像を形成するとともに、経時劣化と環境変動に対する画像形成の安定性を向上させる。
【解決手段】芯材が被覆樹脂層により被覆処理されたキャリアであって、前記芯材は、式(I)で示される球形度が1.220以下であり、式(II)で示される表面粗さが1.8以上6.0以下であり、前記被覆樹脂層は、針状導電粉を含有し、前記被覆樹脂層で前記芯材を被覆処理したキャリアの表面粗さは、1.6以下であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア、およびこのキャリアを含む現像剤およびこの現像剤を用いた画像形成方法である。
(式I)
球形度=(L/2)2 ・π/S … (I)
式(I)中、L:粒子投影像の最大径、S:粒子投影像の面積。
(式II)
表面粗さ=SBET /S´ … (II)
式(II)中、SBET:粒子のBET比表面積、S´:真球相当比表面積。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法等により形成される静電潜像を現像する際に用いられる静電荷像現像用キャリア、静電潜像現像剤、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は現在様々な分野で利用されている。電子写真法では、帯電、露光工程で感光体上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。ここで用いる現像剤は、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、磁性トナーなどのように単独で用いられる1成分現像剤があるが、2成分現像剤は、キャリアが現像剤の撹拌、搬送、帯電などの機能を分担し、現像剤として機能分離がなされているため、制御性が良いなどの理由で現在広く用いられている。
【0003】
また、現像方法としては、古くはカスケード法などが用いられてきたが、現在は現像剤搬送担体として磁気ロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。2成分磁気ブラシ現像では、導電性キャリアを用いる導電性磁気ブラシ(CMB)現像と絶縁性キャリアを用いる絶縁性磁気ブラシ(IMB)現像が知られている。この中でCMB現像は、キャリアの電気抵抗が低いために、現像ロールから電荷が注入され、感光体近傍のキャリアが現像電極の役割を果たして実効的な現像電界が増大する結果、トナーの移行が十分に行われてソリッド画像の再現性に優れるという特徴を有する。導電性キャリアとしては古くから鉄粉キャリアが知られている。
【0004】
しかしながら、鉄粉キャリアには多くの欠点が認められている。例えば、飽和磁化が大きいために、磁気ブラシが硬すぎて感光体を傷つけやすく、また比重が大きいために現像器内で撹拌中にトナーに与える衝撃力が大きすぎてトナーが劣化しやすいといった問題がある。このような問題点を改善するために、最近では、フェライトやマグネタイトをキャリア芯材として用い、導電粉を含有する被覆樹脂層を前記芯材上に形成したキャリアが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2など)。被覆樹脂としては、スチレンアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などが用いられている。導電粉としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズなどが用いられている。
【0005】
また、被覆樹脂層を設けたキャリアにも改善しなければいけない問題がある。
【0006】
1つは、長期間使用中にトナーとの接触やキャリア同士の接触により被覆樹脂層が摩耗あるいは剥離を生じ、帯電性が低下することである。また、導電粉の多くは、表面に水酸基が存在し、またその表面が多孔性である場合が多く、そのために水を吸着しやすくなるため、湿度の変動に対してキャリアの電気抵抗や帯電性が変動するという問題である。
【0007】
上記の環境変動に対して安定性を確保するためには針状導電粉を配合することが有効である。また、経時劣化に対する安定性については球状導電粉を配合することが有効である。針状導電粉と球状導電粉を所定の比率で混合させることにより、環境変動と経時劣化に対する安定性を両立させ、向上させることはすでに提案されている(例えば、特許文献3)。
【0008】
しかしながら、単に前記キャリア芯材上に導電性樹脂層を被覆するだけではブラシマ−クや感光体への電荷注入によるキャリア付着を防止することができるものの感光体上の静電潜像端部の現像不良による画像の欠落が発生してしまうことがあった。
【0009】
しかして、近年高品位画質化への要求が高まり、特にカラー画像形成では、高精細な画像を実現するため、トナーの小径化傾向が顕著である。従来のトナーの粒度分布のままでは、単に小径化を図っても、前記粒度分布における微粉側のトナーの存在により、キャリアや感光体の汚染やトナー飛散の問題が著しくなり、高品位画質と高信頼性とを同時に実現することは困難である。高品位画質と高信頼性とを同時に実現するためには、トナーの粒度分布をシャープ化し、かつ小粒径化することが必要になる。この要求に対して、特許文献4などに見られるように乳化重合凝集法によるトナーが提案されている。発色性、帯電性、現像性、転写性、定着性等の諸特性、特に帯電性及び発色性に優れた信頼性の高い静電荷像現像用トナーが得られるが、現像剤を構成するキャリアとの組み合わせによっては十分な性能が出せないことがある。例えば、含窒素フッ素化アルキル(メタ)アクリレートとビニル系モノマーとの共重合体や、フッ素化アルキル(メタ)アクリレートと含窒素ビニル系モノマーとの共重合体をキャリア芯材表面に被膜することにより、比較的長寿命の被膜キャリアを得ることが提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)。
【0010】
また、特許文献8にはポリアミド樹脂、特許文献9にはメラミン樹脂をキャリア芯材表面に被膜し、更に硬化して、比較的硬い被膜をもつ被膜キャリアを得ることが提案されている。しかし、これらのキャリアは、被覆成分の剥がれなどがなくなることや、トナー成分がキャリア表面に付着して汚染するスペントの防止が出来るものの、前記の凝集法トナーとの組み合わせでは帯電性が上がりすぎて画像濃度低下を引き起こしたり、キャリアがトナーとともに現像されて白抜けが発するなど満足なものではなく、特に、この凝集法トナーにあったキャリアの開発が必要であった。
【0011】
以上の開示された過去の解決手段では、長寿命ではあるが、特に高品位のカラ−画像要求における画像欠陥防止という観点では、未だ十分な効果は見出されていない。
【0012】
【特許文献1】特開平1−7255号公報
【特許文献2】特開平4−360156号公報
【特許文献3】特願平10−5421号
【特許文献4】特開平10−198070号公報
【特許文献5】特開昭61−80161号公報
【特許文献6】特開昭61−80162号公報
【特許文献7】特開昭61−80163号公報
【特許文献8】特開平1−118150号公報
【特許文献9】特開平2−79862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、前記の問題を解消し、静電潜像現像法により得られる画像に対して良好な高品位カラー画像を形成することができ、かつ環境変動や経時劣化に対する安定性が高くできる静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、及び画像形成方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは上記の課題について研究を進めた結果、特定の形状を有するトナーと特定の表面性を有するキャリア芯材を使用し、かつ特定の導電粉の含有させた後のキャリア形状と現像剤の抵抗値範囲を特定の範囲に収めることにより、経時劣化と環境変動に対する安定性をより向上させつつ高品位カラ−画像が得られることを見出した。
【0015】
即ち、本発明の構成は以下のとおりである。
【0016】
(1)芯材が被覆樹脂層により被覆処理されたキャリアであって、前記芯材は、式(I)で示される球形度が1.220以下であり、式(II)で示される表面粗さが1.8以上6.0以下であり、前記被覆樹脂層は、針状導電粉を含有し、前記被覆樹脂層で前記芯材を被覆処理したキャリアの表面粗さは、1.6以下である静電荷像現像用キャリアである。
【0017】
[式1]
球形度=(L/2) ・π/S … (I)
式(I)中、L:粒子投影像の最大径、S:粒子投影像の面積。
【0018】
[式2]
表面粗さ=SBET /S´ … (II)
式(II)中、SBET:粒子のBET比表面積、S´:真球相当比表面積。
【0019】
(2)上記(1)に記載の静電荷像現像用キャリアにおいて、前記キャリアの芯材の表面は、複数の突起部が形成され、前記芯材に形成された複数の突起部の頂点を結ぶことにより形成される仮想外球の半径と前記芯材に形成された複数の突起部の付け根部分を結ぶことにより形成される仮想内球の半径との差が、0.5〜5μmである静電荷像現像用キャリアである。
【0020】
(3)トナーとキャリアとを含有する静電荷像現像剤であって、前記キャリアが、請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用キャリアである静電荷像現像剤。
【0021】
(4)上記(3)に記載の静電荷像現像剤において、前記トナーは、凝集法により作成され形状係数SF1が135以下であり、前記キャリアと混合されることにより作成された静電荷像現像剤である。
【0022】
(5)上記(3)に記載の静電荷像現像剤において、前記トナーは、少なくとも樹脂粒子と着色剤粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、前記樹脂粒子を分散させてなる分散液中で、該樹脂粒子のガラス転移点以下の温度に加熱して凝集粒子を形成し、凝集粒子分散液を調製する第1工程と、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程と、前記付着粒子を加熱して融合する第3工程とを含む製造方法により製造された静電荷像現像用トナーであり、透過型電子顕微鏡により測定されたトナー内部での着色剤粒子の分散状態が、以下の2つの条件(i)、(ii)を満たす静電荷像現像用トナーである。
(i)着色剤粒子の個数分散平均粒子径が40〜60nmの範囲。
(ii)着色剤粒子全体における個数分散平均粒子径40〜60nmの範囲の粒子が70個数%以上、個数分散平均粒子径200nm以上の粗大側粒子の含有量が10個数%以下。
【0023】
(6)上記(3)から(5)のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアにおいて、前記静電荷像現像剤の測定電界が1×10V/cm時における電気抵抗が1×10〜1×10Ω・cm、帯電性が15〜25μc/gの範囲にある静電荷像現像用現像剤。
【0024】
(7)磁性材料をあらかじめ混合して高温にて仮焼成した後、粉砕して粒子径0.5μm以下の粒子とし、前記粒子に分散剤とバインダーとを加え造粒して高温処理した分散平均粒子径0.5〜5μmのほぼ球状の磁性体粒子と分散平均粒子径5〜100μmのほぼ球状の磁性体粒子とを作成し、2つの異なる粒子径を有する該磁性体粒子に分散剤とバインダーを加えて造粒して高温処理し、分級して磁性体芯材料表面に0.5〜5μmの略半球状の磁性体粒子の突起を有した体積平均粒径10〜50μmの磁性体芯材をキャリアの芯材として用いる静電荷像現像用キャリアの製造方法である。
【0025】
(8)潜像担持体に潜像を形成する工程と、該潜像を現像剤を用いて現像する工程と、現像されたトナー像を転写体に転写する工程と、転写体上のトナー像を加熱定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、前記現像剤として、上記(3)から(6)のいずれか1つに記載の静電潜像現像剤を用いる画像形成方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、静電潜像現像法により得られる画像、特に高品位のカラー画像に対して、良好なハーフトーンの画像を形成することができ、また、環境変動や経時劣化に対する安定性が高い現像剤および画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を好ましい実施の形態を挙げて説明する。
【0028】
[キャリア]
本発明において使用されるキャリア芯材の材質としては、従来公知のいずれのものも使用することができるが、特に好ましくはフェライトやマグネタイトが選ばれる。他のキャリア芯材として、例えば鉄粉が知られている。鉄粉の場合は比重が大きいためトナーを劣化させやすいので、フェライトやマグネタイトの方が安定性に優れている。フェライトの例としては、一般的に下記式で表される。
【0029】
(MO)X (FeY
(式中、Mは、Cu、Zn、Fe、Mg、Mn、Ca、Li、Ti、Ni、Sn、Sr、Al、Ba、Co、Mo等から選ばれる少なくとも1種を含有する:またX、Yは重量mol比を示し、かつ条件X+Y=100を満たす)
【0030】
上記Mは、Li、Mg、Ca、Mn、Sr、Snの1種もしくは数種の組み合わせで、それら以外の成分の含有量が1重量%以下であるフェライト粒子であることが好ましい。Cu、Zn、Ni元素は添加することにより低抵抗になり易く、電荷リークが起こり易い。また、樹脂被覆し難い傾向にあり、また環境依存性も悪くなる傾向にある。さらに、重金属であり、重いためかキャリアに与えられるストレスが強くなり、ライフ性に対し悪影響を与えることがある。また、安全性の観点から近年ではMnやMg元素を添加するものが一般に普及している。
【0031】
フェライト芯材の製造方法の例としては、まず各酸化物を適量配合し、湿式ボールミルで10時間粉砕、混合し、乾燥させた後、950℃で4時間保持する。これを湿式ボールミルで24時間粉砕し、1μm以下とする。このスラリーを造粒乾燥し、磁気特性と抵抗を調整する目的で、酸素濃度をコントロールしながら1100〜1300℃で6時間保持した後、粉砕し、さらに所望の粒度分布に分級して得ることができる。
【0032】
本発明において使用されるキャリア芯材の球形度は1.220以下でかつ表面粗さは1.8以上6以下であり、好ましくは球形度が1.2以下でかつ、表面粗さが2以上5以下の範囲である。球形度が1に近いほど形状は真球により近くなり、また、表面粗さが大きいほど表面により微細な凹凸が存在することになる。本発明では、芯材の球形度を1.220以下に調整して真球に近くすることにより、キャリアの流動性を向上させ均一な樹脂層の被覆を可能にし、芯材粒子の凝集を抑制できるため製造得率を向上させることができる。また、芯材の表面粗さを1.8以上に調整して表面に微細な凹凸を存在させることにより、アンカー効果で被覆樹脂層を強固に固着できるため、キャリアからの被覆層の剥離を防止できる。一方、芯材の表面粗さを6以下にすることによって、キャリア表面における凸部同士の接触による電気抵抗の低下の防止と制御が容易となるという利点を有する。さらに、均一な樹脂層の被覆形成によりキャリアの表面粗さを1.6以下、好ましくは1.3以下に収めることでより平坦な被覆樹脂層が形成でき、キャリアのトナーに対する衝撃力を緩和することができる。これによりトナー組成物がキャリア表面に融着するいわゆるトナースペントを防止できる。
【0033】
ここで、キャリア芯材の球形度は、例えば画像解析装置(三谷商事)などを用いて、芯材粒子の投影像の最大径及び投影面積を測定して上記式より求めることができる。また、キャリア芯材のBET比表面積は、通常の窒素吸着法により求めることができる。キャリア芯材の真球相当比表面積は、平均粒径と真比重から算出することができる。同様にして、キャリアの真球相当比表面積は、平均粒径と真比重から算出することができる。キャリアのBET比表面積の測定によりキャリアの表面粗さが求められる。
【0034】
また、本発明のごとくキャリアの芯材10の表面は、図1に示すように、複数の突起部20が形成され、芯材10に形成された複数の突起部20の頂点を結ぶことにより形成される仮想外球14の半径と、芯材10に形成された複数の突起部20の付け根部分を結ぶことにより形成される仮想内球12の半径との差(両矢印22で示した差)が、0.5〜5μmである。このような芯材10を形成するためには、磁性材料をあらかじめ混合して高温にて仮焼成した後、粉砕して分散平均粒径0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下の粒子とする。該粒子に分散剤とバインダーを適宜加えて造粒して高温処理した分散平均粒径0.5〜5μmのほぼ球状の磁性体粒子と分散平均粒径5〜100μmのほぼ球状の磁性体粒子とを作成し、2つの異なる粒子径を有する該磁性体粒子に分散剤とバインダーを適宜加えて造粒して、磁気特性と抵抗を調整する目的で、酸素濃度をコントロールしながら高温処理し、分級して磁性体芯材料表面に、上述したような0.5〜5μmの略半球状の磁性体粒子の突起を有した10〜50μmの磁性体芯材をキャリアの芯材として得ることができる。なお、上記仮想内球および仮想外球の測定は、走査電子顕微鏡 S4100(日立製作所製)を用いて行う。
【0035】
上記芯材表面の露出面積を制御する方法は、上記酸化物の組み合わせや配合比によって制御できる。また、焼成時の温度や保持時間、酸素濃度によって制御することもできる。
【0036】
本発明において使用されるキャリア芯材の表面は微細な凹凸を存在させることにより、アンカー効果で被覆樹脂層を強固に固着できるため、キャリアからの被覆層の剥離を防止できる。また、キャリア芯材の表面が0.5〜5μmの突起部位を有するようにすることでトナー濃度が高くなった場合に突起部位で電路が形成されて現像剤の抵抗値がトナー濃度により左右されにくくなるためである。
【0037】
本発明のキャリア芯材の磁化率σは、1kOeの磁場中で、VSM(バイブレーションサンプルメソッド)測定器を用いてBHトレーサー法で測定され、その磁化値σ1000は60〜90Am/kg(emu/g)、好ましくは70〜85Am/kg(emu/g)の範囲が適当である。σ1000が60Am/kg(emu/g)を下回ると、現像ロールへの磁気吸着力が弱くなり、感光体に付着して画像欠陥の原因となるので好ましくない。また、σ1000が90Am/kg(emu/g)を上回ると、磁気ブラシが硬くなりすぎ、感光体を強く摺擦して傷をつけやすくなるので好ましくない。
【0038】
本発明のキャリア芯材の平均粒径は、10〜100μm、好ましくは20〜50μmが適当である。平均粒径が10μmより小さいと現像剤の現像装置からの飛び散りが発生しやすく、100μmより大きいと十分な画像濃度を得ることが困難になる。
【0039】
本発明の導電粉は、形状が針状、球状など種々のものを用いることができるが、環境安定性を向上するためには針状導電粉の方が適している。経時的安定性を確保するためには球状導電粉が適している。ここでいう「針状」とは長軸と短軸の比(長軸/短軸:以下「アスペクト比」という)が3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上のものをいう。
【0040】
針状導電粉は、その長軸が0.05〜20μmのものが好ましい。前記アスペクト比が3以上であっても、長軸が0.05μmより短いと、被覆樹脂中に分散する過程で導電粉が破壊されて針状導電粉の効果が低減してしまう。一方、長軸が20μmより長いと被覆樹脂層から導電粉が離脱しやすい。その中でも、針状導電粉の短軸は0.01〜1μmのものが好ましい。この範囲を外れると分散性が低下してキャリアの特性が不均一になるおそれがある。
【0041】
球状導電粉は、平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。この範囲を外れると分散性が悪くなったり、被覆樹脂層から導電粉が離脱しやすくなったりして好ましくない。被覆樹脂層中に占める導電粉の含有量は25〜45体積%、好ましくは30〜40体積%の範囲が適当である。硬い導電粉を被覆樹脂層中に含有させると、導電粉による補強効果により被覆樹脂層が硬くなり、トナーに付着しているシリカ、チタニア、アルミナなどの外添剤の被覆樹脂層へのインパクションが防止され、耐久性が向上する。導電粉の含有量が25体積%より少ないと補強効果が十分に発揮されず、また、45体積%より多いと導電粉が離脱しやすくなるので好ましくない。
【0042】
また、メカニズムは十分には解明されていないが、被覆樹脂層中の導電粉の中で、針状導電粉を体積混合比率で20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上含有させることにより、環境安定性をより向上させることができる。針状導電粉の体積混合比率が20%を下回ると、その効果は十分に発揮されない。なお、本発明では、キャリア芯材の球形度及び表面粗さを所定の範囲に収めれば、球状導電粉を配合しなくても所定の効果を奏することができる。導電粉の電気抵抗は、1×10Ω・cm以下が好ましい。この値を超えるとキャリア全体として所望の電気抵抗が得られにくくなる。
【0043】
本発明の導電粉は、所望の形状及び電気抵抗を有するものであればその材質は特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ等の微粒子の表面を導電性の金属酸化物で被覆した複合系のものや、導電性の金属酸化物単体系のものが好ましい。ここで、導電性の金属酸化物としては、アンチモン等をドープした金属酸化物(例えばアンチモンドープ型酸化スズ)や、酸素欠損型の金属酸化物(例えば酸素欠損型酸化スズ)等が挙げられる。
【0044】
被覆樹脂層を形成した、キャリアの電気抵抗は測定電界が100V/cmの電界の時に1×10〜1×10Ω・cm、好ましくは1×10〜1×10Ω・cmの範囲が適当である。
【0045】
被覆樹脂層を形成した、キャリアの帯電性は15〜25μC/gが好ましい。キャリアの帯電性が15μC/g未満の場合には、日画像部位のトナー汚れが発生し(カブリが発生し)高品位なカラー画像が得られない可能性が高く、一方キャリアの帯電性が25μC/gを超えると、十分な画像濃度が得られにくくなる。
【0046】
被覆樹脂層の電気抵抗は使用する導電粉や被覆樹脂の種類や量等によってコントロールすることができる。
【0047】
そして、被覆樹脂層を形成したキャリアの電気抵抗が1×10Ω・cmより小さいとキャリア表面を電荷が移動しやすくなってブラシマーク等の画像欠陥が発生しやすいことやプリント動作を暫らくしないで放置しておくと帯電性が低くなりすぎて最初の1枚目のプリントで地汚れなどが発生する。被覆樹脂層を形成したキャリアの電気抵抗が1×10Ω・cmより大きいと良好なソリッド画像は得られないばかりか、連続プリントを多数回繰り替えるとトナー電荷が大きくなりすぎて画像濃度が下がってしまう。
【0048】
被覆樹脂層の電気抵抗は、ITO導電ガラス基板の上にアプリケーター等を用いて厚みが数μm程度の被覆樹脂膜を形成し、その上に金電極を蒸着で形成して10V/cmの電界での電流−電圧特性から求める。
【0049】
キャリアの磁気ブラシの形にして測定した時の動電気抵抗は10V/cmの電界の下で1×10〜1×10Ω・cm、好ましくは1×10〜1×10Ω・cmの範囲が適当である。動的電気抵抗が1×10Ω・cmより小さいとブラシマーク等の画像欠陥が発生しやすく、1×10Ω・cmより大きいと良好なソリッド画像を得るのが困難である。10V/cmの電界とは実機での現像電界に近く、上記の動的電気抵抗はこの電界下での値である。
【0050】
以上より、キャリアとトナーが混合された時の動電気抵抗は10V/cmの電界の下で1×10〜1×10Ω・cmの範囲が適当である。そして、1×10Ω・cmを下回るとプリント後放置後トナー帯電性の低下による地汚れや、過現像による線画像の太りで解像度が悪くなる。1×10Ω・cmを超えるとソリッド画像端部の現像性低下で高品位画像がえられなくなる等の問題が発生する。
【0051】
キャリアの動的電気抵抗は次のようにして求める。現像ロール(現像ロールのスリ−ブ表面の磁場が1kOe発生する。)上に約30cmのキャリアをのせて磁気ブラシを形成し、面積3cmの平板電極を2.5mmの間隔で現像ロールに対向させる。120rpmの回転速度で現像ロールを回転しながら現像ロールと平板電極の間に電圧を印加して、その時に流れる電流を測定する。得られた電流−電圧特性からオームの法則の式を用いて動的電気抵抗を求める。なお、この時の印加電圧Vと電流Iとの間には一般的にln(I/V) ∝V×1/2 の関係があることはよく知られている。本発明に用いられるキャリアのように動的電気抵抗がかなり低い場合には、10V/cm以上の高電界では大電流が流れて測定できないことがある。そのような場合は低電界で3点以上測定し、先の関係式を使って最小2乗法により10V/cmの電界まで外挿して求める。
【0052】
キャリア芯材上に形成する被覆樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン;ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂又はその変性品;フッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート、アミノ樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数の樹脂を混合して使用してもよい。
【0053】
被覆樹脂層の厚みは、0.3〜5μm、好ましくは0.5〜3μmの範囲が適当である。被覆樹脂層の厚みが0.3μmより小さいとキャリア芯材表面に均一で平坦な被覆樹脂層を形成することが難しい。また、5μmより大きいとキャリア同士が凝集したりして均一なキャリアを得ることが難しい。
【0054】
被覆樹脂層をキャリア芯材上に形成する方法は、被覆樹脂層形成用溶液中にキャリア芯材を浸漬する浸漬法、被覆樹脂層形成用溶液をキャリア芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆樹脂層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被覆樹脂層形成用溶液を混合し溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0055】
被覆樹脂層形成用溶液に使用する溶剤は、前記の被覆樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類を使用できる。また、導電粉の分散方法としては、サンドミル、ダイノミル、ホモミキサー等がある。
【0056】
[現像剤]
ここで、用いられる現像剤には、トナーおよびキャリアからなる二成分現像剤である。但し、以下に述べるトナーは、磁性トナーまたは非磁性トナーであってもよく、このトナーを単独で用いる一成分現像剤であってもよい。
【0057】
本発明で使用されるトナーは、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で、該樹脂粒子のガラス転移点以下の温度に加熱して凝集粒子を形成し、凝集粒子分散液を調製する第1工程と、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程と、前記付着粒子を加熱して融合する第3工程とを含むいわゆる凝集合一法で作成されるトナーである。
【0058】
このトナーの特徴は、粒子の形状が比較的丸く、粒度分布が狭い事、トナー表面が比較的均一で帯電性が高く、帯電分布も狭く良好であることなどが上げられる。
【0059】
従って、前記キャリアとの混合でえられる静電荷像現像用現像剤は極めて流動性が高く現像性が良好であるため高品位カラ−現像剤としては良好な物が得られる。
【0060】
なお、他のトナーとしては重合トナー、溶解懸濁トナー、混練/粉砕/分級/球形化トナー等も利用できるが、十分な現像剤が得られない。
【0061】
しかして、重合トナーでは狭粒度分布/球形トナーが得られやすい反面、トナー表面に分散剤などの不純物が残存して良好な帯電性が得られない。また、溶解懸濁トナーでは球形トナーが得られやすいが粒度分布が広く特に微粉トナーが含まれ易いため分級が必要になる。場合によっては、分級では取り除くことが出来ない微粉が含まれるためキャリア表面にこれが堆積して比較的早くキャリア抵抗が上がることや低いトナー濃度で抵抗値が上がるために均一な画像が短期的に得られなくなる等の障害がある。
【0062】
さらに、混練/粉砕/分級/球形化トナー等の製法で得られたトナーには得率が低いことや球形化時にトナー表面が改質されて流動性、帯電性等が劣化して良好なものが得られにくいなどの問題点がある。
【0063】
しかして、本発明ではトナーとして溶解懸濁トナーが用いられる。
【0064】
本実施の形態においては、各色成分トナーとして、スチレンアクリル樹脂微粒子と各々イエロ、マゼンタ、シアン、及び、ブラックの顔料微粒子を凝集・合一して体積平均粒径約3〜7μm、形状係数SF1の平均値が100以上135以下の範囲でかつ形状係数分布において形状係数115以下をトナーを用いられる。なお、形状係数SF1は下記式で求めることができる。
【0065】
SF1=(ML/A)×(π/4)×100
ここで、ML:粒子の絶対最大長の平均値、A:粒子の投影面積であり、これらは、主に顕微鏡画像または操作電子顕微鏡画像を画像解析装置によって解析することによって数値化される。
【0066】
形状係数分布の求め方は以下の通りである。トナーをスライドグラス上に散布し、光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個のトナーの最大長の2乗/投影面積(ML/A)を計算し、これを大きいほうから累積で16%になる形状と84%になる形状を測定する。形状係数分布とは84%になる形状を16%になる形状で割ったものに0.5乗したものである。
【0067】
例えば、特開平10−026842号公報、特開平10−133423号公報、特開平10−198070号公報、特開平11−231570号公報等に開示されるように、このトナーは少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で、該樹脂粒子のガラス転移点以下の温度に加熱して凝集粒子を形成し、凝集粒子分散液を調製する第1工程と、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程と、前記付着粒子を加熱して融合する第3工程とを含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法にて作成されたものである。
【0068】
体積平均粒径および形状、分布の調整は凝集粒子分散液の調整条件や付着粒子を形成する時の条件及び前記付着粒子を加熱して融合する時の条件で調整できる。
【0069】
前記分散液は、少なくとも樹脂粒子を分散させてなるものである。前記樹脂粒子は、樹脂製の粒子である。前記樹脂としては、例えば熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系単量体とのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
これらの樹脂の中でも、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂が好ましく、スチレンとアクリル酸n−ブチルとの共重合体、アクリル酸n−ブチル、ビスフェノールA・フマル酸共重合体、スチレンとオレフィンとの共重合体が特に好ましい。
【0071】
前記樹脂粒子の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前期平均粒径は、例えばレーザー回折法(堀場製作所製:LA−700)を用いて測定することができる。
【0072】
前記着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレレーとなどの種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料;などが挙げられる。これらの着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
前記着色剤の体積平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばレーザー回折法(堀場製作所製:LA−700)を用いて測定することができる。
【0074】
なお、本発明においては目的に応じて、前記分散液に、離型剤、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、滑剤、研磨材などのその他の成分が分散させていてもよい。なお、その場合、樹脂粒子を分散させてなる分散液中にその他の粒子を分散させてもよいし、樹脂粒子を分散させてなる分散液に、その他の粒子を分散させてなる分散液を混合してもよい。
【0075】
前記離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。
【0076】
なお、これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の微粒子にされ得る。
【0077】
前記帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集時や融合時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
【0078】
前記無機粒体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。前記滑剤としては、例えば、エチレンビスステアラミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩が挙げられる。前記研磨材としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
【0079】
トナーの体積平均粒径は10μm以下、好ましくは3〜7μmの範囲が適当である。
【0080】
トナーとキャリアを混合して現像剤を作製する際のトナーの比率は、現像剤全体の0.3〜10重量%、好ましくは0.3〜3重量%の範囲が適当である。
【0081】
トナーの比率が0.3重量%未満だと十分な画像濃度が得られにくくなることや、ベタ画像が均一になりにくくなる。また、10重量%を超えるとキャリア表面のトナー被覆率が100%を超えるため帯電量が下がり(平均帯電量の絶対値が15μC/g未満になると)非画像部位のトナー汚れが発生して(かぶり)高品位なカラ−画像がえられなくなる。例えば、3重量%を超えるとキャリア表面のトナー被覆率が100%に近づいて来るために現像剤としての抵抗値が極端に上がり、1×10〜1×10Ω・cmの範囲のなかに収まり難くなり画像エッジ部位のボケなど良好で高品位なカラ−画像がえられなくなる。
【0082】
但し、低湿環境ではトナー比率が3重量%未満になると高帯電量(平均帯電量の絶対値が25μC/g超える)になりやすくなり十分な画像濃度が得られにくくなる可能性がある。したがって、環境に応じて、帯電性の絶対値が15〜25μC/gの範囲にあるようにトナーの比率を選ぶことが好ましい。
【0083】
特に、カラー画像が普及して高画質化への要求が高まってきている。このカラー画像において各色のトナー中の着色剤が画質に大きな影響を与えることとなる。トナー中に添加される着色剤(Y,M,C)により色再現域が大きく左右される。特に使用される顔料としては、透明性が良好であること、着色力が強いこと等が挙げられる。これらの特性を見ながらトナーを作成していた。
【0084】
従来においては、特にイエロー顔料において、これらの要素を満たすことが難しく様々な検討がなされてきている。イエロー顔料を含むイエロートナーにおいて、透明性が良好であるためには、イエロー顔料自体の結晶径が小さいこと、また、トナー中での着色剤平均粒子径が小さいことが重要である。もともとイエロー顔料自体が凝集していたり、トナー中で凝集してしまう等、着色剤平均粒子径が大きい、着色剤の粗大粒子が多い、といった場合は、トナーの光透過性の悪化によりOHP透明性が悪くなる。その他にも、トナー樹脂からの着色剤の遊離、トナー表面への着色剤の露出による帯電性の悪化等の様々な問題が生ずる。また、特にイエロー顔料はその種類によって着色剤平均粒子径が小さ過ぎると、得られるトナーの着色性が十分でない等の問題が生ずる場合があった。
【0085】
したがって、この問題を解決しようと、特開2000−228653号公報では縮合アゾ系のイエロー顔料、具体的には、C.I.Pig.Yellow74、93、94、95、12、13、14、16、17、180等が挙げられているが必ずしも十分なものでは無かった。
【0086】
Yellow74は、比較的容易に微細な顔料粒子を作り得るが顔料粒子の平均系を100ナノメーター以下とすると、40ナノメーター以下の粒子の割合が多く含まれるため耐光性が落ちて色が無くなり比較的短期的に初期に得られていた色再現域が大きく変化して色再現域が狭くなるといった問題があった。また、Yellow17においても同様な傾向がみられるとともに、トナー作成過程での低pH時に顔料がブリードすることで帯電性が悪くなるなどのトラブルがあった。
【0087】
したがって、いわゆるトナー製造性の両立が特にYellow顔料の選択にあっては重要なことである。
【0088】
特にYellowトナーは、少なくとも樹脂粒子と着色剤粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、透過型電子顕微鏡により測定されたトナー内部での着色剤粒子の分散状態が、以下の2つの条件を満たすことが必須となる。
【0089】
(1)着色剤粒子の分散平均粒子径が40〜60nmの範囲。
【0090】
ここで、着色剤粒子の分散平均粒子径としては、40〜60nmの範囲であることが必須である。着色剤粒子の分散平均粒子径が60nmを越えると、静電荷像現像用トナーの透明性が悪化し、色再現域の低下やOHPでの画像が暗くなる。また、顔料のトナー中への取り込み性が悪くなるため該トナー自体の帯電性が悪くなりやすい。一方、着色剤粒子の分散平均粒子径を40nm以下とすると、透明性が高くなるものの、長期間放置に顔料の劣化で着色力が低下することや、隠蔽性が低下するため、信頼性の高い静電荷像現像用トナーとすることができない。
【0091】
(2)着色剤粒子全体における40〜60nmの範囲の粒子が70個数%以上、200nm以上の粗大側粒子の含有量が10個数%以下。
【0092】
ここで、着色剤粒子全体における200nm以上の粗大側粒子の含有量としては、10個数%以下であることが必須であり、5個数%以下であることが好ましい。
【0093】
上記着色剤粒子全体における40〜60nmの範囲の粒子が70個数%未満の場合には、鮮明度が損なわれる。また、上記粗大側粒子の含有量が10個数%を超えると、透明性の低下を引き起こしたり、高湿下での帯電特性の低下を引き起こしたり等の不具合を生じる。一方、前記粗大側粒子の含有量が10個数%以下とすることで、かかる問題がなく、長期にわたり、安定した画像特性を維持することができる。
【0094】
上記(1)および(2)の2つの着色剤粒子の分散状態の条件は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定されるが、具体的には、透過型電子顕微鏡により得られたトナー断面画像を画像解析装置にかけ求められる。本発明においては、測定対象となるトナーの粒子を任意に、例えば1000個サンプリングし、それぞれのトナーの粒子について個数平均の分散平均粒子径および200nm以上の粗大側粒子の個数平均の含有量を求め、これを平均することにより測定した。
【0095】
さらに、本発明はトナー平均粒子径(μm)×トナー中の着色剤粒子濃度(wt%)で表される顔料濃度の指標値が10〜25の範囲とすることで色再現域がより広くなり、高品位画像が得られる。この理由は、顔料濃度の指標値が25を超えるようになるようにトナー中の着色剤粒子濃度を上げていくとトナー中の顔料粒子が凝集状態で取り込まれやすくなる。このため、透明性の低下を引き起こし色再現域の低下や、トナー表面への顔料の頭出しが多くなり高湿下での帯電特性の低下を引き起こす等の不具合を生じる。一方、顔料濃度の指標値が10を下回るようにトナー中の着色剤粒子濃度を下げていくと、トナーの隠ぺい力が低く濃度が低くなることや、結果として印刷用紙上のトナー量を増やすことになり、枚当たり単価が上がることや、転写工程の負担が増え切れの良い画像が得られなくなり結果として高品位カラー画像が達成できなくなる。
【0096】
また、2つ以上の異なる顔料濃度を持つトナー粒子の混合物のすくなくとも1つが顔料の無い粒子とすることで色再現域がより広くなり、高品位画像が得られる。
【0097】
この理由は、本発明者らが鋭意検討したところによればトナー粒子中の顔料濃度は必ずしも一定でなくて濃度の異なるトナー粒子の集合体であってもよく、さらには顔料の無い透明なトナー粒子が混入していることで均質なトナーよりもかえって色再現域が広くなるということが判った。これは、厳密には説明できないが定着用紙の地合の影響が関係しているようで、用紙上に載せるトナー量を同じにしても、例えば、顔料濃度を上げたトナーを用紙上に少量載せた場合は、顔料濃度を下げたトナーを用紙上に多く載せた場合に比べ、その定着画像の色再現域が狭いことがわかった。上述のような各種の検討で、トナー平均粒子径(μm)×トナー中の着色剤粒子濃度(wt%)で表される顔料濃度の指標値を合わせこむことが画像濃度と色再現域をえるために必要であることがわかった。
【0098】
以上のことから、2つ以上の異なる顔料濃度持つトナー粒子の混合物であって該混合物の合計の顔料濃度の指標値が10〜25の範囲であることが望ましい。
【0099】
顔料濃度の指標値が10未満の場合、濃度が低下するため、また、顔料濃度の指標値が25を超える場合、厳密には説明できないが色再現域が狭くなるためである。2つ以上の異なる顔料濃度持つトナー粒子の混合物とした場合、濃い方のトナーの顔料濃度の指標値が25を大きく超えたトナーを使用すると、前述のように帯電性低下などの2次障害を発生するのであまり好ましくない。また、一方が透明のトナーであってもかまわない。透明トナーと着色トナーは必ずしも、同じ結着剤である必要はないが定着時の溶融性能が異なると、オフセットや定着不良を発生しやすいため望ましくはない。
【0100】
前記トナーの顔料がC.I.Pig.Yellow−185であることが望ましい。これは、必要な着色力、透明性を得るために特に重要である。
【0101】
上記C.I.Pig.Yellow−185は他のYellow顔料に比較して帯電性が優れており凝集法に適した顔料である。すなわち、トナー中への顔料取り込み性が良いためと考えられる。したがって、C.I.Pig.Yellow−185を上記の限定した範囲の顔料分散状態に調整すれば透明性および着色力について非常に優れたもっとも高い高品位カラ−画像が得られる。
【0102】
上記Yellowトナーも、トナー中の顔料分散状態を容易に調整できる点で、上述した凝集法により製造されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0103】
以下にYellowトナーについて詳細に説明する。なお、上述したトナー製造において使用される着色剤以外は同一なので、その説明は省略する。
【0104】
本発明のトナーに用いる着色剤としては、黒顔料としては、カーボンブラックやペリレンブラック等、またイエロ−顔料としては、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、等がある。
【0105】
また、赤からマゼンタ顔料としては、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、等がある。
【0106】
さらに、青からシアン顔料としては、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、等がある。
【0107】
緑顔料としては、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。これらの種々の顔料に加えて、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などを1種単独で又は2種以上を併せて使用することができる。特にC.I.PigmentYellow−185は色再現域を広げるためには前述したごとく有効できる。
【0108】
これらの着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができる。なんら制限されるものではないが、本発明のように微細な顔料をしかも粒度が均一に出来るという点でアルチマイザ−(杉野マシン(株)製)のような分散機が適している。上述した条件(1)および(2)の条件を満たすように、上述の分散機の諸条件と分散剤を選ぶことが好ましい。
【0109】
なお、着色剤の分散状態を調べる方法としては、着色剤粒子の個数平均粒子径値はマイクロトラック(日機装製)を用いて、着色剤粒子50000個について測定して得られた個々の着色剤粒子の個数粒子径を平均することにより求めた。
【0110】
また、これらの着色剤微粒子は、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
【0111】
これらの樹脂微粒子分散液、着色剤分散液などを混合し、均一な混合粒子分散液を調整した後、分散媒体に可溶な無機金属塩を添加混合して所望の凝集粒子を得る。その際、樹脂微粒子、着色剤、必要に応じて上記の無機微粒子などを一度に添加してもよいし、分割して微粒子成分を段階的に添加し、凝集粒子の構成を例えばコアシェル構造や、粒子の半径方向に成分を傾斜させた構造を付与してもよい。その場合は樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液及び離型剤微粒子分散液などを混合分散し、一定水準の粒径になるまで凝集粒子を成長させる。必要に応じて、樹脂微粒子分散液などをさらに加えて凝集粒子表面に追加樹脂微粒子を付着させてもよい。追加樹脂微粒子が凝集粒子表面を覆うことにより、着色剤、離型剤などがトナー表面に露出することを防止することができ、これらの露出による帯電不良、不均一帯電を抑制するのに有効である。
【0112】
上述の凝集粒子を形成する凝集工程では、凝集剤として2価以上の無機金属塩を用いるが、3価以上、特に4価であることが好ましい。前記無機金属は価数が大きいほど凝集力が強く、安定に凝集を制御することができるため、未凝集物を生ずることが少なく、優れた粒度分布を得ることができる。4価以上の無機金属塩重合体としては、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウムなどを用いることができる。
【0113】
このようにして所望の粒子径を有する凝集粒子を得た後、樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱することにより凝集粒子を融合して所望のトナー粒子を得ることができる。ここで、融合加熱条件の選択により、トナー形状を不定形から球形まで制御することができる。高温で長時間融合させると、トナー形状は、より真球に近くなる。
【0114】
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、少なくとも、静電潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体表面に形成された静電荷像現像剤の層を用い、前記静電潜像担持体表面の静電潜像を現像してトナー像を得る現像工程と、前記静電潜像担持体表面のトナー像を転写体表面に転写する転写工程と、を有する画像形成方法において、前記静電荷像現像剤が既述の本発明の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とするものである。また、さらに転写体表面に転写されたトナー像を熱および/または圧力等により定着する定着工程や、転写後の静電潜像担持体表面に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング工程等を有していてもよい。
【0115】
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
【0116】
本発明の画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像用トナーを静電荷像現像剤の層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
【0117】
また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
【実施例】
【0118】
本発明のトナーにおいて、特定の分子量分布は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0119】
また本発明における粒度分布測定はコールターカウンターTA−II型(ベックマンーコールター社製)を用い、電解液はISOTON‐II(ベックマンーコールター社製)を使用した。
【0120】
測定法としては分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100ml中に添加した後、試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均粒径を測定した。測定した粒子数は50000であった。
【0121】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明する。
【0122】
(実施例1)
[キャリアAの製造]
フェライト 100重量部
(同和鉄粉工業社製、DFC450−320、体積平均粒径35μm、球形度1.196、表面粗さ4.15、磁化値73emu/g(1kOe))
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体
(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 3.7重量部
(石原産業社製、HI−2、電気抵抗5×10Ω・cm、繊維長0.3μm、繊維径0.06μm、アスペクト比5)
【0123】
フェライトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とフェライトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き45μmの篩いで篩分してキャリアAを得た。
【0124】
得られたキャリアAの被覆樹脂層の厚みは0.6μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は40体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、露出面が無く均一に被覆され、表面は平坦であることが確認された。この時の製造得率は75%であった。さらに、キャリアAを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で5×10Ω・cmであった。
【0125】
〔トナーAの製造〕
一例として、本発明のトナー作成例を挙げて詳しく説明するが、本発明を何ら限定するものではない。
【0126】
<第1工程>
−−分散液(1)の調製−−
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・370重量部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・30重量部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・ 8重量部
ドデカンチオール・・・・・・・・・・・ 24重量部
四臭化炭素・・・・・・・・・・・・・・ 4重量部
【0127】
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6重量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10重量部をイオン交換水550重量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒径が155nm、ガラス転移点が59℃、重量平均分子量(Mw)が12,000である樹脂粒子を分散させてなる分散液(1)を調製した。
【0128】
−−分散液(2)の調製−−
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・ 280重量部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・120重量部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・ 8重量部
【0129】
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6重量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)12重量部をイオン交換水550重量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム3重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が105nm、ガラス転移点が53℃、重量平均分子量(Mw)が55,000である樹脂粒子を分散させてなる分散液(2)を調製した。
【0130】
−−着色剤分散液(1)の調製−−
カーボンブラック・・・・・・・・・・・ 50重量部
(キャボット社製:モーガルL)
非イオン性界面活性剤・・・・・・・・・ 5重量部
(三洋化成(株)製:ノニポール400)
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・200重量部
【0131】
以上を混合し、溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散し、平均粒径が250nmである着色剤(カーボンブラック)を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。
【0132】
−−離型剤分散液(1)の調製−−
パラフィンワックス・・・・・・・・・・ 50重量部
(日本精蝋(株)製:HNP0190、融点85℃)
カチオン性界面活性剤・・・・・・・・・ 5重量部
(花王(株)製:サニゾールB50)
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・ 200重量部
【0133】
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)を調製した。
【0134】
−−凝集粒子の調製−−
分散液(1)・・・・・・・・・・・・120重量部
分散液(2)・・・・・・・・・・・・ 80重量部
着色剤分散液(1)・・・・・・・・・ 30重量部
離型剤分散液(1)・・・・・・・・・ 40重量部
カチオン性界面活性剤・・・・・・・・1.5重量部
(花王(株)製:サニゾールB50)
【0135】
以上を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約5μmである凝集粒子(体積:95cm)が形成されていることが確認された。
【0136】
<第2工程>
−−付着粒子の調製−−
ここに、樹脂含有微粒子分散液としての分散液(1)を緩やかに60重量部追加した。なお、前記分散液(1)に含まれる樹脂粒子の体積は25cmである。そして、加熱用オイルバスの温度を50℃に上げて1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.7μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
【0137】
<第3工程>
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3重量部を追加した後、前記ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら、105℃まで加熱し、3時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、静電荷像現像用トナーを得た。
【0138】
<評価>
得られた静電荷像現像用トナーAにつき、体積平均粒径を測定してみると、5.8μmであった。また、トナーの形状係数SF1は平均値が135を示した。
【0139】
同様にして顔料としては、イエローとしてベンジジンイエロー ピグメント#17、マジェンタとしてカーミン6B、及びシアンとしてフタロシアニンブル−を用いて、各種カラートナーを作成した。
【0140】
平均粒子径、形状係数は上記の黒トナーとほぼ同じものを得た。
【0141】
帯電性、転写性を高めるため、該トナーに、体積平均粒径10〜150nmのシリカ2.0wt%及び酸化チタン(チタニア)1.0wt%程度等の無機微粒子を外添剤として適宜量を外添し、該トナーA3重量部に対して、体積平均粒径35μmのキャリアA100重量部と混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で5×10Ω・cmであった。
【0142】
さらに、BET比表面積は0.079で真球相当比表面積は0.032であるのでキャリアの表面粗さは2.5であった。
【0143】
(実施例2)
[キャリアBの製造]
フェライト 100重量部
(同和鉄粉工業社製、DFC350−295、体積平均粒径50μm、球形度1.198、表面粗さ4.17、磁化値76emu/g(1kOe) )
トルエン 10.3重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.1重量部
パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体
(共重合比40:60、重量平均分子量50,000) 0.3重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 2.8重量部
(石原産業社製、HJ−1、電気抵抗5×10Ω・cm、繊維長0.08μm、繊維径0.02μm、アスペクト比4)
【0144】
フェライトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とフェライトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き75μmの篩いで篩分してキャリアBを得た。
【0145】
得られたキャリアBの被覆樹脂層の厚みは0.9μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は30体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、露出面が無く均一に被覆され、表面は平坦であることが確認された。この時の製造得率は90%であった。キャリアBを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は6×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で7×10Ω・cmであった。
【0146】
[トナーBの製造]
実施例1とほぼ同様にして、
<第1工程>
−−分散液の調製−−
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・370重量部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・30重量部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・ 8重量部
ドデカンチオール・・・・・・・・・・・ 24重量部
四臭化炭素・・・・・・・・・・・・・・ 4重量部
【0147】
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6重量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10重量部をイオン交換水550重量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム3.7重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒径が150nm、ガラス転移点が59℃、重量平均分子量(Mw)が28,000である樹脂粒子を分散させてなる分散液を調製した。
【0148】
着色剤分散液(1)と離型剤分散液(1)の調製は実施例1と同じものを用いた。
【0149】
−−凝集粒子の調製−−
分散液・・・・・・・・・・・・・・・200重量部
着色剤分散液(1)・・・・・・・・・・30重量部
離型剤分散液(2)・・・・・・・・・・40重量部
カチオン性界面活性剤・・・・・・・・1.5重量部
(花王(株)製:サニゾールB50)
【0150】
以上を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約4.9μmである凝集粒子(体積:96cm)が形成されていることが確認された。
【0151】
<第2工程>
−−付着粒子の調製−−
ここに、樹脂含有微粒子分散液としての分散液を緩やかに60重量部追加した。なお、前記分散液に含まれる樹脂粒子の体積は25cmである。そして、加熱用オイルバスの温度を50℃に上げて1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.6μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
【0152】
<第3工程>
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3重量部を追加した後、前記ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら、105℃まで加熱し、3時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、静電荷像現像用トナーBを得た。
【0153】
<評価>
得られた静電荷像現像用トナーBにつき、その体積平均粒径を測定してみると、5.7μmであった。また、トナーの形状は平均値が133を示した。
【0154】
実施例1と同様にして顔料としては、イエローとしてベンジジンイエロー ピグメント#17、マジェンタとしてカ−ミン6B、及びシアンとしてフタロシアニンブル−を用い、上記実施例2に準じて各種カラートナーを作成した。
【0155】
平均粒子径、形状係数は上記の黒トナーとほぼ同じものを得た。
【0156】
帯電性、転写性を高めるため、該トナーに、体積平均粒径10〜150nmのシリカ2.0wt%及び酸化チタン(チタニア)1.0wt%程度等の無機微粒子を外添剤として適宜量を外添し、該トナーBの2重量部に対して、平均粒径50μmのキャリアBを100重量部混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2.2×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で5.3×10Ω・cmであった。
【0157】
さらに、BET比表面積は0.081で真球相当比表面積は0.032であるのでキャリアの表面粗さは2.53であった。
【0158】
(実施例3)
[キャリアCの製造]
実施例1のマグネタイト 100重量部
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 2.8重量部
(石原産業社製、FT−1000、電気抵抗1×10Ω・cm、繊維長1.7μm、繊維径0.1μm、アスペクト比17)
球状導電粉(酸素欠損型酸化スズ被覆硫酸バリウム) 0.9重量部
(三井金属社製、パストランTYPE−IV、電気抵抗6×10Ω・cm、体積平均粒径0.1μm)
【0159】
マグネタイトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とマグネタイトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き45μmの篩いで篩分してキャリアCを得た。
【0160】
得られたキャリアCの被覆樹脂層の厚みは0.7μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は30体積%であった。酸素欠損型酸化スズ被覆硫酸バリウムの含有量は10体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、露出面が無く均一に被覆され、表面は平坦であることが確認された。この時の製造得率は75%であった。さらに、キャリアCを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は5×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で6×10Ω・cmであった。
【0161】
実施例2のトナー3重量部に対して、体積平均粒径35μmのキャリアCを100重量部混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2.1×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で4.7×10Ω・cmであった。
【0162】
さらに、BET比表面積は0.077で真球相当比表面積は0.032であるのでキャリアの表面粗さは2.41であった。
【0163】
(実施例4)
[キャリアDの製造]
実施例1のマグネタイト 100重量部
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 2.8重量部
(石原産業社製、FT−1000、電気抵抗1×10Ω・cm、繊維長1.7μm、繊維径0.1μm、アスペクト比17)
球状導電粉(酸素欠損型酸化スズ被覆硫酸バリウム) 0.9重量部
(三井金属社製、パストランTYPE−IV 、電気抵抗6×10Ω・cm、体積平均粒径0.1μm)
【0164】
マグネタイトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とマグネタイトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き45μmの篩いで篩分してキャリアDを得た。
【0165】
得られたキャリアDの被覆樹脂層の厚みは0.7μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は30体積%であった。酸素欠損型酸化スズ被覆硫酸バリウムの含有量は10体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、露出面が無く均一に被覆され、表面は平坦であることが確認された。この時の製造得率は75%であった。さらに、キャリアDを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は5×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で6×10Ω・cmであった。
【0166】
実施例2のトナー3重量部に対して、体積平均粒径35μmのキャリアCを100重量部混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2.1×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で4.7×10Ω・cmであった。
【0167】
さらに、BET比表面積は0.273で真球相当比表面積は0.045であるのでキャリアの表面粗さは6.07であった。
【0168】
(比較例1)
[キャリアEの製造]
マグネタイト 100重量部
(富士電気化学社製、MX030A、体積平均粒径50μm、球形度1.230、表面粗さ1.61、磁化値82emu/g(1kOe))
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 3.7重量部
(石原産業社製、HI−、電気抵抗5×10Ω・cm、繊維長0.3μm、繊維径0.06μm、アスペクト比5)
【0169】
マグネタイトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とマグネタイトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き75μmの篩いで篩分してキャリアEを得た。
【0170】
得られたキャリアEの被覆樹脂層の厚みは0.9μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆チタン酸カリウムの含有量は40体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、露出面が無く均一に被覆されていたが、キャリア表面には芯材表面の大きな凹凸が残っているところが多数観察された。この時の製造得率は50%であった。キャリアEを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は4×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で8×10Ω・cmであった。
【0171】
さらに、BET比表面積は0.308で真球相当比表面積は0.041であるのでキャリアの表面粗さは7.51であった。
【0172】
(比較例2)
[キャリアFの製造]
マグネタイト 100重量部
(富士電気化学社製、MO2-FX50−5、体積平均粒径50μm、球形度1.248、表面粗さ1.58、磁化値82emu/g(1kOe))
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.1重量部
パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(共重合比40:60、重量平均分子量50,000) 0.3重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 2.8重量部
(石原産業社製、FT−1000、電気抵抗1×10Ω・cm、繊維長1.7μm、繊維径0.1μm、アスペクト比17)
【0173】
マグネタイトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とマグネタイトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き75μmの篩いで篩分してキャリアFを得た。
【0174】
得られたキャリアFの被覆樹脂層の厚みは0.9μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は30体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、露出面が無く均一に被覆されていたが、キャリア表面には芯材表面の大きな凹凸が残っているところが多数観察された。この時の製造得率は53%であった。キャリアFを磁気ブラシの形で電気抵抗を測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は5×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で8×10Ω・cmであった。
【0175】
さらに、BET比表面積は0.251で真球相当比表面積は0.035であるのでキャリアの表面粗さは7.17であった。
【0176】
(比較例3)
[キャリアGの製造]
マグネタイト 100重量部
(富士電気化学社製、MO2-FX50−5、体積平均粒径50μm、球形度1.248、表面粗さ1.58、磁化値82emu/g(1kOe))
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.1重量部
パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(共重合比40:60、重量平均分子量50,000) 0.3重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 2.8重量部
(石原産業社製、FT−1000、電気抵抗1×10Ω・cm、繊維長1.7μm、繊維径0.1μm、アスペクト比17)
【0177】
マグネタイトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とマグネタイトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き75μmの篩いで篩分してキャリアGを得た。
【0178】
得られたキャリアGの被覆樹脂層の厚みは0.9μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は30体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、露出面が無く均一に被覆されていたが、キャリア表面には芯材表面の大きな凹凸が残っているところが多数観察された。この時の製造得率は53%であった。キャリアGを磁気ブラシの形で電気抵抗を測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は5×10Ω・cmであった。また、被覆樹脂膜の電気抵抗値は100V/cmの電界で8×10Ω・cmであった。
【0179】
さらに、BET比表面積は0.288で真球相当比表面積は0.035であるのでキャリアの表面粗さは8.2であった。
【0180】
[製造得率]
実施例1〜3及び比較例1〜2で得たキャリアの製造得率を表1に示す。製造得率は、被覆前のキャリア芯材量に対する、篩分後に得られたキャリア量の割合を算出したものである。
【0181】
(比較例用のトナーCの製造)
線状ポリエステル樹脂 100重量部
(テレフタル酸/ビスフェノールA、及びエチレンオキサイド付加物/シクロヘキサンジメタノールから得られた線状ポリエステル:Tg=62℃、Mn=4,000、Mw=12,000、酸価=12、水酸基価=25)
黒顔料としてカーボンブラック(キャボット社製:モーガルL) 3重量部
【0182】
上記混合物をエクストルーダーで混練し、ジェットミルで粉砕した後、風力式分級機で分散して<評価>得られた静電荷像現像用トナーは、体積平均粒径を測定してみると、5.7μmであった。また、トナーの形状は平均値が157の黒の着色粒子トナーCを得た。
【0183】
同様にして顔料を顔料としては、イエローとしてベンジジンイエロー ピグメント#17、マジェンタとしてカ−ミン6B、及びシアンとしてフタロシアニンブル−を用いて各種カラートナーを作成した。なお、粉砕/分級により平均粒子径、形状係数は上記の黒トナーとほぼ同じものを得た。
【0184】
[画質評価]
実施例1〜3及び比較例1〜3で得たキャリア100重量部と上記実施例1〜2及び比較例で得たトナー3重量部と混合し、現像剤を作製した。
【0185】
これらの現像剤について、電子写真複写機(富士ゼロックス社製、DocuCentre Color 500プリンタ−)を使用し、評価環境は低温低湿(10℃、15%RH)、常温常湿(22℃、55%RH)、高温高湿(28℃、85%RH)にそれぞれに調整して複写テストを行った。
【0186】
(カバレッジ)
5%〜100%カバレッジのハーフトーンからソリッド画像(20mm×20mm)をプリントし、その出力画像のカバレッジをマクべス濃度測定機で測定し、入力した10%〜100%カバレッジに近いほど良好であると判断した。
【0187】
判定基準は、〇・・・5%〜100%カバレッジほぼ再現している。△・・・10〜60%カバレッジまではほぼ再現している。×・・・ほとんど再現していない。
【0188】
(エッジデフェクト)
10%〜60%カバレッジのハーフトーン画像(20mm×20mm)の中心部位に(10mm×10mm)の100%カバレッジのベタ画像を配したチャ−トをプリントし、その出力画像の端部位の再現性を目視で判定した。判定は各10%〜60%カバレッジのハーフトーン画像での最悪値で表した。
【0189】
判定基準は、〇・・・ハーフトーン出力画像の端部位がぼ再現している。△・・・ハーフトーン出力画像の端部位に薄く見えるところが僅かに見られる。×・・・ハーフトーン出力画像の端部位がはっきりと薄くなっている。
【0190】
(カブリ)
画像背景部上のトナーカブリを目視観察で評価し、3段階にランク付けを行った。○はカブリなし、△はカブリが若干みられるが実用上問題無し、×はカブリがひどい。
【0191】
評価は、常温常湿下では複写1枚目と5万枚目について、低温低湿下及び高温高湿下では複写1枚目について行った。結果は表1から表12に示した。
【0192】
【表1】

【0193】
【表2】

【0194】
【表3】

【0195】
【表4】

【0196】
【表5】

【0197】
【表6】

【0198】
【表7】

【0199】
【表8】

【0200】
【表9】

【0201】
【表10】

【0202】
【表11】

【0203】
【表12】

【0204】
本発明のキャリアA,B,C,Dを使用した場合には優れた画像品質が得られ、経時劣化や環境変動に対しても安定なものであった。また、製造得率も高い値を示した。一方、比較例1のキャリアE、比較例2のキャリアF、比較例3のキャリアGは、針状導電粉を使用しているため環境変動に対する安定性には優れていたが、所定のキャリア芯材を使用していないために、常温常湿下でも5万枚目になると帯電量が低下して、画像濃度が高く、カブリが認められた。特に針状導電粉の含有量が比較的少ないキャリアFについては特に悪かった。
【0205】
さらに、実施例および比較例を挙げて本発明について具体的に説明する。なお、これらに本発明は限定されるものではない。
【0206】
(実施例5)
[キャリアコアの製造]
MnO換算で50.0mol%、Fe換算で50.0mol%になるように原料を適宜配合し、水を加えてボ−ルミルで24時間粉砕しながら混合してオ−ブン乾燥機で乾燥させた後950℃で6時間加熱した後、冷却して取り出し、これに水を加えてボ−ルミルにて24時間以上かけて再び0.1μm以下の粒子となるように粉砕した。
【0207】
スラリ−の水分量90%を維持調節しながら水溶性バインダー(カルボキシメチルセルロース)をキャリア原料100重量部に対して5重量部を加えプロペラ式攪拌機で混合してポンプで180℃の乾燥空気に調節したロータリーディスクアトマイザー式プレードライヤーに投入して造粒しながら乾燥した。この時点での原料粒子は0.5〜5μmの粒度を示すように水分量と、ディスクアトマイザーの回転数とポンプの送液量を調節した。
【0208】
該原料粒子を950℃で6時間加熱した後、冷却して取り出しキャリアコア表面突起材とした。次に、スラリ−の水分量70%を維持調節しながら水溶性バインダー(カルボキシメチルセルロース)をキャリア原料100重量部に対して10重量部を加えプロペラ式攪拌機で混合してポンプで180℃の乾燥空気に調節したロータリーディスクアトマイザー式プレードライヤーに投入して造粒しながら乾燥した。この時点での原料粒子は5〜100μmの粒度を示すように水分量と、ディスクアトマイザーの回転数とポンプの送液量を調節した。
【0209】
該粒子に分散剤(PVA)と水溶性バインダー(カルボキシメチルセルロース)を適宜加えて造粒して高温処理した、0.5〜5μmのほぼ球状の磁性体粒子と5〜100μmのほぼ球状の磁性体粒子とを作成し、2つの異なる粒子径を有する該磁性体粒子に分散剤とバインダーを適宜加えて転動造粒などの装置で造粒した後、抵抗を調整する目的で、酸素濃度3%の雰囲気下で1290℃で8時間加熱し、冷却した後、解砕/分級して磁性体芯材料表面に0.5〜5μmの概ね半球状の磁性体粒子の突起を有した10〜50μmの磁性体芯材をキャリアの芯材Aを得た。なお、このキャリアの芯材Aの磁化特性等を測定したところ、平均粒径35.5μm、磁化値71emu/g (1kOe) であった。また、キャリアコア表面をSEM観察、BET吸着表面性を見たところ、表面は微細な凸凹を有しており、BTE値は0.056g/cmを示した。
【0210】
[キャリアコアの導電性コ−テング]
キャリア芯材A 100重量部
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 3.7重量部
(石原産業社製、HI−2、電気抵抗5×10Ω・cm、繊維長0.3μm、繊維径0.06μm、アスペクト比5)
【0211】
キャリア芯材Aを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とフェライトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き45μmの篩いで篩分してキャリアHを得た。
【0212】
得られたキャリアHの被覆樹脂層の厚みは0.6μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は40体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、キャリア芯材Aの微細な凸凹にコ−チング材が埋まっており、露出面が無く均一に被覆され、表面はほぼ平坦であることが確認された。この時の製造得率は75%であった。さらに、キャリアHを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2×10Ω・cmであった。
【0213】
[トナーDの製造]
一例として、本発明のトナー作成例を挙げて詳しく説明するが、本発明を何ら限定するものではない。
【0214】
<第1工程>
−−分散液(1)の調製−−
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・370重量部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・30重量部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・ 8重量部
ドデカンチオール・・・・・・・・・・・ 24重量部
四臭化炭素・・・・・・・・・・・・・・ 4重量部
【0215】
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6重量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10重量部をイオン交換水550重量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒径が155nm、ガラス転移点が59℃、重量平均分子量(Mw)が12,000である樹脂粒子を分散させてなる分散液(1)を調製した。
【0216】
−−分散液(2)の調製−−
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・ 280重量部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・120重量部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・ 8重量部
【0217】
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6重量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)12重量部をイオン交換水550重量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム3重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、体積平均粒径が105nm、ガラス転移点が53℃、重量平均分子量(Mw)が55,000である樹脂粒子を分散させてなる分散液(2)を調製した。
【0218】
−−着色剤分散液(1)の調製−−
・C.I.Pig.Y-185(BASF株式会社製 着色剤):40重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK):10重量部
・イオン交換水: 490重量部
【0219】
以上を混合し、溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散し、体積平均粒径が100nmである着色剤(C.I.Pig.Y-185)を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。
【0220】
−−離型剤分散液(1)の調製−−
パラフィンワックス・・・・・・・・・・ 50重量部
(日本精蝋(株)製:HNP0190、融点85℃)
カチオン性界面活性剤・・・・・・・・・ 5重量部
(花王(株)製:サニゾールB50)
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・ 200重量部
【0221】
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)を調製した。
【0222】
−−凝集粒子の調製−−
分散液(1)・・・・・・・・・・・・120重量部
分散液(2)・・・・・・・・・・・・ 80重量部
着色剤分散液(1)・・・・・・・・・ 30重量部
離型剤分散液(1)・・・・・・・・・ 40重量部
ポリ塩化アルミニウム ・・・・・・・ 0.2重量部
【0223】
以上の成分を丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックス(T50、IKA社製)を用いて十分に混合・分散し、1N硝酸を加え分散液のPHを2.5に調整した。次いで、ウルトラタラックスで分散操作を分散粒子が2μmを超える物がなくなるまで継続し、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で120分保持した。このときフラスコ中の粒子径を測定したところ3.2μmであった。その後、さらに樹脂微粒子分散液を緩やかに30重量部を追加し180分保持した。このときフラスコ中の粒子径を測定したところ3.6μmであった。その後、0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.5に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3リットルに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度9.8μS/cm、表面張力が71.1Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで凍結真空乾燥を12時間継続して実施例1のYellowトナー粒子を得た。
【0224】
同様にして、着色剤分散液(Y)にかえて着色剤分散液のY顔料をC.I.Pig.R-283(山陽色素株式会社製)とした着色剤分散液(M)、着色剤分散液(Y)にかえて着色剤分散液のY顔料をC.I.Pig.Blue 15:3 チバガイゲーギ株式会社製)とした着色剤分散液(C)および、着色剤分散液(Y)にかえて着色剤分散液のY顔料をカ−ボンブラック BPL(キャボット社製)とした着色剤分散液(黒)をもちいてMagenta、Cyan及び黒トナ−粒子を作成した。上記のトナ−粒子の体積平均粒子径を測定したところ、それぞれに、Magentaトナ−は3.5μm、Cyanトナ−は3.5μm、黒トナ−は3.3μmであった。
【0225】
帯電性、転写性を高めるため、該トナーに、平均粒径10〜150nmのシリカ2.0wt%及び酸化チタン(チタニア)1.0wt%程度等の無機微粒子を外添剤として適宜量外添し該トナ−3重量部に対して、平均粒径35μmのキャリアH100重量部と混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2×10Ω・cmであった。さらに、該トナーD8重量部に対して、平均粒径35μmのキャリアHの100重量部と混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2.3×10Ω・cmであった。
【0226】
このように、本発明の現像剤はトナ−濃度が変化しても、現像剤抵抗値はあまり変わらないものである。
【0227】
(実施例6)
[キャリアコアの製造]
MnO換算で40.0mol%、MgO換算で10.0mol%、Fe換算で50.0mol%、になるように原料を適宜配合し、水を加えてボ−ルミルで24時間粉砕しながら混合してオ−ブン乾燥機で乾燥させた後950℃で6時間加熱した後、冷却して取り出し、これに水を加えてボ−ルミルにて24時間以上かけて再び0.1μm以下の粒子となるように粉砕した。
【0228】
スラリ−の水分量90%を維持調節しながら水溶性バインダー(カルボキシメチルセルロース)をキャリア原料100重量部に対して5重量部を加えプロペラ式攪拌機で混合してポンプで180℃の乾燥空気に調節したロータリーディスクアトマイザー式プレードライヤーに投入して造粒しながら乾燥した。この時点での原料粒子は0.5〜5μmの粒度を示すように水分量と、ディスクアトマイザーの回転数とポンプの送液量を調節した。
【0229】
該原料粒子を950℃で6時間加熱した後、冷却して取り出しキャリアコア表面突起材とした。次に、スラリ−の水分量70%を維持調節しながら水溶性バインダー(カルボキシメチルセルロース)をキャリア原料100重量部に対して10重量部を加えプロペラ式攪拌機で混合してポンプで180℃の乾燥空気に調節したロータリーディスクアトマイザー式プレードライヤーに投入して造粒しながら乾燥した。この時点での原料粒子は5〜100μmの粒度を示すように水分量と、ディスクアトマイザーの回転数とポンプの送液量を調節した。
【0230】
該粒子に分散剤(PVA)と水溶性バインダー(カルボキシメチルセルロース)を適宜加えて造粒して高温処理した、0.5〜5μmのほぼ球状の磁性体粒子と5〜100μmのほぼ球状の磁性体粒子とを作成し、2つの異なる粒子径を有する該磁性体粒子に分散剤とバインダーを適宜加えて転動造粒などの装置で造粒した後、抵抗を調整する目的で、酸素濃度3%の雰囲気下で1290℃で8時間加熱し、冷却した後、解砕/分級して磁性体芯材料表面に0.5〜5μmの概ね半球状の磁性体粒子の突起を有した10〜50μmの磁性体芯材をキャリアの芯材Bを得た。なお、このキャリアの芯材Bの磁化特性等を測定したところ、平均粒径35.5μm、磁化値66emu/g (1kOe) であった。また、キャリアコア表面をSEM観察、BET吸着表面性を見たところ、表面は微細な凸凹を有しており、BTE値は0.055g/cmを示した。
【0231】
[キャリアコアの導電性コ−テング]
キャリア芯材B 100重量部
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 3.7重量部
(石原産業社製、HI−2、電気抵抗5×10Ω・cm、繊維長0.3μm、繊維径0.06μm、アスペクト比5)
【0232】
キャリア芯材Bを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とフェライトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き45μmの篩いで篩分してキャリアIを得た。
【0233】
得られたキャリアIの被覆樹脂層の厚みは0.6μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は40体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、キャリア芯材Bの微細な凸凹にコ−チング材が埋まっており、露出面が無く均一に被覆され、表面はほぼ平坦であることが確認された。この時の製造得率は75%であった。さらに、キャリアIを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は3.1×10Ω・cmであった。
【0234】
実施例5のトナーDの3重量部に対して、体積平均粒径35μmのキャリアIを100重量部混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は3.7×10Ω・cmであった。さらに、該トナーD8重量部に対して、平均粒径35μmのキャリアHの100重量部を混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は4×10Ω・cmであった。
【0235】
このように、本発明の現像剤はトナ−濃度が変化しても、現像剤抵抗値はあまり変わらないものであった。
【0236】
(実施例7)
実施例6で用いたキャリア芯材Bを用いて実施例6と同様にして導電材の量をやや減らしたキャリアJを作成した。
【0237】
[キャリアコアの導電性コ−テング]
キャリア芯材B 100重量部
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 3.2重量部
(石原産業社製、HI−2、電気抵抗5×10Ω・cm、繊維長0.3μm、繊維径0.06μm、アスペクト比5)
【0238】
キャリア芯材Bを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とフェライトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き45μmの篩いで篩分してキャリアJを得た。
【0239】
得られたキャリアJの被覆樹脂層の厚みは0.6μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は50体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、キャリア芯材Bの微細な凸凹にコ−チング材が埋まっており、露出面が無く均一に被覆され、表面はほぼ平坦であることが確認された。この時の製造得率は75%であった。さらに、キャリアBを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は6.7×10Ω・cmであった。
【0240】
実施例5のトナーD3重量部に対して、体積平均粒径35μmのキャリアJ100重量部と混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は8.2×10Ω・cmであった。さらに、該トナーD8重量部に対して、体積平均粒径35μmのキャリアJの100重量部を混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は9.1×10Ω・cmであった。
【0241】
このように、本発明の現像剤はトナ−濃度が変化しても、現像剤抵抗値はあまり変わらないものであった。
【0242】
(実施例8)
実施例6で用いたキャリア芯材Bを用いて実施例6と同様にして導電材の量を増やしたキャリアKを作成した。
【0243】
[キャリアコアの導電性コ−テング]
キャリア芯材B 100重量部
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート
共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000)1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 4.2重量部
(石原産業社製、HI−2、電気抵抗5×10Ω・cm、繊維長0.3μm、繊維径0.06μm、アスペクト比5)
【0244】
キャリア芯材Bを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とフェライトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き45μmの篩いで篩分してキャリアKを得た。
【0245】
得られたキャリアKの被覆樹脂層の厚みは0.6μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は50体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、キャリア芯材Bの微細な凸凹にコ−チング材が埋まっており、露出面が無く均一に被覆され、表面はほぼ平坦であることが確認された。この時の製造得率は75%であった。さらに、キャリアKを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は6.7×10Ω・cmであった。
【0246】
実施例5のトナーDの3重量部に対して、平均粒径35μmのキャリアK100重量部と混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は8.2×10Ω・cmであった。さらに、該トナーD8重量部に対して、平均粒径35μmのキャリアKの100重量部と混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は9.1×10Ω・cmであった。
【0247】
このように、本発明の現像剤はトナ−濃度が変化しても、現像剤抵抗値はあまり変わらないものであった。
【0248】
(比較例4)
〔キャリアLの製造〕
フェライト 100重量部
(同和鉄粉工業社製、DFC450−320、平均粒径35μm、球形度1.196、表面粗さ4.15、磁化値73emu/g (1kOe))
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート
共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 3.7重量部
(石原産業社製、HI−2、電気抵抗5×10Ω・cm、繊維長0.3μm、繊維径0.06μm、アスペクト比5)
【0249】
フェライトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とフェライトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き45μmの篩いで篩分して比較例キャリアLを得た。
【0250】
得られた比較例キャリアLの被覆樹脂層の厚みは0.6μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は40体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、比較例キャリアLの微細な凸凹にコ−チング材が埋まっており、露出面が無く均一に被覆され、表面はほぼ平坦であることが確認された。この時の製造得率は75%であった。さらに、比較例キャリアCを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2.1×10Ω・cmであった。
【0251】
比較例4のトナーDの3重量部に対して、平均粒径35μmの比較例キャリアLの100重量部を混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は2.2×10Ω・cmであった。さらに、該トナーD8重量部に対して、平均粒径35μmの比較例キャリアLの100重量部を混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は8.9×10Ω・cmであった。
【0252】
このように、比較例キャリアLで作成された現像剤はトナー濃度の変化により、現像剤抵抗値が大きく変わるものであった。
【0253】
(比較例5)
〔キャリアMの製造〕
フェライト 100重量部
(同和鉄粉工業社製、DFC450−320、平均粒径35μm、球形度1.196、表面粗さ4.15、磁化値73emu/g (1kOe))
トルエン 8.8重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート
共重合体(共重合比2:20:78、重量平均分子量50,000) 1.2重量部
針状導電粉(アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタン) 4.2重量部
(石原産業社製、HI−2、電気抵抗5×10Ω・cm、繊維長0.3μm、繊維径0.06μm、アスペクト比5)
【0254】
フェライトを除く上記成分をサンドミルにて1時間分散して被覆樹脂層形成用溶液を作製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とフェライトを真空脱気型ニーダーに入れて、温度60℃で減圧しながら20分撹拌して被覆樹脂層を形成し、さらに目開き45μmの篩いで篩分して比較例キャリアMを得た。
【0255】
得られた比較例キャリアMの被覆樹脂層の厚みは0.6μmであった。また、アンチモンドープ型酸化スズ被覆酸化チタンの含有量は40体積%であった。このキャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、比較例キャリアFの微細な凸凹にコ−チング材が埋まっており、露出面が無く均一に被覆され、表面はほぼ平坦であることが確認された。この時の製造得率は75%であった。さらに、比較例キャリアFを磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は6.1×10Ω・cmであった。
【0256】
比較例4のトナーDの3重量部に対して、体積平均粒径35μmの比較例キャリアM100重量部と混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は7.2×10Ω・cmであった。さらに、該トナーD8重量部に対して、体積平均粒径35μmの比較例キャリアF100重量部と混合し現像剤とした。磁気ブラシの形で電気抵抗測定し、10V/cmの電界まで外挿したときの電気抵抗値は8.2×10Ω・cmであった。
【0257】
このように、比較例キャリアで作成された現像剤はトナー濃度の変化により、現像剤抵抗値が大きく変わるものであった。
【0258】
−静電荷像現像剤の評価−
得られた静電荷像現像剤を用い、画像形成装置(富士ゼロックス製プリンター DocuCentre Color 500)にて、各トナ−の単位面積当たりの重量を2.5g/mとした場合の画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)で濃度を測定したところ表13に示すごとく広いトナ−濃度領域で安定した画像濃度、非画像部位のカブリを示した。また、1ドット1オフで見た解像度、および画像密度の低いハーフトーンの端部位のきれ(画像のカケの具合)も広いトナ−濃度領域で非常に良好な物で高品位なカラ−画像であることが示された。
【0259】
これに対して比較例のキャリアで構成された現像剤ではトナ−濃度が少しでも変動すると画像濃度、解像度、ハーフトーン再現が大きく変化してしまった。
【0260】
なお、以下の表13,14の評価基準は次の通りである。
【0261】
【表13】

【0262】
−静電荷像現像剤の維持性能評価−
得られた静電荷像現像剤を用い、画像形成装置(富士ゼロックス製プリンター DCC500)にて、100000プリントを行った後に、前述の実施例と同様に評価したところ実施例1〜4の現像剤は初期の画質を維持しており非常に良好なものであった。
【0263】
しかし、比較例4及び5はトナ−濃度依存がますます大きくなり画質上問題のでないトナ−濃度範囲がいっそう狭くなっていた。表14にその結果をまとめた。
【0264】
【表14】

【0265】
なお、以下の表13,14の評価基準は次の通りである。
【0266】
[画像濃度]
1.1以下:×、1.1〜1.3:△、1.3以上:○。
【0267】
[解像度]
潰れる:×、ぼやけて見える:△、はっきり見える:○。
【0268】
[ハーフトーン端部]
局所的に消える:×、かすれる:△、均一:○。
【0269】
[カブリ]
はっきり判る:×、ほんの僅かにある:△、目立たない:○。
【0270】
さらに、実施例および比較例を挙げて本発明に於ける、特にYellowトナーについて具体的に説明する。なお、これらに本発明は限定されるものではない。
【0271】
(実施例9)
A:樹脂粒子分散液の調製
−樹脂粒子分散液(1)の調製−
・スチレン: 270重量部
・n−ブチルアクリレート :30重量部
・アクリル酸: 5重量部
・ドデカンチオール : 22重量部
・四臭化炭素: 3重量部
【0272】
上記組成の成分を混合し、溶解した溶液を、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)7重量部およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)11重量部をイオン交換水500重量部に溶解した溶液に、フラスコ中で分散し、乳化し10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)2.5重量部をイオン交換水に溶解した溶液50重量部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その後、反応液を室温まで冷却し、ガラス転移点61℃、重量平均分子量が25000である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液を調製した。
【0273】
B:着色剤分散液の調製
−着色剤分散液(Yellow)の調製−
・C.I.Pig.Y−185(BASF株式会社製 着色剤):40重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) :10重量部
・イオン交換水: 490重量部
【0274】
上記組成の成分を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス750)を用いて10分間分散した後、一晩放置した後、アルチマイザー(杉野マシン製作所)にかけて着色剤分散液(Yellow)を調製した。着色剤分散液(Y)における着色剤粒子の50個数%粒子径は50nmで、着色剤粒子の70個数%以上が40〜60nmの粒子径の範囲にあり、200nmの粗大粒子は10個数%以下であった。
【0275】
−着色剤粒子分散液(Magenta)の調製−
・C.I.Pig.R−283(山陽色素株式会社製): 50重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK):10重量部
・イオン交換水: 490重量部
【0276】
上記組成の成分を混合し、前記着色剤分散液(Y)の調製における場合と同様の条件で作成した。
【0277】
着色剤分散液(Magenta)における着色剤粒子の50個数%粒子径は45nmで、着色剤粒子の70個数%以上が40〜60nmの粒子径の範囲にあり、200nmの粗大粒子は5個数%以下であった。
【0278】
−着色剤粒子分散液(Cyan)の調製−
・C.I.Pig.B-15:3 : 50重量部
(チバガイゲーギー株式会社製))
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) :10重量部
・イオン交換水: 490重量部
【0279】
上記組成の成分を混合し、前記着色剤分散液(Y)の調製における場合と同様の条件で作成した。
【0280】
着色剤分散液(Cyan)における着色剤粒子の50個数%粒子径は42nmで、着色剤粒子の70個数%以上が40〜60nmの粒子径の範囲にあり、200nmの粗大粒子は5個数%以下であった。
【0281】
−着色剤粒子分散液(黒)の調製−
・カ−ボンブラック BPL(キャボット社製): 40重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK):10重量部
・イオン交換水: 490重量部
【0282】
上記組成の成分を混合し、前記着色剤分散液(Y)の調製における場合と同様の条件で作成した。
【0283】
着色剤分散液(黒)における着色剤粒子の50個数%粒子径は43nmで、着色剤粒子の70個数%以上が40〜60nmの粒子径の範囲にあり、200nmの粗大粒子は5個数%以下であった。
【0284】
C:離型剤分散液の調製
−離型剤分散液の調製−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP0190) :60重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) :10重量部
・イオン交換水: 300重量部
【0285】
上記組成の成分を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス750)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒子径100nmの離型剤分散液を得た。
【0286】
(凝集工程/トナ−の作成)
・上記樹脂粒子分散液: 140重量部
・上記着色剤分散液(Y):40重量部
・上記離型剤分散液: 40重量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.2重量部
【0287】
以上の成分を丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックス(T50、IKA社製)を用いて十分に混合・分散し、1N硝酸を加え分散液のpHを2.5に調整した。次いで、ウルトラタラックスで分散操作を分散粒子が2μmを超える物がなくなるまで継続し、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら50℃まで加熱した。45℃で120分保持した。このときフラスコ中の粒子径を測定したところ3.2μmであった。その後、さらに樹脂微粒子分散液を緩やかに30重量部を追加し180分保持した。このときフラスコ中の粒子径を測定したところ3.6μmであった。その後、0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.5に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3リットルに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度9.8μS/cm、表面張力が71.1Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで凍結真空乾燥を12時間継続して実施例1のYellowトナー粒子を得た。
【0288】
同様にして、着色剤分散液(Y)にかえて着色剤分散液(M)、着色剤分散液(C)および、着色剤分散液(黒)を用いてMagenta、Cyan及び黒トナー粒子を作成した。上記のトナー粒子の体積平均粒子径を測定したところ、それぞれに、Magentaトナーは3.5μm、Cyanトナーは3.5μm、黒トナーは3.3μmであった。
【0289】
トナー中に含まれる顔料濃度指標値はそれぞれ、Yellowトナ−17、Magentaトナー22、Cyanトナー22及び黒トナー16である。
【0290】
上記トナー中の着色剤粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、個数平均の分散平均粒子径が40〜60nmで200nm以上を示す粗大粒子は5〜8個数%であった。
【0291】
−静電荷像現像剤の調製−
上記静電荷像現像用トナー50重量部に対し、疎水性シリカ(TS720:キャボット製)1重量部を添加し、サンプルミルにてブレンドした。このブレンド物を、ポリメチルメタクリレート(綜研化学社製)を1重量%コートした体積平均粒子径50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が3重量%になるように秤量し、ボールミルで5分間攪拌・混合して静電荷像現像剤を調製した。
【0292】
−静電荷像現像剤の評価−
得られた静電荷像現像剤を用い、画像形成装置(富士ゼロックス製プリンタ− DocuCentre Color 500)にて、各トナ−の単位面積当たりの重量を2.5g/mとした場合の画像濃度をX−Rite(X−Rite社製635)で色再現域を測定したところ、表15および図2に示すごとく広い色再現域を示した。また、1ドット1オフで見た解像度、および画像密度の低いハーフトーンの端部位のきれも非常に良好な物で高品位なカラ−画像であることが示された。
【0293】
【表15】

【0294】
さらに、画像濃度を測定したところ、高温高湿環境下(28℃、85%RH)で1.36、低温低湿環境下(10℃、30%RH)で1.34と、実使用上問題ないレベルであった。また、得られたOHP透明フィルム上への定着画像の透明性について目視にて評価を行ったところ、良好であった。
【0295】
(比較例6)
A:樹脂粒子分散液の調製は、実施例1と同様に行った。
【0296】
B:着色剤分散液の調製
−着色剤分散液(Yellow)の調製−
・C.I.Pig.Y−74: 40重量部
(山陽色素株式会社製:ファ−ストY102 着色剤)
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK):10重量部
・イオン交換水: 190重量部
【0297】
上記組成の成分を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス750)を用いて10分間分散した後、一晩放置した。その後、アルチマイザー(杉野マシン製作所)にかけて着色剤分散液(Yellow)を調製した。着色剤分散液(Y)における着色剤粒子の50個数%粒子径は150nmで、着色剤粒子の70個数%以上が80〜180nmの粒子径の範囲にあり、200nm以上の粗大粒子は10個数%以上であった。
【0298】
Yellowと同様にして、Cyan、Magenta、黒の着色剤分散液の調製は実施例1の各種顔料を用いて作成し、各分散液の着色剤粒子の粒度を測定したところ、それぞれが着色剤粒子の50個数%粒子径は150nmで、着色剤粒子の70個数%以上が80〜180nmの粒子径の範囲にあり、200nm以上の粗大粒子は10個数%以上の範囲にあった。
【0299】
(凝集工程/トナ−の作成)も、実施例9と同様にして行った。各トナーの体積平均粒子径はそれぞれに、Yellowトナーは3.5μm、Magentaトナーは3.5μm、Cyanトナーは3.5μm、および黒トナーは3.3μmであった。
【0300】
トナー中に含まれる顔料濃度指標値はそれぞれ、Yellowトナー58、Magentaトナー58、Cyanトナー58及び黒トナー55である。
【0301】
上記トナー中の着色剤粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、個数平均の分散平均粒子径が80〜180nmで200nm以上を示す粗大粒子は15個数%であった。
【0302】
静電荷像現像剤の調製及び評価は実施例9と同様にして行ったところ、色再現域を測定したところ図3および表16に示すごとく色再現域を示した。色再現域は実施例9に比べて狭く、高品位なカラー画像であることはいえない物であった。
【0303】
【表16】

【0304】
(実施例10)
A:樹脂粒子分散液の調製は、実施例9と同様に行った。
【0305】
B:着色剤分散液の調製
−着色剤分散液(Yellow)の調製−
・C.I.Pig.Y-185(BASF株式会社製:): 40重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK): 10重量部
・イオン交換水 : 990重量部
【0306】
上記組成の成分を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス750)を用いて10分間分散した後、一晩放置した後、アルチマイザー(杉野マシン製作所)にかけて着色剤分散液(Yellow)を調製した。着色剤分散液(Y)における着色剤粒子の50個数%粒子径は41nmで、着色剤粒子の70個数%以上が40〜60nmの粒子径の範囲にあり、200nm以上の粗大粒子は4個数%以下であった。
【0307】
Yellowと同様にして、Cyan、Magenta、黒の着色剤分散液の調製は実施例1の各種顔料を用いて作成し、各分散液の着色剤粒子の粒度を測定したところ、それぞれが着色剤粒子の50個数%粒子径は40nmで、着色剤粒子の70個数%以上が40〜60nmの粒子径の範囲にあり、200nm以上の粗大粒子は5個数%以下の範囲にあった。
【0308】
(凝集工程/トナ−の作成)も、実施例9と同様にして行った。各トナーの体積平均粒子径はそれぞれに、Yellowトナーは3.5μm、Magentaトナーは3.5μm、Cyanトナーは3.5μm、および黒トナーは3.3μmであった。
【0309】
トナー中に含まれる顔料濃度指標値はそれぞれ、Yellowトナー13.3、Magentaトナー13.3、Cyanトナー13.3及び黒トナー12.5である。
【0310】
上記トナー中の着色剤粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、個数平均の分散平均粒子径が40〜60nmで200nm以上を示す粗大粒子は5〜8個数%であった。
【0311】
−静電荷像現像剤の調製−
上記静電荷像現像用トナー50重量部に対し、疎水性シリカ(TS720:キャボット製)1重量部を添加し、サンプルミルにてブレンドした。このブレンド物を、ポリメチルメタクリレート(綜研化学社製)を1重量%コートした体積平均粒子径50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が3重量%になるように秤量し、ボールミルで5分間攪拌・混合して静電荷像現像剤を調製した。
【0312】
−静電荷像現像剤の評価−
得られた静電荷像現像剤を用い、画像形成装置(富士ゼロックス製プリンタ− DocuCentre Color 500)にて、各トナ−の単位面積当たりの重量を2.5g/mとした場合の画像濃度をX−Rite(X−Rite社製635)で色再現域を測定したところ図4および表17に示すごとく広い色再現域を示した。また、1ドット1オフで見た解像度、および画像密度の低いハーフトーンの端部位のきれも非常に良好な物で高品位なカラー画像であることが示された。
【0313】
【表17】

【0314】
さらに、画像濃度を測定したところ、高温高湿環境下(28℃、85%RH)で1.26、低温低湿環境下(10℃、30%RH)で1.24と、実使用上問題ないレベルであった。また、得られたOHP透明フィルム上への定着画像の透明性について目視にて評価を行ったところ、良好であった。
【0315】
(実施例11)
比較例6と実施例10の各トナーを混合して表18のごとく合計の顔料濃度指標が10〜25になるように調整した。表18に示した数値はトナ−の重量比である。
【0316】
【表18】

【0317】
静電荷像現像剤の調製と静電荷像現像剤の評価は実施例9と同様にしてテストしたところ図5および表19に示すごとく広い色再現域を示した。また、1ドット1オフで見た解像度、および画像密度の低いハーフトーンの端部位のきれも非常に良好な物で高品位なカラー画像であることが示された。
【0318】
【表19】

【0319】
さらに、画像濃度を測定したところ、高温高湿環境下(28℃、85%RH)で1.36、低温低湿環境下(10℃、30%RH)で1.34と、実使用上問題ないレベルであった。また、得られたOHP透明フィルム上への定着画像の透明性について目視にて評価を行ったところ、良好であった。
【0320】
(実施例12)
実施例9の凝集工程/トナーの作成工程において、着色分散液を加えないで透明トナ−を作成した。
【0321】
(実施例13)
比較例6と実施例12の透明トナーを混合して表20のごとく合計の顔料濃度指標が10〜25になるように調整した。表20に示した数値はトナーの重量比である。
【0322】
【表20】

【0323】
静電荷像現像剤の調製と静電荷像現像剤の評価は実施例9と同様にしてテストしたところ図6および表21に示すごとく広い色再現域を示した。また、1ドット1オフで見た解像度、および画像密度の低いハーフトーンの端部位のきれも非常に良好な物で高品位なカラー画像であることが示された。
【0324】
【表21】

【0325】
さらに、画像濃度を測定したところ、高温高湿環境下(28℃、85%RH)で1.36、低温低湿環境下(10℃、30%RH)で1.34と、実使用上問題ないレベルであった。また、得られたOHP透明フィルム上への定着画像の透明性について目視にて評価を行ったところ、良好であった。
【0326】
特に、GreenとRedの色域の差の広がりが大きいほどYellowの色味が鮮明になる。図2から図6に示すように、上記色域の差が僅かに見えるが、このわずかな差が肉眼において大きな見え方の差になる。たとえば、果物のレモンのプリント画像では色域が狭いと熟れていないレモンのような画像となるなどの弊害がでる。
【産業上の利用可能性】
【0327】
本発明の静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、およびこれらを用いた画像形成方法は、特に、電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0328】
【図1】本実施の形態の静電荷像現像用キャリアの形状の一例を示す図である。
【図2】本実施例9における現像剤の色再現域測定結果を示す図である。
【図3】本比較例6における現像剤の色再現域測定結果を示す図である。
【図4】本実施例10における現像剤の色再現域測定結果を示す図である。
【図5】本実施例11における現像剤の色再現域測定結果を示す図である。
【図6】本実施例12における現像剤の色再現域測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0329】
10 芯材、12 仮想内球、14 仮想外球、20 突起部、22 両矢印。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材が被覆樹脂層により被覆処理されたキャリアであって、
前記芯材は、式(I)で示される球形度が1.220以下であり、式(II)で示される表面粗さが1.8以上6.0以下であり、
前記被覆樹脂層は、針状導電粉を含有し、
前記被覆樹脂層で前記芯材を被覆処理したキャリアの表面粗さは、1.6以下であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア。
球形度=(L/2) ・π/S … (I)
式(I)中、L:粒子投影像の最大径、S:粒子投影像の面積。
表面粗さ=SBET /S´ … (II)
式(II)中、SBET:粒子のBET比表面積、S´:真球相当比表面積。
【請求項2】
請求項1に記載の静電荷像現像用キャリアにおいて、
前記キャリアの芯材の表面は、複数の突起部が形成され、
前記芯材に形成された複数の突起部の頂点を結ぶことにより形成される仮想外球の半径と前記芯材に形成された複数の突起部の付け根部分を結ぶことにより形成される仮想内球の半径との差が、0.5〜5μmであることを特徴とする静電荷像現像用キャリア。
【請求項3】
トナーとキャリアとを含有する静電荷像現像剤であって、
前記キャリアが、請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用キャリアであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項4】
請求項3に記載の静電荷像現像剤において、
前記トナーは、乳化重合凝集法により作成され形状係数SF1が135以下であり、
前記キャリアと混合されることにより作成されたことを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項5】
請求項3に記載の静電荷像現像剤において、
前記トナーは、少なくとも樹脂粒子と着色剤粒子とを含む静電荷像現像用トナーであって、前記樹脂粒子を分散させてなる分散液中で、該樹脂粒子のガラス転移点以下の温度に加熱して凝集粒子を形成し、凝集粒子分散液を調製する第1工程と、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程と、前記付着粒子を加熱して融合する第3工程とを含む製造方法により製造された静電荷像現像用トナーであり、透過型電子顕微鏡により測定されたトナー内部での着色剤粒子の分散状態が、以下の2つの条件(i)、(ii)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(i)着色剤粒子の個数分散平均粒子径が40〜60nmの範囲。
(ii)着色剤粒子全体における個数分散平均粒子径40〜60nmの範囲の粒子が70個数%以上、個数分散平均粒子径200nm以上の粗大側粒子の含有量が10個数%以下。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用キャリアにおいて、
前記静電荷像現像剤の測定電界が1×10V/cm時における電気抵抗が1×10〜1×10Ω・cm、帯電量が15〜25μc/gの範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項7】
磁性材料をあらかじめ混合して高温にて仮焼成した後、粉砕して体積平均粒子径0.5μm以下の粒子とし、前記粒子に分散剤とバインダーとを加え造粒して高温処理した体積分散平均粒子径0.5〜5μmのほぼ球状の磁性体粒子と体積分散平均粒子径5〜100μmのほぼ球状の磁性体粒子とを作成し、
2つの異なる粒子径を有する該磁性体粒子に分散剤とバインダーを加えて造粒して高温処理し、分級して磁性体芯材料表面に0.5〜5μmの略半球状の磁性体粒子の突起を有した体積平均粒子径10〜50μmの磁性体芯材をキャリアの芯材として用いることを特徴とする静電荷像現像用キャリアの製造方法。
【請求項8】
潜像担持体に潜像を形成する工程と、該潜像を現像剤を用いて現像する工程と、現像されたトナー像を転写体に転写する工程と、転写体上のトナー像を加熱定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、前記現像剤として、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の静電潜像現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−38961(P2006−38961A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214989(P2004−214989)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】