説明

静電霧化装置

【課題】小型化を図るとともに安定してラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成することができる静電霧化装置を提供する。
【解決手段】圧電振動子20は、複数方向に分極され、少なくとも一つの電極23を高電圧出力面とするとともに、他の少なくとも一つの電極22a,22bを電力供給面として有し、電力供給のための分極厚みは高電圧出力面を構成する分極厚みよりも短く構成することで供給印加電圧を増幅して高電圧出力面から出力する。霧化部30は、圧電振動子20の高電圧出力面に電気的に接続され、圧電振動子20から交流電圧が伝達される。液体供給部40は、霧化部30に液体を供給して霧化部30の先端30aにおいて液体を静電霧化させてラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成させる。霧化部30は毛細管現象を有する部材よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電微粒子ミストを生成するための静電霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の静電噴霧方式としては、一例として特許文献1においては図10に示すように、高電圧が印加される放電電極100と、放電電極100に対向する対向電極101と、放電電極100に霧化させるべき液体を供給する液体供給手段102とを有し、放電電極100に高電圧を印加させて、供給した液体を霧化させるものがある。
【0003】
上記のような従来例において、静電霧化装置によるナノメータサイズの帯電微粒子ミストを発生させるメカニズムは、放電電極100に印加された高電圧により放電電極100の先端部に供給された液体が帯電し、帯電した液体にクーロン力が働き、放電電極100の先端に供給保持された液体の液面が、局所的に先端が尖った錐状に盛り上がってテーラーコーンとなり、このテーラーコーンの先端部分に電荷が集中して高密度化され、高密度化された電荷の反発力による液体の分裂・飛散を繰り返して静電霧化を行い、ラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成させるようになっている。
【0004】
上記帯電微粒子ミストは、帯電により被対象物に引き寄せられる機能のほかに、脱臭、除菌などの効果を有しているが、この脱臭、除菌などの発現は、帯電微粒子ミスト中に含まれるラジカルが主な効果要因として作用していると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−313460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の静電霧化装置にあっては、放電電極100に印加する電圧を高くするために、高圧トランスが必要であり、装置が大型となってしまうほか、安定化が課題となっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、小型化を図るとともに安定してラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成することができる静電霧化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数方向に分極され、少なくとも一つの電極を高電圧出力面とするとともに、他の少なくとも一つの電極を電力供給面として有し、電力供給のための分極厚みは前記高電圧出力面を構成する分極厚みよりも短く構成することで供給印加電圧を増幅して前記高電圧出力面から出力するようにした圧電振動子と、前記圧電振動子の高電圧出力面に電気的に接続され、前記圧電振動子から交流電圧が伝達される霧化部と、前記霧化部に液体を供給して前記霧化部の先端において液体を静電霧化させてラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成させる液体供給手段と、を備えた静電霧化装置であって、前記霧化部が毛細管現象を有する部材よりなることを要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、圧電振動子において、少なくとも一つの電極を高電圧出力面とするとともに、他の少なくとも一つの電極を電力供給面として有し、電力供給のための分極厚みが高電圧出力面を構成する分極厚みよりも短くなっていることにより、供給印加電圧が増幅されて高電圧出力面から出力される。圧電振動子から交流電圧が霧化部に伝達される。液体供給手段により、霧化部に液体が供給されて霧化部の先端において液体が静電霧化されてラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成させる。
【0010】
このように、複数に分極した圧電振動子の電圧増幅作用による高い電圧を利用して、ラジカルを有する帯電微粒子ミストを放電により発生させることができ、かつ、小型な装置で行える。また、霧化部が毛細管現象を有する部材よりなるので、霧化部に供給された液体について霧化部において安定して少量の液体を先端に移動させることができ、先端で静電霧化される。
【0011】
その結果、小型化を図るとともに安定してラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成することができることとなる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の静電霧化装置において、前記霧化部を複数有していることを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、複数の霧化部からラジカルを有する帯電微粒子ミストが生成され、大量にラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の静電霧化装置において、前記霧化部に対してグランドに接続されたグランド電極を有していることを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、霧化部において生成したラジカルを有する帯電微粒子ミストがグランド電極に向かい、ラジカルを有する帯電微粒子ミストに指向性を持たせることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の静電霧化装置において、前記グランド電極のグランドへの配線に、前記霧化部への前記液体の供給を検知する液体供給検知手段を有することを要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、液体供給検知手段により霧化部への液体の供給を検知することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小型化を図るとともに安定してラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は実施形態における静電霧化装置の概略全体構成図、(b)は静電霧化装置の一部拡大図。
【図2】(a)は実施形態における圧電振動子の斜視図、(b)は圧電振動子の縦断面図。
【図3】実施形態における静電霧化装置の一部拡大斜視図。
【図4】実施形態における静電霧化装置の一部拡大図。
【図5】実施形態における静電霧化装置の波形図。
【図6】グランド電極の正面図。
【図7】(a)は別例の静電霧化装置の一部側面図、(b)は別例の静電霧化装置の一部斜視図、(c)は別例の静電霧化装置の一部斜視図。
【図8】別例における静電霧化装置の概略全体構成図。
【図9】別例における圧電振動子の斜視図。
【図10】背景技術を説明するための静電霧化装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。なお、以下に示す各図は帯電微粒子ミストを生成するためのメカニズムを説明する上で必要な構成のみを図示した静電霧化装置の模式図となっており、静電霧化装置におけるその他の構成については図示及び説明を省略している。
【0019】
図1(a)に示すように、静電霧化装置10は、圧電振動子20と、霧化部30と、液体供給手段としての液体供給部40と、グランド電極50とを備えている。
液体供給部40は、液溜め機構としてのタンク41と、液体供給路としてのパイプ42と、給水機構としてのポンプ43を具備している。タンク41は、図示しないタンクホルダに着脱可能に設けられている。タンク41内には液体(例えば、水)Lが溜められている。パイプ42は一端がタンク41に接続され、他端側が霧化部30の上方に延設されている。パイプ42の途中にはポンプ43が設けられ、ポンプ43の駆動によってタンク41内の液体Lがパイプ42を介して霧化部30へ供給されるようになっている。霧化部30に供給された液体Lは、霧化部30において静電霧化され、ラジカルを有する帯電微粒子ミストが生成されることになる。
【0020】
図2,3に示すように、圧電振動子20は、矩形板状の圧電体21と、一次側電極(入力電極)22a,22bと、二次側電極(出力電極)23を具備している。圧電体21は、正電圧効果の高いチタン酸ジルコン酸鉛系材料(PZT)からなる。圧電振動子20の長手方向(図2(b)に示す矢印Xの方向)における一方の端面側に二次側電極(出力電極)23が設けられている。また、圧電振動子20の長手方向Xにおける他方側であって、圧電振動子20の厚み方向(図2(b)に示す矢印Yの方向)における両面には一次側電極(入力電極)22a,22bが設けられている。圧電振動子20は、その厚み方向Yと長手方向Xの二方向に分極する構成となっている。ここで、圧電体21における電極22a,22bに挟まれた部位での厚み方向Yの厚みが電力供給のための分極厚みt1となるとともに、圧電体21における電極23と電極22a,22bとの長手方向Xの長さが高電圧出力面A2を構成する分極厚みt2となり、t1<t2となっている。この寸法比(t2/t1)は、入力電圧と出力電圧の略増幅比に相当し、本実施形態では10〜20倍程度に設定されている。なぜなら、これ以上にすると出力電圧が20kV以上にもなり制御が困難となり、そのため10〜20倍とするのが好ましい。
【0021】
図1(a)に示すように、一次側電極22a,22bは電力(交流電圧)を供給する電力供給部24と電気的に接続されるとともに、電力供給部24により圧電振動子20の長手方向Xの長さに対応した共振周波数の交流電圧が一次側電極22a,22bへ印加されるようになっている。この交流電圧印加に基づいて、圧電振動子20の長手方向Xに強い機械振動(超音波振動)が生じるとともに、図1(a)に二点差線で示す波長1/2λを形成する定在波W1モードで振動する。なお、本来、定在波は縦波の振動であるが、図1(a)においては説明の都合上、横波で図示している。この機械振動により、図5に示すように、電力供給部24から一次側電極22a,22bへ印加された電圧E1よりも昇圧された高電圧E2が二次側電極23に発生する。つまり、長手方向Xに対応した共振周波数の交流電圧を厚み方向Yの電極22a,22bから入力すると、長手方向Xに強い機械振動が生じる。この振動により長手方向Xに構成した高電圧出力面A2となる電極23からは圧電効果による電荷が発生する。その結果、図5に示すように、入力電圧E1よりも昇圧された高い電圧E2が振動とともに発生する。
【0022】
このように圧電振動子20は、複数方向(本実施形態では厚み方向Yと長手方向X)に分極され、少なくとも一つの電極23を高電圧出力面A2とするとともに、他の少なくとも一つの電極22a,22bを電力供給面A1として有し、電力供給のための分極厚みt1は高電圧出力面A2を構成する分極厚みt2よりも短く構成することで供給印加電圧を増幅して高電圧出力面A2から出力することができるようになっている。
【0023】
図1(b)、図3および図4に示すように、霧化部30は先端30aが尖状をなし、放電のエネルギーを集中させやすい形状としている。霧化部30は毛細管現象を有する部材から構成されている。具体的には、霧化部30の部材としては、多孔質のセラミックやフェルトや焼結金属のように毛細管現象を起こすようなものが用いられている。
【0024】
霧化部30は接触部材35を介して圧電振動子20の高電圧出力面A2に接触するように設けられている。詳しくは、圧電振動子20の二次側電極23の霧化部30側の面の中央部には接触部材35の一端が接触し、接触部材35の他端には霧化部30が配置され、圧電振動子20の高電圧出力面A2に電気的に接続されている。そして、圧電振動子20の二次側電極23に生じる高電圧は、接触部材35を通じて霧化部30に印加される(圧電振動子20から交流電圧が伝達される)。なお、多孔質のセラミックやフェルトを霧化部30として用いた場合においては、霧化部30において液体が供給されて当該液体が接触部材35に触れると導通することになる。
【0025】
本実施形態では、霧化部30と圧電振動子20とはそれぞれ別個に支持されているとともに、霧化部30と接触部材35とが固定され接触部材35が圧電振動子20の二次側電極23に接触されている。接触部材35は、ステンレス鋼(SUS)、銅及びアルミ等の金属材料にて弾性を有するように形成され、圧電振動子20で生じる機械振動が霧化部30に伝達されることを抑制する。このため、部品点数を増加させることなく、機械振動が霧化部30に伝達されることを抑制しながら二次側電極23にて昇圧された高電圧を霧化部30に印加可能としている。また、二次側電極23と接触部材35とは点接触されているため、圧電振動子20で生じる機械振動が霧化部30に伝達されることがより確実に抑制できるようになっている。
【0026】
また、図1(a)に示すように、圧電振動子20における定在波W1の節F1となる位置には、圧電振動子20を保持する保持部材25,26が、圧電振動子20を厚み方向に挟むように設けられている。保持部材25,26は弾性体からなり、圧電振動子20に対して図示しないボルトによって共締めされるとともに、静電霧化装置における図示しない支持部に支持されている。そのため、圧電振動子20において長手方向に機械振動が生じるが、圧電振動子20を挟持する保持部材25,26がその定在波W1の節F1となる位置に設けられていることで、その節F1に引張・圧縮応力が集中することが抑制できるようになっている。
【0027】
グランド電極50は、図6に示すように円環状をなし、霧化部30に離間して対向配置されている。グランド電極50は霧化部30がその中心に位置するように配置されている。グランド電極50は配線50aによりグランドに接続されている。グランド電極50により、霧化部30で発生した霧の電荷の放電方向に指向性を持たせて高効率に静電霧化現象を起こすことができる。また、図6に示すように、電極50の径、即ち、リング穴径を1mm〜5mm程度としている。
【0028】
次に、静電霧化装置10の作用を説明する。
圧電振動子20において電力供給部24から電極22a,22bに交流電圧が供給されると、寸法比(t2/t1)により入力電圧が増幅し、高電圧出力面A2に高電圧が発生する。そして、高電圧出力面A2に接触部材35を介して接触させた霧化部30に高い交流電圧が伝達される。霧化部30に供給した液体が高い交流電圧により帯電する。詳しくは、霧化部30とグランド電極50と間に高電圧が印加されて霧化部30周りにコロナ放電を生じさせ、タンク41からパイプ42を介して霧化部30の先端30aに供給された液体が帯電するとともに、帯電した液体にクーロン力が作用する。さらに、霧化部30の先端30aに供給保持された液体の液面が、局所的に先端が尖った錐状に盛り上がってテーラーコーンとなり、このテーラーコーンの先端部に電荷が集中して高密度化されるとともに、高密度化された電荷の反発力による液体の分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返して静電霧化が行われる。また、霧化部30が毛細管現象を有する部材よりなるので、霧化部30に供給された液体について霧化部30において安定して少量の液体を先端30aに移動させることができ、先端30aで静電霧化される。そして、電気分解によりラジカルを有するナノメータサイズの帯電微粒子ミストが生成される。
【0029】
そして、放電により霧化された帯電微粒子水となって空気中に飛散する。このとき、グランド電極50によりミストの電荷が引き付けられミストが指向性を持って飛散する。つまり、高い電圧により帯電させた帯電微粒子ミストは、この状態で異符号の物体に付着しやすくなるなどの機能をもち、被処理物に対して積極的に付着させて仕事をさせることができるが、電気分解による硝酸や過酸化水素等、脱臭や除菌の効果をもつラジカル成分は少なく、大地などに向かって無作為に放電されることでラジカル成分を多く保有する機能ミストとなっている。高効率に被処理部に向けたミスト内で電気分解を起こさせてラジカルを生成させるために、高い電圧で帯電させた微粒子水をグランド電位の電極50へ向けて放電させる。特に、本実施形態においては、グランド電位の電極50はリング状に構成し、発生した霧の大部分が通過できるよう、噴霧口の近傍に設置し、放電部(霧化部30)に対向させており、より好ましいものとなっている。また、図6に示すように、電極50の径、即ち、リング穴径を1mm〜5mm程度としており、より好ましいものとなっている。これにより、霧化部30の先端30a(霧化作用部)から発生したミストを確実に被処理部の方向へ向けて霧化させることができ、霧化によりラジカルを積極的に生成でき、帯電微粒子ミストにラジカルによる脱臭や除菌の効果を持たせることができる。
【0030】
生成された帯電微粒子ミストは、グランド電極50内を通って所望箇所に向けて(図1に示すX1矢印方向に向けて)移送される。ラジカルを含んだ帯電微粒子ミストは、脱臭や除菌、アレルゲン不活性化効果、農薬分解効果、有機物分解(汚れ除去)等の効果があり、具体的には、例えば、健康や美容効果が得られる。
【0031】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)圧電振動子20の高電圧出力面A2に接触部材35を介して霧化部30を接触させ、圧電振動子20からの高い電圧を伝達させ、静電霧化することにより、圧電振動子20から発生する高電圧と機械振動のうち、高電圧のみを取り出し、霧化部30へ伝達させることができる。また、霧化部30が毛細管現象を有する部材よりなり、霧化部30に供給された液体について霧化部30において安定して少量の液体を先端に移動させることができ、先端30aで静電霧化される。よって、従来の方式と異なり、小型な圧電振動子を用いて高い電圧を発生することができ、その発生した電圧を霧化部30へ高効率に伝達させ、小型化を図るとともに大量に安定してラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成することができる。
【0032】
(2)霧化部30に対してグランドに接続されたグランド電極50を有しているので、霧化部30において生成したラジカルを有する帯電微粒子ミストがグランド電極50に向かい、ラジカルを有する帯電微粒子ミストに指向性を持たせることができる。よって、霧化部30の先端30a(霧化作用部)から発生した帯電霧を確実に被処理部の方向へ向けて霧化させることができ、霧化によりラジカルを積極的に生成でき、帯電微粒子水のラジカルによる脱臭や除菌の効果を持たせることができる。これにより、性能や利便性を向上させる上で好ましい。
【0033】
なお、上記実施形態は下記のように変更してもよい。
・図7(a),(b),(c)に示すように、霧化部30を複数設けて、複数の霧化部30からラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成して大量にラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成するようにしてもよい。図7(a)においては接触部材35の長さ方向に霧化部30を一直線上に複数並設している。図7(b)においては接触部材35として先端が円板状のものを用い、円板部に霧化部30を複数配置している。図7(c)においては圧電振動子20の電極23(高電圧出力面A2)に接触部材35を多数接触させ、各接触部材35の先端部に霧化部30を各々設けている。
【0034】
このようにして霧化部30を複数有する静電霧化装置10とすることによって、小型な圧電振動子20を用いて高い電圧を発生することができ、その発生した電圧を霧化部30へ伝達させ、大量かつ安定してラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成することができる。
【0035】
・図8に示すように、グランド電極50のグランドへの配線50aの途中に液体供給検知器51を設けてもよい。霧化部30に液体が存在するときには霧化現象が起こり、グランドに電流が流れる。これを液体供給検知器51で検出することにより液体供給の必要性を検知することができる。このように、グランド電極50のグランドへの配線50aに、霧化部30への液体の供給を検知する液体供給検知手段としての液体供給検知器51を有することによって、霧化部30への液体の供給を制御(液体の量を制御)することができ、効率よく帯電微粒子水を生成することができる。これにより、性能や利便性を向上させる上で好ましいものとなる。
【0036】
・図2(a)においては圧電振動子20は全体形状として矩形板状をなしていたが、これに代わり、図9に示すように、対向する電極22a,22bの無い部位をテーパ形状にしてもよい。この場合において、圧電振動子20の長手方向における定在波W1の節F1から二次側電極23にかけての両側面は、二次側電極23側へ向かうにつれて曲線状に縮幅する構成とすることにより、二次側電極23側の圧電振動子20の短手方向の幅H1は、定在波W1の節F1にあたる圧電振動子20の短手方向の幅H2よりも短くなっているため、二次側電極23側へ向かうにつれて圧電振動子20の断面積が減少し、より効率よく二次側電極23に昇圧された高電圧の発生が可能となる。
【0037】
・霧化部30は先端が尖状のものを用いたが、細い棒状のものを用いてもよい。
・液体を供給するためにポンプ43を用いたが、例えば毛細管現象によりタンク41に溜めた液体を霧化部30に供給するようにしてもよい。
【0038】
・図1(a)においてL10で示す経路でファン等により霧化部30に空気を送り、霧化部30で霧化されたミストを所望の箇所に移送させるようにしてもよい。
・圧電振動子20の圧電体21はチタン酸ジルコン酸鉛系材料(PZT)を用いて構成したが、他の圧電体を用いて圧電振動子20を構成してもよい。
【0039】
・液体供給手段として、空気中の水分を結露させて霧化部30に供給する構成としてもよい。
・グランド電極50は、リング状のものを用いたが、網目状のものを用いてもよい。
【0040】
・実施形態において、グランド電極50は霧化部30と対向するように設けられたが、これに限らず、グランド電極50の配置位置は特に限定されない。また、グランド電極50に相当する部分を帯電除去板や静電霧化装置10のハウジングで構成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…静電霧化装置、20…圧電振動子、22a,22b…電極、23…電極、30…霧化部、30a…先端、40…液体供給手段として液体供給部、50…グランド電極、51…液体供給検知手段としての液体供給検知器、A1…電力供給面、A2…高電圧出力面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数方向に分極され、少なくとも一つの電極を高電圧出力面とするとともに、他の少なくとも一つの電極を電力供給面として有し、電力供給のための分極厚みは前記高電圧出力面を構成する分極厚みよりも短く構成することで供給印加電圧を増幅して前記高電圧出力面から出力するようにした圧電振動子と、
前記圧電振動子の高電圧出力面に電気的に接続され、前記圧電振動子から交流電圧が伝達される霧化部と、
前記霧化部に液体を供給して前記霧化部の先端において液体を静電霧化させてラジカルを有する帯電微粒子ミストを生成させる液体供給手段と、
を備えた静電霧化装置であって、
前記霧化部が毛細管現象を有する部材よりなることを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
前記霧化部を複数有していることを特徴とする請求項1に記載の静電霧化装置。
【請求項3】
前記霧化部に対してグランドに接続されたグランド電極を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の静電霧化装置。
【請求項4】
前記グランド電極のグランドへの配線に、前記霧化部への前記液体の供給を検知する液体供給検知手段を有することを特徴とする請求項3に記載の静電霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−67739(P2011−67739A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219729(P2009−219729)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】