説明

非常用照明器具

【課題】停電時でも煙発生時でも何れの場合でも、避難者がより安全に避難できるように避難経路を照明することができる非常用照明器具を提供する。
【解決手段】非常用照明器具Aは、光源(発光ダイオード2a、2b)と、光源の点灯を制御する制御部3とを備える。制御部3は、常用電源6からの電力供給が遮断されると二次電池5から電力供給を受けて光源を点灯させ、且つ、煙を感知する煙感知器4から煙感知信号が入力されると光源を点灯させる。そして、非常用照明器具Aは、煙感知器4が煙を感知せずに常用電源6からの電力供給が遮断された場合の光源からの点灯光と、煙感知器4が煙を感知した場合の光源からの点灯光とを異ならせている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、停電時に点灯する点灯光と、停電中に火災報知部からの火災信号があった時に点灯する点灯光とが異なる非常用照明器具があった(特許文献1参照)。この非常用照明器具では、バッテリーからの電力供給により非常点灯していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−74386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような非常用照明器具は、火災等の非常時でも、常用電源の停電により電力供給が遮断されない限り、非常点灯しない。この時、一般灯が消えていて、且つ煙がまわってきた時に常用電源からの電力供給が遮断されていないと、避難経路が避難に必要な照度で照明されないため、避難者がスムーズに避難できない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、停電時でも煙発生時でも何れの場合でも、避難者がより安全に避難できるように避難経路を照明する非常用照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の非常用照明器具は、光源と、前記光源の点灯を制御する制御部とを備える。前記制御部は、常用電源からの電力供給が遮断されると非常用電源から電力供給を受けて前記光源を点灯させ、且つ、煙を感知する煙感知部から煙感知信号が入力されると前記光源を点灯させる。そして、非常用照明器具は、前記煙感知部が煙を感知せずに前記常用電源からの電力供給が遮断された場合の前記光源からの点灯光と、前記煙感知部が煙を感知した場合の前記光源からの点灯光とを異ならせたことを特徴とする。
【0007】
この非常用照明器具において、前記常用電源からの電力供給が遮断されるよりも先に前記煙感知部から煙感知信号が入力されると、前記制御部は前記常用電源の入力を遮断することによって非常用電源から電力供給を受けて前記光源を点灯させることも好ましい。
【0008】
この非常用照明器具において、それぞれ1乃至複数の前記光源からなり、前記常用電源からの電力供給が遮断されると点灯する第1グループと、前記火災感知部から煙感知信号が入力されると点灯する第2グループとを備える。そして、前記第1グループと前記第2グループとで光の照射方法が異なることが好ましい。
【0009】
この非常用照明器具において、前記第1グループと前記第2グループとで、点灯光の色を異ならせることで、前記第1グループと前記第2グループとで光の照射方法が異なることが好ましい。
【0010】
この非常用照明器具において、前記第1グループと前記第2グループとで、各々のグループを構成する前記光源の数、及び、前記光源の光出力、のうち少なくとも何れか一方を異ならせることで、前記第1グループと前記第2グループとで光の照射方法が異なることが好ましい。
【0011】
この非常用照明器具において、前記煙感知部が所定の濃度未満の煙を感知した時の前記光源の光出力よりも、前記煙感知部が所定の濃度以上の煙を感知した時の前記光源の光出力の方が高いことが好ましい。
【0012】
この非常用照明器具において、前記光源が発光ダイオードからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、停電時でも煙発生時でも何れの場合でも、避難者がより安全に避難できるように避難経路を照明することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)実施形態1の非常用照明器具の使用状態図で、(b)は(a)の発光面を通路側から見た図である。
【図2】同上の非常用照明器具の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施形態1)
実施形態1の非常用照明器具Aを図1、図2に基づいて説明する。
【0017】
非常用照明器具Aは、図1(a)に示すように、例えば通路Pの天井Rに設けられ、非常時に通路Pを照明する。
【0018】
非常用照明器具Aは、図1、図2に示すように、発光面2が通路P側に面するように天井Rに設置された本体1を備え、天井Rに設置されて煙を感知する煙感知器4と、本体1の内部に設けられた二次電池5と、常用電源6とに接続されている。
【0019】
非常用照明器具Aは、図1(a)(b)に示すように、本体1の下面の発光面2に取り付けられた4つの発光ダイオード2aと、5つ発光ダイオード2bと、本体1の内部に設けられた制御部3とを備える。
【0020】
図1(b)に示すように、発光面2に設けられた4つの発光ダイオード2aから、電力供給が遮断されると点灯する第1グループが構成される。同様に、発光面2に設けられた5つの発光ダイオード2bから、煙感知器4が煙を感知すると点灯する第2グループが構成される。
【0021】
発光ダイオード2a、2bは交互に配置され、その配列は3列3行である。発光ダイオード2a、2bの配列の第1列目、第2列目、第3列目の配列の順番は、それぞれ第1行目から第3行目の順に、発光ダイオード2b、2a、2bと、発光ダイオード2a、2b、2aと、発光ダイオード2b、2a、2bの順番である。尚、発光ダイオード2a、2bの配列は3列3行に限るものではなく、3列以上や2列以下、3行以上や2行以下であっても構わない。発光ダイオード2a、2bが交互に配置されることにより、第1グループの発光ダイオード2aが分散されて配置される。同様に、第2グループの発光ダイオード2bも分散されて配置される。これにより、第1グループの発光ダイオード2a又は第2グループの発光ダイオード2bのうち、どちらか一方のみが点灯している時に、他方が消灯しているため、熱が分散されて発光ダイオード2a又は2bの温度上昇が緩和される。
【0022】
第1グループの発光ダイオード2aと、第2グループの発光ダイオード2bとで点灯光は異なる色であり、第1グループの発光ダイオード2aの点灯光は演色性の高い色で、第2グループの発光ダイオード2bの点灯光は煙に対して透過性の高い色(例えば黄色光)である。
【0023】
二次電池5は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池であり、配線51を介して制御部3に接続されている。
【0024】
煙感知器4は、煙を感知する光学式の煙感知部を備え、煙を感知すると、信号線41を経由して制御部3に煙感知信号を送信する。
【0025】
制御部3は、常用電源6からの電力供給がある場合には、電源ケーブル61を経由して常用電源6からの電力を受け、配線51を介して二次電池5を充電する。制御部3は、常用電源6からの電力供給がある場合に煙感知器4が煙を感知すると、常用電源6からの電力を受け、配線22を介して第2グループの発光ダイオード2bを点灯させる。制御部3は、停電により常用電源6からの電力供給が遮断されると、二次電池5からの電力を受け、配線21を介して第1グループの発光ダイオード2aを点灯させる。
【0026】
次に非常用照明器具Aの動作の説明をする。制御部3は、停電よりも先に煙感知器4が煙を感知すると、常用電源6からの電力を受けて第2グループの発光ダイオード2bを点灯させる。その後、停電が起こった場合は、制御部3が、二次電池5からの電力を受けて第2グループの発光ダイオード2bを継続して点灯させる。
【0027】
制御部3は、煙感知器4が煙を感知するよりも先に停電が起こると、二次電池5からの電力を受けて第1グループの発光ダイオード2aを点灯させる。その後、煙感知器4が煙を感知した場合は、制御部3が第1グループの発光ダイオード2aを消灯し、二次電池5からの電力を受けて第2グループの発光ダイオード2bのみを点灯させる。
【0028】
また、非常用照明器具Aでは、非常用電源として二次電池5が本体1の内部に設けられているが、二次電池5は本体1の外部に設けられてもよいし、本体1の外部に設けられた二次電池5が複数の非常用照明器具Aの非常用電源を兼ねてもよい。その際、本体1の外部に別途設けられた充電部(図示せず)が、常用電源6からの電力供給を受けて、本体1の外部に設けられた二次電池5を充電してもよい。
【0029】
また、煙感知器4が所定の濃度以上の煙を感知すると、制御部3が第2グループの発光ダイオード2bだけでなく、第1グループの発光ダイオード2aも両方点灯させてもよい。
【0030】
また、非常用照明器具Aでは、停電よりも先に煙感知器4が煙を感知した場合は、制御部3が常用電源6からの電力供給を遮断し、二次電池5からの電力を受けて第2グループの発光ダイオード2bを点灯してもよい。
【0031】
上述のように、非常用照明器具Aは、光源(発光ダイオード2a、2b)と、光源の点灯を制御する制御部3とを備える。制御部3は、常用電源6からの電力供給が遮断されると非常用電源(二次電池5)から電力供給を受けて光源を点灯させ、且つ、煙を感知する煙感知部(煙感知器4)から煙感知信号が入力されると光源を点灯させる。そして、非常用照明器具Aは、煙感知部が煙を感知せずに常用電源6からの電力供給が遮断された場合の光源からの点灯光と、煙感知部が煙を感知した場合の光源からの点灯光とを異ならせている。
【0032】
これにより、停電時でも火災等による煙発生時でも何れの場合でも、非常用照明器具Aは点灯することができる。また、停電時と火災等による煙発生時とで、それぞれの場合に適した光により非常用照明器具Aは避難経路を照明することができる。これらにより、非常用照明器具Aは、避難者がより安全に避難できるように避難経路を照明することができる。
【0033】
この非常用照明器具Aにおいて、常用電源6からの電力供給が遮断されるよりも先に煙感知部から煙感知信号が入力されると、制御部3は常用電源6の入力を遮断することによって非常用電源から電力供給を受けて光源を点灯させることも好ましい。
【0034】
これにより、煙感知時に光源を点灯させる回路が、停電時に光源を点灯させる回路と共有して設けられることができる。
【0035】
この非常用照明器具Aにおいて、それぞれ1乃至複数の光源からなり、常用電源からの電力供給が遮断されると点灯する第1グループと、火災感知部から煙感知信号が入力されると点灯する第2グループとを備える。そして、第1グループと第2グループとで光の照射方法が異なることが好ましい。
【0036】
これにより、非常用照明器具Aが、停電発生時と火災発生時とで、それぞれの場合に適した点灯光にて避難経路を照明することができるため、非常用照明器具Aは、避難者がより安全に避難できるように避難経路を照明することができる。
【0037】
この非常用照明器具Aにおいて、第1グループと第2グループとで、点灯光の色を異ならせることで、第1グループと第2グループとで光の照射方法が異なることが好ましい。
【0038】
これにより、非常用照明器具Aが、例えば、停電発生時には演色性の高い色の点灯光で、火災発生時には透過性の高い色の点灯光で避難経路を照明することができる。そのため、非常用照明器具Aが、停電発生時又は火災発生時に応じて、避難者がより安全に避難できるような色の照明光で避難経路を照明することができる。
【0039】
この非常用照明器具Aにおいて、煙感知部が所定の濃度未満の煙を感知した時の光源の光出力よりも、煙感知部が所定の濃度以上の煙を感知した時の光源の光出力の方が高いことが好ましい。
【0040】
これにより、非常用照明器具Aが、煙の濃度が所定の濃度以上の場合に避難経路をより高い光出力で照明して、より遠くまで光を届かせることができるため、煙の濃度が高い場合でも、避難者がより安全に避難できるように避難経路を照明することができる。
【0041】
この非常用照明器具Aにおいて、光源が発光ダイオードからなることが好ましい。
【0042】
これにより、例えば蛍光灯のような電子管を光源とした場合よりも、発光ダイオードを光源とした方が、光源の経年劣化による故障や照度の低下の虞が少なくなるため、非常用照明器具としての信頼性が高くなる。
【0043】
(実施形態2)
実施形態2の非常用照明器具Aの構成は、実施形態1の非常用照明器具Aの構成と比較して、発光ダイオードの点灯光の色及び光出力のみが異なるだけなので、発光ダイオードのみを説明する。
【0044】
実施形態2では実施形態1と異なり、発光ダイオード2a、2bとで点灯光の色が同じであり、且つ、発光ダイオード2bの方が発光ダイオード2aよりも光出力が高い。また、発光ダイオード2bの個数は5つで、発光ダイオード2aの個数の4つよりも多い。その為、第2グループの発光ダイオード2bの合計の光出力の方が、第1グループの発光ダイオード2aの合計の光出力よりも高くなる。
【0045】
また、図1(b)に示すように、発光ダイオード2a、2bが交互に配置されることにより、第1グループの発光ダイオード2aが分散されて配置される。同様に、第2グループの発光ダイオード2bも分散されて配置される。これにより、第1グループの発光ダイオード2a又は第2グループの発光ダイオード2bのうち、どちらか一方が点灯している時に、他方が消灯しているため、熱が分散されて発光ダイオード2a又は2bの温度上昇が緩和される。
【0046】
また、個々の発光ダイオード2a、2bの光出力が同じであっても、例えば発光ダイオード2aの数を3つとし発光ダイオード2bの数を6つとする等、発光ダイオード2bの数を発光ダイオード2aの数よりも多くする。これにより、第2グループの発光ダイオード2bの合計の光出力の方が、第1グループの発光ダイオード2aの合計の光出力よりも高くなるようにしてもよい。
【0047】
尚、本実施形態では、光源の数と、光源の光出力の両方を異ならせているが、何れか一方のみを異ならせることにより、第2グループの発光ダイオード2bの合計の光出力が、第1グループの発光ダイオード2aの合計の光出力よりも高くなるようにしてもよい。
【0048】
上述のように、この非常用照明器具Aにおいて、第1グループと第2グループとで、各々のグループを構成する光源の数、及び、光源の光出力、のうち少なくとも何れか一方を異ならせることで、第1グループと第2グループとで光の照射方法が異なることが好ましい。
【0049】
これにより、煙感知時に点灯される光源の点灯光を明るくすることで、光源からの光が煙で遮られたとしても、より遠くまで届かせることができるため、非常用照明器具Aは、火災発生時でも避難者がより安全に避難できるように避難経路を照明することができる。また、火災が発生せずに停電のみが起こった場合には、点灯光の光出力が低く抑えられるため、二次電池5の電力の消費が抑えられ、非常用照明器具Aは避難経路をより長時間照明することができる。
【0050】
尚、本実施形態では、第1グループの発光ダイオード2aと第2グループの発光ダイオード2bの点灯光が同じであるが、第1グループの発光ダイオード2aの点灯光は演色性の高い色、第2グループの発光ダイオード2bの点灯光は煙に対して透過性の高い色というように、異なる色の点灯光としてもよい。
【0051】
これにより、非常用照明器具Aは、停電時や火災発生時に応じて、より適切な色と光出力の点灯光にて避難経路を照明することができるため、停電時でも煙発生時でも何れの場合でも、避難者がより安全に避難できるように避難経路を照明することができる。
【0052】
以上に述べた実施形態1、実施形態2での光源は、発光ダイオードに限るものではなく、蛍光灯等の電子管や白熱灯であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 本体
2 発光面
2a、2b 発光ダイオード(光源)
21、22 配線
3 制御部
4 煙感知器(煙感知部)
41 信号線
5 二次電池(非常用電源)
51 配線
6 常用電源
61 電源ケーブル
P 通路
R 天井

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源の点灯を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、常用電源からの電力供給が遮断されると非常用電源から電力供給を受けて前記光源を点灯させ、且つ、煙を感知する煙感知部から煙感知信号が入力されると前記光源を点灯させ、
前記煙感知部が煙を感知せずに前記常用電源からの電力供給が遮断された場合の前記光源からの点灯光と、前記煙感知部が煙を感知した場合の前記光源からの点灯光とを異ならせたことを特徴とする非常用照明器具。
【請求項2】
前記常用電源からの電力供給が遮断されるよりも先に前記煙感知部から煙感知信号が入力されると、前記制御部は前記常用電源の入力を遮断することによって非常用電源から電力供給を受けて前記光源を点灯させることを特徴とする請求項1記載の非常用照明器具。
【請求項3】
それぞれ1乃至複数の前記光源からなり、前記常用電源からの電力供給が遮断されると点灯する第1グループと、前記火災感知部から煙感知信号が入力されると点灯する第2グループとを備え、前記第1グループと前記第2グループとで光の照射方法が異なることを特徴とする請求項1又は2記載の非常用照明器具。
【請求項4】
前記第1グループと前記第2グループとで、点灯光の色を異ならせることで、前記第1グループと前記第2グループとで光の照射方法が異なることを特徴とする請求項3記載の非常用照明器具。
【請求項5】
前記第1グループと前記第2グループとで、各々のグループを構成する前記光源の数、及び、前記光源の光出力、のうち少なくとも何れか一方を異ならせることで、前記第1グループと前記第2グループとで光の照射方法が異なることを特徴とする請求項3記載の非常用照明器具。
【請求項6】
前記煙感知部が所定の濃度未満の煙を感知した時の前記光源の光出力よりも、前記煙感知部が所定の濃度以上の煙を感知した時の前記光源の光出力の方が高いことを特徴とする請求項1乃至5の何れか記載の非常用照明器具。
【請求項7】
前記光源が発光ダイオードからなることを特徴とする請求項1乃至6の何れか記載の非常用照明器具。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−33597(P2013−33597A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168057(P2011−168057)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】